JP2009244040A - フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法 - Google Patents

フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム状絶縁材料の一部に異常部がある場合にも、該異常部の影響を受けることなく、フィルム状絶縁材料の絶縁耐力を精度よく測定することが可能なフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法を提供する。
【解決手段】 フィルム状絶縁材料3の一方主面と他方主面とに、一方主面側電極1と他方主面側電極2を配設するとともに、電極を、両電極間に直流電圧を印加し、電圧を上昇させたときに局所的なショートが生じた場合にも、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極とし、該電極の互いに対向しない領域を通電端子接続部とし、電極間に直流電圧を印加し、直流電圧の電圧値と形成される静電容量の経時変化を連続的に取得しつつ電圧を上昇させ、静電容量が所定量以上、急激に低下した時点の電圧をフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法に関し、詳しくは、例えば、フィルムコンデンサなどに用いられるフィルム状絶縁材料の絶縁耐力の評価の指標となる絶縁破壊電圧を測定する方法に関する。
誘電体として樹脂材料からなるフィルムを用い、このフィルムを挟み込むように電極を配設した構造を有するフィルムコンデンサが広く用いられている。
このようなフィルムコンデンサに用いられるフィルム状絶縁材料の耐電圧性能を調べる方法として、「固体電気絶縁材料の絶縁耐力の試験方法」が日本工業規格として定められている(非特許文献1)。
この方法は、例えば、図6に示すように、油槽50中で、金属平板51と鉄球52の間にフィルム53を挟み、金属平板51と鉄球52の間に電圧を印加して、ショート電圧を調べるものである。
しかしながら、金属平板51と鉄球52の間にフィルム53を挟み込んで測定する方法の場合、例えば、フィルムの異常部などのショートしやすい領域が局所的に存在していると、そのショートしやすい領域(異常部)でショートが生じると、その領域を除いた領域がまだ十分な絶縁耐力を有している場合にも、その時点における電圧が絶縁耐力(絶縁破壊電圧)の測定値とされてしまい、また、ショート後の測定を継続することができなくなる。
すなわち、ショートの生じた位置が、フィルム状絶縁材料の、特に異常のある部分(異常部)であって、他の部分が、上記測定値よりも十分に高い絶縁耐力を有していても、上述のようにして測定される測定値が絶縁破壊電圧として採用されてしまうことになる。
また、上記方法の場合、異常部で測定された値(異常値)の影響を排除しようとすると、測定数を増やすことが必要となり、効率が悪いという問題点がある。
また、測定対象となるフィルム状絶縁材料の厚みが薄い場合、鉄球に押さえつけられた部分に負荷がかかり、その影響で、測定される絶縁破壊電圧が、フィルム状絶縁材料が本来の絶縁耐力を有している場合に測定される実際の絶縁破壊電圧よりも低い値になるという不具合がある。
これは、絶縁破壊電圧を測定する部分と機械的に接触する部分が同じ位置であることに起因するものである。
なお、上述のフィルムコンデンサの場合、一部に絶縁破壊が生じてもその部分を電気的に切り離して、残りの部分で必要な静電容量を確保することができる場合があり、異常部の存在に起因して測定される低い絶縁破壊電圧だけではなく、フィルムの正常な部分(異常部を除いた大部分の領域)の絶縁破壊電圧も併せて測定したいという要求があるが、上記の方法ではそれに応えられないのが実情である。
JIS C 2110「固体電気絶縁材料の絶縁耐力の試験方法」
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、フィルム状絶縁材料がその一部に異常部を有している場合にも、該異常部の影響を受けることなく、フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧を精度よく測定することが可能なフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法は、
フィルム状絶縁材料の一方主面と他方主面とに、フィルム状絶縁材料を介して互いに対向する領域と、互いに対向しない領域を有する態様で一方主面側電極および他方主面側電極を配設するとともに、前記一方主面側電極および前記他方主面側電極を、両電極間に直流電圧を印加し、電圧を上昇させたときに局所的なショートが生じた場合にも、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極とし、
前記一方主面側電極と、前記他方主面側電極の前記互いに対向しない領域を一対の通電端子接続部とし、前記一対の通電端子接続部から、前記一方主面側電極と前記他方主面側電極間に直流電圧を印加し、
前記直流電圧の電圧値と、前記一方主面側電極と前記他方主面側電極の対向領域に形成される静電容量の経時変化を連続的に取得しつつ電圧を上昇させ、
前記静電容量が所定量以上、急激に低下した時点の電圧をフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧とすること
を特徴としている。
また、本発明においては、前記静電容量が所定量以上、急激に低下した時点における静電容量の値を、低下する直前の静電容量の80%以下の値とすることが望ましい。
また、本発明のフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法は、フィルムコンデンサを構成するフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧を測定する方法に適用されるものであることを特徴としている。
本発明の方法では、一方主面側電極の互いに対向しない領域と、他方主面側電極の互いに対向しない領域を一対の通電端子接続部としているので、絶縁破壊電圧を測定する領域、すなわち、一方主面側電極と他方主面側電極の重なり合う領域に応力が加わったりすることがなく、不要な外乱を排除することができる。
また、前記一方主面側電極および前記他方主面側電極を、両電極間に直流電圧を印加し、電圧を上昇させたときに局所的なショートが生じた場合にも、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極としているので、例えば、異常部などの最弱点領域においてショートが発生しても、速やかに絶縁復帰し、正常部への電圧印加を再開することができる。
このようにして電圧をさらに上昇させ、電圧が一方主面側電極と他方主面側電極の重なり合う領域全体の限界レベルの電圧になると、複数の地点で連続的にショートが発生するとともに、静電容量の急激な低下を生じる。そして、この静電容量の急激な低下が発生し始めた電圧(実質的には、ショートが連続して発生し始めた電圧と同義)をフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧とする。
この本発明の方法を採用することにより、少ない試料数で正確な絶縁破壊電圧を測定することができる。また、異常部におけるショートの発生電圧、個数でフィルム状絶縁材料の品位を推し量ることが可能になる。
また、本発明の方法では、静電容量の急激な低下と、連続的なショートが発生する時点での電圧の低下(あるいは電圧の連続的で大幅な変動)を併せて確認できることからより精度の高い判断を行うことが可能になる。
また、電圧の変化と静電容量の変化を同時に確認できることから、一方主面側電極と他方主面側電極の重なり合う領域に、静電容量の形成に有効な部分(アクティブエリア)が残っているのかについても併せて判断することができる。
なお、本発明において、部分的なショートが生じても、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極とは、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ蒸着などのPVD(Physical Vapor Deposition 物理気相成長)法、もしくはCVD(Chemical Vapor Deposition 化学気相成長)法などの、いわゆる薄膜形成法により形成される電極であり、通常、これらの薄膜形成方法により形成される電極は、本願発明における電極として利用することができる。
また、本発明においては、静電容量が所定量以上、急激に低下した時点における静電容量の値を、低下する直前の静電容量の80%以下の値とすることにより、異常値と真の絶縁破壊電圧とを明確に区別することができるため、さらに確実にフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧を知ることが可能になる。すなわち、異常値における静電容量の低下割合は全体の数%にとどまることが多いが、真の絶縁破壊電圧では低下する直前の静電容量の20%以上、急激に低下することが多いためである。
また、本発明は、フィルムコンデンサの絶縁破壊電圧を測定する方法として有意義に用いることができる。
すなわち、本発明の方法によれば、異常部などの影響を排除して、フィルムコンデンサを構成するフィルム状絶縁材料の真の絶縁破壊電圧を知ることが可能になり、適切な評価を行うことができる。
以下に、本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
絶縁破壊電圧の測定対象となる4μmのポリプロピレンフィルムを、9mm×26mmのフィルム片に切り出し、蒸着法により、厚さ20nm、平面寸法5mm×18mmのアルミニウム電極を裏表両主面に形成した。
なお、一方主面側電極および他方主面側電極は、互いに4mm位置を長手方向にずらして形成し、フィルム状絶縁材料を介して両者が互いに対向する領域と、互いに対向しない領域を備えるようにした。
また、上記蒸着法により形成されたアルミニウム電極は、部分的なショートが生じても、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような、本発明の要件を備えた電極である。
そして、図1に示すように、一方主面側電極1と他方主面側電極2の、フィルム状絶縁材料(ポリプロピレンフィルム)3を介して互いに対向していない領域1a,2aに、金属端子11a,11bを押し当てるようにして電気的な導通をとる一方、フィルム状絶縁材料3を介して両者が互いに対向する領域1b,2bには、機械的な応力が加わらない状態とした。これはアクティブエリアとなる領域1b,2bに機械的な応力が加わってしまうと領域1b,2bにおけるフィルム状絶縁材料に負荷がかかり、絶縁破壊電圧の測定値に影響を及ぼしてしまうのを防止するためである。この実施例では金属端子11a,11bとして、フィルム状絶縁材料(ポリプロピレンフィルム)3を両面側から挟み込むように構成されたクリップ状のものを用いた。なお、金属端子11a,11bの、フィルム状絶縁材料3を介して上記領域1a,2aと対向する部分11a1,11b1は、測定値に影響が出ないように、絶縁材料から構成されている。
なお、図1に示すように、フィルム状絶縁材料3の両主面に、一方主面側電極1と他方主面側電極2とを備えた構造体(絶縁破壊電圧測定試料)は、実質的にフィルムコンデンサの状態となっている。
そして、上述のようにして用意した絶縁破壊電圧測定試料の一方主面側電極1と他方主面側電極2の間に直流電圧を印加し、電圧を100V/sの速度で上昇させ、直流電圧の電圧値と、一方主面側電極1と他方主面側電極2の対向領域(アクティブエリア)10に形成される静電容量の経時変化を連続的に調べた。
なお、図2は、フィルム状絶縁材料3に印加される直流電圧と静電容量を連続して調べるために用いた装置の回路構成を示す図である。この装置においては、図2に示すように、フィルム状絶縁材料3に直流電圧を印加するためのDC電源16(グラスマン製:EW)と抵抗12とが直列に接続され、これに並列に電圧計13(アドバンテスト製:AD7461A)が配設されている。さらに、アクティブエリア10(図1)に形成される静電容量を測定するための静電容量計14(アジレント製:4278A)が配設されているとともに、静電容量計14に直接に直流電圧がかからないように、直流電圧阻止コンデンサ15が静電容量計14に直列に接続されている。
なお、直流電圧阻止コンデンサ15としては、その抵抗が、静電容量計14の抵抗よりも2桁以上大きいものを用いることが必要であり、この実施例においては、絶縁抵抗がLogIR=14となるポリプロピレン製のフィルムコンデンサ(100nF)を用いた(アルコトロニクス製:C4CAYUD3150AA1J)。
また、抵抗12は、フィルム状絶縁材料3の絶縁抵抗より2桁以上低く、かつ、フィルム片(フィルム状絶縁材料)の|Z|より2桁以上高いことが必要であり、この実施例において1MΩの抵抗(日本ファインケム抵抗器製:RH10HVS1MΩJ)を用いた。
なお、本発明において絶縁破壊電圧の測定に用いる装置は、フィルム状絶縁材料に直流電圧を印加し、直流電圧の電圧値と、アクティブエリアに形成される静電容量の経時変化を連続的に取得しながら電圧を上昇させることができるように構成されていればよいので、その具体的な構成は図2の構成に限られるものではない。
上記の装置を用いて調べた、直流電圧の電圧値と静電容量の関係を図3に示す。図3に示すように、直流電圧を上昇させてゆく過程で、一瞬電圧が低下し、静電容量がいくらか低下している点(図3に矢印Aで示す点)があるが、これは、アクティブエリアの異常部において局所的なショート(異常ショート)が発生したものである。そして、この実施例1では、電極として、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極が用いられていることから、速やかに絶縁復帰し、正常部への電圧印加が再開されている。すなわち、このときのショートは、フィルム状絶縁材料の限界(真の絶縁破壊電圧)に達したために生じたショートではなく、フィルム状絶縁材料に存在する異常部(例えばフィルム状絶縁材料に欠陥のある部分など)に局所的に発生したショート(異常ショート)であり、このときの電圧は、本発明における真の絶縁破壊電圧ではなく、異常値として扱われるものである。そして、実施例1の方法によれば、ここで測定が終了することなく、正常部への電圧印加が再開され、測定が続けられることになる。なお、点Aの電圧約3kV付近で、静電容量が数%低下していることがわかる。
さらに、直流電圧の昇圧を続けると、ある点(図3に矢印Bで示す点)で連続的に破壊が起こり、静電容量の急激な低下および電圧の低下(変動)が発生していることがわかる。この電圧領域では、アクティブエリア全体がほぼ同時期にショートに至っており、このときの電圧がフィルム状絶縁材料の実質的な限界電圧、すなわち、真の絶縁破壊電圧であることがわかる。なお、この点Bの電圧3.8kV付近では静電容量が0になっていることがわかる。
従来の試験方法では、最初にショートが発生した時点、すなわち、図3の点Aの時点で、測定が終了してしまうため、それが真の絶縁破壊電圧であるのか、異常部においてショート(異常ショート)が発生しただけの異常値であるのかを把握することができない。そのため、絶縁破壊電圧と思われるデータをある程度取得することができるまで試料数を多くしてデータを取得することが必要になる。
これに対して、本発明の方法によれば、例えば異常部などに局所的なショートが生じても、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極を備えた試料を用意し、直流電圧の電圧値と、アクティブエリアに形成される静電容量の経時変化を連続的に取得しながら電圧を上昇させるようにしているので、少ない試料数で異常値、真の絶縁破壊電圧のデータを正確に得ることが可能になる。
次に、上述の試料について、従来方法の方法で測定した絶縁破壊電圧(測定数n=20)と、本発明の方法で測定した異常値(図3のAの点における電圧値)(測定数n=10)と、真の絶縁破壊電圧(アクティブエリア全体がほぼ同時期にショートに至った電圧であって、図3のBの点における電圧)(測定数n=10)をワイブル・プロットしたデータを図4に示す。
図4より、従来の方法の場合、データのばらつきが大きく、異常値と真の絶縁破壊電圧の2つのモードの分布が混ざりあっているようであるが、正確に分離することが難しいことがわかる。
これに対し、本発明の方法では、測定数nが半分でも、異常値と真の絶縁破壊電圧に分離して示した結果は、図4に示すように、直線の傾き(m値)が高く、より信頼性の高いデータであることがわかる。
また、正確に異常値と真の絶縁破壊電圧のモードを分離できることから、測定結果よりフィルムの特性を検討する際に、加工上の問題であるのか、材料の本質的な問題であるのかの区別を正確に行うことが可能になる。
この実施例2では、本発明のフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法を利用して、フィルムコンデンサの真の絶縁破壊電圧を調べる方法について説明する。
この実施例2では、松下電器産業(株)製のフィルムコンデンサ(型式:ECQ−E 400V 104J)を測定対象(試料)として、その外部電極から直流電圧を印加することにより、真の絶縁破壊電圧を調べた。
なお、この実施例2における測定対象である上記フィルムコンデンサは、フィルム状絶縁材料を介して容量形成用の薄膜電極が対向するように構成されており、その外部電極から直流電圧を印加する際に、その容量形成用電極のアクティブエリアに応力がかかることがないような構造を有するコンデンサである。
そして、この実施例2でも、測定を行うにあたっては、上記実施例1で用いた装置と同じ構成の装置を用いた。そして、試料に直流電圧を印加し、電圧を電圧を100V/sの速度で上昇させながら、直流電圧の電圧値と、形成される静電容量の経時変化を連続的に調べた。直流電圧の電圧と静電容量の関係を図5に示す。
図5に示すように、直流電圧を上昇させてゆく途中で、一瞬電圧が低下し、静電容量がいくらか低下している点(図5に矢印Aで示す点)があるが、これは、アクティブエリアの一部の異常部において局所的にショートが発生したものである。そして、このフィルムコンデンサを構成する容量形成電極も、上述のように薄膜電極であって、局所的なショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極であることから、絶縁復帰し、正常部への電圧印加が継続して行われた。
すなわち、このときのショートは、フィルムコンデンサを構成するフィルム状絶縁材料の真の絶縁破壊電圧に達したために生じたショートではなく、フィルム状絶縁材料に存在する異常部(例えばフィルム状絶縁材料に欠陥のある部分など)に局所的に発生したショートであり、このときの電圧は異常値として扱われるべきものである。そして、この実施例2の方法によれば、ここで測定が終了することなく、正常部への電圧印加が再開され、測定が続けられることになる。なお、点Aの電圧約2kV付近で、静電容量が数%低下していることがわかる。
そして、さらに、直流電圧の昇圧を続けると、ある点(矢印Bで示す点)で連続的に破壊が起こり、静電容量の急激な低下および電圧の低下(変動)が発生していることがわかる。この点が、アクティブエリア全体がほぼ同時期にショートに至るフィルム状絶縁材料の限界電圧、すなわち、真の絶縁破壊電圧であることがわかる。なお、この点Bの電圧2.8kV付近では静電容量がその直前の静電容量の約1/2となっていることがわかる。
この実施例2の結果より、本発明の方法はフィルムコンデンサの真の絶縁破壊電圧を測定するのに極めて有意義であることがわかる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、フィルム状絶縁材料の構成材料、厚み、一方主面側電極および他方主面側電極の配設態様や構成材料、印加する直流電圧の上昇速度、フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧とされる電圧において、静電容量が所定量以上、急激に低下した時点における静電容量の値(すなわち、直前の静電容量の値に対する割合)、本発明の方法をフィルムコンデンサを構成するフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定に適用する場合の具体的な条件や、フィルムコンデンサの具体的な構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本発明によれば、フィルム状絶縁材料の一部に異常部がある場合にも、該異常部の影響を受けることなく、フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧を、少ない試料数で精度よく測定することができる。また、異常部におけるショートの発生電圧、個数でフィルムの品位を推し量ることができる。
また、本願発明を適用することによりフィルムコンデンサの耐電圧性能を精度よく評価することが可能になる。
したがって、本発明は、フィルムコンデンサなどに用いるためのフィルム状絶縁材料の開発やフィルムコンデンサの特性検査などの分野に広く適用することが可能である。
本発明を実施するために作製した試料を示す図であり、(a)は平面図、(b)は試料に金属端子を取り付けた状態を模式的に示す平面図、(b)は試料に金属端子端子を取り付けた状態を模式的に示す正面図である。 本発明を実施するために用いた装置の回路構成を示す図である。 本発明の実施例の方法で調べた、電圧と静電容量の経時的な変化を示す図である。 従来の方法で測定した絶縁破壊電圧と、本発明の方法で測定した異常値および真の絶縁破壊電圧をワイブル・プロットしたデータを示す図である。 本発明の方法を適用してフィルムコンデンサについて調べた、電圧と静電容量の経時的な変化を示す図である。 従来の固体電気絶縁材料の絶縁耐力の試験方法を示す図である。
符号の説明
1 一方主面側電極
1a,2a 一方主面側電極と他方主面側電極の互いに対向しない領域
1b,2b 一方主面側電極と他方主面側電極の互いに対向する領域
2 他方主面側電極
3 フィルム状絶縁材料
10 対向領域(アクティブエリア)
11a,11b 金属端子
11a1,11b1 金属端子フィルム状絶縁材料を介して領域1a,2aと対向する部分
12 抵抗
13 電圧計
14 静電容量計
15 直流電圧阻止コンデンサ
16 DC電源
A 異常部において局所的なショートが発生した点
B アクティブエリア全体がほぼ同時期にショートに至った点

Claims (3)

  1. フィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法であって、
    フィルム状絶縁材料の一方主面と他方主面とに、フィルム状絶縁材料を介して互いに対向する領域と、互いに対向しない領域を有する態様で一方主面側電極および他方主面側電極を配設するとともに、前記一方主面側電極および前記他方主面側電極を、両電極間に直流電圧を印加し、電圧を上昇させたときに局所的なショートが生じた場合にも、ショート部分の電極材料が蒸発して絶縁復帰するような電極とし、
    前記一方主面側電極と、前記他方主面側電極の前記互いに対向しない領域を一対の通電端子接続部とし、前記一対の通電端子接続部から、前記一方主面側電極と前記他方主面側電極間に直流電圧を印加し、
    前記直流電圧の電圧値と、前記一方主面側電極と前記他方主面側電極の対向領域に形成される静電容量の経時変化を連続的に取得しつつ電圧を上昇させ、
    前記静電容量が所定量以上、急激に低下した時点の電圧をフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧とすること
    を特徴とするフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法。
  2. 前記静電容量が所定量以上、急激に低下した時点における静電容量の値が、低下する直前の静電容量の80%以下の値であることを特徴とする請求項1記載のフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法。
  3. フィルムコンデンサを構成するフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧を測定する方法に適用されるものであることを特徴とする請求項1または2記載のフィルム状絶縁材料の絶縁破壊電圧の測定方法。
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