JP2009243412A - 圧縮機の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐圧試験後における円筒壁の変形量を低減して、圧縮機の性能向上を図る。
【解決手段】少なくとも一部が円筒壁となる鋳造体を形成する鋳造工程(ST1)と、鋳造体を仕上げ加工して円筒壁を形成する仕上げ工程(ST4)と、仕上げ加工された円筒壁の内部に設計圧力よりも大きい試験圧力を加える耐圧試験工程(ST5)と有する。そして、仕上げ加工される前の円筒壁の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える予備加圧工程(ST3)をさらに有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、回転体が内部で回転する円筒壁を有する圧縮機の製造方法に関するものである。
従来より、冷凍空調用などの圧縮機として用いられるシングルスクリュー圧縮機が知られている。例えば特許文献1のシングルスクリュー圧縮機は、外周面に複数の螺旋溝を有するスクリューロータと、複数の歯を有する円板状の2枚のゲートロータとを備えている。スクリューロータは、圧縮機のケーシング内に設けられている円筒壁内に回転可能に嵌合し、歯先外周面が該円筒壁に包囲されている。また、ゲートロータは、歯が円筒壁を貫通してスクリューロータと噛み合うように構成されている。2つのゲートロータは、軸心がスクリューロータの軸心と直交し、スクリューロータを挟んで対称に設けられている。そして、円筒壁の内周面と、スクリューロータの歯溝と、ゲートロータの歯により、円筒壁内に2つの圧縮室が形成されている。
このシングルスクリュー圧縮機では、スクリューロータの回転に伴って、ゲートロータの歯がスクリューロータの歯溝を移動し、圧縮室の容積が拡大後に縮小する動作を繰り返す。圧縮室の容積が拡大する間は、冷媒が圧縮室へ吸入され、圧縮室の容積が縮小を始めると吸入された冷媒が圧縮される。そして、圧縮室である歯溝が吐出口に連通すると、圧縮された高圧冷媒が圧縮室から吐出される。
ところで、シングルスクリュー圧縮機のケーシング鋳物については、その健全性を確認するために、高圧ガスに関する法規で定められた耐圧試験が行われている。耐圧試験は、ケーシングの円筒壁を最終機械加工(仕上げ加工)して最終寸法に仕上げた後に、設計圧力の1.5倍の圧力でケーシング内を加圧する。従来では、仕上げ加工前にケーシング内を加圧することはなく、仕上げ加工後に耐圧試験で初めて加圧されていた。
特開平6−42474号公報
しかし、耐圧試験でケーシングに加えた試験圧力により円筒壁に局所的な応力集中が生じ、その応力が材料の降伏応力を超える結果、試験圧力を除いた後にも永久ひずみとして残ることが避けられない。したがって、最終仕上げ加工によって真円に近い形に円筒壁の内面形状(ケーシングボアとも称する)を仕上げたとしても、その後の耐圧試験によって永久ひずみが生じるために、ケーシングボアが例えば楕円形状になってスクリューロータとの間の隙間分布が不均一になり、圧縮機の性能低下を招く要因となっている。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐圧試験後における円筒壁の変形量を可及的に低減することにより、圧縮機の性能向上を図ることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加えるようにした。
具体的に、第1の発明は、ケーシング(10)内に設けられた略円筒状の円筒壁(30)と、該円筒壁(30)の内部で回転する回転体(40)とを有し、上記回転体(40)が回転することにより上記円筒壁(30)の内部で流体を圧縮する圧縮機を製造する方法を対象としている。そして、少なくとも一部が上記円筒壁(30)となる鋳造体を形成する鋳造工程(ST1)と、上記鋳造体を仕上げ加工して上記円筒壁(30)を形成する仕上げ工程(ST4)と、仕上げ加工された上記円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい試験圧力を加える耐圧試験工程(ST5)と有し、仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える予備加圧工程(ST3)を有していることを特徴とする。
第1の発明では、圧縮機を製造する場合、まず鋳造工程(ST1)を行い、少なくとも一部が円筒壁(30)となる鋳造体を鋳造により形成する。次に、予備加圧工程(ST3)を行い、仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える。円筒壁(30)には、内部が加圧されることによりひずみが生じ、円筒壁(30)の材料の降伏応力を超えることにより永久ひずみが生じて変形が残ることとなる。次に、仕上げ工程(ST4)を行い、鋳造体を仕上げ加工して円筒壁(30)を形成する。このことにより、予備加圧工程(ST3)で生じた永久ひずみによる円筒壁(30)の変形量は低減する。
次に、耐圧試験工程(ST5)を行い、仕上げ加工された円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい試験圧力を加える。円筒壁(30)には、内部が再度加圧されることによりひずみが生じ得るが、予備加圧工程(ST3)における加圧によってひずみ硬化が生じ、円筒壁(30)の降伏応力が高められているために、この耐圧試験工程(ST5)の加圧による円筒壁(30)の変化量は好適に低減されることとなる。その結果、回転体(40)と円筒壁(30)との隙間の不均一さが低減され、圧縮機の性能が向上することとなる。以上の工程によって圧縮機を製造する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記予備加圧工程(ST3)では、上記円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返すことを特徴とする。
第2の発明では、円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返すことにより、円筒壁(30)のひずみ硬化を確実に生じさせることが可能となる。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記予備加圧工程(ST3)では、上記設計圧力の1.5倍以上の圧力で上記円筒壁(30)内を加圧することを特徴とする。また、第4の発明は、上記第1の発明において、上記予備加圧工程(ST3)では、上記試験圧力以上の圧力で上記円筒壁(30)内を加圧することを特徴とする。
上記第3及び第4の発明では、十分に高い圧力で円筒壁(30)の内部が加圧されるため、その円筒壁(30)に十分なひずみ硬化を生じさせることが可能になる。したがって、耐圧試験工程(ST5)において、円筒壁(30)の変形は好適に抑制される。
第5の発明は、上記第1の発明において、上記予備加圧工程(ST3)の前に上記鋳造体を粗加工する粗加工工程(ST2)を有していることを特徴とする。
第5の発明では、鋳造工程(ST1)の後に粗加工工程(ST2)を行い、仕上げ加工される前の鋳造体を粗加工する。したがって、仕上げ加工を容易且つ高精度に行うことが可能になる。その後に、上述の予備加圧工程(ST3)が行われて円筒壁(30)が加圧されることとなる。
第6の発明は、上記第1の発明において、上記回転体(40)は、上記円筒壁(30)に回転可能に嵌合すると共に外周面に螺旋状の歯溝(41)を有するスクリューロータ(40)であり、上記圧縮機は、上記円筒壁(30)を貫通して上記スクリューロータ(40)の歯溝(41)と噛み合うゲートロータ(50)を備えていることを特徴とする。
第6の発明では、圧縮機がスクリュー圧縮機を構成する。すなわち、円筒壁(30)とスクリューロータ(40)の歯溝(41)とゲートロータ(50)との間に圧縮室が形成される。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴って歯溝(41)が移動することにより、圧縮室の容積が増減する。この圧縮室の容積の増減により、歯溝(41)の一端(吸入側端部)から吸入された流体が圧縮され、歯溝(41)の他端(吐出側端部)から吐出される。
上記第1の発明によれば、仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える予備加圧工程(ST3)を行うようにしたので、円筒壁(30)の材料に予めひずみ硬化を生じさせてその降伏応力を高めることができ、耐圧試験工程(ST5)の加圧による円筒壁(30)の変形を抑制することができる。また、予備加圧工程(ST3)で生じた円筒壁(30)の変形は、その後の仕上げ加工で適切に減少させることができる。その結果、耐圧試験後における円筒壁(30)の変形量を低減できるため、圧縮機の性能を飛躍的に向上させることができる。
上記第2の発明によれば、予備加圧工程(ST3)において、円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返すようにしたので、円筒壁(30)のひずみ硬化を確実に生じさせることができる。
上記第3及び4の発明によれば、予備加圧工程(ST3)において、十分に高い圧力で円筒壁(30)の内部を加圧することにより、予め円筒壁(30)に十分なひずみ硬化を生じさせることができるため、耐圧試験工程(ST5)において円筒壁(30)の変形をより好適に抑制することができる。
上記第5の発明によれば、予備加圧工程(ST3)の前に粗加工工程(ST2)を行うようにしたので、仕上げ加工を容易且つ高精度に行うことができる。
上記第6の発明によれば、スクリュー圧縮機の円筒壁(30)についても、その耐圧試験後における変形量を低減できるため、当該スクリュー圧縮機の性能を飛躍的に向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るシングルスクリュー圧縮機(1)の要部の構成を示す縦断面図である。図2は、図1のII−II線における横断面図である。図3は、実施形態に係るスクリューロータ(40)およびゲートロータ(50)の構成を示す平面図である。図4は、実施形態に係るスクリューロータ(40)およびゲートロータ(50)の構成を吐出側端部から視た斜視図である。図5は、実施形態に係る圧縮機構(20)の吸込行程を示す斜視図である。図6は、実施形態に係る圧縮機構(20)の圧縮行程を示す斜視図である。図7は、実施形態に係る圧縮機構(20)の吐出行程を示す斜視図である。図8は、実施形態に係るシングルスクリュー圧縮機(1)の製造工程を示すフローチャートである。
本実施形態のシングルスクリュー圧縮機(1)(以下、単にスクリュー圧縮機(1)と言う。)は、冷凍空調用のもので、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するものである。
図1および図2に示すように、上記スクリュー圧縮機(1)は、全密閉型に構成されている。このスクリュー圧縮機(1)は、ケーシング(10)内に、低圧ガスが導入されて該低圧ガスを圧縮する圧縮機構(20)を備えている。ケーシング(10)内には、図示しないが電動機が固定されており、該電動機と圧縮機構(20)とが回転軸である駆動軸(21)によって連結されている。また、ケーシング(10)内には、冷媒回路の蒸発器(図示せず)から低圧のガス冷媒が導入されると共に該低圧ガスを圧縮機構(20)へ案内する低圧空間(S1)と、圧縮機構(20)から吐出された高圧のガス冷媒が流入する高圧空間(S2)とが区画形成されている。
上記圧縮機構(20)は、ケーシング(10)内に形成された円筒壁(30)と、該円筒壁(30)の中に配置された1つのスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)に噛み合う2つ(一対の)のゲートロータ(50)とを有している。スクリューロータ(40)は、上記駆動軸(21)に装着され、キー(22)によって駆動軸(21)に対する回り止めが施されている。
図3および図4にも示すように、上記スクリューロータ(40)の外周面には、螺旋状の歯溝(41)が複数(本実施形態では、6本)形成されている。スクリューロータ(40)は、円筒壁(30)に回転可能に嵌合しており、歯先外周面が該円筒壁(30)に包囲されている。一方、各ゲートロータ(50)は、外周面に複数(本実施形態では、11枚)の平歯(51)を有する円板状に形成されている。各ゲートロータ(50)は、円筒壁(30)の外側にスクリューロータ(40)を挟んで対称に配置され、軸心がスクリューロータ(40)の軸心と直交している。そして、各ゲートロータ(50)は、平歯(51)が円筒壁(30)の一部を貫通してスクリューロータ(40)の歯溝(41)に噛み合うように構成されている。また、スクリューロータ(40)は金属製であり、ゲートロータ(50)は樹脂製である。
上記駆動軸(21)の先端部は、圧縮機構(20)の高圧側(図1の右側)に位置する軸受ホルダ(60)に回転可能に支持されている。この軸受ホルダ(60)は、スクリューロータ(40)の高圧側端面(図1の右側)に隣接しており、ボール軸受(61)を介して駆動軸(21)を支持している。
上記スクリュー圧縮機(1)には、容量制御機構としてスライドバルブ(70)が設けられている。このスライドバルブ(70)は、円筒壁(30)がその周方向の2カ所において径方向外側に膨出したスライドバルブ収納部(31)内に設けられている。スライドバルブ(70)は、内面が円筒壁(30)の内周面の一部を構成すると共に、円筒壁(30)の軸心方向にスライド可能に構成されている。図1において、スライドバルブ(70)が右方向へスライドすると、スライドバルブ収納部(31)の端面(P1)とスライドバルブ(70)の端面(P2)との間に軸方向隙間が形成される。この軸方向隙間が圧縮室(23)から低圧空間(S1)へ冷媒を戻すためのバイパス通路(33)として構成されている。したがって、このバイパス通路(33)の開度を調節することにより、圧縮機構(20)の容量制御を行うことができる。また、スライドバルブ(70)は、貫通して圧縮室(23)と高圧空間(S2)とを連通させるための吐出口(25)が形成されている。
上記スクリュー圧縮機(1)には、スライドバルブ(70)をスライド駆動させるためのスライドバルブ駆動機構(80)が設けられている。このスライドバルブ駆動機構(80)は、軸受ホルダ(60)に固定されたシリンダ(81)と、該シリンダ(81)内に装填されたピストン(82)と、該ピストン(82)のピストンロッド(83)に連結されたアーム(84)と、該アーム(84)とスライドバルブ(70)とを連結する連結ロッド(85)と、アーム(84)を図1の右方向に付勢するスプリング(86)とを備えている。このスライドバルブ駆動機構(80)は、スプリング(86)によってスライドバルブ(70)が図1の右方向へ付勢される一方、ピストン(82)の左右の端面に高低差圧を付けることで該ピストン(82)の動きを制御し、スライドバルブ(70)の位置を調整するように構成されている。つまり、シリンダ(81)内において、ピストン(82)の左側空間には低圧圧力が作用し、ピストン(82)の右側空間には高圧圧力が作用する。
図2に示すように、上記各ゲートロータ(50)は、円筒壁(30)に隣接してケーシング(10)内に区画形成されたゲートロータ室(90)に配置されている。ゲートロータ(50)には、その中心に回転軸である従動軸(94)が連結されている。この従動軸(94)は、ゲートロータ室(90)に設けられた軸受ハウジング(91)によって回転可能に支持されている。この軸受ハウジング(91)は、ボール軸受(92,93)を介して従動軸(94)を支持し、ゲートロータ(50)を片持ち支持している。なお、各ゲートロータ室(90)は、低圧空間(S1)に連通している。
上記圧縮機構(20)では、円筒壁(30)の内周面と、スクリューロータ(40)の歯溝(41)と、ゲートロータ(50)の平歯(51)とによって囲まれた空間が圧縮室(23)になる。図1や図3および図4において、スクリューロータ(40)は、左側端部が吸入側端部であり、右側端部が吐出側端部である。そして、スクリューロータ(40)の吸入側端部の外周部分はテーパ状に形成されている。スクリューロータ(40)の歯溝(41)は、吸入側端部において低圧空間(S1)に開放しており、この開放部分が圧縮機構(20)の吸入口(24)になっている。
上記圧縮機構(20)は、スクリューロータ(40)の回転に伴って、ゲートロータ(50)の平歯(51)がスクリューロータ(40)の歯溝(41)を移動することにより、圧縮室(23)の拡大動作および縮小動作が繰り返される。これにより、冷媒の吸入行程、圧縮行程および吐出行程が順に行われる。
−運転動作−
次に、上記シングルスクリュー圧縮機(1)の運転動作について説明する。
このシングルスクリュー圧縮機(1)において電動機を起動すると、駆動軸(21)が回転するのに伴ってスクリューロータ(40)が回転する。このスクリューロータ(40)の回転に伴ってゲートロータ(50)も回転し、圧縮機構(20)が吸入行程、圧縮行程および吐出行程を繰り返す。
上記圧縮機構(20)では、図5〜図7に示すように、スクリューロータ(40)が回転することにより、圧縮室(23)の容積が歯溝(41)の移動(即ち、平歯(51)の移動)に伴って拡大した後に縮小する動作を行う。圧縮室(23)の容積が拡大する間は、低圧空間(S1)の低圧ガス冷媒が吸入口(24)を通じて圧縮室(23)に吸入される(吸入行程、図5を参照)。スクリューロータ(40)の回転が進むと、ゲートロータ(50)の平歯(51)により圧縮室(23)が仕切られた状態となり、圧縮室(23)の容積の拡大動作が終了して縮小動作が開始される。この圧縮室(23)の容積が縮小する間は、吸入された冷媒が圧縮される(圧縮行程、図6を参照)。圧縮室(23)は、スクリューロータ(40)がさらに回転することで図6の右側へ移動して行き、やがて吐出口(25)と連通する。このように、圧縮室(23)の吐出側端部が開口すると、圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ高圧ガス冷媒が吐出される(吐出行程、図7を参照)。なお、ここでいう「圧縮室(23)」は、図5〜図7にハッチングで示すものである。
−製造方法−
次に、上記シングルスクリュー圧縮機(1)の製造方法について、図8を参照しながら説明する。
このシングルスクリュー圧縮機(1)製造する場合、図8に示すように、まず鋳造工程(ST1)を行い、少なくとも一部が円筒壁(30)となる鋳造体を鋳造により形成する。すなわち、鋳造体は後にケーシング(10)を構成することとなる。
次に、粗加工工程(ST2)を行い、上記鋳造体を粗加工することにより、鋳造体に形成されている不要な突部等を除去する。
次に、予備加圧工程(ST3)を行い、仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える。ケーシング(10)内を加圧すれば、円筒壁(30)の内部だけでなく、低圧空間(S1)及び高圧空間(S2)になる空間を含むケーシング(10)内の全てが加圧される。このとき加える圧力は、後の耐圧試験工程(ST5)で円筒壁(30)内に加える試験圧力以上の圧力とする。試験圧力は、法規(冷凍保安規則関係例示基準)によって設計圧力の1.5倍以上とすることが規定されている。したがって、この予備加圧工程では、設計圧力の1.5倍の圧力で円筒壁(30)内を加圧する。尚、当該圧力は、設計圧力の1.5倍以上としてもよい。
さらに、この予備加圧工程(ST3)では、円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返す。例えば、加圧時には、設計圧力の1.5倍の圧力を一定時間加える。その後、減圧時には、円筒壁(30)内を減圧して一定時間大気圧にする。
このことにより、加圧された円筒壁(30)にはひずみが発生し、円筒壁(30)の材料の降伏応力を超えることにより、永久ひずみが生じて円筒壁(30)に変形が残る。すなわち、円筒壁(30)における軸心方向に垂直な断面の内面形状(以下、ケーシングボアと称する)は、鋳造当初の円状から楕円状に拡がって変形する。一方、この仕上げ加工される前の円筒壁(30)は、ひずみ硬化が生じることによって、その降伏応力が高められることとなる。
次に、仕上げ工程(ST4)を行い、上記鋳造体を機械加工により仕上げ加工して円筒壁(30)を形成する。このことにより、予備加圧工程(ST3)で生じた永久ひずみによる円筒壁(30)の変形量を低減させ、ケーシングボアが真円に近い形状となるようにする。
次に、耐圧試験工程(ST5)を行い、仕上げ加工された円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい試験圧力(例えば設計圧力の1.5倍の圧力)を加える。円筒壁(30)には、内部が再度加圧されることによりひずみが生じ得るが、予備加圧工程(ST3)で生じさせたひずみ硬化によって円筒壁(30)の降伏応力が高められているため、この耐圧試験工程(ST5)の加圧による円筒壁(30)の変化量は低減される。その結果、スクリューロータ(40)と円筒壁(30)との隙間の不均一さが低減され、スクリュー圧縮機(1)の性能が向上することとなる。以上の各工程を行ってスクリュー圧縮機(1)を製造する。
ここで、予備加圧工程(ST3)後、仕上げ工程(ST4)後、及び耐圧試験工程(ST5)後の上記円筒壁(30)におけるケーシングボアをそれぞれ実際に測定した実施例について説明する。図9〜図11では、円筒壁(30)の軸心からその内壁面までの距離を内周方向の複数点で測定し、◆印でプロットして示している。
予備加圧工程(ST3)後には、図9に示すように、同図で略上下方向に大きく拡がる楕円状に変形していることがわかる。このときの真円度を1.0とする。
仕上げ工程(ST4)後には、図10に示すように、略真円状に仕上げ加工されていることが分かる。このときの真円度は、0.30であった。
耐圧試験工程(ST5)後には、図11に示すように、同図で略上下方向に僅かに拡がる楕円状にやや変形していることがわかる。このときの真円度は、0.37であった。
したがって、本実施形態によれば、耐圧試験工程(ST5)後のケーシングボアは、高い真円度に維持されていることが確認された。
−実施形態の効果−
ところで、仮に、上述の予備加圧工程(ST3)を行わないとすれば、スクリュー圧縮機は、鋳造工程、粗加工工程、仕上げ工程、及び耐圧試験工程を順に経て製造されるが、その最終の耐圧試験工程において円筒壁(30)に比較的大きな永久ひずみが生じてしまう。したがって、仕上げ工程において円筒壁(30)のケーシングボアを高精度に真円状に形成したとしても、耐圧試験を行った後には、図2に2点鎖線Aで示すように、当該ケーシングボアが楕円状に大きく変形してしまう。
特に、スクリュー圧縮機(1)の円筒壁(30)は、ゲートロータ(50)の平歯(51)が貫通するように開口されて剛性が比較的低いことから、耐圧試験の加圧によって比較的変形し易くなっている。
これに対し、本実施形態によれば、仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える予備加圧工程(ST3)を行うようにしたので、円筒壁(30)の材料に予めひずみ硬化を生じさせてその降伏応力を高めることができ、耐圧試験工程(ST5)の加圧による円筒壁(30)の変形を抑制することができる。また、予備加圧工程(ST3)で生じた円筒壁(30)の変形は、その後の仕上げ加工で適切に減少させて、ケーシングボアを真円に近い形状に形成することができる。その結果、耐圧試験後における円筒壁(30)の変形量を低減できるため、スクリューロータ(40)と円筒壁(30)との隙間の不均一さを低減して、スクリュー圧縮機(1)の性能を飛躍的に向上させることができる。
さらに、本実施形態では、予備加圧工程(ST3)において、円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返すようにしたので、円筒壁(30)のひずみ硬化を確実に生じさせることができる。
さらにまた、予備加圧工程(ST3)において、設計圧力よりも高い1.5倍の十分に高い圧力で円筒壁(30)の内部を加圧するようにしたので、予め円筒壁(30)に十分なひずみ硬化を生じさせることができ、耐圧試験工程において円筒壁(30)の変形をより好適に抑制することができる。また、予備加圧工程(ST3)の前に粗加工工程(ST2)を行うようにしたので、仕上げ加工を容易且つ高精度に行うことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、スクリュー圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、ケーシング内に設けられた略円筒状の円筒壁と、該円筒壁の内部で回転する回転体とを有し、その回転体が回転することにより円筒壁の内部で流体を圧縮する圧縮機の製造方法についても、同様に適用することができる。したがって、例えば、回転体としてのインペラを有するターボ圧縮機等の他の圧縮機を製造する方法についても、本発明を適用できる。
また、上記実施形態では、予備加圧工程(ST3)において円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返すようにしたが、本発明はこれに限らず、円筒壁(30)内の加圧が1回であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、円筒壁の内部で回転体が回転することで流体を圧縮する圧縮機の製造方法について有用である。
図1は、実施形態に係るシングルスクリュー圧縮機の要部の構成を示す縦断面図である。 図2は、図1のII−II線における横断面図である。 図3は、実施形態に係るスクリューロータおよびゲートロータの構成を示す平面図である。 図4は、実施形態に係るスクリューロータおよびゲートロータの構成を吐出側端部から視た斜視図である。 図5は、実施形態に係る圧縮機構の吸込行程を示す斜視図である。 図6は、実施形態に係る圧縮機構の圧縮行程を示す斜視図である。 図7は、実施形態に係る圧縮機構の吐出行程を示す斜視図である。 図8は、実施形態に係る圧縮機の製造工程を示すフローチャートである。 図9は、予備加圧工程後におけるケーシングボアの測定結果を示すグラフである。 図10は、仕上げ工程後におけるケーシングボアの測定結果を示すグラフである。 図11は、耐圧試験工程後におけるケーシングボアの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
ST1 鋳造工程
ST2 粗加工工程
ST3 予備加圧工程
ST4 仕上げ工程
ST5 耐圧試験工程
1 シングルスクリュー圧縮機
10 ケーシング
30 円筒壁
40 スクリューロータ(回転体)
41 歯溝
50 ゲートロータ

Claims (6)

  1. ケーシング(10)内に設けられた略円筒状の円筒壁(30)と、該円筒壁(30)の内部で回転する回転体(40)とを有し、上記回転体(40)が回転することにより上記円筒壁(30)の内部で流体を圧縮する圧縮機を製造する方法であって、
    少なくとも一部が上記円筒壁(30)となる鋳造体を形成する鋳造工程(ST1)と、
    上記鋳造体を仕上げ加工して上記円筒壁(30)を形成する仕上げ工程(ST4)と、
    仕上げ加工された上記円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい試験圧力を加える耐圧試験工程(ST5)と有し、
    仕上げ加工される前の円筒壁(30)の内部に設計圧力よりも大きい圧力を加える予備加圧工程(ST3)を有している
    ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  2. 請求項1に記載された圧縮機の製造方法において、
    上記予備加圧工程(ST3)では、上記円筒壁(30)の内部の加圧と減圧とを複数回繰り返す
    ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  3. 請求項1に記載された圧縮機の製造方法において、
    上記予備加圧工程(ST3)では、上記設計圧力の1.5倍以上の圧力で上記円筒壁(30)内を加圧する
    ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  4. 請求項1に記載された圧縮機の製造方法において、
    上記予備加圧工程(ST3)では、上記試験圧力以上の圧力で上記円筒壁(30)内を加圧する
    ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  5. 請求項1に記載された圧縮機の製造方法において、
    上記予備加圧工程(ST3)の前に上記鋳造体を粗加工する粗加工工程(ST2)を有している
    ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  6. 請求項1に記載された圧縮機の製造方法において、
    上記回転体(40)は、上記円筒壁(30)に回転可能に嵌合すると共に外周面に螺旋状の歯溝(41)を有するスクリューロータ(40)であり、
    上記圧縮機は、上記円筒壁(30)を貫通して上記スクリューロータ(40)の歯溝(41)と噛み合うゲートロータ(50)を備えている
    ことを特徴とする圧縮機の製造方法。
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