JP2011190777A - シングルスクリュー圧縮機及びこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置 - Google Patents

シングルスクリュー圧縮機及びこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小型・軽量化できるとともに、組立作業性の良いシングルスクリュー圧縮機を得る。
【解決手段】シングルスクリュー圧縮機70は、スクリューローター1と、スクリューローター1に係合された1つのゲートローター2bと、スクリュー軸4を介してスクリューローター1に接続された電動機(電動機ローター5及び電動機ステーター6)と、スクリューローター1及びゲートローター2bが収容された主ケーシング7を備えたケーシング部と、スクリューローター1、ゲートローター2b及び主ケーシング7で区画された圧縮室41より吐出された冷媒から油を分離する油分離器21と、を有し、油分離器21は、主ケーシング7に設けられ、かつ、スクリュー軸4の軸心に対してゲートローター2bとは反対側となる位置に配置されているものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、シングルスクリュー圧縮機及びこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置に関し、特に圧縮機本体に油分離器を備えたシングルスクリュー圧縮機及びこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置に関する。
従来より、圧縮機本体に油分離器を備えたシングルスクリュー圧縮機が提案されており、1つのスクリューローターに2つのゲートローターが係合されたもの(例えば特許文献1参照)や、1つのスクリューローターに1つのゲートローターが係合されたもの(例えば特許文献2参照)が提案されている。このような圧縮機本体に油分離器を備えたシングルスクリュー圧縮機は、スクリューローターに接続された回転軸の延長線上に油分離器が配置されている。つまり、このような圧縮機本体に油分離器を備えたシングルスクリュー圧縮機は、スクリューローター及びゲートローダーが収納された主ケーシングの吐出側端部に吐出側カバーを設け、この吐出側カバーに油分離器を設けている。
特開平6−42474号公報(段落0008〜0010、図3) 特開平6−42475号公報(段落0009、図3)
上述のように、圧縮機本体に油分離器を備えた従来のシングルスクリュー圧縮機は、吐出側カバーに油分離器を設けている。このため、吐出側カバーが大きくかつ重くなってしまう。したがって、シングルスクリュー圧縮機が重くなってしまうという問題点があった。また、シングルスクリュー圧縮機が大型となってしまい、シングルスクリュー圧縮機の組立作業性が悪くなってしまうという問題点があった。また、シングルスクリュー圧縮機が重くなってしまうことにより、シングルスクリュー圧縮機やこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置を運搬する際、多量の二酸化炭素を排出してしまうという問題点があった。さらに、吐出側カバーが大きくかつ重くなってしまうため、吐出側カバーの鋳造工程における消費エネルギーが大きくなってしまい、鋳造工程における二酸化炭素の排出量が増加してしまうという問題点があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、小型・軽量化できるとともに、組立作業性の良いシングルスクリュー圧縮機及びこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。また、製造・輸送における消費エネルギーを低減させ、製造工程・物流工程における二酸化炭素の排出量を低減させることができるシングルスクリュー圧縮機及びこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
この発明に係るシングルスクリュー圧縮機は、外周部にスクリュー溝が形成されたスクリューローターと、外周部に複数の歯部が形成され、これら歯部がスクリューローターのスクリュー溝に係合された1つのゲートローターと、回転軸を介してスクリューローターに接続された電動機と、スクリューローター及びゲートローターが収容された主ケーシングを備えたケーシング部と、スクリューローター、ゲートローター及び主ケーシングで区画された圧縮室より吐出された冷媒から油を分離する油分離器と、を有し、油分離器は、主ケーシングに設けられ、かつ、回転軸の軸心に対してゲートローターとは反対側となる位置に配置されているものである。
また、この発明に係る冷凍サイクル装置は、この発明に係るシングルスクリュー圧縮機を搭載し、この圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器が配管接続されて冷凍サイクル回路を構成するものである。
この発明に係るシングルスクリュー圧縮機においては、油分離器は、主ケーシングに設けられ、かつ、回転軸の軸心に対してゲートローターとは反対側となる位置に配置されている。換言すると、この発明に係るシングルスクリュー圧縮機は、2つのゲートローターを備えた従来のシングルスクリューローターの一方のゲートローターの位置に、油分離器が配置されていた構成となっている。このため、吐出側カバーを従来よりも小さく軽量に形成することができる。また、油分離器を吐出側カバーへ取り付けるための部品を削減することもできる。したがって、シングルスクリュー圧縮機を軽量化することができる。つまり、このシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置を軽量化することもできる。
また、シングルスクリュー圧縮機を小型化することにより、シングルスクリュー圧縮機の組立作業性を向上させることができる。また、シングルスクリュー圧縮機を軽量化できることにより、シングルスクリュー圧縮機やこのシングルスクリュー圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置を運搬する際、二酸化炭素の排出量を従来よりも低減することができる。さらに、吐出側カバーを従来よりも小型・軽量化できるため、吐出側カバーの鋳造工程における消費エネルギーを抑制し、鋳造工程における二酸化炭素の排出量を低減することができる。
この発明の実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機のスクリュー平面断面模式図である。 この発明の実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機におけるスクリューローター近傍の縦断面模式図である。 この発明の実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機の圧縮室近傍を示した縦断面模式図である。 従来のシングルスクリュー圧縮機の一例を示す断面模式図である。 従来のシングルスクリュー圧縮機の一例におけるスクリューローター近傍の縦断面模式図である。 この発明の実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機のスクリュー平面断面模式図である。 この発明の実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機におけるスクリューローター近傍の縦断面模式図である。 この発明の実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機における圧縮室近傍の一例を示した縦断面模式図である。 この発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置が構成する冷凍サイクル回路の一例を示す冷媒回路図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機の平面断面模式図である。また、図2は、このシングルスクリュー圧縮機におけるスクリューローター近傍の縦断面模式図である。より詳しくは、図1は、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70をスクリュー軸4の軸方向に切断した断面模式図であり、平面図となっている。また、図2は、図1のZ−Z位置でシングルスクリュー圧縮機70を切断した断面模式図であり、側面図となっている。
以下、これら図1及び図2を用いて、この発明の実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70について説明する。なお、便宜上、吐出側カバー31側からシングルスクリュー圧縮機70を見た際、シングルスクリュー圧縮機70の右側(図1における下側)をA側とし、シングルスクリュー圧縮機70の左側(図1における上側)をB側と称する。
実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70のケーシングは、主ケーシング7、主ケーシング7の吐出側端部に設けられた吐出側カバー31、及び主ケーシング7の吸入側端部に設けられた吸入側ケーシング51等から構成されている。
主ケーシング7の内部には、スクリューローター1、ゲートローター2b、電動機(電動機ローター5、電動機ステーター6)、及び油分離器21等が収容されている。
スクリューローター1は、その外周部にスクリュー溝が形成されており、主ケーシング7の吐出側に設けられている。また、スクリューローター1の外周部には、圧縮室41から冷媒が吐出する際の吐出口となるスライドバルブ10bが設けられている(圧縮室41については後述する)。
電動機(電動機ローター5、電動機ステーター6)は、主ケーシング7の吸入側に設けられている。そして、スクリューローター1と電動機の電動機ローター5とは、回転軸であるスクリュー軸4で接続されている。スクリューローター1及びスクリュー軸4は、主軸受8及び副軸受9によって回転自在に支持されている。
ゲートローター2bは、主ケーシング7のB側(より詳しくはスクリューローター1のB側)に設けられている。ゲートローター2bの外周部には複数の歯部が形成されており、これらの歯部はスクリューローター1のスクリュー溝に係合される。ゲートローター2bには回転軸となるゲートローターサポート3bが突設されている。ゲートローターサポート3bの両端部は、主ケーシング7に設けられた軸受によって回転自在に支持されている。つまり、これら軸受及びゲートローターサポート3bも主ケーシング7に収容されている。
このようにスクリューローター1及びゲートローター2bが主ケーシング7に収容されることで、図3に示すように、スクリューローター1、ゲートローター2b及び主ケーシング7の内周部によって圧縮室41が区画される。
油分離器21は、主ケーシング7のA側(より詳しくはスクリューローター1のA側)に設けられている。つまり、油分離器21は、スクリュー軸4の軸心に対して、ゲートローター2bと反対側となる位置に設けられている。また、実施の形態1では、油分離器21とゲートローター2bとは、スクリュー軸4の軸心に対して、おおよそ軸対称となる位置に設けられている。
この油分離器21は、遠心分離式の油分離器であり、外壁部22及び内筒23等から構成されている。外壁部22は、その内部に略円筒形状の空洞が形成されており、主ケーシング7とを一体で形成されている。外壁部22及び主ケーシング7は、例えば鋳造によって形成される。この外壁部22の内部に形成された空洞は、吐出し通路30を介して、主ケーシング7内の吐出側空間(スクリューローター1と吐出側カバー31との間に形成された空間)と連通している。つまり、圧縮室41から吐出された冷媒を油分離器21に導く流路は、平面視(図1)においてA側に(油分離器21へ向かって)曲がるように形成されている。
また、外壁部22の内部に形成された空洞には、その上部に内筒23が設けられている。この内筒23は吐出口24と連通しており、吐出口24には逆止弁14が設けられている。逆止弁14は、外壁部22の内部から吐出口24を介して吐出される冷媒の流れを許容している。つまり、逆止弁14は、吐出口24から外壁部22の内部へ冷媒が流入することを規制している。
また、外壁部22の内部に形成された空洞は、その下部が外壁部22の下方に形成された油貯留部25と連通している。油貯留部25に貯留されている油は、給油路(図示せず)を通って、主軸受8や副軸受9等に供給される。
主ケーシング7の吸入側端部に設けられた吸入側ケーシング51には、吸込口52が形成されている。この吸込口52には、ストレーナー16が設けられている。
このように構成されたシングルスクリュー圧縮機70には、以下のように冷媒が流れて圧縮される。電力供給源(図示せず)から電動機ステーター6へ電力供給されることにより、電動機ローター5、スクリュー軸4及びスクリューローター1が回転する。また、スクリューローター1に係合されたゲートローター2bも回転する。これにより、冷媒ガスは、ストレーナー16(吸込口52)を通り、シングルスクリュー圧縮機70へ吸入される。この冷媒ガスは、電動機ステーター6と電動機ローター5とのエアギャップと呼ばれる隙間や電動機ステーター6の外周部と主ケーシング7との間に形成された通路を通り、圧縮室41に吸入される。このとき、副軸受9等に供給された油が冷媒ガスに混入する。
圧縮室41に吸入された冷媒ガス及び油は、スクリューローター1の回転に伴って圧縮され、スライドバルブ10bを介して主ケーシング7内の吐出側空間(スクリューローター1と吐出側カバー31との間に形成された空間)へ吐出される。このとき、圧縮室41に吸入された油によって圧縮室41のシール性が向上する。
実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70は、図3で見た場合、時計回りにスクリューローター1が回転する。このため、圧縮室41は、スクリューローター1の下部側に形成される。したがって、圧縮室41での冷媒圧縮過程において、圧縮室41(換言すると、スクリューローター1及びスクリュー軸4)には、図3の矢印方向に圧縮荷重Xが作用する。図3からわかるように、この圧縮荷重Xは、スクリュー軸4に作用するスクリューローター1及びスクリュー軸の自重(以下、軸自重Yという)を減殺する方向に作用する。つまり、圧縮荷重Xは、スクリュー軸4のたわみを減少させる方向に作用する。このため、スクリューローター1と主ケーシング7との間の隙間を小さく形成することができる。したがって、運転時における消費エネルギーを低減することが可能となる。
主ケーシング7内の吐出側空間(スクリューローター1と吐出側カバー31との間に形成された空間)へ吐出された冷媒ガス及び油は、吐出し通路30を通って、油分離器21(より詳しくは、外壁部22内の空洞)へ流入する。ここで、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70は、1つの吐出口(スライドバルブ10b)から冷媒ガス及び油が吐出される構成となっている。このため、圧縮室41から油分離器21への冷媒流路を簡素な形状に形成することができる。
外壁部22内の空洞へ流入した冷媒ガス及び油は、内周部の壁面に沿って旋回する。実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70では、図1で見た場合、時計回りに冷媒ガス及び油が旋回する。冷媒ガス及び油に遠心力が作用した際、密度の差から、油は冷媒ガスよりも直線運動しやすい。このため、冷媒ガス及び油が旋回する過程で、油は次第に外壁部22の内周壁に付着する。これにより、冷媒ガスと油が分離される。外壁部22の内周壁に付着した油は、壁面を伝って油貯留部25に貯えられる。一方、油と分離された冷媒ガスは、吐出口24及び逆止弁14を通って、シングルスクリュー圧縮機70の外部へ吐出される。
ここで、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70と従来のシングルスクリュー圧縮機との差異点について説明する。実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70が従来のシングルスクリュー圧縮機と最も異なる点は、油分離器21の配置位置である。この差異点の理解を容易とするため、以下に、従来のシングルスクリュー圧縮機の一例を説明する。なお、以下では、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70と従来のシングルスクリュー圧縮機170との差異点を中心に説明する。また、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図4は、従来のシングルスクリュー圧縮機の一例を示す断面模式図である。また、図5は、従来のシングルスクリュー圧縮機の一例におけるスクリューローター近傍の縦断面模式図である。より詳しくは、図4では、二点鎖線より右側(C側)に、従来のシングルスクリュー圧縮機170をスクリュー軸4の軸方向に切断した平面図を示している。また、二点鎖線より左側(D側)に、従来のシングルスクリュー圧縮機170をスクリュー軸4の軸方向に切断した側面図を示している。また、図5は、図4のY−Y位置で従来のシングルスクリュー圧縮機170を切断した側面図を示している。
従来のシングルスクリュー圧縮機170の主ケーシング7の内部には、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70と同様に、ゲートローター2bが収容されている。また、従来のシングルスクリュー圧縮機170には、A側にもゲートローター(ゲートローター2a)が収容されている。つまり、従来のシングルスクリュー圧縮機170の主ケーシング7の内部には、2つのゲートローター2a,2bが収容されている。
ゲートローター2aは、主ケーシング7のA側(より詳しくはスクリューローター1のA側)に設けられている。ゲートローター2aの外周部には複数の歯部が形成されており、これらの歯部はスクリューローター1のスクリュー溝に係合される。ゲートローター2aには回転軸となるゲートローターサポート3aが突設されている。ゲートローターサポート3aの両端部は、主ケーシング7に設けられた軸受によって回転自在に支持されている。つまり、これら軸受及びゲートローターサポート3bも主ケーシング7に収容されている。
このようにスクリューローター1及びゲートローター2a,2bが主ケーシング7に収容されることで、従来のシングルスクリュー圧縮機170には、2つの圧縮室が区画される。なお、従来のシングルスクリュー圧縮機170のスクリューローター1の外周部には、スライドバルブ10bに加え、ゲートローター2a側で形成される圧縮室から冷媒を吐出する際の吐出口となるスライドバルブ10aも設けられている。
また、従来のシングルスクリュー圧縮機は、主ケーシングの吐出側端部に設けられた吐出側カバーに油分離器が設けられている。つまり、従来のシングルスクリュー圧縮機は、スクリューローターに接続された回転軸の延長線上に油分離器が配置されている。図4で示す従来のシングルスクリュー圧縮機170は、油分離器内蔵吐出側カバー11となっている。このため、油分離器内蔵吐出側カバー11が大きくかつ重くなってしまう。したがって、従来のシングルスクリュー圧縮機170も重くなってしまう。また、従来のシングルスクリュー圧縮機170が大型化してしまい、従来のシングルスクリュー圧縮機170の組立作業性が悪くなってしまう。また、従来のシングルスクリュー圧縮機170が重くなってしまうことにより、従来のシングルスクリュー圧縮機170やこのシングルスクリュー圧縮機170を搭載した冷凍サイクル装置を運搬する際、多量の二酸化炭素を排出してしまうという。さらに、油分離器内蔵吐出側カバー11が大きくかつ重くなってしまうため、油分離器内蔵吐出側カバー11の鋳造工程における消費エネルギーが大きくなってしまい、鋳造工程における二酸化炭素の排出量が増加してしまう。
油分離器内蔵吐出側カバー11に内蔵された油分離器は、第1デミスター12、第2デミスター13及び油ストレーナー15を備えている。圧縮室で圧縮された冷媒ガス及び油は、スライドバルブ10a,10bのそれぞれから吐出され、合流しながら油分離器内蔵吐出側カバー11内に流入する。このため、従来のシングルスクリュー圧縮機170は、圧縮室から油分離器への冷媒流路が複雑になってしまう。油分離器内蔵吐出側カバー11内に流入した冷媒ガス及び油は、第1デミスター12や第2デミスター13を通過する過程で冷媒ガスと油とに分離される。第1デミスター12や第2デミスター13で油と分離された冷媒ガスは、逆止弁14を通って、従来のシングルスクリュー圧縮機170から吐出される。一方、第1デミスター12や第2デミスター13で冷媒ガスと分離された油は、油分離器内蔵吐出側カバー11の下部に貯留される。そして、この油は、油ストレーナー15を通過し、給油路(図示せず)を通って、圧縮室や軸受(主軸受8や副軸受9等)等に供給される。
つまり、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70は、従来のシングルスクリュー圧縮機170のゲートローター2aの位置に油分離器21を配置した構成となっている。このため、吐出側カバー31を、従来の油分離器内蔵吐出側カバー11も小さく軽量に形成することができる。したがって、シングルスクリュー圧縮機70を小型化することができる。そして、シングルスクリュー圧縮機70を小型化することにより、シングルスクリュー圧縮機70の組立作業性を向上させることができる。
また、油分離器21を主ケーシング7に設けたので、吐出側カバー31の質量が軽くなり、油分離器21を吐出側カバー31に取り付けるための部品を削減できる。このため、シングルスクリュー圧縮機70の質量を軽量化することができる。したがって、シングルスクリュー圧縮機70の運搬作業性が向上し、二酸化炭素の排出量を従来よりも低減することができる。
さらに、吐出側カバー31を従来よりも小型・軽量化できるため、吐出側カバー31の鋳造工程における消費エネルギーを抑制し、鋳造工程における二酸化炭素の排出量を低減することもできる。
また、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70は、油分離器21とゲートローター2bとは、スクリュー軸4の軸心に対して、おおよそ軸対称となる位置に設けられている。このため、シングルスクリュー圧縮機70の質量バランスが良くなり、シングルスクリュー圧縮機70の重心位置がスクリュー軸4の軸心から大きく外れることがない。したがって、シングルスクリュー圧縮機70の運搬作業性をより向上させることができる。
なお、圧縮室41から油分離器21への冷媒流路を平面視(図1)においてA側に(油分離器21へ向かって)曲がるように形成することにより、油分離器21とゲートローター2bとを、スクリュー軸4の軸心に対しておおよそ軸対称となる位置に設けることができる。
また、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70は、圧縮室41から油分離器21への冷媒流路を簡素な形状に形成することができる。このため、冷媒ガスの圧縮に要する動力、すなわちシングルスクリュー圧縮機70の消費電力を低減することができる。
これらの結果、シングルスクリュー圧縮機70は、従来のゲートローターを2つ有するシングルスクリュー圧縮機170に比べ、鋳造に要するエネルギーの低減、物流(運搬作業)における消費エネルギーの低減、運転時の消費電力の低減、という効果を得ることができる。つまり、シングルスクリュー圧縮機70は、製造・物流・運転のトータルにおける消費エネルギーの低減を図ることができ、製品寿命における二酸化炭素排出量の低減が可能となる。
実施の形態2.
実施の形態1ではB側にゲートローターを配置したが、A側にゲートローターを配置しても本発明を実施することができる。なお、実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図6は、この発明の実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機の平面断面模式図である。また、図7は、このシングルスクリュー圧縮機におけるスクリューローター近傍の縦断面模式図である。より詳しくは、図6は、実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機71をスクリュー軸4の軸方向に切断した断面模式図であり、平面図となっている。また、図7は、図6のX−X位置でシングルスクリュー圧縮機71を切断した断面模式図であり、側面図となっている。
実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機71は、A側にゲートローター2aを設け、B側に油分離器21を設けている。つまり、スクリューローター1、ゲートローター2a及び主ケーシング7の内周部によって圧縮室41が区画される。このため、スクリューローター1の外周部には、圧縮室41から冷媒が吐出する際の吐出口となるスライドバルブ10aが設けられている。また、圧縮室41から油分離器21への冷媒流路を、平面視(図6)においてB側に(油分離器21へ向かって)曲がるように形成している。
つまり、実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機71は、従来のシングルスクリュー圧縮機170のゲートローター2bの位置に油分離器21を配置した構成となっている。換言すると、シングルスクリュー圧縮機71は、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70のゲートローターの位置と油分離器21の位置を逆にした構成となっている。
なお、シングルスクリュー圧縮機71において、スクリューローター1の回転方向を実施の形態1と同じとした場合、圧縮室41は図8(a)のように形成される。スクリューローター1の回転方向を実施の形態1と同じとした場合、図8(a)では時計回りにスクリューローター1が回転する。このため、圧縮室41は、スクリューローター1の上部側に形成される。したがって、圧縮室41での冷媒圧縮過程において、圧縮室41(換言すると、スクリューローター1及びスクリュー軸4)には、図8(a)の矢印方向に圧縮荷重Xが作用する。
図8(a)からわかるように、この圧縮荷重Xは、軸自重Yとおおよそ同一の方向に作用する。つまり、圧縮荷重Xは、スクリュー軸4のたわみを増加させる方向に作用する。このため、スクリューローター1と主ケーシング7との間に形成される隙間が小さいと、スクリューローター1と主ケーシング7との干渉が懸念される。スクリューローター1と主ケーシング7との干渉を防止するには両者の間に形成される隙間を大きくすればよいが、この隙間を大きくすると、運転時における消費エネルギーが増大してしまう。したがって、実施の形態1と同様に運転時の消費エネルギーを低減させるためには、スクリューローター1の回転方向を逆にし、ゲートローター2a・ゲートローターサポート3aを図8(b)のように逆さまに配置するとよい。
以上、このように構成されたシングルスクリュー圧縮機71においても、実施の形態1と全く同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態1又は実施の形態2に係るシングルスクリュー圧縮機は、例えば以下のような冷凍サイクル装置に搭載される。なお、以下では、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70を冷凍サイクル装置に搭載した場合について説明する。
図9は、この発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置が構成する冷凍サイクル回路の一例を示す冷媒回路図である。
冷凍サイクル回路100は、シングルスクリュー圧縮機70、放熱器75、減圧装置76及び蒸発器77が、順次配管接続されて構成されている。この冷凍サイクル回路100は、空気調和装置、冷凍機又は貯湯装置等の冷凍サイクル装置に用いられる。なお、冷凍サイクル装置には、少なくともシングルスクリュー圧縮機70が搭載されていればよい。例えば、冷凍サイクル回路100を冷凍機に用いる場合、シングルスクリュー圧縮機70及び放熱器75を冷凍機に搭載し、減圧装置76及び蒸発器77をユニットクーラーやショーケース等の利用ユニットに搭載してもよい。
このような冷凍サイクル回路100は、次のように動作する。
シングルスクリュー圧縮機70で圧縮された冷媒は、放熱器75に流入する。放熱器75に流入した冷媒は、熱交換対象により冷却され、減圧装置76に流入する。例えば、冷凍サイクル回路100を空気調和機に用いる場合、冷房運転においては外気が熱交換対象となり、暖房運転においては空気調和空間の空気が熱交換対象となる。また例えば、冷凍サイクル回路100を冷凍機に用いる場合、外気が熱交換対象となる。また例えば、冷凍サイクル回路100を貯湯装置に用いる場合、貯湯タンクに貯湯される水が熱交換対象となる。
なお、放熱過程において臨界圧力以下で動作する冷媒は放熱過程で凝縮するため、放熱過程に用いられる熱交換器を凝縮器と称する場合がある。実施の形態3では、冷媒の種類にかかわらず、放熱過程に用いられる熱交換器を「放熱器」と称する。
減圧装置76に流入した冷媒は、減圧されて蒸発器77へ流入する。蒸発器77へ流入した冷媒は、熱交換対象により加熱され、シングルスクリュー圧縮機70に吸入される。例えば、冷凍サイクル回路100を空気調和機に用いる場合、冷房運転においては空気調和空間の空気が熱交換対象となり、暖房運転においては外気が熱交換対象となる。また例えば、冷凍サイクル回路100を冷凍機に用いる場合、利用ユニットを流れる二次側冷媒や利用ユニット内の空気が熱交換対象となる。また例えば、冷凍サイクル回路100を貯湯装置に用いる場合、外気が熱交換対象となる。
以上、このように構成された冷凍サイクル装置においては、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70を搭載しているので、実施の形態1に係るシングルスクリュー圧縮機70と同様の効果を得ることができる。つまり、このように構成された冷凍サイクル装置は、製造・物流・運転のトータルにおける消費エネルギーの低減が可能となる。
1 スクリューローター、2a ゲートローター、2b ゲートローター、3a ゲートローターサポート、3b ゲートローターサポート、4 スクリュー軸、5 電動機ローター、6 電動機ステーター、7 主ケーシング、8 主軸受、9 副軸受、10a スライドバルブ、10b スライドバルブ、11 油分離器内蔵吐出側カバー、12 第1デミスター、13 第2デミスター、14 逆止弁、15 油ストレーナー、16 ストレーナー、21 油分離器、22 外壁部、23 内筒、24 吐出口、25 油貯留部、30 吐出し通路、31 吐出側カバー、41 圧縮室、51 吸入側ケーシング、52 吸込口、70,71 シングルスクリュー圧縮機、75 放熱器、76 減圧装置、77 蒸発器、100 冷凍サイクル回路、170 シングルスクリュー圧縮機(従来)、X 圧縮荷重、Y 軸自重。

Claims (6)

  1. 外周部にスクリュー溝が形成されたスクリューローターと、
    外周部に複数の歯部が形成され、これら歯部が前記スクリューローターの前記スクリュー溝に係合された1つのゲートローターと、
    回転軸を介して前記スクリューローターに接続された電動機と、
    前記スクリューローター及び前記ゲートローターが収容された主ケーシングを備えたケーシング部と、
    前記スクリューローター、前記ゲートローター及び前記主ケーシングで区画された圧縮室より吐出された冷媒から油を分離する油分離器と、
    を有し、
    前記油分離器は、
    前記主ケーシングに設けられ、かつ、前記回転軸の軸心に対して前記ゲートローターとは反対側となる位置に配置されていることを特徴とするシングルスクリュー圧縮機。
  2. 前記圧縮室に作用する圧縮荷重と前記回転軸の自重とが互いに減殺しあう位置に前記圧縮室が形成されるように、前記ゲートローターが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシングルスクリュー圧縮機。
  3. 前記油分離器の外壁部は、鋳物製の前記主ケーシングと一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシングルスクリュー圧縮機。
  4. 前記油分離器と前記ゲートローターは、前記回転軸の軸心に対しておおよそ軸対称となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のシングルスクリュー圧縮機。
  5. 前記圧縮室から吐出された冷媒を前記油分離器に導く流路は、
    平面視において、前記油分離器に向かって曲がるように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のシングルスクリュー圧縮機。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のシングルスクリュー圧縮機を少なくとも搭載し、
    該圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器が配管接続されて冷凍サイクル回路を構成することを特徴とする冷凍サイクル装置。
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