JP2016017438A - シングルスクリュー圧縮機 - Google Patents

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治則 宮村
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Abstract

【課題】シングルスクリュー圧縮機において、コストの増大や焼き付きを招くことなく、ゲートロータの強度を増大する。
【解決手段】各ゲート(51)を、該ゲート(51)が支持されるゲート支持部(57)に設けられた金属製の先端部(52)と、該先端部(52)のゲート軸(50a)側に設けられて基部(59)と一体に形成された樹脂製の根元部(53)とによって構成する。また、各ゲート(51)において、根元部(53)を先端部(52)よりも幅広に形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、シングルスクリュー圧縮機のゲートの変形防止策に関するものである。
従来、冷媒や空気等の流体を圧縮する圧縮機として、シングルスクリュー圧縮機が用いられている。例えば、特許文献1には、1つのスクリューロータと2つのゲートロータとを備えたシングルスクリュー圧縮機が開示されている。
上記シングルスクリュー圧縮機では、スクリューロータは、概ね円柱状に形成され、外周面に複数の螺旋溝が形成されてケーシングに収容されている。ゲートロータは、概ね平板状に形成され、複数の長方形板状のゲートが放射状に形成されている。また、ゲートロータは、スクリューロータの回転軸に垂直な平面内にあるゲート軸周りに回転自在に設けられ、ゲートの一部がスクリューロータの螺旋溝と噛み合うように、スクリューロータの側方に配置されている。一般的なシングルスクリュー圧縮機において、ゲートロータは、樹脂製の平板状に形成され、回転軸部を有する金属性の支持部材に取り付けられる。
上記シングルスクリュー圧縮機では、スクリューロータの螺旋溝と、ゲートロータのゲートと、ケーシングの内壁面とによって圧縮室が形成される。ケーシング内には、圧縮前の低圧の流体が導入される低圧空間と、圧縮後の高圧の流体が充満する高圧空間とが区画されている。低圧空間は螺旋溝の始端(吸入側の端部)に連通し、高圧空間は、螺旋溝の終端(吐出側の端部)に吐出ポートを介して連通している。
上記シングルスクリュー圧縮機において、スクリューロータを電動機等で回転駆動すると、スクリューロータの回転に伴ってゲートロータが回転する。このとき、螺旋溝に噛み合うゲートが、螺旋溝の始端から終端へ向かって相対的に移動し、閉じきり状態となった圧縮室の容積が次第に縮小する。その結果、圧縮室内の流体が圧縮される。
図10(A)に示すように、運転中のシングルスクリュー圧縮機では、螺旋溝(c)内のゲート(a)の前面側(螺旋溝の終端側)が圧縮行程の圧縮室となり、背面側(螺旋溝の始端側)が吸入行程の圧縮室となる。そして、螺旋溝(c)内のゲート(a)には、前面に圧縮行程の流体の圧力が作用し、背面に圧縮前の流体の圧力が作用する。従って、螺旋溝(c)内のゲート(a)には、該ゲート(a)を背面側へ押す方向に力が作用する。一方、各ゲート(a)は、背面側から支持部材(b)によって支持されている。そのため、運転中には、支持部材(b)によってゲート(a)を背面側へ押す力が受け止められる。
特開2004−324601号公報
上述のように、通常運転時には、螺旋溝(c)内においてゲート(a)に作用する力は、ゲート支持部(b)によって受け止められるため、ゲート(a)が変形しない。しかしながら、シングルスクリュー圧縮機の運転が急停止すると、螺旋溝(c)の始端と終端との圧力差によってスクリューロータが逆回転する。スクリューロータが逆回転すると、図10(B)に示すように、螺旋溝(c)とゲート(a)とケーシングの内壁面とで区画される空間が流体を膨張させる膨張室となる。そして、螺旋溝(c)内のゲート(a)には、前面に膨張した流体の圧力が作用し、背面に低圧空間の流体の圧力が作用する。そのため、膨張室内の圧力が低圧空間よりも低くなると、螺旋溝(c)内のゲート(a)には、該ゲート(a)を前面側へ押す方向に力が作用する(図10(B)参照)。このように、スクリューロータの逆回転時には、螺旋溝(c)内のゲート(a)が前面側へ反り返って破損するおそれがあった。
また、シングルスクリュー圧縮機を大型化する際に、単に、ゲートロータの径だけ大きくすると、ゲートロータに作用するモーメント荷重が大きくなるため、液圧縮時等の過大な荷重がゲートロータに作用する際に、螺旋溝(c)内のゲート(a)が破損してしまうおそれがあった。
これに対し、ゲートロータの厚みを増大することで強度を高めるという対策では、コストが高くなるという問題があった。また、ゲートロータを比較的安価で強度の高い金属で形成するという対策では、通常金属で形成されるスクリューロータとの金属接触によって焼き付くおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シングルスクリュー圧縮機において、コストの増大や焼き付きを招くことなく、ゲートロータの強度を増大することにある。
第1の発明は、ケーシング(10)と、上記ケーシング(10)に収容されて回転駆動されるスクリューロータ(40)と、扁平な環状に形成された樹脂製の基部(59)と、該基部(59)の外周縁から放射状に延び、一部が上記スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と噛み合わされる複数の平板状のゲート(51)とを有し、上記スクリューロータ(40)の回転に伴って該スクリューロータ(40)の回転軸に垂直な平面内にあるゲート軸(50a)周りに回転するゲートロータ(50)と、上記複数のゲート(51)の背面にそれぞれ接触して該ゲート(51)の背面に沿って放射状に延びる複数のゲート支持部(57)が形成され、上記ゲートロータ(50)と共に上記ゲート軸(50a)周りに回転して該ゲートロータ(50)を背面側から支持する金属製のゲートロータ支持部材(55)とを備え、上記スクリューロータ(40)と上記ケーシング(10)と上記ゲート(51)とによって区画された圧縮室(23)内の流体を圧縮するシングルスクリュー圧縮機であって、上記各ゲート(51)は、該ゲート(51)が支持される上記ゲート支持部(57)に対して移動不能に構成された金属製の先端部(52)と、該先端部(52)の上記ゲート軸(50a)側に設けられて上記基部(59)と一体に形成された樹脂製の根元部(53)とによって構成され、上記各ゲート(51)において、上記根元部(53)は上記先端部(52)よりも幅広に形成されている。
第1の発明では、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)にゲートロータ(50)のゲート(51)が噛み合わされる。スクリューロータ(40)が回転駆動されると、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)に噛み合ったゲートロータ(50)がスクリューロータ(40)の回転軸に垂直な平面内にあるゲート軸(50a)周りに回転し、圧縮室(23)内の流体が圧縮される。ゲートロータ(50)の各ゲート(51)の背面(51a)側にはゲートロータ支持部材(55)のゲート支持部(57)が配置され、各ゲート支持部(57)が対応するゲート(51)を支える。
また、第1の発明では、各ゲート(51)は、先端部(52)が、樹脂よりも強度が高く安価な金属によって形成され、ゲート支持部(57)に移動不能に構成されている。そのため、ゲート(51)を樹脂のみによって形成した場合に比べて、ゲート(51)の強度が高まり、ゲート(51)が変形し難くなる。
ところで、樹脂は、金属に比べて熱膨張率が高い。そのため、各ゲート(51)を樹脂のみによって形成すると、シングルスクリュー圧縮機の運転中に、各ゲート(51)が熱膨張によってスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面に押し付けられて摩耗するおそれがある。
しかしながら、第1の発明では、各ゲート(51)が、金属製の先端部(52)と、樹脂製の根元部(53)とによって構成されている。このように各ゲート(51)の一部を金属によって構成することにより、各ゲート(51)における樹脂部分の割合が低く抑えられる。これにより、シングルスクリュー圧縮機の運転中における各ゲート(51)の熱膨張量が、各ゲート(51)を樹脂によってのみ形成した場合に比べて低く抑えられる。よって、各ゲート(51)が、熱膨張によってスクリューロータ(40)に強く押し付けられることがない。
一方、上述のように、各ゲート(51)の先端部(52)を金属によって構成すると、該先端部(52)がスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面と当接して損傷するおそれがある。
そこで、第1の発明では、各ゲート(51)において、樹脂製の根元部(53)を金属製の先端部(52)よりも幅広に形成することとしている。これにより、金属製の先端部(52)よりも幅の広い樹脂製の根元部(53)が、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面に当接することにより、金属製の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との当接が回避される。
第2の発明は、第1の発明において、上記各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持する上記ゲート支持部(57)とは一体に形成されている。
第2の発明では、各ゲート(51)の金属製の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持する金属製のゲート支持部(57)とが、一体に形成されている。
第3の発明は、第1の発明において、上記各ゲート(51)の先端部(52)は、該ゲート(51)が支持される上記ゲート支持部(57)とは別体に構成され、該ゲート支持部(57)に固定されている。
第3の発明では、各ゲート(51)の金属製の先端部(52)は、該ゲート(51)を支持する金属製のゲート支持部(57)と別体に構成され、該ゲート支持部(57)に固定されている。
第4の発明は、第3の発明において、上記各ゲート(51)は、上記先端部(52)の基端部分が、上記根元部(53)の先端部分に上記ゲート支持部(57)とは反対側から覆い被さるように構成されている。
ところで、各ゲート(51)において、樹脂で構成された部分は、金属で構成された部分に比べてスクリューロータ(40)の逆回転時に変形し易い。
これに対し、第4の発明では、各ゲート(51)において、ゲート支持部(57)に固定された先端部(52)の基端部分が、根元部(53)の先端部分にゲート支持部(57)とは反対側から覆い被さっている。つまり、スクリューロータ(40)の逆回転時に変形し易い樹脂部分(即ち、根元部(53))が、ゲート支持部(57)に固定された金属部分(即ち、先端部(52))によってゲート支持部(57)に押さえ付けられている。そのため、ゲート(51)が前面側(ゲート支持部(57)とは反対側)へ反り返り難くなる。
第1の発明によれば、各ゲート(51)において、先端部(52)を、樹脂よりも強度が高く安価な金属によって形成することとした。そのため、ゲート(51)を樹脂のみによって形成した場合に比べて、コストを増大させることなく、ゲート(51)の強度を高めることができる。その結果、スクリューロータ(40)の逆回転時や液圧縮時に、螺旋溝(41)内のゲート(51)が変形したり破損したりするのを抑制することができる。
また、第1の発明によれば、各ゲート(51)を、金属製の先端部(52)と、樹脂製の根元部(53)とによって構成することとした。このように各ゲート(51)の一部を金属によって構成して、各ゲート(51)における樹脂部分の割合を低く抑えることにより、シングルスクリュー圧縮機の運転中における、各ゲート(51)の熱膨張量を低く抑えることができる。従って、各ゲート(51)が、熱膨張によってスクリューロータ(40)に強く押し付けられて摩耗することを回避することができる。また、各ゲート(51)とスクリューロータ(40)との摩擦熱によるスクリューロータ(40)の熱膨張を防止することができるため、スクリューロータ(40)とケーシング(10)の内壁面との焼き付きを防止することができる。
さらに、第1の発明によれば、各ゲート(51)において、樹脂製の根元部(53)を金属製の先端部(52)よりも幅広に形成することとしている。このような構成により、金属製の先端部(52)よりも幅の広い樹脂製の根元部(53)がスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面に当接するため、金属製の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との当接が回避される。よって、各ゲート(51)の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との焼き付きを防止することができる。
また、第2の発明によれば、各ゲート(51)の金属製の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持する金属製のゲート支持部(57)とを一体に形成することとした。これにより、従来、樹脂のみによって形成していた各ゲート(51)を、金属製の先端部(52)と、樹脂製の根元部(53)とによって構成することとしても、金属製の先端部(52)をゲート支持部(57)と一体に形成することで、ゲートロータ(50)を容易に形成することができる。
また、第3の発明によれば、各ゲート(51)の金属製の先端部(52)を、該ゲート(51)を支持する金属製のゲート支持部(57)と別体に構成し、該ゲート支持部(57)に固定することとしている。これにより、従来、樹脂のみによって形成していたゲートロータ(50)の一部を金属によって形成するだけで、ゲートロータ支持部材(55)の構成を変更することがないため、従来品から容易に設計変更を行うことができる。
また、第4の発明によれば、各ゲート(51)を、ゲート支持部(57)に固定された金属製の先端部(52)の基端部分が、樹脂製の根元部(53)の先端部分にゲート支持部(57)とは反対側から覆い被さるように構成している。つまり、スクリューロータ(40)の逆回転時に変形し易い樹脂部分(即ち、根元部(53))を、ゲート支持部(57)に固定された金属部分(即ち、先端部(52))によってゲート支持部(57)に押さえ付けることができる。これにより、スクリューロータ(40)の逆回転時における螺旋溝(41)内のゲート(51)の変形をより一層抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係るシングルスクリュー圧縮機の要部の構成を示す縦断面図である。 図2は、図1におけるII−II断面を示す横断面図である。 図3は、シングルスクリュー圧縮機のスクリューロータとゲートロータ組立体を抜き出して示す斜視図である。 図4は、ゲートロータ組立体の斜視図である。 図5は、シングルスクリュー圧縮機の要部の水平断面を示す概略断面図である。 図6は、図5におけるVI−VI断面を示す断面図である。 図7は、シングルスクリュー圧縮機の圧縮機構の動作を示す平面図であり、(A)は吸込行程を示し、(B)は圧縮行程を示し、(C)は吐出行程示す。 図8は、本発明の実施形態2に係るシングルスクリュー圧縮機における図6相当図である。 図9は、本発明の実施形態3に係るシングルスクリュー圧縮機における図6相当図である。 図10は、従来のシングルスクリュー圧縮機において、スクリューロータの螺旋溝に噛み合うゲートの両側の圧力関係を示す模式図であり、(A)はスクリューロータの正回転時を示し、(B)はスクリューロータ(40)の逆回転時を示している。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
−シングルスクリュー圧縮機の全体構成−
本実施形態のシングルスクリュー圧縮機(1)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するためのものである。
図1,図2に示すように、シングルスクリュー圧縮機(1)は、半密閉型に構成されている。シングルスクリュー圧縮機(1)は、圧縮機構(20)とそれを駆動する電動機とが1つのケーシング(10)に収容されている。圧縮機構(20)は、駆動軸(21)を介して電動機と連結されている。図1において、電動機は省略されている。また、ケーシング(10)内には、冷媒回路の蒸発器から低圧のガス冷媒が導入されると共に該低圧ガスを圧縮機構(20)へ案内する低圧空間(S1)と、圧縮機構(20)から吐出された高圧のガス冷媒が流入する高圧空間(S2)とが区画形成されている。
圧縮機構(20)は、ケーシング(10)の一部を構成する円筒壁(30)と、該円筒壁(30)の中に配置された1つのスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)に噛み合う2つのゲートロータ(50)とを備えている。スクリューロータ(40)には、駆動軸(21)が挿通されている。スクリューロータ(40)と駆動軸(21)は、キー(22)によって連結されている。駆動軸(21)は、スクリューロータ(40)と同軸上に配置されている。駆動軸(21)の先端部は、圧縮機構(20)の高圧側(図1における駆動軸(21)の軸方向を左右方向とした場合の右側)に位置する軸受ホルダ(35)に回転自在に支持されている。この軸受ホルダ(35)は、軸受(36)を介して駆動軸(21)を支持している。
図3に示すように、スクリューロータ(40)は、概ね円柱状に形成された金属製の部材である。スクリューロータ(40)は、円筒壁(30)内に回転可能に収容され、その外周面が円筒壁(30)の内周面と摺接する。スクリューロータ(40)の外周面には、スクリューロータ(40)の一端から他端へ向かって螺旋状に延びる螺旋溝(41)が複数(本実施形態では、6本)形成されている。
スクリューロータ(40)の各螺旋溝(41)は、図3における前端(駆動軸(21)の軸方向の手前側の端)が始端となり、同図における後端(駆動軸(21)の軸方向の奥側の端)が終端となっている。また、スクリューロータ(40)は、同図における前端部(吸入側の端部)がテーパー状に形成されている。図3に示すスクリューロータ(40)では、テーパー面状に形成されたその前端面に螺旋溝(41)の始端が開口する一方、その後端面に螺旋溝(41)の終端は開口していない。
ゲートロータ(50)は、やや肉厚の平板状の部材である。ゲートロータ(50)には、複数枚(本実施形態では、11枚)のゲート(51)が放射状に設けられている。詳細については後述するが、本実施形態では、各ゲート(51)は、金属製の先端部(52)と樹脂製の根元部(53)とによって構成されている。2つのゲートロータ(50)は、それぞれが金属製のゲートロータ支持部材(55)に取り付けられている(図3を参照)。ゲートロータ支持部材(55)と、それに取り付けられたゲートロータ(50)とは、ゲートロータ組立体(60)を構成している。ゲートロータ組立体(60)の詳細は後述する。
図2及び図3に示すように、ゲートロータ支持部材(55)は、円板部(56)とゲート支持部(57)と軸部(58)とを備えている。円板部(56)は、やや肉厚の円板状に形成されている。ゲート支持部(57)は、ゲートロータ(50)のゲート(51)と同数(本実施形態では、11枚)だけ設けられており、円板部(56)の外周部から外側へ向かって放射状に延びている。各ゲート支持部(57)は、対応するゲート(51)の背面に沿って延びており、そのゲート(51)を背面側から支持している。軸部(58)は、丸棒状に形成されて円板部(56)に立設されている。軸部(58)の軸心と円板部(56)の軸心とは一致している。ゲートロータ(50)は、円板部(56)及びゲート支持部(57)における軸部(58)とは反対側の面に取り付けられている。
ゲートロータ(50)とゲートロータ支持部材(55)とは、ゲートロータ組立体(60)を構成している。詳細な構成については後述するが、図2及び図3に示すように、ゲートロータ組立体(60)は、ケーシング(10)内に区画形成されたゲートロータ室(90)に収容されている(図2を参照)。ゲートロータ室(90)は、円筒壁(30)に隣接した空間であって、スクリューロータ(40)の回転軸を挟んだ両側に1つずつ形成されている。各ゲートロータ室(90)は、低圧空間(S1)に連通している。
各ゲートロータ室(90)には、概ね円筒状に形成された軸受ハウジング(91)が1つずつ設けられている。軸受ハウジング(91)は、ケーシング(10)の外周壁の開口(94)に取り付けられ、外端が閉塞板(95)によって閉塞されている。この軸受ハウジング(91)に、軸受(92,93)を介してゲートロータ支持部材(55)の軸部(58)が回転自在に取り付けられることにより、ゲートロータ組立体(60)が軸受ハウジング(91)に回転自在に取り付けられている。
図2におけるスクリューロータ(40)の右側に配置されたゲートロータ組立体(60)は、ゲートロータ(50)が下端側となる姿勢(即ち、ゲートロータ(50)の前面が下を向く姿勢)で設置されている。一方、同図におけるスクリューロータ(40)の左側に配置されたゲートロータ組立体(60)は、ゲートロータ(50)が上端側となる姿勢で(即ち、ゲートロータ(50)の前面が上を向く姿勢)設置されている。つまり、ケーシング(10)内において、2つのゲートロータ組立体(60)は、スクリューロータ(40)の回転軸に対して互いに軸対称となる姿勢で設置されている。また、各ゲートロータ組立体(60)の回転軸(即ち、ゲートロータ(50)のゲート軸(50a)や軸部(58)の軸心)は、スクリューロータ(40)の回転軸に垂直な平面内にある。
また、ケーシング(10)内において、ゲートロータ組立体(60)は、ゲートロータ(50)の一部が円筒壁(30)を貫通し、一部のゲート(51)がスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)に噛み合うように配置されている。ケーシング(10)の円筒壁(30)では、ゲートロータ(50)が貫通する部分の壁面が、ゲートロータ(50)の前面と対面する側方シール面(32)を構成している。この側方シール面(32)は、スクリューロータ(40)の外周に沿ってスクリューロータ(40)の軸方向へ延びる平面である。ゲートロータ(50)と側方シール面(32)のクリアランスは、極めて小さい値(例えば40μm以下)に設定されている。また、ケーシング(10)の外周壁には、各ゲートロータ室(90)の各ゲートロータ組立体(60)の外方に、メンテナンス用の開口(96)が形成されている。該開口(96)は、それぞれ閉塞板(97)によって閉塞されている。
圧縮機構(20)では、円筒壁(30)の内周面と、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と、ゲートロータ(50)のゲート(51)とによって囲まれた空間が流体を圧縮するための圧縮室(23)となる。スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)は、吸入側端部において低圧空間(S1)に開放され、この開放部分が圧縮機構(20)の吸入口(24)となる。
シングルスクリュー圧縮機(1)には、容量制御機構としてスライドバルブ(70)が設けられている。このスライドバルブ(70)は、円筒壁(30)がその周方向の2カ所において外側に膨出したスライドバルブ収納部(31)内に設けられている。スライドバルブ(70)は、内面が円筒壁(30)の内周面の一部を構成すると共に、円筒壁(30)の軸心方向にスライド可能に構成されている。
スライドバルブ(70)が図1における右方向(駆動軸(21)の軸方向を左右方向とした場合の右方向)へスライドすると、スライドバルブ収納部(31)の端面(P1)とスライドバルブ(70)の端面(P2)との間に軸方向隙間が形成される。この軸方向隙間は、圧縮室(23)から低圧空間(S1)へ冷媒を戻すためのバイパス通路(33)となる。スライドバルブ(70)を移動させてバイパス通路(33)の開度を変更すると、圧縮機構(20)の容量が変化する。また、スライドバルブ(70)には、圧縮室(23)と高圧空間(S2)とを連通させるための吐出口(25)が形成されている。
上記シングルスクリュー圧縮機(1)には、スライドバルブ(70)をスライド駆動させるためのスライドバルブ駆動機構(80)が設けられている。このスライドバルブ駆動機構(80)は、ケーシング(10)に固定されたシリンダ(81)と、該シリンダ(81)内に装填されたピストン(82)と、該ピストン(82)のピストンロッド(83)に連結されたアーム(84)と、該アーム(84)とスライドバルブ(70)とを連結する連結ロッド(85)と、アーム(84)を図1の右方向(アーム(84)をケーシング(10)から引き離す方向)に付勢するスプリング(86)とを備えている。
図1に示すスライドバルブ駆動機構(80)では、ピストン(82)の左側空間(ピストン(82)のスクリューロータ(40)側の空間)の内圧が、ピストン(82)の右側空間(ピストン(82)のアーム(84)側の空間)の内圧よりも高くなっている。そして、スライドバルブ駆動機構(80)は、ピストン(82)の右側空間の内圧(即ち、右側空間内のガス圧)を調節することによって、スライドバルブ(70)の位置を調整するように構成されている。
シングルスクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(70)では、その軸方向の端面の一方に圧縮機構(20)の吸入圧が、他方に圧縮機構(20)の吐出圧がそれぞれ作用する。このため、シングルスクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(70)には、常にスライドバルブ(70)を低圧空間(S1)側へ押す方向の力が作用する。従って、スライドバルブ駆動機構(80)におけるピストン(82)の左側空間及び右側空間の内圧を変更すると、スライドバルブ(70)を高圧空間(S2)側へ引き戻す方向の力の大きさが変化し、その結果、スライドバルブ(70)の位置が変化する。
〈ゲートロータ組立体の構成〉
ゲートロータ(50)とゲートロータ支持部材(55)とを備えたゲートロータ組立体(60)の詳細な構成について、図3〜図6を参照しながら説明する。
ゲートロータ(50)は、扁平な板状に形成され、1つの基部(59)と、11枚のゲート(51)とを備えている。基部(59)は、ゲートロータ(50)の中心部に配置され、11枚のゲート(51)は、ゲートロータ(50)の基部(59)の外周側に、周方向に等角度間隔に配置されている。
基部(59)は、樹脂によって扁平なリング状(あるいは扁平なドーナツ状)に形成されている。基部(59)には、1個のピン孔(54)が形成されている。このピン孔(54)は、基部(59)をその厚さ方向へ貫通する貫通孔である。ピン孔(54)は、後述する固定ピン(61)を挿通するための孔である。
各ゲート(51)は、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と噛み合う概ね長方形状の平板状に形成されている。また、各ゲート(51)は、樹脂によって構成された樹脂部分と、金属によって構成された金属部分とを有している。具体的には、各ゲート(51)は、先端側に設けられた金属製の先端部(52)と、該先端部(52)の基端側(ゲート軸(50a)側)に設けられた樹脂製の根元部(53)とによって構成されている。
各ゲート(51)において、先端部(52)と根元部(53)とは、共に概ね長方形状の平板状に形成されている。また、樹脂製の根元部(53)は、金属製の先端部(52)よりも僅かに幅広に構成されている。具体的には、図5に示すように、根元部(53)は、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の溝幅と概ね等しい幅に形成されている。そのため、ゲート(51)が、螺旋溝(41)内において、該螺旋溝(41)に噛み合うように配置される際に、根元部(53)は、両側面が螺旋溝(41)の壁面に接触するが、先端部(52)は、螺旋溝(41)の壁面に接触しない。つまり、樹脂製の根元部(53)が螺旋溝(41)の壁面に当接することにより、該根元部(53)よりも幅狭に形成された金属製の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との間には、僅かに隙間が形成される。よって、金属製の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との当接が回避される。
なお、このように、先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との間には隙間が形成されるが、この隙間は、該先端部(52)を有するゲート(51)によって閉じきられた圧縮室(23)において、流体が正常に圧縮される程度に、圧縮室(23)をシールできる大きさに設定されている。
また、図6に示すように、各ゲート(51)において、先端部(52)と根元部(53)は、等しい厚さに形成されている。これにより、各ゲート(51)の前面(先端部(52)の前面と根元部(53)の前面とで形成される面)は、概ね平坦面に形成される。
上述したように、ゲートロータ(50)は、ゲートロータ支持部材(55)に取り付けられている。具体的には、ゲートロータ(50)の基部(59)には、ゲートロータ支持部材(55)の軸部(58)の一端が挿通されている。また、ゲートロータ(50)のピン孔(54)には、固定ピン(61)が挿通されている。固定ピン(61)の先端は、ゲートロータ支持部材(55)の円板部(56)に固定される。そして、ゲートロータ(50)の基部(59)に軸部(58)が嵌り込み、ゲートロータ(50)のピン孔(54)に固定ピン(61)が挿通されることによって、ゲートロータ(50)の樹脂部分(基部(59)及び各ゲート(51)の根元部(53))のゲートロータ支持部材(55)に対する相対的な移動が規制される。
また、図6にも示すように、ゲートロータ組立体(60)では、各ゲート(51)の背面(51a)側にゲート支持部(57)が1つずつ配置されている。各ゲート支持部(57)は、前面(57a)の形状がゲート(51)の背面(51a)に対応した形状に形成されている。また、本実施形態では、各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)とが一体に形成されている。つまり、各ゲート(51)の先端部(52)は、金属によってゲートロータ支持部材(55)と一体に形成されている。
−運転動作−
本実施形態のシングルスクリュー圧縮機(1)の運転動作について図7(A)〜(C)を参照しながら説明する。
シングルスクリュー圧縮機(1)において電動機を起動すると、駆動軸(21)が回転するのに伴ってスクリューロータ(40)が回転する。このスクリューロータ(40)の回転に伴ってゲートロータ(50)も回転し、圧縮機構(20)が吸入行程、圧縮行程及び吐出行程を繰り返す。ここでは、図7において網掛けを付した圧縮室(23)に着目して説明する。
図7(A)において、網掛けを付した圧縮室(23)は、低圧空間(S1)に連通している。また、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、同図の下側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされている。スクリューロータ(40)が回転すると、このゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって相対的に移動し、それに伴って圧縮室(23)の容積が拡大する。その結果、低圧空間(S1)の低圧ガス冷媒が吸入口(24)を通じて圧縮室(23)へ吸い込まれる。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図7(B)の状態となる。同図において、網掛けを付した圧縮室(23)は、閉じきり状態となっている。つまり、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、同図の上側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされ、このゲート(51)によって低圧空間(S1)から仕切られている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮室(23)の容積が次第に縮小する。その結果、圧縮室(23)内のガス冷媒が圧縮される。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図7(C)の状態となる。同図において、網掛けを付した圧縮室(23)は、吐出口(25)を介して高圧空間(S2)と連通した状態となっている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮された冷媒ガスが圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ押し出されてゆく。
〈ゲートの変形抑制作用〉
上述したように、シングルスクリュー圧縮機(1)の運転が急停止した際には、螺旋溝(41)の始端と終端との圧力差によってスクリューロータ(40)が逆回転してしまう。スクリューロータ(40)が逆回転すると、閉じきり状態となった圧縮室(23)が冷媒を膨張させる膨張室となる。そして、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と噛み合うゲート(51)には、前面(図6の上面)に膨張した流体の圧力が作用し、背面(図6の下面)に低圧空間(S1)の流体の圧力が作用する。そのため、閉じきり状態となった圧縮室(23)内の圧力が低圧空間(S1)よりも低くなると、螺旋溝(41)内のゲート(51)には、該ゲート(51)を前面側へ押す方向に力が作用する。よって、ゲート(51)が、ゲートロータ支持部材(55)にしっかりと固定されていなければ、螺旋溝(41)内のゲート(51)が前面側へ反り返って破損するおそれがある。
また、シングルスクリュー圧縮機(1)を大型化する際に、単に、ゲートロータ(50)の径だけ大きくすると、ゲートロータ(50)に作用するモーメント荷重が大きくなるため、液圧縮時等の過大な荷重がゲートロータ(50)に作用する際に、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)内のゲート(51)が破損してしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態のゲートロータ組立体(60)では、各ゲート(51)の先端部(52)が、樹脂よりも強度が高く安価な金属によって形成されている。このように各ゲート(51)の一部を金属によって構成することにより、各ゲート(51)を樹脂のみによって形成した場合に比べて、各ゲート(51)において金属よりも強度の低い樹脂部分が小さくなる。そのため、各ゲート(51)の強度が高まり、スクリューロータ(40)の逆回転時や液圧縮時に、ゲート(51)が変形したり破損したりし難くなる。
また、本実施形態では、各ゲート(51)の先端部(52)が、ゲートロータ支持部材(55)と一体に形成されている。よって、スクリューロータ(40)の逆回転が生じても、ゲート(51)の先端部(52)がゲート支持部(57)から浮き上がることがない。このことからも、ゲート(51)の変形が抑制される。
〈ゲートの摩耗抑制作用〉
ところで、樹脂は、金属に比べて熱膨張率が高い。そのため、ゲートロータ(50)の各ゲート(51)を樹脂のみによって形成すると、シングルスクリュー圧縮機(1)の運転中に、各ゲート(51)が熱膨張によってスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面に押し付けられて摩耗するおそれがある。
しかしながら、本実施形態のゲートロータ組立体(60)では、各ゲート(51)が、金属製の先端部(52)と、樹脂製の根元部(53)とによって構成されている。このように各ゲート(51)の一部を金属によって構成することにより、各ゲート(51)における樹脂部分の割合が低く抑えられる。これにより、シングルスクリュー圧縮機(1)の運転中における各ゲート(51)の熱膨張量が、各ゲート(51)を樹脂のみによって形成した場合に比べて低く抑えられる。よって、各ゲート(51)が、熱膨張によってスクリューロータ(40)に強く押し付けられることがない。このように、各ゲート(51)の一部を金属によって構成することにより、各ゲート(51)の摩耗が抑制される。
また、各ゲート(51)の先端部(52)を金属によって構成すると、該先端部(52)がスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面と当接して損傷するおそれがあるが、本実施形態では、各ゲート(51)において、樹脂製の根元部(53)を金属製の先端部(52)よりも幅広に形成することとしている。これにより、金属製の先端部(52)よりも幅の広い樹脂製の根元部(53)が、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面に当接することにより、金属製の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との当接が回避される。よって、各ゲート(51)の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面とが焼き付くことがないので、各ゲート(51)の摩耗が抑制される。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、各ゲート(51)において、先端部(52)を、樹脂よりも強度が高く安価な金属によって形成することとした。そのため、ゲート(51)を樹脂のみによって形成した場合に比べて、コストを増大させることなく、ゲート(51)の強度を高めることができる。その結果、スクリューロータ(40)の逆回転時や液圧縮時に、螺旋溝(41)内のゲート(51)が変形したり破損したりするのを抑制することができる。
また、本実施形態1によれば、各ゲート(51)を、金属製の先端部(52)と、樹脂製の根元部(53)とによって構成することとした。このように各ゲート(51)の一部を金属によって構成して、各ゲート(51)における樹脂部分の割合を低く抑えることにより、シングルスクリュー圧縮機(1)の運転中における、各ゲート(51)の熱膨張量を低く抑えることができる。従って、各ゲート(51)が、熱膨張によってスクリューロータ(40)に強く押し付けられて摩耗することを回避することができる。また、各ゲート(51)とスクリューロータ(40)との摩擦熱によるスクリューロータ(40)の熱膨張を防止することができるため、スクリューロータ(40)とケーシング(10)の内壁面との焼き付きを防止することができる。
さらに、本実施形態1によれば、各ゲート(51)において、樹脂製の根元部(53)を金属製の先端部(52)よりも幅広に形成することとしている。このような構成により、金属製の先端部(52)よりも幅の広い樹脂製の根元部(53)がスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)の壁面に当接するため、金属製の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との当接が回避される。よって、各ゲート(51)の先端部(52)と螺旋溝(41)の壁面との焼き付きを防止することができる。
また、本実施形態1によれば、各ゲート(51)の金属製の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持する金属製のゲート支持部(57)とを、一体に形成することとした。これにより、従来、樹脂のみによって形成していた各ゲート(51)を、金属製の先端部(52)と、樹脂製の根元部(53)とによって構成することとしても、金属製の先端部(52)をゲート支持部(57)と一体に形成することで、ゲートロータ(50)を容易に形成することができる。また、スクリューロータ(40)の逆回転時に先端部(52)がゲート支持部(57)から浮き上がることがない。よって、スクリューロータ(40)の逆回転によってゲート(51)に該ゲート(51)を前面側へ押す方向に力が作用しても、ゲート(51)のゲート支持部(57)からの浮き上がりを防止することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1のシングルスクリュー圧縮機(1)において、ゲートロータ(50)の各ゲート(51)の構成を変更したものである。
図8に示すように、実施形態2においても、各ゲート(51)は、先端側に設けられた金属製の先端部(52)と、該先端部(52)の基端側(ゲート軸(50a)側)に設けられた樹脂製の根元部(53)とによって構成されている。
ところで、実施形態1では、各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)とが一体に形成されていたが、実施形態2では、各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)とは別体に構成されている。そして、実施形態2では、各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)とは、図示しないボルトによって固定されている。また、各ゲート(51)は、先端部(52)の基端部分(即ち、根元部(53)側の端部)が、根元部(53)の先端部分(即ち、先端部(52)側の端部)に前面側(ゲート支持部(57)とは反対側)から覆い被さるように構成されている。
具体的には、各ゲート(51)において、先端部(52)は、実施形態1と同様に、概ね長方形状の平板状に形成され、その基端部分の一部が切り欠かれている。具体的には、各先端部(52)の基端部分は、背面側(図8の下面側)の約半分が切り欠かれている。一方、各ゲート(51)において、根元部(53)は、実施形態1と同様に、概ね長方形状の平板状に形成され、その先端部分の一部が切り欠かれている。具体的には、各根元部(53)の先端部分は、前面側(図8の上面側)の約半分が切り欠かれている。各先端部(52)の基端部分は、根元部(53)の先端部分と等しい大きさ及び形状に切り欠かれ、各先端部(52)の基端部分の切り欠き部分に、根元部(53)の先端部分が嵌まり込む。また、各根元部(53)の先端部分は、先端部(52)の基端部分と等しい大きさ及び形状に切り欠かれ、各根元部(53)の先端部分の切り欠き部分には、先端部(52)の基端部分が嵌まり込む。
また、図8に示すように、各ゲート(51)において、先端部(52)の先端部分と根元部(53)の基端部分とは、等しい厚さに形成されている。また、各ゲート(51)において、先端部(52)の基端部分と根元部(53)の先端部分とが重なり合った部分は、先端部(52)の先端部分及び根元部(53)の基端部分のそれぞれと等しい厚さに形成されている。これにより、実施形態2においても、各ゲート(51)の前面(先端部(52)の前面と根元部(53)の前面とで形成される面)は、概ね平坦面に形成される。
その他の構成は、実施形態1と同様である。そして、実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
ところで、各ゲート(51)において、樹脂で構成された部分は、金属で構成された部分に比べてスクリューロータ(40)の逆回転時に変形し易い。
これに対し、実施形態2では、上述のように、各ゲート(51)を、ゲート支持部(57)に固定された金属製の先端部(52)の基端部分が、樹脂製の根元部(53)の先端部分に前面側(ゲート支持部(57)とは反対側)から覆い被さるように構成している。つまり、スクリューロータ(40)の逆回転時に変形し易い樹脂部分(即ち、根元部(53))を、ゲート支持部(57)に固定された金属部分(即ち、先端部(52))によってゲート支持部(57)に押さえ付けることができる。これにより、スクリューロータ(40)の逆回転時における螺旋溝(41)内のゲート(51)の変形をより一層抑制することができる。
なお、各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)とは、ボルト以外の固定具によって固定されてもよく、溶接によって固定してもよい。
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態2のシングルスクリュー圧縮機(1)において、各ゲート(51)の先端部(52)と根元部(53)とが重なり合う部分の形状を変更したものである。
具体的には、図9に示すように、実施形態2と同様に、各ゲート(51)において、先端部(52)の基端部分と根元部(53)の先端部分とは、それぞれ切り欠かれている。そして、実施形態3では、先端部(52)及び根元部(53)の切り欠き部分の形状が実施形態2と異なる。具体的には、各先端部(52)の基端部分と各根元部(53)の先端部分とは、共に、ゲート(51)の延伸方向(ゲートロータ(50)の径方向)において基端側(ゲート軸(50a)側)に向かうほど、ゲート(51)の厚み方向においてゲート支持部(57)から遠ざかる斜面によって切り欠かれている。各先端部(52)の基端部分は、根元部(53)の先端部分と等しい大きさ及び形状に切り欠かれ、各先端部(52)の基端部分の切り欠き部分に、根元部(53)の先端部分が嵌まり込む。また、各根元部(53)の先端部分は、先端部(52)の基端部分と等しい大きさ及び形状に切り欠かれ、各根元部(53)の先端部分の切り欠き部分には、先端部(52)の基端部分が嵌まり込む。
また、図9に示すように、各ゲート(51)において、先端部(52)の先端部分と根元部(53)の基端部分とは、等しい厚さに形成されている。また、各ゲート(51)において、先端部(52)の基端部分と根元部(53)の先端部分とが重なり合った部分は、先端部(52)の先端部分及び根元部(53)の基端部分のそれぞれと等しい厚さに形成されている。これにより、実施形態3においても、各ゲート(51)の前面(先端部(52)の前面と根元部(53)の前面とで形成される面)は、概ね平坦面に形成される。
その他の構成は、実施形態2と同様である。そして、実施形態3においても、実施形態2と同様の効果を奏することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)とを一体に形成していたが、実施形態2,3のように、各ゲート(51)の先端部(52)を、該ゲート(51)を支持するゲート支持部(57)と別体に構成して、該ゲート支持部(57)に固定することとしてもよい。
また、各ゲート(51)の先端部(52)の基端部分が、根元部(53)の先端部分に前面側(ゲート支持部(57)とは反対側)から覆い被さる構成は、実施形態2、3で説明したものに限られない。各ゲート(51)の根元部(53)の先端部分が、ゲート支持部(57)に固定された先端部(52)の基端部分とゲート支持部(57)との間に挟み込まれるように形成されていれば、いかなる形状であってもよい。なお、各ゲート(51)の先端部(52)及び根元部(53)に形成される切り欠きは、各ゲート(51)の前面(先端部(52)の前面と根元部(53)の前面とで形成される面)が、概ね平坦面に形成されるような大きさ及び形状に形成されることが好ましい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、シングルスクリュー圧縮機について有用である。
1 シングルスクリュー圧縮機
10 ケーシング
23 圧縮室
40 スクリューロータ
41 螺旋溝
50 ゲートロータ
50a ゲート軸
51 ゲート
52 先端部
53 根元部
55 ゲートロータ支持部材
57 ゲート支持部
59 基部

Claims (4)

  1. ケーシング(10)と、
    上記ケーシング(10)に収容されて回転駆動されるスクリューロータ(40)と、
    扁平な環状に形成された樹脂製の基部(59)と、該基部(59)の外周縁から放射状に延び、一部が上記スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と噛み合わされる複数の平板状のゲート(51)とを有し、上記スクリューロータ(40)の回転に伴って該スクリューロータ(40)の回転軸に垂直な平面内にあるゲート軸(50a)周りに回転するゲートロータ(50)と、
    上記複数のゲート(51)の背面にそれぞれ接触して該ゲート(51)の背面に沿って放射状に延びる複数のゲート支持部(57)が形成され、上記ゲートロータ(50)と共に上記ゲート軸(50a)周りに回転して該ゲートロータ(50)を背面側から支持する金属製のゲートロータ支持部材(55)とを備え、
    上記スクリューロータ(40)と上記ケーシング(10)と上記ゲート(51)とによって区画された圧縮室(23)内の流体を圧縮するシングルスクリュー圧縮機であって、
    上記各ゲート(51)は、該ゲート(51)が支持される上記ゲート支持部(57)に対して移動不能に構成された金属製の先端部(52)と、該先端部(52)の上記ゲート軸(50a)側に設けられて上記基部(59)と一体に形成された樹脂製の根元部(53)とによって構成され、
    上記各ゲート(51)において、上記根元部(53)は上記先端部(52)よりも幅広に形成されている
    ことを特徴とするシングルスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記各ゲート(51)の先端部(52)と、該ゲート(51)を支持する上記ゲート支持部(57)とは一体に形成されている
    ことを特徴とするシングルスクリュー圧縮機。
  3. 請求項1において、
    上記各ゲート(51)の先端部(52)は、該ゲート(51)が支持される上記ゲート支持部(57)とは別体に構成され、該ゲート支持部(57)に固定されている
    ことを特徴とするシングルスクリュー圧縮機。
  4. 請求項3において、
    上記各ゲート(51)は、上記先端部(52)の基端部分が、上記根元部(53)の先端部分に上記ゲート支持部(57)とは反対側から覆い被さるように構成されている
    ことを特徴とするシングルスクリュー圧縮機。
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