JP2009242713A - ポリエステル樹脂ペレットおよびその製造方法、並びにポリエステル樹脂水性分散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 数平均分子量12000以上、酸価が2mgKOH/g以上、ガラス転移温度が45℃以上のポリエステル樹脂であって、多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成され、前記ポリエステル樹脂の製造において、容量2〜5000L重合釜を用いて、エステル化反応の後に、解重合反応および/または付加反応を行い、130Pa以下の減圧状態で重縮合を行った後、払出し量2〜2000kg/hの条件のもと、溶融粘度20Pa・s以上でストランド形状に払い出し、切断することを特徴とするポリエステル樹脂ペレット。
【選択図】 なし
Description
(2) エステル化反応の後に、解重合反応および/または付加反応を行い、130Pa以下の減圧状態とする際に、0.1MPa〜0.01MPaの減圧状態を第一段階とし、0.01MPa未満の減圧状態を第二段階とするときに、第一段階での減圧速度が9000〜5000Pa/minであり、第二段階での減圧速度が1000Pa/min以下であることを特徴とする(1)のポリエステル樹脂ペレットの製造方法。
(3) (1)に記載のポリエステル樹脂ペレットを有機溶剤に溶解し、転相乳化して得られるポリエステル樹脂水性分散体。
Mn=ΣNiMi/ΣNi (1)
[ただし、式(1)中、Miは樹脂中の分子鎖iの分子量、Niは樹脂中の分子鎖iの個数を示す。]
1.測定方法
なお、評価、測定方法は下記の通りである。
(1)ポリエステル樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。また、1H−NMRスペクトル上に帰属、定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを精秤し、50mlの水/ジオキサン=1/9(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、ポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(3)ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型および紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶剤:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(5)ポリエステル樹脂の溶融粘度
島津製作所のCFT-500A高化式フローテスターを用い、直径0.5mm、長さ2mmのノズルを取り付けて、荷重:5kgf/cm2(=0.49MPa)の条件下、剪断速度(γ)2000sec-1で測定した。測定温度は、各製造例における払い出し温度に準ずるものとする。
(6)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y/X)×100
(7)樹脂被膜の加工性
下記の例より製造された水性分散体を、ティンフリースチール(0.3mm厚)上に、卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケーターNo.542―AB型、バーコーター装着)を用いてコーティングした後、130℃に設定されたオーブン中で3分間加熱することにより、厚さ4μmの樹脂被膜を形成した。このように、コートしたティンフリースチールを150mm×50mmに切り出し、試験片とした。測定はJISK5600−5−1に準じて次のようにおこなった。塗膜性能評価装置(安田精機製、No.514塗料被膜屈曲試験機)に、被膜面を曲率芯棒に対して外側になるように試験片を差し込み、1秒間で180°折り曲げた後、折り曲げた部分を目視により判断した。
○:樹脂被膜が割れたり、剥がれたりしておらず、折り曲げに耐えている。
×:樹脂被膜が割れる、もしくは、剥がれている。
2.製造例
製造例1
酸成分として、テレフタル酸2077g(12.5モル)、イソフタル酸2077g(12.5モル)を、アルコール成分としてエチレングリコール877g(14.3モル)、ネオペンチルグリコール1666g(16.0モル)を17L容量のオートクレーブ中に仕込み、圧力0.4MPa、250℃で4時間加熱して、エステル化反応を行った。ついで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3g(酸成分1モルに対して6.0×10−4モル)を添加し、系の温度を255℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1時間後に130Paとした。この条件下でさらに3時間重縮合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、250℃になったところで有水トリメリット酸42g(0.20モル)を添加し、圧力0.05MPa、250℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。それから、再度系の圧力を徐々に減じて(0.01MPaまでを7000Pa/minの減圧速度で、0.01MPa以下になったら、800Pa/minの減圧速度とし)、1時間後に130Paとして減圧、重縮合反応をおこなった。その後、系の温度を下げ、240℃になったところで、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてストランド状に樹脂を払い出し量40kg/hで払い出し、水温が35℃のクエンチングバスを経由してペレタイザー(ナカタニ機械株式会社製、型式ST)でカッティングすることで、ペレット状のポリエステル樹脂P−1を得た。1H−NMRで分析したところ、樹脂構成は表1に示すとおりであった。また、その他の分析結果を表1に示す。
樹脂の組成、および、解重合後の重縮合の減圧度、払い出し温度、払い出し量を表1に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−2〜P−5を得た。
5000L容量の重合釜を用い、各々の仕込みの原料を300倍に増やした以外は、製造例1と同様の原料配合比、手順にしたがって、ポリエステル樹脂P−6を得た。
樹脂の組成、払い出し温度を表2に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして、ポリエステル樹脂の製造を行った。ただし、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低いために、ストランドとして払い出しが出来なかったため、シート状で払い出し、ポリエステル樹脂P−7、ポリエステル樹脂P−8を得た。
樹脂の組成、払い出し温度を表2に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして、ポリエステル樹脂の製造を行った。ポリエステル樹脂の数平均分子量が12000を下回っているため、ポリエステル樹脂として脆いものとなり、ストランドとして払い出しができなかったため、塊状のポリエステル樹脂P−9を得た。
樹脂の組成、払い出し温度、および、樹脂払い出し形状を表2に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−10を得た。
ポリエステル樹脂の製造方法として、表2に示したように払い出し温度を270℃でおこなった以外は、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂P−11の製造をおこなったが、払い出し温度が高温であり、内容物の溶融粘度が20Pa・s未満となったため、ストランド切れが多発し、ポリエステル樹脂P−11のペレットを得ることができなかった。
ポリエステル樹脂の製造方法として、表2に示したように解重合後、150Paの減圧下で重縮合を行った以外は、製造例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−12の製造を行った。解重合後の減圧度が不十分であったので、払い出し時にポリエステル樹脂P−12に気泡が点在して、ストランド切れが多発し、ポリエステル樹脂P−12のペレットを得ることができなかった。
500Lの重合釜を用い、払い出し量4000kg/hで払い出した以外は、製造例6と同様にして、ポリエステル樹脂P−13を製造したが、払い出し量が多すぎて、ストランド切れが多発し、ポリエステル樹脂P−13のペレットを得ることができなかった。
製造例1に準じて重合を進めて、解重合反応、および/または、付加反応をした後、130Pa以下に減圧する際に、第一段階での減圧速度を15000Pa/minでおこなったところ、内容物が突沸し、配管を詰まらせてしまい、ポリエステル樹脂P−14を得ることはできなかった。
ジャケット付きガラス容器(内容量2L)にポリエステル樹脂P−1を400gとMEKを600g投入し、ジャケットに60℃の温水を通して加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂P−1を溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液1000gを得た。つぎに、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、回転速度600rpmで攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン8.7gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を総重量が2000gとなるまで添加して転相乳化をおこなった。蒸留水を全量添加する間、系内温度を常に15℃以下に保った。ついで、得られた水性分散体のうち、1600gを2lのフラスコに入れ、常圧下で蒸留をおこなうことで有機溶剤を除去した。蒸留は留去量が約600gになったところで終了し、室温まで冷却後、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過した。固形分濃度31.4質量%のポリエステル樹脂水性分散体E−1を990g得た。ポリエステル樹脂水性分散体E−1の塗膜の性能を表3に示す。
ポリエステル樹脂P−2、P−3に変更すること以外は、実施例1と同様な方法でポリエステル樹脂水性分散体E−2、E−3を得た。ポリエステル樹脂水性分散体E−2、E−3の塗膜の性能を表3に示す。
ポリエステル樹脂P−4に変更すること、および、トリエチルアミンの添加量を6.7gに変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂水性分散体E−4を得た。ポリエステル樹脂水性分散体E−4の塗膜の性能を表3に示す。
ポリエステル樹脂P−5、P−6に変更すること以外は、実施例1と同様な方法でポリエステル樹脂水性分散体E−5、E−6を得た。ポリエステル樹脂水性分散体E−5、E−6の塗膜の性能を表3に示す。
ポリエステル樹脂P−7に変更すること、および、トリエチルアミンの添加量を7.4gに変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂水性分散体E−7を得た。ただし、用いたポリエステル樹脂P−7は、シート状で払い出しを行ったため、シート状のポリエステル樹脂P−7をベールカッターで切断し使用した。ポリエステル樹脂水性分散体E−7の塗膜の性能を表4に示す。
ポリエステル樹脂P−8に変更すること、および、トリエチルアミンの添加量を48.7gに変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂水性分散体E−8を得た。ただし、用いたポリエステル樹脂P−8は、シート状で払い出しを行ったため、シート状のポリエステル樹脂P−8をベールカッターで切断し使用した。ポリエステル樹脂水性分散体E−8の塗膜の性能を表4に示す。
ポリエステル樹脂P−9に変更すること、および、トリエチルアミンの添加量を12.5gに変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂水性分散体E−9を得た。ただし、用いたポリエステル樹脂P−9は、塊状で払い出しをおこなったため、塊状のポリエステル樹脂P−9をクラッシャーで細かく粉砕後使用した。ポリエステル樹脂水性分散体E−9の塗膜の性能を表4に示す。
ポリエステル樹脂P−10を用いて、実施例1と同様の方法で、水性分散体E−10を製造しようと試みたが、蒸留水添加中にポリエステル樹脂が攪拌羽に絡まり、均一な水性分散体を得ることができなかった。
ポリエステル樹脂P−11は、ポリエステル樹脂の製造において、払い出し温度が高温であり、内容物の溶融粘度が20Pa・s未満となったため、ストランド切れが多発し、ポリエステル樹脂P−11のペレットを得ることができなかった。したがって、ポリエステル樹脂水性分散体を作成することは出来なかった。
ポリエステル樹脂P−12は、ポリエステル樹脂の製造において、解重合後の減圧度が不十分であったので、払い出し時にポリエステル樹脂P−12に気泡が点在して、ストランド切れが多発し、ポリエステル樹脂P−12のペレットを得ることができなかった。したがって、ポリエステル樹脂水性分散体を作成することは出来なかった。
ポリエステル樹脂P−13は、ポリエステル樹脂の製造において、払い出し量が多すぎて、ストランド切れが多発し、ポリエステル樹脂P−13のペレットを得ることができなかった。したがって、ポリエステル樹脂水性分散体を作成することは出来なかった。
Claims (3)
- 数平均分子量12000以上、酸価が2mgKOH/g以上、ガラス転移温度が45℃以上のポリエステル樹脂であって、多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成され、前記ポリエステル樹脂の製造において、容量2〜5000L重合釜を用いて、エステル化反応の後に、解重合反応および/または付加反応を行い、130Pa以下の減圧状態で重縮合を行った後、払出し量2〜2000kg/hの条件のもと、溶融粘度20Pa・s以上でストランド形状に払い出し、切断することを特徴とするポリエステル樹脂ペレット。
- エステル化反応の後に、解重合反応および/または付加反応を行い、130Pa以下の減圧状態とする際に、0.1MPa〜0.01MPaの減圧状態を第一段階とし、0.01MPa未満の減圧状態を第二段階とするときに、第一段階での減圧速度が9000〜5000Pa/minであり、第二段階での減圧速度が1000Pa/min以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂ペレットの製造方法。
- 請求項1に記載のポリエステル樹脂ペレットを有機溶剤に溶解し、転相乳化して得られるポリエステル樹脂水性分散体。
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