JP2007070540A - 共重合ポリエステル樹脂ペレットとその製造方法 - Google Patents

共重合ポリエステル樹脂ペレットとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 粘着性が高いガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂ペレットのブロッキングを効果的に防止し、かつ、長期にわたってブロッキングすることなく安全に保存することができる共重合ポリエステル樹脂ペレットとその製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂が、平均粒子径が15μm以下、ガラス転移点が40℃以上の有機化合物粉末の層、又は無機化合物粉末の層で被覆されていることを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレット。無機化合物粉末はタルクであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、長期保存することができるガラス転移点(以下、Tgと略称することがある。)が40℃以下の共重合ポリエステル樹脂とその製造方法に関するものである。
Tgの低い共重合ポリエステル樹脂は粘着性が高く、この樹脂を使用時に使い勝手がよいようにチップ状にペレット化しようとすると、切断刀に粘着し、生産を著しく損ねてしまう。また、切断できた場合でも、ペレット同士の融着(以下、ブロッキングと略称する。)を防止するためには、別の工夫が必要で、例えば、液体窒素などを用いて、低温で保管することが不可避となる。このように、工業的な規模でTgの低い共重合ポリエステルをペレット化し、それを長期間保存することは極めて困難であった。
このため、例えば特許文献1に記載されているように、Tgの低い共重合ポリエステル樹脂は、ペレット化することを避け、シート状に払い出し、ポリエチレンフィルム等の離型紙を捲いてブロッキングを抑えることが常套手段とされている。しかしながら、シート状の製品では、使用時に、ポリエチレンフィルムを剥がさなければならず、余計な手間がかかり経済的でないばかりか、引火性の高い溶剤に溶解して使用する場合、剥がす際の静電気の発生により、前記溶剤に引火するなどの可能性があって、安全上大きな問題になっている。
特開2004−300285号公報
本発明は、上記の問題を解決し、粘着性が高いガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂ペレットのブロッキングを効果的に防止し、かつ、長期にわたってブロッキングすることなく安全に保存することができる共重合ポリエステル樹脂ペレットとその製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、水中カッタを用いてペレット化し、このペレットを平均粒子径が15μm以下の有機化合物粉末又は無機化合物粉末で被覆することで、ペレット化時のブロッキングが防止され、さらにその後の保存時においても長期にわたってブロッキングを効果的に防止することができることを知見して本発明に到達した。 すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂が、平均粒子径15μm以下の、ガラス転移点が40℃以上の有機化合物粉末の層、又は無機化合物粉末の層で被覆されていることを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレット。
(2)無機化合物粉末がタルクであることを特徴とする上記(1)記載の共重合ポリエステル樹脂ペレット。
(3)ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水中カッタを用いてペレット化を行い、次いで、平均粒子径が15μm以下の、水性分散体としたガラス転移点40℃以上の有機化合物粉末又は無機化合物粉末をペレットの表面に付着させた後、乾燥することを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレットの製造方法。
(4)ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水中カッタを用いてペレット化を行い、冷却した後、平均粒子径が15μm以下のタルク粉末を付着させて乾燥を行い、ペレットをタルクで被覆することを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレットの製造方法。ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂が、ガラス転移点40℃以上の有機化合物粉末の層、又は無機化合物粉末の層で被覆されていることを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレット。
本発明の共重合ポリエステル樹脂ペレットは、その表面が、平均粒子径15μm以下、Tg40℃以上の有機化合物粉末、又は無機化合物粉末の層で被覆されているので、ペレットがブロッキングするのを効果的に防止することができ、粘着性が高いTgが40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂であっても、ペレット化した状態で長期保存することが可能となり、産業上の利用価値は極めて高い。
また、本発明の製造方法によれば、上記の利点を有する共重合ポリエステル樹脂ペレットを安定して製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の共重合ポリエステル樹脂ペレットは、Tgが40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂のペレットが、平均粒子径15μm以下、Tg40℃以上の有機化合物粉末の層で被覆されているか、もしくは平均粒子径15μm以下の無機化合物粉末の層で被覆されているものであるが、まず、Tgが40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂について説明する。
本発明が対象とする貧結晶性の共重合ポリエステル樹脂とは、通常、Tgが40℃以下の共重合ポリエステルである。貧結晶性共重合ポリエステルとは、240℃で溶融した後、急冷し、1日室温で放置して、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行い、1stスキャンにおいて融点ピークがないものをいう。
共重合ポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、通常2000以上、好ましくは6000以上である。分子量が2000よりも小さいと粘着性がより高くなり、効果的にブロッキング防止ができなくなる場合があるので好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂は、主としてジカルボン酸成分とグリコール成分の等モル量から構成され、必要に応じてヒドロキシカルボン酸成分などが共重合されたものである。
上記のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸、アイコサン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸などを例示できる。これらは無水物であってもよい。
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどの脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4′−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体又はプロピレンオキサイド付加体、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
本発明における共重合ポリエステル樹脂には、適度な柔軟性、接着性の向上、ガラス転移温度の調整などの目的に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合させることができる。ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、オキシラン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
また、少量であれば、3官能以上のカルボン酸成分やアルコール成分を共重合成分として添加してもよい。3官能以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸などの芳香族カルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族カルボン酸が挙げられる。
3官能以上のアルコール成分としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
これらは必ずしも1種類で用いる必要はなく、樹脂に付与したい特性に応じて複数種以上混合して用いることが可能である。このとき、3官能以上のモノマーの割合としては、全カルボン酸成分又は全アルコール成分に対して0.2〜5モル%程度が適当である。0.2モル%未満では添加した効果が発現せず、5モル%を超える量を含有せしめた場合には、重合の際、ゲル化点を超えてゲル化が問題になる場合がある。
また、ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸など、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどが挙げられる。
本発明における共重合ポリエステル樹脂は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法により重縮合させることにより製造することができ、例えば、全モノマー成分及び/又はその低重合体を不活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応を行い、引き続いて、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めて共重合ポリエステル樹脂を得る方法などを挙げることができる。
エステル化反応および重縮合反応の際には、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウムなどの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機錫化合物を用いて重合を行う。その際の触媒使用量は、生成する樹脂質量に対し、0.01〜1.0質量%で用いるのが好ましい。
また、共重合ポリエステル樹脂に所望の酸価や水酸基価を付与する場合には、前記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸成分や多価グリコール成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合を行えばよい。
次に、本発明において、Tgが40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂ペレットを被覆する有機化合物粉末と無機化合物粉末について説明する。
本発明における有機化合物粉末や無機化合物粉末は、後述する製造方法で説明するように、樹脂ペレットの表面にそれぞれ有機化合物水性分散体又は無機化合物水性分散体を付着させ、これらの水性分散体から水分を除去して得ることができる。水性分散体としては、平均粒子径が15μm以下、好ましくは0.1〜10μmで、水に分散し粘着性を有さないものであれば特に限定されるものではない。平均粒子径が15μmよりも大きいと、切断されたペレットに斑なく付着することが難しくなったり、切断されたペレットを長期保存することができなくなる場合があるので好ましくない。
水性分散体の保存安定性は、良好であるのが好ましいが、有機化合物や無機化合物が水に斑なく分散されていればよい。
有機化合物水性分散体としては、共重合ポリエステル水性分散体、ポリオレフィン水性分散体、ポリ酢酸ビニル水性分散体など、ポリウレタン水性分散体、アイオノマー水性分散体など、各種有機化合物の水性分散体が挙げられるが、中でも共重合ポリエステル水性分散体が、本発明の対象としている最終製品の共重合ポリエステル樹脂ペレットの品質に対する悪影響が少ないので好ましい。
有機化合物水性分散体として水分散させる有機化合物としては、Tgが40℃以上、好ましくは60〜120℃の樹脂が用いられる。
有機化合物水性分散体の具体例としては、ユニチカ社製KA−3556、KA−5034、三井化学社製ケミパールV100、V200、V300、W200、W400、W700、W950、日本油脂社製アルフローH−50ESなどが挙げられる。
また、無機化合物水性分散体としては、シリコーン系水性分散体などが挙げられる。
前述したように、本発明において樹脂ペレットの表面を被覆する有機化合物粉末や無機化合物粉末の層は、樹脂ペレットの表面にそれぞれ有機化合物水性分散体又は無機化合物水性分散体を付着させ、これらの水性分散体から水分を除去して得ることができが、別法として、後述する製造方法で説明するように、樹脂ペレットの表面に直接粉末を付与して形成することもできる。その際に好適に用いられる化合物としては、無機化合物粉末であるタルクが挙げられる。かかるタルクとしては、前述した有機化合物粉末や無機化合物粉末と同様に、平均粒子径が15μm以下、好ましくは1〜10μmのものが用いられる。平均粒子径が15μmよりも大きいと、切断されたペレットに斑なく付着することが難しくなる場合や、切断されたペレットを長期間保存することができなくなる場合があるので好ましくない。
本発明において、平均粒子径が15μm以下、Tgが40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂ペレットを被覆する有機化合物粉末や無機化合物粉末の層は、必ずしも1種類の粉末だけで形成させる必要はなく、複数種の有機化合物粉末の混用や、複数種の無機化合物粉末の混用、さらには有機化合物粉末と無機化合物粉末の混用で形成してもよい。
次に、本発明の共重合ポリエステル樹脂ペレットの製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、実質的に、(1)共重合ポリエステル樹脂を溶融する工程、(2)溶融した共重合ポリエステル樹脂をペレット化する工程、(3)共重合ポリエステル樹脂の表面に有機化合物粉末、無機化合物粉末、タルクなどを付与する工程、(4)ペレットを乾燥させる工程に分けられる。
まず、(1)の共重合ポリエステル樹脂を溶融する工程について説明する。 本発明では、任意の方法で溶融することができる。例えば、重合釜からギアポンプ付の押出機に押し流し、樹脂温度を下げ、さらに水中カッタに押し流し、ペレット化する方法が挙げられる。
次に、(2)の溶融した共重合ポリエステル樹脂をペレット化する工程について説明する。
本発明において、溶融した粘着性を有する共重合ポリエステル樹脂は、任意の方法でペレット化することができる。ペレット化する方法としては、例えば、水中カッタ装置を用いてペレット化する方法が挙げられる。水中カッタメーカとしては、富士インダストリー株式会社、萩原工業株式会社、田辺プラスチック株式会社などがある。具体的には、田辺プラスチック製V50−PASC21HSが挙げられる。
樹脂の吐出速度や吐出量は、冷却速度と吐出量のバランスがとれれば特に限定されるものではない。
次に、(3)の共重合ポリエステル樹脂の表面に有機化合物粉末、無機化合物粉末、タルクなどを付与する工程について説明する。第1の製造方法である水性分散体を用いる場合には、循環させている冷却水の中にブロッキング防止剤を添加することが効率がよい。また、第2の製造方法であるタルクを用いる場合には、ペレット化した後、乾燥前に粉末を付与することが効率がよい。
第1の製造方法において、水性分散体を使用する場合、樹脂を冷却するために用いる循環水に対して、水性分散体の樹脂固形分が、通常、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、最適には0.5〜2質量%になるように添加するのが好ましい。循環水に対して水性分散体の樹脂固形分が0.1質量%よりも少ない場合は、耐ブロッキング性が十分に発現せず、10質量%よりも多く添加すると、本発明の対象としている最終製品の共重合ポリエステル樹脂ペレットの品質に影響を与える場合があるので好ましくない。
循環水中のペレットの滞留時間は、1秒〜20分が好ましく、1秒〜10分がより好ましく、3秒〜5分がさらに好ましい。滞留時間が1秒よりも短いと、ペレットの表面に十分な量の水性分散体を付着させることができない場合がある。また、20分よりも長いと、生産効率が悪く、工業的な規模での生産ができ難い場合がある。
循環水の温度は、40℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましい。循環水の温度が40℃よりも高いと、冷却効果が小さくなるため好ましくない場合がある。
また、第2の製造方法において、タルクを使用する場合、ペレットへの付着量は、樹脂に対して、通常、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、最適には0.5〜2質量%が好ましい。付着量が0.1質量%よりも少ない場合は、耐ブロッキング性が十分に発現せず、5質量%よりも多く付着すると、本発明の対象としている最終製品の共重合ポリエステル樹脂ペレットの品質に影響を与える場合があるので好ましくない。
なお、タルクのペレットへの付着量は、るつぼに10gのサンプルを入れ、500℃で2時間加熱した後、残った灰分の質量を測定し、残った灰分量のはじめの10gに対する割合をタルクの付着量とする。
次に、(4)のペレットを乾燥させる工程について説明する。
本発明において、ペレットを乾燥することができれば、方法は特に限定されるものではなく、例えば、自然乾燥や冷風による乾燥などを採用することができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた原料と物性の評価方法は、次の通りである。
(1)共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所社製の送液ユニットLC−10ADvp型及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
(2)共重合ポリエステル樹脂の融点、ガラス転移温度
共重合ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7型)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、吸熱ピークの頂点温度を融点とし、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
(3)耐ブロッキング性の評価
ペレット100gを、25kgfの荷重をかけ、40℃の恒温槽に3日間放置した後、全くペレット同士が融着していなければ○、ペレット同士が融着しているものが10g以下であれば△、ペレット同士が融着しているものが10gよりも多ければ×と評価し、○を合格と判定した。
(共重合ポリエステル樹脂の製造)
ポリエステル1
テレフタル酸1661g(100モル部)、トリエチレングリコール1352g(90モル部)、エチレングリコール341g(55モル部)、ビスフェノールAエチレングリコール付加物316g(10モル部)からなる混合物を、攪拌しながら、オートクレーブ中で240℃で3時間加熱してエステル化反応を行った。次いで、260℃に昇温し、触媒として酢酸亜鉛1.3gを投入し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとし、重縮合反応を行った。4時間後、得られたものをポリエステル1とし、その組成と特性を表1に示す。
ポリエステル2〜4
使用するモノマーとそのモル比、重合触媒、重合温度を表1のように変更し、実施例1と同様の操作を行って、表1に示す共重合ポリエステル樹脂を得た。
(実施例1) ポリエステル1を重合した後、直接、払出し弁を通じて、水中カッタに押し流し、ペレット化した。循環水には、平均粒子径7μmの酢酸ビニル水性分散体(三井化学社製ケミパールV200)を循環水に樹脂分濃度が5質量%になるように添加し、循環水の温度は10℃、ペレットの冷却時間は10分になるようにした。ペレットを10℃の冷風によって乾燥を行った。
(実施例2〜7、比較例1〜2)
用いたポリエステル、循環水に添加した水性分散体の樹脂の種類、平均粒子径、循環水への添加量(水性分散体樹脂の固形分換算での質量%)、循環水の温度、ペレットの冷却時間などを表2のように変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
実施例1〜7で得られたペレットの耐ブロッキング性評価結果を併せて表2に示す。
(実施例8)
ポリエステル3を重合した後、重合釜から直接水中カッタに押し出し、ペレットを作製した。循環水の温度は5℃、ペレットの冷却時間は5分になるようにした。循環水からペレットを取り出した後、日本タルク社製、平均粒子径10μmのタルクを、ペレットへの付着量が2質量%になるように添加し、その後、ペレットを10℃の冷風によって乾燥を行った。
(実施例9、比較例3〜4)
用いたタルクの平均粒子径とその付着量を表3のように変更した以外は、実施例8と同様にしてペレットを製造した(実施例9、比較例3)。また、使用するポリエステルを表3のように変更し、タルクを用いない以外は、実施例8と同様にしてペレットを製造した(比較例4)。
実施例8、9及び比較例3〜4で得られたペレットの耐ブロッキング性評価結果を併せて表3に示す。
実施例1〜9で得られたペレットは、いずれも耐ブロッキング性が良好であり、長期保存することができるTg40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂のペレットであった。これに対して、比較例1〜3で得られたペレットは、使用した有機化合物粉末又はタルクの平均粒子径が15μmを超えていたので、ペレットに粉末が斑なく付着されず、このため耐ブロッキング性が悪いものであった。また、比較例4は、結晶性ポリエステルであるため、タルクを付着させなくても耐ブロッキング性が良好であり、本発明の方法を用いる必要がなかった。
このように、平均粒子径が15μm以下の有機化合物粉末又は無機化合物粉末、タルクを被覆することで、はじめて、長期保存することができるTgが40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂のペレットが得られた。

Claims (4)

  1. ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂が、平均粒子径15μm以下の、ガラス転移点が40℃以上の有機化合物粉末の層、又は無機化合物粉末の層で被覆されていることを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレット。
  2. 無機化合物粉末がタルクであることを特徴とする請求項1記載の共重合ポリエステル樹脂ペレット。
  3. ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水中カッタを用いてペレット化を行い、次いで、平均粒子径が15μm以下の、水性分散体としたガラス転移点40℃以上の有機化合物粉末又は無機化合物粉末をペレットの表面に付着させた後、乾燥することを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレットの製造方法。
  4. ガラス転移点が40℃以下の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水中カッタを用いてペレット化を行い、冷却した後、平均粒子径が15μm以下のタルク粉末を付着させて乾燥を行い、ペレットをタルクで被覆することを特徴とする共重合ポリエステル樹脂ペレットの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008292349A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Yazaki Corp 樹脂ペレットのブロッキング評価方法

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