JP2008248016A - 共重合ポリエステル微粒子およびその製造方法 - Google Patents

共重合ポリエステル微粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 汎用モノマーから製造でき、溶解性が良好な貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の微粒子とその製造方法を提供する。
【解決手段】 貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水溶性樹脂と共に加熱混合したのち、水溶性樹脂を水で溶解し、繰り返し水洗し、水溶性樹脂を除去して、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の水懸濁液を作製後、懸濁液を加熱、超音波を付与することで、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の微粒子を効率的に作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、共重合ポリエステル微粒子に関するものである。
近年、ポリエステル微粒子は、フィルムのアンチブロッキング剤、トナー、液晶表示素子におけるスペーサとして多方面にわたり使用されている。これらのポリエステル微粒子は、多くの場合、ポリエステル水性分散体を製造したのち微粒子化をおこなっている。例えば、特許文献1では、ポリエステルにビニル基を1分子中2個以上含有する架橋性モノマーを反応せしめ水中で分散して製造することが開示されており、特許文献2では、ウレタン変性ポリエステルの水性分散体をスプレードライ法よって微粒子を得ることが開示されている。
水性分散体からポリエステル微粒子を製造する以外の方法として、特許文献3では、ポリエステル樹脂の溶融状態で特殊な装置で分散し乾燥して微粒子を得ることが開示されており、特許文献4では、結晶性の熱可塑性樹脂を相溶性のない分散媒と加熱混合し、遠心分離法で微粒子を製造することが開示されている。また、特許文献5では、シリカ粒子にアルカンジオール化合物を含有させ、フマル酸ジハライド化合物を過飽和蒸気として接触加熱して微粒子を製造する方法が開示されている。
ポリエステル樹脂以外の樹脂を微粒子化する方法として、加熱、超音波をかけてそれぞれの微粒子を製造する方法が開示されており、特許文献6では、ポリウレタン水性分散体から製造する方法、特許文献7では、アクリル系ポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリスチレン系ポリマー水性分散体から製造する方法、特許文献8では、脂肪族ポリエステル水性分散体から製造する方法が開示されている。
しかしながら、水性分散体から製造する方法や水性分散体から加熱、超音波をかける方法では、必然的に、分散させるために酸価を高くせしめるか、極性基を保持せしめるか、それとも、変性せしめることが必要であるため、微粒子化可能なポリエステル樹脂に制限があった。
また、特許文献3や特許文献4の方法では、微粒子が大きくなり、目的とする粒子径のポリエステル微粒子を得ることが困難であり、また、特許文献5の方法では、ポリエステルの酸成分をジハライド化しなければならないため、汎用モノマーを使用することはできず、汎用性がなかった。
特開平7−216034号公報 特開2005−336221号公報 特開2002−37891号公報 特開2001−114901号公報 特開2001−226473号公報 特開平11−279283号公報 特開2000−80170号公報 特開2004−231760号公報
本発明が解決しようとする課題は、汎用モノマーから製造でき、溶解性が良好な貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の微粒子とその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水溶性樹脂と共に加熱混合したのち、水溶性樹脂を水で溶解し、繰り返し水洗、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の水懸濁液を作製後、懸濁液を加熱、超音波を付与することで、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の微粒子を効率的に作製することを見出して本発明に到達した。 すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)レーザー回折散乱法で測定される平均粒径が0.1〜100μmである共重合ポリエステルであって、ガラス転移点が40℃以上、酸価が5mgKOH/g以下、かつ、シクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエン、酢酸エチルから選ばれる1つ以上の溶媒に対する溶解度(25℃)が10質量%以上であることを特徴とする貧結晶性共重合ポリエステル樹脂微粒子。
(2)貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水溶性樹脂と共に加熱混錬したのち、水溶性樹脂を溶解し、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の水懸濁液を作製した後、水懸濁液を加熱、超音波を付与して微粒子をえることを特徴とする(1)に記載の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂微粒子の製造方法。
本発明の共重合ポリエステル樹脂微粒子は、汎用溶剤に溶解可能なため、後工程で溶剤に溶解させる接着剤用途のアンチブロッキング剤、トナーなどへの応用が期待され、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明が対象とする貧結晶性共重合ポリエステル樹脂とは、240℃で溶融した後、急冷し、1日室温で放置して、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行い、2ndスキャンにおいて融点ピークがない共重合ポリエステルをさす。
共重合ポリエステルのガラス転移点は、40℃以上が必要であり、60℃以上が好ましい。ガラス転移点が40℃よりも低いと粉末にしたとき微粒子がブロッキングするので好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されるものではなく、用途によって、使い分けられる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、主としてジカルボン酸成分とグリコール成分の等モル量から構成され、必要に応じてヒドロキシカルボン酸成分などが共重合されたものである。
上記のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸、アイコサン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸などを例示できる。これらは無水物であってもよい。
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどの脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4′−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体又はプロピレンオキサイド付加体、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。なかでも、ネオペンチルグリコールは、汎用性があり、溶解性が向上するので、最も好ましい。
本発明における共重合ポリエステル樹脂には、適度な柔軟性、接着性の向上、ガラス転移温度の調整などの目的に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合させることができる。ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、オキシラン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
また、少量であれば、3官能以上のカルボン酸成分やアルコール成分を共重合成分として添加してもよい。3官能以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸などの芳香族カルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族カルボン酸が挙げられる。
3官能以上のアルコール成分としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
これらは必ずしも1種類で用いる必要はなく、樹脂に付与したい特性に応じて複数種以上混合して用いることが可能である。このとき、3官能以上のモノマーの割合としては、全カルボン酸成分又は全アルコール成分に対して0.2〜5モル%程度が適当である。0.2モル%未満では添加した効果が発現せず、5モル%を超える量を含有せしめた場合には、重合の際、ゲル化点を超えてゲル化が問題になる場合がある。
また、ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸など、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどが挙げられる。
本発明における共重合ポリエステル樹脂は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法により重縮合させることにより製造することができ、例えば、全モノマー成分及び/又はその低重合体を不活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応を行い、引き続いて、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めて共重合ポリエステル樹脂を得る方法などを挙げることができる。
エステル化反応および重縮合反応の際には、重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウムなどの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機錫化合物を用いて重合を行う。その際の触媒使用量は、生成する樹脂質量に対し、0.5質量%以下で用いるのが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂の酸価は5mgKOH/g以下でなければならない。5mgKOH/gよりも酸価が高いポリエステルであれば、容易に水性分散体を作製することができるが、得られた共重合ポリエステルの分子量が低く、共重合ポリエステル微粒子とした場合の耐久性に劣り好ましくない。また、容易に水性分散体を作製することができるものの、本発明の方法を用いる必要はないので、本発明の範囲ではない。
また、共重合ポリエステル樹脂の水酸基価は、特に限定されない。共重合ポリエステル樹脂に所望の水酸基価を付与する場合には、前記の重縮合反応に引き続き、多価グリコール成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合を行えばよい。
次に、本発明の共重合ポリエステル樹脂微粒子の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、実質的に、(1)貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を水溶性樹脂と共に加熱混錬する工程、(2)水溶性樹脂を水洗し、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の水懸濁液を作製する工程、(3)水懸濁液を加熱、超音波を付与し、乾燥粉末を得る工程に分けられる。
まず、(1)の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を水溶性樹脂と共に加熱混錬する工程について説明する。本発明では、任意の方法で、共重合ポリエステル樹脂と水溶性樹脂を加熱混錬できる。
水溶性樹脂とは、共重合ポリエステル樹脂とは相溶せず、微粒子状に分散でき、さらに水に溶解することができれば樹脂は特に限定されない。相溶しないとは、任意の温度で、共重合ポリエステル樹脂に5質量%以上溶解しないことをさす。共重合ポリエステル樹脂と水溶性樹脂が5質量%以上溶解すると、共重合ポリエステル樹脂が分散できないので好ましくない。水に溶解するとは、水に対して10質量%以上溶解することをさす。水に対して10質量%よりも溶解しない場合、水に溶解して水溶性樹脂を取り除く後工程において、水溶性樹脂を効率よく取り除くことができないので好ましくない。
水溶性樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルアルコールなどが例示できる。これらは単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。
共重合ポリエステル樹脂と水溶性樹脂を加熱混錬する温度としては、共重合ポリエステル樹脂の軟化点よりも30℃以上高い温度で加熱し混錬することが好ましい。軟化点よりも30℃高い温度未満の温度で加熱混錬しても、共重合ポリエステル樹脂が混錬しにくいばかりか、微粒子に分散されないので好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂と水溶性樹脂の混合割合は、共重合ポリエステル樹脂に対して任意の割合で混合することができる。通常、共重合ポリエステルに対して、水溶性樹脂は質量比で30〜1000%で混合することが好ましい。共重合ポリエステルに対して、水溶性樹脂が質量比で30%よりも低いと、共重合ポリエステル樹脂が水溶性樹脂に十分に分散できないので好ましくなく、1000%よりも高いと効率がよく水溶液から共重合ポリエステル樹脂を取り除くことができないので好ましくない。得られる微粒子の粒径は、共重合ポリエステルと水溶性樹脂の混合割合によって大きく影響され、共重合ポリエステルに対して水溶性ポリエステルよりも多い場合は、得られる微粒子の粒径が大きくなる傾向にあり、少ない場合は、得られる微粒子の粒径が小さくなる傾向がある。
共重合ポリエステル樹脂と水溶性ポリエステル樹脂を加熱混錬する機械としては、加熱でき混錬できる装置であれば特に限定されない。例えば、混錬できる装置としては、単軸押し出し機、二軸押し出し機、ニーダ、ラボプラストミルが挙げられる。
混錬した樹脂は、冷却したのち、水溶性樹脂を溶解しやすいように、クラッシャーで粉砕するか、ペレタイザーでペレット化した方が水に溶解しやすいので好ましい。
次に、(2)水溶性樹脂を水洗し、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の水懸濁液を作製する工程について説明する。本発明では、任意の方法で(1)の工程で得られた樹脂を水と混合して水溶性樹脂を溶解後、水洗し水懸濁液を得ることができる。
共重合ポリエステル樹脂と水溶性樹脂の混錬物と水との割合は、任意の割合で混ぜて水溶性樹脂を溶解できる。通常、混錬物に対して、質量比で10〜50倍の水で溶解することが好ましい。混錬物に対して水が10倍よりも少ない場合は、水溶性樹脂が十分に水に溶解できず、50倍よりも多いと、効率がよく水溶液から共重合ポリエステル樹脂を取り除くことができないので好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂と水溶性樹脂の混錬物は、任意の回数、水洗することで水溶性樹脂を取り除くことができる。通常、水洗する回数は、1〜10回であり、10回よりも多いと効率が悪いので好ましくない。 水洗する方法としては、水溶性樹脂を含む懸濁液を遠心分離し、固形分と水溶液を分離し、水溶液を取り除き、再度、水を添加することを繰り返す方法などが挙げられる。
(2)の工程後、共重合ポリエステルは、水懸濁液として得ることができる。得られた共重合ポリエステル樹脂水懸濁液に含まれる共重合ポリエステル微粒子の平均粒子径は0.05μm〜95μmの微粒子を得ることができる。平均粒子径は、後述する平均粒子径の測定方法によって測定することができる。
水溶性樹脂を溶解する装置としては、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入された樹脂と水との混合物を適度に撹拌できれば特に限定されない。そのような装置としては、固/液撹拌装置として広く当業者に知られている装置を使用することができ、通常は簡易的な蓋部を備え付け、常圧下で使用される。
次に、(3)水懸濁液を加熱、超音波を付与し、乾燥粉末を得る工程について説明する。
水懸濁液中の共重合ポリエステル樹脂の割合は、固形分が5〜40質量%であることが好ましい。固形分が5質量%よりも低いと、乾燥後の粒子径が細かくなりすぎ、微粒子をつくる効率が悪くなるので好ましくない。また、固形分が40質量%を超えると、超音波をかけても十分に粒子が分散できないので好ましくない。
加熱、超音波を付与するし、乾燥粉末を得る方法としては、水懸濁液をパルス燃焼ガスに接触させることが好ましい。パルス燃焼ガスは加熱および超音波の付与を同時におこなうことができる。例えば、水懸濁液をパルス燃焼ガスに接触させる装置としては、パルテック製ハイパルコンが挙げられる。
加熱する温度としては、100〜1000℃で加熱することが好ましい。接触温度が100℃よりも低いと、粒子が十分に乾燥されず、接触温度が1000℃よりも高くなると、共重合ポリエステル樹脂が熱変性を受けやすくなるので好ましくない。
パルス燃焼ガスの周波数範囲は、50〜1000Hzが好ましい。周波数が1000Hzを超えると、十分に乾燥できないので好ましくなく、50Hzよりも小さいと、低周波数による振動障害が生じるので好ましくない。
また、パルス燃焼ガスの圧力振幅は、±0.2kg/cm2以上であることが好ましい。圧力振幅が±0.2kg/cm2よりも小さいと、十分に微粒子が乾燥できないので好ましくない。
また、パルス燃焼ガスの音圧は100〜200デシベルが好ましい。音圧が100デシベルよりも小さいと、十分に微粒子が乾燥できないので好ましくなく、200デシベルよりも大きいと、防音対策が必要になるので好ましくない。
(3)の工程後、共重合ポリエステル樹脂は、微粒子として得ることができる。水懸濁液を加熱、超音波を付与する工程によって、粒子は、凝集する傾向があり、(2)で得られた微粒子よりも、やや粒径が大きくなることがある。共重合ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径は0.1μm〜100μmである。平均粒子径は、後述する平均粒子径の測定方法によって測定することができる。
共重合ポリエステル微粒子のガラス転移点は、40℃以上が必要であり、60℃以上が好ましい。ガラス転移点が40℃よりも低いと粉末にしたとき微粒子がブロッキングするために好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂微粒子の酸価は5mgKOH/g以下でなければならない。5mgKOH/gよりも酸価が高いポリエステル微粒子であれば、容易に水性分散体から作製することができ、本発明の方法を用いる必要はないので、本発明の範囲ではない。
共重合ポリエステル樹脂微粒子は、10質量%以上でシクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエン、酢酸エチルからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒に溶解しなければならない。濃度10質量%以上で溶解しない場合には、溶解して使用する際の作業性が低下する。また、溶解濃度の上限は特にないが、溶液の粘性が高くなりすぎないためには50質量%以下が好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂微粒子は、接着剤に使われるペレットのアンチブロッキング剤やトナーなどに使用することができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた原料と物性の評価方法は、次の通りである。
(1)共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所社製の送液ユニットLC−10ADvp型及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
(2)共重合ポリエステル樹脂およびその微粒子の融点、ガラス転移温度
共重合ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7型)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、吸熱ピークの頂点温度を融点とし、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
(3)共重合ポリエステル樹脂およびその微粒子の酸価
ポリエステル樹脂または微粒子0.5gを50mlのジオキサンに溶解し、クレゾールレッドを指示薬として水酸化カリウムで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(4)共重合ポリエステル樹脂微粒子懸濁液の平均粒子径
共重合ポリエステル樹脂微粒子懸濁液の固形分が0.01質量%になるようにメタノールで濃度調整をおこない、堀場製作所製LA−500を用いてレーザー回折散乱法で測定した。
(5)共重合ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径
共重合ポリエステル樹脂0.1gを150gのメタノールに分散させた後、堀場製作所製LA−500を用いてレーザー回折散乱法で測定した。
(6)共重合ポリエステル樹脂微粒子の溶解性
ガラス製容器に、微粒子10g、2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)90gを入れ(濃度10質量%)、ペイントシェーカーを用いて25℃で6時間振動させ、溶解状態を観察した。さらに、25℃で1日放置し、溶解状態を観察した。同様に、シクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエン、酢酸エチルに溶解し、溶解状態および1日後の溶解状態を観察した。いずれかの溶媒において、溶解し、1日放置後も溶解状態が維持されている場合を「○」、それ以外の場合を「×」とした。
(共重合ポリエステル樹脂の製造)
ポリエステル1
テレフタル酸831g(50モル%)、イソフタル酸831g(50モル%)、エチレングリコール447g(72モル%)、ネオペンチルグリコール604g(58モル%)からなる混合物を、攪拌しながら、オートクレーブ中で240℃で3時間加熱してエステル化反応を行った。次いで、240℃のまま、触媒としてテトラブチルチタネート2.0gを投入し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとし、重縮合反応を行なった。4時間後、系を窒素ガスで加圧状態にしてストランド状に樹脂を払い出しストランドカッターでペレット状に共重合ポリエステルを得た。得られたものをポリエステル1とし、その組成と特性を表1に示す。
ポリエステル2〜5
使用するモノマーとそのモル比を表1のように変更し、実施例1と同様の操作を行って、表1に示す共重合ポリエステル樹脂を得た。
(実施例1)
ポリエステル1 100gとポリエチレングリコール20000 200gを混合したのち、ラボプラストミルでポリエステル1が十分に分散するまで180℃で加熱混錬した。得られた樹脂を、粉砕機で細かく粉砕したのち、樹脂300gに対して水3000gを添加し、水を加えポリエチレングリコールを溶解後、水洗してポリエステル1の水懸濁液を作製した。得られた水懸濁液を、パルテック製ハイパルコンを用いて乾燥微粒子化し、ポリエステル1の微粒子を得た。パルス燃焼ガスは周波数550Hz,圧力振幅±0.8kg/cm2、音圧145デシベル、接触ガス温度280℃でおこなった。得られた微粒子懸濁液および微粒子の特性値を表2に示す。
(実施例2)
ポリエステル2 200gとポリエチレングリコール20000 100gを混合したのち、ラボプラストミルでポリエステル2が十分に分散するまで160℃で加熱混錬した以外は、実施例1と同様にして微粒子を作製した。
(実施例3)
ポリエステル3 20gとポリエチレングリコール20000 200gを混合したのち、ラボプラストミルでポリエステル3が十分に分散するまで200℃で加熱混錬した以外は、実施例1と同様にして微粒子を作製した。
(比較例1〜3)
用いたポリエステルを表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして微粒子を作製した。
(比較例4)
実施例1で得られた水懸濁液を常温で乾燥し、乳鉢ですりつぶして微粒子を得た。
(比較例5)
実施例1で得られた水懸濁液をスプレードライヤー(ニロ・アトマイザー社製回転円盤型)により雰囲気温度200℃にて乾燥して微粒子を得た。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた微粒子懸濁液の特性値および微粒子の特性値を併せて表2に示す。
実施例1〜3で得られた微粒子は、汎用モノマーから製造でき、溶解性が良好な貧結晶性共重合ポリエステルの微粒子であった。これに対して、比較例1、2で得られた微粒子は、ガラス転移点が40℃よりも低い微粒子であったために、得られた微粒子が大きくなり、さらにはブロッキングし塊状になった。また、比較例3で得られた微粒子は、融点のある共重合ポリエステル樹脂を用いて微粒子を作製したために、溶解性が不良であった。また、比較例4、5で得られた微粒子は、懸濁液を加熱、超音波をかけなかったために、粒子径が大きなものであった。
このように、ガラス転移点が40℃以上の貧結晶性の共重合ポリエステルを水溶性樹脂と混錬し、水溶性樹脂を溶解し、得られた懸濁液を加熱、超音波をかけることで、はじめて、溶解性が良好な貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の微粒子を得ることができた。






Claims (2)

  1. レーザー回折散乱法で測定される平均粒径が0.1〜100μmである共重合ポリエステルであって、ガラス転移点が40℃以上、酸価が5mgKOH/g以下、かつ、シクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエン、酢酸エチルの各溶媒に対する溶解度(25℃)が10質量%以上であることを特徴とする貧結晶性共重合ポリエステル樹脂微粒子。
  2. 貧結晶性共重合ポリエステル樹脂を、水溶性樹脂と共に加熱混錬したのち、水溶性樹脂を水で溶解し、貧結晶性共重合ポリエステル樹脂の水懸濁液を作製した後、水懸濁液を加熱、超音波を付与して微粒子を得ることを特徴とする請求項1に記載の貧結晶性共重合ポリエステル樹脂微粒子の製造方法。
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