JP2009242289A - カーボネート化合物、中間体、その製造方法および用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の別の課題は、上記環状カーボネート化合物を、第1級または第2級アミンを有する化合物に開環付加反応させて、これら化合物にホスホリルコリン基を導入する修飾剤及び修飾方法を提供することにある。
また本発明によれば、式(2)で表される。環状カーボネート中間体が提供される。
更に本発明によれば、式(3)で表される水酸基を有する環状カーボネート化合物に、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランを非プロトン性溶媒中、塩化水素トラップ剤存在下で反応させることを特徴とする、請求項2記載の式(2)で示される環状カーボネート中間体の製造方法が提供される。
また本発明によれば、上記式(1)で表される環状カーボネート化合物を含む、第1級または第2級アミン構造を有する物質用の修飾剤が提供される。
更に本発明によれば、上記修飾剤を、第1級または第2級アミン構造を有する物質の第1級または第2級アミンに開環付加反応させて、カルバメート構造を有する物質を得ることを特徴とする、第1級または第2級アミンの修飾方法が提供される。
本発明の環状カーボネート化合物は、ホスホリルコリン基及びカーボネート基を有する、前記式(1)で表される化合物である。
式(1)中においては、nは1〜4の整数である。入手のしやすさから、n=1のメチレン基が好ましい。
式(5)で表される2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキソホスホランの使用量は、前記式(3)で表される環状カーボネート化合物に対してモル比で0.5〜2.0倍量、好ましくは0.8〜1.5倍量、最も好ましくは1.0〜1.1倍量である。
ここで、式(5)で表される化合物の量が、式(3)で表される環状カーボネート化合物に対してモル比で1.0倍量より少ない場合は、高い反応転化率が達成できないおそれがある。また、式(5)で表される化合物の量が、式(3)で表される環状カーボネート化合物に対してモル比で2倍量より多い場合は、更なる反応転化率の向上が達成できず、反応転化率の向上に寄与しない余剰分の式(5)で表される化合物が無駄になる。
非プロトン性溶媒の使用量は、式(3)で表される環状カーボネート化合物に対して質量比で通常1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
塩化水素トラップ剤の使用量は、式(5)で表される化合物に対してモル比で通常1〜10倍量、好ましくは1〜2倍量である。塩化水素トラップ剤の使用量が、式(5)で表される化合物に対してモル比で1倍量より少ないと、塩化水素を十分にトラップすることができないおそれがあり、またモル比で10倍量より多くても、更なる塩化水素のトラップ量の向上が望めないばかりか、使用する塩化水素トラップ剤の量が大量になることから、取り扱いの困難さが生じ、また反応効率の点からみても効率的ではない。
式(2)で表される中間体としては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルエチレンサイクリックホスフェイト、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルエチレンサイクリックホスフェイト、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−プロピルエチレンサイクリックホスフェイト、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−ブチルエチレンサイクリックホスフェイトが挙げられる。なお、前記反応においては、反応の副産物として、有機塩基であるハロゲン化水素塩が反応系に生じるが、これは濾過や抽出操作により除去することができる。
開環付加反応における溶媒の使用量は、式(2)で表される化合物に対して重量比で1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
トリメチルアミンの使用量は、式(2)で表される化合物に対してモル比で通常1.0〜10.0倍量、好ましくは1.5〜8.0倍量、最も好ましくは2.0〜5.0倍量である。このときトリメチルアミンの使用量が、式(2)で表される化合物に対してモル比で1.0倍量より少ないと、高い反応転化率が達成できないおそれがある。またモル比で10.0倍量より多くても、更なる反応転化率の向上が達成できず、反応転化率の向上に寄与しないトリメチルアミンが無駄になる。
以上の反応により、前記式(1)で表されるホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物を得ることができる。
得られる式(1)で表される化合物は、そのまま未精製で用いられる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲル濾過等の処理により単離、精製を行うこともできる。
R1としては、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、水素原子を除く基は置換基を有していても良く、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エーテル基、アシル基、エステル基、アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18であり、その具体例としては、メチル基、エチルプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、その具体例としては、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基が挙げられる。
アルキニル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは2〜6であり、その具体例としては、プロパルギル基、1−ペンチニル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、好ましくは6〜10であり、その具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基が挙げられる。
アラルキル基の炭素数は、好ましくは7〜10であり、その具体例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
R2は、R1の水素原子を除いたものと同様である。また、nは1〜4の整数である。
第1級または第2級アミンを有する低分子化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ブチルメチルアミン、ブチルエチルアミン等の脂肪族アミン;フェニルアミン、ベンジルアミン、キノリンアミン等の芳香族アミン;エチレンジアミン、1,2,5−ペンタントリアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラアミン等のポリアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等のヒドロキシルアミン;N−2−アミノエチル3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシ基含有アミン;N−ビニルアセトアミド等のアクリロイルオキシ基含有アミン等が挙げられる。
第1級または第2級アミンを有する生体分子としては、例えば、加水分解酵素、酸化還元酵素、転移酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素等の酵素;抗原および抗体が挙げられる。
第1級または第2級アミンを表面に有する素材としては、例えば、セラミック、金属、繊維、成形樹脂等の多種多様の素材が挙げられ、その形状は限定されない。素材自体にアミノ基が存在しない場合、プラスマ処理、シランカップリング剤処理等の公知の方法、または今後開発される方法によりアミノ基を素材表面に導入したものを用いることができる。
上記開環付加反応における溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物に対して質量比で通常1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、DBU(ジアザビシクロウンデセン)、DABCO(ジアザビシクロオクタン)、ピリジン等の3級アミン類;リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩類;塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩類;テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類;酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄等の金属酢酸塩類;水素化カルシウム等の金属水素化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;テトラブチルホスホニウムクロリド等のホスホニウム塩類が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、例えば、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキシド等の錫化合物が挙げられる。
上記開環付加反応における触媒の使用量は、式(1)で表される化合物に対して質量比で通常0.05〜10倍量、好ましくは0.10〜8倍量、最も好ましくは0.15〜5倍量である。
実施例1
500mLの四つ口フラスコに、式(A)で表されるグリセリンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノール)20.0g(169mmol)、トリエチルアミン17.1g(169mmol)およびテトラヒドロフラン250mLを加えて攪拌しながら0℃に冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)24.0g(169mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液中に式(B)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られた濾液およびアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン40.0g(676mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置し結晶を生成させた。生成物を濾過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(C)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリンを得た。収量は21.5g(76.1mmol)、収率は45.0%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
式(B)の化合物
1H NMR(CD3OD):4.16−4.30(m,9H,−O−CH 2 −CH 2 −O−,−CH 2 −CH−CH 2 −)
式(C)の化合物
1H NMR(CD3OD):3.11(s,9H,CH 3 −N+−),3.57−4.45(m,7H,−CH 2 −N+−,−CH 2 −CH−CH 2 −),4.62(t,2H,−N+−CH2−CH 2 −O−)
31P NMR(CD3OD):0.55
500mLの四つ口フラスコに式(D)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−エタノール20.0g(151mmol)、トリエチルアミン17.1g(151mmol)およびテトラヒドロフラン250mLを加えて攪拌しながら0℃に冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)21.4g(151mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液中に式(E)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られた濾液およびアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン35.7g(604mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置し結晶を生成させた。生成物を濾過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(F)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルホスホリルコリンを得た。収量は18.8g(63.4mmol)、収率は42.0%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
式(E)の化合物
1H NMR(CD3OD):1.90(t,2H,−CH2−CH 2 −CH−),4.01−4.25(m,9H,−O−CH 2 −CH 2 −O−,−CH 2 −CH2−CH−CH 2 −)
式(F)の化合物
1H NMR(CD3OD):1.72(q,2H,−CH2−CH 2 −CH−),3.10(s,9H,CH 3 −N+−),3.57−4.45(m,7H,−CH 2 −N+−,−CH 2 −CH−CH 2 −),4.62(t,2H,−N+−CH2−CH 2 −O−)
31P NMR(CD3OD):0.56
スクリュー管に実施例1で得られた1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン1.0g(3.5mmol)と、式(G)で表されるブチルアミン0.26g(3.5mmol)をエタノール10mLに溶解し、50℃で攪拌した。12時間反応させた後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去、真空中で乾燥し、式(H)で表される(異性体を含む)白色粉体を得た。収量は1.18g(3.3mmol)、収率は94.2%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CD3CD2OD):0.96(t,3H,−CH2−CH 3 ),1.33(m,2H,−CH2−CH 2 −CH3),1.33(m,2H,−CH 2 −CH2−CH3),2.96(t,2H,−NH−CH 2 −),3.26(s,9H,CH 3 −N+−),3.58−3.78(m,7H,−CH 2 −N+−,−O−CH 2 −CH−CH 2 −O−),3.97(t,2H,−N+−CH2−CH 2 −O−)
31P NMR(CD3CD2OD):0.58
スクリュー管に実施例1で得られた1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン2.0g(7.0mmol)と式(I)で表される1,6−ジアミノヘキサン0.41g(3.5mmol)をエタノール20mLに溶解し、50℃で攪拌した。12時間反応させた後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去、真空中で乾燥し、式(J)で表される(異性体を含む)白色粘性固体を得た。収量は2.12g(3.1mmol)、収率は88.6%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CD3CD2OD):1.29(m,4H,−HN−CH2−CH2−CH 2 −),1.55(m,4H,−HN−CH2−CH 2 −),2.98(t,4H,−NH−CH 2 −),3.29 (s,18H,CH 3 −N+−),3.58−3.78(m,14H,−CH 2 −N+−,−O−CH 2 −CH−CH 2 −O−),3.97(t,4H,−N+−CH2−CH 2 −O−)
31P NMR (CD3CD2OD):0.55
Claims (6)
- 請求項2記載の式(2)で示される環状カーボネート中間体と、トリメチルアミンとを開環付加反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で表される環状カーボネート化合物の製造方法。
- 請求項1記載の式(1)で表される環状カーボネート化合物を含む、第1級または第2級アミン構造を有する物質用の修飾剤。
- 請求項5記載の修飾剤を、第1級または第2級アミン構造を有する物質の第1級または第2級アミンに開環付加反応させて、カルバメート構造を有する物質を得ることを特徴とする、第1級または第2級アミンの修飾方法。
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