JP2009242289A - カーボネート化合物、中間体、その製造方法および用途 - Google Patents

カーボネート化合物、中間体、その製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】分子内にホスホリルコリン基および環状カーボネート基を有するホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物、該化合物を第1級または第2級アミンを有する化合物に開環付加反応させて、ホスホリルコリン基を導入する修飾剤及び修飾方法の提供。
【解決手段】環状カーボネート化合物とその環状カーボネート中間体で、該環状カーボネート化合物は、式(1)で表わされる。例えば、第1級または第2級アミンにホスホリルコリン基を導入しうる修飾剤として有用である。
Figure 2009242289

【選択図】なし

Description

本発明は、ホスホリルコリン基および環状カーボネート基を有するホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物に関する。
生体膜を構成するリン脂質の極性基であるホスホリルコリン基は、親水性、保湿性、タンパク質吸着の抑制および生体適合性といった特性を有することが知られている。ホスホリルコリン基を有する化合物、例えば、α−グリセロホスホリルコリンは、乳化剤および保湿剤に利用されるリン脂質の原料として、また特許文献1,2に記載される2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体は、化粧品、コンタクトレンズおよび医療材料の原料として利用されている。
環状カーボネート基を有する化合物、例えば、特許文献3に記載されるグリセロールカーボネート誘導体は保湿剤として、特許文献4に記載される1,3−ジオキサン−2−オン−5−イル(メタ)アクリレートは、塗料、接着剤、粘着剤、電池電解質の原料として、利用できることが提案されている。特許文献5に記載されるカーボネート基含有シリコーンは、アミノ基含有シリコーン化合物と反応させ、カルバメート構造を有するシリコーンを得、化粧品の原料として利用できることが提案されている。特許文献6には、ある特定官能基を有する環状カーボネート化合物と、第1級アミンまたは第2級アミンを有する生体分子またはポリマーとを反応させ、それらに特定官能基を導入する方法が記載されている。
このように、ホスホリルコリン基または環状カーボネート基を有する化合物は様々知られており、種々の用途で使用されている。しかし、両者を分子内に有するホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物はこれまで全く知られておらず、有用性も未知であった。
特開平7−118123号公報 特開2000−279512号公報 特表2002−524485号公報 特開2001−192379号公報 特開平10−67857号公報 特表2007−523057公報
本発明の課題は、分子内にホスホリルコリン基および環状カーボネート基を有するホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物を提供することにある。
本発明の別の課題は、上記環状カーボネート化合物を、第1級または第2級アミンを有する化合物に開環付加反応させて、これら化合物にホスホリルコリン基を導入する修飾剤及び修飾方法を提供することにある。
本発明によれば、式(1)で表される、環状カーボネート化合物が提供される。
Figure 2009242289
(式中、nは1〜4の整数である。)
また本発明によれば、式(2)で表される。環状カーボネート中間体が提供される。
Figure 2009242289
(式中、nは1〜4の整数である。)
更に本発明によれば、式(3)で表される水酸基を有する環状カーボネート化合物に、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランを非プロトン性溶媒中、塩化水素トラップ剤存在下で反応させることを特徴とする、請求項2記載の式(2)で示される環状カーボネート中間体の製造方法が提供される。
Figure 2009242289
(式中、nは1〜4の整数である。)
更にまた本発明によれば、上記式(2)で示される環状カーボネート中間体と、トリメチルアミンとを開環付加反応させることを特徴とする、上記式(1)で表される環状カーボネート化合物の製造方法が提供される。
また本発明によれば、上記式(1)で表される環状カーボネート化合物を含む、第1級または第2級アミン構造を有する物質用の修飾剤が提供される。
更に本発明によれば、上記修飾剤を、第1級または第2級アミン構造を有する物質の第1級または第2級アミンに開環付加反応させて、カルバメート構造を有する物質を得ることを特徴とする、第1級または第2級アミンの修飾方法が提供される。
本発明の前記式(1)に表される環状カーボネート化合物は、分子構造中のホスホリルコリン基とカーボネート基を有するので、該ホスホリルコリン基による親水性、保湿性、タンパク質吸着の抑制および生体適合性といった特性を有し、且つ、該カーボネート基による、第1級または第2級アミンを有する低分子化合物、ポリマー、生体分子および素材表面等と穏やかな条件下で開環付加反応し、ホスホリルコリン基をそれら化合物および素材表面に簡便に導入することができる修飾剤として有用である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の環状カーボネート化合物は、ホスホリルコリン基及びカーボネート基を有する、前記式(1)で表される化合物である。
式(1)中においては、nは1〜4の整数である。入手のしやすさから、n=1のメチレン基が好ましい。
前記式(1)の化合物としては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルホスホリルコリン、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−プロピルホスホリルコリン、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−ブチルホスホリルコリンが挙げられる。合成のし易さからは、式(4)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリンが好ましく挙げられる。
Figure 2009242289
本発明の式(1)で示される環状カーボネート化合物は、例えば、前記式(3)で表される水酸基を有する環状カーボネート化合物に、式(5)で表される2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランを非プロトン性溶媒中、塩化水素トラップ剤存在下で反応させることにより、前記式(2)で表されるジオキサホスホランリン酸エステル基含有環状カーボネート中間体を得、トリメチルアミンを開環付加反応させる方法により得ることができる。
Figure 2009242289
前記式(3)で表される水酸基を有する環状カーボネート化合物は、グリセリンカーボネートと称される1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノール、1,3−ジオキソラン−2−オン−エタノール、1,3−ジオキソラン−2−オン−プロパノール、1,3−ジオキソラン−2−オン−イルブタノールの市販品を用いることができる他、公知の合成方法を屈指することにより、既知の原料、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノールの場合、グリセリンと炭酸ジメチルを用いて合成したものを用いることもできる。入手のしやすさから、1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノールが好ましい。
本発明の製造方法に用いる、前記式(5)で表される2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキソホスホランは、R.S.Edmundson.,Chem.Ind.,(London),1962,1828(1962)などで知られる既知の方法により合成したものを用いても良いが、市販品を用いることもできる。
式(5)で表される2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキソホスホランの使用量は、前記式(3)で表される環状カーボネート化合物に対してモル比で0.5〜2.0倍量、好ましくは0.8〜1.5倍量、最も好ましくは1.0〜1.1倍量である。
ここで、式(5)で表される化合物の量が、式(3)で表される環状カーボネート化合物に対してモル比で1.0倍量より少ない場合は、高い反応転化率が達成できないおそれがある。また、式(5)で表される化合物の量が、式(3)で表される環状カーボネート化合物に対してモル比で2倍量より多い場合は、更なる反応転化率の向上が達成できず、反応転化率の向上に寄与しない余剰分の式(5)で表される化合物が無駄になる。
本発明の製造法において、前記式(3)と前記式(5)で表される化合物との反応に用いられる溶媒としては、一般に非プロトン性溶媒であれば特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、塩化メチレン、アセトニトリルが好ましく挙げられ、化合物の溶解性、化合物の反応性の点からテトラヒドロフランが最も好ましく挙げられる。
非プロトン性溶媒の使用量は、式(3)で表される環状カーボネート化合物に対して質量比で通常1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
本発明の製造法において、前記式(3)と前記式(5)で表される化合物との反応に用いる塩化水素トラップ剤としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルアミンが挙げられる。
塩化水素トラップ剤の使用量は、式(5)で表される化合物に対してモル比で通常1〜10倍量、好ましくは1〜2倍量である。塩化水素トラップ剤の使用量が、式(5)で表される化合物に対してモル比で1倍量より少ないと、塩化水素を十分にトラップすることができないおそれがあり、またモル比で10倍量より多くても、更なる塩化水素のトラップ量の向上が望めないばかりか、使用する塩化水素トラップ剤の量が大量になることから、取り扱いの困難さが生じ、また反応効率の点からみても効率的ではない。
本発明の製造法において、前記式(3)と前記式(5)で表される化合物との反応における反応温度は、通常−50〜50℃、好ましくは−30〜30℃、最も好ましくは−20〜20℃の範囲である。反応温度が−50℃よりも低い場合は、反応に長時間を要する恐れがある。また反応温度が50℃より高い場合、更なる反応速度が望めないうえ、式(3)と式(5)で表される化合物との反応が発熱反応であるため反応温度の制御が困難となり危険になるおそれがある。反応時間は、反応温度、濃度などの条件により異なるが、通常1〜12時間程度が好ましい。
以上の反応により、前記式(2)で表されるジオキサホスホランリン酸エステル基含有環状カーボネート中間体が得られる。
式(2)で表される中間体としては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルエチレンサイクリックホスフェイト、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルエチレンサイクリックホスフェイト、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−プロピルエチレンサイクリックホスフェイト、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−ブチルエチレンサイクリックホスフェイトが挙げられる。なお、前記反応においては、反応の副産物として、有機塩基であるハロゲン化水素塩が反応系に生じるが、これは濾過や抽出操作により除去することができる。
本発明の製造方法において、前記式(2)で表される中間体に、トリメチルアミンを開環付加反応させるにあたっては、開環付加反応を非プロトン性溶媒中で行えばよい。非プロトン性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、塩化メチレン、アセトニトリルが好ましく挙げられるが、極性が高い溶媒を用いるのが開環付加反応によい点からは、溶媒としてアセトニトリルが最も好ましい。
開環付加反応における溶媒の使用量は、式(2)で表される化合物に対して重量比で1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
本発明の製造法に用いるトリメチルアミンは、通常N,N−ジメチルメタンアミンとして知られており、一般に市販されているトリメチルアミンを好ましく使用することができる。
トリメチルアミンの使用量は、式(2)で表される化合物に対してモル比で通常1.0〜10.0倍量、好ましくは1.5〜8.0倍量、最も好ましくは2.0〜5.0倍量である。このときトリメチルアミンの使用量が、式(2)で表される化合物に対してモル比で1.0倍量より少ないと、高い反応転化率が達成できないおそれがある。またモル比で10.0倍量より多くても、更なる反応転化率の向上が達成できず、反応転化率の向上に寄与しないトリメチルアミンが無駄になる。
本発明の製造方法において、前記開環付加反応の反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは40〜80℃、最も好ましくは60〜80℃の範囲である。反応時間は、反応温度、トリメチルアミンの使用量などの条件により異なるが、通常1〜24時間程度が好ましい。
以上の反応により、前記式(1)で表されるホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物を得ることができる。
得られる式(1)で表される化合物は、そのまま未精製で用いられる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲル濾過等の処理により単離、精製を行うこともできる。
前記式(1)で表されるホスホリルコリン基含有環状カーボネート化合物は、式(6)で表される第1級または第2級アミンを有する化合物と、式(7)で表される反応スキームで開環付加反応し、2つの異性体を生成することができる。要するに、式(1)の化合物は、第1級または第2級アミンを有する化合物に対して、修飾剤として作用する。
Figure 2009242289
式(6)および式(7)において、R1およびR2の例を以下に列挙するが、第1級または第2級アミンを有する物質であれば、以下に限定されない。
1としては、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、水素原子を除く基は置換基を有していても良く、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エーテル基、アシル基、エステル基、アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18であり、その具体例としては、メチル基、エチルプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、その具体例としては、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基が挙げられる。
アルキニル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは2〜6であり、その具体例としては、プロパルギル基、1−ペンチニル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、好ましくは6〜10であり、その具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基が挙げられる。
アラルキル基の炭素数は、好ましくは7〜10であり、その具体例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
2は、R1の水素原子を除いたものと同様である。また、nは1〜4の整数である。
第1級または第2級アミンを有する物質としては、例えば、低分子化合物、高分子化合物、生体分子および素材表面が挙げられる。
第1級または第2級アミンを有する低分子化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ブチルメチルアミン、ブチルエチルアミン等の脂肪族アミン;フェニルアミン、ベンジルアミン、キノリンアミン等の芳香族アミン;エチレンジアミン、1,2,5−ペンタントリアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラアミン等のポリアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等のヒドロキシルアミン;N−2−アミノエチル3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシ基含有アミン;N−ビニルアセトアミド等のアクリロイルオキシ基含有アミン等が挙げられる。
第1級または第2級アミンを有する高分子化合物としては、例えば、ポリアルキレンアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミノスチレン、アミノアルキル基(末端基または側基)含有ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
第1級または第2級アミンを有する生体分子としては、例えば、加水分解酵素、酸化還元酵素、転移酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素等の酵素;抗原および抗体が挙げられる。
第1級または第2級アミンを表面に有する素材としては、例えば、セラミック、金属、繊維、成形樹脂等の多種多様の素材が挙げられ、その形状は限定されない。素材自体にアミノ基が存在しない場合、プラスマ処理、シランカップリング剤処理等の公知の方法、または今後開発される方法によりアミノ基を素材表面に導入したものを用いることができる。
前記式(1)と前記式(6)で表される化合物とを開環付加反応させるにあたっては、開環付加反応を無溶媒または溶媒中で行うことができる。反応に用いられる溶媒としては、例えば、水、緩衝液、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル等の各種有機溶媒およびそれら混合物が好ましく挙げられる。前記式(1)の環状カーボネート基の極性が高い点からは、溶媒として、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
上記開環付加反応における溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物に対して質量比で通常1〜20倍量、好ましくは2〜15倍量、最も好ましくは4〜10倍量である。
前記式(1)と前記式(6)で表される化合物とを開環付加反応させる場合の式(6)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、カーボネート基/アミノ基のモル比で通常1.0〜3.0倍量、好ましくは1.0〜2.0倍量、最も好ましくは1.0〜1.5倍量である。このとき式(6)で表される化合物の使用量が、式(1)で表される化合物に対してモル比で1倍量より少ないと、高い反応転化率が達成できないおそれがある。またモル比で3倍量より多くても、更なる反応転化率の向上が達成できず、反応転化率の向上に寄与しない式(6)で表される化合物が無駄になる。
前記式(1)と前記式(6)で表される化合物とを開環付加反応させる場合には、塩基触媒またはルイス酸触媒等の触媒を用いることができる。
塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、DBU(ジアザビシクロウンデセン)、DABCO(ジアザビシクロオクタン)、ピリジン等の3級アミン類;リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩類;塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩類;テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類;酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄等の金属酢酸塩類;水素化カルシウム等の金属水素化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;テトラブチルホスホニウムクロリド等のホスホニウム塩類が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、例えば、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキシド等の錫化合物が挙げられる。
上記開環付加反応における触媒の使用量は、式(1)で表される化合物に対して質量比で通常0.05〜10倍量、好ましくは0.10〜8倍量、最も好ましくは0.15〜5倍量である。
前記式(1)と前記式(6)で表される化合物とを開環付加反応させる反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃、最も好ましくは40〜80℃の範囲である。反応時間は、反応温度、触媒などの条件により異なるが、通常1〜24時間程度が好ましい。
以上の反応により、前記式(1)で表される化合物と前記式(6)で表される化合物とを開環付加反応させて、式(7)で示されるようなカルバメート構造を有する反応生成物を得ることができる。得られる反応生成物は、そのまま未精製で用いられる他、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲル濾過等の処理により単離、精製を行うこともできる。
本発明の式(1)で表される環状カーボネート化合物は、ホスホリルコリン基による生体適合性といった特性を有するのみならず、分子構造中にカーボネート基を有するため、第1級または第2級アミンを有する低分子化合物、高分子化合物、生体分子および素材表面などと穏やかな条件下で、上述のように開環付加反応し、ホスホリルコリン基をそれら化合物に簡便に導入することができる。従って、このような第1級または第2級アミンの修飾剤として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
500mLの四つ口フラスコに、式(A)で表されるグリセリンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン−メタノール)20.0g(169mmol)、トリエチルアミン17.1g(169mmol)およびテトラヒドロフラン250mLを加えて攪拌しながら0℃に冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)24.0g(169mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液中に式(B)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られた濾液およびアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン40.0g(676mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置し結晶を生成させた。生成物を濾過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(C)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリンを得た。収量は21.5g(76.1mmol)、収率は45.0%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
式(B)の化合物
1H NMR(CD3OD):4.16−4.30(m,9H,−O−CH 2 −CH 2 −O−−CH 2 −CH−CH 2 −)
式(C)の化合物
1H NMR(CD3OD):3.11(s,9H,CH 3 −N+−),3.57−4.45(m,7H,−CH 2 −N+−,−CH 2 −CH−CH 2 ),4.62(t,2H,−N+−CH2CH 2 −O−)
31P NMR(CD3OD):0.55
Figure 2009242289
実施例2
500mLの四つ口フラスコに式(D)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−エタノール20.0g(151mmol)、トリエチルアミン17.1g(151mmol)およびテトラヒドロフラン250mLを加えて攪拌しながら0℃に冷却した。2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホラン(シグマ−アルドリッチ社製)21.4g(151mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、得られた溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応混合物を昇温して室温で2時間反応を継続させた。副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液中に式(E)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルエチレンサイクリックホスフェイトがあることをNMRにて確認した。得られた濾液およびアセトニトリル300mLを1Lの密栓付き耐圧瓶に移し替え、その耐圧瓶にトリメチルアミン35.7g(604mmol)を加えて密栓し、70℃で20時間反応させた。過剰のトリメチルアミンを留去後、反応液を−20℃で半日放置し結晶を生成させた。生成物を濾過し、アセトニトリル1Lで洗浄し50℃で一晩減圧乾燥させ、式(F)で表される1,3−ジオキソラン−2−オン−4−エチルホスホリルコリンを得た。収量は18.8g(63.4mmol)、収率は42.0%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
式(E)の化合物
1H NMR(CD3OD):1.90(t,2H,−CH2CH 2 −CH−),4.01−4.25(m,9H,−O−CH 2 −CH 2 −O−,−CH 2 −CH2CH−CH 2 −)
式(F)の化合物
1H NMR(CD3OD):1.72(q,2H,−CH2CH 2 −CH−),3.10(s,9H,CH 3 −N+−),3.57−4.45(m,7H,−CH 2 −N+−,−CH 2 −CH−CH 2 ),4.62(t,2H,−N+−CH2CH 2 −O−)
31P NMR(CD3OD):0.56
Figure 2009242289
実施例3
スクリュー管に実施例1で得られた1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン1.0g(3.5mmol)と、式(G)で表されるブチルアミン0.26g(3.5mmol)をエタノール10mLに溶解し、50℃で攪拌した。12時間反応させた後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去、真空中で乾燥し、式(H)で表される(異性体を含む)白色粉体を得た。収量は1.18g(3.3mmol)、収率は94.2%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CD3CD2OD):0.96(t,3H,−CH2CH 3 ),1.33(m,2H,−CH2CH 2 −CH3),1.33(m,2H,−CH 2 −CH2−CH3),2.96(t,2H,−NH−CH 2 −),3.26(s,9H,CH 3 −N+−),3.58−3.78(m,7H,−CH 2 −N+−,−O−CH 2 −CH−CH 2 −O−),3.97(t,2H,−N+−CH2CH 2 −O−)
31P NMR(CD3CD2OD):0.58
Figure 2009242289
実施例4
スクリュー管に実施例1で得られた1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチルホスホリルコリン2.0g(7.0mmol)と式(I)で表される1,6−ジアミノヘキサン0.41g(3.5mmol)をエタノール20mLに溶解し、50℃で攪拌した。12時間反応させた後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去、真空中で乾燥し、式(J)で表される(異性体を含む)白色粘性固体を得た。収量は2.12g(3.1mmol)、収率は88.6%であった。得られた生成物に関する1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CD3CD2OD):1.29(m,4H,−HN−CH2−CH2CH 2 −),1.55(m,4H,−HN−CH2CH 2 −),2.98(t,4H,−NH−CH 2 −),3.29 (s,18H,CH 3 −N+−),3.58−3.78(m,14H,−CH 2 −N+−,−O−CH 2 −CH−CH 2 −O−),3.97(t,4H,−N+−CH2CH 2 −O−)
31P NMR (CD3CD2OD):0.55
Figure 2009242289

Claims (6)

  1. 式(1)で表される、環状カーボネート化合物。
    Figure 2009242289
    (式中、nは1〜4の整数である。)
  2. 式(2)で表される、環状カーボネート中間体。
    Figure 2009242289
    (式中、nは1〜4の整数である。)
  3. 式(3)で表される水酸基を有する環状カーボネート化合物に、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランを非プロトン性溶媒中、塩化水素トラップ剤存在下で反応させることを特徴とする、請求項2記載の式(2)で示される環状カーボネート中間体の製造方法。
    Figure 2009242289
    (式中、nは1〜4の整数である。)
  4. 請求項2記載の式(2)で示される環状カーボネート中間体と、トリメチルアミンとを開環付加反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で表される環状カーボネート化合物の製造方法。
  5. 請求項1記載の式(1)で表される環状カーボネート化合物を含む、第1級または第2級アミン構造を有する物質用の修飾剤。
  6. 請求項5記載の修飾剤を、第1級または第2級アミン構造を有する物質の第1級または第2級アミンに開環付加反応させて、カルバメート構造を有する物質を得ることを特徴とする、第1級または第2級アミンの修飾方法。
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