JP2009242121A - リチウムマンガン酸化物粉体粒子及びその製造方法、並びにそれを正極活物質として用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウムマンガン酸化物粉体粒子及びその製造方法、並びにそれを正極活物質として用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、体積エネルギー密度に優れ、高容量が期待でき、急速な放電に対応可能で、かつ低価格のリチウム二次電池が可能とするために重要な柱状の単結晶粒子形状を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子及びその製造方法、並びにそれを正極活物質として用いたリチウム二次電池を提供することである。
【解決手段】一般式としてLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)で標記され、スピネル型関連の結晶構造をとり、粒子の形状がマイクロメーターサイズの柱状で結晶面が発達した単結晶的形状であることを特徴とするリチウムマンガン酸化物粉体粒子及びその製造方法、並びにそれを正極活物質として用いたリチウム二次電池。
【選択図】図3

Description

本発明は、柱状の単結晶的形状を有するスピネル型のリチウムマンガン酸化物粉体粒子及びその製造方法、並びにそれを活物質として含有した正極を構成部材として含むリチウム二次電池に関する。
現在我が国においては、携帯型ゲーム機、カメラ用のアルカリ電池、リチウム電池、或いは、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯型電子機器に搭載されているリチウム二次電池において、多くのマンガン酸化物が電極材料として使用されている。今後、これまでの携帯用電子機器としての需要以外にも、非常用バックアップ電源、分散型電源として、電池の重要性はますます高まっている。
このリチウム二次電池は、リチウム含有遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、リチウム金属、リチウム合金、金属酸化物、カーボンといった、リチウムを吸蔵・放出することが出来る材料を活物質とする負極と、非水系電解液を含むセパレータ又は固体電解質を主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、正極活物質として検討されているのは、層状岩塩型リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、層状岩塩型リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn)などが挙げられる。
特に、リチウムコバルト酸化物LiCoO正極活物質と炭素材料を負極とした組み合わせた電池において、4V近い電圧が可能となり、また充放電容量(正極から脱離・挿入可能なリチウム量)も大きいことから、リチウムコバルト酸化物正極が、現行のリチウム二次電池において広く採用されている。
しかしながら、LiCoOのコバルトは希少金属であり、コバルト価格高騰からリチウム二次電池の価格上昇の原因になっている。加えて、全世界のコバルト生産量の約20%を電池産業が占めており、今後の需要拡大に対応ができないと予想される。
これに対して、LiNiOはコバルトよりも安価なニッケルを用いており、価格的にはリチウムコバルト酸化物よりも有利であり、また、電池容量もリチウムコバルト酸化物より高容量が可能となることから、LiCoOの有力な代替材料と考えられている。
しかしながら、このLiNiOを正極材料として用いたリチウム二次電池は、充電状態での正極活物質の不安定性から、高温に保持すると分解、発熱、発火などの危険性があり、解決すべき問題が多くある。
一方、スピネル型のリチウムマンガン酸化物LiMnはリチウムコバルト酸化物やリチウムニッケル酸化物と比較すると、コバルトやニッケルよりも安価なマンガンを用いており、かつ充電時の安全性という点でも優れている。このことから、安全性が重要になる携帯型ゲーム機や、自動車用の電池材料として注目されている。
しかしながら、このスピネル型のリチウムマンガン酸化物は、リチウムコバルト酸化物(150mAh/g)と比べて、酸化物重量当たりの容量が120mAh/g程度と小さいことが、電池のエネルギー密度の観点から、問題であった。
また、電池の充放電を繰り返すと電池容量が著しく減少する、つまり充放電サイクル特性が悪いという問題点があった。さらに、60℃以上の高温で電池を長期間保存しておくと、電池容量が著しく減少する、という高温貯蔵劣化の問題点もあった。
今後、リチウム二次電池やキャパシタ等の充放電可能な二次電池は、自動車用電源や大容量のバックアップ電源、定置型電源など、大型で長寿命のものが必要となることが予測されることから、資源的に豊富なマンガン酸化物を活用した高容量に資する正極活物質が必要とされていた。
そこで、限られた電池空間の中で、より体積当たりのエネルギー密度を向上させるためには、電極の密度を向上させることが重要であり、そのために粒子サイズの大きい単結晶粒子が検討されていた。(特許文献1及び2、非特許文献1及び2)
また、単結晶粒子を正極材料として用いたリチウム二次電池では、急速な充放電が可能で、かつ電解液との反応性をより低減可能である、優れた電池特性が発揮できることが明らかとなっている。(非特許文献2)
しかしながら、これまで検討されてきた単結晶粒子は、正八面体的な形状であり、リチウムイオンの拡散には不利な{111}面で単結晶面が覆われており、急速な放電を行う電池における使用上、問題であった。
これに対して、最もイオンの拡散に有利な{110}面で結晶表面が構成されたスピネル型のリチウムマンガン酸化物の単結晶粒子、或いはその製造方法を開示したものはなかった。
特許第3987925号公報 特開2007−294119号公報 J.Akimoto,Y.Gotoh,Y.Takahashi,Crystal Growth & Design,3,627−629(2003) Y.Takahashi,H.Sasaoka,R.Kuzuo,N.Kijima,J.Akimoto,Electrochem.and Solid−State Lett.,9(4),A203−A206(2006)
本発明の課題は、上記のような既存のリチウムマンガン酸化物の課題を解決して、体積エネルギー密度に優れ、高容量が期待でき、急速な放電に対応可能で、かつ低価格のリチウム二次電池が可能とするために重要な柱状の単結晶粒子形状を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子及びその製造方法、並びにそれを正極活物質として用いたリチウム二次電池を提供することである。
本発明者は、上記特許文献1〜2に記載された先願発明(以下、これらをまとめて単に「先願発明」という)を含む上記従来技術の問題に鑑みて鋭意検討を重ねてきた。その結果、出発原料としてナトリウム、マンガン、チタン、及び酸素から構成された化合物を使用し、イオン交換とその後の熱処理によって、出発原料の粒子形状を保持した、マイクロメーターサイズの柱状の単結晶粒子形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子が作製可能なこと、及びその化学組成、結晶構造、製造方法を明らかにし、合成されたLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)を正極活物質として用いたリチウム二次電池を作製し、良好なサイクル特性と優れた放電特性を確認できたことで、本発明は完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示す(1)〜(8)の構成をとるものである。
(1)一般式としてLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)で標記され、スピネル型関連の結晶構造をとり、粒子の形状がマイクロメーターサイズの柱状で結晶面が発達した単結晶的形状であることを特徴とするリチウムマンガン酸化物粉体粒子。
(2)粉体粒子の形状として、柱状単結晶の長軸方向の長さが1μm以上20μm以下であることを特徴とする(1)に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子。
(3)厳密な化学組成として、出発原料由来のナトリウム量がNa/Liのモル比で0以上0.1以下含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子。
(4)一般式としてLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)で標記され、斜方晶系の結晶格子を有し、NaMnTi18型のトンネル構造を有する化合物を出発原料として、空気中400℃以上800℃以下の温度で加熱することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
(5)上記トンネル構造を有するLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子を、空気中600℃から1000℃の高温焼成によって作製された柱状単結晶の形状を有するナトリウム、マンガン、チタン、酸素から構成された化合物粉体粒子を出発原料として、リチウムイオン交換処理を施すことによって作製することを特徴とする(4)に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
(6)イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする(4)又は(5)に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
(7)イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶媒中か水溶液中で行うことを特徴とする(4)又は(5)に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
(8)正極及び負極として使用する2つの電極と、電解質からなるリチウム二次電池であって、(1)から(3)のいずれかに記載の酸化物粉体粒子を正極活物質として用いたリチウム二次電池。
本発明によれば、マイクロメーターサイズの柱状単結晶の形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子が製造可能であり、この粉体粒子を正極材料の活物質として使用することによって、優れた特性を有するリチウム二次電池が可能となる。
本発明のスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子は、形状としてマイクロメーターサイズの柱状の単結晶粒子、もしくは単結晶粒子の凝集体である多結晶粒子からなることを特徴とする材料である。
柱状の単結晶形状を有することで、リチウムイオンの拡散に適する方位である{110}面などが結晶面として出現することが可能となり、高速なイオン伝導経路を保持できる、という特徴を有する単結晶材料である。
本発明のうち、スピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法は、まず、原料であるナトリウム、マンガン、チタン、酸素から構成されたトンネル構造化合物(以後「ナトリウム化合物」と呼ぶ)を作製し、次に、それをリチウムイオン交換処理した化合物(以後「リチウムイオン交換体」と呼ぶ)を作製し、その後、熱処理をすることによって、作製されることを特徴とする方法である。
この製造方法で作製されたスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子は、出発原料であるトンネル構造を有するナトリウム化合物の粉体特性をそのまま維持していることを特徴とする。
すなわち、出発原料であるナトリウム化合物の合成条件によって、最終目的物であるスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の粒子サイズ、柱状粒子の形状を制御できる、という特徴を有している。
本発明のうち、スピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法は、結晶構造の特徴として、斜方晶系の結晶格子を有し、NaMnTi18型のトンネル構造を有することを特徴とするリチウムイオン交換体Li1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)を出発原料として、空気中400℃以上800℃以下の温度で加熱することを特徴とする製造方法である。
本発明の製造方法のうち、出発原料であるトンネル構造を有するリチウムイオン交換体Li1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子は、空気中600℃から1000℃の高温焼成によって作製された柱状単結晶の形状を有するナトリウム、マンガン、チタン、酸素から構成されたナトリウム化合物粉体粒子を原料として、リチウムイオン交換処理によって、ほぼ完全にリチウムに置き換えること特徴とする方法である。
すなわち、本発明のLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子は、リチウム、マンガン、チタン、及び酸素を主要構成元素として含有することを特徴とするが、本発明の効果を妨げない範囲内で出発原料由来のナトリウム等の不純物元素を含有してもよい。
また、本発明のLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子は、出発原料であるトンネル構造ナトリウム化合物中のマンガン、チタンの量比をそのまま維持可能であり、トンネル構造の単一相が生成可能なチタン置換量である0≦y≦10/9の範囲内で組成を自由に選択できることを特徴とする。
さらに、本発明のスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子を正極材料として用いたリチウム二次電池は、急速放電が可能で、かつ電解液との反応性をより低減可能な、優れた電池特性を有する電池である。
本発明に係わるリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法を更に詳しく説明する。
(出発原料であるトンネル構造を有するナトリウム化合物粉体粒子の合成)
原料としてナトリウム化合物の少なくとも1種、マンガン化合物の少なくとも1種、及びチタン化合物の少なくとも1種を、上記組成範囲内で自由に選択された割合となるように秤量・混合し、空気中などの酸素ガスが存在する雰囲気中で加熱することによって、製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)及びナトリウム化合物の少なくとも一種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えば、NaO,NaNO等の酸化物、NaCO、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物が挙げられる。これらの中でも、特にNaCO等が好ましい。
マンガン原料としては、マンガン(金属マンガン)及びマンガン化合物の少なくとも一種を用いる。マンガン化合物としては、マンガンを含有するものであれば特に制限されず、例えば、Mn,Mn,MnO等の酸化物、MnCO,MnCl等の塩類、Mn(OH)等などの水酸化物,MnOOH等の酸化水酸化物が挙げられる。これらの中でも特にMn等が好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも一種を用いる。チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えば、TiO、Ti、TiO等の酸化物等が挙げられる。これらの中でも特にTiO等が好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調整する。ナトリウム原料とマンガン原料及びチタン原料の混合割合は、NaMnTi18型の結晶構造を有する単一相が生成できるように自由に選択された化学組成で混合することが望ましい。すなわち、マンガンとチタンの量比としては、Ti/Mnのモル比で0以上5/4以下の範囲で自由に設定することができる。好ましいモル比は0以上1/5以下である。また、加熱時にナトリウムは揮発し易く、生成物中のナトリウム量が仕込み組成よりも少なくなることが多いので、ナトリウム量は、モル%で数%〜10数%程度過剰に加えた方が好ましい。
また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよい。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、混合物の組成等に応じて設定することが出来るが、通常は600℃〜1000℃程度、好ましくは800℃〜950℃とすればよい。また焼成雰囲気も特に限定されず、通常は酸化性雰囲気又は大気雰囲気で実施すればよい。焼成時間は、焼成温度に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷すればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよい。すなわち、本発明方法では、上記混合物の焼成、冷却及び粉砕を1回以上実施することが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
(リチウムイオン交換体粉体粒子の合成)
次いで、焼成されたナトリウム化合物粉体粒子に、リチウム化合物を含む溶融塩中、或いは有機溶剤又は水溶液中でイオン交換処理を施すことにより、NaMnTi18型の結晶構造を有し、化学組成式Li1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)で表されるリチウムイオン交換体粉体粒子が得られる。
この場合に、リチウム含有化合物を含む溶融塩中において、粉砕されたナトリウム化合物粉体粒子を分散させながら、イオン交換処理を施すことが好適である。溶融塩としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、水酸化リチウム等の低温で溶融する塩類のうちで、いずれか1種以上を含む溶融塩を用いることができる。好ましい方法としては、リチウム化合物とナトリウム化合物粉体粒子の粉末をよく混合しておく。混合比は、通常、溶融塩中のLi/(ナトリウム化合物中のNa)のモル比で2〜40、好ましくは5〜30である。
イオン交換の温度は、250℃〜600℃、好ましくは260℃〜500℃である。イオン交換の温度が260℃よりも低い場合は、ナトリウム化合物粉体粒子中のナトリウムがリチウムに完全に交換されず、相当量のナトリウムが生成物中に残存する。一方、イオン交換温度が600℃よりも高い場合は、均一な粉体粒子を得ることができない。処理時間は、通常2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。
さらに、イオン交換処理の方法として、リチウム化合物を溶解した有機溶剤又は水溶液中で処理する方法も適する。この場合、リチウム含有化合物を溶解させた有機溶剤中に、粉砕されたナトリウム化合物粉体粒子を投入し、その有機溶剤の沸点以下の温度で処理する。イオン交換速度を高めるため、水又は有機溶剤の沸点付近で、溶媒を還流させながら、イオン交換することが好ましい。処理温度は通常30℃〜200℃、好ましくは60℃〜180℃で処理される。また、処理時間は、特に制限されないが、低温であると反応時間が必要であることから、通常5〜50時間、好ましくは10〜20時間である。
本発明に用いられるリチウム含有化合物としては、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、ブチルリチウム等が好ましく、これらは単独又は必要に応じて2種以上を組み合わせて用いられる。また、本発明に用いられる有機溶剤としては、ヘキサノール、エトキシエタノール等の高級アルコール、ジエチレングルコールモノエチルエーテル等のエーテル、もしくは沸点が140℃以上の有機溶剤が、作業性が良好である点で好ましい。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
有機溶剤又は水溶液中におけるリチウム含有化合物の濃度は、通常3〜10モル%、好ましくは5〜8モル%である。また、有機溶剤又は水溶液中でのナトリウム化合物粉体粒子の分散濃度は、特に制限されないが、操作性及び経済性の観点から1〜20重量%が好ましい。
イオン交換処理の後、得られた生成物を、蒸留水でよく洗浄した後、メタノール又はエタノール等で洗浄後、乾燥させることによって、目的とするリチウムイオン交換体粉体粒子Li1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)が得られる。洗浄方法、乾燥方法については、特に制限されず、通常の方法が用いられる他、デシケーター内における自然乾燥でも良い。
乾燥後、必要に応じてイオン交換処理物を公知の方法で粉砕し、さらに上記のイオン交換処理工程を実施してもよい。すなわち、本発明方法では、上記イオン交換処理を2回以上実施することが好ましい。
(スピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の合成)
次いで、作製されたリチウムイオン交換体粉体粒子に、加熱処理を施すことによって、目的とするスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子を合成することができる。
加熱温度は、通常は400℃以上800℃以下、好ましくは500℃以上700℃以下とすればよい。また加熱処理の雰囲気も特に限定されず、通常は酸化性雰囲気又は大気雰囲気で実施すればよい。焼成時間は、焼成温度に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は水中など炉外への急冷をすればよい。熱処理後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕すれば良い。
(リチウム二次電池)
本発明のリチウム二次電池は、新規マンガン酸化物Li1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子活物質を含有する正極を構成部材として用いるものである。すなわち、正極材料に本発明のLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子活物質を用いる以外は、公知の二次電池(コイン型、ボタン型、円筒型、全固体型等)の電池要素をそのまま採用することができる。
図1は、本発明の二次電池を、コイン型リチウム二次電池に適用した1例を示す模式図である。このコイン型二次電池1は、負極端子2、負極3、(セパレータ+電解液)4、絶縁パッキング5、正極6、正極缶7により構成される。
本発明では、上記本発明のLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子活物質に、必要に応じて導電剤、結着剤等を配合して電極合材を調製し、これを集電体に圧着することにより電極が作製できる。集電体としては、好ましくはアルミメッシュ、アルミ箔等を用いることができる。導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
電極合材におけるLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子活物質、導電剤、結着剤等の配合も特に限定的ではないが、通常は導電剤が1〜30重量%程度(好ましくは5〜25重量%)、結着剤が0〜30重量%(好ましくは3〜10重量%)とし、残部をLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子活物質となるようにすればよい。
本発明のリチウム二次電池において、上記正極に対する対極としては、例えば黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料、スズ系材料等の合金系材料、リチウム金属、リチウム合金などのリチウムを吸蔵可能な公知のものを採用することができる。
また、本発明のリチウム二次電池において、セパレータ、電池容器等も公知の電池要素を採用すればよい。
さらに、電解質としても公知のリチウム二次電池用の電解液、固体電解質等が適用できる。例えば、電解液としては、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム等の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の溶媒に溶解させたものが使用できる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(スピネル型リチウムマンガン酸化物Li1.05Mn1.95粉体粒子の600℃合成)
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化マンガン(Mn)をNa:Mnのモル比が1:2の割合となるように秤量した。これらを乳鉢中で均一に混合したのち、混合物をアルミナるつぼ(JIS規格品SSA−S)に充填し、電気炉を用いて、空気中900℃で10時間加熱した。その後、炉内で徐冷し、得られた焼成体を粉砕することによって、化学組成式NaMn18を有する出発原料であるナトリウム化合物粉体粒子を得た。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。
また走査型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、長さ約1〜5μm程度の柱状の単結晶粒子から構成されていることが確認された。
次に、上記で得られた試料を出発原料として、硝酸リチウムの溶融塩中でイオン交換処理を行った。NaMn18粉体粒子を、重量比で試料の約5倍量の硝酸リチウム(純度99%以上)と混合し、アルミナ製るつぼに入れ、空気中270℃で10時間加熱処理を行うことによって、イオン交換を行った。
イオン交換後、純水で洗浄・乾燥を行ったのち、再度、硝酸リチウムと水酸化リチウムの混合溶融塩中でイオン交換処理を行った。粉体粒子と硝酸リチウム、水酸化リチウムの重量比をこの順で4:20:1とし、混合したのち、アルミナ製るつぼに入れ、空気中270℃で10時間加熱処理することによって、再度、イオン交換を行い、目的とするリチウムイオン交換体粉体粒子を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。各ピークについて指数付けを行い、最小自乗法で決定された格子定数は以下の値であった。
a=8.883Å
b=24.302Å
c=2.827Å
また走査型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNaMn18の柱状の単結晶粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。
次に、上記で得られたトンネル構造を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子について、空気中600℃で16時間熱処理後、水中へ急冷することにより、目的とするスピネル型構造を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、立方晶系、空間群Fd−3mに属するスピネル構造の単一相であることが明らかとなった。得られたリチウムマンガン酸化物粉体粒子の粉末X線回折パターンを図2に示す。また、各ピークについて指数付けを行い、最小自乗法で決定された格子定数は以下の値であった。
a=8.215Å
なお、図2中の+印は実測値、それに重なる実線は計算値、下側の実線は実測値と計算値の差を示し、縦棒は各回折線のブラック回折角位置を示す。各ピークに付けた横向きの数字は各ピークの指数を示してある。(以下、図6と図10も同様)
また走査型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNaMn18の柱状の単結晶粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。図3に、試料の走査型電子顕微鏡写真を示す。
さらに、この粉体粒子試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、出発原料のリチウムイオン交換体粉体粒子におけるリチウムとマンガンのモル比が維持されており、化学組成式として、Li1.05Mn1.95であることが確認された。また、出発原料に由来するナトリウム量は、検出限界以下であった。
(リチウム二次電池のサイクル特性)
このようにして得られたスピネル型Li1.05Mn1.95粉体粒子を正極活物質とし、導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてテトラフルオロエチレンを、重量比20:5:1となるように配合して電極を作製し、対極にリチウム金属を用いて、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とヂエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比1:1)に溶解させた1M溶液を電解液とする、図1に示す構造のリチウム二次電池を作製し、50サイクルまでの充放電特性を試験した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。
作製されたリチウム二次電池について、25℃の温度条件下で、電流密度20mA/g、カットオフ電位4.3−3.0Vで充放電試験を行ったところ、初期放電容量107mAh/g程度で、4.0V付近に放電平坦部を有し、かつ、可逆的に充放電可能であることが判明した。サイクルに伴う電圧変化を図4に示す。また、50サイクル後の放電容量は103mAh/gであり、放電容量維持率(=50サイクル目の放電容量/初期サイクルの放電容量)は、96%であり、良好なサイクル特性を有することが明らかとなった。
(リチウム二次電池の放電レート特性)
また、同じリチウム二次電池について、25℃で充電の電流密度10mA/gに対して、放電の電流密度を10mA/g、50mA/g、100mA/g、200mA/g、300mA/gとして放電レート特性を評価した結果を図5に示す。300mA/gの放電においても、10mA/g時の放電容量の89%の容量を維持できることが判明し、急速な放電が可能なリチウム二次電池であることが確認された。
(実施例2)
(スピネル型リチウムマンガン酸化物Li1.05Mn1.95粉体粒子の500℃合成)
実施例1と同様の条件で合成されたナトリウム化合物粉体粒子を出発原料として、実施例1と同条件でイオン交換処理を2回施すことで、目的とするリチウムイオン交換体粉体粒子を得ることができた。
次に、上記で得られたトンネル構造を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子について、空気中500℃で24時間熱処理後、水中へ急冷することにより、目的とするスピネル型構造を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、立方晶系、空間群Fd−3mに属するスピネル構造の単一相であることが明らかとなった。得られたリチウムマンガン酸化物粉体粒子の粉末X線回折パターンを図6に示す。また、各ピークについて指数付けを行い、最小自乗法で決定された格子定数は以下の値であった。
a=8.212Å
また走査型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNaMn18の柱状の単結晶粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。図7に、試料の走査型電子顕微鏡写真を示す。
さらに、この粉体粒子試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、出発原料のリチウムイオン交換体粉体粒子にけるリチウムとマンガンのモル比が維持されており、化学組成式として、Li1.05Mn1.95であることが確認された。また、出発原料に由来するナトリウム量は、検出限界以下であった。
(リチウム二次電池のサイクル特性)
このようにして得られたスピネル型Li1.05Mn1.95粉体粒子を正極活物質とし、実施例1と同条件でリチウム二次電池を作製し、25℃の温度条件下で、電流密度20mA/g、カットオフ電位4.3−3.0Vで充放電試験を行ったところ、初期放電容量104mAh/g程度で、4.0V付近に放電平坦部を有し、かつ、可逆的に充放電可能であることが判明した。サイクルに伴う電圧変化を図8に示す。また、50サイクル後の放電容量は99mAh/gであり、放電容量維持率(=50サイクル目の放電容量/初期サイクルの放電容量)は、95%であり、良好なサイクル特性を有することが明らかとなった。
(リチウム二次電池の放電レート特性)
また、同じリチウム二次電池について、25℃で充電の電流密度10mA/gに対して、放電の電流密度を10mA/g、50mA/g、100mA/g、200mA/g、300mA/gとして放電レート特性を評価した結果を図9に示す。300mA/gの放電においても、10mA/g時の放電容量の89%の容量を維持できることが判明し、急速な放電が可能なリチウム二次電池であることが確認された。
(実施例3)
(スピネル型リチウムマンガン酸化物Li1.13Mn1.87粉体粒子の600℃合成)
実施例1と同条件で作製された、化学組成式NaMn18を有する出発原料であるナトリウム化合物粉体粒子について、実施例1と同条件で1回目のイオン交換を行った。
次に、2回目のイオン交換を、粉体粒子と硝酸リチウム、水酸化リチウムの重量比をこの順で4:20:2とし、混合したのち、アルミナ製るつぼに入れ、空気中270℃で10時間加熱処理することによって、再度、イオン交換を行い、目的とするリチウムイオン交換体粉体粒子を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。また走査型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態を調べたところ、試料は、出発原料であるNaMn18の柱状の単結晶粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。
次に、上記で得られたトンネル構造を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子について、空気中600℃で12時間熱処理後、水中へ急冷することにより、目的とするスピネル型構造を有するリチウムマンガン酸化物粉体粒子を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、立方晶系、空間群Fd−3mに属するスピネル構造の単一相であることが明らかとなった。得られたリチウムマンガン酸化物粉体粒子の粉末X線回折パターンを図10に示す。また、各ピークについて指数付けを行い、最小自乗法で決定された格子定数は以下の値であった。
a=8.206Å
また走査型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNaMn18の柱状の単結晶粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。
さらに、この粉体粒子試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、出発原料のリチウムイオン交換体粉体粒子にけるリチウムとマンガンのモル比が維持されており、化学組成式として、Li1.13Mn1.87であることが確認された。また、出発原料に由来するナトリウム量は、検出限界以下であった。
(リチウム二次電池のサイクル特性)
このようにして得られたスピネル型Li1.13Mn1.87粉体粒子を正極活物質とし、実施例1と同条件でリチウム二次電池を作製し、25℃の温度条件下で、電流密度20mA/g、カットオフ電位4.3−3.0Vで充放電試験を行ったところ、初期放電容量91mAh/g程度で、4.0V付近に放電平坦部を有し、かつ、可逆的に充放電可能であることが判明した。サイクルに伴う電圧変化を図11に示す。また、50サイクル後の放電容量は90mAh/gであり、放電容量維持率(=50サイクル目の放電容量/初期サイクルの放電容量)は、99%であり、良好なサイクル特性を有することが明らかとなった。
本発明のスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子は、形状としてマイクロメーターサイズの柱状の単結晶粒子、もしくは単結晶粒子の凝集体である多結晶粒子からなることを特徴とする材料であり、リチウムイオンの拡散が容易な{110}面を含む柱状の結晶面を有することから、リチウムイオンのスムーズな吸蔵・放出に有利であり、かつ充放電サイクル特性の観点でも優れた材料である。そのため、リチウム二次電池の正極活物質として実用的価値の高いものである。
また、その製造方法も、特別な装置を必要とせず、さらに、使用する原料も低価格であることから、低コストで高付加価値の材料を製造可能である。
さらに、本発明のスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子を正極材料として用いたリチウム二次電池は、急速放電が可能で、かつ電解液との反応性をより低減可能な、優れた電池特性を有する電池である。
リチウム二次電池の1例(コイン型電池)を示す模式図である。 実施例1で得られた本発明のマイクロメーターサイズの柱状の単結晶的な粒子形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の粉末X線回折図形である。 実施例1で得られた本発明のマイクロメーターサイズの柱状の単結晶的な粒子形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた本発明のリチウム二次電池における充放電サイクルに伴う電圧変化を示す図である。 実施例1で得られた本発明のリチウム二次電池における各種放電電流密度における放電レート特性を示す図である。 実施例2で得られた本発明のマイクロメーターサイズの柱状の単結晶的な粒子形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の粉末X線回折図形である。 実施例2で得られた本発明のマイクロメーターサイズの柱状の単結晶的な粒子形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた本発明のリチウム二次電池における充放電サイクルに伴う電圧変化を示す図である。 実施例2で得られた本発明のリチウム二次電池における各種放電電流密度における放電レート特性を示す図である。 実施例3で得られた本発明のマイクロメーターサイズの柱状の単結晶的な粒子形状を有するスピネル型リチウムマンガン酸化物粉体粒子の粉末X線回折図形である。 実施例3で得られた本発明のリチウム二次電池における充放電サイクルに伴う電圧変化を示す図である。
符号の説明
1 コイン型リチウム二次電池
2 負極端子
3 負極
4 セパレータ+電解液
5 絶縁パッキング
6 正極
7 正極缶

Claims (8)

  1. 一般式としてLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)で標記され、スピネル型関連の結晶構造をとり、粒子の形状がマイクロメーターサイズの柱状で結晶面が発達した単結晶的形状であることを特徴とするリチウムマンガン酸化物粉体粒子。
  2. 粉体粒子の形状として、柱状単結晶の長軸方向の長さが1μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子。
  3. 厳密な化学組成として、出発原料由来のナトリウム量がNa/Liのモル比で0以上0.1以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子。
  4. 一般式としてLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)で標記され、斜方晶系の結晶格子を有し、NaMnTi18型のトンネル構造を有する化合物を出発原料として、空気中400℃以上800℃以下の温度で加熱することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
  5. 上記トンネル構造を有するLi1+xMn2−x−yTi(組成範囲:0≦x≦1/3、0≦y≦10/9)粉体粒子を、空気中600℃から1000℃の高温焼成によって作製された柱状単結晶の形状を有するナトリウム、マンガン、チタン、酸素から構成された化合物粉体粒子を出発原料として、リチウムイオン交換処理を施すことによって作製することを特徴とする請求項4に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
  6. イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
  7. イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶媒中か水溶液中で行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のリチウムマンガン酸化物粉体粒子の製造方法。
  8. 正極及び負極として使用する2つの電極と、電解質からなるリチウム二次電池であって、請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化物粉体粒子を正極活物質として用いたリチウム二次電池。
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