JP2009240258A - 小片状製パン用生地配合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】生地物性や発酵に影響を与えるおそれがなく、良好な食塩の呈味性を有しながら、食塩の含有量が削減されたパン類を製造することができる、食塩を含有する小片状製パン用生地配合材、該小片状製パン用生地配合材を使用したパン類の製造方法、該特徴を有するパン類を提供すること。
【解決手段】食塩を3〜30質量%含有する小片状製パン用生地配合材、該小片状製パン用生地配合材を用いて製造されたパン類生地、及び、該パン類生地を加熱したパン類。
【選択図】なし

Description

本発明は、小片状製パン用生地配合材に関し、詳しくは、食塩味の呈味性が改善されたパン類を得るための小片状製パン用生地配合材に関する。
食パン、菓子パン、デニッシュ等のパン類の製造には食塩が使用される。その目的としては、パン類に好ましい食塩味を付与することに加え、パン生地のグルテン構造を強化するという生地改良効果や、発酵時の発酵調節作用、パン類の保存性向上などがあげられる。これらの目的のため、パン生地には、一般的にそのパン生地中の穀粉類100質量部に対し0.9〜2.2質量部の食塩を添加して製造し、得られるパン類は、0.5〜1.1質量%の食塩を含んでいる。
しかし、最近は、食塩の主要構成成分であるナトリウムの過剰摂取が、高血圧をはじめとする多くの健康疾患の危険因子であることから、食塩の摂取量抑制が推奨され、そのため食塩の含有量を減じながらも、同程度の食塩味を感じさせ、且つ、同品質のベーカリー食品を求める要求も高まってきている。
そのため、例えば、塩化カリウムや有機酸のアルカリ金属塩に代表される食塩代替品で一部又は全部を置換する方法や、乳酸塩(例えば特許文献1参照)、特定の乳清ミネラル(例えば特許文献2、3、4、5参照)を使用することで、食塩の添加量を削減する方法が提案されている。
しかし、塩化カリウムや有機酸のアルカリ金属塩などの食塩代替品は塩味が食塩に比べて弱いこと、及び塩味に加えて渋味や苦味を有するものであるため、食塩の置換量を増やすと、得られるパン類の塩味が弱いものとなってしまうことに加え、味質も変わってしまう問題があった。また、乳酸塩や特定の乳清ミネラル等の塩味強化剤は、一般的なベーカリー製品に使用するものではないため生地配合によっては生地物性に影響を与えるおそれや発酵阻害のおそれがあるという問題があった。
特開2008−054661号公報 特開2008−054662号公報 特開2008−054665号公報 特開平05−007474号公報 特表2002−502619号公報
したがって、本発明の目的は、生地物性や発酵に影響を与えるおそれがなく、良好な食塩の呈味性を有しながら、食塩の含有量が削減されたパン類を製造することができる、食塩を含有する小片状製パン用生地配合材、該小片状製パン用生地配合材を使用したパン類の製造方法、該特徴を有するパン類を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、パン生地を製造する際の食塩の添加方法を工夫することにより、上記の問題を解決可能であることを知見した。
すなわち、食塩を生地中に均質に全量を練り込むのではなく、食塩含量を減じた生地をいったん製造し、その生地に対し、食塩を多量に含有する小片状製パン用生地配合材を、視認できる程度に練り込むことで、パン生地全体では食塩含量が減じられているにもかかわらず、塩味の感じ方が強くなることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、食塩を3〜30質量%含有する小片状製パン用生地配合材、該小片状製パン用生地配合材を用いて製造されたパン類生地、及び、該パン類生地を加熱したパン類を提供するものである。
また、本発明は、食塩を3〜30質量%含有する小片状製パン用生地配合材を、ベースとなるベーカリー用生地に分散させる工程、及び/又はベーカリー用生地に巻き込む工程を行うことを特徴とするパン類生地の製造方法を提供するものである。
本発明の小片状製パン用生地配合材を使用すると、生地物性や発酵に影響を与えるおそれがなく、良好な食塩の呈味性を有しながら、食塩の含有量が削減されたパン類を製造することができる。
まず、本発明の小片状製パン用生地配合材について詳細に述べる。
本発明の小片状製パン用生地配合材は、食塩を3〜30質量%、好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%含有する。
3質量%未満では本発明の効果が得られず、30質量%を超えると、得られるパン類の食塩味が鋭すぎるものになってしまうことに加え、パン類生地への添加量が多い場合に、食塩含有量が削減されたパン類が得られないおそれがある。
ここで使用する食塩は小片状製パン用生地配合材が水分を含有するものである場合は、水相中に溶解して使用する。また、小片状製パン用生地配合材が水分を含有しないものである場合は、粒状、顆粒状、粉粒状、粉末状などの形態で含有させるが、得られるパン類の食塩味が鋭いものとしないためには、その粒径が小であるほうが好ましいことから、粉末状の食塩を使用することが好ましい。
本発明の小片状製パン用生地配合材が水を含有するものである場合、使用することができる水としては、特に限定されず、天然水や水道水などが挙げられる。
本発明の小片状製パン用生地配合材における好ましい水の含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%である。20質量%を超えると、小片状製パン用生地配合材の粘度が低下し、パン生地中に均質に練りこまれてしまい、良好な食塩の呈味性が得られないおそれがある。
なお、本発明の小片状製パン用生地配合材においては、上記水の含有量は、上記天然水や水道水をはじめ、その他の原料中に含まれる水分を併せた含有量である。
本発明の小片状製パン用生地配合材の食塩以外の配合成分としては、一般にパン生地製造に使用される製パン原料であれば、とくに制限なく使用することができるが、小片状製パン用生地配合材とするためには、小片状に成型可能なように固体となるように原料とその配合量を選択する。そして好ましくは高い粘性〜可塑性を有する物性とする。このような物性の小片状製パン用生地配合材を得るには、一般的には、食塩を溶解させた水相をゲル化剤を用いてゲル化させる方法、可塑性油脂組成物に食塩を含有させる方法等を挙げることができるが、本発明では、食塩の呈味性がマイルドなパン類が得られることから、可塑性油脂組成物とすることが好ましい。
本発明の小片状製パン用生地配合材が可塑性油脂組成物である場合を含め、油脂を含有する場合に使用する油脂は特に限定されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を挙げることができ、本発明の小片状製パン用生地配合材においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の小片状製パン用生地配合材における好ましい油脂の含有量は、好ましくは20〜97質量%、より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは70〜95質量%である。20質量%未満であると、生地中への分散性が悪くなってしまうおそれがある。
本発明の小片状製パン用生地配合材が水分と油分を含有するものである場合、その乳化形態は水中油型であっても油中水型であっても、二重乳化型であってもよいが、マイルドな塩味のパン類が得られる点で油中水型であることが好ましい。なお本発明においては、油中水型とは最外相が油相で、内相に水相を持つ乳化形態を指し、そのため、油中水中油型も含むものである。
本発明の小片状製パン用生地配合材は、食塩含量をより強く感じさせることで、より多くの食塩を削減させることができる点で塩味強化剤を含有することが好ましい。
該塩味強化剤としては公知の成分を使用することができるが、本発明では、食塩味に大きな影響がない点で、乳清ミネラルを使用することが好ましい。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、その塩味強化効果が極めて高い点、生地物性への影響が少ない点、及び、発酵阻害がおこりにくい点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満、特に1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明の小片状製パン用生地配合材における上記乳清ミネラルの配合割合は、固形分として好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。上記乳清ミネラルの配合割合が0.01質量%未満であると、塩味強化の効果が見られにくく、また、5質量%を超えると、得られるパン類が苦味を呈するおそれがある。
本発明の小片状製パン用生地配合材がゲル化物である場合を含め、ゲル化剤を含有する場合に使用するゲル化剤は特に限定されず、例えば、アーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、CMC、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等を挙げることができ、本発明の小片状製パン用生地配合材においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の小片状製パン用生地配合材は、本発明の効果に影響のない範囲において、上記成分以外のその他の成分を含むものであってもよい。
上記その他の成分としては、たとえば、増粘安定剤、糖類や甘味料、乳化剤、デキストリン、乳や乳製品、卵類、塩味剤、苦味料、酸味料、酵素、酸化防止剤、着色料類、pH調整剤、膨張剤、無機塩類、生地改良剤、食品保存料、日持ち向上剤、着香料、アルコール類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス等の食品や食品添加物が挙げられる。
その他の材料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明の小片状製パン用生地配合材中合計で20質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
上記の糖類や甘味料としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル・グリセリン酢酸脂肪酸エステル・グリセリン乳酸脂肪酸エステル・グリセリンコハク酸脂肪酸エステル・グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ショ糖酢酸イソ酪酸エステル・ポリグリセリン脂肪酸エステル・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル・プロピレングリコール脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ステアロイル乳酸ナトリウム・ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド・レシチンなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳や乳製品としては、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
なお、本発明の小片状製パン用生地配合材は気相が含まれるものであっても含まれないものであってもよい。
本発明の小片状製パン用生地配合材は、前述の成分を含有するものであって、小片状に成形されたものである。
上記小片状とは、立方体状、直方体状、角柱状、円柱状、半円柱状、球状、薄片状、そぼろ状、塊状等の形状で、その大きさが、立方体状又は直方体状のものは一辺の長さが2mm以上30mm以下程度、角柱状のものは断面となる多角形の一辺が2mm以上30mm以下で長さが2mm以上100mm以下程度、円柱状又は半円柱状のものは直径が2mm以上30mm以下で長さが2mm以上100mm以下程度、球状のものは直径が2mm以上30mm以下程度、薄片状のものは厚さが0.5mm以上5mm以下程度、そぼろ状や塊状の場合はその平均粒径が2mm以上30mm程度のものである。
該範囲外であると、ベースとなるベーカリー用生地への分散性が悪化するおそれがある。
本発明の小片状製パン用生地配合材の製造方法について述べる。
本発明の小片状製パン用生地配合材がゲル化剤を使用したゲル化物である場合は、例えば、食塩及びゲル化剤を含有する水相を加温溶解し、冷却して得られたゲル化物を小片状に成型することによって得られる。
本発明の小片状製パン用生地配合材が可塑性油脂組成物である場合は、一般的な可塑性油脂組成物を製造する際に食塩を3〜30質量%となる量を添加して製造する方法や、可塑性油脂組成物と食塩を混合する方法、あるいは、可塑性油脂組成物と食塩水を混合する方法によって得られた、食塩を3〜30質量%含有する可塑性油脂組成物を、小片状に成型することによって得られる。
なお、上記の方法のなかでは、パン生地への分散性が良好であることから、可塑性油脂組成物を製造する際に食塩を3〜30質量%となる量を添加して製造する方法によって得られた、食塩を3〜30質量%含有する可塑性油脂組成物を、小片状に成型する方法が好ましい。
なお、上記可塑性油脂組成物の製造方法としては特に限定されず、一般的なマーガリンやショートニング等の可塑性油脂の製造方法を採ることができる。
また、上記可塑性油脂と食塩あるいは食塩水との混合方法としては特に限定されず、可塑性〜溶解した状態の油脂を食塩とミキサー等を使用して混合する方法を挙げることができる。
なお、小片状に成形する方法としては、特に限定されるものではないが、可塑性油脂組成物を製造する際、小片状の型に流しこみ冷却固化させる方法や、いったん冷却した可塑性油脂組成物を、包丁や自動ラインで小片状にカットする方法や、小穴をあけた口金を通す押し出し成形で吐出させた後にカットして小片状とする方法等が挙げられる。
本発明のパン類生地は、上記本発明の小片状製パン用生地配合材を、ベースとなるベーカリー用生地100質量部に対して、好ましくは5〜80質量部、更に好ましくは10〜50質量部、最も好ましくは20〜30質量部含有させたものである。
該ベースとなるベーカリー用生地としては、食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、クロワッサン、フランスパン、セミハードロール、ワッフル、スコーン、パイ等の製造に用いられる生地として従来から使用されているものを用いることができる。
ここで、上記ベースとなるベーカリー用生地は、塩分が通常のベーカリー生地より減じられたものであることが好ましい。
これは、上述のとおり、本発明のパン類生地の製造方法で使用する本発明の小片状製パン用生地配合材は、塩分含有量が高いものであるため、食塩含量が減じられたパン類を得るためにはベースとなるベーカリー用生地の食塩含量を削減する必要があるためである。
すなわち、食塩含量が減じられたパン類を得るためには、塩分を減じる量は、本発明のパン類生地に添加する小片状製パン用生地配合材に含まれる食塩の含量や、小片状製パン用生地配合材の添加量にもよるため一概には言えないが、具体的には、ベースとなるベーカリー用生地の食塩含有量が穀粉類100質量部に対して好ましくは1.2質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下となる量である。ただし、パン類生地においては、食塩は上述のように製パン性に大きな影響を及ぼすことから、削減量には限界がある。このため、具体的には、ベースとなるベーカリー用生地の食塩含有量が穀粉類100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であることが好ましい。
次に、本発明のパン類生地の製造方法について述べる。
本発明のパン類生地の製造方法は、食塩を3〜30質量%含有する小片状製パン用生地配合材を、ベースとなるベーカリー用生地に分散させる工程、及び/又はベーカリー用生地に巻き込む工程を含むものである。
上記本発明の小片状製パン用生地配合材をベースとなるベーカリー用生地に分散させる工程は、例えば、ベースとなるベーカリー用生地製造のミキシング終了後、本発明の小片状製パン用生地配合材を添加し、混合することにより行なうことができる。ここで混合する時間については、好ましくは、小片状製パン用生地配合材が視認できる程度の時間であり、例えば、食パン生地の場合は低速1〜4分程度である。
また、上記小片状製パン用生地配合材を上記ベースとなるベーカリー用生地に巻き込む工程は、例えば、ベースとなるベーカリー用生地を成形するときに、本発明の小片状製パン用生地配合材をベースとなるベーカリー用生地上に散布し、これを巻き込むことにより行なうことができる。
なお、上記製造方法で用いる本発明の小片状製パン用生地配合材は、1種でもよいが、2種以上を同時に、又は、別々に添加してもよい。その具体的な方法としては、本発明の小片状製パン用生地配合材を分散させたパン類生地を成形するときに本発明の小片状製パン用生地配合材を巻き込む方法や、ベースとなるベーカリー用生地を成形するときに、2種の本発明の小片状製パン用生地配合材をベースとなるベーカリー用生地上に数条の帯状に散布し、これを巻き込む方法等が挙げられる。
次に本発明のパン類について述べる。
本発明のパン類は、上記のパン類生地を加熱したものであり、その具体的な製法としては、上記本発明のパン類生地を通常のベーカリー生地と同様に、必要に応じ、丸めたり、延展したり、さらに打抜く等の成形、型入れ、ホイロ等を行なった後、焼成、フライ、蒸す等の加熱工程に供することにより、得ることができる。
また、本発明のパン類生地は、ホイロをとらずに冷凍又は冷蔵しても良いし、ホイロをとった後に冷凍又は冷蔵しても良い。ホイロをとらずに冷凍又は冷蔵したものも、ホイロをとった後に冷凍又は冷蔵したものも、常法に従い、焼成して本発明のパン類とすることができる。
また、本発明のパン類生地を焼成等の加熱工程に供して得られた本発明のパン類は、冷凍保存することが可能であり、冷凍保存した該ベーカリー製品は、電子レンジで解凍調理することが可能である。
<油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
パームステアリン、パーム中部油及びラードを、25:25:50の質量割合で配合した混合油脂79.5質量%を65〜70℃に加熱し、レシチン0.5質量%並びにステアリン酸モノグリセリド0.5質量%を添加し、溶解した油相と、水15.5質量%に食塩4.0質量%を添加し、65〜70℃に加熱溶解した水相とを、撹拌乳化後、急冷可塑化し可塑性油脂を調製した。そして、1週間5℃に調温保管後、これを押出し成型用ノズルを通して、押出し、次いで押出し口に設置された切断刃により、直径10mm、長さ30mmの円柱状に切断し、本発明の小片状製パン用生地配合材Aを得た。
〔実施例2〕
パームステアリン、パーム中部油及びラードを、25:25:50の質量割合で配合した混合油脂79.5質量%を65〜70℃に加熱し、レシチン0.5質量%並びにステアリン酸モノグリセリド0.5質量%を添加し、溶解した油相と、水15.35質量%に食塩4.0質量%及び下記の製造方法で得られた乳清ミネラル0.15質量%を添加し、65〜70℃に加熱溶解した水相とを、撹拌乳化後、急冷可塑化し可塑性油脂を調製した。そして、1週間5℃に調温保管後、これを押出し成型用ノズルを通して、押出し、次いで押出し口に設置された切断刃により、直径10mm、長さ30mmの円柱状に切断し、本発明の小片状製パン用生地配合材Bを得た。
(乳清ミネラルの製造)
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルを得た。得られた乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
〔比較例1〕
水15質量%を18質量%に、食塩4.5質量%を1.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例の小片状製パン用生地配合材Cを得た。
<パン類生地、及び、パン類の製造>
〔実施例3〕
以下の配合及び製法により、まず、ベースとなるベーカリー用生地としてセミハードロール生地を製造し、該セミハードロール生地と上記製造例1で得られた小片状製パン用生地配合材Aを使用して本発明のパン類生地を製造し、さらに該パン類生地を用いて本発明のパン類を得た。
(配合及び製法)
フランス粉70質量部、生イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉20質量部、薄力粉10質量部、食塩0.9質量部、上白糖5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分ミキシングした。ここで、練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分ミキシングを行ない、食塩含有量が穀粉類100質量部に対し0.9質量部であるセミハードロール生地を得た。なお、一般的なセミハードロール生地の食塩の含有量は、穀粉類100質量部に対し1.8〜2.2質量部である。
次いで、得られたセミハードロール生地に、上記小片状製パン用生地配合材A20質量部を添加し、さらに低速で2分混合し、食塩含有量が穀粉類100質量部に対し1.8質量部である本発明のパン類生地を得た。得られたパン類生地は小片状製パン用生地配合材が視認できる程度であった。
ここで、フロアタイムを30分とった後、80gに分割・丸目を行ない、次いでベンチタイムを30分とった後、モルダーを使用し、セミハード型成形した。33℃、相対湿度70%で60分ホイロをとった後、クープを入れ、210℃に設定した固定窯に入れ、蒸気を入れ、15分焼成して、本発明のパン類であるセミハードロールを得た。
なお、生地物性や生地発酵時間はとくに問題はみられなかった。
〔実施例4〕
小片状製パン用生地配合材Aに代えて、実施例2で得られた小片状製パン用生地配合材Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のパン類生地、及び、本発明のパン類であるセミハードロールを得た。ここで、パン類生地の食塩含有量は穀粉類100質量部に対し1.8質量部であった。
なお、生地物性や生地発酵時間はとくに問題はみられなかった。
〔比較例2〕
小片状製パン用生地配合材Aに代えて、比較例1で得られた小片状製パン用生地配合材Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例のパン類生地、及び、比較例のパン類であるセミハードロールを得た。ここで、パン類生地の食塩含有量は穀粉類100質量部に対し1.3質量部であった。
なお、生地物性は成形時にややべたつきが感じられるものであった。生地発酵時間はとくに問題はみられなかった。
〔比較例3〕
小片状製パン用生地配合材Aに代えて、比較例1で得られた小片状製パン用生地配合材Cを用い、さらに、ベースとなるベーカリー用生地であるセミハードロール生地の食塩の添加量を、通常の食塩添加量である1.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例のパン類生地、及び、比較例のパン類であるセミハードロールを得た。ここで、パン類生地の食塩含有量は穀粉類100質量部に対し2.1質量部であった。
なお、生地物性や生地発酵時間はとくに問題はみられなかった。
<パン類の評価>
上記実施例3、4、比較例2、3で得られたパン類(セミハードロール)は、袋に詰めて25℃で3日静置した後、厚さ15mmにスライスして、試食し、その塩味の呈味性について評価を行なった。 なお評価方法としては、比較例3で得られたセミハードロールとの塩味の感じ方の比較とした。その結果は以下のとおりであった。
実施例3で得られたセミハードロールは、比較例3で得られたセミハードロールに比べ、使用したパン類生地の食塩含有量が穀粉類100質量部に対して1.8質量部、と、比較例3のそれが2.1質量部であるのに比べ、約15%少ないにもかかわらず、ほぼ同等の塩味強度と塩味質であった。このことから、食塩の含有量が削減されたパン類として好適に使用できるものであることがわかる。
実施例4で得られたセミハードロールは、比較例3で得られたセミハードロールに比べ、使用したパン類生地の食塩含有量が穀粉類100質量部に対して1.8質量部、と、比較例3のそれが2.1質量部であるのに比べ、約15%少ないにもかかわらず、同等以上の塩味強度であるが塩味質についてはほぼ同一であった。このことから、食塩の含有量が削減されたパン類として極めて優れていることがわかる。
比較例2で得られたセミハードロールは、比較例3で得られたセミハードロールに比べ、使用したパン類生地の食塩含有量が穀粉類100質量部に対して1.3質量部、と、比較例3のそれが2.1質量部であるのに比べ、約40%少ないものであり、塩味が極めて弱くまた塩味質も劣るものであり、きわめて物足りない風味で不満足なものであった。このことから、食塩の含有量が削減されたパン類として極めて不満足な品質であることがわかる。

Claims (9)

  1. 食塩を3〜30質量%含有する小片状製パン用生地配合材。
  2. 可塑性油脂組成物であることを特徴とする請求項1記載の小片状製パン用生地配合材。
  3. 油中水型乳化の形態であることを特徴とする請求項1又は2記載の小片状製パン用生地配合材。
  4. 塩味強化剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の小片状製パン用生地配合材。
  5. 塩味強化剤が乳清ミネラルであることを特徴とする請求項4記載の小片状製パン用生地配合材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の小片状製パン用生地配合材を用いて製造されたパン類生地。
  7. 請求項6記載のパン類生地を加熱したパン類。
  8. 食塩を3〜30質量%含有する小片状製パン用生地配合材を、ベースとなるベーカリー用生地に分散させる工程、及び/又はベーカリー用生地に巻き込む工程を行うことを特徴とするパン類生地の製造方法。
  9. ベースとなるベーカリー用生地の食塩含有量が通常の生地より減じられたものであることを特徴とする、請求項8記載のパン類生地の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016174579A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 株式会社Adeka スプレッド用油中水中油型乳化油脂組成物
JP2017189132A (ja) * 2016-04-12 2017-10-19 株式会社Adeka 可塑性油中水型乳化油脂組成物

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