JP2009240022A - モータ制御装置、ブラシレスモータ及び電動工具 - Google Patents

モータ制御装置、ブラシレスモータ及び電動工具 Download PDF

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知良 澤田
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Abstract

【課題】操作部に設けられるスイッチ用の接点等の構成を小型、低コスト化できるとともに、接点等の耐久性を向上できるモータ制御装置等を提供する。
【解決手段】このモータ制御装置では、操作部に、トリガーと、スイッチ回路基板22と、トリガーのスライド変位に応じて少なくともブラシレスモータの回転速度を調節するための信号を生成して制御回路部に与える信号生成部24と、制御回路部に入力される電力をトリガーのスライド変位に応じてオン、オフする電源スイッチ回路部23とが備えられる。電源スイッチ回路部23は、スイッチ回路基板22の表面に導電性のプリントパターンにより互いに間隔をあけて形成された第1及び第2の固定接点231,232と、トリガーのスライド変位に応じてスライド変位して第1及び第2の固定接点231,232間を導通、遮断させる第1の可動接点233とを備える。
【選択図】図13

Description

本発明は、ブラシレスモータを制御するモータ制御装置、並びにそれを用いたブラシレスモータ及び電動工具に関する。
電動ドリルや電動ドライバなどのように、ドリルやドライバなどの工具をモータで駆動する電動工具がある。従来の電動工具のモータの制御に用いられるモータ制御装置では、電動工具の操作部のトリガーを、使用者が操作することによって、モータの回転速度の調節と、電源である二次電池とモータとの間に設けられた電源ラインの導通、遮断とが行われる。このため、操作部には、トリガー操作に応じてモータの回転速度を制御するための速度調節用のスイッチ部と、モータの電源ラインをオン、オフするための電源スイッチ部とが設けられる。
しかしながら、このような構成では、モータの電源ラインには大容量の電流が流れるため、操作部の電源スイッチ部の接点等の構成を大電流に対応できるものにする必要があり、接点等の構成が大型化及び高コスト化等する等の問題がある。また電源スイッチ部の接点にかかる電流又は電圧による負担が大きいため、接点が劣化しやく、耐久性に劣るという問題もある。これらの問題は、モータ及び電動工具にも影響する。即ち、モータ制御装置が大型化すると、電動工具が大型化して使用者が把持しにくくなったり、重量が重くなったりして、使い勝手が低下する。また、電源スイッチ部の耐久性が劣ると、電動工具のの故障の原因となりやすく長期にわたって使用できなくなる。
なお、電動工具に関する先行技術文献としては特許文献1、2がある。
特開平3−190684号公報 特開2003−209960号公報
そこで、本発明の解決すべき課題は、操作部に設けられるスイッチ用の接点等の構成を小型、低コスト化できるとともに、接点等の耐久性を向上できるモータ制御装置、ブラシレスモータ及び電動工具を提供することである。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、ブラシレスモータを制御するモータ制御装置であって、操作部と、半導体パワースイッチング素子を有し、前記半導体パワースイッチング素子を動作させることによって、電源から与えられる電力に基づいて前記ブラシレスモータを駆動するための電流を生成する駆動回路部と、前記操作部に対して与えられた操作に基づいて前記駆動回路部を制御することにより、少なくとも前記ブラシレスモータの回転速度を制御する制御回路部とを備え、前記操作部は、スライド変位可能に設けられたトリガーと、スイッチ回路基板と、前記トリガーのスライド変位に応じて少なくとも前記ブラシレスモータの前記回転速度を調節するための信号を生成して前記制御回路部に与える信号生成部と、前記制御回路部に入力される電力を前記トリガーのスライド変位に応じてオン、オフする電源スイッチ回路部とを備え、前記電源スイッチ回路部は、前記スイッチ回路基板の表面に導電性のプリントパターンにより互いに間隔をあけて形成された前記第1及び第2の固定接点と、前記トリガーの前記スライド変位に応じてスライド変位して前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点間を導通、遮断させることにより、前記制御回路部に入力される電力をオン、オフする第1の可動接点とを備える。
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係るモータ制御装置において、前記信号生成部は、前記スイッチ回路基板の前記表面に導電性のプリントパターンを用いて前記トリガーのスライド方向に沿って形成された抵抗体と、前記制御回路部に与える前記信号の電圧を変化させるために、前記トリガーの前記スライド変位に応じて前記抵抗体上を摺動する第2の可動接点とを備える。
また、請求項3の発明では、請求項2の発明に係るモータ制御装置において、前記抵抗体は、前記スライド方向に沿って形成された2つの抵抗部を備え、前記第2の可動接点は、互いに電気的に接続され、前記トリガーの前記スライド変位に応じて前記各抵抗部上をスライドする第1及び第2の摺接部を備える。
また、請求項4の発明では、請求項2又は請求項3の発明に係るモータ制御装置において、前記電源スイッチ回路の前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点と、前記信号生成部の前記抵抗体とは、前記スイッチ回路基板の前記表面において前記トリガーの前記スライド方向に対して略平行な方向にずらして設けられている。
また、請求項5の発明では、請求項2又は請求項3の発明に係るモータ制御装置において、前記電源スイッチ回路の前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点と、前記信号生成部の前記抵抗体とは、前記スイッチ回路基板の前記表面において前記トリガーの前記スライド方向に対して略垂直な方向にずらし、かつ前記スライド方向に沿って並列して設けられている。
また、請求項6の発明では、請求項2ないし請求項5のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記信号生成部の前記抵抗体における前記第2の可動接点が摺接する少なくとも表面、及び、前記第2の可動接点における少なくとも前記抵抗体に摺接する部分の表面のうちの少なくともいずれか一方は、摺動粉の発生を低減するための被覆が設けられている。
また、請求項7の発明では、請求項2ないし請求項5のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記信号生成部の前記抵抗体及び前記第2の可動接点が設けられる領域と、前記制御回路部及び駆動回路部が設けられる領域とを仕切る隔壁をさらに備える。
また、請求項8の発明では、請求項2ないし請求項5のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路部及び前記制御回路部の少なくとも外部に露出した導電性を有する回路部分が、絶縁性を有する被覆材料により被覆されている。
また、請求項9の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記操作部の前記信号生成部、前記電源スイッチ回路部及び前記スイッチ回路基板と、前記駆動回路部と、前記制御回路部とを保持する保持部材をさらに備え、前記保持部材は、熱伝導性の材料により形成され、前記駆動回路部の前記半導体パワースイッチング素子と熱伝導可能に配置されている。
また、請求項10の発明では、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路部は、前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、前記駆動回路基板と前記制御回路基板とは、間隔をあけて対向して配置されている。
また、請求項11の発明では、請求項10の発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路基板と前記制御回路基板とがピンを介して電気的に接続されている。
また、請求項12の発明では、請求項10の発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路基板と前記制御回路基板とが、フレキシブル基板を介して電気的に接続される。
また、請求項13の発明では、請求項1ないし請求項12のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路部は、前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、前記スイッチ回路基板、前記駆動回路基板及び前記制御回路基板は、互いに別個の基板として形成されている。
また、請求項14の発明では、請求項1ないし請求項12のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路部は、前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、前記スイッチ回路基板と前記制御回路基板とは、連続した基板によって形成されている。
また、請求項15の発明では、請求項1ないし請求項12のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記駆動回路部は前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、前記駆動回路基板と前記制御回路基板とは、連続した基板によって形成されている。
また、請求項16の発明では、請求項1ないし請求項15のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記制御回路部は、前記操作部から与えられる前記信号を直接受け取り、前記駆動回路部の制御に用いる。
また、請求項17の発明では、請求項1ないし請求項15のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記操作部と前記制御回路部との間に介在し、前記操作部に対して与えられた前記操作に基づいて制御用の信号を生成し、前記制御回路に与えるインターフェース制御部をさらに備え、前記制御回路部は、前記インターフェース制御部から与えられる前記制御用の信号に基づいて前記駆動回路部を制御する。
また、請求項18の発明では、請求項1ないし請求項17のいずれかの発明に係るモータ制御装置において、前記トリガーがスライド変位されるときの初期位置と最大変位位置とによって規定される変位範囲は、制動区間と、前記制動区間の前記最大変位位置側に設けられる回転速度調節区間とを少なくとも備え、前記制御回路部は、前記トリガーが前記制動区間内に位置しているときは、前記駆動回路部に前記ブラシレスモータの回転を制動させ、前記トリガーが前記回転速度調節区間内に位置しているときは、前記駆動回路部に前記ブラシレスモータの前記回転速度を前記トリガーの位置に応じて変化させる。
また、請求項19の発明では、請求項1ないし請求項18のいずれの発明に係るモータ制御装置を備えた。
また、請求項20の発明では、請求項19の発明に係るブラシレスモータを備えた。
請求項1ないし請求項18に記載の発明によれば、ブラシレスモータと電源との間には駆動回路部が介在するため、操作部の電源スイッチ回路部による制御回路部の電源オフに伴って電源とブラシレスモータとの間の電源ラインを駆動回路部によって遮断させることができる。制御回路部に供給される電源用の電流は、ブラシレスモータに供給される電流に比して遙かに微弱である。それ故、操作部の電源スイッチ回路部の第1及び第2の固定接点を、スイッチ回路基板の表面に設けられた導電性のプリントパターンによって形成しても、第1及び第2の固定接点等の電流及び電圧に対する十分な耐性が得られる。その結果、操作部の電源スイッチ回路部に設けられる第1及び第2の固定接点、及び第1の可動接点等の構成を小型、低コスト化できるとともに、それらの接点等の耐久性も向上できる。
また、操作部の電源スイッチ回路部に設けられた第1及び第2の固定接点間を、トリガーのスライド変位に応じてスライド変位する第1の可動接点によって導通、遮断させるため、第1及び第2の固定接点間を第1の可動接点によって導通、遮断するために必要なトリガーのスライド方向の変位幅を小さくできる。
請求項2に記載の発明によれば、制御回路部に与えるモータ制御のための信号の電圧を、トリガーのスライド変位に応じて第2の可動接点を抵抗体上で摺動されせることにより変化させるため、いわゆるスライド抵抗器を用いた簡単でかつ安価な構成により、トリガーのスライド変位に基づいてモータ制御用の信号を生成できる。
また、信号生成部の抵抗体と電源スイッチ回路部の第1及び第2の固定接点が共通のスイッチ回路基板の表面に設けられた導電性のプリントパターンを用いてそれぞれ形成されるため、小型化及び部品点数等に有利である。
請求項3に記載の発明によれば、信号生成部の抵抗体がスライド方向に沿って形成された2つの抵抗部を備え、第2の可動接点が、互いに電気的に接続され、トリガーのスライド変位に応じて各抵抗部上をスライドされる第1及び第2の摺接部を備える。このため、単一の抵抗部を備えた構成に比して、トリガーのスライド方向に対する単位変位量当たり得られる抵抗値の変化量を拡大できる。このため、トリガーのスライド方向に対するスライド変位量を小さくしてモータ制御装置の小型化を図りつつ、ブラシレスモータの回転速度を幅広い範囲で滑らかに変化させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、電源スイッチ回路の第1の固定接点及び第2の固定接点と、信号生成部の抵抗体とが、スイッチ回路基板の表面においてトリガーのスライド方向に対して略平行な方向にずらして設けられているため、トリガーのスライド方向と略垂直な方向に対するスイッチ回路基板の寸法を小さくできる。
請求項5に記載の発明によれば、電源スイッチ回路の第1の固定接点及び第2の固定接点と、信号生成部の抵抗体とが、スイッチ回路基板の表面においてトリガーのスライド方向に対して略垂直な方向にずらし、かつスライド方向に沿って並列して設けられているため、トリガーのスライド方向に対するスイッチ回路基板の寸法を小さくできる。
請求項6に記載の発明によれば、信号生成部の抵抗体における第2の可動接点が摺接する少なくとも表面、及び、第2の可動接点における少なくとも抵抗体に摺接する部分の表面のうちの少なくともいずれか一方は、摺動粉の発生を低減するための被覆が設けられている。それ故、第2の可動接点が抵抗体上を摺動することにより抵抗体の表面又は第2の可動接点の表面から導電性の摺動粉が発生し、その摺動粉が制御回路部又は駆動回路部等に付着してショート等を発生させるのを防止できる。
請求項7に記載の発明によれば、信号生成部の抵抗体及び第2の可動接点が設けられる領域と、制御回路部及び駆動回路部が設けられる領域とを仕切る隔壁が設けられているため、第2の可動接点が抵抗体上を摺動することによって、仮に抵抗体の表面又は第2の可動接点の表面から導電性の摺動粉が発生しても、その摺動粉が制御回路部又は駆動回路部に付着してショート等を発生させるのを防止できる。
請求項8に記載の発明によれば、駆動回路部及び制御回路部の少なくとも外部に露出した導電性を有する回路部分が、絶縁性を有する被覆材料により被覆されているため、導電性の異物等が駆動回路部又は制御回路部に付着してショート等を発生させるのを防止できる。例えば、第2の可動接点が抵抗体上を摺動することによって、仮に抵抗体の表面又は第2の可動接点の表面から導電性の摺動粉が発生しても、その摺動粉が制御回路部又は駆動回路部に付着してショート等を発生させるのを防止できる。
請求項9に記載の発明によれば、操作部の信号生成部、電源スイッチ回路部及びスイッチ回路基板と、駆動回路部と、制御回路部とが共通の保持部材によって保持されるため、構成の小型化及び簡単化の点に優れている。
また、保持部材が、駆動回路部の半導体パワースイッチング素子が発した熱を放熱するためのヒートシンクを兼ねているため、構成の小型化及び簡略化をさらに進めることができるとともに、半導体パワースイッチング素子が発する熱を放熱するための保持部材の放熱容量を有効に確保できる。
請求項10に記載の発明によれば、駆動回路部の駆動回路基板と制御回路部の制御回路基板とが、間隔をあけて対向して配置されているため、空間を有効に利用して駆動回路基板と制御回路基板とを配置でき、モータ制御装置の小型化に有利である。
請求項11に記載の発明によれば、駆動回路基板と制御回路基板とがピンを介して電気的に接続されているため、駆動回路基板と制御回路基板とを安価な構成により電気的に接続できる。
請求項12に記載の発明によれば、駆動回路基板と制御回路基板とがフレキシブル基板を用いて電気的に接続されるため、ピンを用いた接続構造に比して駆動回路基板及び制御回路基板上における接続部の設置面積を縮小でき、駆動回路基板、制御回路基板及びモータ制御装置の小型化に有利である。
請求項13に記載の発明によれば、熱に弱い制御回路を、発熱する半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板と別個に設けられた制御回路基板に配設するため、半導体パワースイッチング素子が発する熱から制御回路を保護でき、熱による制御回路の誤動作等を回避できる。
請求項14に記載の発明によれば、スイッチ回路基板と制御回路基板とが連続した基板によって形成されているため、部品点数の削減及び組立工程の簡単化等の点で有利である。
請求項15に記載の発明によれば、駆動回路基板と制御回路基板とが連続した基板によって形成されているため、部品点数の削減及び組立工程の簡単化等の点で有利である。
請求項16に記載の発明によれば、制御回路部は、操作部から与えられる信号を直接受け取り、駆動回路部の制御に用いるため、例えば操作部と制御回路部との間にマイクロプロセッサ等からなるインターフェース制御部を介在させる構成に比して、構成を簡単化できる。
請求項17に記載の発明によれば、操作部と制御回路部との間に、操作部に対して与えられた操作に基づいて制御用の信号を生成し、制御回路部に与えるインターフェース制御部を介在させるため、操作部に対する操作に基づいて行われるブラシレスモータの制御の自由度を拡大できる。例えば、ブラシレスモータの故障等につながるような無理な操作(ブラシレスモータが回転している最中に回転方向を反転させる操作等)が操作部から行われた場合には、そのような操作はインターフェース制御部により受け付けない等の制御が可能となる。
また、操作部又は制御回路部の仕様が変更された場合にも、インターフェース制御部のプログラム等を変更して制御動作等を変更することにより容易に対応できる。
請求項18に記載の発明によれば、トリガーが回転速度調節区間内から初期位置に戻される途中で制動区間を必ず通り、トリガーが制動区間を通るときにブラシレスモータの回転が制動される。その結果、トリガーが回転速度調節区間内から初期位置に戻されたときに、ブラシレスモータの回転を迅速に停止させることができ、安全性の向上等の点でも有利である。
請求項19に記載の発明によれば、小型、低コスト化できるとともに、操作部の接点等の耐久性の向上が図れるブラシレスモータを提供できる。
請求項20に記載の発明によれば、小型、低コスト化できるとともに、操作部の接点等の耐久性の向上が図れる電動工具を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置5が用いられた電動工具1の外観図である。ここでは本実施形態に係るモータ制御装置5が電動工具1に用いられた場合を例に記載するが、本実施形態に係るモータ制御装置5は、電動工具1に限らず任意の装置に備えられたブラシレスモータ3の制御に適用できる。
なお、図1及び後述の各図面において、電動工具1の後述する工具取付部2aを前方側に向けて状態を基準として、電動工具1の前方をプラスY方向とし、後方をマイナスY方向とし、右方向をプラスX方向とし、左方向をマイナスX方向とし、上方をプラスZ方向とし、下方をマイナスZ方向としている。
この電動工具1は、図1に示すように、出力軸2を回転させるブラシレスモータ3、電源としてのバッテリ4、及びモータ制御装置5を備えている。出力軸2の先端には、ドリル等の工具を取り付ける工具取付部2aが設けられている。また出力軸2にはブラシレスモータ3の回転速度を減速して工具取付部2aに伝達する減速機構6が介挿されている。
ブラシレスモータ3は、バッテリ4からの電力に基づいてモータ制御装置5によって生成されたU、V、Wの3相電流により駆動される。バッテリ4は、電動工具1のグリップ部1aの下端に着脱自在に装着され、電動工具1に電力を供給する。モータ制御装置5は、後述するトリガー21等に対する操作に基づいて、ブラシレスモータ3を駆動及び制御する。本実施形態に係るモータ制御装置5は、グリップ部1a内に配置されるように小型化されている。グリップ部1aは、使用者が電動工具1の使用時に把持する部位である。トリガー21は、使用者が手動で操作する部位である。
図2はモータ制御装置5の斜視図であり、図3はモータ制御装置5のトリガー21が前方(プラスY方向)を向く方向を基準としたときの左側面図であり、図4はモータ制御装置5の右側面図である。図5はモータ制御装置5のシャーシ17を取り除いたときの斜視図であり、図6は図5に示す構成の右側面図であり、図7は図6のA−A線に沿った断面図である。図8は図5に示す構成からカバー15,16を取り除いたときの左側面図であり、図9は図5に示す構成からカバー15,16を取り除いたときの右側面図である。図10はモータ制御装置5の電気的構成を示すブロック図である。図11はフレーム14の斜視図である。図12はトリガー21及びトリガー21に取り付けられた第1及び第2の可動接点233,234の斜視図である。図13はスイッチ回路基板22の平面図及び側面図を含み、スイッチ回路基板22に設けられる第1ないし第3の固定接点231,232,242及び抵抗体241の構成、及び、それらの接点231,232,242等に対して第1及び第2の可動接点233,243がスライドするときの様子を示す図である。
モータ制御装置5は、図2ないし図10に示すように、操作部11、駆動回路部12、制御回路部13、フレーム14、カバー15,16、及び保持部材としてのシャーシ17を備えている。
操作部11は、図2、図10、図12及び図13等に示すように、トリガー21、スイッチ回路基板22、電源スイッチ回路部23、信号生成部24、回転方向切替スイッチ25、回転方向切替保護機構26、及び、図示しない回転方向切替操作部を備えている。
トリガー21は、図12に示すように、使用者が押圧する押圧部21aと、この押圧部21aからトリガー21のスライド方向に延び、第1及び第2の可動接点233,234を有する接点部21bとを備えている。トリガー21の接点部21bは、図示しない付勢機構(例えば、スプリング機構等)と共に図11に示すフレーム14のトリガー保持部141に収容され、スライド方向Bにスライド変位可能に保持されている。トリガー21の押圧部21aは、図11におけるフレーム14の手前側に位置する。トリガー21は、その付勢機構によって電動工具1の前方側(換言すれば、トリガー21がグリップ部1a内から外部に突出する方向)に付勢され、その押圧部21aがグリップ部1aの前方側に突出している(これは、トリガー21の初期位置である。)。そして、その付勢力に抗してトリガー21が初期位置から電動工具1の後方側(換言すれば、トリガー21がグリップ部1a内に押し込まれる方向)にスライド変位されるのに伴って、制御回路部13及び駆動回路部12が電源オンされ、それに続いてブラシレスモータ3の回転が始動される。トリガー21をグリップ1a内に押し込まれる方向に付勢する操作力が解除されると、付勢機構によってトリガー21が初期位置に復帰されるのに伴って、ブラシレスモータ3の回転が停止されるとともに、制御回路部13及び駆動回路部12の電源がオフされる。このトリガー21の操作に基づくモータ制御装置5の動作等については、後に詳述する。
前記回転方向切替操作部は、ブラシレスモータ3の回転方向を切り替えるためのものであり、電動工具1の側面部等に設けられる。本実施形態では、その回転方向切替操作部に対する操作力をレバー27を介して回転方向切替スイッチ25に与え、これによって回転方向切替スイッチ25内の図示しない切替接点を切り替える。回転方向切替スイッチ25は、設定された回転方向に対応した信号(回転方向切替信号)を制御回路部13に与える。例えば、回転方向切替信号がハイレベルのときはブラシレスモータ3が時計回りに回転され、回転方向切替信号がローレベルのときはブラシレスモータ3が反時計回りに回転される。
回転方向切替保護機構26は、ブラシレスモータ3の回転中に前記回転方向切替操作部が操作されてブラシレスモータ3の回転方向が切り替えられるのを防止するためのものである。この回転方向切替保護機構26は、レバー27の先端の下面側に下方に突出するように設けられた凸部260(図3等参照)と、トリガー21の上面側に設けられた2つの溝261,262及びその溝261,262の間に設けられた隔壁部263とを備えている(詳細は図12を参照)。2つの溝261,262は、スライド方向Bに沿って形成されている。隔壁部263は、2つの溝261,262の間を仕切るようにして設けられている。トリガー21が初期位置から電動工具1の後方側に押し込まれたときは、レバー27の凸部260が、溝261又は溝262内に電動工具1の後方側から入り込み、レバー27の回動が溝261,262間の隔壁部263によって阻止され、これによって、前記回転方向切替操作部がロックされる。その結果、ブラシレスモータ3の回転中にモータの回転方向の切り替えが行われるのが防止される。なお、レバー27の凸部260がいずれの溝261,262内に入り込むかは、前記回転方向切替操作部によって設定された回転方向に応じて決まる。トリガー21が初期位置にあるときは、レバー27の凸部260が溝261,262外に出ているため(図3、4参照)、前記回転方向切替操作部の操作に応じたレバー27の回動が許容され、回転方向の切り替えが可能となる。
電源スイッチ回路部23は、制御回路部13に入力される電力をトリガー21のスライド変位に応じてオン、オフする。この制御回路部13に入力される電力は、バッテリ4から与えられる電力に基づいて図示しない電源回路によって生成される。
電源スイッチ回路部23は、図13に示す第1及び第2の固定接点231,232と、図12及び図13に示す第1の可動接点233とを備えている。第1及び第2の固定接点231,232は、スイッチ回路基板22の表面に導電性のプリントパターンにより形成されている。第1の可動接点233は、トリガー21のスライド変位に応じ、スライド方向Bにスライド変位して第1の固定接点231、第2の固定接点232間を導通、遮断させる。
より詳細には、第1及び第2の固定接点231,232は、スライド方向Bと垂直な方向に対して互いに間隔をあけて、スライド方向Bに沿って略帯状に形成されている。第1の固定接点231のスライド方向Bの長さが、第2の固定接点232のスライド方向の長さよりも短く設定され、第1及び第2の固定接点231,232のスライド方向Bの一方の端部(例えば、トリガー21がトリガー操作により押し込まれる方向である電動工具1の後方側の端部)の位置がスライド方向Bに対して揃えられている。
第1の可動接点233は、金属板から打ち抜かれて形成されており、第1の固定接点231に摺接する第1の摺接部233aと、第2の固定接点232に摺接する第2の摺接部233bとを有し、トリガー21の接点部21bにおけるスイッチ回路基板22と対向する部分に取り付けられている。第1及び第2の摺接部233a,233bは略板バネ状の可撓性を有し、スイッチ回路基板22に設けられた第1及び第2の固定接点231,232に第1及び第2の摺接部233a,233bの先端部が押し付けるようになっている。また、第1及び第2の摺接部233a,233bは、それらの先端側が二股に分かれた形状を有し、さらに、第1及び第2の固定接点231,232と摺接するその二股に分かれた部分が、犬脚状(くの字状)に曲げられている。これによって、第1の可動接点233のエッジ部分が摺接しないため、第1及び第2の固定接点231,232と第1及び第2の摺接部233a,233bとの安定した接触が得られるとともに、第1及び第2の固定接点231,232と第1及び第2の摺接部23a,233bとの滑らかな摺接が得られる。
トリガー21が初期位置にあるときは、第1の可動接点233の第1及び第2の摺接部233a,233bは図13に示す位置P1にある。このとき、第1の摺接部233aは第1の固定接点231の電動工具1の前方側に外れた位置にあり、第2の摺接部233bは第2の固定接点232に接触しており、第1の固定接点231と第2の固定接点232との間は遮断されている。そして、トリガー21が初期位置から電動工具1の後方側に押し込まれるのに伴い、トリガー21のスライド変位に伴って第1の可動接点233が電動工具1の後方側にスライド変位され、第1の可動接点233の第2の摺接部233bが第2の固定接点232に摺接した状態で後方側にスライドするとともに、第1の摺接部233aが第1の固定接点231に接触し、これによって、第1の固定接点231と第2の固定接点232との間が第1の可動接点233を介して導通される。トリガー21が最大変位位置まで押し込まれても、第1の可動接点233の第1及び第2の摺接部233a,233bが図13に示す位置P2に到達するが、導通は維持される。トリガー21に対する操作力が解除され、トリガー21が初期位置に復帰するのに伴い、第1の摺接部233aが第1の固定接点231から外れたところで、第1の固定接点231と第2の固定接点との間は遮断され、第1の可動接点233の第1及び第2の摺接部233a,233bは図13に示す位置P1に戻る。
信号生成部24は、トリガー21のスライド変位に応じて、ブラシレスモータ3の制御用の信号を生成して制御回路部13に与える。この信号生成部24は、図13に示す抵抗体241及び第3の固定接点242と、図12及び図13に示す第2の可動接点243とを備えている。
抵抗体241は、スイッチ回路基板22の表面に設けられた導電性のプリントパターンの表面上に、抵抗値が大きい材料(例えば、カーボン)からなる抵抗層が設けられて形成されている。抵抗体241は、例えばプリントパターン上にカーボンを含んだ抵抗材料を塗布した後、加熱処理等により抵抗材料を固化させることにより形成される。
第3の固定接点242は、スイッチ回路基板22の表面に導電性のプリントパターンにより形成されている。これらの抵抗体241及び第3の固定接点242は、スライド方向Bと垂直な方向に対して互いに間隔をあけて、スライド方向Bに沿って略帯状に形成されている。後述する図18に示す構成のように、第3の固定接点242の代わりに抵抗体241と平行に2つ目の抵抗体を設ける構成も考えられるが、本実施形態では抵抗体241を1つだけ設ける構成を採用している。このように抵抗体241を1つだけ設けた構成では、2つの抵抗体を並列しして設ける構成に比して、抵抗体241の抵抗層を形成する過程で生じる抵抗値の誤差による影響を軽減できるという利点がある。
第2の可動接点243は、制御回路部13に与える制御用の信号の電圧を変化させるために、トリガー21のスライド変位に応じて抵抗体241及び第3の固定接点242上を摺動する。より具体的には、第2の可動接点243は、上述の第1の可動接点233とほぼ同様な構成であり、抵抗体241に摺接する第1の摺接部243aと、第3の固定接点242に摺接する第2の摺接部243bとを有し、トリガー21の接点部21bにおけるスイッチ回路基板22と対向する部分に取り付けられている。第1及び第2の摺接部243a,243bは、上述の第1の可動接点233の場合とほぼ同様に、略板バネ状の可撓性を有するとともに、先端側が二股にそれぞれ分かれ、抵抗体241及び第3の固定接点241と摺接するその二股に分かれた部分が、犬脚状(くの字状)に曲げられている。
トリガー21が初期位置にあるときは、第2の可動接点243の第1及び第2の摺接部243a,243bは図13に示す位置P3にある。このとき、第1及び第2の摺接部243a,243bは、抵抗体241及び第3の固定接点242のスライド方向Bの一端側(電動工具1の前方側)の端部にそれぞれ接触している。そして、トリガー21が初期位置から電動工具1の後方側に押し込まれるのに伴い、トリガー21のスライド変位に伴って第2の可動接点243が電動工具1の後方側にスライド変位され、第2の可動接点243の第1及び第2の摺接部243a,243bが抵抗体241及び第3の固定接点242に摺接した状態で後方側にスライドする。これによって、第2の可動接点243の第1の摺接部243aがスライド方向Bについて抵抗体241に接触する位置が変化し、抵抗体241から取り出される抵抗値を変化させることができる。なお、この抵抗体241の抵抗値の変化により信号の電圧が変化する原理等については、図14の回路図に基づいて後述する。
トリガー21が最大変位位置まで押し込まれると、第2の可動接点243の第1及び第2の摺接部243a,243bが図13に示す位置P4に到達する。トリガー21に対する操作力が解除されると、トリガー21が初期位置に復帰するのに伴い、第2の可動接点243の第1及び第2の摺接部243a,243bは図13に示す位置P3に戻る。
図14は、電源スイッチ回路部23及び信号生成部24の回路構成の一例を示す図である。図14の構成において、符号31〜34はスイッチ回路基板22上に設けられた電気的な接続用の接続部である。接続部31は、図示しない前記電源回路からの電力を取り入れるためのものであり、前記電源回路のプラス端子と電気的に接続される。接続部32は、制御回路部13に制御用の信号を出力するためのものであり、制御回路部13の図示しない接続部と電気的に接続される。接続部33は、グランド接続用のものであり、図示しないグランドラインに電気的に接続される。接続部34は、前記電源回路からの電力を制御回路部13に与えるためのものであり、制御回路部13の図示しない接続部と電気的に接続される。
電源スイッチ回路部23の第1及び第2の固定接点231,232は、接続部31,34間を接続する配線35に介挿されている。そして、上述の如く、トリガー21のスライド変位に応じて、第1の可動接点233によって第1及び第2の固定接点231,232間が導通、遮断されることにより、配線35が導通、遮断され、これによって、接続部34を介して制御回路部13に与えられる電力がオン、オフされる。なお、配線35及び後述する配線36,37は、スイッチ回路基板22に設けられた導電性のプリントパターン等によって形成される。
信号生成部24の抵抗体241は、接続部31,33間を接続する配線36に介挿されている。すなわち、抵抗体241の長手方向の両端部に配線36の接続部が接続される。第3の固定接点242は、配線37を介して接続部32と電気的に接続されている。このため、上述の如く、トリガー21のスライド変位に応じて、第2の可動接点243の第1の摺接部243aの抵抗体241に対する接触位置が変化すると、抵抗体241にて抵抗値が変化し、接続部32を介して制御回路部13に出力される制御用の信号の電圧が大小に変化する。例えば、トリガー21の電動工具1の後方側へのスライド変位量が増大するのに伴い、抵抗体241から取り出される抵抗値が増大し、接続部32から出力される制御用の信号の電圧が小さくなるようになっている。
本実施形態では、抵抗体241の電動工具1の前方側の端部に位置する部分は、抵抗値が低い高導電区間241aとされており、抵抗体241のそれ以外の部分が実質的にスライド抵抗器として機能する抵抗区間241bとなっている。この高導電区間241aは、抵抗体層が設けられずに導電性のプリントパターンが露出されること、又は、抵抗体層の上に金属性の導電材を付与すること等により形成される。なお、この高導電区間241aは必ずしも必要ではなく、抵抗体241の全体を抵抗区間241bとしてもよい。
また本実施形態では、スイッチ回路基板22の表面において、第1及び第2の固定接点231,232と、抵抗体241及び第3の固定接点242とは、スライド方向Bに対して略平行な方向にずらして設けられている。より詳細には、第1の固定接点231と抵抗体241とがスライド方向Bに間隔をあけて略直線状に並ぶように配置され、第2の固定接点232と第3の固定接点242とがスライド方向Bに間隔をあけて略直線状に並ぶように配置されている。これによって、スライド方向Bと略垂直な方向に対するスイッチ回路基板22の寸法を小さくできる。この点に関する変形例として、スイッチ回路基板22の表面において、第1及び第2の固定接点231,232と、抵抗体241及び第3の固定接点242とを、スライド方向Bと垂直な方向に対してずらし、かつスライド方向Bに沿って並列して設けてもよい。この構成の場合、スライド方向Bに対するスイッチ回路基板22の寸法を小さくするのに有利である。これら各接点の配置は、モータ制御装置5、ブラシレスモータ3及び電動工具1の構成に影響することがある。例えば、モータ制御装置5をグリップ部1a内に配置すると、本実施形態の構成の場合に、グリップ部1aの長手方向の寸法を小さくでき、一方、変形例の構成の場合には、グリップ部1aの径を小さくできる。
駆動回路部12は、図10に示すFET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)回路41及びFET駆動回路42と、図5及び図7等に示す駆動回路基板43を備えている。FET回路41は、複数の半導体パワースイッチング素子であるFET411(図5等参照)を有し、FET411をオン、オフ動作させることによって、バッテリ4から与えられる電力に基づいてブラシレスモータ3を駆動するための3相電流を生成する。本実施形態では、FET411として、FET411の本体部がモールド材又はケーシング材等によって覆われていないチップ型のFET411が用いられ、小型化に有利な構成となっている。変形例として、FET411に、FET411の本体部がモールド材又はケーシング材等によって覆われた構成(パッケージ型)のものを採用してもよい。また、他の半導体パワースイッチング素子として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を採用してもよい。
FET駆動回路42は、制御回路部13から与えられる制御用の信号に基づいてFET回路41を駆動する。駆動回路基板43は、FET回路41及びFET駆動回路42を構成する回路構成要素を実装するためのものである。
制御回路部13は、図10に示すPWM(Pulse Width Modulation)制御回路131と、そのPWM制御回路131を構成する回路構成要素が実装される図7等に示す制御回路基板132とを備えている。PWM制御回路131は、PWM制御用のマイクロプロセッサ等を備えて構成されており、操作部11から与えられる信号に基づいて駆動回路部12を制御することにより、ブラシレスモータ3の回転を制御する。
ブラシレスモータ3には、図10に示すように、図示しないロータの回転角度位置を検出するための複数のホール素子46〜48が設けられている。PWM制御回路131は、そのホール素子46〜48から信号反転用のコンパレータ45を介して与えられる信号に基づいてブラシレスモータ3のロータの回転角度位置を検出し、その検出結果に基づいて、ロータの回転に同期した3相電流を駆動回路部12に生成させる。なお、本実施形態ではコンパレータ45をモータ制御装置5の外部に設けた基板に配設しているが、コンパレータ45を制御回路基板132上に配設してもよい。
PWM制御回路131によるブラシレスモータ3の回転速度の制御は、次のようして行われる。PWM制御回路131は、駆動回路部12のFET回路41に、FET回路41が生成する3相電流を短い周期で周期的にチョップさせつつ、チョップが行われる各チョッピング周期期間中における3相電流がオンされてブラシレスモータ3に供給される期間(オン期間)の割合(デューティ比)を増減させることにより、ブラシレスモータ3の回転速度を変化させる。例えば、3相電流の各チョッピング周期期間内に対するオン期間の割合が増大されると、ブラシレスモータ3に供給される3相電流の電流量が増大し、これによってブラシレスモータ3の回転速度が増大する。このブラシレスモータ3の回転速度の増大に伴い3相電流の切替周期も速められる。なお、3相電流をチョップするチョッピング周期は、ブラシレスモータ3の回転周期(3相電流の切替周期)に比して十分に短く設定される。
図15は、トリガー21がスライド変位されたときのトリガー位置と、抵抗体241の抵抗値、電源、ブレーキ、及びブラシレスモータ3の回転速度との関係を示す図である。図15(b)に示すように、トリガー21の初期位置Paとトリガー21が電動工具1の後方側に最も押し込まれたときの最大変位位置Pbとの間に、第1及び第2中間位置Pc,Pdが設けられている。第1中間位置Pcの方が第2中間位置Pdよりも初期位置Paに近い位置に設けられる。そして、その初期位置Paと第1中間位置Pcとの間の変位区間を停止区間Q1と呼び、第1中間位置Pcと第2中間位置Pdとの間の変位区間を制動区間Q2と呼び、第2中間位置Pdと最大変位位置Pbとの間の変位区間を回転速度調節区間Q3と呼ぶこととする。
図15(c)に示すように、トリガー21が停止区間Q1内にあるときは、電源スイッチ回路部23の第1及び第2の固定接点231,232間が遮断されており、電源スイッチ回路部23によって制御回路部13の電源がオフされ、駆動回路部12の動作も停止されている。このため、トリガー21が停止区間Q1内にあるときは、ブラシレスモータ3は回転しない。
トリガー21が第1中間位置Pcを超えて電動工具1の後方側に押し込まれて、制動区間Q2又は回転速度調節区間Q3内に位置しているときは、電源スイッチ回路部23の第1及び第2の固定接点231,232間が第1の可動接点233によって導通され、電源スイッチ回路部23によって制御回路部13の電源がオンされる。このため、トリガー21が制動区間Q2又は回転速度調節区間Q3内にあるときは、制御回路部13が信号生成部24から与えられる制御用の信号の電圧レベルに基づいて、駆動回路部12を介してブラシレスモータ3を制御する。
信号生成部24の抵抗体241から取り出される抵抗値は、トリガー21のスライド変位に応じて図15(a)に示すように変化する。すなわち、トリガー21が停止区間Q1内にあるときは、信号生成部24の第2の可動接点243の第1摺接部243aが抵抗体241の高導電区間241a内にあり、抵抗体241から取り出される抵抗値は変化せず、制御用の信号の電圧レベルも変化しない。
トリガー21が第1中間位置Pcを超えて電動工具1の後方側に押し込まれて、制動区間Q2又は回転速度調節区間Q3内に位置しているときは、第2の可動接点243の第1摺接部243aが抵抗体241の抵抗区間241b内にある。このため、トリガー21のスライド変位に応じて抵抗体241から取り出される抵抗値が変化し、これによって制御用の信号の電圧レベルが変化する。
トリガー21が制動区間Q2内にあるときは、図15(d)に示すように、制御回路部13は、駆動回路部12を介してブラシレスモータ3の回転に対して制動力を与える。このため、トリガー21が回転速度調節区間Q3まで押し込まれた状態から操作力が解除されて初期位置Paに戻る過程において、トリガー21が制動区間Q2を通過するときに、ブラシレスモータ3の回転が制動されて迅速に停止される。その結果、トリガー21が回転速度調節区間Q3内から初期位置Paに戻されたときに、ブラシレスモータ3の回転を迅速に停止させることができ、安全性の向上等の点でも有利である。なお、ブラシレスモータ3の回転に対する制動力は、例えば駆動回路部12によりブラシレスモータ3のU、V、Wの端子間をショートさせることによって付与される。
トリガー21が回転速度調節区間Q3内にあるときは、図15(e)に示すように、制御回路部13は、駆動回路部12を介して、信号生成部24から与えられる制御用の信号の電圧値に応じた回転速度でブラシレスモータ3を回転させる。
より具体的には、例えば、制御回路部13は、信号生成部24から与えられる制御用の信号の電圧値が、第2中間位置Pdに対応して予め設定された基準値を超えているか否かを判定することにより、ブラシレスモータ3に対する制動制御を行うか、トリガー位置に応じた回転速度制御を行うかを切り替える。
ブラシレスモータ3の回転方向は、上述の回転方向切替スイッチ25から与えられる信号に基づいて、制御回路部13によって切り替えられる。制御回路部13は、回転方向切替スイッチ25から与えられる信号によって指定された回転方向に応じた3相電流を駆動回路部12に生成させる。
上記のように、ブラシレスモータ3とバッテリ4との間には駆動回路部12が介在するため、操作部11の電源スイッチ回路部23による制御回路部13の電源オフに伴ってバッテリ4とブラシレスモータ3との間の電源ラインを駆動回路部12によって遮断させることができる。制御回路部13に供給される電源用の電流は、ブラシレスモータ3に供給される電流に比して遙かに微弱である。それ故、操作部11の電源スイッチ回路部23の第1及び第2の固定接点231,232を、スイッチ回路基板22の表面に設けられた導電性のプリントパターンによって形成しても、第1及び第2の固定接点231,232等の電流及び電圧に対する十分な耐性が得られる。その結果、操作部11の電源スイッチ回路部23に設けられる第1及び第2の固定接点231,232、及び第1の可動接点233等の構成を小型、低コスト化できるとともに、それらの接点231〜233等の耐久性も向上できる。
また、操作部11の電源スイッチ回路部23に設けられた第1及び第2の固定接点231,232間を、トリガー21のスライド変位に応じてスライド変位する第1の可動接点233によって導通、遮断させるため、第1及び第2の固定接点231,232間を第1の可動接点233によって導通、遮断するために必要なトリガー21のスライド方向Bの変位幅を小さくできる。
また、制御回路部13に与えるモータ制御のための信号の電圧を、トリガー21のスライド変位に応じて第2の可動接点243を抵抗体241上で摺動されせることにより変化させるため、いわゆるスライド抵抗器を用いた簡単でかつ安価な構成により、トリガー21のスライド変位に基づいてモータ制御用の信号を生成できる。
また、信号生成部24の抵抗体241及び第3の固定接点242と、電源スイッチ回路部23の第1及び第2の固定接点231,232が共通のスイッチ回路基板22の表面に設けられた導電性のプリントパターンを用いてそれぞれ形成されるため、小型化及び部品点数等に有利である。
また、本実施形態では、制御回路部13が、操作部11の信号生成部24及び回転方向切替スイッチ25から与えられる信号を直接受け取り、駆動回路部12の制御に用いている。このため、例えば操作部11の信号生成部24及び回転方向切替スイッチ25と制御回路部13との間にマイクロプロセッサ等からなるインターフェース制御部を介在させる構成に比して、構成を簡単化できる。
フレーム14は、図7及び図11等に示すように、トリガー保持部141と、第1ないし第3の基板支持部142〜144と、隔壁145と、基板保持部146とを備えており、樹脂等により形成される。トリガー保持部141は、トリガー21と前述の付勢機構とを収容して、トリガー21をスライド方向Bにスライド変位可能に保持する。第1の基板支持部142はスイッチ回路基板22を支持する。この第1の基板支持部142によって、スイッチ回路基板22が、その第1〜第3の固定接点231,232,242等が設けられる面をトリガー21に取り付けられた第1及び第2の可動接点233,243側に向けて支持される。
第2の基板支持部143は駆動回路基板43を支持する。この第2の基板支持部143によって、駆動回路基板43が、そのFET411が配設される面をフレーム14の外面側(電動工具1の右側外方(プラスX方向))に向けて支持される。第3の基板支持部144は制御回路基板132を支持している。駆動回路基板43と制御回路基板132とは、基板保持部146における第2及び第3の基板支持部143,144によって、スライド方向Bに垂直な方向である左右方向に間隔をあけて、対向するように支持されている。このように駆動回路基板43と制御回路基板132とを間隔をあけて2段重ねで配置することにより、基板保持部146の空間を有効に利用して駆動回路基板43と制御回路基板132とを配置でき、モータ制御装置5及び電動工具1を小型化できる。
このような駆動回路基板43と制御回路基板132とは、図7に示すように、複数のピン51を用いて電気的に接続されている。これによって、駆動回路基板43と制御回路基板132とを安価な構成により電気的に接続できる。なお、この点に関する変形例として、駆動回路基板43と制御回路基板132とを、フレキシブル基板を介して電気的に接続してもよい。この場合、駆動回路基板43及び制御回路基板132には、フレキシブル基板が電気的に接続されるコネクタがそれぞれ設けられる。このフレキシブル基板を用いた構成によれば、上記のピン51を用いた接続構造に比して駆動回路基板43及び制御回路基板132上における接続部(コネクタ等)の設置面積を縮小でき、駆動回路基板43、制御回路基板132及びモータ制御装置5の小型化に有利である。このフレキシブル基板として、折り畳めるフレキシブル基板を使用すると、フレキシブル基板の設置スペースを削減することができる。
スイッチ回路基板22と制御回路基板132とは、図7に示すように、互いの縁部が部分的に重なり合うようにして配置され、その隣接した配置された部分にて中継端子又はリード線等の電気接続部材を用いて互いに電気的に接続されている。
フレーム14の隔壁145は、図7等に示すように、上述の操作部11の第1ないし第3の固定接点231,232,242、抵抗体241、及び第1及び第2の可動接点233,243が設けられる領域(トリガー保持部141)と、駆動回路部12及び制御回路部13が配置される領域(基板保持部146)とを仕切っている。これによって以下の効果が得られる。すなわち、第1及び第2の可動接点233,243が第1ないし第3の固定接点231,232,242及び抵抗体241上を摺動することによって、第1及び第2の可動接点233,243、第1ないし第3の固定接点231,232,242又は抵抗体241の表面から導電性の摺動粉が発生するおそれがある。しかし、本実施形態では、仮にそのような摺動粉が発生しても、摺動粉が駆動回路基板43及び制御回路基板132が設けられる領域に浸入するのを隔壁145により阻止できる。その結果、摺動粉が駆動回路部12又は制御回路部13に付着してショート等を発生させるのを防止できる。
摺動粉に対する対策として、上記の隔壁145を設ける代わりに、あるいは、隔壁145による対策に追加して、次のような対策を採用することができる。すなわち、抵抗体241及び第3の固定接点242における第2の可動接点243が摺接する少なくとも表面、及び、第2の可動接点243における少なくとも抵抗体241及び第3の固定接点242に摺接する部分の表面のうちの少なくともいずれか一方に、摺動粉の発生を低減するための被覆を付与してもよい。同様に、第1及び第2の固定接点231,232における第1の可動接点233が摺接する少なくとも表面、及び、第1の可動接点233における少なくとも第1及び第2の固定接点231,232に摺接する部分の表面のうちの少なくともいずれか一方に、摺動粉の発生を低減するための被覆を付与してもよい。さらに他の対策として、駆動回路部12及び制御回路部13の少なくとも外部に露出した導電性を有する回路部分を、絶縁性を有する被覆材料により被覆してもよい。
カバー15,16は、樹脂等により形成され、フレーム14の右側(図11の奥側)及び左側(図11の手前側)の側面部にそれぞれ装着される。カバー15によって、フレーム14の制御回路基板132及びスイッチ回路基板22が配置された部分(図11の奥側)が覆われる。またカバー16によって、フレーム14の駆動回路基板43が配置された部分が覆われる。但し、カバー16の駆動回路基板43に実装された複数のFET411と対向する部分には、開口部16a(図5等参照)が設けられる。この開口部16aを介して、FET411と後述するシャーシ17とが対向するようになっている。
フレーム14とカバー15,16との固定手段としては、種々の構成が採用可能であるが、本実施形態では、図2、図5及び図7等に示すように、フレーム14の前面部及び後面部に設けられた係合凸部56〜59を、カバー15,16の係合部(本実施形態では、係合孔)61〜64に係合させることにより、カバー15,16をフレーム14に固定している。つまり、カバー15は、制御回路基板132及びスイッチ回路基板22を覆う面と、この面の両端のそれぞれにその係合部が設けられた2つの面とを備えている。同様に、カバー16は、駆動回路基板43を覆うと共に、開口部16aを有する面と、この面の両端のそれぞれにその係合部が設けられた2つの面とを備えている。このようなカバー15,16を用いることにより、トリガー21、付勢機構、制御回路基板132、スイッチ回路基板22,及び駆動回路基板43をフレーム14に容易に固定することができる。
なお、フレーム14及びカバー15,16は必ずしも必須の部材ではなく、これらの一方又は両方を省略してもよい。フレーム14が省略された場合には、スイッチ回路基板22、駆動回路基板43及び制御回路基板132は、後述するシャーシ17によって直接支持される。
シャーシ17は、図2等に示すように、操作部11のスイッチ回路基板22、駆動回路部12の駆動回路基板43、及び制御回路部13の制御回路基板132等をフレーム14を介して保持するとともに、駆動回路部12のFET411が発した熱を放熱するためのヒートシンクを兼ねている。より具体的には、シャーシ17は、十分な剛性を有し、熱伝導性に優れた材料(例えば、アルミニウム、銅、マグネシウム又はそれらの合金、あるいは、高放熱性樹脂など)によって形成され、電動工具1の前後方向(スライド方向B)及び左右方向と平行な面(水平面)に沿って切断したときに略U字形の断面形状を有している。換言すれば、シャーシ17は、フレーム14と固定されたときに、フレーム14の右側及び左側の側面部に対向する2つの面171,172と、フレーム14の後面部に対向する面173とを有している。シャーシ17とフレーム14との固定手段としては、種々の構成が採用可能であるが、本実施形態ではネジ66,67をシャーシ17に設けた挿通孔(図示せず)に通してフレーム14側に設けられたネジ孔68,69(図6等参照)にねじ込む(あるいは、図示しないボルトに螺合させる)ことより、シャーシ17がフレーム14に固定される。
本実施形態では、シャーシ17の各面171〜173が、フレーム14の右側及び左側の側面部、及び後面部のほぼ全面を覆っている。このため、シャーシ17が、操作部11のスイッチ回路基板22、駆動回路部12の駆動回路基板43、及び制御回路部13の制御回路基板132、フレーム14のトリガー保持部141及び基板保持部146等を、左右の両側と後側の3方から覆っている(あるいは、取り囲んでいる)。
シャーシ17の面171は、図16に示すように、駆動回路基板43と平行な状態で配置され、カバー16の開口部16aを介して、駆動回路基板43上に実装されたFET411と対向する。すなわち、シャーシ17の面171は、FET411の駆動回路基板43側の下面411aと反対側の上面411bと対向する。
シャーシ17の面171と複数のFET411の上面411bとの間には、弾力性を有する熱伝導シート71が挟み込まれる。この熱伝導シート71によってFET411が発する熱がシャーシ17に伝達される。これによって、FET411が発した熱が熱伝導シート71を介して効率よくシャーシ17に伝達されて放熱される。
ここで、熱伝導シート71等の熱伝導材には低分子シロキサンが含まれる場合がある。低分子シロキサンを含んだ熱伝導材の成分が、操作部11の接点部(第1ないし第3の固定接点231,232,242、抵抗体241、及び第1及び第2の可動接点233,243等)に付着すると、接点不良を引き起こす場合がある。
そこで、本実施形態では、熱伝導シート71が低分子シロキサンを含まない材料、あるいは、含有する低分子シロキサンの割合が低減された低分子シロキサン低減材料によって形成されている。具体的な基準としては、例えば、ジメチルポリシロキサンの含有割合が500ppm以下の材料(例えば、アクリル系材料又はシリコーン系材料等)を用いて熱伝導シート71を形成するのが望ましい。
このように、操作部11のスイッチ回路基板22、駆動回路部12の駆動回路基板43、及び制御回路部13の制御回路基板132等がフレーム14を介して共通のシャーシ17によって保持されるため、構成の小型化及び簡単化の点に優れている。
また、シャーシ17が、駆動回路部12のFET411が発した熱を放熱するためのヒートシンクを兼ねているため、構成の小型化及び簡略化をさらに進めることができるとともに、FET411が発する熱を放熱するためのシャーシ17の放熱容量を有効に確保できる。
また、上記のように、複数のFET411の上面411bとシャーシ17の面171との間に弾力性を有する熱伝導シート71が挟み込まれている。このため、仮に各FET411の上面411bとシャーシ17の面171との間の隙間寸法のバラツキがあっても、そのバラツキを吸収して、各FET411の上面411bに熱伝導シート71を確実に密着させることができ、各FET411が発する熱をシャーシ17に効率よく伝えることができる。さらに、熱伝導シート71の弾力性及び厚み等を調節することにより、熱伝導シート71がFET411とシャーシ17との間に挟み込まれたときに、熱伝導シート71を各FET411の上面411bだけでなく側面部にも密着させることができ、これによって、各FET411が発する熱をさらに効率よくシャーシ17に伝えることができる。さらに、熱伝導シート71が弾力性を有するため、その熱伝導シート71は外部からモータ制御装置5に伝わる衝撃を吸収することができ、FET411の破壊や実装不良を防止できる。
次に、上述した本実施形態に係る構成の変形例について記載する。
図17は、上述の図10に示す構成の変形例を示す図である。図10に示す構成では、操作部11の信号生成部24及び回転方向切替スイッチ25等の信号を制御回路部13のPWM制御回路131に直接入力したが、図17に示す構成のように、操作部11と制御回路部13のPWM制御回路131との間にマイクロプロセッサ等を備えてなるインターフェース制御部76を介在させてもよい。インターフェース制御部76は、例えば制御回路部13の制御回路基板132上に設けられる。
インターフェース制御部76は、操作部11の信号生成部24及び回転方向切替スイッチ25から与えられる信号に基づいてPWM制御回路131に与えるべき制御用の信号を生成する。PWM制御回路131は、インターフェース制御部76から与えられる制御用の信号に基づいて駆動回路部12を制御する。この構成において、インターフェース制御部76が、操作部11のトリガー21のスライド変位に伴って電源スイッチ回路部23から与えられる信号に基づいて、PWM制御回路131の電源のオン、オフを行うようにしてもよい。具体的には、例えば、電源スイッチ回路部23の第1の可動接点233によって第1及び第2の固定接点231,232間が導通され、電源スイッチ回路部23からハイレベルの信号が出力されるに応じて、インターフェース制御部76によってPWM制御回路131が電源オンされる。そして、第1の可動接点233によって第1及び第2の固定接点231,232間が遮断され、電源スイッチ回路部23からの信号の出力が停止される(換言すれば、信号がローレベルになる)のに応じて、インターフェース制御部76によってPWM制御回路131が電源オフされる。
このように、操作部11とPWM制御回路131との間にインターフェース制御部76を介在させることにより、操作部11に対する操作に基づいて行われるブラシレスモータ3の制御の自由度を拡大できる。例えば、ブラシレスモータ3の故障等につながるような無理な操作(ブラシレスモータ3が回転している最中に回転方向を反転させる操作等)が操作部11から行われた場合には、そのような操作はインターフェース制御部76により受け付けない等の制御が可能となる。これによって、上記の実施形態では、機械的な構成である回転方向切替保護機構26によってブラシレスモータ3の回転中の回転方向の切り替え操作を禁止しているが、このような回転方向切替保護機構26を省略することもできる。
また、操作部11又は制御回路部13のPWM制御回路131等の仕様が変更された場合にも、インターフェース制御部76のプログラム等を変更して制御動作等を変更することにより容易に対応できる。
また、上述の実施形態では、操作部11の信号生成部24をいわゆるスライド抵抗器を用いて構成したが、トリガー21のスライド変位に応じてブラシレスモータ3の回転速度等を制御するための信号を生成できれば任意の構成の信号生成部を採用できる。例えば、トリガー21のスライド変位を光学式センサ又は磁気式センサを用いて検出し、トリガー21のスライド変位に応じてブラシレスモータ3の回転速度等を制御するための信号を生成するような信号生成部を採用してもよい。この光学式センサ又は磁気式センサを用いた構成では、スライド抵抗器のように抵抗体241と可動接点243とが擦れ合うことがないため、駆動回路部12又は制御回路部13においてショート等を発生させるおそれのある導電性の摺動粉の発生を防止できる。
また、上述の実施形態では、駆動回路基板43と制御回路基板132とを間隔をあけて2段重ねして配置したが、これに限らず、種々の配置形態を採用できる。例えば、駆動回路基板43と制御回路基板132とを略同一平面に沿って隣接して配置してもよいし、駆動回路基板43に対して制御回路基板132が垂直な関係をなすように、駆動回路基板43及び制御回路基板132を配置してもよい。
また、上述の実施形態では、駆動回路基板43と制御回路基板132とを別個の基板によって形成したが、これらを連続した一枚の基板によって形成してもよい。この構成の場合、部品点数の削減及び組立工程の簡単化等の点で有利である。
また、上述の実施形態では、スイッチ回路基板22と制御回路基板132とを別個の基板によって形成したが、これらを連続した一枚の基板によって形成してもよい。この構成によっても、部品点数の削減及び組立工程の簡単化等の点で有利である。
また、上述の実施形態では、駆動回路部12のFET411とシャーシ17の間に介在させる熱伝導材として熱伝導シート71を用いたが、熱伝導シート71の代わりに熱伝導グリスを用いてもよい。あるいは、熱伝導材として、FET411又はシャーシ17に塗布するときは半固体状で、塗布した後に固化するようなものを用いてもよい。
図18は、図13及び図14に示す構成の変形例を示す図である。上述の実施形態では、信号生成部24に抵抗体241を1つだけ設けたが、図18に示すように、上記の第3の固定接点242の代わりに2つ目の抵抗体244を設けてもよい。この2つ目の抵抗体244は、上記の抵抗体241と同様な構成を有し、スイッチ回路基板22の表面に形成された導電性のプリントパターンの上にカーボン等からなる抵抗層を設けることにより形成されている。このような抵抗体244は、スライド方向Bに沿って抵抗体241と並列して延びる略帯状の形状を有している。すなわち、抵抗体241,244とは、スライド方向Bと垂直な方向に所定の間隔をあけて平行に延設されている。
2つの抵抗体241,244を設けた場合の具体的な回路構成としては、例えば図18に示すように、抵抗体241が、上記の如く接続部31,33間を接続する配線36に介挿され、抵抗体241の長手方向の両端部に配線36の接続部が接続される。抵抗体241の一端部(トリガー21が押し込まれる方向である後方側端部)に配線37が接続され、抵抗体244が配線37を介して接続部32と電気的に接続されている。このため、上述の如く、トリガー21のスライド変位に応じて、第2の可動接点243の第1及び第2の摺接部243a,243bの抵抗体241,244に対する接触位置が変化すると、接続部32を介して制御回路部13に出力される制御用の信号の電圧が大小に変化する。例えば、トリガー21の電動工具1の後方側へのスライド変位量が増大するのに伴い、抵抗体241,244での抵抗値が増大し、接続部32から出力される制御用の信号の電圧が小さくなるようになっている。
このように、この変形例に係る構成によれば、スライド方向Bに沿って2つの抵抗体241,244を併設したことにより、トリガー21のスライド変位に伴って2つの抵抗体241,244にて抵抗値が変化する。このため、上述の実施形態に係る単一の抵抗体241を備えた構成に比して、トリガー21のスライド方向Bに対する単位変位量当たり得られる抵抗値の変化量を拡大できる。その結果、トリガー21のスライド方向Bに対するスライド変位量を小さくしてモータ制御装置5及び電動工具1の小型化を図りつつ、ブラシレスモータ3の回転速度を幅広い範囲で滑らかに変化させることができる。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が用いられた電動工具の外観図である。 図1の電動工具に備えられるモータ制御装置の斜視図である。 図2のモータ制御装置のトリガーが前方(プラスY方向)を向く方向を基準としたときの左側面図である。 図2のモータ制御装置の右側面図である。 図2のモータ制御装置のシャーシを取り除いたときの斜視図である。 図5に示す構成の右側面図である。 図6のA−A線に沿った断面図である。 図5に示す構成からカバーを取り除いたときの左側面図である。 図5に示す構成からカバーを取り除いたときの右側面図である。 図2のモータ制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 フレームの斜視図である。 トリガー及びトリガーに取り付けられた第1及び第2の可動接点の斜視図である。 スイッチ回路基板の平面図及び側面図を含み、スイッチ回路基板に設けられる第1ないし第3の固定接点及び抵抗体の構成、及び、それらの接点等に対して第1及び第2の可動接点がスライドするときの様子を示す図である。 電源スイッチ回路部及び信号生成部の回路構成の一例を示す図である。 トリガーがスライド変位されたときのトリガー位置と、抵抗体の抵抗値、電源、ブレーキ、及びブラシレスモータの回転速度との関係を示す図である。 駆動回路部のFETとシャーシとが対向して配置されている部分の断面図である。 図10に示す構成の変形例を示す図である。 図13及び図14に示す構成の変形例を示す図である。
符号の説明
1 電動工具、2 出力軸、3 ブラシレスモータ、4 バッテリ、5 モータ制御装置、6 減速機構、11 操作部、12 駆動回路部、13 制御回路部、14 フレーム、15,16 カバー、17 シャーシ、21 トリガー、22 スイッチ回路基板、23 電源スイッチ回路部、24 信号生成部、25 回転方向切替スイッチ、26 回転方向切替保護機構、27 レバー、41 FET回路、42 FET駆動回路、43 駆動回路基板、51 ピン、71 熱伝導シート、76 インターフェース制御部、131 PWM制御回路、132 制御回路基板、141 トリガー保持部、142 第1の基板支持部、143 第2の基板支持部、144 第3の基板支持部、145 隔壁、146 基板保持部、171〜173 面、231 第1の固定接点、232 第2の固定接点、233 第1の可動接点、233a 第1摺接部、233b 第2摺接部、241 抵抗体、242 第3の固定接点、243 第2の可動接点、243a 第1摺接部、243b 第2摺接部、244 抵抗体、411 FET。

Claims (20)

  1. ブラシレスモータを制御するモータ制御装置であって、
    操作部と、
    半導体パワースイッチング素子を有し、前記半導体パワースイッチング素子を動作させることによって、電源から与えられる電力に基づいて前記ブラシレスモータを駆動するための電流を生成する駆動回路部と、
    前記操作部に対して与えられた操作に基づいて前記駆動回路部を制御することにより、少なくとも前記ブラシレスモータの回転速度を制御する制御回路部と、
    を備え、
    前記操作部は、
    スライド変位可能に設けられたトリガーと、
    スイッチ回路基板と、
    前記トリガーのスライド変位に応じて少なくとも前記ブラシレスモータの前記回転速度を調節するための信号を生成して前記制御回路部に与える信号生成部と、
    前記制御回路部に入力される電力を前記トリガーのスライド変位に応じてオン、オフする電源スイッチ回路部と、
    を備え、
    前記電源スイッチ回路部は、
    前記スイッチ回路基板の表面に導電性のプリントパターンにより互いに間隔をあけて形成された前記第1及び第2の固定接点と、
    前記トリガーの前記スライド変位に応じてスライド変位して前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点間を導通、遮断させることにより、前記制御回路部に入力される電力をオン、オフする第1の可動接点と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記信号生成部は、
    前記スイッチ回路基板の前記表面に導電性のプリントパターンを用いて前記トリガーのスライド方向に沿って形成された抵抗体と、
    前記制御回路部に与える前記信号の電圧を変化させるために、前記トリガーの前記スライド変位に応じて前記抵抗体上を摺動する第2の可動接点と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記抵抗体は、前記スライド方向に沿って形成された2つの抵抗部を備え、
    前記第2の可動接点は、互いに電気的に接続され、前記トリガーの前記スライド変位に応じて前記各抵抗部上をスライドする第1及び第2の摺接部を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載のモータ制御装置において、
    前記電源スイッチ回路の前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点と、前記信号生成部の前記抵抗体とは、前記スイッチ回路基板の前記表面において前記トリガーの前記スライド方向に対して略平行な方向にずらして設けられていることを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項2又は請求項3に記載のモータ制御装置において、
    前記電源スイッチ回路の前記第1の固定接点及び前記第2の固定接点と、前記信号生成部の前記抵抗体とは、前記スイッチ回路基板の前記表面において前記トリガーの前記スライド方向に対して略垂直な方向にずらし、かつ前記スライド方向に沿って並列して設けられていることを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記信号生成部の前記抵抗体における前記第2の可動接点が摺接する少なくとも表面、及び、前記第2の可動接点における少なくとも前記抵抗体に摺接する部分の表面のうちの少なくともいずれか一方は、摺動粉の発生を低減するための被覆が設けられていることを特徴とするモータ制御装置。
  7. 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記信号生成部の前記抵抗体及び前記第2の可動接点が設けられる領域と、前記制御回路部及び駆動回路部が設けられる領域とを仕切る隔壁をさらに備えることを特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路部及び前記制御回路部の少なくとも外部に露出した導電性を有する回路部分が、絶縁性を有する被覆材料により被覆されていることを特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記操作部の前記信号生成部、前記電源スイッチ回路部及び前記スイッチ回路基板と、前記駆動回路部と、前記制御回路部とを保持する保持部材をさらに備え、
    前記保持部材は、熱伝導性の材料により形成され、前記駆動回路部の前記半導体パワースイッチング素子と熱伝導可能に配置されていることを特徴とするモータ制御装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路部は、前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、
    前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、
    前記駆動回路基板と前記制御回路基板とは、間隔をあけて対向して配置されていることを特徴とするモータ制御装置。
  11. 請求項10に記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路基板と前記制御回路基板とがピンを介して電気的に接続されていることを特徴とするモータ制御装置。
  12. 請求項10に記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路基板と前記制御回路基板とが、フレキシブル基板を介して電気的に接続されることを特徴とするモータ制御装置。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路部は、前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、
    前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、
    前記スイッチ回路基板、前記駆動回路基板及び前記制御回路基板は、互いに別個の基板として形成されていることを特徴とするモータ制御装置。
  14. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路部は、前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、
    前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、
    前記スイッチ回路基板と前記制御回路基板とは、連続した基板によって形成されていることを特徴とするモータ制御装置。
  15. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記駆動回路部は前記半導体パワースイッチング素子が配設される駆動回路基板をさらに備え、
    前記制御回路部は、前記駆動回路部の制御を行う制御回路と、前記制御回路が配設される制御回路基板とを備え、
    前記駆動回路基板と前記制御回路基板とは、連続した基板によって形成されていることを特徴とするモータ制御装置。
  16. 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記制御回路部は、前記操作部から与えられる前記信号を直接受け取り、前記駆動回路部の制御に用いることを特徴とするモータ制御装置。
  17. 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記操作部と前記制御回路部との間に介在し、前記操作部に対して与えられた前記操作に基づいて制御用の信号を生成し、前記制御回路に与えるインターフェース制御部をさらに備え、
    前記制御回路部は、前記インターフェース制御部から与えられる前記制御用の信号に基づいて前記駆動回路部を制御することを特徴とするモータ制御装置。
  18. 請求項1ないし請求項17のいずれかに記載のモータ制御装置において、
    前記トリガーがスライド変位されるときの初期位置と最大変位位置とによって規定される変位範囲は、制動区間と、前記制動区間の前記最大変位位置側に設けられる回転速度調節区間とを少なくとも備え、
    前記制御回路部は、前記トリガーが前記制動区間内に位置しているときは、前記駆動回路部に前記ブラシレスモータの回転を制動させ、前記トリガーが前記回転速度調節区間内に位置しているときは、前記駆動回路部に前記ブラシレスモータの前記回転速度を前記トリガーの位置に応じて変化させることを特徴とするモータ制御装置。
  19. 請求項1ないし請求項18のいずれに記載のモータ制御装置を備えたことを特徴とするブラシレスモータ。
  20. 請求項19に記載のブラシレスモータを備えたことを特徴とする電動工具。
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