以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を実施する顕微鏡システムの構成例を示す図である。
ここで、複数の観察ステップの各々において必要となる設定及び操作を受け付ける複数のウィザード手段は、ホストシステム2によってモニター5に表示される後述の4つのウィザード画面が対応する。複数のウィザード手段の中の一つを実行させ、実行中のウィザード手段が受け付けた設定及び操作に応じて顕微鏡装置を制御する制御手段は、顕微鏡コントローラ31を介して顕微鏡装置1に接続されたホストシステム2が対応する。設定及び操作の来歴データを記録する来歴記録手段は、操作来歴記録部4が対応する。
顕微鏡装置1には、透過観察用光学系として、透過照明用光源6と、透過照明用光源6の照明光を集光するコレクタレンズ7と、透過用フィルタユニット8と、透過視野絞り9と、透過開口絞り10と、コンデンサ光学素子ユニット11と、トップレンズユニット12とが備えられている。また、落射観察光学系として、落射照明用光源13と、コレクタレンズ14と、落射用フィルタユニット15と、落射シャッタ16と、落射視野絞り17と、落射開口絞り18とが備えられている。
また、これらの透過観察用光学系の光路と落射観察用光学系の光路とが重なる観察光路上には、観察体(標本)19が載置される、上下左右の各方向に移動可能な電動ステージ20が備えられている。この電動ステージ20の移動の制御はステージX−Y駆動制御部21とステージZ駆動制御部22とによって行われる。なお、電動ステージ20は原点センサによる原点検出機能(不図示)を有しており、電動ステージ20に載置した観察体19の座標検出及び座標指定による移動制御を行うことができる。
また、観察光路上には、複数装着された対物レンズ23a、23b、…(以下、必要に応じて「対物レンズ23」と総称する)から観察に使用するものを回転動作により選択するレボルバ24と、検鏡方法を切り替えるキューブユニット25と、観察光路を接眼レンズ26側とビデオカメラ3側とに分岐させるビームスプリッタ27とが備えられている。さらに、微分干渉観察用のポラライザー28、DIC(Differential Interference Contrast)プリズム29、及びアナライザー30は観察光路に挿入可能となっている。なお、これらの各ユニットは電動化されており、その動作は後述する顕微鏡コントローラ31によって制御される。また、対物レンズ23には、カバーガラスによる厚みの補正を行う収差補正機能を有する、いわゆる補正環付対物レンズが装着されており(不図示)、同じく顕微鏡コントローラ31によって補正環位置の制御も可能となっている。
ホストシステム2に接続された顕微鏡コントローラ31は、顕微鏡装置1全体の動作を制御する機能を有するものであり、ホストシステム2からの制御信号に応じ、検鏡方法の変更、透過照明用光源6及び落射照明用光源13の調光を行うと共に、現在の顕微鏡装置1による検鏡状態(顕微鏡状態)をホストシステム2へ送出する機能を有している。また、顕微鏡コントローラ31はステージX−Y駆動制御部21及びステージZ駆動制御部22にも接続されており、電動ステージ20の制御もホストシステム2で行うことができる。顕微鏡操作部34は、ホストシステム2と共に顕微鏡装置1の動作指示を入力するための各種入力部を備えたハンドスイッチで、同じくこれに備えられたジョイスティックやエンコーダ(表記せず)によって、電動ステージ20の操作も行えるものとなっている。
ビデオカメラ3によって撮像された観察体19の顕微鏡画像は、ビデオボード32を介してホストシステム2に取り込まれる。ホストシステム2は、ビデオカメラ3に対して、自動ゲイン制御のON/OFF、ゲイン設定、自動露出制御のON/OFF、及び露光時間の設定を、カメラコントローラ33を介して行うことができる。また、ホストシステム2は、ビデオカメラ3から送られてきた観察体19の画像に係る画像データを、操作来歴記録部4に保存することができる。操作来歴記録部4に記録された画像データはホストシステム2によって読み出され、表示部であるモニター5に表示させることができる。
更に、ホストシステム2は、ビデオカメラ3によって撮像された画像のコントラストに基づいて合焦動作を行う、いわゆるビデオAF機能も提供している。なお、ホストシステム2は、制御プログラムの実行によって顕微鏡システム全体の動作制御を司るCPU(中央演算装置)、このCPUが必要に応じてワークメモリとして使用するメインメモリ、マウスやキーボードなどといったユーザからの各種の指示を取得するための入力部、この顕微鏡システムの各構成要素との間で各種データの授受を管理するインタフェースユニット、及び各種のプログラムやデータを記憶しておく例えばハードディスク装置などの補助記憶装置を有している、ごく標準的な構成のコンピュータである。
次に、ホストシステム2によってモニター5に一つずつ操作メニュー画面として表示される4つのウィザード画面について説明する。
図2は、その4つのウィザード画面の概要を説明する図である。
同図に示したように、4つのウィザード画面は、スタートメニュー画面であるウィザード画面Aと、標本チェックメニュー画面であるウィザード画面Bと、標本サーチメニュー画面であるウィザード画面Cと、撮影メニュー画面であるウィザード画面Dとからなる。
これら4つのウィザード画面の各々は、顕微鏡観察における複数(本例では4つとする)の観察ステップの各々に対応して設けられており、顕微鏡観察を行っていくにあたって、ユーザが観察ステップに応じたウィザード画面を順次切り替えて使用する構成となっている。なお、ウィザード画面の切り替えは、同図の矢印に示したように、各ウィザード画面から他の3つのウィザード画面の何れへも切り替えることが可能になっている。
各ウィザード画面では、対応する観察ステップにおいて必要となる設定及び操作のみを受け付けることが可能なように、その設定及び操作が可能なユニットとの関連付けが行われており、ユーザが不用意に不必要な設定及び操作を行うことができないようになっている。また、各ウィザード画面にて受け付けた設定及び操作は、来歴データとして、操作来歴記録部4に記録されるようになっている。
次に、4つのウィザード画面の各々を詳細に説明する。
図3は、ウィザード画面Aの一例を示す図である。
同図に示したウィザード画面Aは、観察を開始するための最初の操作メニュー画面となるスタートメニュー画面(撮影コース選択メニュー画面)である。
このウィザード画面Aでは、ユーザが、これから観察を行う標本(スライドガラス)19のセット(交換)作業と、これから観察を行う検鏡方法(明視野観察、微分干渉観察、蛍光観察等)の選択と、使用する光学素子(対物レンズ23、キューブ等)の選択と、撮影画像サイズの設定等を行うことができる。
ウィザード画面Aにおいて、標本交換ボタン36は、標本19を交換するための指示を行うためのボタンである。これが押下(例えばマウスによるクリック)されると、ホストシステム2は顕微鏡コントローラ31を介して電動ステージ20に対して指示を送り、標本19の交換を行うためのステージ位置座標(標本交換位置座標)へ電動ステージ20を移動する。なお、標本19のセット後に、ユーザによるウィザード画面Aに対する所定の操作(例えば標本交換ボタン36の再押下)により、標本19の位置を中心ステージ位置座標(観察開始デフォルト座標)へセットするように電動ステージ20を移動することもできる。
エリア35は、ウィザード画面Aにおけるメインエリアとなっている。エリア35内のボタン43乃至45は、いずれも検鏡方法選択ボタンであり、ボタン43は蛍光観察選択ボタン、ボタン44は微分干渉観察選択ボタン、ボタン45は明視野観察選択ボタンである。ボタン46乃至49は、いずれも撮影方法選択ボタンであり、例えば、ボタン46は通常撮影を選択するボタン、ボタン47はZスタック撮影を選択するボタン、ボタン48はタイムラプス撮影を選択するボタンである。また、ボタン51は次の観察ステップに対応するウィザード画面Bへ移行するためのボタンであり、ボタン52はウィザード画面Aに移行する前のウィザード画面に戻るためのボタンである。例えば、ウィザード画面Dからウィザード画面Aに移行してきていた場合には、ボタン52が押下(例えばマウスによるクリック)されると、ウィザード画面Dへ戻ることとなる。エリア50は、各種説明表示用のエリアである。
エリア37は、使用する光学素子の選択、追加、交換(物理的交換)のためのエリアである。ユーザは、このエリア37を介して、選択されている検鏡方法による観察で使用するキューブ等の設定を行うことができる。すなわち、ユーザは、顕微鏡装置1で駆動可能な各種光学素子のうち、ウィザード画面Aにて選択した検鏡方法に関連する光学素子のみの設定を行うことが可能となる。
ボタン38乃至41は、いずれも他のウィザード画面にダイレクトに移行するためのボタンであり、ボタン38はウィザード画面Aに移行するためのボタン、ボタン39はウィザード画面Bに移行するためのボタン、ボタン40はウィザード画面Cに移行するためのボタン、ボタン41はウィザード画面Dに移行するためのボタンである。但し、モニター5に表示されているウィザード画面と同一のウィザード画面へ移行するためのボタンが押下(例えばマウスによるクリック)された場合には、ウィザード画面の移行は行われない。なお、ボタン38乃至41は、後述のウィザード画面B、ウィザード画面C、及びウィザード画面Dにおいても設けられるものである。
また、このウィザード画面Aでは、ビデオカメラ3で撮影を行う際の画像サイズを設定することも可能となっている。
このように、ウィザード画面Aにおいてユーザが行うことのできる設定及び操作は、原則として、標本19の交換を行うための電動ステージ20の移動指示を行うためのものと、撮影コース(検鏡方法)を選択するためのものと、光学素子を交換するためのものと、撮影画像サイズを設定するためのものとなっており、その他のユニットに対する設定及び操作は、ウィザード画面Aから行うことができないものとなっている。
図4は、ウィザード画面Bの一例を示す図である。
同図に示したウィザード画面Bは、マクロ画像(低倍対物レンズによる撮影画像)における初期観察スタート位置の検索とそのマクロ画像におけるAF動作(合焦動作)を行わせるための操作メニュー画面となる標本チェックメニュー画面である。
このウィザード画面Bにおいて、スライドイメージエリア53における矩形で示されるエリア54の範囲は、標本19であるスライドガラス全体に対する電動ステージ20の動作可能範囲を示している。
マクロ画像表示エリア56は、ビデオカメラ3によりリアルタイムに撮影される標本19のLIVE画像となるマクロ画像が表示されるエリアである。なお、ウィザード画面Bがモニター5に表示されているときには、使用する対物レンズ23が低倍(ここでは4x(4倍)の対物レンズとする)に固定される。また、マクロ画像表示エリア56に表示されるマクロ画像は、図3に示したウィザード画面Aにて選択された検鏡方法の下で撮影されたマクロ画像となるのが原則であるが、ウィザード画面Aにて選択された検鏡方法が蛍光観察であった場合には、標本19における観察対象の褪色を防止するために、検鏡方法がウィザード画面Bにおいては、微分干渉観察へ切り替えられ、その微分干渉観察の下で撮影されたマクロ画像が表示されるようになっている。また、スライドイメージエリア53においては、そのマクロ画像表示エリア56に表示されているマクロ画像に対応する範囲が矩形枠55として示される。
マクロ画像表示エリア56の周囲には、標本19を4方向に移動させるためのボタン57乃至60が設けられている。ユーザがボタン57乃至60の何れかを押下(例えばマウスによりクリック)すると、そのボタンに対応する方向へ電動ステージ20が移動し、標本19がその方向へ移動するようになっている。従って、ユーザは、スライドイメージエリア53及びマクロ画像表示エリア56の表示内容を確認しながらボタン57乃至60を押下することにより、標本19における観察対象が存在する初期観察スタート位置を選択することができる。また、この初期観察スタート位置の選択が行われた後、ユーザによるボタン61の押下(例えばマウスのクリック)により、AF動作を実行させることができ、マクロ画像における合焦座標(Z座標)を決定することができる。なお、ウィザード画面Aにて蛍光観察が選択されていた場合には、上述のとおり、検鏡方法が一時的に微分干渉観察に切り替えられ、その微分干渉観察の下で撮影されたマクロ画像がマクロ画像表示エリア56に表示されることから、上記の初期観察スタート位置の選択とマクロ画像における合焦座標の決定も、その微分干渉観察の下で撮影されたマクロ画像に対して行われることとなる。
また、ボタン61は、上記のAF動作の実行の他、次の観察ステップに対応するウィザード画面Cへ移行するためのボタンでもある。すなわち、ユーザによるボタン61の押下により、上記のAF動作を実行させ、その後に、ウィザード画面Cに移行することとなる。ボタン62は、ウィザード画面Bに移行する前のウィザード画面に戻るためのボタンである。
このように、ウィザード画面Bにおいてユーザが行うことのできる設定及び操作は、標本19における観察対象が存在する初期観察スタート位置を選択するためのものと、マクロ画像におけるAF動作を行わせるためのものとなっている。なお、ウィザード画面Aからウィザード画面Bに移行した時には、ウィザード画面Aにて選択された検鏡方法への切り替えが自動的に行われる。但し、検鏡方法として蛍光観察が選択されていた場合には、上述のとおり、微分干渉観察への切り替えが行われる。この検鏡方法の切り替えでは、対物レンズ23及びその他の設定が、切り替えられる検鏡方法に応じたデフォルト値に設定される。
図5は、ウィザード画面Cの一例を示す図である。
同図に示したウィザード画面Cは、標本19における撮影位置の検索及び撮影倍率を選択するための操作メニュー画面となる標本サーチメニュー画面である。
このウィザード画面Cにおいて、マクロLIVE画像エリア63は、ビデオカメラ3によりリアルタイムに撮影される標本19のLIVE画像となるマクロ画像が表示されるエリアである。このマクロLIVE画像エリア63において、ユーザは標本19における撮影対象位置の検索と撮影範囲の選択を行うことが可能になっている。なお、ウィザード画面Cがモニター5に表示されているときにも、ウィザード画面Bのときと同様に、使用する対物レンズ23が低倍(ここでは4xの対物レンズとする)に固定される。
範囲指定枠64は、次の観察ステップに対応するウィザード画面Dにおけるビデオカメラ3による撮影範囲を示すものであり、矩形で示されている。すなわち、範囲指定枠64が示す範囲は、次のウィザード画面Dにおいて撮影時に使用する対物レンズ23による視野範囲に対応したものとなっている。また、この範囲指定枠64は、マウスによるドラッグ及びドロップ操作によって、マクロLIVE画像エリア63の範囲内を移動可能となっている。
範囲指定枠切替エリア67は、範囲指定枠64の大きさ(撮影倍率)を変更するためのものであり、ユーザがスライダー67aを左右に移動させることにより、範囲指定枠64の大きさ(撮影倍率)を変更することが可能となっている(ここでは20x〜60x(20倍〜60倍)の範囲内で変更が可能であるとする)。
スライドエリア65は、標本19であるスライドガラス全体に対するマクロLIVE画像エリア63の位置を示すエリアであり、十字マーク66がマクロLIVE画像エリア63に表示されているマクロ画像の中心に対応する位置を示している。
ツールエリア69は、マクロLIVE画像エリア63に表示されているマクロ画像の明るさ等の調整を行うためのものである。
フォーカスエリア68は、マクロLIVE画像エリア63に表示されているマクロ画像のフォーカス調整を行うためのものであり、ユーザがスライドバー68aを上下に移動させることにより、光軸方向(Z方向)への電動ステージ20の移動指示が行われ、フォーカス位置を変更することが可能となっている。なお、その光軸方向に直行する方向(XY方向)への電動ステージ20の移動指示は、ユーザがマクロLIVE画像エリア63上でのマウスのドラック&ドロップ操作によるマクロ画像のスクロール操作を行うことによって可能となっている。
ボタン70は、範囲指定枠64により指定された範囲の撮影を行うための次の観察ステップに対応するウィザード画面Dへ移行するためのボタンである。ボタン71は、ウィザード画面Cに移行する前のウィザード画面に戻るためのボタンである。
このように、ウィザード画面Cにおいてユーザが行うことのできる設定及び操作は、標本19における撮影位置の検索のためのものと、撮影倍率を選択するためのものとなっている。
図6は、ウィザード画面Dの一例を示す図である。
同図に示したウィザード画面Dは、ウィザード画面Cの範囲指定枠64により指定された範囲の撮影を行うための操作メニュー画面となる撮影メニュー画面である。
このウィザード画面Dにおいて、画像表示エリア72は、ウィザード画面Cの範囲指定枠64により指定された範囲の標本19がビデオカメラ3によりリアルタイムに撮影されるLIVE画像、又は、その範囲の標本19がビデオカメラ3により撮影されたPAUSE画像が表示されるエリアである。なお、この画像表示エリア72では、LIVE画像が表示されているときにユーザが画像表示エリア72内の位置を指定(例えばマウスのダブルクリック)することによって、指定された位置が画像表示エリア72の中心位置となるように電動ステージ20を移動させることが可能になっている。従って、ユーザは、画像表示エリア72上から、撮影位置調整のための電動ステージ20の移動指示を行うことも可能になっている。
表示画像切替エリア85は、画像表示エリア72に表示させる画像を、リアルタイム画像であるLIVE画像、又は、撮影した画像であるPAUSE画像の何れかに切り替えるためのエリアである。この表示画像切替エリア85内のボタン86は画像表示エリア72に表示させる画像をLIVE画像に切り替えるためのものであり、ボタン87は画像表示エリア72に表示させる画像をPAUSE画像に切り替えるためのものである。
フォーカス・補正環エリア73は、画像表示エリア72に表示されている画像のフォーカス及びAF動作を行わせるためのものとなっている。このフォーカス・補正環エリア73において、スライドバー74はフォーカス調整を行うためのものである。なお、このスライドバー74は、ウィザード画面Cにおけるスライドバー68aと同様に、ユーザがスライドバー74を上下に移動させることによって、光軸方向(Z方向)への電動ステージ20の移動指示が行われ、フォーカス位置を変更することが可能となっている。AFボタン75は、AF動作(合焦動作)を行わせるためのものである。また、補正環調整ボタン76A及び76Bは、カバーガラスによる厚みの収差補正を行うための補正環の駆動指示を行うためのものである。
ステージコントロール・マップエリア77は、画像表示エリア72の表示範囲とその周辺の画像を表示すると共に、当該エリア77に表示される画像のスクロールをも可能にするエリアである。なお、このステージコントロール・マップエリア77において、画像表示エリア72の表示範囲は、矩形枠78として示される。
ボタン79は、現在の観察条件(検鏡方法、使用中のキューブ、対物レンズの倍率(撮影倍率)、撮影画像サイズ等)に同一又は類似の観察条件の下で過去に撮影された画像を一覧表示させるためのボタンである。
SHOTボタン81は、画像表示エリア72に表示されているLIVE画像の撮影を行うためのボタンである。
エリア84は、ユーザが撮影条件をマニュアルで設定するためのものである。
ボタン82はウィザード画面Cへ移行するためのボタンであり、ボタン83はウィザード画面Dに移行する前のウィザード画面に戻るためのボタンである。
このように、ウィザード画面Dにおいてユーザが行うことのできる設定及び操作は、ウィザード画面Cの範囲指定枠64により指定された範囲の撮影を行うためのものとなっている。
次に、上述の4つのウィザード画面を使用しながら標本観察を行うときの顕微鏡システムの動作を説明する。但し、ここでは、検鏡方法として蛍光観察を選択し、使用するキューブとして蛍光キューブAを選択し、蛍光キューブAを用いた蛍光観察の下で標本19の撮影を行う場合を例に、その動作を説明することにする。
図7乃至図10は、その標本観察動作のフローチャートを示す図である。図11乃至図19は、その動作中にモニター5に表示されるウィザード画面の一例を示す図である。
まず始めに、標本観察を開始するために、ユーザによる所定の操作により、モニター5にウィザード画面A(図3参照)が表示される。これにより、スタートメニュー画面であるウィザード画面Aに係る図7に示したフローチャートがスタートする。
図7において、まず、ユーザによる標本交換ボタン36の押下に応じて、標本(観察体)19を交換するためのステージ位置座標(標本交換位置座標)へ電動ステージ20を移動し、そこで、標本19がユーザによりセットされる(S101)。
標本19がセットされると、ユーザによるウィザード画面Aに対する所定の操作(例えば標本交換ボタン36の再押下)に応じて、標本19の位置が電動ステージ20の予め定められている中心ステージ位置座標(観察開始デフォルト座標)となるように電動ステージ20を移動する(S102)。これにより、電動ステージ20の位置が基準点座標にセットさせる。
続いて、ユーザによるボタン43乃至45の何れか一つの押下に応じて、検鏡方法を選択する(S103)。これにより、観察を行う検鏡方法が選択される。本例では、蛍光観察を選択するとしていることから、ここではボタン43が押下されたものとする。
続いて、ユーザによるエリア37に対する操作に応じて、キューブを選択する(S104)。これにより、観察に使用されるキューブが選択される。本例では、蛍光キューブAを使用するとしていることから、ここでは蛍光キューブAが選択されたものとする。
続いて、カメラ初期設定として、ユーザによるウィザード画面Aに対する所定の操作に応じて、ビデオカメラ3で撮影を行う際の画像サイズを設定する(105)。本例では、撮影画像サイズとして、M×Nが設定されたとする。
続いて、ユーザによるボタン51の押下に応じて、S101乃至S105で行われた設定及び操作を来歴データとして操作来歴記録部4に記録する(S106)。本例では、検鏡方法として蛍光観察が選択されたこと、使用するキューブとして蛍光キューブAが選択されたこと、撮影画像サイズがM×Nに設定されたこと等が、来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。そして、モニター5に表示されていたウィザード画面Aをウィザード画面B(図4参照)に切り替える。これにより、標本チェックメニュー画面であるウィザード画面Bに係る図8に示すフローチャートがスタートする。
図8において、ウィザード画面Bに移行すると、まず、ホストシステム2は顕微鏡コントローラ31に対して指示を行い、予め定められた標準ピント(Z座標)位置へ電動ステージ20を移動し(S201)、使用する対物レンズ23を4xのものへ切り替える(S202)。
続いて、選択された検鏡方法を操作来歴記録部4から読み出し(S203)、現在の検鏡方法を、読み出した検鏡方法に対応する検鏡方法へ切り替える(S204)。本例では、検鏡方法として蛍光観察が選択されたことが操作来歴記録部4に記録されていることから、選択された検鏡方法として蛍光観察が読み出され、現在の検鏡方法が、読み出された蛍光観察に対応する検鏡方法として微分干渉観察に切り替えられる。このように、ウィザード画面Bにおいて、選択されている検鏡方法が蛍光観察であった場合には、上述のとおり、観察対象の褪色防止のため、蛍光観察ではなく微分干渉観察への切り替えが行われる。これにより、現在の検鏡方法に応じた顕微鏡装置1の設定が、微分干渉観察に応じた顕微鏡装置1の設定に切り替えられる。
検鏡方法の切り替えが終了すると、切り替えた検鏡方法の下でビデオカメラ3によりリアルタイムに標本19を撮影して、そのLIVE画像となるマクロ画像をマクロ画像表示エリア56へ表示することを開始する。本例では、微分干渉観察へ切り替えられたことから、その微分干渉観察の下でビデオカメラ3によりリアルタイムに標本19を撮影して、そのLIVE画像となるマクロ画像をマクロ画像表示エリア56に表示することが開始される。図11は、この時のウィザード画面Bの一例を示す図である。
続いて、ユーザによるボタン57乃至60の押下に応じて、電動ステージ20を移動し(S205)、標本19における観察対象が存在する初期観察スタート位置を選択する(S206)。これにより、ユーザは、スライドイメージエリア53及びマクロ画像表示エリア56の表示内容を確認しながらボタン57乃至60を押下することにより、標本19における観察対象が存在する初期観察スタート位置を検索することができ、そして、所望の位置を初期観察スタート位置として選択することができる。なお、この初期観察スタート位置として選択される位置は、マクロ画像表示エリア56に表示されているマクロ画像の中心位置となっている。本例では、図11に示したウィザード画面Bのマクロ画像表示エリア56に表示されているマクロ画像上のa点を初期観察スタート位置として選択すべく、そのa点がマクロ画像表示エリア56の中心位置となるようにボタン57乃至60が押下され、そして、図12に示したように、そのa点がマクロ画像表示エリア56の中心位置となり、初期観察スタート位置として選択されたものとする。この時の初期観察スタート位置のXY座標を(x_a、y_a)とする。また、a点がマクロ画像表示エリア56の中心に移動したことに伴い、図12に示したウィザード画面Bのスライドイメージエリア53では矩形枠55が対応する位置へ移動する。
初期観察スタート位置の選択が終了した後、ユーザによるボタン61の押下に応じて、選択された初期観察スタート位置でのAF動作を行う(S207)。本例では、AF動作後の合焦座標であるZ座標を(z_a)とする。
続いて、S201乃至S207で行われた設定及び操作を来歴データとして操作来歴記録部4に記録する(S208)。本例では、上記のXY座標(x_a,y_a)とZ座標(z_a)とが来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。そして、モニター5に表示されていたウィザード画面Bをウィザード画面C(図5参照)に切り替える。これにより、標本サーチメニュー画面であるウィザード画面Cに係る図9に示すフローチャートがスタートする。
図9において、ウィザード画面Cに移行すると、まず、ホストシステム2は顕微鏡コントローラ31に対して指示を行い、使用する対物レンズ23が4xのものでない場合には4xのものに切り替える(S301)。
続いて、選択された検鏡方法を操作来歴記録部4から読み出し(S302)、現在の検鏡方法を、読み出した検鏡方法へ切り替える(S303)。本例では、検鏡方法として蛍光観察が選択されたことが操作来歴記録部4に記録されていることから、選択された検鏡方法として蛍光観察が読み出されると共に、選択されたキューブとして蛍光キューブAが読み出され、現在の検鏡方法及びキューブが、読み出された蛍光観察及び蛍光キューブAに切り替えられる。これにより、現在の検鏡方法に応じた顕微鏡装置1の設定が、蛍光キューブAを用いた蛍光観察に応じた顕微鏡装置1の設定に切り替えられる。
検鏡方法の切り替えが終了すると、切り替えた検鏡方法の下でビデオカメラ3によりリアルタイムに標本19を撮影して、そのLIVE画像となるマクロ画像をマクロLIVE画像エリア63に表示することを開始する。本例では、蛍光キューブAを用いた蛍光観察に切り替えられたことから、その蛍光キューブAを用いた蛍光観察の下でビデオカメラ3によりリアルタイムに標本19を撮影して、そのLIVE画像となるマクロ画像をマクロLIVE画像エリア63に表示することが開始される。図13は、この時のウィザード画面Cの一例を示す図である。
続いて、ユーザによるマクロLIVE画像エリア63の範囲指定枠64の操作(マウスによるドラッグ&ドロップ)に応じて範囲指定枠64を移動する、又は、ユーザによるマクロLIVE画像エリア63上でのマウスのドラック&ドロップ操作によるマクロ画像のスクロール操作に応じて電動ステージ20を移動し(S304)、観察ターゲット(撮影ターゲット)を決定する(S305)。これにより、ユーザは、観察ターゲットの検索を行うことができると共に、所望の範囲を範囲指定枠64に合わせることによりその範囲を観察ターゲットとして決定させることができる。本例では、図13に示したウィザード画面CのマクロLIVE画像エリア63に表示されているマクロ画像上のb点を観察ターゲットとして決定すべく、そのb点が範囲指定枠64の中心位置となるように範囲指定枠64が操作され、そして、図14に示したように、そのb点が範囲指定枠64の中心位置となり、観察ターゲットとして決定されたものとする。なお、図14において、枠64´は、移動後の範囲指定枠64を示している。
続いて、S305で決定された観察ターゲットを撮影対象位置として決定すると共に、ユーザによる範囲指定枠切替エリア67のスライダー67aの操作に応じて、範囲指定枠64の大きさを変更し、撮影倍率(対物レンズ倍率)を決定する(S306)。本例では、図14に示した範囲指定枠64´内のb点が撮影対象位置として決定されると共に、ユーザによるスライダー67aの操作に応じて撮影倍率が20xの対物レンズが決定されたものとする。なお、b点の位置のXY座標を(x_b,y_b)とする。
続いて、ユーザによるボタン70の押下に応じて、この時にマクロLIVE画像エリア63に表示されている範囲を撮影し、この時の撮影で得られたマクロ画像と、S301乃至S306で行われた設定及び操作とを、来歴データとして操作来歴記録部4に記録する(S307)。本例では、この時にマクロLIVE画像エリア63に表示されている範囲を撮影したマクロ画像を(pic_m_b)とし、操作来歴記録部4には、このマクロ画像(pic_m_b)と、撮影対象位置の座標として上記のb点のXY座標(x_b、y_b)と、変更後の範囲指定枠64の大きさに応じた撮影倍率(20x)等が、来歴データとして記録される。そして、モニター5に表示されていたウィザード画面Cをウィザード画面D(図6参照)に切り替える。これにより、撮影メニュー画面であるウィザード画面Dに係る図10に示すフローチャートがスタートする。
図10において、ウィザード画面Dに移行すると、まず、決定された撮影対象位置の座標及び撮影倍率を操作来歴記録部4から読み出し(S401)、読み出した撮影倍率に対応するものへ対物レンズ23を切り替え(S402)、更に、読み出した撮影対象位置の座標へ電動ステージ20を移動する(S403)。本例では、撮影対象位置の座標(x_b、y_b)と撮影倍率(20x)が操作来歴記録部4に記録されたことから、20xのものへ対物レンズ23が切り替えられ、撮影対象位置の座標(x_b、y_b)へ電動ステージ20が移動する。
そして、切り替えられた対物レンズ23を用いてビデオカメラ3によりリアルタイムに標本19の撮影対象位置を撮影して、そのLIVE画像を画像表示エリア72へ表示することを開始する。また、ウィザード画面Dへ移行する直前に操作来歴記録部4に記録されたマクロ画像が読み出され、そのマクロ画像がステージコントロール・マップエリア77に表示される。
本例では、切り替えられた20xの対物レンズ(図14に示した範囲指定枠64´の大きさに応じて決定された20xの対物レンズ)を用いてビデオカメラ3によりリアルタイムに撮影対象位置となるb点を撮影して、そのLIVE画像を画像表示エリア72へ表示することが開始される。また、ウィザード画面Dへ移行する直前に操作来歴記録部4に記録されたマクロ画像(pic_m_b)が読み出され、そのマクロ画像(pic_m_b)がステージコントロール・マップエリア77に表示される。図15は、この時のウィザード画面Dの一例を示す図である。同図のウィザード画面Dに示したように、撮影対象位置となるb点が画像表示エリア72の中心に表示され、マクロ画像(pic_m_b)がステージコントロール・マップエリア77に表示される。
続いて、ユーザによる画像表示エリア72内の位置の指定に応じて、指定された位置が画像表示エリア72の中心位置となるように電動ステージ20を移動する(S404)。これにより、ユーザは、撮影対象位置(撮影を行う範囲)の微調整を行うことができる。本例では、図15に示したウィザード画面Dの画像表示エリア72に表示されているLIVE画像上のc点を撮影対象位置とすべく、そのc点が指定され、そのc点が画像表示エリア72の中心位置となるように電動ステージ20が移動し、そして、図16に示したように、そのc点が画像表示エリア72の中心位置となって撮影対象位置とされたものとする。また、この時には、c点が画像表示エリア72の中心に移動したことに伴い、ステージコントロール・マップエリア77では、矩形枠78が対応する位置へ移動する。なお、c点の位置のXY座標を(x_c,y_c)とする。
続いて、ユーザによるフォーカス・補正環エリア73におけるAFボタン75の押下(例えばマウスによるクリック)に応じて、AF動作(合焦動作)を行う(S405)。また、このAF動作の後に、ユーザによるフォーカス・補正環エリア73におけるスライドバー74の操作に応じて電動ステージ20を光軸方向(z方向)へ移動することにより、合焦位置の変更を行うこともできる。これにより、ユーザは、合焦位置の微調整を行うこともできる。なお、S405で行われるAF動作自体を、スライドバー74の操作のみによるマニュアルによって行うようにすることもできる。合焦位置の座標であるZ座標を(z_c)とする。
続いて、現在の標本19に対する補正環データ(補正環位置)が操作来歴記録部4に記録されているか否かを判定する(S406)。
ここで、その判定結果がNoの場合には、補正環位置調整・決定の処理を行う(S407)。この処理では、ユーザによるフォーカス・補正環エリア73における補正環調整ボタン76A及び76Bの押下に応じて、使用中の対物レンズ23の補正環を駆動する。これにより、ユーザは、画像表示エリア72に表示されているLIVE画像を確認しながら補正環調整ボタン76A及び76Bを押下することで、最適な補正環位置を調整することができ、カバーガラスによる厚みの収差補正を行うことができる。そして、ユーザによるウィザード画面Dに対する所定の操作に応じて、現在の補正環位置を、調整後(補正後)の補正環位置(補正環データ)として操作来歴記録部4に記録する。これにより、ユーザは、調整後の補正環位置を操作来歴記録部4に記録させることができる。本例では、補正環データとして補正環位置(h_1)が操作来歴記録部4に記録されたものとする。
一方、S406の判定結果がYesの場合には、操作来歴記録部4に記録された補正環データを読み出し、その補正環データに応じた位置へ補正環を駆動する(S408)。これにより、最適な位置へ補正環が駆動され、カバーガラスによる厚みの収差補正を行うことができる。例えば、補正環データとして上記の補正環位置(h_1)が操作来歴記録部4に記録されていたとすると、その補正環データに応じて補正環が補正環位置(h_1)へ駆動される。
このようなS406乃至S408の処理により、本フローでは、1つの標本に対してS407の処理が一度だけ行われるようになり、S407の処理が一度行われた後は、標本が交換されるまでS407の処理は行われず、代わりにS408の処理が行われるようになる。
S407又はS408の処理が終了すると、続いて、ユーザによりボタン79が押下されたか否かを判定する(S409)。なお、この判定は、ビデオカメラ3の撮影条件を設定するにあたり、過去の撮影時に使用した撮影条件を使用するか否かを判定するものである。
ここで、その判定結果がYesの場合には、現在の観察条件(検鏡方法、使用中のキューブ、対物レンズの倍率(撮影倍率)、撮影画像サイズ等)に同一又は類似の観察条件の下で過去にビデオカメラ3により撮影され操作来歴記録部4に記録された画像(但しマクロ画像を除く)を検索し、該当する画像を、ウィザード画面Dとは別に表示されるウィンドウ内に一覧表示する(S410)。図17は、この時のウィンドウの一例を示す図である。同図に示したウィンドウの例では、類似度の高い上位4つの画像(pic_1〜pic_4)に加え、直近に撮影された画像(但し、マクロ画像を除く)(pic_0)も表示するようにしている。なお、同図において、pic_0〜pic_4は説明の便宜のために示したものであり、実際には表示されるものではない。
続いて、ユーザによる画像選択操作(例えばマウスによるクリック)に応じて、ウィンドウ内の1つの画像を選択し、その選択した画像を撮影した時の撮影条件を設定し、その撮影条件をメニュー84に表示する(S411)。これにより、ユーザは、ウィンドウ内の所望の画像を選択することにより、その画像を撮影した時に使用した撮影条件を容易に再現させることができる。なお、ウィンドウ内で選択された画像に対しては、例えば、図17に示したように太点線枠(pic_0の画像を参照)が設けられ、選択されていない画像と区別可能に表示される。また、このウィンドウは、例えば、ウィザード画面Dが他のウィザード画面に切り替えられると、消えるようになっている。
本フローでは、再現可能な撮影条件を、露出、調光(NDフィルタ含む)、W/B(ホワイトバランス)、及びB/B(ブラックバランス)の各撮影条件とし、撮影時の電動ステージ20のXY座標及びZ座標は再現させない条件とする。また、再現可能な撮影条件においては、更に、撮影条件毎に、再現させるか否かを選択可能となっている。なお、この選択は、例えば、画像が一覧表示されたウィンドウ内から行うようにすることができる。この場合、一覧表示されたウィンドウ内からユーザが所望の画像を選択すると、例えば、その画像を撮影した時の撮影条件が同ウィンドウ内に併せて表示され、そこで、再現しない或いは再現する撮影条件をユーザが選択できるように構成することにより実現することができる。
本例では、図17に示したウィンドウの例において、ユーザにより画像(pic_2)が選択され、撮影条件として、露出(ae_2)、調光(l_2)、W/B(wb_2)、B/B(bb_2)が設定・再現されたものする。
一方、S409の判定結果がNoの場合には、最後に撮影が行われた時の撮影条件(但しマクロ画像撮影時の撮影条件を除く)を設定し、その撮影条件をメニュー84に表示する。なお、このときの撮影条件の設定及び表示は、ウィザード画面Dに切り替えられた直後に行うようにすることも可能である。
このようにして撮影条件が設定されると、続いて、ユーザによるメニュー84に対する撮影条件を変更するための操作(例えばマウスのクリック)に応じて、設定された撮影条件を変更する(S412)。これにより、ユーザは、設定された撮影条件の微調整を行うことができる。また、これによりユーザがマニュアルで撮影条件を設定することができることは勿論のことである。
続いて、ユーザによるSHOTボタン81の押下に応じて、画像表示エリア72に表示されているLIVE画像の撮影を行う(S413)。本例では、この時の撮影条件(c点を撮影した時の撮影条件)を、露出(ae_c)、調光(l_c)、W/B(wb_c)、及びB/B(bb_c)とし、撮影された画像を(pic_c)とする。なお、このLIVE画像の撮影が行われると、撮影された画像がPAUSE画像として画像表示エリア72に表示される。
続いて、S401乃至S413で行われた設定及び操作を来歴データとして操作来歴記録部4に記録する(S414)。本例では、現在のXY座標及びZ座標でもある上記のXY座標(x_c,y_c)及びZ座標(z_c)と、S413でc点を撮影した時の撮影条件である、露出(ae_c)、調光(l_c)、W/B(wb_c)、及びB/B(bb_c)と、その撮影画像(pic_c)等が、操作来歴記録部4に記録される。また、このS414では、ユーザによるボタン86の押下により、画像表示エリア72に表示されているPAUSE画像をLIVE画像に切り替えることも可能である。
以上が、ウィザード画面を使用しながら標本観察を行う一連の動作であるが、各ウィザード画面では、上述のとおり、必要に応じて他のウィザード画面へ切り替えることも可能である。この場合、ボタン38の押下により、ウィザード画面Aへ切り替えて図7に示したフローチャートを再開させることが可能である。また、ボタン39の押下により、ウィザード画面Bへ切り替えて図8に示したフローチャートを再開させることが可能である。また、ボタン40又はボタン82の押下により、ウィザード画面Cへ切り替えて図9に示したフローチャートを再開させることが可能である。また、ボタン41の押下により、ウィザード画面Dへ切り替えて図10に示したフローチャートを再開させることが可能である。
これにより、例えば、上記のS414の処理が終了した後に、ユーザがボタン82を押下すると、引き続き、別の撮影ポイントとなる観察ターゲットを探索することが可能となる。この場合は、ユーザによるボタン82の押下に応じて、モニター5に表示されているウィザード画面Dがウィザード画面Cに切り替えられ、使用する対物レンズ23が20xのものから4xのものに変更されて、マクロLIVE画像エリア63に再び4xの対物レンズによるマクロ画像(LIVE画像)が表示される。なお、この時のXY座標及びZ座標が、ウィザード画面Dからウィザード画面Cへ切り替わる直前のXY座標及びZ座標から引き継がれるものとなることは、ウィザード画面Cに係るフローチャート(図9参照)から、勿論のことである。従って、本例では、XY座標及びZ座標が、ウィザード画面Cへ切り替わる直前のXY座標(x_c,y_c)及びZ座標(z_c)から引き継がれるものとなる。図18は、この時のウィザード画面Cの一例を示す図である。ここで、ユーザによる同図のウィザード画面Cに対する操作により、マクロLIVE画像エリア63に表示されているd点が新たな観察ターゲットとして決定され、撮影倍率として20xが決定され、そして、ウィザード画面Dに切り替えられると、そのウィザード画面Dにおける画像表示エリア72には、20xの対物レンズによるd点のLIVE画像が表示される。図19は、この時のウィザード画面Dの一例を示す図である。ここでユーザは再び、撮影条件として、最後に撮影が行われた時の撮影条件を設定することも可能であるし、ボタン79の押下により、過去の撮影時に使用した撮影条件を設定することも可能である。また、ユーザは、そのようにして設定した撮影条件の微調整を、メニュー84を介して行うこともできる。
ここで、例えば、ユーザが未設定のキューブBを新たに追加設定することを望む場合には、ボタン38を押下することにより、それを行うことが可能である。この場合は、ユーザによるボタン38の押下に応じて、ウィザード画面Dがウィザード画面Aに切り替えられる。なお、ウィザード画面Dからウィザード画面Aに切り替えられる際には、少なくとも切り替え直前のXY座標、Z座標、及び撮影条件が来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。そして、ウィザード画面Aにおいて、ユーザがエリア37を介してキューブBの追加設定を行って、ボタン41を押下することにより、ウィザード画面Aからウィザード画面Dへの切り替えが行われる。このようにしてウィザード画面Dに切り替えられると、ウィザード画面Aに移行した直前の状態が再現され、再び観察を行うことが可能となる。すなわち、ウィザード画面Aに移行した直前の状態且つキューブBを追加設定した状態で再び観察を行うことが可能となる。
以上に説明した観察動作において、その動作中に来歴データとして操作来歴記録部4に記録される設定及び操作の中で、各XY座標、各Z座標、及び補正環位置(補正環データ)は、ウィザード画面Aにて標本19が交換されたときにクリアされるものであり、その他の設定及び操作は、切り替えられたウィザード画面に応じて選択的に再現されるものである。
図20は、各ウィザード画面で受け付け可能な設定及び操作を示す図である。
同図に示したように、スタートメニュー画面であるウィザード画面Aでは、少なくとも、検鏡方法、使用キューブ、及び撮影サイズを、設定及び操作として受け付け可能であり、これらの設定及び操作は来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。また、ウィザード画面Aでは、標本19の交換が行われると、操作来歴記録部4に記録された各XY座標、各Z座標、及び補正環位置がクリアされる。
標本チェックメニュー画面であるウィザード画面Bでは、少なくとも、標本検索スタートXY座標(初期観察スタート位置)及びその位置でのAF動作(S207)により得られたZ座標を、設定及び操作として受け付け可能であり、これらの設定及び操作は来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。
標本サーチメニュー画面であるウィザード画面Cでは、少なくとも、撮影XY座標(撮影対象位置)及び撮影倍率を、設定及び操作として受け付け可能であり、これらの設定及び操作は来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。
撮影メニュー画面であるウィザード画面Dでは、少なくとも、実際の撮影位置であるXY座標、その位置でのAF動作(S405)により得られたZ座標、補正環位置(補正環データ)、及び撮影条件(露出、調光、W/B、及びB/B)を、設定及び操作として受け付け可能であり、これらの設定及び操作は来歴データとして操作来歴記録部4に記録される。
このように、各ウィザード画面では、予め定められた設定及び操作のみを受け付けることが可能なように構成されており、受け付けることができない設定及び操作については、操作来歴記録部4に記録された設定及び操作が再現されることとなる。例えば、ウィザード画面Bにおいて受け付けることができない検鏡方法の設定は、ウィザード画面Aにおいて受け付けられ操作来歴記録部4に記録された検鏡方法から再現されることとなる。すなわち、ウィザード画面の切り替え時において、切り替え後のウィザード画面で受け付けることができない設定及び操作は、操作来歴記録部4に記録された設定及び操作に基づいて再現されることとなる。これは、切り替え後のウィザード画面と操作来歴記録部4に記録された来歴データとに基づいて再現させる設定及び操作が決定され、当該設定及び操作に応じて顕微鏡装置1が制御されることを意味するものでもある。
以上、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、ユーザに対して設定及び操作をナビゲーションするための操作メニューとして、複数の観察ステップに対応する複数のウィザード画面を設け、各ウィザード画面では、対応する観察ステップに必要となる設定及び操作のみを受け付ける構成とし、また、観察ステップに応じたウィザード画面を順次切り替えながら標本観察を行うにあたり、各ウィザード画面で行われた設定及び操作を来歴データとして自動的に記録し、ウィザード画面の切り替え時には、その来歴データから、選択的に設定及び操作を再現可能であることから、ユーザによる設定及び操作の簡略化及び容易化と観察作業に要する時間の短縮を図ることが可能となり、ユーザの負担を大きく低減することが可能となる。従って、顕微鏡操作初心者のようなユーザに特に有効である。
なお、本実施形態では、選択可能な検鏡方法の組み合わせを、明視野観察、微分干渉観察、及び蛍光観察としたが、例えば微分干渉観察の代わりに位相差観察を設けるなど、その他の検鏡方法の組み合わせを適用することも可能である。
また、本実施形態では、顕微鏡装置1が複数の対物レンズ23を有し、これを随時切り替えることにより撮影倍率を変更するものであったが、その代わりに、ズーム機構を備えた対物レンズを適用することも勿論可能である。
また、本実施形態では、標本19としてスライドガラスを例に説明したが、勿論これに限定されるものではなく、ディッシュやその他の標本を適用することも可能である。
また、本実施形態では、来歴データとして撮影画像も記録したが、これを記録しないようにすることも可能である。
また、本実施形態において、来歴データとして記録されるものは、上述したものに限られるものではなく、例えば、使用するフィルタや、絞り、ビデオカメラ3の更に詳細な設定情報などを記録するようにすることも可能である。
ところで、図7乃至図10のフローチャートに示した処理を、上述したような標準的な構成のコンピュータのCPUに行わせるための制御プログラムを作成してコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させておき、そのプログラムを記録媒体からコンピュータに読み込ませてCPUで実行させるようにしても、本発明の実施は可能である。
記録させた制御プログラムをコンピュータで読み取ることの可能な記録媒体としては、例えば、コンピュータに内蔵若しくは外付けの付属装置として備えられるROMやハードディスク装置などの記憶装置、コンピュータに備えられる媒体駆動装置へ挿入することによって記録された制御プログラムを読み出すことのできるフレキシブルディスク、MO(光磁気ディスク)、CD−ROM、DVD−ROMなどといった携帯可能記録媒体等が利用できる。
また、記録媒体は通信回線を介してコンピュータと接続される、プログラムサーバとして機能するコンピュータシステムが備えている記憶装置であってもよい。この場合には、制御プログラムを表現するデータ信号で搬送波を変調して得られる伝送信号を、プログラムサーバから伝送媒体である通信回線を通じてコンピュータへ伝送するようにし、コンピュータでは受信した伝送信号を復調して制御プログラムを再生することでこの制御プログラムをコンピュータのCPUで実行できるようになる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良及び変更を行っても良いのは勿論である。
例えば、上述した実施形態に係る顕微鏡システムでは顕微鏡装置1として正立型顕微鏡装置を採用していたが、その代わりに、倒立型顕微鏡装置を採用することも勿論可能であり、また、顕微鏡装置を組み込んだライン装置といった各種システムに本実施形態を適応することも可能である。