JP2009235471A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次再結晶焼鈍時に鋼板の方位集積度を向上させることによって、磁気特性の一層の向上を図った方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】方向性電磁鋼板の製造に際し、二次再結晶焼鈍を、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足する条件下で行い、二次再結晶方位の圧延面内直角方向周りにおける理想ゴス方位からのずれ角の同一の二次再結晶粒内における圧延方向に沿った変化率の平均値を0.018〜0.06°/mmとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、方向性電磁鋼板およびその製造方法に関し、特に方向性電磁鋼板の方位集積度の一層の向上を図ろうとするものである。
近年の地球温暖化防止や省エネルギー化への関心の高まりを反映して、鉄心材料である方向性電磁鋼板に対しても、低鉄損化、低騒音化の要求がますます厳しくなっている。
方向性電磁鋼板は、鋼板の圧延方向に鉄の磁化容易軸である<001>方位を高度に集積させた鋼板である。通常、この結晶組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、特に仕上焼鈍工程において、ゴス方位と称される{110}<001>方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる二次再結晶を通じて形成される。鉄損の低減や騒音の低減の観点からは、方向性電磁鋼板の組織はゴス方位への集積度が高いほど好ましいとされる。
以下、二次再結晶を発現させるための焼鈍を「二次再結晶焼鈍」と呼ぶ。
方向性電磁鋼板の二次再結晶焼鈍は、二次再結晶の発現や被膜形成に長時間を要するため、一般的にコイルフォームすなわち鋼板をコイルに巻き取った状態でバッチ焼鈍によって行われている。
ところで、このコイルフォーム焼鈍で得られる二次再結晶粒の結晶方位は、材料座標系から見ると圧延方向に沿って連続的に変化している。すなわち、平坦化した製品板における二次再結晶粒の方位は、同一結晶粒内で圧延方向に傾き、圧延方向に沿って連続的にβ角が変化した状態となっている。ここに、β角とは、二次再結晶方位の圧延面内直角方向(TD)周りにおける理想ゴス方位からのずれ角(°)を意味する。
そして、これにより、コイル径に応じて製品板の方位集積度が劣化することが知られている。
高磁束密度方向性電磁鋼板では、二次再結晶粒径は数十mmに達するため、この幾何学的な方位集積度の劣化は無視できない大きさになる。
この方位集積度の劣化を抑制する技術として、特許文献1では、コイル内径を600mm以上とする方法を提案している。
特公昭50−37128号公報
しかし当然のことながら、従来技術では、鋼板を平坦にして二次再結晶焼鈍を行った際に得られる方位集積度を超えることはできない。実際には、コイル径:1000mm前後のコイルフォーム焼鈍で得られる方位集積度は、平坦焼鈍で得られる集積度とほぼ同等の域に達しており、方向性電磁鋼板の工業生産においては、内径:600〜外径:1200mm程度のコイル径で二次再結晶焼鈍が行われている。
本発明は、上記した技術の改良に係るもので、コイルフォーム焼鈍で得られる方位集積度をさらに向上させることによって、磁気特性の一層の向上を図った方向性電磁鋼板をその有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、従来のコイル径(600〜1200mm)よりもさらに巨大なコイル径(2000〜6200mm)で二次再結晶焼鈍を行うことによって、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.同一の二次再結晶粒内における圧延方向に沿ったβ角の変化率の平均値が0.018〜0.06°/mmであることを特徴とする方向性電磁鋼板。
ここで、β角:二次再結晶方位の圧延面内直角方向(TD)周りにおける理想ゴス方位からのずれ角(°)。
2.方向性電磁鋼板用スラブを、加熱後、熱間圧延し、ついで焼鈍と圧延を組み合わせて最終板厚としたのち、一次再結晶焼鈍と二次再結晶焼鈍を施すことによって方向性電磁鋼板を製造するに際し、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足する状態下で二次再結晶焼鈍を行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、従来にはない新しい手法で、方向性電磁鋼板の方位集積度を向上させることができる。
これにより、方位集積度の高い方向性電磁鋼板を提供できるようになり、ひいては地球温暖化の防止や省エネルギー化に貢献する。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、一般的な二次再結晶の機構について述べる。
方向性電磁鋼板の製造プロセスにおいては、一次再結晶集合組織(二次再結晶焼鈍前の集合組織)とゴス方位は約30°ずれた方位関係にある。この状態では、ゴス方位を有する結晶粒(ゴス粒)に易動度の高い結晶粒界が形成される頻度が高いため、ゴス粒が優先的に成長し、ゴス方位に集積した二次再結晶集合組織が得られると考えられている。
次に、本発明の解明経緯について説明する。
さて、発明者らは、コイルフォームでの二次再結晶について、次のような考察を行った。まず、鋼板が平坦な状態(曲率半径=∞)において、二次再結晶核が一次再結晶組織を蚕食して成長する際、二次粒界が移動しても一次再結晶組織と二次再結晶核の方位関係は変化しない。しかしながら、鋼板が湾曲した状態では、二次再結晶核が成長して粒界が移動するにつれて、一次再結晶集合組織と二次再結晶核の方位関係は連続的に変化していく。例えば、曲率半径:1000mmの状態では、二次再結晶粒界が圧延方向に10mm進むごとに、二次再結晶核と一次再結晶集合組織の方位差は約0.6°変化する。この状態では、ゴス方位からやや方位のずれた二次再結晶核も、適切な方向に成長することで結晶粒の<001>方位と圧延方向を整合させることができると考えられる。ゴス方位に近づくように成長するほど二次粒界の易動度が高くなると考えられるから、このような方向への成長は優先的に起き易いと考えられる。
すなわち、発明者らは、平坦な状態での二次再結晶よりもコイルフォームでの二次再結晶のほうが、方位集積度が高くなる可能性があるという着想を得た。
以下、鋼板が湾曲していることに起因する方位集積度向上効果を「湾曲効果」と呼ぶ。
従来技術のコイル径(600〜1200mm)でも上記の湾曲効果は得られると考えられるが、これによる方位集積度の向上は、幾何学的な方位劣化によって相殺されていると考えられる。すなわち、コイルフォーム焼鈍で二次再結晶させたのち、湾曲した鋼板を焼鈍で平坦化するため、二次再結晶粒が逆に湾曲して粒内で方位変化が生じるが、従来のコイル径ではその程度が大きいため、集積度が劣化してしまうものと考えられる。
二次再結晶核生成頻度はゴス方位で最大となるが、完全にゴス方位に整合した二次再結晶核は湾曲効果の恩恵を受けず、幾何学的な劣化のみを受けてしまうことになる。
従って、適度にコイル径を大きくし、幾何学的な劣化の影響を小さくしなければ、湾曲効果による方位集積度の向上は得られないとの考えを得るに到った。
そこで、発明者らは、二次再結晶焼鈍における鋼板の曲率半径を従来よりも大きくすることが方位集積度の向上に有効との考えに立脚して、実験を行った。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.051%、Si:3.2%、Mn:0.08%、S:0.015%、Al:0.022%、Sb:0.024%、Cr:0.02%およびN:0.0065%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼を、実験室的に溶製し、1460℃で10分間加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmとした後、1170℃で2分間の熱延板焼鈍を施した。ついで、1回目の冷間圧延により1.7mm厚まで圧延し、1070℃で1分間の中間焼鈍後、2回目の冷間圧延によって0.27mm厚の最終冷延板とした。ついで、得られた冷延板に対し、H2:N2=55vol%:45vol%、露点:60℃の雰囲気中にて850℃、2分間の一次再結晶焼鈍を行い、引き続いてMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した。その後、この板をさまざまな曲率半径を有するステンレス板に挟んで固定したのち、H2雰囲気中にて1150℃、15時間の最終仕上焼鈍を行い、二次再結晶板とした。ついで、この湾曲した二次再結晶板を平坦なステンレス板に挟んで固定し、乾燥N2雰囲気中にて900℃,2hの焼鈍を施して形状矯正したのち、圧延方向の磁束密度B8〈Hmax=800 A/mにおける磁束密度)を測定した。
得られた結果を、圧延方向の磁束密度B8と二次再結晶焼鈍時の曲率半径との関係で、図1に示す。
同図に示したとおり、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの状態、すなわちコイル径に換算して2000〜6200mmの状態で二次再結晶焼鈍を行うことにより、方位集頻度が改善されて、B8が向上していることが分かる。
次に、図2に、得られた各製品板の同一の二次再結晶粒内における圧延方向に沿ったβ角の変化率について調べた結果を示す。
同図にに示したとおり、上記のような曲率半径で処理されたことの反映として、同一の二次再結晶粒内における圧延方向に沿ったβ角の変化率(絶対値)は0.018〜0.06°/mmの範囲内となっていた。
上述したとおり、本発明に従う条件でコイルフォーム焼鈍して得られる方位集積度は、平坦焼鈍でのそれを上回っており、本発明は、従来の技術思想とは一線を画するものであることが分かる。
本発明で対象とする方向性電磁鋼板の成分組成範囲については特に制限はなく、従来公知のものであればいずれもが適合する。なお、方向性電磁鋼板の製造に際しては、脱炭焼鈍や最終仕上焼鈍において、素材である鋼スラブからCやAl,N等が除去されるので、鋼スラブの組成と製品板の組成は必ずしも一致しないが、鋼スラブの代表組成を示すと次のとおりである。
C:0.015〜0.1%
Cは、変態を利用して熱延組織を改善するのに有用な元素であるだけでなく、ゴス方位結晶粒の発生に有用な元素であり、鋼スラブ中に少なくとも0.015%を含有させることが好ましいが、一方で0.1%を超えると脱炭焼鈍において脱炭不良を起こすので、Cは0.015〜0.1%の範囲とすることが好ましい。なお、このCは、脱炭焼鈍によって0.005%以下まで低減される。
Si:2.0〜7.0%
Siは、製品板の電気抵抗を高めて鉄損を低下させると共に、α鉄を安定化して高温の熱処理を可能とするために必要な元素であり、少なくとも2.0%を含有させることが好ましいが、7.0%を超すと冷延が困難となるので、Siは2.0〜7.0%とすることが好ましい。
Mn:0.02〜0.2%
Mnは、鋼の熱間脆性の改善に有効に寄与するだけでなく、SやSeが混在している場合には、MnSやMnSe等の析出物を形成してインヒビターとしての機能を発揮する。しかしながら、Mn量が0.02%より少ないと上記の効果が不十分であり、一方0.2%を超えるとMnSe等の析出物の粒径が粗大化してインヒビターとしての効果が失われるため、Mnは0.02〜0.2%の範囲とすることが好ましい。
Sおよび/またはSe:それぞれ0.001〜0.03%
SeおよびSは、MnやCuと結合してMnSe、MnS、Cu2-XSe、Cu2-XSを形成し、鋼中の分散第二相としてインヒビターの作用を発輝する有用成分である。これらSe、Sの含有量がそれぞれ0.001%に満たないとその添加効果に乏しく、一方それぞれ0.03%を超えるとスラブ加熱時の固溶が不完全となるだけでなく、製品板表面の欠陥の原因ともなるため、鋼スラブ中にそれぞれ0.001〜0.03%の範囲で含有させることが好ましい。なお、これらのSeやSはそれぞれ、最終仕上焼鈍によってSe:0.001%未満、S:0.001%未満まで低減される。
sol.Al:0.001〜0.04%
Alは、鋼中でAlNを形成して分散第二相としてインヒビターの作用をする有用元素である。しかしながら、含有量が0.001%に満たないとAlNの析出量を十分に確保することができず、一方0.04%を超えて添加するとAlNが粗大に析出してインヒビターとしての作用が失われるため、Alは鋼スラブ中にsol.Alとして0.001〜0.04%の範囲で含有させることが好ましい。なお、このAlは、最終仕上焼鈍によって0.001%未満まで低減される。
N:0.003〜0.013%
Nは、AlNの析出分散相を形成するために必要な元素であり、インヒビターとしてAlNを良好に機能させるためには鋼スラブ中に0.003〜0.013%を含有させることが好ましい。とういのは、含有量が0.003%に満たないとAlNやBNの析出が不十分となり、一方0.013%を超えるとスラブ加熱時にふくれ等を生じるからである。なお、このNは、最終仕上焼鈍によって0.003%未満まで低減される。
以上の成分のほか、抑制力を増強するために、Sb,Cu,Sn,Cr,Mo,PおよびBi等を単独または複合して添加することは、磁気特性をさらに向上させる上で有効である。
Sbは、粒界に偏析して抑制力を高める効果があり、0.01〜0.08%の範囲で含有させることが望ましい。
Cuは、Mnと同様、SeやSと結合して析出物を形成し抑制力を高める元素として有用であり、この効果は0.05〜0.02%の範囲で顕著である。
Snは、二次再結晶粒の生成頻度を高めることによって鉄損の低減に有効に作用する成分であり、0.005〜0.4%の範囲で含有させることが好ましい。
Crも、MnやCuと同様、SeやSと結合して析出物を形成し抑制力を高める元素として有用であり、この効果は0.02〜0.08%の範囲で顕著である。
Moは、二次粒の核をゴス方位に先鋭化させる効果を有し、0.01〜0.1%の範囲でその効果が顕著である。
Pは、Sbと同様、粒界に偏析して抑制力を高める元素であるが、0.01%未満では添加効果に乏しく、一方0.03%を超えると磁気特性、表面性状を不安定化させるので、0.01〜0.03%とすることが好ましい。
Biは、一次再結晶粒の粒界に優先的に濃化し、最終仕上げ焼鈍中の粒界の移動度を低下させることにより、二次再結晶温度を上昇させて結晶方位集積度の向上に有効に作用すると考えられる。しかしながら、Bi添加量が0.001%を下回ると鋼中からの消失が早期に起こるために十分な効果が得られず、一方0.04%を超えて添加すると製品板板地鉄中の残留量が過大となりヒステリシス損の劣化をきたすので、Biは0.001〜0.04%とすることが好ましい。
次に、本発明の製造工程について述べる。
本発明では、二次再結晶焼鈍時の鋼の曲率半径を規定すること以外は、公知のプロセスを採用することができる。好適製造条件について述べると次のとおりである。
上記した好適成分組成に調整された珪素鋼スラブを、インヒビター成分固溶のため1350℃以上の高温に加熱する。しかしながら、窒化等により後工程でインヒビタを補強する場合には、スラブ加熱温度は1280℃以下とすることができる。
ついで、熱間圧延後、焼鈍処理と冷間圧延を組み合わせて最終板厚とし、一次再結晶焼鈍および二次再結晶焼鈍を施したのち、絶縁張力コーティングを焼き付けて製品とする。
ここに、焼鈍処理と冷間圧延を組み合わせて最終板厚とする方法としては、
1)熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのち、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延で最終板厚とする方法、
2)熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのち、1回の冷間圧延で最終板厚とする方法、
3)熱間圧延後、熱延板焼鈍を施さずに、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延で最終板厚とする方法
の3種類の工程が考えられるが、本発明ではいずれの工程を採ることも可能である。
その際、冷間圧延を 100〜200 ℃の温間で行ったり、パス間での時効処理を施すことも磁気特性を向上させるのに有利に作用する。
さらに、磁区細分化のために、鋼板の圧延方向と交差する向きに線状の溝を複数本設けることは、鉄損のさらなる低減を図る上で有用である。
ついで、一次再結晶焼鈍を施すが、この一次再結晶焼鈍に際しては、雰囲気を水蒸気およびH2を含む酸化性雰囲気として、脱炭を併せて行うことが好ましい。
上記の一次再結晶焼鈍後、鋼板の表面に焼鈍分離剤を塗布する。ここに、焼鈍分離剤としては、通常、マグネシア主体のものが用いられる。
このような焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍および純化焼鈍からなる最終仕上焼鈍を施したのち、必要に応じて張力付与コーティングや絶縁コーティングを鋼板表面に焼き付け、ついで平坦化焼鈍を施して製品とする。
本発明では、上記の二次再結晶焼鈍を行う場合に、鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足するように、換言するとコイル径を内径:2000mm〜外径:6200mmの範囲として焼鈍することが重要である。なお、かかる焼鈍は、必ずしもコイルフォーム焼鈍とする必要はなく、鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの条件を満足することができれば、連続焼鈍ラインで二次再結晶焼鈍を行っても良い。
なお、最終的に被覆する被膜の成分は、特に規定されるものではなく、例えばTiN、セラミック、リン酸塩、クロム酸塩および有機樹脂等を被膜として用いることができる。
C:0.042%、Si:3.3%、Mn:0.076%、S:0.019%、Al:0.021%、Sb:0.025%、Cr:0.02%およびN:0.0071%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1460℃で10分間加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmとしたのち、1170℃で2分間の熱延板焼鈍を施した。ついで、1回目の冷間圧延により1.8mm厚まで圧延し、1100℃で1分間の中間焼鈍後、2回目の冷間圧延によって0.27mm厚の最終冷延板とした。得られた冷延板に対し、H2:N2=60vol%:40vol%、露点:60℃の雰囲気中にて840℃、2分間の一次再結晶焼鈍を行い、引き続いてMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した。その後、鋼板をさまざまなコイル径で巻き取ったのち、H2雰囲気中にて1180℃、15時間の最終仕上焼鈍を行って二次再結晶させ、ついで830℃で30秒間の平坦化焼鈍により形状を矯正して、製品板とした。
かくして得られた各製品板から試験片を切り出し、圧延方向のβ角の変化率の平均値と磁束密度B8を測定した結果を、表1に示す。
Figure 2009235471
同表に示したとおり、本発明に従い、二次再結晶焼鈍を、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足する状態下で行った場合には、優れたB8が得られることが分かる。
C:0.051%、Si:3.1%、Mn:0.071%、S:0.020%、Al:0.024%、Sb:0.02%、Cr:0.02%およびN:0.079%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1380℃で20分間加熱後、熱間圧延により板厚:1.8mmとしたのち、1150℃で1分間の熱延板焼鈍を施した。ついで、1回の冷間圧延によって0.23mm厚の最終冷延板とした。得られた冷延板に対し、H2:N2=60vol%:40vol%、露点:55℃の雰囲気中にて830℃、2分間の一次再結晶焼鈍を行い。引き続いてMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した。その後、鋼板をさまざまなコイル径で巻き取ったのち、H2雰囲気中にて1180℃、15時間の最終仕上焼鈍を行って二次再結晶させ、ついで830℃で30秒間の平坦化焼鈍により形状を矯正して、製品板とした。
かくして得られた各製品板から試験片を切り出し、圧延方向のβ角の変化率の平均値と磁束密度B8を測定した結果を、表2に示す。
Figure 2009235471
同表に示したとおり、本発明に従い、二次再結晶焼鈍を、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足する状態下で行った場合には、優れたB8が得られることが分かる。
表3に示す種々の成分になる鋼スラブを、1390℃で20分間加熱後、熱間圧延により板厚:2.3mmとしたのち、1120℃で2分間の熱延板焼鈍を施した。ついで、1回の冷間圧延によって0.27mm厚の最終冷延板とした。得られた冷延板に対し、H2:N2=55vol%:45vol%、露点:63℃の雰囲気中にて830℃、2分間の一次再結晶焼鈍を行い、引き続いてMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した。その後、鋼板を、内径:2000mm、外径:3000mm(鋼板の曲率半径:1000〜1500mm)の条件で巻き取ったのち、H2雰囲気中にて1170℃、13時間の最終仕上焼鈍を行って二次再結晶させ、ついで820℃で20秒間の平坦化焼鈍により形状を矯正して、製品板とした。
かくして得られた各製品板から試験片を切り出し、圧延方向のβ角の変化率の平均値と磁束密度B8を測定した結果を、表3に併記する。
Figure 2009235471
同表から明らかなように、鋼板の成分組成の如何にかかわらず、二次再結晶焼鈍を、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足する状態下で行った場合には、優れたB8が得られている。
二次再結晶焼鈍時における鋼板の圧延方向の曲率半径と磁束密度B8との関係を示すグラフである。 二次再結晶焼鈍時における鋼板の圧延方向の曲率半径と、同一の二次再結晶粒内における圧延方向に沿ったβ角の変化率との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 同一の二次再結晶粒内における圧延方向に沿ったβ角の変化率の平均値が0.018〜0.06°/mmであることを特徴とする方向性電磁鋼板。
    ここで、β角:二次再結晶方位の圧延面内直角方向(TD)周りにおける理想ゴス方位からのずれ角(°)。
  2. 方向性電磁鋼板用スラブを、加熱後、熱間圧延し、ついで焼鈍と圧延を組み合わせて最終板厚としたのち、一次再結晶焼鈍と二次再結晶焼鈍を施すことによって方向性電磁鋼板を製造するに際し、圧延方向における鋼板の曲率半径が1000〜3100mmの範囲を満足する状態下で二次再結晶焼鈍を行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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