JP2009233201A - 固定具および留置物固定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】生体管腔内において、生体組織に対し、留置物を容易、迅速かつ確実に固定することができる固定具および留置物固定システムを提供すること。
【解決手段】固定具2は、支持部材3と、支持部材3に設置された複数(図示の構成では、3個)のピン5とを備えている。支持部材3は、線状体31を交差させて網目状に形成したものであり、折り畳んだ状態と、拡張した状態とを採り得るようになっており、拡張した状態で全体形状が略筒状となるよう構成されている。また、線状体31は、生分解性を有する材料で構成されている。また、各ピン5は、支持部材3が略筒状になった状態で、支持部材3の周方向に沿って並設されている。また、ピン5は、穿刺部52と、背骨部53とを有しており、穿刺部52は、背骨部53の基端部532から延長して突出している。
【選択図】図3

Description

本発明は、生体管腔内において生体組織に対し留置物を固定する固定具および留置物固定システムに関するものである。
従来、動脈瘤の治療にあたっては、外科的に動脈瘤を切除し、その部分に人工血管(人工的な材料で作製された管体)を移植するあるいは、バイパス手術と呼ばれる別の新たな血管流路を形成し、血流を確保するという治療法が行われていた。しかし、動脈瘤を発症する患者は一般的に高齢者が多く、このような大手術は、患者の負担が大きいため困難な場合が多く、また術中、術後の合併症も発生し易く、危険を伴うものであった。
また、このような外科的手術をせず、経皮的にステントグラフト(人工血管(グラフト)に金属骨格(ステント)が縫い付けてある医療器具)を留置、移植して動脈瘤を治療する器具および方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この治療法によれば、手術の危険性および患者の負担が大幅に軽減するという利点がある。
ステントグラフトには、大別して、(1)外力を付与しない自然状態では拡径しており、これに径方向の圧縮力を加え、縮径させた状態、すなわちチューブ内に入れて拡径を規制した状態で動脈内の目的部位(動脈瘤が形成された治療部位)まで移送し、ここで前記圧縮力を除去して自己拡径させ、そこへ留置する所謂セルフエクスパンドタイプのものと、(2)外力を付与しない自然状態では縮径しており、この状態で動脈内の目的部位まで移送した後、別途挿入されたバルーンカテーテルのバルーンを膨張させて、ステントグラフトの端部に設置された金属部材を拡張させ、該拡張に伴う金属部材の塑性変形によりその拡張状態を維持する構成の所謂バルーンエクスパンドタイプのものとがある。
しかしながら、これらのステントグラフトは、いずれも、金属製の骨格であるステントに、布状のグラフトを固定したものであり、ステントグラフトを留置する際に、そのステントグラフトを移送するチューブとして、比較的大きな径のチューブを用いる必要がある。このため、チューブの径を小さくすることが望まれている。
そこで、グラフトのみを血管壁にピンで固定することで、そのグラフトを留置、移植して動脈瘤を治療する方法が提案されている。この治療法によれば、グラフトは、ステントグラフトに比べて小さく折り畳むことができるので、そのグラフトを移送するチューブとして、比較的小さい径のチューブを用いることができ、これにより、患者の負担をさらに軽減することができる。
しかしながら、グラフトを血管壁にピンで固定する場合、複数のピンを用いて、血管壁の周方向に沿って複数個所を固定する必要があり、このため、各ピンを個々に目的部位に穿刺しなければならず、作業に手間と時間がかかるという欠点がある。
特開2000−279434号公報
本発明の目的は、生体管腔内において、生体組織に対し、留置物を容易、迅速かつ確実に固定することができる固定具および留置物固定システムを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
(1) 生体管腔内において生体組織に対し留置物を固定する固定具であって、
線状体で構成され、折り畳んだ状態と、拡張した状態とを採り得、前記拡張した状態で全体形状が略筒状となる支持部材と、
前記支持部材が略筒状になった状態で該支持部材の周方向に沿って並設され、前記留置物と共に生体組織に穿刺される穿刺部を有する複数のピンとを備え、
前記線状体は、生分解性を有する材料で構成されていることを特徴とする固定具。
(2) 前記ピンは、前記留置物に当接する部位を有し、該留置物を生体組織に密着させる棒状の背骨部を備える上記(1)に記載の固定具。
(3) 前記穿刺部および前記背骨部は、それぞれ、直線状をなし、
前記穿刺部の軸と前記背骨部の軸のなす角θが90°未満となるように、前記穿刺部の軸は、前記背骨部の軸に対して傾斜している上記(2)に記載の固定具。
(4) 前記支持部材が略筒状になった状態で、該支持部材の軸と前記背骨部の軸とが略平行である上記(3)に記載の固定具。
(5) 前記背骨部は、前記支持部材に固定され、
前記穿刺部は、前記支持部材の外側に向って突出している上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の固定具。
(6) 前記穿刺部は、前記背骨部の一方の端部から延長して突出している上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の固定具。
(7) 前記ピンは、2つの前記穿刺部を有し、
前記一方の穿刺部は、前記背骨部の一方の端部から延長して突出し、前記他方の穿刺部は、前記背骨部の他方の端部から延長して突出している上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の固定具。
(8) 前記ピンは、弾性を有し、前記ピンに外力を加えて変形させたとき、前記穿刺部と前記背骨部とが接近または接触し、前記外力を解除したとき、元の形状に復元するよう構成されている上記(2)ないし(7)のいずれかに記載の固定具。
(9) 前記ピンは、その背面側の表面に、平面を有している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の固定具。
(10) 前記支持部材は、前記線状体を交差させて網目状に形成したものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の固定具。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の固定具と、
生体管腔内において、前記固定具で前記留置物を生体組織に固定する留置物固定装置とを有することを特徴とする留置物固定システム。
(12) 前記留置物固定装置は、シャフトと、該シャフトの先端部に設けられ、拡張・収縮可能な拡張体とを有する拡張体付シャフトを備え、
前記拡張体は、前記固定具の内側に配置され、前記拡張体が拡張することにより、前記固定具の前記支持部材が拡張されて略筒状となるよう構成されている上記(11)に記載の留置物固定システム。
(13) 前記拡張体は、バルーンで構成され、
前記バルーンを拡張・収縮させる作動流体が流れる流路が、前記シャフトに沿って形成されている上記(12)に記載の留置物固定システム。
(14) 前記留置物固定装置は、前記固定具を前記拡張体付シャフトに保持する保持手段を有する上記(12)または(13)に記載の留置物固定システム。
(15) 前記保持手段は、前記固定具を吊る吊糸を有する上記(14)に記載の留置物固定システム。
(16) 前記固定具の前記吊糸で吊られる部位は、前記ピンの端部付近である上記(15)に記載の留置物固定システム。
(17) 前記固定具は、生分解性を有する材料で構成された吊手を有し、
前記シャフトは、管体で構成され、
前記留置物固定装置は、前記シャフトの内腔を挿通するワイヤーを有し、
前記吊糸は、その途中の部位を前記吊手に掛けた状態で、前記吊糸の一端側が、前記拡張体付シャフトに接続され、前記吊糸の他端側が、前記ワイヤーに離脱可能に接続されている上記(15)または(16)に記載の留置物固定システム。
(18) 前記吊糸は、その他端側に輪を有し、
前記輪に前記ワイヤーが挿通することで、前記吊糸の他端側が前記ワイヤーに離脱可能に接続されている上記(17)に記載の留置物固定システム。
(19) 前記吊糸および前記吊手は、それぞれ、前記ピンと同数設けられており、
前記各吊手は、それぞれ、前記各ピンの端部付近に配置されている上記(17)または(18)に記載の留置物固定システム。
(20) 前記留置物固定装置は、前記固定具および前記拡張体が収納される長尺状の外筒を備える上記(12)ないし(19)のいずれかに記載の留置物固定システム。
本発明によれば、生体管腔内(例えば、血管や心臓等の血流のある部位)において、その生体管腔を画成する生体組織に対し、周方向に沿って複数箇所に、同時に、ピンを穿刺することができる。すなわち、生体組織に対し、その全周に亘って、同時に、複数のピンを穿刺することができる。
これにより、生体管腔内において、生体組織に対し、留置物を容易、迅速かつ確実に固定することができる。
また、支持部材を構成する線状体は、生分解性を有する材料で構成されているので、固定具で留置物を生体組織に固定した後、その支持部材は、経時的に生体に吸収されてゆき(消失してゆき)、最終的には、支持部材は、生体管腔内に残らず、複数のピンのみで留置物を生体組織に固定することができる。
これにより、支持部材を生体管腔内から抜去する作業が不要となり、患者の負担が軽減される。
以下、本発明の固定具および留置物固定システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明は、生体管腔内において、その生体管腔を画成する生体組織に対し、各留置物を固定する固定具および留置物固定システムに適用することができるが、下記の実施形態では、代表的に、本発明を、血管の動脈瘤付近に挿入・留置されるグラフトを血管壁(血管内)に固定する固定具および留置物固定システムに適用した場合について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の留置物固定システムの実施形態を示す側面図、図2は、図1に示す留置物固定システムの主要部を示す斜視図(一部、側面図)、図3は、本発明の固定具の第1実施形態を示す斜視図、図4は、血管の動脈瘤付近に挿入・留置されたグラフトを図3に示す固定具で血管壁に固定した状態を示す断面図、図5〜図7は、それぞれ、図1に示す留置物固定システムの作用を説明するための斜視図(一部、側面図)、図8は、図1に示す留置物固定システムの作用を説明するための断面斜視図である。また、図9は、本発明の固定具の第1実施形態の他の構成例を示す斜視図である。
なお、以下では、留置物固定装置については、図1および図2中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」とし、図5〜図7中の上側を「先端」、下側を「基端(後端)」とし、固定具(支持部材、ピン)については、前記と逆に、図1および図2中の左側を「基端」、右側を「先端」とし、図5〜図7中の上側を「基端」、下側を「先端」として説明を行う。また、図3、図4、図8および図9中の上側を「基端」、下側を「先端」として説明を行う。
また、固定具の支持部材について、紙面に対して奥側の線状体は、理解が容易になるように、図3、図5〜図7では、その一部のみを破線で示し、図9では、全部を破線で示す。また、図5〜図7では、グラフトおよび血管壁は、図示されていない。
図1〜図4に示すように、留置物固定システム(固定具打込システム)100は、留置物固定装置(固定具打込装置)1および固定具2を有している。
図3および図4に示す固定具2は、大動脈等の血管300内の動脈瘤320付近に挿入・留置される人工血管であるグラフト(留置物)200を、血管300内(生体管腔内)において、血管壁(生体管腔を画成する生体組織)310に固定する固定具である。
そして、図1および図2に示す留置物固定装置(固定具打込装置)1は、図4に示すように、固定具2の複数のピン5を血管300内においてその血管壁310およびグラフト200に穿通させる(穿刺する)装置、すなわち、大動脈等の血管300内の動脈瘤320付近に挿入・留置されるグラフト200を、血管300内において、固定具2で血管壁310に固定する装置である。
まずは、グラフト200について説明する。
図4に示すように、グラフト200は、そのグラフト200が固定される血管300の形状および寸法に対応した形状および寸法を有しており、通常、筒状をなしている。また、グラフト200は、折り畳まれたり、折り畳まれた状態から広がることができるようになっている。
このグラフト200は、血流を透過させないもの(膜)であればよく、例えば、織物、編物、不織布、紙材のような繊維性多孔質膜、その他、非繊維性多孔質膜、高分子シートのような緻密膜等が挙げられる。
また、グラフト200の素材(繊維)としては、例えば、セルロース繊維、綿、リンター、カポック、亜麻、大麻、ラミー、絹、羊毛等の天然繊維、ナイロン(ポリアミド)、テトロン、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビニロン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリプロピレン等の化学繊維、またはこれら天然および化学繊維のうちの2以上の組み合わせ(混紡等)等が挙げられる。
また、グラフト200の素材(高分子シート)の他の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴム、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、グラフト200は、同一または異なる材料による2層以上の積層体であってもよい。さらに、グラフト200に対し親水化処理または疎水化処理が施されていてもよい。
なお、グラフト200は、後述する固定具2により、血管300の正常部位に固定される。また、グラフト200は、固定具2の複数のピン5により、その血流の上流側の部位において、周方向に沿って(全周(1周)に亘って)、複数箇所が固定される。
次に、固定具2について説明する。
図3および図4に示すように、固定具2は、支持部材(連結部材)3と、支持部材3に設置(固定)された複数(図示の構成では、3個)のピン5とを備えている。
支持部材3は、各ピン5を支持(保持)(連結)する手段であり、線状体(糸)31で構成されている。すなわち、支持部材3は、線状体31を交差させて網目状に形成したものである。
この支持部材3は、折り畳んだ状態と、拡張した状態とを採り得るようになっており、拡張した状態で全体形状が略筒状(図示の構成では、円筒状)となるよう構成されている。
固定具2は、この支持部材3が折り畳まれた状態で、後述する留置物固定装置1の外筒7内の先端部に収納されるが、支持部材3は、線状体31で構成されているので、支持部材3(固定具2)を小さく折り畳むことができ、外筒7の径を小さくすることができ、これによって、患者の負担を軽減することができる。
そして、支持部材3は、後述する留置物固定装置1のバルーン82が拡張することにより、そのバルーン82で拡張されて略筒状になる(図6参照)。
また、支持部材3は、実質的に形状保持性を有していないことが好ましい。これにより、支持部材3を容易に小さく折り畳むことができ、後述する留置物固定装置1の外筒7の径をより小さくすることができ、これによって、細い血管にグラフト200を留置することができ、また、患者の負担を軽減することができる。
また、線状体31は、生分解性を有する材料(生分解性材料)(生体吸収性材料)で構成されている。用いられる生分解性材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、キチン、キトサン等の単体、あるいは、これらの複合体または共重合体等が挙げられる。
線状体31を生分解性材料で構成することにより、固定具2でグラフト200を血管壁310に固定した後、支持部材3は、経時的に生体に吸収されてゆき(消失してゆき)、最終的には、支持部材3は、血管300内に残らず、各ピン5のみでグラフト200を血管壁310に固定することができる。これにより、支持部材3を血管300内から抜去する作業が不要となり、患者の負担が軽減される。
なお、支持部材3の寸法は、特に限定されず、固定具の使用部位(動脈瘤のある血管の種類や部位)や症例等に応じて適宜決定される。通常は、支持部材3が略筒状になった状態で、支持部材3の長さは、例えば、5〜30mm程度であるのが好ましく、10〜20mm程度であるのがより好ましく、また、支持部材3の径(直径)は、例えば、5〜50mm程度であるのが好ましく、10〜30mm程度であるのがより好ましい。
各ピン5は、前記支持部材3が略筒状になった状態(拡張した状態)で、支持部材3の周方向に沿って並設されている。また、各ピン5は、支持部材3が略筒状になった状態で、支持部材3に等間隔(等角度間隔)で配置されている。
ピン5の数は、2個以上であれば特に限定されないが、3個以上であるのが好ましく、3〜8個程度であるのがより好ましい。なお、図示の構成では、ピン5は、3個設けられている。
各ピン5の構成は、同様であるで、以下では、代表的に、1つのピン5を説明する。
ピン5は、穿刺部(穿通部)52と、背骨部53とを有している。本実施形態では、穿刺部52は、背骨部53の基端部(一方の端部)532から延長して突出しており、背骨部53の基端部532が、ピン5の頭部を構成している。
穿刺部52は、グラフト200と共に血管壁310を穿通する(穿刺する)部位であり、棒状で、直線状をなしている。この穿刺部52がグラフト200と共に血管壁310を穿通することにより、グラフト200が血管壁310に固定される。また、穿刺部52の先端部521は、尖っており、これより、穿刺部52は、容易かつ確実に、グラフト200および血管壁310を穿通することができる。
また、背骨部53は、棒状で、直線状をなしている。この背骨部53は、グラフト200に当接(圧接)する部位を有している。この場合、背骨部53は、直線状をなしているので、略全長に亘ってグラフト200に当接することができ、その背骨部53がグラフト200を血管壁310に押し付けることにより、グラフト200は、血管壁310に密着する。このようにして、グラフト200を血管壁310に確実に密着させることができる。
また、ピン5は、その背面側の表面、すなわち、背骨部53の背面側(穿刺部52と反対側)の表面に、平面を有しているのが好ましい。これにより、後述する留置物固定装置1のバルーン82が拡張することにより、支持部材3が拡張されて略筒状になるとき、バルーン82にその平面の部分(平面部)が当接し、ピン5の向きが規制され、これによって、確実に、ピン5の穿刺部52を血管壁310側に向けることができる。
この背骨部53は、支持部材3に固定されている。本実施形態では、背骨部53は、支持部材3が略筒状になった状態でその軸530と支持部材3の軸30とが略平行になる姿勢で、支持部材3の外周面に固定されている。背骨部53を支持部材3に固定する方法は、特に限定されず、例えば、生分解性材料で構成された糸で巻き付け(結び付け)たり、また、融着等が挙げられる。なお、背骨部53は、支持部材3の内周面に固定されていてもよい。
一方、穿刺部52は、支持部材3の外側に向って突出している。すなわち、穿刺部52の軸520は、その軸520と背骨部53の軸530のなす角(角度)θが90°未満となるように、軸530に対して傾斜している。換言すれば、ピン5は、「レ」の字状をなしている。そして、ピン5は、グラフト200を血管壁310に固定する際、穿刺部52の基端部および背骨部53の基端部532が血流の上流側に位置し、穿刺部52の先端部521および背骨部53の先端部(他方の端部)531が血流の下流側に位置するように設置される。
これにより、穿刺部52は、血管壁310に対して傾斜するように穿刺され、血流は、ピン5に対し、穿刺部52が血管壁310に刺さる方向に作用し、これによって、穿刺部52が血管壁310から抜け難くなり、グラフト200を血管壁310に確実に固定することができる。
ここで、前記角度θは、0°を超え、90°未満であるのが好ましく、30〜60°程度であるのがより好ましく、40〜50°程度であるのがさらに好ましい。これにより、グラフト200を血管壁310により確実に固定することができ、また、穿刺部52が、より容易かつ円滑に、グラフト200および血管壁310を穿通することができる。
また、背骨部53の長さは、穿刺部52の長さよりも長く設定されている。これにより、グラフト200を血管壁310により確実に密着させることができる。
そして、本実施形態では、支持部材3が略筒状になった状態で、背骨部53の長さは、支持部材3の軸30の方向の長さと等しく設定され、背骨部53の先端部531と支持部材3の先端部とが一致し、背骨部53の基端部532(穿刺部52の基端部)と支持部材3の基端部とが一致している。これにより、ピン5が、支持部材3によって、より確実に支持される。
なお、穿刺部52および背骨部53の寸法は、それぞれ、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるが、穿刺部52の長さは、例えば、4〜10mm程度であるのが好ましく、6〜8mm程度であるのがより好ましい。
また、背骨部53の長さは、例えば、15〜25mm程度であるのが好ましく、18〜22mm程度であるのがより好ましい。
また、ピン5は、弾性を有している。すなわち、ピン5は、そのピン5に外力を加えて変形させたとき、穿刺部52と背骨部53とが接近または接触し、その外力を解除したとき(自然状態)、復元力(弾性力)により、元の形状に復元するよう構成されている。
ピン5の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti系合金、Cu−Zn系合金、Ni−Al系合金等の擬弾性金属、タングステン、タングステン系合金、チタン、チタン系合金、タンタル、ニッケル、クロム、コバルト系合金等の各種金属が挙げられる。
また、固定具2は、生分解性材料で構成された吊手4を有している。この吊手4は、生分解性材料で構成された線状体(糸)で構成されている。
また、吊手4は、ピン5と同数(図示の構成では、3つ)設けられており、各吊手4は、それぞれ、支持部材3の各ピン5の基端側の端部付近に配置されている。本実施形態では、各吊手4は、それぞれ、支持部材3の基端部の、各ピン5の穿刺部52の基端部および背骨部53の基端部532の近傍の部位に固定されており、各吊手4と支持部材3の線状体31とで、それぞれ、輪が形成されている。この支持部材3の各ピン5の基端側の端部付近の部位、すなわち、各吊手4が固定されている部位が、それぞれ、その吊手4を介して後述する留置物固定装置1の吊糸6で吊られる部位である。
なお、吊手4を構成する生分解性材料としては、前記支持部材3と同様のものを用いることができる。
次に、留置物固定装置1について説明する。
図1および図2に示すように、留置物固定装置1は、長尺状の外筒(外チューブ)7と、バルーン付シャフト(拡張体付シャフト)8と、ワイヤー9と、固定具2をバルーン付シャフト8に保持する保持手段として、固定具2を吊る吊糸6とを備えている。
外筒7は、可撓性を有しており、その先端側および基端側は、それぞれ、開放している。この外筒7内の先端部に、固定具2および後述するバルーン付シャフト8のバルーン82が収納される。
また、外筒7の基端部には、ハブ11が設置(固定)されている。このハブ11は、ポート111を有しており、ポート111は、外筒7の内腔に連通している。なお、このハブ11を把持し、外筒7を操作することができる。
バルーン付シャフト8は、可撓性を有するシャフト81と、シャフト81の先端部に設けられ、拡張・収縮可能なバルーン(拡張体)82とを有している。このバルーン付シャフト8は、外筒7内に、外筒7(シャフト81)の長手方向に沿って移動可能に設置されている。
また、シャフト81は、管体(チューブ)で構成されており、シャフト81の基端部は、ハブ11のポート111から基端側(外部)に突出している。
また、シャフト81の基端部には、ハブ(分岐ハブ)12が設置(固定)されている。このハブ12は、ポート121およびポート(分岐ポート)122を有しており、ポート121は、シャフト81の内腔に連通し、ポート121は、シャフト81の後述するルーメン83に連通している。なお、このハブ12を把持し、バルーン付シャフト8を操作することができる。
また、シャフト81の先端部には、作動流体の注入(供給)・抜き取り(排出)により拡張・収縮し得るバルーン82が設置されている。
バルーン82は、その中心軸がシャフト81の中心軸と一致するように設置されており、シャフト81の中心軸に対し、対称に拡張するよう構成されている。
前記固定具2は、このバルーン82に搭載(離脱可能に設置)され、吊糸6で吊られて、バルーン82に保持される。また、バルーン82は、固定具2の支持部材3の内側に配置され、バルーン82が拡張することにより、その支持部材3は、拡張されて略筒状となる(図6参照)。
バルーン82は、膜状物を例えばシート状や筒状に成形してなるものであり、シャフト81の外周面に対し、気密的または液密的に固着されている。この固着は、例えば融着または接着剤による接着によりなされている。
バルーン82は、拡張前(収縮時)は、しぼんで畳まれている状態となっているが、その内部に作動流体が供給されることにより拡張し、逆に、内部から作動流体を排出すると、収縮する。
バルーン82は、各種の高分子材料(特に、熱可塑性樹脂)で構成されている。この場合、バルーン82は、全体として可撓性を有する材料で構成されているのが好ましい。
バルーン82の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂またはこれを含むポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはそれに架橋処理を施したもの(特に、電子線照射により架橋させたもの)、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはこれを含むポリアミドエラストマー、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはこれらに架橋処理を施したもの、シリコーン樹脂またはこれらのうちの少なくとも一種を含むポリマーブレンド、ポリマーアロイ等の材料が挙げられる。
さらに、これらの材料よりなる膜を複数積層した積層体でバルーン82を構成してもよい。この場合、例えば、各層を共押出成形したり、各層を接着、融着等により接合したり、1つの層の上にコーティングにより他の層を形成したりする方法で積層体を得ることができる。また、上記材料からなる層の外側または内側に、軟質樹脂層、硬質樹脂層、潤滑性材料の層、抗血栓性材料の層等を設けてもよい。
なお、バルーン82の構成材料中には、例えば、ヘパリン、プロスタグランジン、ウロキナーゼ、アルギニン誘導体等の抗血栓性材料や、前述したマーカーとして機能する硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン等のX線不透過材料が配合されていてもよい。
また、シャフト81には、その長手方向に沿って、バルーン82を拡張・収縮させる作動流体が流れる流路となるルーメン83が形成されている。このルーメン83は、シャフト81のほぼ全長に渡って形成されている。ルーメン83の先端は、シャフト81の先端部の側方、すなわち、バルーン82の内部に位置するシャフト81の外周面に開放(開口)し、基端側は、ハブ12のポート122に連通している。これにより、ルーメン83を介してバルーン82の内部とポート122とが連通する。
また、ポート122には、バルーン82に対し、作動流体を供給・排出する供給・排出手段として、例えば、作動流体が充填されたシリンジ400が接続される。
この作動流体としては、圧力変動によって体積が変化しない液体が使用でき、生体に無害であるものが好ましい。また、液体の中でも、X線造影性を有する液体であるのがより好ましく、例えば、動脈用造影剤等のX線造影剤を生理食塩水で数倍に希釈した液体等を使用することができる。この場合、バルーン82の位置がX線透視下で確認できる。
ワイヤー9は、シャフト81内に、シャフト81(ワイヤー9)の長手方向に沿って移動可能に設置されている。
このワイヤー9は、シャフト81の内腔を挿通しており、ワイヤー9の基端部は、ハブ12のポート121から基端側(外部)に突出している。そして、ワイヤー9の基端部には、把持部13が設置(固定)されており、この把持部13を把持し、ワイヤー9を操作することができるようになっている。
また、外筒7の先端部には、X線透視下で外筒7の先端部の生体内での位置を確認するための(外筒7の先端部の生体内での位置を示す)図示しないマーカーが設置されているのが好ましい。
また、バルーン付シャフト8の先端部における固定具2(バルーン82)の近傍の部位には、X線透視下で固定具2(バルーン82)の生体内での位置を確認するための(固定具2の生体内での位置を示す)図示しないマーカーが設置されているのが好ましい。
各マーカーは、それぞれ、例えば、白金、金、銀、タングステン等の金属、またはこれらの合金等のX線不透過材料で構成される。また、各マーカーは、それぞれ、前記X線不透過材料や、その他例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化ビスマス等のX線不透過材料が配合された層(例えば塗膜)であってもよい。
なお、各マーカーは、それぞれ、X線透視下に限らず、例えば、CTスキャン、MRI等において外筒7の先端部の位置、固定具2(バルーン82)の位置を確認することができるものであってもよい。
外筒7、バルーン付シャフト8およびワイヤー9の寸法(長さ、外径、内径等)は、それぞれ、特に限定されず、留置物固定装置1の使用部位(動脈瘤のある血管の種類や部位)や症例等に応じて適宜決定される。通常は、外筒7、バルーン付シャフト8(シャフト81)およびワイヤー9の長さは、それぞれ、80〜120cm程度であるのが好ましく、60〜100cm程度であるのがより好ましい。また、外筒7の外径は、4.5〜5.5mm程度であるのが好ましく、3.5〜4.5mm程度であるのがより好ましい。
また、外筒7およびバルーン付シャフト8のシャフト81は、それぞれ、所望の可撓性を有するものであり、その構成材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の各種熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
吊糸6は、ピン5と同数(図示の構成では、3つ)設けられている。各吊糸6の構成は、同様であるので、以下では、代表的に、1つの吊糸6を説明する。
吊糸6は、吊手4と支持部材3の線状体31とで形成された輪を挿通し、吊糸6の途中の部位を吊手4に掛けた状態で、吊糸6の一端側が、バルーン付シャフト8(シャフト81)に接続(固定)され、吊糸6の他端側が、シャフト81の先端部から先端側(外部)に突出しているワイヤー9に離脱可能に接続されている。これにより、固定具2は、吊糸6で吊られ、バルーン付シャフト8に保持される。
具体的には、吊糸6は、その一端側がバルーン付シャフト8のシャフト81の先端部、すなわち、シャフト81のバルーン82よりも先端側の部位に固定されている。そして、吊糸6は、その他端側に輪61を有しており、輪61にワイヤー9が挿通している。この吊糸6の他端側は、輪61にワイヤー9が挿通している状態では、ワイヤー9に接続されており、輪61からワイヤー9が抜けると、ワイヤー9から離脱する。
図2に示すように、初期状態(組立状態)では、バルーン付シャフト8のバルーン82は、収縮しており、固定具2は、その支持部材3が折り畳まれた状態で、かつ、ピン5の基端側(背骨部53の基端部532側)がバルーン付シャフト8の先端側を向くように、バルーン82に搭載(離脱可能に設置)されている。この場合、バルーン82は、固定具2の支持部材3の内側に配置される。また、固定具2は、各吊糸6で吊られ、これにより、バルーン82に保持されている。なお、吊糸6の長さを調整することで、バルーン82に対する固定具2の位置を調整することができる。
そして、初期状態では、この固定具2を搭載したバルーン82は、前述したように、外筒7内の先端部に収納されている。この場合、固定具2の各ピン5は、それぞれ、穿刺部52と背骨部53とが、接近または接触するように弾性変形した状態(折り畳まれた状態)で収納されている。なお、前述したように、各ピン5は、それぞれ、「レ」の字状をなしているので、容易に、折り畳むことができる。
次に、留置物固定システム100の使用方法(作用)、すなわち、血管300の動脈瘤320付近に導入されたグラフト200を、固定具2により血管壁310に固定する際の手順の一例について、図2、図4〜図8を参照しつつ説明する。
なお、グラフト200は、例えば、管状をなす図示しない導入シース等を用いて、既に、血管300の目的部位(動脈瘤320の近傍)へ導入されているものとする。
まず、図2に示すように、固定具2を搭載したバルーン82が外筒7内の先端部に収納された状態の留置物固定装置1をX線透視下で大腿部等から経皮的に血管300に導入し、外筒7の先端部を血管300の動脈瘤320がある部分まで移送する(図4参照)。そして、グラフト200の固定具2で固定する部位に、その固定具2が位置するように、外筒7を位置決めする。この位置決めは、例えば、外筒7の先端部や、バルーン付シャフト8の先端部に設けられたマーカーを利用して行うことができる。
次に、図5に示すように、バルーン付シャフト8およびワイヤー9を固定した状態で、外筒7を基端方向(図5中下側)に引く(移動させる)。これにより、固定具2およびバルーン82が、外筒7から血管300内に放出される。これによって、弾性変形していた各ピン5は、それぞれ、その復元力(弾性力)により、穿刺部52と背骨部53とが離間してゆき、元の形状よりも少し手前の形状(元の形状よりも穿刺部52と背骨部53とが少し接近した状態)または元の形状に復元する。
次に、図6に示すように、バルーン拡張器(シリンジ400)により、作動流体をバルーン82に供給し、バルーン82を拡張させる。これにより、固定具2の支持部材3は、バルーン82で拡張されて略筒状となり、各ピン5の背骨部53は、それぞれ、バルーン82で血管壁310に向けて押し付けられ、これによって、図4に示すように、各ピン5の穿刺部52は、それぞれ、グラフト200および血管壁310を穿通する。すなわち、各ピン5の穿刺部52は、それぞれ、その基端部(根元部)までグラフト200および血管壁310を穿通する。また、各ピン5の背骨部53は、それぞれ、その全長に亘ってグラフト200に当接し、グラフト200を血管壁310に押し付け、これにより、グラフト200が血管壁310に密着する。
このようにして、グラフト200および血管壁310に対し、その全周(1周)に亘って、同時に、各ピン5の穿刺部52が穿刺され、固定具2でグラフト200が血管壁310に固定される。
次に、必要に応じて(例えば、ピン5の穿刺部52がその基端部までグラフト200および血管壁310を穿通していない場合等)、バルーン付シャフト8を基端方向(図6中下側)に少し引く(移動させる)。これにより、バルーン82とともに、各ピン5(固定具2)が、それぞれ、基端方向に僅かに移動し、これによって、各ピン5の穿刺部52は、それぞれ、確実に、その基端部までグラフト200および血管壁310を穿通する。なお、ピン5の穿刺部52の軸520は、背骨部53の軸530に対して傾斜しており、これにより、穿刺部52は、血管壁310に対して傾斜するように穿刺されるので、ピン5が基端方向(図6中下側)へ移動することで、穿刺部52は、容易かつ円滑に、その基端部までグラフト200および血管壁310を穿通することができる。
次に、図7に示すように、バルーン付シャフト8を固定した状態で、ワイヤー9を基端方向(図7中下側)に引く(移動させる)。これにより、各吊糸6の他端側のそれぞれの輪61からワイヤー9が抜け、これによって、バルーン82に保持されていた固定具2は、そのバルーン82から離脱し得るようになる。
次に、バルーン拡張器(シリンジ400)により、作動流体をバルーン82から排出し、バルーン82を収縮させ、この後、留置物固定装置1を血管300から抜き取る。
以上のようにして、グラフト200は、固定具2により血管壁310に固定される。
但し、固定具2の支持部材3および各吊手4は、それぞれ、生分解性材料で構成されているので、支持部材3および各吊手4は、それぞれ、経時的に生体に吸収されてゆき(消失してゆき)、最終的には、図8に示すように、支持部材3および各吊手4は、血管300内に残らず、各ピン5のみでグラフト200が血管壁310に固定される。すなわち、各ピン5およびグラフト200のみが血管300内に留置される。
以上説明したように、この固定具2(留置物固定システム100)によれば、血管300内において、グラフト200および血管壁310に対し、周方向に沿って複数箇所に、同時に、ピン5の穿刺部52を穿刺することができる。すなわち、グラフト200および血管壁310に対し、その全周に亘って、同時に、各ピン5の穿刺部52を穿刺することができる。これにより、血管300内において、血管壁310に対し、グラフト200を容易、迅速かつ確実に固定することができる。
また、固定具2の支持部材3および各吊手4は、それぞれ、生分解性材料で構成されているので、最終的には、支持部材3および各吊手4は、血管300内に残らず、各ピン5のみでグラフト200が血管壁310に固定される。これにより、支持部材3を血管300内から抜去する作業が不要となり、患者の負担が軽減される。
ここで、本発明では、固定具は、前述した構成のものには限定されず、例えば、図9に示すように、固定具2の支持部材3は、その線状体31の量が比較的少ないものであってもよい。
この固定具2によれば、支持部材3をより小さく折り畳むことができ、留置物固定装置1の外筒7の径をより小さくすることができ、これによって、患者の負担を軽減することができる。
また、本発明では、固定具のピンは、穿刺部を有していれば、前述した構成のものには限定されず、例えば、下記のような構成のものであってもよい。
穿刺部は、湾曲または屈曲していてもよい。
また、背骨部は、湾曲または屈曲していてもよい。
また、ピンは、複数の穿刺部を有していてもよい。
また、本発明では、留置物固定装置の拡張体は、バルーンには限定されず、例えば、湾曲変形(弾性変形)する複数の線状体等で構成してもよい。その具体例としては、湾曲変形する複数のワイヤーをバスケット鉗子形状にしたもの等が挙げられる。
<第2実施形態>
図10および図11は、それぞれ、本発明の固定具の第2実施形態におけるピンを示す図であって、図10(a)および図11(a)は、それぞれ、正面図、図10(b)および図11(b)は、それぞれ、側面図、図11(c)は、平面図である。なお、以下では、図10(a)、図10(b)、図11(a)および図11(b)中の上側を「基端」、下側を「先端」として説明を行う。
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態は、ピン5が、その基端部の背面側に、背面側の表面が平面をなす平面部を有していることが異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
図10に示す第2実施形態の固定具2では、ピン5の基端部の背面側、すなわち、背骨部53の基端部532の背面側に、背面側の表面が平面をなす平面部として、平面板(平面部材)14が固着(固定)されている。平面板14の幅(図10(a)中横方向の長さ)は、背骨部53の径よりも大きく設定されており、これにより、平面板14の背面側の表面の面積が、比較的大きくなっている。
なお、平面板14は、図示の構成では、その背面側の表面および正面側の表面のそれぞれが平面であるが、これに限らず、背面側の表面のみが平面であってもよい。
また、平面板14を背骨部53に固着する方法は、特に限定されず、例えば、融着等が挙げられる。
また、図11に示す第2実施形態の固定具2では、ピン5の基端部の背面側、すなわち、背骨部53の基端部532に、背面側の表面が平面をなす平面部15が形成(一体的に形成)されている。平面部15の幅(図11(a)中横方向の長さ)の最大値は、背骨部53の径よりも大きく設定されており、これにより、平面部15の背面側の表面の面積が、比較的大きくなっている。
この第2実施形態の固定具2によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
そして、この第2実施形態の固定具2では、留置物固定装置1のバルーン82が拡張することにより、固定具2の支持部材3が拡張されて略筒状になるとき、バルーン82にピン5の平面板14(図11に示す固定具2のピン5では平面部15)が当接し、ピン5の向きが規制され、これによって、確実に、ピン5の穿刺部52を血管壁310側に向けることができる。また、ピン5に対するバルーン82の接触面積が大きくなり、これにより、バルーン82がピン5を押す力が、より確実に、ピン5に伝わる。
なお、この第2実施形態は、後述する第3実施形態にも適用することができる。
<第3実施形態>
図12は、本発明の固定具の第3実施形態におけるピンを示す側面図であって、図12(a)には、自然状態(ピンに外力が付与されていない状態)のときのピンが示され、図12(b)には、固定具が外筒内に収納され、弾性変形した状態のピンが示されている。なお、以下では、図12中の上側を「基端」、下側を「先端」として説明を行う。
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図12(a)に示すように、第3実施形態の固定具2では、ピン5は、2つの穿刺部52を有している。そして、一方の穿刺部52は、背骨部53の基端部(一方の端部)532から延長して突出し、他方の穿刺部52は、背骨部53の先端部(他方の端部)531から延長して突出している。また、各穿刺部52の軸520は、互いに略平行である。
また、この固定具2は、図12(b)に示すように、ピン5の各穿刺部52と背骨部53とが、接近または接触するように弾性変形した状態(折り畳まれた状態)で、外筒7内の先端部に収納される。
この第3実施形態の固定具2によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
そして、この第3実施形態の固定具2では、ピン5が2つの穿刺部52を有しているので、ピン5の固定力が増大し(ピン5が抜け難くなり)、グラフト200を血管壁310に、より確実に固定することができる。
以上、本発明の固定具および留置物固定システムを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の固定具および留置物固定システムは、グラフトを血管壁に固定するものには限定されず、この他、例えば、心臓の人工弁(人工心臓弁)、ステントグラフト、ステント等、種々の留置物を、生体管腔内(特に、血流のある部位)において、その生体管腔を画成する生体組織に固定する固定具および留置物固定システムに適用することができる。
なお、心臓の人工弁は、血液の流量が多い箇所に固定されるので、前述した構成の固定具を用いて固定することにより、確実に固定することができる。
また、ステントグラフトおよびステントについては、それぞれ、さらに固定具で固定することで、より確実に固定することができる。
本発明の留置物固定システムの実施形態を示す側面図である。 図1に示す留置物固定システムの主要部を示す斜視図(一部、側面図)である。 本発明の固定具の第1実施形態を示す斜視図である。 図4は、血管の動脈瘤付近に挿入・留置されたグラフトを図3に示す固定具で血管壁に固定した状態を示す断面図である。 図1に示す留置物固定システムの作用を説明するための斜視図(一部、側面図)である。 図1に示す留置物固定システムの作用を説明するための斜視図(一部、側面図)である。 図1に示す留置物固定システムの作用を説明するための斜視図(一部、側面図)である。 図1に示す留置物固定システムの作用を説明するための断面斜視図である。 本発明の固定具の第1実施形態の他の構成例を示す斜視図である。 本発明の固定具の第2実施形態におけるピンを示す図である。 本発明の固定具の第2実施形態におけるピンを示す図である。 本発明の固定具の第3実施形態におけるピンを示す側面図である。
符号の説明
1 留置物固定装置
2 固定具
3 支持部材
30 軸
31 線状体
4 吊手
5 ピン
52 穿刺部
520 軸
521 先端部
53 背骨部
530 軸
531 先端部
532 基端部
6 吊糸
61 輪
7 外筒
8 バルーン付シャフト
81 シャフト
82 バルーン
83 ルーメン
9 ワイヤー
11 ハブ
111 ポート
12 ハブ
121、122 ポート
13 把持部
14 平面板
15 平面部
100 留置物固定システム
200 グラフト
300 血管
310 血管壁
320 動脈瘤
400 シリンジ

Claims (20)

  1. 生体管腔内において生体組織に対し留置物を固定する固定具であって、
    線状体で構成され、折り畳んだ状態と、拡張した状態とを採り得、前記拡張した状態で全体形状が略筒状となる支持部材と、
    前記支持部材が略筒状になった状態で該支持部材の周方向に沿って並設され、前記留置物と共に生体組織に穿刺される穿刺部を有する複数のピンとを備え、
    前記線状体は、生分解性を有する材料で構成されていることを特徴とする固定具。
  2. 前記ピンは、前記留置物に当接する部位を有し、該留置物を生体組織に密着させる棒状の背骨部を備える請求項1に記載の固定具。
  3. 前記穿刺部および前記背骨部は、それぞれ、直線状をなし、
    前記穿刺部の軸と前記背骨部の軸のなす角θが90°未満となるように、前記穿刺部の軸は、前記背骨部の軸に対して傾斜している請求項2に記載の固定具。
  4. 前記支持部材が略筒状になった状態で、該支持部材の軸と前記背骨部の軸とが略平行である請求項3に記載の固定具。
  5. 前記背骨部は、前記支持部材に固定され、
    前記穿刺部は、前記支持部材の外側に向って突出している請求項2ないし4のいずれかに記載の固定具。
  6. 前記穿刺部は、前記背骨部の一方の端部から延長して突出している請求項2ないし5のいずれかに記載の固定具。
  7. 前記ピンは、2つの前記穿刺部を有し、
    前記一方の穿刺部は、前記背骨部の一方の端部から延長して突出し、前記他方の穿刺部は、前記背骨部の他方の端部から延長して突出している請求項2ないし5のいずれかに記載の固定具。
  8. 前記ピンは、弾性を有し、前記ピンに外力を加えて変形させたとき、前記穿刺部と前記背骨部とが接近または接触し、前記外力を解除したとき、元の形状に復元するよう構成されている請求項2ないし7のいずれかに記載の固定具。
  9. 前記ピンは、その背面側の表面に、平面を有している請求項1ないし8のいずれかに記載の固定具。
  10. 前記支持部材は、前記線状体を交差させて網目状に形成したものである請求項1ないし9のいずれかに記載の固定具。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の固定具と、
    生体管腔内において、前記固定具で前記留置物を生体組織に固定する留置物固定装置とを有することを特徴とする留置物固定システム。
  12. 前記留置物固定装置は、シャフトと、該シャフトの先端部に設けられ、拡張・収縮可能な拡張体とを有する拡張体付シャフトを備え、
    前記拡張体は、前記固定具の内側に配置され、前記拡張体が拡張することにより、前記固定具の前記支持部材が拡張されて略筒状となるよう構成されている請求項11に記載の留置物固定システム。
  13. 前記拡張体は、バルーンで構成され、
    前記バルーンを拡張・収縮させる作動流体が流れる流路が、前記シャフトに沿って形成されている請求項12に記載の留置物固定システム。
  14. 前記留置物固定装置は、前記固定具を前記拡張体付シャフトに保持する保持手段を有する請求項12または13に記載の留置物固定システム。
  15. 前記保持手段は、前記固定具を吊る吊糸を有する請求項14に記載の留置物固定システム。
  16. 前記固定具の前記吊糸で吊られる部位は、前記ピンの端部付近である請求項15に記載の留置物固定システム。
  17. 前記固定具は、生分解性を有する材料で構成された吊手を有し、
    前記シャフトは、管体で構成され、
    前記留置物固定装置は、前記シャフトの内腔を挿通するワイヤーを有し、
    前記吊糸は、その途中の部位を前記吊手に掛けた状態で、前記吊糸の一端側が、前記拡張体付シャフトに接続され、前記吊糸の他端側が、前記ワイヤーに離脱可能に接続されている請求項15または16に記載の留置物固定システム。
  18. 前記吊糸は、その他端側に輪を有し、
    前記輪に前記ワイヤーが挿通することで、前記吊糸の他端側が前記ワイヤーに離脱可能に接続されている請求項17に記載の留置物固定システム。
  19. 前記吊糸および前記吊手は、それぞれ、前記ピンと同数設けられており、
    前記各吊手は、それぞれ、前記各ピンの端部付近に配置されている請求項17または18に記載の留置物固定システム。
  20. 前記留置物固定装置は、前記固定具および前記拡張体が収納される長尺状の外筒を備える請求項12ないし19のいずれかに記載の留置物固定システム。
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