JP2009231572A - 研磨液 - Google Patents

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Abstract

【課題】高研磨速度を達成しつつ、研磨時のスクラッチの発生を抑えられる研磨液を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体集積回路の平坦化工程における主としてバリア層の化学的機械的研磨に用いられる研磨液であって、(1)四級アンモニウムカチオン、(2)有機重合粒子の表面に酸素原子を介して、Ti、Al、Zr、およびSiからなる群より選択される少なくとも一種の無機原子が結合してなる表面修飾有機重合粒子、(3)有機酸、(4)アゾール化合物、及び(5)酸化剤を含み、かつ、pHが1〜7である研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程において用いられる研磨液に関し、詳細には、半導体デバイスの配線工程での平坦化において主としてバリア金属材料からなるバリア層の研磨に好適に用いられる研磨液に関する。
半導体集積回路(以下LSIと記す)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと記す)等の種々の技術が用いられてきている。このCMPは層間絶縁膜等の被加工膜の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術であり、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去や絶縁膜上の余分なバリア層の除去を行っている。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
LSIなどの半導体デバイスを製造する際には、微細な配線を多層に形成することが行われており、その各層においてCuなどの金属配線を形成する際には層間絶縁膜への配線材料の拡散を防止することや、配線材料の密着性を向上させることを目的として、TaやTaN、Ti、TiNなどのバリアメタルを前もって形成することが行われている。
各配線層を形成するためには、まず、メッキ法などで盛付けられた余分な配線材を除去する金属膜のCMP(以下、金属膜CMPと呼ぶ)を1段若しくは多段に亘って行い、次に、これによって表面に露出したバリア金属材料(バリアメタル)を除去するCMP(以下、バリアメタルCMPと呼ぶ)を行うことが一般的になされている。しかしながら、金属膜CMPによって、配線部が過研磨されてしまういわゆるディッシングや、更にエロージョンを引き起こしてしまうことが問題となっている。
このディッシングを軽減するため、金属膜CMPの次に行うバリアメタルCMPでは、金属配線部の研磨速度とバリアメタル部の研磨速度とを調整して、最終的にディッシングやエロージョンなどの段差が少ない配線層を形成することが求められている。即ち、バリアメタルCMPでは、金属配線材に比較してバリアメタルや層間絶縁膜の研磨速度が相対的に小さい場合は、配線部が早く研磨されるなどディッシングや、その結果としてのエロージョンが発生してしまうため、バリアメタルや絶縁膜層の研磨速度は適度に大きい方が望ましい。これはバリアメタルCMPのスループットを上げるメリットがあることに加え、実際的には金属膜CMPによってディッシングが発生していることが多く、前述の理由からバリアメタルや絶縁膜層の研磨速度を相対的に高くすることが求められている点においても望ましいからである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面の一部分が過研磨となり表面が皿状に窪む現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨された上、複数の配線金属面の中央部のみが深く研磨され表面が皿状に窪む現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、固体砥粒を含有する研磨液を用いることによって、研磨後に、半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行なわれる洗浄工程が複雑となり、更に、その洗浄後の液(廃液)を処理するには、固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
このような固体砥粒を含有する研磨液については、以下のような種々の検討がなされている。
例えば、研磨傷をほとんど発生させずに高速研磨することを目的としたCMP研磨剤及び研磨方法(例えば、特許文献1参照。)、CMPにおける洗浄性を向上させた研磨組成物及び研磨方法(例えば、特許文献2参照。)、及び、研磨砥粒の凝集防止を図った研磨用組成物(例えば、特許文献3参照。)がそれぞれ提案されている。
しかしながら、上記のような研磨液においても、必要な層を研磨する際における高研磨速度を実現し、且つ、固体砥粒の凝集に起因して発生するスクラッチを抑制しうる技術は、未だ得られていないのが現状である。
特に近年、配線のさらなる微細化に伴い、TEOS等の通常用いられる層間絶縁膜よりもさらに比誘電率の低い、低誘電率の材料が絶縁膜として用いられるようになってきた。これらの絶縁膜はLow−k膜と称され、例えば、有機ポリマー系、SiOC系、SiOF系等の材料からなるものがあり、これらは一般に絶縁膜と積層して使用されるが、従来の絶縁膜よりも強度が低いために、CMPの加工において、上記の過剰研磨やスクラッチの問題がより一層顕著になっている。
特開2003−17446号公報 特開2003−142435号公報 特開2000−84832号公報
本発明は、上記事情に鑑み、高研磨速度を達成しつつ、研磨時のスクラッチの発生を抑えられる研磨液を提供することを目的とする。
本発明は、表面が十分な強度及び硬度を有し、耐熱性に優れ、適度に柔軟性を有する表面修飾有機重合粒子を用いることで、前記課題を達成しうることを見出したものである。具体的手段は以下の通りである。
<1>半導体集積回路の平坦化工程における主としてバリア層の化学的機械的研磨に用いられる研磨液であって、(1)四級アンモニウムカチオン、(2)有機重合粒子の表面に酸素原子を介して、Ti、Al、Zr、およびSiからなる群より選択される少なくとも一種の無機原子が結合してなる表面修飾粒子、(3)有機酸、(4)アゾール化合物、及び(5)酸化剤を含み、かつ、pHが1〜7である研磨液。
<2>前記(1)四級アンモニウムカチオンが、下記一般式(1)で表されるカチオンであることを特徴とする前記<1>に記載の研磨液。
Figure 2009231572
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。R〜Rのうちいずれか2つが互いに結合して環を形成してもよい。
<3>前記(3)有機酸が、シュウ酸、クエン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の研磨液。
<4>前記(2)に示される表面修飾有機重合粒子の濃度が、研磨液の全質量に対して0.5〜15質量%であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の研磨液。
<5>前記(2)に示される表面修飾有機重合粒子の一次平均粒径が、20〜150nmの範囲であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の研磨液。
<6>前記バリア層を構成する金属が、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、CuMn、MnO、WN、W、およびCoからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の研磨液。
本発明によれば、高研磨速度を達成しつつ、研磨時のスクラッチの発生を抑えられる研磨液を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明の研磨液は、半導体集積回路の平坦化工程における主としてバリア層の化学的機械的研磨に用いられる研磨液であって、(1)四級アンモニウムカチオン、(2)有機重合粒子の表面に酸素原子を介して、Ti、Al、Zr、およびSiからなる群より選択される少なくとも一種の無機原子が結合してなる表面修飾有機重合粒子、(3)有機酸、(4)アゾール化合物、及び(5)酸化剤を含み、かつ、pHが1〜7である。更に必要に応じて、任意の成分を含んでいてもよい。
本発明の研磨液が含有する各成分は1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明において「研磨液」とは、研磨に使用する際の研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液)のみならず、研磨液の濃縮液をも包含する意である。濃縮液又は濃縮された研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液よりも、溶質の濃度が高く調整された研磨液を意味し、研磨に使用する際に、水又は水溶液などで希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
以下、本発明の研磨液を構成する各成分について詳細に説明する。
〔(1)四級アンモニウムカチオン〕
本発明における四級アンモニウムカチオンは、分子構造中に、少なくとも1つの四級窒素を含む構造であれば、特に限定されない。
中でも、十分な研磨速度の向上を達成する観点から、下記一般式(1)で表されるカチオンであることが好ましい。
Figure 2009231572
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。R〜Rのうちいずれか2つが互いに結合して環を形成してもよい。
前記R〜Rで表される炭素数1〜20のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
前記R〜Rで表されるアルケニル基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、具体的には、エチニル基、プロピル基等が挙げられる。
前記R〜Rで表されるシクロアルキル基としては、具体的には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
前記R〜Rで表されるアリール基としては、具体的には、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
前記R〜Rで表されるアラルキル基としては、具体的には、ベンジル基が好ましい。
前記R〜Rで表される各基は、更に置換基を有していてもよく、導入しうる置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ヘテロ環基、ピリジニウム基、アミノアルキル基、リン酸基、イミノ基、チオール基、スルホ基、ニトロ基等が挙げられる。
〜Rのうちいずれか2つが互いに結合して環を形成する場合、その形成された環状構造としては、例えば、ピリジン環が挙げられる。
前記一般式(1)で表されるカチオンにおいては、研磨性能の点から、R〜Rとして、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。中でも、R〜Rの全てが同じアルキル基を有していることが好ましい。
一般式(1)で表されるカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
以下、前記一般式(1)で表されるカチオンの具体例〔例示化合物A1〜A44〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009231572
Figure 2009231572

Figure 2009231572
Figure 2009231572
上記の一般式(1)で表されるカチオンの具体例の中でも、研磨液中の分散安定性の点から、A1、A2、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A33、A34、A35、A36、A37、A38、A39、A40が好ましく、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A33、A34、A35、A36、A37、A38がより好ましく、A8、A9、A10、A11、A12、A33、A34、A36が更に好ましい。
本発明における四級アンモニウムカチオンは、例えば、アンモニアや各種アミンなどが求核剤としてはたらく置換反応により合成することができる。
また、一般販売試薬としての購入も可能である。
本発明における(1)四級アンモニウムカチオンの添加量は、研磨に使用する際の研磨液(即ち、水又は水溶液で希釈する場合は希釈後の研磨液。以降の「研磨に使用する際の研磨液」も同意である。)に対して、0.0001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.3質量%以下が更に好ましい。即ち、このような四級アンモニウムカチオンの添加量は、研磨速度を十分に向上させる観点で、0.0001質量%以上が好ましく、十分なスラリーの安定性の観点で、0.3質量%以下が好ましい。
〔(2)表面修飾有機重合粒子〕
前記「表面修飾有機重合粒子」は、有機重合粒子の表面に酸素原子を介して、Ti、Al、Zr、およびSiからなる群より選択される少なくとも一種の無機原子(以下、「特定無機原子」ともいう)が結合してなる有機重合粒子である。
このように、有機重合粒子の表面を特定無機原子で修飾することにより、有機重合粒子の表面が十分な強度及び硬度を有することにより、耐熱性に優れる。またコアとなる有機重合粒子は本来、適度に柔軟であるため、このような砥粒を用いると、研磨速度を大きくすることができるとともにスクラッチの発生も抑えることができると考えられる。
−有機重合粒子−
上記表面修飾有機重合粒子のコアとなる「有機重合粒子」は、ポリスチレン及びスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂及びアクリル系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、並びにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン及びオレフィン系共重合体などの熱可塑性樹脂からなる重合体粒子を使用することができる。
更に、この重合体粒子として、スチレン、メチルメタクリレート等と、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等とを共重合させて得られる、架橋構造を有する重合体からなるものを使用することもできる。また、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなる重合体粒子を用いることもできる。
また、この有機重合粒子に水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等の酸素原子を有する官能基を導入することもできる。このように有機重合粒子に官能基を導入した場合は、シランカップリング剤等の連結用化合物を要することなく、有機重合粒子にこのような官能基を介して特定無機原子を結合することもできる。
後に詳述するように、特定無機原子と有機重合粒子との結合に、導入された官能基と反応し得る官能基を有するシランカップリング剤等を併用した場合には、特定無機原子と有機重合粒子との結合がより促進され、更に優れた性能の複合粒子を得ることができる。
有機重合粒子は、これら単量体を乳化重合、懸濁重合及び分散重合等、各種の方法によって重合することによって得ることができる。これらの重合方法によれば、重合条件等によって有機重合粒子の粒径を適宜調整することもできる。更に、塊状等の重合体を粉砕し、所要の粒径の有機重合粒子とすることもできる。また、特に、強度等が大きく、耐熱性に優れる有機重合粒子を必要とする場合は、有機重合粒子を製造するに際し、多官能の単量体を併用し、分子内に架橋構造を導入することもできる。この架橋構造は、有機重合粒子の製造過程において、又は有機重合粒子を製造した後、化学架橋、電子線架橋等の方法によって導入することもできる。
有機重合粒子としては、上記の他、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリオレフィン等の各種の重合体からなる粒子を用いることもでき、これらの有機重合粒子においても、上記と同様に官能基を導入することができ、更に、分子内に架橋構造を導入することもできる。
有機重合粒子は、上記の中でも、TEOS研磨速度、研磨後のスクラッチ性能の点で、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン重合体粒子、ジビニルベンゼン重合体粒子、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体粒子、スチレン-メタクリル酸共重合体粒子、アクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体粒子が好ましく、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン重合体粒子、ジビニルベンゼン重合体粒子、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体粒子、スチレン-メタクリル酸共重合体粒子、アクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体粒子がより好ましい。
−有機重合粒子と特定無機原子との結合−
有機重合粒子と特定無機原子とは、酸素原子を介して化学的又は非化学的に結合されるものであるが、化学結合により結合されていることが好ましい。それによって、これらが容易に有機重合粒子から分離することがないため、それに寄因して生じる、研磨中におけるTEOS研磨効果やスクラッチ性能の低下を防止することができる。なお、この化学結合としては、イオン結合及び配位結合等が挙げられるが、共有結合であれば特に強固に結合されるためより好ましい。また、非化学結合としては、水素結合、表面電荷結合等が挙げられる。
有機重合粒子と特定無機原子との結合は、酸素原子を介してなされる形態であれば、有機重合粒子の内部及びその全表面に渡って形成されていてもよいし、それらの一部に形成されていてもよい。また、シロキサン結合含有部等、メタロキサン結合等含有部は、単分子によって構成されていてもよいが、2分子以上の連鎖構造であることが好ましい。連鎖構造である場合、線状であってもよいが、3次元構造であればより好ましい。
無機粒子部の有機重合粒子表面への導入は、カップリング剤等の連結用化合物を介して結合され、形成されていてもよい。
前記カップリング剤としては、シランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタニウム系カップリング剤及びジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤を使用することができるが、シランカップリング剤が特に好ましい。
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、β(3,4エポキシシンクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランイミダゾールシラン、トリアジンシランが好ましい。
これらのシランカップリング剤としては、有機重合粒子に導入される水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等の官能基と容易に反応し得る官能基を分子内に有するものが好ましい。例えば、その表面にカルボキシル基が導入された有機重合粒子の場合には、エポキシ基、アミノ基を有する上記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランのシランカップリング剤が好ましい。これらのうちでも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
更に、アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。更に、チタニウム系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、プレンアクトKR TTS、KR 46B、KR 55、KR 41B、KR 38S、KR 138S、KR 238S、338X、KR 44、KR 9SA等を挙げることができる。これらの各種カップリング剤はそれぞれ1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なった種類のカップリング剤を併用することもできる。
−特定無機原子含有化合物−
有機重合粒子表面に、メタロキサン結合等含有部、無機粒子部を導入するための特定無機原子含有化合物は、下記のものを用いることができる。
Si原子を含有する化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物によってシロキサン結合含有部及びシリカ粒子部が形成される。更に、Al原子を含有する化合物としてはアルミニウムエトキシド等、Ti原子を含有する化合物としてはチタン(IV)エトキシド等、及びZr原子を含有する化合物としてはジルコニウム−tert−ブトキシド等を挙げることができ、これらの化合物によってメタロキサン結合含有部及びアルミナ粒子部、チタニア粒子部又はジルコニア粒子部が形成される。これらの化合物は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の特定無機原子含有化合物の中でも、TEOS研磨速度や研磨後のスクラッチ性能の点で、Si原子を含有する化合物、Al原子を含有する化合物、またはTi原子を含有する化合物が好ましく、Si原子を含有する化合物、またはAl原子を含有する化合物がより好ましい。
本発明における表面修飾粒子は、有機重合粒子表面の酸素原子を介して、Si原子またはAl原子が結合してなるものであることが好ましく、有機重合粒子と特定無機原子含有化合物との組み合わせとしては、ジビニルベンゼン重合体粒子とTi原子を含有する化合物との組み合わせ、ジビニルベンゼン重合体粒子とAl原子を含有する化合物との組み合わせ、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体粒子とSi原子を含有する化合物との組み合わせ、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体粒子とTi原子を含有する化合物との組み合わせ、スチレン酸−メタクリル酸共重合体粒子とSi原子を含有する化合物との組み合わせが好ましい。
中でも、有機重合粒子表面の酸素原子を介して、Si原子が結合してなるものであることがより好ましく、有機重合粒子と特定無機原子含有化合物との組み合わせとしては、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体粒子とSi原子を含有する化合物との組み合わせ、スチレン酸−メタクリル酸共重合体粒子とSi原子を含有する化合物との組み合わせがより好ましい。
特定無機原子は、TEOS研磨速度の点で、有機重合粒子100質量部に対して、0.01〜100質量部の割合で反応させることが好ましく、0.1〜50質量部の割合で反応させることがより好ましい。
また、上記特定無機原子含有化合物は、スクラッチ性能の点で、有機重合粒子100質量部に対して0.01〜50質量部の割合で反応させることが好ましく、0.01〜10質量部の割合で反応させることがより好ましい。
−表面修飾粒子の物性−
表面修飾粒子の一次平均粒径は、20〜150nmの範囲であることが好ましく、30〜100nmの範囲であることがより好ましく、40〜90nmの範囲であることが更に好ましい。
表面修飾粒子の一次平均粒径が、20nm以上あれば、TEOS研磨速度が十分な大きさであり、150nm以下であれば、研磨後のスクラッチを減らすのに有効である。
なお、ここで一次平均粒径とは、SEM(走査電子顕微鏡)にて表面修飾粒子を観測し、1粒子を構成する最小構成粒子径を測定した値である。
表面修飾粒子の濃度は、研磨液の全質量に対して0.5〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜8質量%であることが更に好ましい。
表面修飾粒子の濃度が、研磨液の全質量に対して、0.5質量%以上あればTEOS研磨速度が十分であり、15質量%以下であれば、研磨後のスクラッチを減らすのに有効である。
−その他の砥粒−
上記表面修飾粒子のほか、通常用いられる砥粒を併用することも可能である。
このような砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレートなどが挙げられる。
また、砥粒は、平均粒径が5〜1000nmの粒子が好ましく、特には10〜200nmが好ましい。
砥粒を用いる場合の添加量としては、砥粒と前記表面修飾粒子との総量が、使用する際の研磨液の全質量に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%の範囲であることがより好ましい。研磨速度の向上とウエハ面内の研磨速度のばらつきの低減における充分な効果を得る上で0.01質量%以上が好ましく、CMPによる研磨速度が飽和するため、20質量%以下が好ましい。
〔(3)有機酸〕
本発明における研磨液は更に有機酸を含む。
ここでいう有機酸は、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、後述する酸化剤として機能する酸を包含するものではない。ここでの酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
本発明における有機酸としては、シュウ酸、クエン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種がより適している。
これらの中でも、特に、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸については実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点で好ましい。
有機酸の添加量は、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0005mol〜0.5molとすることが好ましく、0.005mol〜0.3molとすることがより好ましく、0.01mol〜0.1molとすることが更に好ましい。即ち、有機酸の添加量は、エッチングの抑制の点から0.5mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0005mol以上が好ましい。
〔(4)アゾール化合物〕
本発明の研磨液は、アゾール化合物を含む。この化合物は、研磨液において腐食抑制剤として機能する。
アゾール化合物は、ヘテロ原子を2以上含む5員環芳香族化合物で、ヘテロ原子の少なくとも1つが窒素原子である化合物であれば、その構造は特に制限されないが、分子内に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物であることが好ましい。カルボキシル基を有するアゾール化合物を用いることで、ディッシングを抑制することができ、また、前記(2)に示される表面修飾粒子と併用することで、研磨後の残渣を軽減することができるため、特に腐食抑制に優れる。
また前記アゾール化合物は、研磨後の残渣を軽減する点でカルボキシル基を2〜5つ有することが好ましく、2〜4つ有することがより好ましい。カルボキシル基が1つのみであると、腐食抑制能が不十分である場合がある。
さらに本発明で用いるアゾール化合物は、下記一般式(I)または一般式(II)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2009231572
前記一般式(I)中、RおよびRは、各々独立して水素原子、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、またはカルボキシアリール基を表し、一般式(II)中、R、R、およびRは、各々独立して水素原子、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、またはカルボキシアリール基を表す。
なお一般式(I)または一般式(II)で表される化合物は、分子内に少なくとも2つのカルボキシル基を有する態様が好ましい。
前記一般式(I)で表されるアゾール化合物の具体例として、1−カルボキシメチル−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、1−(2−カルボキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、1−(4−カルボキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、2−(1H−テトラゾール−5−イル)コハク酸、3−(1−(カルボキシメチル)−1H−テトラゾール−5−イル)プロパン酸等が挙げられる。
また、前記一般式(II)で表されるアゾール化合物の具体例として、1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1−(カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1−(2−カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、5−(カルボキシメチル)−3H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸、2−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)コハク酸、1−(カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸、1−(1−カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸、2−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)コハク酸等が挙げられる。
さらに、前記一般式(I)または前記一般式(II)で表されるアゾール化合物の具体例として、下記化合物を挙げることができる。なお、本発明におけるアゾール化合物は、下記具体例に限定されるものではない。
Figure 2009231572
上記アゾール化合物の中でも、ディッシング性能、研磨後の残渣の点で、1−カルボキシメチル−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、1−(2−カルボキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、1−(4−カルボキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、2−(1H−テトラゾール−5−イル)コハク酸、1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1−(カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1−(2−カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、5−(カルボキシメチル)−3H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸、2−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)コハク酸、が好ましく、1−(2−カルボキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、1−(4−カルボキシフェニル)−1H−テトラゾール−5−カルボン酸、2−(1H−テトラゾール−5−イル)コハク酸、1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1−(カルボキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸がより好ましい。
前記アゾール化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明において、アゾール化合物の添加量は、研磨に使用する際の研磨液に対して、0.01〜2質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜1質量%の範囲であり、更に好ましくは、0.05〜0.5質量%の範囲である。
−その他の腐食抑制剤−
また、本発明の研磨液は、上記アゾール化合物のほか、通常腐食抑制剤として用いられる複素環化合物を含有してもよい。
ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ有する環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子であり、更に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、及びセレン原子であり、特に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子であり、最も好ましくは窒素原子、及び硫黄原子である。
また、母核となる複素環について述べれば、複素環化合物の複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物あっても縮合環を有する多環化合物であってもよい。単環の場合の員数は、好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5である。縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2又は3である。
これらの複素環として、具体的に、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピラン環、チオピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、クロマン環、チオクロマン環、イソクロマン環、イソチオクロマン環、インドリン環、イソインドリン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、アンチリジン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズチアジアゾール環、ベンズフロキサン環、ナフトイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、テトラアザインデン環等が挙げられ、より好ましくはトリアゾール環、テトラゾール環が挙げられる。
次に、上記複素環が有しうる置換基について述べる。
上記複素環に導入しうる置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
即ち、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、ヘテロ環基が挙げられる。
更に、複数の置換基のうち2以上が互いに結合して環を形成してもよく、例えば、芳香環、脂肪族炭化水素環、複素環などが形成されてもよいし、これらが更に組み合わされて多環縮合環が形成されてもよい。形成される環として具体的には、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環などが挙げられる。
本発明で特に好ましく併用しうる複素環化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
即ち、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール等である。
前記複素環化合物としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体であることがより好ましい。前記誘導誘導体としては、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール(DBTA)、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール(HEABTA)、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール(HMBTA)が好ましい。
前記複素環化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明において、複素環化合物の添加量は、前記アゾール化合物および複素環化合物の総量として、研磨に使用する際の研磨液に対して、0.01〜2質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜1質量%の範囲であり、更に好ましくは、0.05〜0.5質量%の範囲である。
〔(5)酸化剤〕
本発明の研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含む。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられ、中でも、過酸化水素が好ましく用いられる。
鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
酸化剤の添加量は、バリアCMP初期のディッシング量によって調整できる。バリアCMP初期のディッシング量が大きい場合、即ち、バリアCMPにおいて配線材をあまり研磨したくない場合には酸化剤を少ない添加量にすることが望ましく、ディッシング量が十分に小さく、配線材を高速で研磨したい場合は、酸化剤の添加量を多くすることが望ましい。このように、バリアCMP初期のディッシング状況によって酸化剤の添加量を変化させることが望ましいため、研磨に使用する際の研磨液の1L中に、0.01mol〜1molとすることが好ましく、0.05mol〜0.6molとすることがより好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の研磨液には、上記必須成分である(1)〜(5)に示される各成分や、任意に用いることができるその他の砥粒、その他の腐食抑制剤に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他の公知の成分を併用することができる。
−界面活性剤及び/又は親水性ポリマー−
本発明の金属用研磨液は、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを含有することが好ましい。界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤及び/又は親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、より具体的には、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、より具体的には、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル;エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル;含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
また、フッ素系界面活性剤を用いることもできる。
更に、その他の界面活性剤、親水性化合物、親水性ポリマー等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸及びアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマー;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩及びスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等が挙げられる。
但し、適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸若しくはそのアンモニウム塩が望ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。上記例示化合物の中でもシクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが更に好ましい。すなわち、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。また、これらの界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100,000が好ましく、特には2,000〜50,000が好ましい。
−pH調整剤−
本発明の研磨液は、pH1〜7であることを要し、pH3.0〜4.5の範囲であることが好ましい。研磨液のpHをpH1〜7に制御することで、層間絶縁膜の研磨速度調整をより顕著に行うことが可能にある。
pHを上記範囲に調整するために、アルカリ/酸又は緩衝剤を適宜用いることができる。本発明の研磨液は、pHが上記範囲において優れた効果を発揮する。
アルカリ/酸又は緩衝剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、硝酸、硫酸、りん酸などの無機酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩等を好ましく挙げることができる。特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
アルカリ/酸又は緩衝剤の添加量としては、前述した電気伝導度の値以下であれば、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
−キレート剤−
本発明の研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤は必要に応じて2種以上併用してもよい。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、例えば、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
本発明の研磨液は、一般に、銅金属及び/又は銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に存在する、銅の拡散を防ぐためのバリア金属材料からなるバリア層の研磨に適する。
〔バリア金属材料〕
本発明の研磨液の研磨対象のバリア層を構成する金属としては、一般に低抵抗のメタル材料がよく、特に、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、CuMn、MnO、WN、W、Coが好ましく、中でも、Ta、TaNが特に好ましい。
〔層間絶縁膜〕
本発明の研磨液の研磨対象の層間絶縁膜(絶縁層)としては、TEOS等の通常用いられる層間絶縁膜の他、例えば、比誘電率が3.5〜2.0程度の低誘電率の材料(例えば、有機ポリマー系、SiOC系、SiOF系等が挙げられ、通常、Low−k膜と略称される)を含む層間絶縁膜が挙げられる。
具体的には、低誘電率の層間絶縁膜の形成に用いる材料として、SiOC系ではHSG−R7(日立化成工業)、BLACKDIAMOND(Applied Materials, Inc)などがある。
このようなLow−k膜は、通常、TEOS絶縁膜の下に位置し、TEOS絶縁膜上にバリア層及び金属配線が形成される。
本発明の研磨液は、バリア層を好適に研磨しうるとともに、Low−k膜、TEOS絶縁膜の積層構造を有する基板に適用することで、TEOS絶縁膜を高速で研磨し、Low−k膜が露出した時点で研磨速度が抑制され、優れた表面平滑性を有し、スクラッチの発生が抑制された研磨を達成しうることを大きな特徴とするものである。
〔配線金属原材料〕
本発明においては、研磨対象である被研磨体は、例えば、LSI等の半導体デバイスに適用されるような、銅金属及び/又は銅合金からなる配線を有することが好ましい。特にこの配線の原材料としては、銅合金が好ましい。更に、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。
なお、銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、特には10質量%以下、更には1質量%以下が好ましく、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
〔配線の太さ〕
本発明においては、研磨対象である被研磨体が、例えば、DRAMデバイス系に適用される場合、ハーフピッチで0.15μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下である。
一方、被研磨体が、例えば、MPUデバイス系に適用される場合、0.12μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下である。
このような配線を有する被研磨体に対して、上述の本発明における研磨液は特に優れた効果を発揮する。
〔研磨方法〕
本発明の研磨液は、1.濃縮液であって、使用する際に水又は水溶液を加えて希釈して使用液とする場合、2.各成分が次項に述べる水溶液の形態で準備され、これらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、3.使用液として調製されている場合がある。
本発明の研磨液を用いた研磨方法にはいずれの場合の研磨液も適用可能である。
この研磨方法は、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨体の被研磨面と接触させて、被研磨面と研磨パッドを相対運動させる方法である。
研磨に用いられる装置としては、被研磨面を有する被研磨体(例えば、導電性材料膜が形成されたウエハ等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は被研磨体が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。被研磨面(被研磨膜)を有する被研磨体の研磨パッドへの押しつけ圧力は、0.68〜34.5KPaであることが好ましく、研磨速度の被研磨体の面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、3.40〜20.7KPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨パッドには、研磨液をポンプ等で連続的に供給する。
研磨終了後の被研磨体は、流水中でよく洗浄された後、スピンドライヤ等を用いて被研磨体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
本発明において、前記1.の方法のように、濃縮液を希釈する際には、下記に示す水溶液を用いることができる。水溶液は、予め、酸化剤、有機酸、添加剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水であり、この水溶液中に含有している成分と、希釈される濃縮液中に含有している成分と、を合計した成分が、研磨する際に使用する研磨液(使用液)の成分となるようにする。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
また、濃縮液に水又は水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とを途中で合流させて混合し、混合し希釈された研磨液の使用液を研磨パッドに供給する方法がある。濃縮液と水又は水溶液との混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
研磨液の供給速度は10〜1000ml/minが好ましく、研磨速度の被研磨面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、170〜800ml/minであることがより好ましい。
更に、濃縮液を水又は水溶液などにより希釈しつつ、研磨する方法としては、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とを独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法がある。また、1つの容器に、所定量の濃縮液と水又は水溶液とを入れ混合してから、研磨パッドにその混合した研磨液を供給し、研磨をする方法を用いることもできる。
また、別の研磨方法としては、研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法がある。
例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、及び界面活性剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用する。
上記のような例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水又は水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。具体的には、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に、水又は水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液を供給する方法がある。
上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、1つの構成成分と他の構成成分とを混合する際、又は、水若しくは水溶液を加え希釈する際に、液温を40℃以下とするようにすることができる。この方法は、温度が高いと溶解度が高くなる現象を利用し、研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
上記の他の構成成分を室温から100℃の範囲で加温することで溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、低温状態の他の構成成分を用いる場合は、予め加温して析出した原料を溶解させる必要がある。これには、加温し、原料が溶解した他の構成成分を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し、配管を加温して溶解させる手段と、を採用することができる。加温した他の構成成分が、酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解する恐れがあるので、この加温した他の構成成分と酸化剤を含む1つの構成成分とを混合した場合、40℃以下となるようにすることが好ましい。
このように、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と有機酸を含有する成分とに分割して供給することが好ましい。また、研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして被研磨面に供給してもよい。
本発明において、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給する方法を適用する場合、その供給量は、各配管からの供給量の合計を表すものである。
〔パッド〕
本発明の研磨方法に適用しうる研磨用の研磨パッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、一般的に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、被研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
〔ウエハ〕
本発明における研磨液でCMPを行なう対象の被研磨体としてのウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
〔研磨装置〕
本発明の研磨液を用いて研磨を実施できる装置は、特に限定されないが、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ)、FREX200、FREX300 (荏原製作所)、NPS3301、NPS2301(ニコン)、A−FP−310A、A−FP−210A(東京精密)、2300 TERES(ラムリサーチ)、Momentum(Speedfam IPEC)などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は『質量部』を表し、「%」および「wt%」は『質量%』を表す。
〔実施例1〕
下記に示す組成の研磨液を調製し、研磨実験を行った。
<組成1>
(1)四級アンモニウム化合物(水酸化テトラメチルアンモニウム) 0.1g/L
(2)表面修飾粒子
下記表面修飾粒子1 30g/L
(3)有機酸(シュウ酸) 1g/L
(4)アゾール化合物
1−カルボキシメチル−1H−テトラゾール−5−カルボン酸 0.01g/L
(5)酸化剤(過酸化水素) 10mL
上記組成1の組成物に純水を加えて全量1000mLとし、アンモニア水と硝酸でpH調整してpH2とした。
−表面修飾粒子1−
表面修飾粒子1は、ジビニルベンゼン重合粒子(有機重合粒子)150gとイソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート(特定無機原子含有化合物) 10gを反応させて製造した。
<研磨液の評価>
研磨装置としてラップマスター社製装置「LGP−612」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら、下記に示す各ウエハ膜を研磨した。
・テーブル回転数:90rpm
・ヘッド回転数:85rpm
・研磨圧力:13.79kPa
・研磨パッド:ロデール・ニッタ株式会社製 Polotexpad
・研磨液供給速度:200ml/min
《研磨対象物》
(研磨速度評価)
研磨対象物として、Si基板上に、SiOC膜(BLACKDIAMOND(Applied Materials, Inc)、TEOS膜、Ta膜、及び銅膜を順次成膜した8インチウエハを使用した。
(スクラッチ評価)
研磨対象物として、フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりCVD法で作製したSiOC膜、TEOS膜をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成、更に、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成後、メッキ法により合計厚さ1000nmの銅膜を形成した8inchウエハを使用した。
−研磨速度評価−
研磨速度は、CMP前後における、上記研磨速度評価用の研磨対象物のTEOS膜(絶縁膜)の膜厚をそれぞれ測定し、以下の式から換算することで求めた。
研磨速度(nm/min)=(研磨前の膜厚−研磨後の膜厚)/研磨時間
研磨速度の許容範囲は、50〜120nm/minであり、10nm/min以下であることが好ましい。研磨速度は、より好ましくは60〜100nm/minであり、更に好ましくは、70〜90nm/minである。
得られた結果を表1に示す。
−スクラッチ評価−
上記スクラッチ評価用の研磨対象物の銅膜を研磨した後、Ta膜、TEOS膜を研磨し、続けてSiOC膜まで研磨(SiOC膜を20nm研磨)した後、研磨面を純水洗浄して乾燥した。乾燥した研磨面を光学顕微鏡にて観察し、下記の評価基準に基づいてスクラッチの評価を行った。なお、○及び△は、実用上問題の無いレベルと判断する。得られた結果を表1に示す。
(評価基準)
○:問題となるスクラッチは観測されず
△:ウエハ面内に問題となるスクラッチを1〜2個観測
×:ウエハ面内に問題となるスクラッチを多数観測
〔実施例2〜46、および比較例1〜3〕
実施例1における研磨液の組成中の(1)〜(4)成分を、下記表1〜表5に記載の種類(化合物)および量に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜46、および比較例1〜3の研磨液を調整した。つぎに各研磨液のpHを表1〜表5に記載の数値に調整した各研磨液を用いて、実施例1と同様の研磨条件で、研磨実験を行った。結果を下記表1〜表5に示す。
Figure 2009231572
Figure 2009231572
Figure 2009231572
Figure 2009231572
Figure 2009231572
表1〜表5に記載の四級アンモニウム化合物A1〜A32は、前記した四級アンモニウム化合物の例示化合物である。
表1〜表5によれば、実施例1〜実施例46の研磨液を用いた場合は、比較例1〜3と比較してTEOSの研磨速度が高く、また、スクラッチ性能にも優れていることがわかる。一方、比較例1〜3の研磨液はTEOS研磨速度、スクラッチ性能いずれも、実施例の研磨液と比較して劣っており、特に比較例2および3は、スクラッチ性能が実用上問題のあるレベルであった。
以上のことから、本発明の研磨液は、TEOS研磨速度に優れ、更には、スクラッチ性能にも優れることがわかる。

Claims (6)

  1. 半導体集積回路の平坦化工程における主としてバリア層の化学的機械的研磨に用いられる研磨液であって、(1)四級アンモニウムカチオン、(2)有機重合粒子の表面に酸素原子を介して、Ti、Al、Zr、およびSiからなる群より選択される少なくとも一種の無機原子が結合してなる表面修飾有機重合粒子、(3)有機酸、(4)アゾール化合物、及び(5)酸化剤を含み、かつ、pHが1〜7である研磨液。
  2. 前記(1)四級アンモニウムカチオンが、下記一般式(1)で表されるカチオンであることを特徴とする請求項1に記載の研磨液。
    Figure 2009231572

    [一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。R〜Rのうちいずれか2つが互いに結合して環を形成してもよい。]
  3. 前記(3)有機酸が、シュウ酸、クエン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨液。
  4. 前記(2)に示される表面修飾有機重合粒子の濃度が、研磨液の全質量に対して0.5〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の研磨液。
  5. 前記(2)に示される表面修飾有機重合粒子の一次平均粒径が、20〜150nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の研磨液。
  6. 前記バリア層を構成する金属が、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、CuMn、MnO、WN、W、およびCoからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の研磨液。
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