JP2010073999A - 化学的機械的研磨液 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い研磨速度と欠陥の抑制を両立できる化学的機械的研磨液、及びそれを用いた化学的機械的研磨方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物、酸化剤、及び有機酸を含有することを特徴とする化学的機械的研磨液及びそれを用いた化学的機械的研磨方法。一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基を表し、互いに連結して環を形成してもよい。nは0以上の整数を表す。Lは2価の連結基を表す。Hetは窒素原子を含むヘテロ環を表す。X-は陰イオンを表す。
Figure 2010073999

【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程等において用いられる化学的機械的研磨液に関し、詳細には、半導体デバイスの配線工程での平坦化において主としてバリア金属材料からなるバリア層の研磨に好適に用いられる化学的機械的研磨液に関する。
半導体集積回路(以下、「LSI」と称することがある)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として化学的機械的研磨(Chemical
Mechanical Polishing、以下、「CMP」と称することがある)等の種々の技術が用いられてきている。このCMPは層間絶縁膜等の被加工膜の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術であり、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去や絶縁膜上の余分なバリア層の除去を行っている。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面の中央のみがより深く研磨されて皿状のくぼみを生ずる現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨された上、複数の配線金属面表面が皿状の凹部を形成する現象(エロージョン)などが発生することがある。
これらの弊害を抑止する手段として、例えば特許文献1及び2には1,2,3−ベンゾトリアゾールや2−アミノチアゾールを研磨液に含ませることが効果的であるとの記載がある。また、特許文献3〜5には、ベンゾトリアゾール誘導体がディッシング低減に効果的であるとの記載がある。
しかしながら、上記のような研磨液においても、バリア層を研磨する際に高研磨速度を実現し、且つ、ディフェクト(残渣による欠陥)を十分に抑制しうる技術は、未だ得られていないのが現状である。
特開平8−64594号公報 特開平8−83780号公報 特開平2005−116987号公報 国際公開第07−126672号パンフレット 国際公開第08−004579号パンフレット
本発明は、優れた研磨速度が得られ、且つ、残渣の低減を達成しうる化学的機械的研磨液を提供するものである。特に、主にバリア金属材料からなるバリア層を研磨に用いた際でも、優れた研磨速度とディフェクト(残渣による欠陥)の低減とを両立しうる化学的機械的研磨液を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、下記研磨液を用いることによって上記問題を解決できることを見出して課題を達成するに至った。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物、酸化剤、及び有機酸を含有することを特徴とする化学的機械的研磨液。
Figure 2010073999
一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基を表す。RとR、RとR、またはRとRは連結して環を形成してもよい。
nは0以上の整数を表す。
Lは2価の連結基を表す。
Hetは窒素原子を含むヘテロ環基を表す。
-は陰イオンを表す。
<2> 前記一般式(1)におけるLで表される2価の連結連結基が、ウレイレン基、アミド基、エステル基、カルボネート基、カルバメート基、スルホンアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、及びヘテロ環連結基から選ばれる少なくともひとつの基を含有することを特徴とする<1>に記載の化学的機械的研磨液。
<3> 前記一般式(1)におけるnが1以上の整数を表し、かつLで表される2価の連結連結基が、ウレイレン基、カルバメート基またはアミド基から選ばれる少なくともひとつを含有することを特徴とする<1>または<2>に記載の化学的機械的研磨液。
<4> 前記一般式(1)のHetで表される窒素原子を含むヘテロ環基におけるヘテロ環がテトラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、もしくはベンゾトリアゾールであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
<5> 前記一般式(1)におけるX-で表される陰イオンがNO3 -またはOTs-(Ts
はp-トルエンスルホニル基を表す)であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに
記載の化学的機械的研磨液。
<6> 前記一般式(1)におけるR〜Rが、それぞれ独立に炭素数が1〜30であるアルキル基であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
<7> 更に、イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
<8> pHが0〜5であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
<9> 更に砥粒を含有することを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
<10> <1>〜<9>のいずれかに記載の化学的機械的研磨液を供給し、研磨パッドと被研磨体の被研磨面とを接触させつつ相対運動させて研磨することを特徴とする化学的機械的研磨方法。
本発明によれば、被研磨体(ウエハ)を研磨する際に、高い研磨速度とディフェクト(残渣による欠陥)の抑制の両立を可能とする化学的機械的研磨液、及びそれを用いた化学的機械的研磨方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
<化学的機械的研磨液>
本発明の化学的機械的研磨液は、半導体デバイス製造工程等における化学的機械的研磨に用いられ、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩(A)、酸化剤(B)、及び有機酸(C)を含有することを特徴とする化学的機械的研磨液(CMP用研磨液)である。
以下に各成分について詳細に説明する。なお、本発明の化学的機械的研磨液を構成する各成分については、それぞれの成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)一般式(1)で表される化合物
本発明の化学的機械的研磨液は、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩(A)を含有する。
Figure 2010073999
一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基を表す。RとR、RとR、またはRとRは連結して環を形成してもよい。
nは0以上の整数を表す。nは好ましくは1以上の整数であり、より好ましくは1〜20の整数を表す。
Lは2価の連結基を表す。
Hetは窒素原子を含むヘテロ環基を表す。
-は陰イオンを表す。
一般式(1)中、連結基Lとしては、例えばウレイレン基、アミド基(カルボン酸アミド基)、エステル基、カルボネート基、カルバメート基、スルホンアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、及びヘテロ環連結基から選ばれる少なくともひとつの基が含有されている基等が挙げられる。
また、これらの基が二つ以上連結してなる二価の連結基や、アルキレン基、アリーレン基などの他の連結基が連結してなる二価の連結基でも良く、例えば、以下に示す連結基等が挙げられる。
Figure 2010073999
また一般式(1)中のLには、可能な限り更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
上記一般式(1)中のLで表される二価の連結基としては、炭素数2〜10のものが好ましい。
上記一般式(1)中のLで表される二価の連結基としては、欠陥の抑制という観点から、ウレイレン基、アミド基、カルバメート基、エステル基、アミノ基、エーテル基などを含む二価の連結基が好ましく、より好ましくは、ウレイレン基及び、アミド基、及びカルバメート基から選ばれる少なくともひとつの基を含有する連結基が挙げられる。
一般式(1)のHetで表される窒素原子を含むヘテロ環基におけるヘテロ環は、窒素原子を複数含有していてもよく、例えば、ピロール環、ピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、インドリン環、イソインドリン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、アンチリジン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾフロキサン環、ナフトイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラアザインデン環等が挙げられ、好ましくはテトラゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、もしくは、ベンゾトリアゾール環であり、より好ましくは、テトラゾール環もしくはベンゾトリアゾール環である。
Hetで表される窒素原子を含むヘテロ環基におけるヘテロ環は、好ましくは5員環である。また、Hetで表される窒素原子を含むヘテロ環基におけるヘテロ環は、窒素原子を3または4個含む環であることが好ましい。
一般式(1)中、X-で表される陰イオンは、ハロゲンイオン(F-、Cl-、Br-、I-)、CO -、NO -、OTs-(ここでTsはp-トルエンスルホニル基を表す)などが挙げられ、好ましくはハロゲンイオン、NO3-またはOTs-であり、より好ましくはBr-、NO -、OTs-である。
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基を表す。これらは置換基を有していてもよく、置換基としてN(R)(R)(R)で表わされる構造や、Hetで表されるヘテロ原子基を有していても良い。即ち、4級アンモニウム塩(A)は4級アンモニウム構造やヘテロ環基を分子内に複数有していてもよい。
アルキル基は直鎖、分岐、または、環状であってもよい。
直鎖、分岐の置換または無置換のアルキル基の例としてはメチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、エイコシル、カルボキシメチル、スルホキシメチル、
2−クロロメチル、2−ブロモメチル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、または2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。環状のアルキル基としては置換または無置換のシクロアルキル基が含まれ、この例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、4−ヒドロキシシクロヘキシルなどを挙げることができる。
一般式(1)中のR〜Rは、残渣低減という観点から、炭素数1〜20の直鎖、分岐または、環状のアルキル基が好ましく、その中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタ
デシルが好ましく、メチル、エチル、n−オクチル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシルがより好ましい。
以下に本発明の一般式(1)で表される4級アンモニウム塩(A)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。Tsはp-トルエンスルホニル基を表す。
Figure 2010073999
4級アンモニウム塩(A)は、分子量100〜1000であることが好ましく、100〜700であることがより好ましく、200〜600であることが更に好ましい。
4級アンモニウム塩(A)の研磨液中の含有量は、過酸化水素水の含有量によって調整することが好ましい。即ち、研磨速度の観点で過酸化水素水の含有量を決定し、それにあわせて4級アンモニウム塩(A)の含有量を決定することが好ましい。
4級アンモニウム塩(A)の研磨液中の含有量は、具体的には研磨液(使用時)の1L中に、0.001×10−3mol〜0.1molとすることが好ましく、0.01×10−3mol〜0.1molとすることがより好ましく、0.1×10−3mol〜0.05molとすることが特に好ましい。この範囲とすることで、充分な研磨速度とディッシング防止、欠陥防止を高いレベルでなしうる。
4級アンモニウム塩(A)、市販のヘテロ環化合物をもとに実施例に記載の方法に準じて合成することができる。
(B)酸化剤
本発明の化学的機械的研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤(B))を含有する。
酸化剤(B)としては、化学的機械的研磨液に通常用いられているものが使用でき、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられ、中でも、過酸化水素が好ましく用いられる。
鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
酸化剤(B)の添加量は、CMP初期のディッシング量によって調整できる。CMP初期のディッシング量が大きい場合、即ち、CMPにおいて配線材をあまり研磨したくない場合には酸化剤を少ない添加量にすることが望ましく、ディッシング量が十分に小さく、配線材を高速で研磨したい場合は、酸化剤の添加量を多くすることが望ましい。
このように、CMP初期のディッシング状況によって酸化剤の添加量を変化させることが望ましいため、酸化剤(B)は研磨に使用する際の研磨液の1L中に、0.01mol〜1molとすることが好ましく、0.05mol〜0.6molとすることが特に好ましい。
(C)有機酸
本発明の化学的機械的研磨液は、有機酸(C)を含有する。
有機酸としては、分子内に少なくとも1つの酸基を有する有機化合物であれば特に制限はないが、好ましくはカルボキシル基を含むものである。
カルボキシル基を有する化合物としては、水溶性のものが望ましく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、アセドアミドイミノ二酢酸、ニトリロ三プロパン酸、ニトリロ三メチルホスホン酸などが挙げられる。
有機酸(C)は、研磨速度構造の観点から、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
なお、分子内に存在するカルボキシル基は、1〜4個であることが好ましく、安価に使用できる観点からは、1〜2個であることがより好ましい。
4−O−R5−COOH 一般式(2)
上記一般式(2)において、R4及びR5はそれぞれ独立に炭化水素基を表し、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
4は、1価の炭化水素基であり、例えば、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メ
チル基、シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、アルコキシ基、アリールオキシ基などが好ましい。
5は、2価の炭化水素基であり、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基(例えば、
メチレン基、シクロアルキレン基等)、アリーレン基(例えば、フェニレン基等)、アルキレンオキシ基などが好ましい。
4及びR5で表される炭化水素基は更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、などが挙げられ、置換基としてカルボキシル基を有する場合、この化合物は複数のカルボキシル基を有することになる。
また、R4とR5は互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸などが挙げられ、中でも、被研磨面を高速で研磨する観点から、2,5−フランジカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、メトキシ酢酸が好ましい。
本発明の化学的機械的研磨液において、有機酸(C)の添加量は、研磨に使用する際の研磨液の質量に対して、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%が更に好ましい。
即ち、有機酸の含有量は、十分な研磨速度を達成する点で、0.1質量%以上が好ましく、過剰なディッシングを発生させない点から、5質量%以下が好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の化学的機械的研磨液は、上記4級アンモニウム塩(A)、酸化剤(B)、有機酸(C)に加え、砥粒、界面活性剤、キレート剤等を含有することが好ましい。
(D)砥粒
本発明の化学的機械的研磨液は、研磨粒子として砥粒を含有することが好ましい。
砥粒としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、炭化ケイ素等の無機物砥粒、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル等の有機物砥粒のいずれでもよい。
これらの中でも、シリカ、アルミナ、セリア、及びチタニアよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、研磨液中での分散安定性がよく、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数の少ない点で、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)が好ましい。シリカとしては、研磨速度が高いためにコロイダルシリカ又はフュームドシリカが好ましく、さらに好ましくはコロイダルシリカである。
コロイダルシリカとしては、粒子内部にアルカリ金属などの不純物を含有しない、アルコキシシランの加水分解により得たコロイダルシリカであることが好ましい。一方、ケイ酸アルカリ水溶液からアルカリを除去する方法で製造したコロイダルシリカも用いることができるものの、この場合、粒子の内部に残留するアルカリ金属が徐々に溶出し、研磨性能に影響を及ぼす懸念がある。このような観点からは、アルコキシシランの加水分解により得られたものが原料としてはより好ましい。
コロイダルシリカの粒径は、砥粒の使用目的に応じて適宜選択され、一般的には10〜200nm程度であるが、研磨傷を発生させない観点から、一次平均粒径が20〜50nmの範囲であることが好ましい。
コロイダルシリカの一次平均粒径は、表面積粒子径や電子顕微鏡写真から測定する事ができる。
本発明の化学的機械的研磨液中の砥粒の含有量(濃度)は、研磨に使用する際の研磨液の質量に対して、好ましくは0.5質量%〜15質量%であり、更に好ましくは3質量%〜12質量%であり、特に好ましくは5質量%〜12質量%である。
即ち、砥粒の含有量は、充分な研磨速度でバリア層を研磨する点で0.5質量%以上が
好ましく、保存安定性の点で15質量以下が好ましい。
本発明の化学的機械的研磨液には、砥粒としてコロイダルシリカとそれ以外の砥粒を、本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができるが、全砥粒のうち、コロイダルシリカの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。含有される砥粒の全てがコロイダルシリカであってもよい。
コロイダルシリカと併用しうる砥粒としては、ヒュームドシリカ、セリア、アルミナ、チタニア等が挙げられる。これら併用砥粒のサイズは、コロイダルシリカと同等か、それ以上、また、2倍以下であることが好ましい。
(E)界面活性剤
本発明の化学的機械的研磨液は、(E)界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明の化学的機械的研磨液中に含まれる界面活性剤の種類、量を調整することで、研磨速度を向上させることや、絶縁層の研磨速度を制御することができる。界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、又は陽イオン系界面活性剤などのイオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
中でも、絶縁層の研磨速度を向上させる観点から、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
6-SO3 -+ 一般式(3)
上記一般式(3)におけるR6は炭化水素基を表し、炭素数6〜20であることが好ま
しい。
具体的には、例えば、炭素数6〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)などが好ましく、このアルキル基やアリール基は、更にアルキル基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(3)におけるMは、スルホニウムアニオンの対カチオンを表し、好ましくは、プロトン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはアンモニウムイオンである。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、テトラデシルナフタレンスルホン酸等の化合物が挙げられる。
本発明における界面活性剤としては、前記一般式(3)で表される化合物以外の界面活性剤を用いてもよく、例えば、前記一般式(3)で表される化合物以外の陰イオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられる。
より具体的には、カルボン酸塩としては、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;硫酸エステル塩としては、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩としては、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を好ましく用いることができる。
陽イオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩(例えば硝酸ラウリルトリメチルアンモニウム)、塩化ベンザルコニウム塩)、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩(例えば硝酸ドデシルピリジニウム、イミダゾリニウム塩、が挙げられる。
(E)界面活性剤の添加量は、総量として、研磨に使用する際の化学的機械的研磨液の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.01〜1gとすることが特に好ましい。即ち、界面活性剤の添加量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から1g以下が好ましい。
(pH調整剤)
本発明の化学的機械的研磨液は、pH0〜5.0であることが好ましく、pH2.5〜5.0であることがより好ましく、pH3.0〜4.5の範囲であることが更に好ましい。研磨液のpHをこの範囲に制御することで、層間絶縁膜の研磨速度調整がより顕著に行うことが可能にある。
pHを上記好ましい範囲に調整するために、pH調整剤、より好ましくはアルカリ/酸又は緩衝剤が用いられる。本発明の研磨液は、pHがこの範囲において優れた効果を発揮する。
pH調整剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、硝酸、硫酸、りん酸などの無機酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩等を好ましく挙げることができる。特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
pH調整剤の添加量としては、前述した電気伝導度の値以下であれば、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
(キレート剤)
本発明の研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有してもよい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤は必要に応じて2種以上併用してもよい。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良く、例えば、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
〔化学的機械的研磨〕
本発明の化学的機械的研磨液は、一般に、配線と層間絶縁膜との間に存在する、配線金
属の拡散を防ぐためのバリア金属材料からなるバリア層の研磨(バリアCMP)に適する。
〔バリア金属材料〕
本発明の化学的機械的研磨液の研磨対象のバリア層を構成する材料としては、一般に低抵抗のメタル材料がよく、特に、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でも、Ta、TaNが特に好ましい。
〔層間絶縁膜〕
本発明の化学的機械的研磨液の研磨対象の層間絶縁膜(絶縁層)としては、TEOS(テトラエトキシシラン)等の通常用いられる層間絶縁膜の他、例えば、比誘電率が3.5〜2.0程度の低誘電率の材料(例えば、有機ポリマー系、SiOC系、SiOF系、等が挙げられ、通常、Low−k膜と略称される)を含む層間絶縁膜が挙げられる。
具体的には、低誘電率の層間絶縁膜の形成に用いる材料として、SiOC系ではHSG−R7(日立化成工業)、BLACKDIAMOND(Applied Materials, Inc)などがある。
本発明の研磨液は、4級アンモニウム塩(A)と砥粒との併用により、層間絶縁膜(絶縁層)の研磨速度も向上させることができる。
〔配線金属原材料〕
本発明においては、研磨対象である被研磨体は、例えば、LSI等の半導体デバイスに適用されるような配線金属を有することが好ましく、より好ましくは銅金属及び/又は銅合金からなる配線を有する。配線の原材料としては、銅合金が好ましく、銅合金の中でも銀を含有する銅合金がより好ましい。
なお、銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、特には10質量%以下、更には1質量%以下が好ましく、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
〔配線の太さ〕
本発明においては、研磨対象である被研磨体が、例えば、DRAMデバイス系に適用される場合、ハーフピッチで0.15μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下である。
一方、被研磨体が、例えば、MPUデバイス系に適用される場合、0.12μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下である。
このような配線を有する被研磨体に対して、上述の本発明における研磨液は特に優れた効果を発揮する。
〔研磨方法〕
本発明の化学的機械的研磨液は、1.濃縮液であって、使用する際に水又は水溶液を加えて希釈して使用液とする場合、2.各成分が次項に述べる水溶液の形態で準備され、これらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、3.使用液として調製されている場合がある。
本発明の研磨液を用いた研磨方法にはいずれの場合の研磨液も適用可能である。
この研磨方法は、化学的機械的研磨液を供給し、研磨パッドと被研磨体の被研磨面とを接触させつつ相対運動させて研磨する方法である。具体的には、化学的機械的研磨液を、研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する。
研磨に用いられる装置としては、被研磨面を有する被研磨体(例えば、導電性材料膜が
形成されたウエハ等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は被研磨体が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。被研磨面(被研磨膜)を有する被研磨体の研磨パッドへの押しつけ圧力は、0.68〜34.5kPaであることが好ましく、研磨速度の被研磨体の面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、3.40〜20.7kPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨パッドには、研磨液をポンプ等で連続的に供給する。
研磨終了後の被研磨体は、流水中でよく洗浄された後、スピンドライヤ等を用いて被研磨体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
本発明において、前記1.の方法のように、濃縮液を希釈する際には、水や水溶液で希釈することができる。
水溶液としては例えば4級アンモニウム塩(A)、酸化剤(B)、有機酸(C)、添加剤(界面活性剤(E)など)のうち少なくとも1つ以上を予め水に含有させたものが挙げられる。この水溶液中に含有している成分と、希釈される濃縮液中に含有している成分と、を合計した成分が、研磨する際に使用する研磨液(使用液)の成分となるようにする。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
尚、前記研磨液の各成分の含有量は、水または水溶液で希釈した後の、実際に研磨を行う状態の量を示す。
また、濃縮液に水又は水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とを途中で合流させて混合し、混合し希釈された研磨液の使用液を研磨パッドに供給する方法がある。濃縮液と水又は水溶液との混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
研磨液の供給速度は10〜1000ml/minが好ましく、研磨速度の被研磨面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、170〜800ml/minであることがより好ましい。
更に、濃縮液を水又は水溶液などにより希釈しつつ、研磨する方法としては、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とを独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法がある。また、1つの容器に、所定量の濃縮液と水又は水溶液とを入れ混合してから、研磨パッドにその混合した研磨液を供給し、研磨をする方法を用いることもできる。
また、別の研磨方法としては、研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法がある。
例えば、酸化剤を構成成分(a)とし、4級アンモニウム塩(A)、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(b)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で、構成成分(a)及び構成成分(b)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(a)と(b)に分け、例えば、酸化剤、
添加剤、及び界面活性剤を構成成分(a)とし、4級アンモニウム塩(A)、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(b)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(a)及び構成成分(b)を希釈して使用する。
上記のような例の場合、構成成分(a)と構成成分(b)と水又は水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。具体的には、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に、水又は水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液を供給する方法がある。
上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、1つの構成成分と他の構成成分とを混合する際、又は、水若しくは水溶液を加え希釈する際に、液温を40℃以下とするようにすることができる。この方法は、温度が高いと溶解度が高くなる現象を利用し、研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
上記の他の構成成分を室温から100℃の範囲で加温することで溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、低温状態の他の構成成分を用いる場合は、予め加温して析出した原料を溶解させる必要がある。これには、加温し、原料が溶解した他の構成成分を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し、配管を加温して溶解させる手段と、を採用することができる。加温した他の構成成分が、酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解する恐れがあるので、この加温した他の構成成分と酸化剤を含む1つの構成成分とを混合した場合、40℃以下となるようにすることが好ましい。
このように、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と有機酸を含有する成分とに分割して供給することが好ましい。また、研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして被研磨面に供給してもよい。
本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給する方法を適用する場合、その供給量は、各配管からの供給量の合計を表すものである。
〔パッド〕
本発明の研磨方法に適用しうる研磨用の研磨パッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、一般的に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、被研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
〔ウエハ〕
本発明における研磨液でCMPを行う対象の被研磨体としてのウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
〔研磨装置〕
本発明の研磨液を用いて研磨を実施できる装置は、特に限定されないが、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ)、FREX200、FREX300 (荏原製作所)、NPS3301、NPS2301(ニコン)、A−FP−310A、A−FP−210A(東京精密)、2300 TERES(ラムリサーチ)、Momentum(Speedfam IPEC)、ラップマスター製LGP−612などを挙げることができる。
以下、本発明に好適に用いられる一般式(1)の化合物の合成例、および、それらを用いた実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
〔合成例1〕化合物I−8の合成
Figure 2010073999
300mlの三口フラスコにテトラゾール誘導体1−A(12.3g、60.0mmol)を秤量し、アセトニトリル(100ml)を添加した。該溶液に、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヨーダイド(16.4g、60.0mmol、東京化成工業製)を添加し、8時間加熱還流した。反応液を吸引ろ過し、メタノールで洗浄してI−8(16.8g)を得た。これをH−NMRで同定した。
〔実施例1〕
下記に示す組成の化学的機械的研磨液を調製し、研磨実験を行った。
<組成(1)>
(A)一般式(1)で表される腐食防止剤 0.5g/L
(B)酸化剤:過酸化水素 10 mL
(C)有機酸:ジグリコール酸(和光純薬工業(株)製) 1 g/L
(D)砥粒:コロイダルシリカ(扶桑化学工業社製 PL3スラリー、一次平均粒径
35nm、形状;cocoon−shaped) 200 g/L
(E)界面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5g/L
純水を加えて全量 1000 mL
pH(アンモニア水と硝酸で調整) 3.5
(評価方法)
研磨装置としてラップマスター社製装置「LGP−612」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら、下記に示す各ウエハ膜を研磨した。
・テーブル回転数:90rpm
・ヘッド回転数:85rpm
・研磨圧力:13.79kPa
・研磨パッド:ロデール・ニッタ株式会社製 Polotexpad
・研磨液供給速度:200ml/min
(研磨速度評価:研磨対象物)
研磨対象物として、Si基板上に、Ta膜、TEOS膜を成膜した8インチウエハを使用した。
(欠陥評価:研磨対象物)
研磨対象物として、フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりTEOS(テトラエトキシシラン)基板をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成、更に、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成後、メッキ法により合計厚さ1000nmの銅膜を形成した8inchウエハを使用した。
<研磨速度>
研磨速度は、CMP前後におけるTa膜(バリア層)、TEOS膜(絶縁膜)の膜厚をそれぞれ測定し、以下の式から換算することで求めた。得られた結果を表1および表2に示す。
研磨速度(nm/分)=(研磨前の膜厚−研磨後の膜厚)/研磨時間
<欠陥評価>
上記欠陥評価用の研磨対象物を、上記ウエハにてTEOSまで研磨(TEOS膜を50nm研磨)した後、研磨面を純水洗浄して乾燥した。乾燥した研磨面をComPuls3(アプライドマテリアルズ)で評価し、得られた欠陥を光学顕微鏡で観察し、残渣数(8インチウエハ1枚中の個数)をカウントした。得られた結果を表1および表2に示す。
〔実施例2〜23、及び比較例1〕
実施例1における組成中、4級アンモニウム塩(A)、(C)、(D)の各成分を下記表1および表2に記載の組成に変更した以外は実施例1と同様に、実施例2〜23、及び比較例1の研磨液を調製した。
この実施例2〜23、及び比較例1の研磨液について、実施例1と同様の研磨条件で、研磨実験を行った。結果を表1および表2に示す。
Figure 2010073999
Figure 2010073999
上記表1および表2中、1−1から1−15は、前述した本発明における4級アンモニウム塩(A)の例示化合物を指す。その他略記した化合物の詳細を下記に示す。
4級アンモニウム塩(A)相当の比較化合物
BTA:1,2,3−ベンゾトリアゾール
(C)有機酸
C−1:ジグリコール酸
C−2:2,5−フランジカルボン酸
C−3:2−テトラヒドロフランカルボン酸
C−4:メトキシ酢酸
上記表1および表2に記載した(D)砥粒 B−1〜B−4の形状、一次平均粒径については、下記表3に示す。なお、下記表3に記載の砥粒D−1〜D−4は全て扶桑化学工業社製のコロイダルシリカである。
(D)砥粒
D−1:扶桑化学工業社製PL3、一次平均粒径35nm、形状;cocoon-shaped
D−2:扶桑化学工業社製PL3L、一次平均粒径35nm、形状;spherical
D−3:扶桑化学工業社製PL3H、一次平均粒径35nm、形状;aggregate
D−4:扶桑化学工業社製PL2、一次平均粒径25nm、形状;cocoon-shaped
(E)界面活性剤
DBS:ドデシルベンゼンスルホン酸
LTM:硝酸ラウリルトリメチルアンモニウム
DP:硝酸ドデシルピリジニウム
表1および表2によれば、4級アンモニウム塩(A)を用いた実施例1〜23の化学的機械的研磨液を用いた場合は、BTAを用いた比較例1と比較して、バリア層及び絶縁膜の研磨速度が高く、また、欠陥抑制性能にも優れることが分かる。また、(D)界面活性剤を添加した場合にも、研磨速度が高く、また、残渣抑制性能も損なわれていないことが分かる。
以上のことから、本発明の化学的機械的研磨液は、バリア層研磨速度に加え、絶縁膜研磨速度にも優れ、更には、残渣低減にも優れることが分かる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物、酸化剤、及び有機酸を含有することを特徴とする化学的機械的研磨液。
    Figure 2010073999
    一般式(1)中、
    〜Rは、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基を表す。RとR、RとR、またはRとRは連結して環を形成してもよい。
    nは0以上の整数を表す。
    Lは2価の連結基を表す。
    Hetは窒素原子を含むヘテロ環基を表す。
    -は陰イオンを表す。
  2. 前記一般式(1)におけるLで表される2価の連結基が、ウレイレン基、アミド基、エステル基、カルボネート基、カルバメート基、スルホンアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、及びヘテロ環連結基から選ばれる少なくともひとつの基を含有する基であることを特徴とする請求項1に記載の化学的機械的研磨液。
  3. 前記一般式(1)におけるnが1以上の整数を表し、かつLで表される2価の連結基が、ウレイレン基、カルバメート基、及びアミド基から選ばれる少なくともひとつの基を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の化学的機械的研磨液。
  4. 前記一般式(1)のHetで表される窒素原子を含むヘテロ環基におけるヘテロ環がテトラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、またはベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
  5. 前記一般式(1)中、X-で表される陰イオンがハロゲンイオン、NO3 -またはOTs-(Tsはp-トルエンスルホニル基を表す)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
  6. 前記一般式(1)におけるR〜Rが、それぞれ独立に炭素数が1〜30のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
  7. 更に、イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
  8. pHが0〜5であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
  9. 更に砥粒を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の化学的機械的研磨液。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の化学的機械的研磨液を供給し、研磨パッドと被研磨体の被研磨面とを接触させつつ相対運動させて研磨することを特徴とする化学的機械的研磨方法。
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WO2024034618A1 (ja) * 2022-08-09 2024-02-15 株式会社レゾナック 研磨液、研磨液セット及び研磨方法

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