JP2009229415A - ガス検知器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検知対象ガスの吸収波長を含み、所定以上の帯域幅を有する光を検査光として照射する固体発光素子1と、第1素子2a及び第2素子2bを備えるとともに、検知対象ガスが導入されるガス導入部2cを第1素子2aと第2素子2bとの間に備えてなり、固体発光素子1から照射された検査光を第1素子2aから入射させて、検知対象ガスの吸収波長に対応する成分の光を第2素子2bとの間で選択的に連続反射させるとともに、その入射光又は反射光の一部を第2素子2bから透過して出射させる選択反射部2とを備える。
【選択図】図1
Description
特許文献1のCOセンサは、導波管内に、赤外光を検知対象ガスに向けて照射する光源としてのランプと、検知対象ガスを透過した赤外光を検出する検出手段としての検出器と、COによる赤外吸収波長帯域を透過させるフィルタとを備えて構成されている。
特許文献2の吸光分析装置は、光源としてパルスレーザ光を使用し、光導波路及び光方向性結合器を用いた光封止手段によってパルスレーザ光を閉じ込めている。そして、閉じ込めたパルスレーザ光を光導波路内で往復させ、測定対象ガスに繰り返し吸収させる所謂キャビティリングダウン分光法を実行することにより、検知対象ガスによるパルスレーザ光の吸収率を求めている。
ところが、ハロゲンランプは、光源ユニットとは別に電源ユニットや冷却ユニット等を備える必要がある。また、ハロゲンランプからの波長選択用にフィルタの稼動部を設ける必要もある。このため、赤外吸収式ガス検知器の大型化・重量化を招くという問題がある。
また、ハロゲンランプのようなフィラメントを使用するランプは、寿命が比較的短いため不経済であり、球切れを起こした場合には交換の手間がかかる。
さらに、ハロゲンランプは、電源を投入してから十分な発光強度に達するまで時間がかかり、その発光強度も不安定になり易い。
また、半導体レーザダイオードの出力波長は温度によってシフトするが、そのシフト幅は、例えば、約0.1nm/℃となる。このため、光源として半導体レーザダイオードを使用すると、その出力波長を検知対象ガスの吸収波長に安定させるために、温度調整が必須となる。
この点に関し、本構成のガス検知器は、光源として、検知対象ガスの吸収波長を含み、所定以上の帯域幅を有する光を検査光として照射する固体発光素子を用いているので、検知対象ガスに対して、半導体レーザダイオードでは必須であった温度調整をしなくても、確実に吸収波長を有する光を照射することができる。
また、本構成のガス検知器は、検知対象ガスが導入されるガス導入部を間に備える第1素子及び第2素子を備えるものであるが、固体発光素子から照射された検査光を第1素子から入射させて、検知対象ガスの吸収波長に対応する成分の光を第2素子との間で選択的に連続反射させる。そして、第2素子はこの工程の最中に、入射光又は反射光の一部を透過して出射させる。これにより、検査光の光路長を大きく確保することができるとともに、第2素子から入射光又は反射光が出射される回数が多くなるので、高精度の強度減衰曲線を得ることができる。そして、このような高精度の強度減衰曲線を用いれば、検知対象ガスの濃度を高精度に検知することができる。
このように、本構成のガス検知器は、波長選択用フィルタ等の稼動部を不要としながら、検知対象ガスを確実に検知できるとともに、取り扱いが容易であり、小型化・軽量化された長寿命のものとして実現することができる。
このように、本構成のガス検知器においては、多角的に検知対象ガスの濃度もしくは濃度に関係する情報を求めているので、精度の高い結果が得られる。
すなわち、本構成のガス検知器では、両者の強度差が明確である時間t又は時間帯Tの出射光の強度を見ることにより、検知対象ガスの濃度がどの程度変化したかを知ることができる。なお、検知対象ガスの濃度に関係する情報とは、そこから検知対象ガスの濃度を直接的又は間接的に求めることができる情報を意味する。
このように、本構成のガス検知器では、判定手段が出射光強度の比較及び判定を行うことにより、検知対象ガスの濃度を簡便に求めることができる。
なお、本実施形態では、複数種のガス種として、メタン(CH4)及び一酸化炭素(CO)を検知する複合ガス検知器を例に挙げて説明するが、他の複数種のガスを検知するものであっても構わない。また、複数のガス種ではなく、単一のガス種を検知するガス検知器であっても構わない。
ガス検知器10は、主たる構成として、固体発光素子1、及び選択反射部2,3を備える。また、その他の構成として、分割器4、検出器5、及び処理部6を備える。
分割器4で分割された短波長成分の検査光は、選択反射部3に入射する。選択反射部3は、一対の一酸化炭素検知用のファイバーブラッグ格子(FBG)3(以下、単にFGB3と称する)から構成される。FBG3は、選択波長が1568nm(半値幅:0.5〜1.0nm)に設定された第1素子3a及び第2素子3bから構成され、両素子3a,3bの間にガス導入部(一酸化炭素導入部)3cが備えられる。第1素子3aは、SLED1から照射された検査光を入射させて、一酸化炭素の吸収波長(1568nm)に対応する成分の光を第2素子3bとの間で選択的に連続反射させる。そして、この過程において、例えば、第1素子3a及び第2素子3bにおける反射率が99.9%に設定されていると、入射光又は反射光の一部(0.1%)が第2素子3bから透過して出射する。
(a)に示されるように、空気中を進行する光は、徐々に強度が減衰する。このときの減衰曲線は、以下の式(1)によって表される。
I(t)=I0exp(−(1/τ0)t) ・・・ (1)
上記式(1)で示されるように、空気中を進行する光の強度は、時間の経過(すなわち、光路長の増加)とともに指数関数的に減少する。
I(t)=I0exp[−(1/τ0+ρnc)t] ・・・ (2)
このように、メタン中を進行する光は、メタンの吸収波長においてその一部が吸収されるため、減衰の度合いは空気中を進行する光よりも大きいものとなる。そして、上記式(2)のメタン吸収に関連する第二項において、ランベルト・ベール則(Lambert−Beer law)を適用することができ、(a)の減衰曲線と(b)の減衰曲線との関係で、両者の強度差が明確である時間t又は時間帯Tの出射光の強度からメタンの濃度を得ることができる。
図3の差分曲線において、時間軸において極大値をとる時間tmaxは、空気中を通過する光の強度減衰曲線(ブランク)とメタン中を通過する光の強度減衰曲線との差が最大となる時間である。従って、この時間tmaxにおいて、あるいは時間tmaxを中心とする所定幅の時間帯t2−t1=Tmaxにおいて、以下に説明する所定の演算を処理部6で行うことにより、メタンの濃度がどの程度変化したかを知ることができる。
処理部6は、例えば、コンピュータで構成される。判定手段7は、例えば、コンピュータに組み込まれたプログラムで構成される。処理部6が行う演算手法として、例えば、以下に説明する3つのパターンが挙げられる。
また、処理部6は、マップに加えて所定の閾値Sを有することもできる。この閾値Sは、光強度がブランクにおける光強度に対して所定の比率となるように設定される。図4に示す例では、閾値Sはブランクにおける光強度に対して0.7に設定されている。検出器5aから処理部6に光強度に関する情報が入力されると、判定手段7は、処理部6が求めた光強度を閾値Sと比較する。そして、当該光強度が閾値Sを下回った場合、メタンが所定濃度以上であると判定する。
閾値Sを用いて所定濃度以上のガスの有無を判定する場合は、光強度とメタン濃度との関係を示すデータは少なくとも閾値Sの前後だけあればよい。従って、マップ上に適切に閾値Sを設定すれば、マップのデータ量を少なくすることができる。また、閾値Sを時間tmaxに対して設けるようにすれば、閾値Sの設定幅が最大となるため好ましい。
また、上記第1の演算手法ないし第3の演算手法では、出射光の強度、強度微分値、又は強度積分値が、メタンがガス導入部2cに存在しない場合の対応する出射光の強度、強度微分値、又は強度積分値に対して所定の比率以下となった場合に、メタンが所定の濃度以上であると判定しているが、所定以上の差となった場合にメタンが所定の濃度以上であると判定することも可能である。すなわち、比較演算であれば、任意の演算手法を採用することができる。
このように、本実施形態のガス検知器10においては、ガス導入部2cに存在するメタンの濃度を、FBG2の第2素子2bから経時的に出射する出射光の強度(生データ)、時間領域における当該出射光の強度微分値(微分データ)、時間領域における当該出射光の強度積分値(積分データ)の何れか一種以上から多角的に求めることができる。従って、精度の高いメタン濃度判定結果を得ることができる。
(1)単一の装置で複数種のガス検知を行う場合において、上記実施形態では、SLED1から出力された広帯域且つ高出力の検査光は、分割器4により、メタンの吸収波長(1650nm)を含む長波長成分と、一酸化炭素の吸収波長(1560nm)を含む短波長成分とに分割していた。ここで、上記分割器4に代えて、SLED1から照射される検査光のFBG2,3への光路を検知対象ガスに応じて切り替える切替器(図示せず)を採用することも可能である。この場合も、上記実施形態と同様に、単一のSLED(光源)を有する装置でありながら、複数種の検知対象ガスに対して濃度検知を行うことが可能となる。また、切替器を採用する場合、検出器5a、5bを共通化することも可能である。
2 FBG(選択反射部)
2a 第1素子
2b 第2素子
2c ガス導入部
3 FBG(選択反射部)
3a 第1素子
3b 第2素子
3c ガス導入部
4 分割器
5 検出器
6 処理部
7 判定手段
10 ガス検知器
Claims (7)
- 検知対象ガスに光を照射し、当該検知対象ガスによって一部が吸収された透過光の強度を測定することにより、前記検知対象ガスの濃度を検知するガス検知器であって、
前記光として、前記検知対象ガスの吸収波長を含み、所定以上の帯域幅を有する光を検査光として照射する固体発光素子と、
第1素子及び第2素子を備えるとともに、前記検知対象ガスが導入されるガス導入部を前記第1素子と前記第2素子との間に備えてなり、前記固体発光素子から照射された前記検査光を前記第1素子から入射させて、前記検知対象ガスの吸収波長に対応する成分の光を前記第2素子との間で選択的に連続反射させるとともに、その入射光又は反射光の一部を前記第2素子から透過して出射させる選択反射部と
を備えたガス検知器。 - 前記選択反射部から経時的に出射する出射光の強度に関し、当該出射光の強度、時間領域における当該出射光の強度微分値、時間領域における当該出射光の強度積分値の何れか一種以上から、前記検知対象ガスの濃度もしくは濃度に関係する情報を得る処理部を備えた請求項1に記載のガス検知器。
- 前記固体発光素子は、前記検査光としてパルス光を照射する請求項1又は2に記載のガス検知器。
- 前記出射光の強度に基づいて、前記検知対象ガスの濃度もしくは濃度に関係する情報を得るに、前記選択反射部から経時的に出射する出射光の強度減衰挙動に関し、
前記ガス導入部に前記検知対象ガスが存在する場合の強度減衰挙動と、存在しない場合の強度減衰挙動との関係で、強度差が明確である時間t又は時間帯Tの出射光の強度から、前記処理部が、前記検知対象ガスの濃度もしくは濃度に関係する情報を得る請求項3に記載のガス検知器。 - 前記処理部に、前記出射光の強度、強度微分値、又は強度積分値が、前記検知対象ガスが前記ガス導入部に存在しない場合の対応する出射光の強度、強度微分値、又は強度積分値に対して所定の比率以下又は所定以上の差となった場合に、前記検知対象ガスが所定の濃度以上であると判定する判定手段を備えた請求項2〜4の何れか一項に記載のガス検知器。
- 前記検知対象ガスが複数種ある場合において、前記複数種の検知対象ガスに対応する選択反射部を備え、
前記固体発光素子から照射される前記検査光を前記検知対象ガスの数に応じて分割する分割器と、前記分割器によって分割された検査光が夫々選択的に入射される前記選択反射部とを備えた請求項1〜5の何れか一項に記載のガス検知器。 - 前記検知対象ガスが複数種ある場合において、前記複数種の検知対象ガスに対応する選択反射部を備え、
前記固体発光素子から照射される前記検査光の前記選択反射部への光路を前記検知対象ガスに応じて切り替える切替器と、前記切替器によって切り替えられた検査光が夫々選択的に入射される前記選択反射部とを備えた請求項1〜5の何れか一項に記載のガス検知器。
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