従来、電子時計では消費電流を少なくするため通常駆動パルスを複数用意し、その中から常に最小のエネルギで駆動できる通常駆動パルスを選択してモータを駆動するという方法を採用している。その選択方法を簡単に説明するとまず通常駆動パルスを出力し、続いてモータが回転したかどうかを判定する。そして回転しなかった場合は直ちに補正駆動パルスを出力する。そして次の通常駆動パルス出力時には前回よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスに切り替えて出力する。またモータが回転した場合には次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ通常駆動パルスを出力する。そして一定回数同じ駆動パルスが出力されると1ランク小さな駆動力の通常駆動パルスに切り替えるという方法で通常駆動パルスを選択していた。
なお従来の方式に於けるロータの回転・非回転の検出は、通常駆動パルス印加終了後に、検出パルスを出力してステップモータのコイルのインピーダンス値を急激に変化させ、コイルに発生する誘起電圧をコイル端で検出してロータの自由振動のパターンを判定する方式が多く用いられている。例えばコイルの両端にそれぞれ接続された2つの駆動インバータの一方を先ず第1検出モードとして動作させて検出パルスを出力し、回転検出信号が発生すると第1検出モードを停止すると共に他の駆動インバータを第2検出モードとして動作させて検出パルスを出力し、第2検出モードの時に回転検出信号が発生した場合には、回転成功と判定させている。
第2検出モードは、回転が成功したこと、即ちロータが磁気ポテンシャルの山を越えたことを検出するものであるが、第2検出モードの前に、第1検出モードを行なうことは、比較的弱く駆動された場合において、ロータが完全に磁気ポテンシャルの山を越える前に発生してしまう誤った検出信号の検出を防止するために行なう検出であり、図19のようにまだロータの回転が終了していないのにもかかわらず磁気ポテンシャルを超えた信号として電流波形c2の波形を誤って検出してしまうことを防止するものである。よって第2検出モードの前に第1検出を行なうことは、より確実に回転検出を行なうために有効な技術であることが知られている。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)
以下、図を用いて従来の技術を説明する。図17は従来の電子時計の回路構成を示すブロック線図、図18は従来の電子時計の回路が発生するパルス波形図、図19はロータが回転出来た場合のコイルに発生する電流波形および電圧波形図、図20はロータが回転出来なかった場合のコイルに発生する電流波形および電圧波形図の一例である。
図17において、20はコイル9とロータ10より構成されたステップモータ、1は発振回路、2は分周回路、3は通常駆動パルス発生回路であり、通常駆動パルス発生回路3は、分周回路2の信号を基に図18(a)に示す如き5ms幅で1msごとに通常駆動パルスSPを正秒毎に出力する。14は通常駆動パルス選択回路であり、後述する第1検出モード判定回路12および第2検出モード判定回路13の判定結果に基づいて複数の実効電力の異なる通常駆動パルスを発生することができる通常駆動パルス発生回路3から1つの通常駆動パルスを発生するように制御する。ここでロータ10の回転検出信号が発生せず回転失敗と判定された場合、通常駆動パルス選択回路14より図18(a)に示す如き前回よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2に切り替えて出力する。4は補正駆動パルス発生回路であり、分周回路2の信号を基に図18(d)に示す如き10
msの補正駆動パルスFPを出力する。この補正駆動パルスFPは、ロータ10の回転検出信号が発生せず回転失敗と判定された場合に、正秒よりも32ms経過後に出力が行なわれる。
5は第1検出パルス発生回路であり、分周回路2の信号を基に第1検出モードで用いる検出パルスB6〜B12を出力する。検出パルスB6〜B12は図18(b)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、正秒より6ms後から12msまで1ms毎に出力している。6は第2検出パルス発生回路であり、分周回路2の信号を基に第2検出モードで用いる検出パルスF8〜F18を出力する。検出パルスF8〜F18は図18(c)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、正秒より8ms後から18msまで1ms毎に出力している。
7はパルス群選択回路であり、補正駆動パルス発生回路4、第1検出パルス発生回路5、第2検出パルス発生回路6、通常駆動パルス選択回路14から出力される信号を後述する第1検出モード判定回路12及び第2検出モード判定回路13の判定結果に基づいて選択出力する。8はドライバ回路であり、パルス選択回路7の信号をコイル9に出力し、ロータ10を回転駆動させるとともに回転検出の制御を行なう。ドライバ回路8はそれぞれのパルスを1秒毎に交互に端子O1、端子O2から出力する。11は検出回路であり、コイル9に発生する誘起電圧を検出する。12は検出回路11の検出信号を基に第1検出モードの判定を行なう第1検出モード判定回路であり、13は検出回路11の検出信号を基に第2検出モードの判定を行なう第2検出モード判定回路である。
なお検出パルスB6〜B12は通常駆動パルスSPを出力したのと反対側の端子に出力され、コイル9を含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータ10の自由振動によって発生した逆起電圧を増幅して検出回路11によって検出するものである。また検出パルスF8〜F18は通常駆動パルスSPを出力したのと同じ側の端子に出力され、コイル9を含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータ10の自由振動によって発生した逆起電圧を増幅して検出回路11によって検出するものである。
続いて上記構成の動作について説明する。パルス群選択回路7は、正秒の時点で通常駆動パルス選択回路14から出力される通常駆動パルスSPを選択してステップモータ20を駆動する。そして正秒から6ms後に第1検出モードが開始される。第1検出モードではパルス選択回路7は第1検出パルス発生回路5から出力される検出パルスB6〜B12を選択して出力し、コイル9のインピーダンスを変化させるようステップモータ20を制御する。そして検出回路11は検出パルスB6〜B12によってコイル9に発生する誘起電圧の検出を行なう。その一方で、パルス群選択回路7は第1検出モード判定回路12に対して判定動作を開始するよう指示する。第1検出モード判定回路12は、検出回路11からの検出信号の入力回数によって第1検出モードでの検出信号の有無の判定を行なうものであり、検出回路11の検出信号が2回発生された場合に検出と判定され、直ちに第1検出パルス発生回路5から出力される検出パルスを停止し第1検出モードの動作を終了するとともに補正駆動パルスFPを発生しないようにパルス選択回路7へ通知し、第2検出モード判定回路13の動作の開始を指示することにより第2検出モードに移行する。ただし検出パルスB6〜B12によって検出信号がひとつも発生しないか、またはひとつしか発生しない場合は回転失敗と判定して第1検出モードの動作を終了するとともに第2検出モードに移行せず、補正駆動パルスFPが出力され、次の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から前回よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力する。
第2検出モードでは、パルス群選択回路7は第2検出パルス発生回路6の発生する検出
パルスF8〜F18を選択して出力しステップモータ20の制御を行なう。そして検出回路11は検出パルスF8〜F18によってコイル9に発生する誘起電圧の検出を行なう。第2検出モード判定回路13は検出回路11の検出信号を受けて、検出信号が2回発生した場合は回転成功と判定して直ちに第2検出パルス発生回路6から出力される検出パルスを停止し第2検出モードの動作を終了するとともに、補正駆動パルスFPを出力しないようにパルス群選択回路7を制御する。ただし、検出パルスF8〜F18によって発生する検出信号は最大7回の検出をもって終了し、その間に検出信号がひとつも発生しないか、または1つしか発生しない場合は回転失敗と判定して補正駆動パルスFPが出力され、次の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から前回よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力する。
上記の動作での実際の回転検出の方法について図19及び図18の波形図を用いて説明する。先ずロータ10が正常に回転した場合について説明する。図19(a)はロータ10が回転した場合のコイル9に誘導される電流波形であり、図19(b)は第2検出モードでコイル9の一方の端子O1に発生する電圧波形、図19(c)は第1検出モードでコイル9の他方の端子O2に発生する電圧波形である。なお、端子O1とO2の発生波形は1秒ごとに位相が逆になる交番パルスとなる。
まず図18(a)に示す通常駆動パルスSPがコイル9の一端O1に加えられ、ロータ10が回転する。このときの電流波形が図19(a)の波形c1である。通常駆動パルスSPが終了するとロータ10は自由振動状態となり、電流波形はc2、c3、c4に示す誘導電流波形となる。6msの時点で第1検出モードが開始され、図18(b)に示す検出パルスB6がコイル9に印加される。図19(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図19(c)示すように検出パルスB6によって生じる誘起電圧V6は検出回路のしきい値Vth(以下単にしきい値Vthと称する)を超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図19(c)示すように検出パルスB7によって生じる誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、検出パルスB8によって生じる誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V8の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの検出パルス、即ち図18(c)に示す9msの時点での検出パルスF9がコイル9に印加される。図19(a)に示すように9msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため図19(b)示すように検出パルスF9によって生じる誘起電圧V9はしきい値Vthを超えることはない。さらに検出パルスF10、F11、F12によって生じる誘起電圧V10、V11、V12においても電流波形c3の領域にあるため、しきい値Vthを超えることはない。しかし13msになると電流波形は図19(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、図19(b)示すように検出パルスF13、F14によって生じる誘起電圧V13、V14はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V13、V14の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路13は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されず、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力する。
続いてロータ10が回転出来なかった場合について図18及び図20の波形図を用いて説明する。図20(a)はドライバ回路8の動作電圧が下がるなどしてステップモータ20の駆動力が低下してロータ10が回転出来なかった場合のコイル9に誘導される電流波形であり、図20(b)はこのときにコイル9の一方の端子O1に発生する電圧波形、図20(c)はコイル9の他方の端子O2に発生する電圧波形である。
回転出来なかった場合のコイルに発生する電流波形は、図20(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1までは前述の回転出来た場合とほぼ同様の電流波形を示すが、その後の電流波形は電流波形c2、c5、c6に示すような電流波形となる。回転出来なかった場合のコイル9に発生する電流波形は回転出来たときと比較して電流波形c5に示すように長くなだらかな波形となる。回転検出の方法は回転出来なかった場合でも同様である。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図20(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図20(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c5の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図20(c)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8msでも電流波形は電流波形c5の領域にあり、誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V8と二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの検出パルス、即ち図20(c)に示す9msの時点での検出パルスF9がコイル9に印加される。図20(a)に示すように9msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図20(b)に示すように誘起電圧V9はしきい値Vthを超えることはない。また検出パルスF10〜F14によって生じる誘起電圧V10〜V14においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。さらに第2検出モードで7回目の検出である検出パルスF15によって生じる誘起電圧V15においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。よって誘起電圧V9からV15までの7回の検出期間内でしきい値を超えている検出信号が検出されないことになる。よって第2検出モード判定回路13は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ20を駆動しロータ10を確実に回転させる。以上のようにして回転、非回転の検出を行ない、回転出来なかった場合に適切に補正駆動パルスFPを出力することができ、次の通常駆動パルス出力時には前回よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力することができる。
また、比較的弱く駆動された場合、ロータがちょうど磁気ポテンシャル山の頂上で止まってしまう場合が稀にある。即ち、回転できず、回転前の静止位置に戻ることもないので、回転による自由振動が発生せず、図19に示すようなc3やc4の波形あるいは図20に示すようなc5やc6の波形が現れることはない。よって第1検出モードで検出パルスB6〜B12によって生じる誘起電圧V6〜V12がしきい値Vthを超えることはないため、検出期間内でしきい値を超えている検出信号が検出されず、第2検出モードに切り換わることがない。よって第1検出モード判定回路12は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ20を駆動しロータ10を確実に回転させるとともに、次の通常駆動パルス出力時には前回よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力する。
このようにステップモータ20が正常に回転しない場合は、十分に大きな実効電力の補正駆動パルスを出力することによってステップモータ20を確実に回転させるとともに通常駆動パルスの実効電力を増加し、ステップモータ20をできるだけ低い電力で駆動できるようにしている。
特開平7−120567号公報(段落0028〜0033、図7)
特公平8−33457号公報(第4頁第7欄第40行目〜第5頁第10欄第5行目、第7図〜第13図)
まず本発明の概要についてフローチャート図を用いて説明する。図1は本発明の電子時計におけるロータ回転検出方法の概念を示すフローチャート図であり、正秒毎に実施される通常駆動パルスの発生からロータの回転検出判定および補正駆動パルス発生制御までの動作を表したものである。正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され(ステップST1)、通常駆動パルスSP終了後一定期間後、即ち正秒から6ms後に第1検出モードが開始される(ステップST2)。第1検出モードにおいて、検出信号が検出されるかどうか判定し(ステップST3)、検出信号が発生された場合は直ちに第2検出モードが開始される(ステップST4)。従来例で示したように検出信号が検出されない場合は回転失敗と判定し(ステップST5)、1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力する(ステップST6)。第2検出モードに移行した場合、所定期間内で検出信号が検出されるかどうかを判定する(ステップST7)。そして所定期間内で検出信号が検出された場合は回転成功と判定し(ステップST8)、所定期間内で検出信号が検出されない場合は回転失敗と判定する(ステップST9)。そして回転失敗と判定された場合、その回転失敗と判定された回数をカウントし(ステップST10)、所定回数と一致した場合、通常駆動パルスのランクを変更し(ステップST11)、所定回数に満たない場合、ランクの変更は行わず、次の運針も前回と駆動力の同じ通常駆動パルスを出力する(ステップST12)。これにより当該秒の動作を完了し次の正秒を待って再び先頭から開始する。
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて詳述する。第1の実施の形態は、第2検出モードにおいて所定期間内で検出信号が検出されない場合は回転失敗と判定し、その回転失敗と判定された検出回数をカウントし、ロータ10の非回転を所定回数以上検出したことに基づいて、通常駆動パルスの実効電力のランクを増加させる例である。図2は
本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図、図18は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルス波形図(従来例と同一の図面である)、図6は本発明の第1の実施の形態の電子時計のタイムチャート、図3および図4は本発明の第1の実施の形態の電子時計に慣性モーメントの大きな針を付けた場合にコイルに発生する電流波形および電圧波形図、図5は本発明の第1の実施の形態の電子時計のロータがドライバ回路8の動作電圧が下がるなどしてステップモータの駆動力が低下して回転出来なかったときの電流波形および電圧波形図の一例である。なお従来例で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図2において、20はコイル9とロータ10より構成されたステップモータ、1は発振回路、2は分周回路、3は通常駆動パルス発生回路、4は補正駆動パルス発生回路、5は第1検出パルス発生回路であり、分周回路2の信号を基に第1検出モードで用いる検出パルスB6〜B12を出力する。検出パルスB6〜B12は図18(b)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、正秒より6ms後から12msまで1ms毎に出力している。6は第2検出パルス発生回路であり、分周回路2の信号を基に第2検出モードで用いる検出パルスF8〜F19を出力する。検出パルスF8〜F19は図18(c)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、正秒より8ms後から19msまで1ms毎に出力している。
7はパルス群選択回路、8はドライバ回路、9はコイル、10はロータ、11は検出回路、12は検出回路11の検出信号を基に第1検出モードの判定を行なう第1検出モード判定回路、13は検出回路11の検出信号を基に第2検出モードの判定を行なう第2検出モード判定回路、14は通常駆動パルス選択回路であり、通常駆動パルス発生回路3で発生する実効電力の異なる複数の通常駆動パルスから1つの通常駆動パルスを、後述する非回転カウンタ回路15の検出信号に基づいて選択し、出力する。後述する非回転カウンタ回路15の検出信号に基づいて複数の実効電力の異なる通常駆動パルスを発生することができる通常駆動パルス発生回路3から1つの通常駆動パルスを発生するように制御する。すなわち、通常駆動パルス選択回路14は、駆動パルスの実効電力を変更するように通常駆動パルス発生回路3を制御する駆動パルス制御手段である。15は非回転カウンタ回路であり、第2検出モード判定回路でロータ10が非回転と判定された回数をカウントする。
続いて上記構成の動作について説明する。正秒の時点で通常駆動パルス発生回路3から出力される通常駆動パルスSPを通常駆動パルス選択回路14が選択してパルス群選択回路7を介してドライバ回路8に出力し、ステップモータ20を駆動する。そして正秒から6ms後に第1検出モードが開始される。第1検出モードではパルス群選択回路7は第1検出パルス発生回路5から出力される検出パルスB6〜B12を出力し、コイル9のインピーダンスを変化させるようステップモータ20を制御する。そして検出回路11は検出パルスB6〜B12によってコイル9に発生する誘起電圧の検出を行ない、しきい値Vthを超える誘起電圧を検出すると検出信号を出力する。その一方で、パルス群選択回路7は第1検出モード判定回路12に対して判定動作を開始するよう指示する。第1検出モード判定回路12は、検出回路11からの検出信号の入力によって第1検出モードでの検出信号の有無の判定を行なうものであり、検出回路11から検出信号が2回発生された場合に検出と判定され、直ちに第1検出パルス発生回路5から出力される検出パルスを停止し、第1検出モードの動作を終了するとともに補正駆動パルスFPを発生しないようにパルス選択回路7へ通知し、第2検出モード判定回路13の動作の開始を指示することにより第2検出モードに移行する。ただし検出パルスB6〜B12によって検出信号がひとつも発生しないか、またはひとつしか発生しない場合は回転失敗と判定して第1検出モードの動作を終了するとともに第2検出モードに移行せず、補正駆動パルスFPが出力され、次の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から前回よりも1ランク大きな
駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力する。
第2検出モードに移行すると、パルス群選択回路7は第2検出パルス発生回路6から出力される検出パルスF8〜F18を選択して出力しステップモータ20の制御を行なう。そして検出回路11は検出パルスによってコイル9に発生する誘起電圧の検出を行ない、しきい値Vthを超える誘起電圧を検出すると検出信号を出力する。第2検出モード判定回路13は検出回路11の検出信号を受けて、検出信号が2回発生した場合は回転成功と判定して直ちに第2検出パルス発生回路6から出力される検出パルスを停止し第2検出モードの動作を停止するとともに、補正駆動パルスFPを出力しないようにパルス群選択回路7を制御する。ただし検出パルスF8〜F18によって発生する検出信号は最大7回の検出をもって終了し、その間に検出信号がひとつも発生しない場合は回転失敗と判定して補正駆動パルスFPを出力する。そして、2秒間を一つのサイクルとして、非回転カウンタ回路15で回転失敗と判定された回数が2秒間に2回の場合、2秒後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14が通常駆動パルス発生回路3を制御し、2秒前よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力して通常駆動パルスの実効電力を増大させ、回転失敗と判定された回数が2秒間に1回の場合、2秒後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から2秒前と同じ駆動力を有する通常駆動パルスSPを出力する。
言い換えると、正秒から6秒経過した時点から、第1検出モード判定回路12が検出信号を2回出力して、第1検出モードの動作を終了するまでの期間を第1の期間とし、この第1の期間に、第1検出パルス発生回路5,パルス群選択回路7,検出回路11,第1検出モード判定回路12によって構成される第1検出手段によりロータ10の回転および非回転を検出している。また、第2検出モードの開始から第2検出モード判定回路13が検出回路11の検出信号を2回受けるか、7回の検出パルスが出力されるまでの期間を第2の期間とし、この第2の期間に、第2検出パルス発生回路6,パルス群選択回路7,検出回路11,第2検出モード判定回路13によって構成される第1検出手段によりロータ10の回転及び非回転を検出している。このように、第1検出手段と第2検出手段によって、通常駆動パルス発生回路3から通常駆動パルスが出力された後に、ロータ10の回転及び非回転を検出している。そして、2秒間を所定の検出期間として、第2検出手段によって検出したロータ10の非回転の回数が、この所定の検出期間に所定回数である2回になると通常駆動パルスの実効電力を増大させる。
実際の回転検出から上記の制御動作について詳述する。図3は第1の実施の形態の電子時計に慣性モーメントの大きな針を付けた場合のロータ10が通常駆動パルスSPで正常に回転出来た時の電流波形および電圧波形図である。図4は第1の実施の形態の電子時計に慣性モーメントの大きな針を付けた場合のロータ10が通常駆動パルスSPで回転できる駆動力があるにもかかわらず、誤判定によって回転失敗と判定された時の電流波形および電圧波形図である。図3(a)および図4(a)は慣性モーメントの大きな針を付けた場合のコイル9に誘導される電流波形であり、図3(b)および図4(b)はこのときにコイル9の一方の端子O1に発生する電圧波形、図3(c)および図4(c)はコイル9の他方の端子O2に発生する電圧波形である。
通常、慣性モーメントの大きな針を付けた場合には図3(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1に続いて誘導電流波形c2、c3、cx、cy、c4に示す波形形状となる。従来例図19(a)に示した電流波形に比べると電流波形c3とc4がつぶれた状態になり、新たに段付き状の電流波形cx、cyが発生する。電流波形cx、cyはロータ10の自由振動が秒針の慣性モーメントによって制約を受けるために生ずる。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図3(a)に示すように6ms、7ms
では電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図3(c)に示すように誘起電圧V6、V7はしきい値Vthを超えることはない。しかし8msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図3(c)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に9msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V9はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V8、V9の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V9によって第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち10msの時点での検出パルスF10がコイル9に印加される。図3(a)に示すように10msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図3(b)に示すように誘起電圧V10はしきい値Vthを超えることはない。同様に誘起電圧V11においても電流波形c3の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。しかし12msになると電流波形は電流波形cxの領域になり、電流値は負方向に変わる。よって図3(b)に示すように誘起電圧V12はしきい値Vthを超えた検出信号となる。13msで電流波形cyの領域になるが、電流値は正方向に変わり、検出パルスF13によって生じる誘起電圧V13はしきい値Vthを超えることはない。しかし14msになると、電流波形は電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わる。よって図3(b)に示すように誘起電圧V14はしきい値Vthを超えた検出信号となる。検出パルスF12、F14によって生じる誘起電圧V12、V14はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V12、V14の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路13は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
ところが慣性モーメントの大きな針を付けた場合、ロータ10の回転が秒針の大きな慣性によって乱され、図4のような電流波形が6秒間に1回程度、発生することがある。即ち、電流波形c1に続いて誘導電流波形c2、c3、cy、c4に示す波形形状が発生する。図3(a)に示した電流波形に比べると電流波形cxが消えてしまい、段付き状の電流波形cyだけが発生する。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図4(a)に示すように6ms、7msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図4(c)に示すように誘起電圧V6、V7はしきい値Vthを超えることはない。しかし8msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図4(c)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に9msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V9はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V8、V9の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V9によって第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち10msの時点での検出パルスF10がコイル9に印加される。図4(a)に示すように10msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図4(b)に示すように誘起電圧V10はしきい値Vthを超えることはない。同様に誘起電圧V11においても電流波形c3の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。12msになると電流波形は電流波形cyの領域になるが、電流値は正方向のままであり、誘起電圧V12はしきい値Vthを超えることはない。同様に誘起電圧V13においても電流波形cyの領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。14msになると、電流波形は電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わる。よって図4(b)に示すように誘起電圧V14はしきい値Vthを超えた検出信号となる。しかし、誘起電圧V10から誘起電圧V16までの7回の検出期間内でしきい値を超えている検出信号が2回検出されないことになり、第2検出モード判定回路13は回転失敗と判定し、パル
ス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択して出力することになる。即ち、回転出来ているにもかかわらず、誤判定によって補正駆動パルスFPが出力され、同時に非回転検出後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から非回転検出前よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力してしまう。
上記問題を解決するために第2検出モードの回転検出の判定回数を2回から1回に変更するという対策が考えられる。しかし下記のような別の問題が生じるためこの対策を採用することは出来ない。この問題について図5に基づいて説明する。図5は図20よりもさらにステップモータ20の駆動力が弱くなりロータ10が回転出来なかった場合の波形図である。図5(a)はロータ10が回転出来なかったときにコイル9に誘導される電流波形であり、図5(b)はこのときにコイル9の一方の端子O1に発生する電圧波形、図5(c)はコイル9の他方の端子O2に発生する電圧波形である。
駆動力がさらに弱くなり回転出来なかった場合のコイルに発生する電流波形は図5(a)に示すようになる。すなわち電流波形c1に続いて電流波形c5、c6に示す電流波形となる。図20(a)の電流波形に比較して電流波形c2が現れず、電流波形c1に続いて電流波形c5が現れ、電流波形c5は早い時点で終了し、電流波形c6が現れる電流波形となる。このような電流波形の場合に第2検出モードの回転検出の判定回数を単に2回から1回に変更した判定を行なうと以下のようになる。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図5(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向であり、図5(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えた検出信号となる。さらに7msでも電流波形は電流波形c5の領域にあり、誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V6、V7と二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに移行する。
誘起電圧V7により第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち8msの時点での検出パルスF8がコイル9に印加される。図5(a)に示すように8msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向にあるため図5(b)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えることはない。さらに誘起電圧V9〜V13おいても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。しかし第2検出モードで7回目の検出となる14msでは電流波形は図5(a)に示すように電流波形c6の領域になり、電流値は負方向に変わる。よって図5(b)に示すように誘起電圧V14はしきい値Vthを超えた検出信号となってしまう。このとき第2検出モード判定回路13は回転出来ていないにもかかわらず回転成功と誤判定してしまい、パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択して出力しないため、ロータ10が回転しないことになる。以上のように単純に第2検出モードの回転検出の判定回数を2回から1回に変更すると、ステップモータが止まってしまい時刻遅れを生ずるという電子時計にとって致命的な問題を発生してしまう。
そこで本発明では最小の実効電力で駆動するために第2検出モード判定回路13が回転失敗と判定した場合、パルス選択回路7は確実に回転を行なうために補正駆動パルスFPを選択して出力するが、次の通常駆動パルス出力時には図6(a)のタイミングチャートに示すように前回と同じ駆動力の通常駆動パルスを出力することでランクアップによる必要以上の駆動力による消電増加を防ぐこととした。
しかしながら図20の電流波形に示すようにドライバ回路8の動作電圧が下がるなどしてステップモータ20の駆動力が低下してくると図6(b)のタイミングチャートに示すように第2検出モード判定回路13が回転失敗と判定する回数が増え、補正駆動パルスFPを頻繁に出力するようになる。補正駆動パルスFPはステップモータ20を確実に駆動
するため消費電流も大きなパルスとなっている。そのため補正駆動パルスを頻繁に出力しないように通常駆動パルスのランクを増大して最小の駆動力のランクを出力する必要性がある。そこで図6(b)に示すように、第2検出モード判定回路13によって、期間t1−t2及び期間t2−t3ともに回転失敗と判定され、非回転カウンタ回路15において回転失敗と判定された回数が2秒間に2回の場合、2秒後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から2秒前よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力し、第2検出モード判定回路13によって、回転失敗と判定された回数が図6(a)に示すように、期間t1−t2は回転成功と判定され、期間t2−t3は回転失敗と判定され、非回転カウンタ回路15において回転失敗と判定された回数が2秒間に1回の場合、2秒後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から2秒前と同じ駆動力を有する通常駆動パルスSPを出力することとした。これにより秒針などに慣性モーメントの大きな指針を使用した場合の誤判定やドライバ回路8の動作電圧が下がった場合などによるステップモータ20の駆動力の低下に対応でき、補正駆動パルスFPが無駄に出力され、消費電流が増えてしまうことはない。
以上の動作をフローチャート図を用いて説明する。図7は第1の実施の形態の電子時計におけるロータ回転検出方法を示すフローチャート図で、正秒毎の動作を示したものである。なお、フローチャート内のステップ番号(ST*)は、図1との対応付けのため、図1と同じにしてある。正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され(ステップST1)、正秒から6ms後に第1検出モードが開始される(ステップST2)。第1検出モードにおいて、検出信号が検出されるかどうか判定し終了後(ステップST3)、検出信号が2回発生された場合は直ちに第2検出モードが開始される(ステップST4)。従来例で示したように検出信号が1回あるいは発生しない場合は回転失敗と判定し(ステップST5)、1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力する(ステップST6)。第2検出モードに移行した場合、最大検出回数7回以内に検出信号が2回検出されるかどうかを判定する(ステップST7)、そして最大検出回数7回以内で検出信号が2回検出された場合は回転成功と判定し(ステップST8)、最大検出回数7回以内で検出信号が2回検出されない場合は回転失敗と判定する(ステップST9)。そして回転失敗と判定された場合、その回転失敗と判定された回数をカウントし(ステップST10)、2秒間に2回、回転失敗と判定された場合、通常駆動パルスを1ランクアップし(ステップS11)。2秒間に1回、回転失敗と判定された場合、ランクの変更は行わず、次の運針も前回と駆動力の同じ通常駆動パルスを出力する(ステップST12)。
今回2秒間を1サイクルとして非回転が2回検出された場合は、1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力したが、ロータ10の負荷状況に応じて例えば、4秒間を1サイクルとして非回転が3回検出された場合は2ランク、非回転が4回検出された場合は3ランクというように、ロータの非回転の回数を検出するための所定の検出期間にロータの非回転を検出した回数に応じて通常駆動パルスの電力を増大させ、一度に大きな駆動力を有する通常駆動パルスにランクを変更してもよい。また、ロータ10の非回転を検出したとき、非回転となった通常駆動パルスを出力した正秒のタイミングから始まる所定期間、例えば4秒間を、ロータの非回転の回数を検出するための所定の検出期間としても良い。
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて詳述する。第2の実施の形態は、第2検出モードにおいて所定期間内で検出信号が検出されない場合は回転失敗と判定し、ロータ10の非回転を連続して検出したことに基づいて、通常駆動パルスの実効電力のランクを増加させる例である。図2は第2の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図(第1の実施の形態と同一の図面である)、図18は第2の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルス波形図(従来例と同一の図面である)、図9は第2の実施の形態の電子時計のタイムチャート、図20は第2の実施の形態の電子時計にカレンダ負荷が作用
した場合のコイルに発生する電流波形および電圧波形図(従来例と同一の図面である)、図8は第2の実施の形態の電子時計にカレンダ負荷が作用している時に、図20に比べて通常駆動パルスの実効電力を増大させた場合のコイルに発生する電流波形および電圧波形図である。なお従来例で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
第2の実施の形態のブロック線図は、図2に示した第1の実施の形態のブロック線図と同一であり、通常駆動パルス選択回路14の動作だけが異なる。第2の実施の形態では、非回転カウンタ回路15において回転失敗と2回連続してカウントされた場合、カウント直後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力する。次に継続して回転失敗と3回以上連続してカウントされた場合は、カウント直後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14から最大の駆動力を有する通常駆動パルスを出力する。このように、ロータの非回転を連続して検出した場合に、非回転の連続回数に応じて、通常駆動パルスの実効電力を増大させる量を調整する。また回転失敗とカウントされた回数が1回の場合、通常駆動パルス選択回路14から非回転検出前と同じ駆動力を有する通常駆動パルスSPを出力する。
実際の回転検出から上記の制御動作について詳述する。図20は第2の実施の形態の電子時計にカレンダ負荷が作用した場合のロータ10が通常駆動パルスSPで駆動力不足のため回転できなかった時の電流波形および電圧波形図である(従来例と同一の図面である)。図8は第2の実施の形態の電子時計にカレンダ負荷が作用した場合のロータ10が、駆動力を増大した通常駆動パルスにより正常に回転できた時の電流波形および電圧波形図である。図20(a)および図8(a)はカレンダ負荷が作用した場合のコイル9に誘導される電流波形であり、図20(b)および図8(b)はこのときにコイル9の一方の端子O1に発生する電圧波形、図20(c)および図8(c)はコイル9の他方の端子O2に発生する電圧波形である。
通常、カレンダによる負荷が作用してロータが回転できなかった場合には電流波形が図20(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1までは従来例の図19(a)の回転出来た場合とほぼ同様の電流波形を示すが、その後の電流波形は電流波形c2、c5、c6に示すような電流波形となる。従来例図19(a)に示した電流波形に比べると電流波形c5に示すように長くなだらかな波形となる。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図20(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図20(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c5の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図20(c)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8msでも電流波形は電流波形c5の領域にあり、誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V8と二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの検出パルス、即ち図20(b)に示す9msの時点での検出パルスF9がコイル9に印加される。図20(a)に示すように9msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図20(b)に示すように誘起電圧V9はしきい値Vthを超えることはない。また検出パルスF10〜F14によって生じる誘起電圧V10〜V14においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。さらに第2検出モードで7回目の検出である検出パルスF15によって生じる誘起電圧V15においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。よって誘起電圧V9からV15までの7回の検出期間内でしきい値を超えている検出信号が検出されないことになる
。よって第2検出モード判定回路13は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ20を駆動しロータ10を確実に回転させる。
この補正駆動パルスFPはステップモータ20を確実に駆動するため消費電流も大きなパルスとなっている。カレンダ作動により急激な負荷が作用し続けると、ロータ10が通常駆動パルスで安定して回転できるまで何度もランクアップを繰り返すことになる。即ちランクアップを繰り返している間、パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択して出力し続けるため、消費電流が増大し電池寿命が大幅に減少してしまう。第2の実施の形態では、後述するように、補正駆動パルスFPの連続発生を防ぐように動作する。
次にカレンダ負荷が作用している時に、通常駆動パルス選択回路14から最大の駆動力を有する通常駆動パルスを出力し実効電力を増大させ、ロータが回転した場合は図8(a)に示すような電流波形になる。電流波形c1に続いて誘導電流波形c2、c3、c4に示す波形形状となる。図19(a)に示した電流波形に比べると電流波形c1は滑らかな形状になり、電流波形c3、c4は若干つぶれた波形になる。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、図18(b)に示す検出パルスB6がコイル9に印加される。図8(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図8(c)示すように検出パルスB6によって生じる誘起電圧V6は検出回路のしきい値Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図8(c)示すように検出パルスB7によって生じる誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、検出パルスB8によって生じる誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V8の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの検出パルス、即ち図18(c)に示す9msの時点での検出パルスF9がコイル9に印加される。図8(a)に示すように9msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため図8(b)示すように検出パルスF9によって生じる誘起電圧V9はしきい値Vthを超えることはない。さらに検出パルスF10、F11、F12によって生じる誘起電圧V10、V11、V12においても電流波形c3の領域にあるため、しきい値Vthを超えることはない。しかし13msになると電流波形は図8(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、図8(b)示すように検出パルスF13、F14によって生じる誘起電圧V13、V14はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V13、V14の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路13は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されることはない。
第2の実施の形態では、カレンダ負荷が作用した瞬間、できるだけ最小の実効電力で駆動するために第2検出モード判定回路13が2回連続して回転失敗と判定した場合は、通常駆動パルス選択回路14から1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力する。例えば、図9(b)に示すように、期間t3−t4と期間t4−t5で、通常駆動パルスSP1によって連続して回転失敗と判断した時点で、期間t5−t6で1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を出力する。そして、期間t5−t6でも回転失敗と判断することにより、3回連続して回転失敗と判定した場合は、図9(b)のタイミングチャートに示すようにカレンダ等による負荷が増大したと判断し、通常駆動パルス選択回路14から一気に最大ランクの駆動力を有する通常駆動パルスSP3を出力するように3ランクアップさせることによって補正駆動パルスFPの連続発生を防ぎ、消電電流増大を抑える。
第2検出モード判定回路13が回転失敗と判定した回数が1回の場合は、第1の実施の形態で述べたように誤判定の可能性もあるため、次の通常駆動パルス出力時には非回転検出前と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力することでランクアップによる必要以上の駆動力による消電増加を防ぐこととした。
例えば、図9(a)に示すように、期間t2−t3で、第2検出モード判定回路13が1回だけ回転失敗と判定しても、次の期間t3−t4では、非回転検出前と同じ駆動力の駆動パルスSPを出力する。
以上の動作をフローチャート図を用いて説明する。図10は第2の実施の形態の電子時計におけるロータ回転検出方法を示すフローチャート図で、正秒毎の動作を示したものである。なお、フローチャート内のステップ番号(ST*)は、図1との対応付けのため、図1と同じにしてある。正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され(ステップST1)、正秒から6ms後に第1検出モードが開始される(ステップST2)。第1検出モードにおいて、検出信号が2回検出されるかどうかを判定し(ステップST3)検出信号が2回発生された場合は直ちに第2検出モードが開始される(ステップST4)。従来例で示したように検出信号が1回あるいは発生しない場合は回転失敗と判定し(ステップST5)、1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力する(ステップST6)。第2検出モードに移行した場合、最大検出回数7回以内に検出信号が2回検出されるかどうかを判定し(ステップST7)、最大検出回数7回以内で検出信号が2回検出された場合(ステップST7で「Y」の場合)は回転成功と判定し(ステップST8)、最大検出回数7回以内で検出信号が2回検出されない場合(ステップST7で「N」の場合)は回転失敗と判定する(ステップST9)。そして回転失敗と判定された場合、その回転失敗と判定された回数をカウントし、回転失敗と判定された回数が1回の場合、(ステップST10で「N」の場合)ランクの変更は行わず、次の運針も前回と駆動力の同じ通常駆動パルスを出力する。(ステップST11)2回連続して回転失敗と判定された場合は(ステップ10で「Y」でステップST12で「N」の場合)、動作電圧が下がりステップモータの駆動力が低下したと判断し、いったん1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力するが、(ステップST13)さらにその1ランクアップした駆動力でも回転できず、3回連続して回転失敗と判定された場合(ステップST12で「Y」の場合)、カレンダ等の急激な負荷が作用したと判断し通常駆動パルスを一気に最大の駆動力を有するランクに移行する(ステップST14)。
次に、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて詳述する。第3の実施の形態は、第2検出モードにおいて所定期間内で検出信号が検出されない場合は回転失敗と判定し、ロータ10の非回転を所定の周期で検出したことに基づいて、通常駆動パルスの実効電力のランクを制御しない例である。図2は第3の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図(第1の実施の形態と同一の図面である)、図18は第3の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルス波形図(従来例1と同一の図面である)、図15は第3の実施の形態の電子時計のタイムチャート、図11、図13は第3の実施の形態の電子時計に外部から磁場が作用し、端子O1に通常駆動パルスが出力された場合のコイルに発生する電流波形および電圧波形図。図12、図14は第3の実施の形態の電子時計に外部から磁場が作用した瞬間、端子O2に通常駆動パルスが出力された場合のコイルに発生する電流波形および電圧波形図である。なお従来例で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
第3の実施の形態のブロック線図は、図2に示した第1の実施の形態のブロック線図と同一であり、通常駆動パルス選択回路14の動作だけが異なる。第3の実施の形態では、非回転カウンタ回路15において端子O1側と端子O2側で回転と回転失敗が交互にカウントされた場合、カウント直後の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス選択回路14からカウント前と同じ通常駆動パルスを出力し、端子O1側と端子O2側で両方とも回転
失敗と判定された場合、通常駆動パルス選択回路14からカウント前よりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力する。
実際の回転検出から上記の制御動作について詳述する。
図11は端子O1側から最大ランクの通常駆動パルスSP3が出力され、第3の実施の形態の電子時計に外部から磁場が作用し、ロータ10が正常に回転出来た時の電流波形および電圧波形図である。図12は図11の1秒後の波形であり、端子O2側から最大ランクの通常駆動パルスSP3が出力され、第3の実施の形態の電子時計に外部から磁場が作用し、ロータ10が通常駆動パルスSPで正常に回転出来なかった時の電流波形および電圧波形図である。図13は端子O1側から図11よりも駆動力が低い通常駆動パルスSPが出力され、第3の実施の形態の電子時計に外部から磁場が作用し、ロータ10が通常駆動パルスSPで正常に回転出来た時の電流波形および電圧波形図である。図14は図13の1秒後の波形であり、端子O1側から図12よりも駆動力が低い通常駆動パルスSPが出力され、第3の実施の形態の電子時計に外部から磁場が作用し、ロータ10が通常駆動パルスSPで正常に回転出来なかった時の電流波形および電圧波形図である。
図11(a)、図12(a)、図13(a)および図14(a)はカレンダ負荷が作用した場合のコイル9に誘導される電流波形であり、図11(b)、図12(b)、図13(b)および図14(b)はこのときにコイル9の一方の端子O1に発生する電圧波形、図11(c)、図12(c)、図13(c)および図14(c)はコイル9の他方の端子O2に発生する電圧波形である。
通常、外部から磁界が作用し、端子O1側から最大ランクの通常駆動パルスSP3が出力され、ロータが回転した場合の電流波形が図11(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1に続いて誘導電流波形c3、c4に示す波形形状となる。従来例の図19(a)に示した電流波形に比べるとロータの静止位置のズレに伴って電流波形c3が前にずれた状態になる。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図11(a)に示すように6msでは電流波形はすでに電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向である。よって図11(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に7msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V6、V7と二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに移行する。
誘起電圧V7によって第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち8msの時点での検出パルスF8がコイル9に印加される。図11(a)に示すように8msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図11(b)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えることはない。しかし9msになると電流波形は電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わる。よって図11(b)に示すように誘起電圧V9はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に10msでも電流波形は電流波形c4の領域にあり、誘起電圧V10はしきい値Vthを超えた検出信号となる。検出パルスF9、F10によって生じる誘起電圧V9、V10はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V9、V10の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路13は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また通常、外部から磁界が作用し、端子O2側から最大ランクの通常駆動パルスSP3が出力され、ロータが回転しなかった場合の電流波形が図12(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1に続いて誘導電流波形c2、c5、c6に示す波形形状となる。図20(a)に示した電流波形に比べると電流波形c5が早い時点で終了する波形となる。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モー
ドが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図12(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図12(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c5の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図12(c)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8msでも電流波形は電流波形c5の領域にあり、誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V8の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち9msの時点での検出パルスF9がコイル9に印加される。図12(a)に示すように9msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図12(b)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えることはない。また検出パルスF10〜F14によって生じる誘起電圧V10〜V14においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。さらに第2検出モードで7回目の検出である検出パルスF15によって生じる誘起電圧V15においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。よって誘起電圧V9からV15までの7回の検出期間内でしきい値を超えている検出信号が検出されないことになる。よって第2検出モード判定回路13は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ20を駆動し、ロータを確実に回転させる。このように外部から磁場が作用した場合、通常駆動パルスが最大ランクであってもロータ10の静的安定位置のズレが大きいため、端子O1側と端子O2側で共に回転と非回転を検出してしまう。
次に通常、外部から磁界が作用し、端子O1側から図11よりも駆動力が低い通常駆動パルスSPが出力されロータが回転した場合の電流波形が図13(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1に続いて誘導電流波形c2、c3、c4に示す波形形状となる。図11(a)に示した電流波形に比べると電流波形c3が後ろにずれた状態になる。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図13(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図13(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図13(c)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V8の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち9msの時点での検出パルスF9がコイル9に印加される。図13(a)に示すように9msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図13(b)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えることはない。また検出パルスF10によって生じる誘起電圧V10においても電流波形c3の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。しかし11msになると電流波形は図13(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、図13(b)示すように検出パルスF11、F12によって生じる誘起電圧V11、V12はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V11、V12の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路13は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また通常、外部から磁界が作用し、端子O2側から図12よりも駆動力が低い通常駆動パルスSPが出力され、ロータが回転しなかった場合の電流波形が図14(a)に示すような電流波形になる。即ち、電流波形c1に続いて誘導電流波形c5、c6に示す波形形状となる。図12(a)に示した電流波形に比べると電流波形c2が現れず、電流波形c5が前にずれ、さらに早い時点で終了する波形となる。以下この場合の検出動作に付いて説明する。まず、6msの時点で第1検出モードが開始され、検出パルスB6がコイル9に印加される。図14(a)に示すように6msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向であり、図14(c)に示すように誘起電圧V6はしきい値Vthを超えた検出信号となる。さらに7msでも電流波形は電流波形c5の領域にあり、誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V6、V7と二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに移行する。
誘起電圧V7により第2検出モードとなったことにより、次のタイミングの検出パルス、即ち8msの時点での検出パルスF8がコイル9に印加される。図14(a)に示すように8msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向にあるため図14(b)に示すように誘起電圧V8はしきい値Vthを超えることはない。さらに誘起電圧V9〜V11においても電流波形c5の領域にあり、しきい値Vthを超えることはない。第2検出モードで5回目の検出となる12msでは電流波形は図14(a)に示すように電流波形c6の領域になり、電流値は負方向に変わり、V12において一度だけしきい値Vthを超えるが、次の13msはすでにロータ10の自由振動が終了した時点であるため、図14(b)に示すように検出パルスF13によって生じる誘起電圧V13はしきい値Vthを超えることはない。さらに第2検出モードで7回目の検出である検出パルスF14によって生じる誘起電圧V14においてもすでにロータ10の自由振動が終了した時点であるため、しきい値Vthを超えることはない。よって誘起電圧V8からV14までの7回の検出期間内でしきい値を超えている検出信号が1回しか検出されないことになる。よって第2検出モード判定回路13は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果パルス選択回路7は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ20を駆動し、ロータを確実に回転させる。
このように、外部から磁界が作用した場合、ロータは、通常駆動パルスの駆動力を増大させても交互に回転と、非回転を繰り返す。このため、通常駆動パルスの駆動力の増大は、無駄に電力を消費するものである。本発明ではできるだけ最小の実効電力で駆動するために、例えば、図15(b)の期間t1−t2,t3−t4,t5−t6と期間t2−t3,t4−t5,t6−t7のように第2検出モード判定回路13が回転と回転失敗を交互に判定された場合は、外部から磁場等が作用したと判断し、期間t3−t4,t5−t6,t7…のように通常駆動パルスSPを出力し、通常駆動パルスのランクを変更させないようにした。即ち、非回転検出前と同じ駆動力の通常駆動パルスを出力する。これによりランクを固定することによって通常の非回転と判定された場合のランクアップによる消電増加を防ぐことができる。また通常運針時、ドライバ回路8の動作電圧が下がるなどしてステップモータ20の駆動力が低下する場合もあるので、第2検出モード判定回路13が回転失敗を連続して判定された場合、例えば、図15(a)の期間t2−t3〜期間t3−t4で連続して非回転と判断した場合は、次の通常駆動パルス出力時には1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSP2を、期間t4以降で出力することで最小の実効電力で駆動できるようにした。
以上の動作をフローチャート図を用いて説明する。図16は第3の実施の形態の電子時計におけるロータ回転検出方法を示すフローチャート図で、正秒毎の動作を示したものである。なお、フローチャート内のステップ番号(ST*)は、図1との対応付けのため、図1と同じにしてある。正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され(ステップST1)、正秒から6ms後に第1検出モードが開始される(ステップST2)。第1検出
モードにおいて、検出信号が検出されるかどうか判定し終了後(ステップST3)、検出信号が2回発生された場合は直ちに第2検出モードが開始される(ステップST4)。従来例で示したように検出信号が1回あるいは発生しない場合は回転失敗と判定し(ステップST5)、1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力する(ステップST6)。第2検出モードに移行した場合、最大検出回数7回以内に検出信号が2回検出されるかどうかを判定する(ステップST7)、そして最大検出回数7回以内で検出信号が2回検出された場合は回転成功と判定し(ステップST8)、最大検出回数7回以内で検出信号が2回検出されない場合は回転失敗と判定する(ステップST9)。そして回転失敗と判定された場合、その回転失敗と判定された回数をカウントし(ステップST10)、回転と回転失敗を交互に判定された場合、通常駆動パルスのランクを固定し(ステップST11)、回転失敗を連続して判定された場合、通常駆動パルスのランクを変更する。(ステップST12)。
今回、回転と非回転を交互に検出された場合は、検出後の通常駆動パルスのランクを固定し、非回転検出前と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力するようにしたが、回転と非回転を交互に検出する範囲ならば、外部磁場中の消電増加をさらに抑えるため、駆動力の小さなランクに移行するように変更して通常駆動パルスの実効電力を減少させる制御をしてもよい。例えば、衝撃等の外乱が作用した場合やカレンダ等の負荷が作用した直後など、常に最小のエネルギで駆動できるよう、一時的に初期の状態よりも数ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスを出力し続ける。その状態で外部から磁場が作用し、第3の実施の形態で述べたようにランクが固定されてしまうと小さなランクで駆動できるにもかかわらず、パルスの駆動力が増大した状態で運針し続けてしまい無駄に電力を消費してしまう。よって外部から磁場が作用した場合、通常駆動パルスを駆動力の小さなランクに移行することは低消電化につながる。しかしながら回転と非回転を交互に検出した時に通常駆動パルスをすぐに駆動力の小さなランクに移行させると、外部から磁場が作用し、短い期間でその磁場が作用しなくなった場合、駆動力の小さなランクから安定した駆動力で運針できる状態になるまでランクアップを繰り返し、同時に消費電流の大きい補正駆動パルスを連続して出力してしまう。その状態を防止するため、特に多数のランクを有する場合は、
回転と非回転を所定回数検出した後、駆動力の小さなランクに移行するように変更してもよい。
なお、以上の実施の形態ではモータコイルに発生する誘起電圧を用いて回転、非回転検出を行ったが、磁気センサ等を用いてロータの磁極を判別した回転、非回転検出を行っても本発明の効果を得ることは可能である。
なお、以上の実施の形態では、最小の実効電力で駆動するために約256回、同じランクの通常駆動パルスで正常に回転を検出すると一つ下のランクに駆動力を低減するようになっている。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、各実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
例えば、図2に示すブロック図は一例であり、上述した動作を行なうものであれば他の構成を備えていても良い。
なお、電流波形は、ステップモータの電気的特性や駆動パルスの電圧値等によりその波形、すなわち出力レベルや時間的応答が変化するが、実施の形態中の第一検出パルスの判定回数、第二検出パルスの判定回数、第二検出モードの打ち切り回数(第二検出パルスの
出力個数)、閾値Vth等を電流波形に応じて適切な値とすることで、電流波形に依らずに本実施の形態の効果を得ることができる。
また、第1〜第3の実施の形態では、第1検出モード判定回路12と第2検出モード判定回路13の2つの判定回路によって、第1及び第2の検出モードでロータ10の回転および非回転転を検出したが、例えば、第1検出モード判定回路12を設けずに、第2検出モード判定回路13だけで、ロータ10の回転および非回転を検出する電子時計のように、一つの判定回路によって、ロータの回転および非回転を検出する電子時計にも本発明を適用することができる。