JP2009226176A - 歯科用ハンドピースの動力伝達機構 - Google Patents

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武弘 落合
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Abstract

【課題】従来歯科用マイクロモータのハンドピースでは増速、等速、減速ギヤ部が振動、騒音等の原因となっていた。本発明はこれらを解決する動力伝達機構を提供する。
【解決手段】歯科用マイクロモータのハンドピースにおいて回転動力を歯科用切削工具へ伝達するために、外周面にS極とN極が交互に連続する磁性体を有する第1の回転体3と、互いに外周面同士が異極対向による磁力伝達が可能なように接触または非接触で連結し、S極とN極が交互に連続する磁性体を有する第2の回転体4とからなる伝達手段を用いたことを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯科用ハンドピースにおいての動力伝達機構および変速機構に関する。
歯科用のマイクロモータハンドピースはハンドピース部分とモータ部分とから成り着脱自在となっており、モータ部回転軸からの回転力はハンドピース部内部の駆動シャフトに伝達する構造になっている。ハンドピース部分は口腔外での技工作業がし易いように、切削工具を保持するロータ軸と駆動シャフトとが同軸上に配置されたストレートハンドピースと、口腔内での治療が行い易いようにロータ軸と駆動シャフトが鈍角を成したコントラアングルハンドピースとがある。コントラアングルハンドピースの場合は駆動シャフトとロータ軸との間に中間シャフトが設けられており、角度変換用のギヤを介して連結されている。
図4は従来のコントラアングルハンドピースの駆動伝達機構の一例を示す断面図である。図示しないモータ部回転軸はモータ回転軸連結孔20に着脱自在に装着可能となっている。駆動シャフト13はその前端に設けた歯車からなる駆動ギヤ16および中間シャフト14の後端に設けたリヤギヤ17を介して中間シャフト14に鈍角をなして連結されている。また中間シャフト14は、その前端に設けたフロントギヤ18およびロータ軸15に設けたロータギヤ19を介して、ロータ軸15にほぼ直角をなして連結されている。ロータ軸15は中空軸でありその中に切削バーが保持される。
またハンドピース部分は治療内容によって増速、等速、減速と種類があり、着脱交換により変速が可能となっている。増速、等速、減速ギヤ部はコントラアングルハンドピースの場合、傘歯車などのギヤによる接触構造によって夫々異なるギヤ比で伝達され、中間シャフトを経てハンドピース先端のバーを回転する。
さらにまた、切削バーに過負荷が加わった場合には、モータの制御トルク値までハンドピース内部のギヤに負荷が加わる構造になっていた。
特許文献1は高速回転する歯科用のマイクロモータコントラアングルハンドピースにおいて、軸受けと駆動軸との間の摩擦による摩擦熱を減らすために、駆動軸の外周面に潤滑油導入用の螺旋状の溝を刻設されてなることを特徴としたものである。
しかしながら、特許文献1は50,000rpmという高速回転の場合に軸受けと駆動軸の摩擦熱を減らすものであり、ギヤ部から発生する振動、騒音を解決するものではなかった。
特開2005−230422号公報
回転を伝達するギヤ部は噛み合い構造になっているため、ギヤ部のインボリュート結合面で生じる振動、騒音発生や摩耗の原因となっていた。さらにまた切削工具に過剰な負荷が生じた場合でも、モータのトルクを回避することはできないためギヤ部に直接応力が加わり、回転工具の欠損や、誤切削の原因にもなっていた。
そこで、本発明は上記問題に鑑み、次の本発明を提案する。
すなわち歯科用切削工具への回転動力を永久磁石の磁力により連結し、並びに磁極数の比率によって変速比を管理できる歯科用ハンドピースの動力伝達機構を提案する。
請求項1によれば、歯科用マイクロモータのハンドピースにおいて該歯科用マイクロモータの回転動力を歯科用切削工具へ伝達するために、外周面にS極とN極が交互に連続する磁性体を有する第1の回転体と、互いに外周面同士が異極対向による磁力伝達が可能なように接触または非接触で連結し、S極とN極が交互に連続する磁性体を有する第2の回転体とからなる伝達手段を用いたことを特徴としている。
請求項2によれば、請求項1において前記伝達手段は前記第1の回転体と前記第2の回転体が傘歯車状の形状からなり、第1の回転体と第2の回転体の回転軸角度を変えて、互いに傘状の外周面同士が異極対向による磁力伝達が可能に接触または非接触で連結されることを特徴としている。
請求項3によれば、請求項1〜2において、前記第1の回転体と前記第2の回転体の外径を異ならしめ、磁極をほぼ同じ円弧長に設定して、磁極数の比率によって動力を変速可能としたことを特徴としている。
請求項4によれば、請求項1〜3において、前記伝達手段はマイクロモータからの回転動力を伝達するための駆動シャフトとアングルハンドピース形状に組み込み可能な角度で中間シャフトと連結されたことを特徴としている。
請求項5によれば、請求項1〜4において、前記伝達手段は歯科用切削工具を保持するためのロータ軸と角度を変えて連結される中間シャフトとの連結に使用されることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、歯科用マイクロモータのハンドピースにおいて異極対向するN極とS極同士が吸引磁力をもってあたかもギヤ連結のように順送りすることができ、軸間における確実なトルク伝達が行える。また各磁性体間に一定のギャップを確保することにより、回転力の伝達機構における接触部の摩耗が無くなり、ギヤ噛み合いが無いので余分な振動発生源が無く、騒音発生の原因が無くなる。特に患者口腔内での切削時に発生する騒音が減ることにより患者への精神的圧迫を解消できるという素晴らしい効果を奏でる。
また、磁性体の接合部は滑らかな面で構成することにより磁力以上の負荷が加わった際に、接合部がすべり、過剰なトルクを回避することが可能となる。これにより歯牙や、補綴物の切削の際に、切削バーに異常な負荷がかかっても、モータの回転トルクは磁性体接合部の滑りによって回避され、誤切削や切削バーの破損、ハンドピース内部のギヤ破損などの故障の原因を無くすことができる。
さらにまた、第1の回転体と第2の回転体は磁極数、外形、形状等は多様に変えることが可能である。
請求項3記載の発明によれば、磁極数の比率によって変速が可能である。したがって多極に着磁された磁極数の比率によって、等速磁性体、増速磁性体、減速磁性体から成る変速機構をハンドピースに組み込むことで、増速ハンドピース、等速ハンドピース、減速ハンドピースが可能である。さらに増速磁性体と減速磁性体を逆に組み付けることにより、増速、減速を同一部品で構成できるというメリットもある。
請求項2、請求項4および請求項5記載の発明によれば、従来から使用されているコントラアングルハンドピースの形状に組み込み可能なので、従来の歯科用コントラアングルハンドピースの性能を容易にかつ格段にアップすることが可能となる。
以下本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。
図1はマイクロモータのコントラアングルハンドピースの第1の実施形態を説明する一部断面図を含む外観図である。図2は第1の回転体と第2の回転体の構造を示す説明図である。図3は第2の実施形態のマイクロモータのコントラアングルハンドピースの内部における回転動力の伝達を示す図である。
図1において、図示しないマイクロモータのモータ軸と駆動シャフト1とは連結されモータからの回転動力が駆動シャフト1に伝達される構造になっている。第1の回転体3は駆動シャフト1の先端に装着され該駆動シャフト1の回転に伴って回転する。また第2の回転体4は中間シャフト2の第1の回転体側の先端に装着され、駆動シャフト1と中間シャフト2はコントラアングルハンドピース形状に組み込み可能な角度を成して、第1の回転体および第2の回転体の傘状の外周面同士を一定の隙間を設けて対向してある。駆動シャフト1および中間シャフト2は軸受ベアリング10によって回転可能に支持されている。
次に図2について説明する。図2は第1の回転体3と第2の回転体4を夫々の対向面側から見た図である。第1の回転体3及び第2の回転体4は例えばアルミニウムのような被磁性体でできたギヤ構造のない傘歯車状の回転体で、第1の回転体3は傘歯車状で回転体の表面を16等分し、第2の回転体4は8等分してS極とN極の磁石を交互に形成させることで、その外表面が多極に着磁されたマグネットを組み付けて構成される。第1の回転体3及び第2の回転体4のS極およびN極からなる磁極はほぼ同じ円弧長6に設定されるように第1の回転体3と第2の回転体4の外形を異ならしめてある。
次に、変速の方法について説明する。変速は第1の回転体3と第2の回転体4の磁極数の比率によって、変えることができる。例えば図2の例で説明すると、第1の回転体3の磁極数は16極、第2の回転体4の磁極数は8極であるので磁極数の比は2:1となる。したがって第1の回転体が1回転すると、第2の回転体は2回転し、モータ回転数に対して2倍に増速したハンドピースにすることが可能である。また、第1の回転体3と第2の回転体4を逆に取り付けることにより、1/2に減速したハンドピースにすることが可能である。磁極数の比率は第1の回転体3と第2の回転体4の外形を変えることで可能なので、任意の変速にすることができる。磁極数の比率を1:1にすれば等速ハンドピースになる。
次に第2の実施形体について図3を用いて説明する。第2の実施形体は歯科用切削工具を保持するためのロータ軸7と中間シャフト2との連結に、本発明の動力伝達機構を使用した実施形体である。駆動シャフト1と中間シャフト2の動力伝達機構は第1の実施形体をそのまま使用している。ロータ軸7には該ロータ軸7の中央に切削用のバーが挿入固定可能なスリーブ構造になっており、ロータ軸7に対して90度の角度を成した中間シャフト2の回転動力の伝達によって回転する構造になっている。その伝達手段に本発明を使用した例である。
第3の回転体8は中間シャフト2の先端に装着され、該中間シャフト2の回転に伴って回転する。また第4の回転体9はロータ軸7の外周に装着され、第4の回転体9と中間シャフト2は90度の角度を成して、第3の回転体8および第4の回転体の傘状の外周面同士を一定の隙間を設けて対向してある。中間シャフト2およびロータ軸7は軸受ベアリング12によって回転可能に支持されている。傘状面には実施形体1と同様にN極とS極の磁極によって形成され、第3の回転体8及び第4の回転体9のS極およびN極からなる磁極はほぼ同じ円弧長に設定されるように第3の回転体8と第4の回転体9の外形を異ならしめてある。
第2の実施形体によれば、コントラアングルハンドピース内部の全ての動力伝達部に本発明の伝達手段を使用することで、低騒音、低振動のハンドピースが実現できる。
第1の実施形体、第2の実施形体とも磁性体の接合部は滑らかな面で構成することにより磁力以上の負荷が加わった際に、接合部がすべり過剰なトルクを回避することが可能となる。これにより歯牙や、補綴物の切削の際に、切削バーに異常な負荷がかかっても、モータの回転トルクは磁性体接合部の滑りによって回避され、誤切削や切削バーの破損、ハンドピース内部のギヤ破損などの故障の原因を無くすことができる。
なお、本実施形態では傘歯車状の回転体で説明したが、太陽ギヤ状や遊星ギヤ状の回転体として使用しても良い。またストレートハンドピースにおいても、これら動力伝達機構の使用が可能である。
マイクロモータのコントラアングルハンドピースの第1の実施形態を説明する一部断面図を含む外観図である。 第1の回転体と第2の回転体の構造を示す説明図である。 本実施形態のマイクロモータのコントラアングルハンドピースの内部における回転動力の伝達を示す図である。 従来の駆動伝達機構を示す断面図
符号の説明
1 駆動シャフト
2 中間シャフト
3 第1の回転体
4 第2の回転体
5 コントラアングルハンドピース
6 円弧長
7 ロータ軸
8 第3の回転体
9 第4の回転体
10 軸受けベアリング
11 軸受けベアリング
12 軸受けベアリング
13 駆動シャフト
14 中間シャフト
15 ロータ軸
16 駆動ギヤ
17 リヤギヤ
18 フロントギヤ
19 ロータギヤ
20 モータ回転軸連結孔

Claims (5)

  1. 歯科用マイクロモータのハンドピースにおいて該歯科用マイクロモータの回転動力を歯科用切削工具へ伝達するために、外周面にS極とN極が交互に連続する磁性体を有する第1の回転体と、互いに外周面同士が異極対向による磁力伝達が可能なように接触または非接触で連結し、S極とN極が交互に連続する磁性体を有する第2の回転体とからなる伝達手段を用いたことを特徴とする歯科用ハンドピースの動力伝達機構。
  2. 前記伝達手段は前記第1の回転体と前記第2の回転体が傘歯車状の形状からなり、第1の回転体と第2の回転体の回転軸角度を変えて、互いに傘状の外周面同士が異極対向による磁力伝達が可能に接触または非接触で連結されることを特徴とする請求項1記載の歯科用ハンドピースの動力伝達機構。
  3. 前記第1の回転体と前記第2の回転体の外径を異ならしめ、磁極をほぼ同じ円弧長に設定して、磁極数の比率によって動力を変速可能としたことを特徴とする請求項1および請求項2記載の歯科用ハンドピースの動力伝達機構。
  4. 前記伝達手段はマイクロモータからの回転動力を伝達するための駆動シャフトとコントラアングルハンドピース形状に組み込み可能な角度で中間シャフトと連結されたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の歯科用ハンドピースの動力伝達機構。
  5. 前記伝達手段は歯科用切削工具を保持するためのロータ軸と角度を変えて連結される中間シャフトとの連結に使用されることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の歯科用ハンドピースの動力伝達機構。
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