JP2009223180A - 動圧軸受ユニット、光偏光器、光走査装置および画像形成装置 - Google Patents

動圧軸受ユニット、光偏光器、光走査装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】軸受の小型化を図り、軸倒れの小さい光偏向器と高精度な光走査装置と画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転可能な軸との間に軸受隙間を備え、軸との相対回転によって軸受隙間に生じた油の動圧で軸を非接触支持する軸受部材106と、軸受部材105が収容され、一端が開口で他端が閉じられたハウジング106と、ハウジング106の開口部をシールするシール部材と、軸、軸受部材105、及びハウジング106で囲まれた空間を外気と連通させる通気路とを有し、軸受部材105がハウジング106に対して嵌合されて固定された動圧軸受ユニットであり、軸受部材105の嵌合部の外径をφd、ハウジング106と軸受部材105との嵌合部の軸方向長さをL、ハウジングの嵌合部の内径をφD、ハウジングの線膨張係数をαとする時、φD−L×0.00175<φd<φD(1+α×200)なる関係を満たす。
【選択図】図10

Description

本発明は、動圧軸受ユニット、これを用いた光偏光器およびこの光偏光器を用いた光走査装置およびこの光走査装置を用いた画像形成装置に関し、詳しくは、回転体の軸倒れ防止構造に関する。
周知のように、プリンタや複写機あるいはファクシミリ装置や印刷機等の画像形成装置においては、像担持体に像を書き込む像書込装置として光走査装置が用いられている。
光走査装置は、ポリゴンミラーと称される回転多面鏡を備え、その回転多面鏡の回転軸が動圧軸受ユニットにより回転可能に支持された構成を備えている。
動圧軸受ユニットに用いられる動圧軸受は、回転軸外周面と軸受部材内周面との間の軸受隙間に生じた潤滑油の動圧効果で回転軸を非接触支持するものであるが、軸受部材として、潤滑油や潤滑グリースを含浸させた燒結金属を使用する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
この構成においては、回転軸の回転時に発生する温度上昇が原因する油の熱膨張によって軸受部材内から滲み出た潤滑油がハウジング外周面に設けてある通気路を介してハウジングの開口端から外に漏れ出すのを防止するために、ハウジング開口端にシール部材を設けるとともに、通気路におけるハウジング開口端側の末端部には油溜まりを設けている。
一方、動圧軸受ユニットにより支持される回転多面鏡は、筐体への取り付け精度によって回転軸の倒れが生じると、面倒れによる画像の走査ピッチムラが発生することがある。
そこで、このような不具合を解消するための対策として、回転多面鏡の鏡面に対して出射されるレーザ光源からの光軸方向を副走査方向にチルトさせて調整できるようにレーザ光源の支持部を曲面構造とした構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
上記回転軸の倒れを防止する対策の別例として、軸受部周辺部に用いられる部材を同一の加工ステージに相当する単一チャックを用いて加工する方法が提案されている(例えば、特許文献3)。この方法では、軸受スリーブと金属プリント板取り付け面とを同一のチャックにより支持した状態でスリーブの部分およびプリント板取り付け面とを加工するようになっている。
また、軸倒れ防止のための構成としては、駆動モータのハウジングと固定スリーブの接着代として設けられている隙間を、固定スリーブ内周面、固定スリーブ外周面、ハウジング内周面、ハウジング外周面の加工精度を吸収できる寸法を持たせて形成し、その隙間を、接着剤が充分に硬化する隙間以下で軸倒れを補正することができる部分としてようにした構成が提案されている(例えば、特許文献4)。
特開2002−139041号公報 特開平07−318844号公報 特開2003−295099号公報 特開2004−093831号公報
しかし、特許文献1に開示されている構成においては、この種の光偏向器において要求される回転多面鏡の小型化と軸受の小型化による軸受損失の低減と環境負荷の低減を達成するに際して次のような問題がある。
従来、軸受部材2とハウジング3の固定に接着剤を用いていたが、軸受部材が小型化すると、接着剤のはみ出しにより、軸受部材の外径に設けられた通気路が塞がれてしまい、軸の挿入時に混入した空気を外部に排出する経路が遮断されてしまう虞がある。また、部品が小型化するほど軸受部材とハウジングの嵌合隙間による傾きが大きくなり、組付け後の軸倒れが大きくなる虞がある。さらに、嵌合隙間を小さくしようとすると、各部品の高精度化のために新たな工程の追加が必要になったり、各部品の外径、内径の寸法公差が数μm以下に小さくなって、各部品製造における良品率が低下し、損失が大きくなると共に、環境負荷が大きくなるという問題もある。
特許文献2に開示された構成においては、回転多面鏡の軸倒れを調整する機構が必要であり、調整作業が必要になるという問題がある。
また、軸倒れが大きいものが製造され、軸倒れのばらつきが大きくなると、ポリゴンミラーから出射された光ビームが走査レンズを透過する位置が厚み方向にばらつき、光ビームが透過して使用される範囲が厚さ方向で大きくなる。そのため、光学特性の保証範囲が大きくなり、走査レンズの厚さが厚くなったり、部品の良品率が低下して、環境負荷が大きくなるという問題がある。
特許文献3に開示された対策においては、軸受が小型化していくと、軸受スリーブの内径最終仕上げ加工とモータ基板取付け面をワンチャックで加工することは、極めて困難となる。特に、軸受が含油焼結金属で構成される場合は、ハウジングとの組付け後に内径最終仕上げ加工をすることは、仕上げ加工により発生するゴミの問題がありその排除が困難となる虞がある。
特許文献4に開示された構成においては、軸倒れの補正で接着剤の偏りが大きいと、接着剤の線膨張係数が大きいため接着剤が温度上昇時に膨張し、軸倒れが悪化するという問題が生じる。
本発明の目的は、上記従来の軸受ユニットにおける問題に鑑み、軸受の小型化に伴って問題となる軸倒れ、特に軸受部材と軸受ハウジングの組付けに起因する軸受固定部の傾きを低減することで、軸倒れの小さい光偏向器を提供し、高精度な光走査装置、画像形成装置を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)回転可能な軸と、前記軸との間に軸受隙間を備え、該軸との相対回転によって前記軸受隙間に生じた油の動圧で前記軸を非接触支持する軸受部材と、
前記軸受部材が収容され、一端が開口で他端が閉じられたハウジングと、
前記ハウジングの開口部をシールするシール部材と、
前記軸、前記軸受部材、及び前記ハウジングで囲まれた空間を外気と連通させる通気路とを有し、
前記軸受部材が前記ハウジングに対して、嵌合されて固定された動圧軸受ユニットであって、
軸受部材の嵌合部の外径(直径)をφd、ハウジングと軸受部材の嵌合部の軸方向長さをL、ハウジングの嵌合部の内径(直径)をφD、ハウジングの線膨張係数をαとするとき、
φD−L×0.00175<φd<φD(1+α×200)
を満足する関係が設定されていることを特徴とする動圧軸受ユニット。
(2)前記軸受部材が、含油焼結金属からなることを特徴とする(1)に記載の動圧軸受ユニット。
(3)(1)または(2)に記載の動圧軸受ユニットを用いる光偏光器であって、
多面鏡を固定された回転体が前記動圧軸受ユニットにより支持されていることを特徴とする光偏光器。
(4)(3)に記載の光偏光器を用いる光走査装置であって、
半導体レーザからのビームを、光偏向器を含む光学系を介して被走査面へ導いて、光スポットを形成し、前記光偏向器により偏向させることにより、前記被走査面に走査線を走査することを特徴とする光走査装置。
(5)(3)に記載の光偏光器を用いる光走査装置であって、
半導体レーザからのビームが複数であり、前記光偏向器を含む光学系を介して被走査面へ導いて、複数の光スポットを形成し、前記光偏向器により偏向させることにより、前記被走査面の複数走査線を隣接走査することを特徴とする光走査装置。
(6)(4)または(5)に記載の光走査装置を用いる画像形成装置であって、
感光媒体の感光面に前記光走査装置を用いた光走査を行って潜像を形成し、該潜像を可視化して画像を得ることを特徴とする画像形成装置。
請求項1記載の発明によれば、軸受部材と軸受ハウジングの組み付けで、接着剤のはみ出しにより、軸受部材の外径に設けられた通気路がふさがれて、軸の挿入時に混入した空気を外部に排出する経路が遮断されることがなく、
軸受部材と軸受ハウジングの部品精度を必要以上に高精度化することなく、したがって、各部品製造における良品率が低下することなく、軸受部材と軸受ハウジングの組付けに起因する軸受固定部の傾きを低減した動圧軸受ユニットを得ることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、焼結金属に含浸させた油の効果で、長寿命を確保すると共に、軸受部材に含浸させた油が軸受ハウジングの組付け時に変質することがない動圧軸受ユニットを得ることができる。
請求項3記載の発明によれば、軸受部材と軸受ハウジングの組付けに起因する軸受固定部の傾きを低減し、軸倒れの小さい光偏向器を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、光偏向器の軸倒れを低減し、光ビームが走査レンズを透過する位置のばらつきを小さく抑え、走査レンズの光学特性の保証範囲を最小限必要の範囲とする。走査レンズの厚さを薄くし、部品の良品率を高め、環境負荷を低減することが可能となる。さらに、軸倒れ補正のための特別な機構を設けなくても高精度な光走査装置を得ることができる。
請求項5記載の発明によれば、光偏向器の軸倒れを低減し、光ビームが走査レンズを透過する位置のばらつきを小さく抑え、走査レンズの光学特性の保証範囲を最小限必要の範囲とすることができる。そして、走査レンズの厚さを薄くし、製造上の良品率を高め、環境負荷を低減する。さらに、軸倒れ補正のための特別な機構を設けなくても高精度なマルチビーム光走査装置を得ることが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、光走査装置の光ビームの結像位置が高精度で各部品の製造時の環境負荷が低減されて、高画質で環境負荷が小さい画像形成装置を得ることができる。
以下、図面に示す実施例に基づき本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1乃至3は、本発明による動圧軸受ユニットを用いる光偏光器を示す図である。
図1は、光偏光器を構成する回転体101の平面図、図2は図1に示した光偏光器の内部構造を示す断面図および図3は図2に示した回転体101からなる光偏光器を外観図である。
図2において、光偏向器の回転体101は、回転多面鏡102a,102bとロータ磁石103を支持するフランジ102cから構成され、軸104の外周に焼き嵌めされている。
軸受部材105は含油動圧軸受であり、軸104aの外周面と内周面との間に設けた軸受隙間は直径で10μm以下に設定されている。
高速回転での安定性を確保するためラジアル軸受は、図示しない動圧発生溝が設けられている。
動圧溝は、軸104の外周面または軸受部材105の内周面に設けるが、加工性が良好な焼結部材からなる軸104の内周に施すのが好適である。
軸104の素材としては、焼入れが可能で表面硬度を高くでき、耐磨耗性が良好なマルテンサイト系のステンレス鋼(例えばSUS420J2)が好適である。
ロータ磁石103は、フランジ102cの下部内面に固定され、ハウジング106に固定されたステータコア107(符号107aは巻線コイルを示している)とともにアウターロータ型のブラシレスモータを構成している。
ロータ磁石103は、樹脂をバインダーに使用したボンド磁石であり、高速回転時の遠心力による破壊が発生しないように、ロータ磁石103の外径部が保持部であるフランジ102cにより保持されている。
スラスト方向の軸受は、軸104の下端面に形成された凸曲面104aと、その対向面にスラスト軸受108を接触させるピボット軸受である。スラスト受部材108は、マルテンサイト系ステンレス鋼やセラミックス、または金属部材表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理等の硬化処理をしたもの、あるいは、樹脂材料等を用いて潤滑性を良好にし、磨耗粉の発生が抑えられている。
軸受部材105とスラスト軸受108とは、ハウジング106に収納され、シール部材109により、油の流出が防止されている。
本実施例において回転体101を25,000rpm以上の高速回転させる場合、振動を小さくするために回転体101のバランスを高精度に修正かつ維持しなければならない。
このため、回転体101にはアンバランスの修正部が上下2ヶ所あり、上側は、回転体101の上面円周凹部102dに、そして下側はフランジ102cの円周凹部102eに各々接着剤を塗布することによりバランス修正が行われるようになっている。この場合のアンバランス量は、10mg・mm以下が必要であり、例えば半径10mmの箇所で修正量は1mg以下に保たれている。なお、上記のような微少な修正を実行する際に接着剤等の付着物では管理がしにくい場合、また量が少ないため接着力が弱く40,000rpm以上の高速回転時には剥離、飛散してしまう場合には、回転体の部品の一部を削除する方法(ドリルによる切削やレーザ加工)を実施することが好適である。
本実施例におけるモータ方式は、径方向に磁気ギャップを有し、ステータコア107の外径部にロータ磁石103がレイアウトされるアウターロータ型といわれる方式である。
回転駆動は、ロータ磁石103の磁界により回路基板110に実装されているホール素子111から出力される信号を位置信号として参照し、駆動IC112により巻線コイル107aの励磁切り替えを行い回転する。ロータ磁石103は径方向に着磁されており、ステータコア107の外周とで回転トルクを発生し回転する。ロータ磁石103は内径以外の外径及び高さ方向は磁路を開放しており、モータの励磁切り換えのためのホール素子111を開放磁路内に配置している。
図1中、符号113はコネクタを示しており、不図示のハーネスが接続され、本体からの電力供給とモータの起動停止、回転数等の制御信号の入出力が行われる。
図3に示すように、回転多面鏡102a、102bは、連結部102fを介し連続する形で形成され、それぞれの偏向反射面は回転方向へ45°ずれて固定されている。下側回転多面鏡102bとフランジの間に連結部102gを設けてモータ部が一体化されている。回転体の材料を削減し環境負荷を低減する他、回転多面鏡の回転による風損の影響を抑え、騒音および回転エネルギを低下することを目的に、回転多面鏡を小型化した結果、モータ部よりも回転多面鏡が小さい小型の回転体となっている。実施例1の光偏向器は、実施例2あるいは実施例3の光走査装置に使用され、20krpm程度から60krpmを超える高速回転まで使用される。60krpm超の高速まで回転させるために、軸受損失を小さくする必要があり、軸の直径としては2〜3mm程度の小型の動圧軸受が用いられる。
以上のような光偏光器の回転体101に用いられる動圧軸受ユニットの実施例について図4乃至7により説明する。
図4は、図1〜3において説明した光偏向器の回転体101に用いられる動圧軸受ユニットの断面図、図5は動圧軸受ユニットの分解斜視図、図6は図5に示した動圧軸受ユニットに用いられる軸受部材の部品拡大図である。
以下に動圧軸受ユニットの構成、動作を説明する。
動圧軸受ユニットは軸104に焼き嵌めされるフランジ一体型回転多面鏡102や、ハウジング106に固定されるステータコア107、回路基板110を省略した部分である。
図4、図5に示すように、動圧軸受ユニット(以下、符号Uで示す)は、軸104、軸受部材105、ハウジング106、スラスト受部材108、シール部材109で構成されている。
本実施例に用いられるシール部材109は、軸受部材105をハウジング106に押圧する押圧部材を兼ねている。
軸受部材105の内周には、軸104の外周面と微小な軸受隙間を介して対向する軸受面105d(図6参照)が軸方向に離隔して二箇所に形成される。
双方の軸受面105dには、軸方向に対して傾斜した複数の動圧溝105e(へリングボーン型)が円周方向に配列形成される。動圧溝105eは軸方向に対して傾斜して形成されていれば足り、この条件を満たす限りへリングボーン型以外の他の形状、例えばスパイラル型でもよい。動圧溝105eの溝深さは2〜10μm程度が適当で、例えば3μmに設定される。
図6(a)に示すように、両軸受面105dは、一方に傾斜する動圧溝105eが配列された第1の溝領域m1と、第1の溝領域m1から軸方向に離隔し、他方に傾斜する動圧溝105eが配列された第2の溝領域m2と、2つの溝領域m1、m2の間に位置する環状の平滑部nとを備えており、2つの溝領域m1、m2の動圧溝15は平滑部nで区画されて非連続になっている。平滑部nと動圧溝105e間の背の部分105fとは同一レベルにある。
この動圧型軸受ユニットUでは、軸104の回転に伴う圧力(負圧)の発生と昇温による油の熱膨張によって軸受部材105の内部の油(潤滑油、または潤滑グリースの基油)が軸受部材105の表面からから滲み出し、動圧溝105eの作用により軸受面105dと軸104の外周面との間の軸受隙間Cに引き込まれる。
軸受隙間に引き込まれた油は、軸受面105dで潤滑油膜を形成して軸104を非接触支持する。
軸受面105dに正圧が発生すると、軸受面105dの表面に孔(開孔部:多孔質体組織の細孔が外表面に開口した部分をいう)があるため、油は軸受部材105の内部に還流するが、次々と新たな油が軸受面105dに押し込まれ続けるので油膜力および剛性は高い状態で維持される。この場合、連続して安定した油膜が形成されるので、高回転精度が得られ、軸振れやNRRO、ジッタ等が低減される。また、軸104と軸受部材105が非接触で回転するために低騒音であり、しかも低コストである。
動圧軸受ユニットUの組立に際し、通常、軸104はハウジング106に軸受部材105を装着した状態で軸受部材105の内径部に挿入される。軸104の挿入前には、潤滑性向上のために予めハウジング106内に注油するが、軸受部材105と軸104との間の軸受隙間Cは数μm程度しかないため、軸端と注油した油の上面との間に閉じ込められた空気の逃げ場がなくなり、軸104の挿入が難しくなる。
この対策として軸受ユニットUには、図4〜図6に示すように、ハウジング106の反開口側で軸104、軸受部材105、およびハウジング106によって囲まれた密閉空間114(図4参照)を外気に開放する通気路115a、115bが形成される。
通気路115は、軸受部材105の両端面105a、105bに開口する第一通路115a(図4〜図6参照)と、第一通路115aと密閉空間114(図4参照)とを連通する第二通路115b(図5,図6参照)とで構成される。
第一通路115a、115bは、軸受部材105の外周面とハウジング106の内周面との間に、そして第二通路115bは、軸受部材105のハウジング反開口側の端面105bとこれに対向するハウジング106との間にそれぞれ形成される。
本実施例では、図6(a)(b)に示すように、第一通路115aを軸受部材105の外周面に設けた二つの軸方向溝で形成し、第二通路115bを軸受部材105のハウジング反開口側端面105bに設けた二つの半径方向溝で形成した場合を例示している。なお、これらは例示に過ぎず、例えば第一通路115aをハウジング106の内周面に、第二通路115bをハウジング106に形成することもできる。
図6(b)に示すように、第一通路115aと第二通路115bの位相は90°ずれているが、その場合でも両通気路115a、115bは軸受部材端面105bの外径側チャンファ部105cを介して互いに連通状態にある。
図4、図5および図7に示すように、ハウジング106の一端開口部は、リング状のシール部材109でシールされる。このシール部材109は、例えば樹脂材料(例えばポリアミド等)や金属材料(焼結金属も含む)で形成され、外径部109aがハウジング106の一端開口部に圧入されて固定される。シール部材109は、押圧部材としての機能を兼ね備え、軸受部材105のハウジング開口側端面105aを押圧する当接部109cが円周方向3箇所に一体で形成されている。シール部材109がハウジング106の一端開口部に圧入固定されることで、軸受部材105が当接部109cで押えられてハウジング106に固定される。
シール部材109は、その内周面109bと軸104の外周面との間に微小なシール隙間を介在させた非接触シールで、シール隙間での毛細管現象によりハウジング106内部からの油漏れが防止される。この際、軸104の外周面の少なくともシール部材109の内周面109bとの対向領域周辺に撥油剤を塗布しておけば、油漏れ対策としてより有効である。シール部材109としては、トルクの増大・変動を回避するためにも非接触シールを使用するのが望ましい。
図4に示すように、軸受部材105とシール部材109との間には、図7に示した、円周方向3箇所に形成された当節部109cに隣接して、開放部116(図4参照)が円周方向に3箇所に形成される。
開放部116は気泡がはじけるのに十分な面積を確保するため、回転軸と直交する断面の面積を少なくとも軸104の回転軸と直交する断面の面積以上に設定する。望ましくは2倍以上に設定すると混入した気泡が開放部ではじけ、油漏れを防止する効果が高くなる。
すなわち、軸104の直径をD、開放部116の回転軸と直交する断面の面積をS1[mm2](平方ミリメートル)、円周率をπとするとき、式(a)を満足するように関係づけて設定すると好適である。
πD/4 < S1・・・式(a)
例えば、軸104の直径が2mmの場合には、S1を3.14mm以上が好適であり、さらに望ましくは6.28mm以上にすると良い。
軸受の運転中は、軸受部材105から滲み出した油が通気路115を通じてハウジング開口側に押し上げられ、開放部116に溜まる。この際、先に挙げた特許文献1の図6に開示されているように、シール部材を軸受部材105の上端に密着させて軸受部材105を固定する構造とした場合は、軸受組立時に軸受内に混入した空気を開放するのに十分な開放部が得られず、特に40〜50krpmを超えて軸受及びモータ部の発熱が大きくなると、混入した気泡が膨張し、油が気泡に押し上げられる形で、シール部材から外部に漏洩してしまう。
これに対し、本実施例においては、軸受部材105とシール部材109の間に開放部116が円周方向に3箇所に形成されるため、混入した気泡が開放部116で弾けても、軸104とシール部材109のシール隙間から空気のみが外部に排出され、油が漏洩することが無い。
なお、実施例1はシール部材と押圧部材を一体化したものであるが、シール部材と押圧部材を別部品で構成しても良い。
次に、図8〜図10において本発明による動圧軸受ユニットの特徴について説明する。 軸受部材105とハウジング106は、焼き嵌めにより組み付けられている。
本実施例における軸受部材105の嵌合部での外径(直径)は、次の条件に基づき設定されるようになっている。
図8に示すように、軸受部材105の嵌合部の外径(直径)をφd、軸受部材105とハウジング106の嵌合部の軸方向長さをL、ハウジングの嵌合部の内径(直径)をφD、ハウジングの線膨張係数をαとしたとき、これら各寸法同士の関係は、(式1)を満足するように設定されている。
φD−L×0.00175<φd<φD(1+α×200)・・・(式1)
(式1)について以下に詳細を説明する。
この種の光偏向器は、取り付け基準に対する軸の倒れ角度が0.2°以下、さらに高精度なものでは、0.1°(6′)以下が必要になる。
図10は軸受部材105とハウジング106の組付け時の傾きを説明するために、傾きを誇張して示した図である。両者の傾きをθとすると、軸受部材105の外径とハウジング106の内径のすきまφD−φdと、嵌合部の軸方向長さLで生じる傾きは(式2)で表せる。
組付け時に傾きを生じ、軸倒れの原因となるので、少なくとも両者のすきまによる軸倒れ分は、0.1°(6′)以下にする必要があり、(式2)にθ<0.1°を代入し、変形すれば(式3)となる。
tanθ=(φD−φd)/L・・・(式2)
φD−L×0.00175<φd・・・(式3)
すなわち、(式3)は、(式1)のφdより左辺側で、軸受部材105とハウジング106の組付け時の軸倒れ分を0.1°(6′)以下にする条件である。
次に、(式1)のφdより右辺側の意味を説明する。
従来、隙間嵌めにより組み付けていたが、その場合、軸受部材105の外径寸法φdはハウジング106の内径寸法φDより小さくしなければならないから、次に挙げる(式4)を満足する範囲にしなければならない。
φD−L×0.00175<φd<φD・・・(式4)
(式4)では嵌合部の軸方向長さLが短くなるほどφdの適合範囲は小さくしなってしまう。例えば、軸104の直径が2mmのときには、φDは4mm、Lは約6mmであり、軸倒れを0.1°(6′)以下にするためには、3.9895<φd<4としなければならない。
すなわち、軸倒れ0.1°(6′)以下を満足するφdの公差範囲はわずかに0.0105mmとなる。これは、ハウジングの内径φDが誤差なく4mmに出来上がった場合であり、実際にはφDもバラツキが生じるため、0.0105mmを軸受部材105とハウジング106の2つの部品に割り当てなければならない。例えば、0.0105を2つの部品に均等に配分する場合は、0.0105の約半分の0.005mm(5μm)の範囲にφd及びφDを仕上げなければならない。
本実施例においては、焼き嵌めにより軸受部材105の外径とハウジング106を組み付けるため、(式5)に示すように、ハウジングの内径φDが加熱温度上昇分Δt[℃]により拡張される分だけφdの範囲を拡大することができる。
φd<φD+φD×α×Δt・・・(式5)
例えば、ハウジング106に黄銅を用いる場合、黄銅の線膨張係数αが約2×10−5/℃であるため、加熱温度上昇分Δtを200℃とすれば、φdの適合範囲は、3.9895<φd<4.016とすることができる。
すなわち、軸倒れ0.1°(6′)以下を満足するφdの公差範囲を0.0265mmまで拡大できる。これは、ハウジング106の内径φDが誤差なく4mmに出来上がった場合で、φDもばらつくため、0.0265mmを2つの部品に割り当てる。仮に均等に配分するとすれば、0.0265の約半分の0.013mm(13μm)を公差範囲に割り当てて、φd及びφDを仕上げれば良い。
(式5)において、焼き嵌めの加熱温度上昇分Δt[℃]は大きくなればなるほどφDを拡大することができ、公差範囲を広げる効果が大きくなるが、焼結金属である軸受部材105に油を含浸させてからハウジング106と組付けを行うので、焼き嵌め時にハウジング106を加熱する温度は油の変質する温度以下、あるいは引火温度以下にしなければならない。油はジエステル等のエステル系の合成潤滑油が用いられ、230〜260℃程度の温度まで使用できるので、通常の20〜30℃の環境では、焼き嵌め時の加熱温度上昇Δtは約200℃以下に設定する。
また、焼き嵌め後、ハウジング106が収縮すると、嵌合寸法の組合せによっては軸受部材105に圧縮応力がかかるため、焼き嵌めによる応力で軸受部材105の内径寸法が大きく変形しないようにすることも重要であり、Δtを200℃以下に設定することが好適である。
(式5)にΔt=200を代入すれば(式6)を得る。
φd<φD(1+α×200)・・・(式6)
(式6)は、(式1)のφdより右辺側で、焼き嵌めの温度を制限する条件となっている。
以上、本実施例における動圧軸受ユニットUは、高速化に対応するため小型、小径化した動圧軸受ユニットにおいて、軸受部材と軸受ハウジングの組み付けで、接着剤のはみ出しにより、軸受部材の外径に設けられた通気路が塞がれて、軸の挿入時に混入した空気を外部に排出する経路が遮断されることがない。
また、軸受部材105およびハウジング106を高精度に仕上げる必要がなく、したがって、各部品の良品率が低下することなく、部品製造のための環境負荷を低減することができる。これが請求項1に記載の発明による効果に相当している。
さらに、焼結金属に含浸させた油の効果で、長寿命を確保すると共に、軸受部材に含浸させた油が軸受ハウジングの組付け時に変質させないようにすることができる。これが請求項2に記載の発明の効果に相当している。
なお、上記実施例に挙げた光偏向器は、回転多面鏡102a、102bが、連結部102fを介し連続する形で形成され、それぞれの偏向反射面は回転方向へ45°ずれて固定されているもので説明したが、当然、1段の回転多面鏡を固定した光偏向器にも適用可能であり、各種の回転多面鏡型の光偏向器に適用可能である。
次に、上記の光偏光器を用いた光走査装置に関する実施例について説明する。
図11は、上述した光偏光器が用いられる光走査装置の構成を示す図である。
図11において、符号1、1’は半導体レーザを示す。半導体レーザ1、1’は「1つの光源を構成する2つの発光源」であり、それぞれ1本の光ビームを放射する。これら半導体レーザ1、1’はホルダ2に所定の位置関係で保持されている。
半導体レーザ1、1’から放射された各光ビームはそれぞれ、カップリングレンズ3、3’により以後の光学系に適した光束形態(平行光束あるいは弱い発散性もしくは弱い収束性の光束)に変換される。この例ではカップリングレンズ3,3’によりカップリングされた光ビームは共に平行光束である。
カップリングレンズから射出し、所望の光束形態となった各光ビームは、光ビーム幅を規制するアパーチュア12の開口部を通過して「ビーム整形」されたのち、ハーフミラープリズム4に入射し、ハーフミラープリズムの作用により副走査方向に2分割されてそれぞれが2本の光ビームに分けられる。
上述したハーフミラーによる2分割状況を図12に示す。図の煩雑を避けるため、半導体レーザ1から放射された光ビームL1を代表して示している。
図12の上下方向が副走査方向であるが、ハーフミラープリズム4は半透鏡4aと反射面4bとを副走査方向に並列して有する。光ビームL1はハーフミラープリズム4に入射すると半透鏡4aに入射し、一部は半透鏡4aを直進的に透過して光ビームL11となり、残りは反射されて反射面4bに入射し、反射面4bにより全反射されて光ビームL12となる。
この例において、半透鏡4aと反射面4bとは互いに平行であり、従ってハーフミラープリズム4から射出する光ビームL11、L12は互いに平行である。このようにして、半導体レーザ1からの光ビームは、2つの光ビームL11、L12として副走査方向に2分割される。半導体レーザ1’からの光ビームも同様にして2分割される。このようにして、1つの光源(m=1)から2本の光ビームが放射され、これら2本の光ビームが副走査方向に2分割(q=2)されて4本の光ビームが得られる。
図11において、これら4本の光ビームはシリンドリカルレンズ5a、5bに入射し、これらシリンドリカルレンズ5a、5bの作用により副走査方向へ集光され、先に説明した光偏光器(便宜上、多面鏡式光偏向器7とする)の偏向反射面近傍に「主走査方向に長い線像」として結像する。
図11に示すように、半導体レーザ1、1’から放射され、ハーフミラープリズム2より分割された光ビームのうち、ハーフミラープリズム4の半透鏡4aを直進的に透過した光ビーム(図12に示す光ビームL12)がシリンドリカルレンズ5aに入射し、半透鏡4aにより反射され、更に反射面4bで反射された光ビーム(図12の光ビームL12)がシリンドリカルレンズ5bに入射する。
図11において、符号6は多面鏡式光偏向器7の防音ハウジングの窓に設けられた「防音ガラス」を示す。
光源側からの4本の光ビームは防音ガラス6を介して多面鏡式光偏向器7に入射し、偏向された光ビームは防音ガラス6を介して走査結像光学系側へ射出する。
多面鏡式光偏向器7は、図示のように上ポリゴンミラー7a、下ポリゴンミラー7bを回転軸方向に上下2段に積設して一体とし、図示されない駆動モータにより回転軸の周りに回転させられるようになっている。
上ポリゴンミラー7a、下ポリゴンミラー7bは、この例において共に「4面の偏向反射面」を持つ同一形状のものであるが、上ポリゴンミラー7aの偏向反射面に対し、下ポリゴンミラー7bの偏向反射面が、回転方向へ所定角:θ(=45度)ずれている。
図11において、符号8a、8bは「第1走査レンズ」、符号10a、10bは「第2走査レンズ」、符号9a、9bは「光路折り曲げミラー」を示している。また、符号11a、11bは「光導電性感光体」を示している。
第1走査レンズ8a、第2走査レンズ10aと、光路折り曲げミラー9aとは、多面鏡式光偏向器7の上ポリゴンミラー7aにより偏向される2本の光ビーム(半導体レーザ1、1’から射出し、ハーフミラープリズム4の半透鏡4aを透過した2本の光ビーム)を、対応する光走査位置である光導電性感光体11a上に導光して、副走査方向に分離した2つの光スポットを形成する1組の走査結像光学系を構成する。
第1走査レンズ8b、第2走査レンズ10bと、光路折り曲げミラー9bとは、多面鏡式光偏向器7の下ポリゴンミラー7bにより偏向される2本の光ビーム(半導体レーザ1、1’から射出し、ハーフミラープリズム4の半透鏡4aにより反射された2本の光ビーム)を、対応する光走査位置である光導電性感光体11b上に導光して、副走査方向に分離した2つの光スポットを形成する1組の走査結像光学系を構成する。
半導体レーザ1、1’から放射された光ビームは、多面鏡式光偏向器7の回転軸方向から見て「偏向反射面位置の近傍において主光線が交差する」ように光学配置が定められており、従って、偏向反射面に入射してくる2光束の各対は光ビーム相互が「開き角(偏向反射面の側から光源側を見たとき、2本の光ビームの回転軸に直交する面への射影がなす角をいう。)」を有する。
この「開き角」により、光導電性感光体11a、11bのそれぞれに形成される2つの光スポットは主走査方向にも分離しており、このため各感光体を光走査する2本の光ビームを個別的に検出して光走査開始の同期を光ビームごとに取ることができる。
このようにして、多面鏡式光偏向器7の上ポリゴンミラー7aにより偏向される2光ビームにより、光導電性感光体11aが2本の光ビームによりマルチビーム走査され、多面鏡式光偏向器7の下ポリゴンミラー7bにより偏向される2光ビームにより、光導電性感光体11bが2本の光ビームによりマルチビーム走査される。
多面鏡式光偏向器7の上ポリゴンミラー7aとしたポリゴンミラー7bの偏向反射面は互いに回転方向に45度ずれているので、上ポリゴンミラー7aによる偏向光ビームが光導電性感光体11aの光走査を行うとき、下ポリゴンミラー7bによる偏向光ビームは、光導電性感光体11bには導光されず、下ポリゴンミラー7bによる偏向光ビームが光導電性感光体11bの光走査を行うとき、上ポリゴンミラー7aによる偏向光ビームは、光導電性感光体11aには導光されない。すなわち、光導電性感光体11a、11bの光走査は「時間的にずれて交互」に行われることになる。
図13は、この状況を説明する図である。説明図であるので、煩雑を避け、多面鏡式光偏向器へ入射する光ビーム(実際には4本である)を「入射光」、偏向される光ビームを「偏向光a、偏向光b」として示している。
図13(a)は、入射光が多面鏡式光偏向器7に入射し、上ポリゴンミラー7aで反射されて偏向された「偏向光a」が光走査位置へ導光されるときの状況を示している。このとき、下ポリゴンミラー7bによる偏向光bは光走査位置へは向かわない。図13(b)は、下ポリゴンミラー7bで反射されて偏向された「偏向光b」が光走査位置へ導光されるときの状況を示している。このとき、上ポリゴンミラー7aによる偏向光aは光走査位置へは向かわない。
なお、一方のポリゴンミラーによる偏向光が光走査位置へ導光されている間に、他方のポリゴンミラーによる偏向光が「ゴースト光」として作用しないように、図13に示す如き適宜の遮光手段SDを用いて、光走査位置へ導光されない偏向光を遮光するのがよい。これは実際には、前述の「防音ハウジング」の内壁を非反射性とすることにより容易に実現できる。
上記の如く、図11に示した光走査装置において、光導電性感光体11a、11bの(マルチビーム方式の)光走査は交互に行われるので、例えば、光導電性感光体11aの光走査が行われるときは光源の光強度を「黒画像の画像信号」で変調し、光導電性感光体11bの光走査が行われるときは光源の光強度を「マゼンタ画像の画像信号」で変調すれば、光導電性感光体11aには黒画像の静電潜像を、光導電性感光体11bにはマゼンタ画像の静電潜像を書込むことができる。
図14は「共通の光源(図11の半導体レーザ1,1’)」により黒画像とマゼンタ画像の書込みを行う場合において、「有効走査領域において全点灯する場合」のタイムチャートを示している。実線は黒画像の書込みに相当する部分、破線はマゼンタ画像の書込みに相当する部分を示す。黒画像、マゼンタ画像の書き出しのタイミングは、前述の如く、有効走査領域外に配備される同期受光手段(図11においては図示されていない。通常はフォトダイオードである。)で光走査開始位置へ向かう光ビームを検知することにより決定される。
上述した光走査装置では、光偏向器の軸倒れを低減し、光ビームが走査レンズを透過する位置のばらつきを小さく抑え、走査レンズの光学特性の保証範囲を最小限必要な範囲とすることができる。その結果、走査レンズの厚さを薄くし、製造上の良品率を高め、環境負荷を低減することができる。また、軸倒れ補正のための特別な機構を設ける必要が無い。さらに、光源部の部品点数、材料が削減されて、環境負荷が低減され、光源の故障確率も低く抑えたマルチビーム光走査装置を提供することができる。これが請求項5に記載の発明に相当している。
また、複数の光ビームを出射可能なマルチビーム光走査装置の光源部としては、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザ)のように面発光型レーザを2次元配列した光源を用いた場合でも、軸倒れの低減により同様の効果が得られる。
次に上述した光走査装置を用いる画像形成装置について図15および図16を用いて説明する。
図15は、画像形成装置に用いられる光走査装置の光学系部分を、副走査方向、即ち、多面鏡式光偏向器7の回転軸方向から見た状態として示している。図の内容が煩雑となるのを回避して簡単にするために、多面鏡式光偏向器7から光走査位置に至る光路上の光路屈曲用のミラーの図示を省略し、光路が直線となるように描いたものである。
画像形成装置に用いられる光走査装置は、上述したように、2つの光源(m)からそれぞれ2本の光ビームが出射されて副走査方向に2分割されて4本の光ビームが得られる(m=q=2、p=1、n=4)場合であり、4つの光走査位置をそれぞれ1本の光ビームで光走査する。また、光走査位置に個々には、光導電性感光体11Y、11M、11C、11Kが配置され、これら4個の光導電性感光体に形成される静電潜像をマゼンタ、イエロー、シアン、黒のトナーで個別に可視化し、カラー画像を形成する。
図15において、符号1YM、1CKはそれぞれ半導体レーザを示す。これら半導体レーザ1YM、1CKはそれぞれが1本の光ビームを放射する。半導体レーザ1YMは「イエロー画像に対応する画像信号」と「マゼンタ画像に対応する画像信号」で交互に強度変調される。半導体レーザ1CKは「シアン画像に対応する画像信号」と「黒画像に対応する画像信号」で交互に強度変調される。
半導体レーザ1YMから放射された光ビームはカップリングレンズ3YMにより平行光束化され、アパーチュア12YMを通過してビーム整形されたのち、ハーフミラープリズム4YMに入射して、副走査方向に分離した2本の光ビームにビーム分割される。ハーフミラープリズム4YMは、図11に即して説明したハーフミラープリズム4と同様のものである。分割された光ビームの1本はイエロー画像を書込むのに使用され、他の1本はマゼンタ画像を書込むのに使用される。
副走査方向に分割された2本の光ビームは、副走査方向に配列されたシリンドリカルレンズ5Y、5M(副走査方向に重なり合うように配置されている。)により、それぞれ副走査方向へ集光され、多面鏡式光偏向器7に入射する。多面鏡式光偏向器7は、図11、図13に即して説明したものと同様のものであり、4面の偏向反射面を持つポリゴンミラーを回転軸方向へ2段に積設し、ポリゴンミラー相互の偏向反射面を回転方向へずらして一体化したものである。シリンドリカルレンズ5Y、5Mによる主走査方向に長い線像は、各ポリゴンの偏向反射面位置近傍に結像する。
多面鏡式光偏向器7により偏向される光ビームは、それぞれ第1走査レンズ8Y、8M、第2走査レンズ10Y、10Mを透過し、これらレンズの作用により光走査位置11Y、11Mに光スポットを形成し、これら光走査位置を光走査する。
同様に、半導体レーザ1CKから放射された光ビームはカップリングレンズ3CKにより平行光束化され、アパーチュア12CKを通過してビーム整形されたのち、ハーフミラープリズム4CKにより、副走査方向に分離した2本の光ビームにビーム分割される。ハーフミラープリズム4CKは、ハーフミラープリズム4YMと同様のものである。分割された光ビームの1本はシアン画像を書込むのに使用され、他の1本は黒画像を書込むのに使用される。
副走査方向に分割された2本の光ビームは、副走査方向に配列されたシリンドリカルレンズ5C、5K(副走査方向に重なり合うように配置されている。)によりそれぞれ、副走査方向へ集光され、多面鏡式光偏向器7に入射して偏向され、それぞれ第1走査レンズ8C、8K、第2走査レンズ10C、10Kを透過し、これらレンズの作用により光走査位置11C、11Kに光スポットを形成し、これら光走査位置を光走査する。
図16に符号20で示す部分が光走査装置で、図14に即して説明した部分である。図16に示すように、多面鏡式光偏向器7の上段のポリゴンミラーにより偏向される光ビームのうち一方は、光路折り曲げミラーmM1、mM2、mM3により屈曲された光路により光走査位置の実体をなす光導電性感光体11Mに導光され、他方の光ビームは、光路折り曲げミラーmC1、mC2、mC3により屈曲された光路により光走査位置の実体をなす光導電性感光体11Cに導光される。
また、多面鏡式光偏向器7の下段のポリゴンミラーにより偏向される光ビームのうち一方は、光路折り曲げミラーmYにより屈曲された光路により光走査位置の実体をなす光導電性感光体11Yに導光され、他方の光ビームは、光路折り曲げミラーmKにより屈曲された光路により光走査位置の実体をなす光導電性感光体11Kに導光される。
従って、m=2個の半導体レーザ1YM、1CKからの光ビームがそれぞれハーフミラープリズム4YM、4CKで2本の光ビームに分割されて4本の光ビームとなり、これら4本の光ビームにより、4個の光導電性感光体11Y、11M、11C、11Kが光走査される。光導電性感光体11Yと11Mとは半導体レーザ1YMからの光ビームを2分割した各光ビームにより、多面鏡式光偏向器7の回転に伴い交互に光走査され、光導電性感光体11Cと11Kとは半導体レーザ1CKからの光ビームを2分割した各光ビームにより、多面鏡式光偏向器7の回転に伴い交互に光走査される。
光導電性感光体11Y〜11Kは何れも時計回りに等速回転され、帯電手段をなす帯電ローラTY、TM、TC、TKにより均一帯電され、それぞれ対応する光ビームの光走査を受けてイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色画像を書込まれ対応する静電潜像(ネガ潜像)を形成される。
これら静電潜像はそれぞれ現像装置GY、GM、GC、GKにより反転現像され、光導電性感光体11Y、11M、11C、11K上にそれぞれイエロートナー画像、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像が形成される。
これら各色トナー画像は、図示されない「転写シート」上に転写される。すなわち、転写シートは搬送ベルト17により搬送され、転写器15Yにより光導電性感光体11Y上からイエロートナー画像を転写され、転写器15M、15C、15Kによりそれぞれ、光導電性感光体11M、11C、11kから、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像を順次に転写される。
このようにして転写シート上においてイエロートナー画像〜黒トナー画像が重ね合わせられてカラー画像を合成的に構成する。このカラー画像は定着装置19により転写シート上に定着されてカラー画像が得られる。
すなわち、図15、図16に示した画像形成装置およびこれに用いられる光走査装置においては、複数の光導電性感光体に光走査により個別的に静電潜像を形成し、これら静電潜像を可視化してトナー画像とし、得られるトナー画像を同一のシート状記録媒体上に転写して合成的に画像形成を行うタンデム式の画像形成装置において、光導電性感光体の数が4であり、光走査装置として、2個の光源1YM、1CKを用いて、各光源からの光ビームがそれぞれ2個の光導電性感光体を光走査するように構成され、4個の光導電性感光体11M、11Y,11C、11Kに形成される静電潜像をマゼンタ、イエロー、シアン、黒のトナーで個別に可視化し、カラー画像を形成する。
上述した実施例における光走査装置においては、光偏向器の軸倒れを低減し、光ビームが走査レンズを透過する位置のばらつきを小さく抑え、走査レンズの光学特性の保証範囲を最小限必要な範囲とすることができる。その結果、走査レンズの厚さを薄くし、製造上の良品率を高め、環境負荷を低減することができる。また、軸倒れ補正のための特別な機構を設ける必要が無い。光走査装置の結像が高精度で高画質であり、さらに、光源部の部品点数、材料が削減されて、環境負荷が低減され、光源の故障確率も低く抑えたシングルビーム光走査装置を提供することができ、環境負荷が低減され低騒音で高画質な画像形成装置を提供することができる。これが請求項4,6に記載した発明の効果に相当している。
なお、上述した画像形成装置の実施例においては、各光導電性感光体の光走査を「シングルビーム方式」で行っているが、各光源側を、図11の如くに構成とすれば、光導電性感光体の光走査をマルチビーム方式で行えることはいうまでもない。また、マルチビーム光走査装置の光源部としては、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザ)のように面発光型レーザを2次元配列した光源を用いた場合でも、光偏向器の軸倒れの低減により、前述の効果が得られる。
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはなく、様々な変形が可能である。
本発明による動圧軸受ユニットを用いる光偏光器の回転体を示す平面図である。 図1に示した光偏光器の回転体の断面を示す図である。 図1に示した光偏光器の回転体の外観図である。 本発明による動圧軸受ユニットの断面図である。 図4に示した動圧軸受ユニットの分解斜視図である。 図4に示した動圧軸受ユニットに用いられる軸受部材の構成を説明するための図である。 図4に示した動圧軸受ユニットに用いられるシール部材の構成を示す図である。 図5に示した軸受部材の斜視図である。 図4に示した動圧軸受ユニットに用いられるハウジングの断面図である。 図9に示したハウジング内に図5に示した軸受部材が挿嵌されている状態を示す断面図である。 図1〜3に示した光偏光器を用いる光走査装置の構成を示す図である。 図11に示した光走査装置による光ビーム分割構造を説明するための図である。 図11に示した光走査装置による光ビームの走査状態を示す図である。 図11に示した光走査装置による光ビームの走査タイミングを説明するためのタイミングチャートである。 図11に示した光走査装置を用いる画像形成装置に適用されている光走査装置の概要を説明するための図である。 図11に示した光走査装置を用いる画像形成装置の構成を説明するための模式図である
符号の説明
101 光偏光器の回転体
102a、102b 多面鏡
104 軸
105 軸受部材
106 ハウジング
φd 軸受部材の嵌合部外径
φD ハウジングの嵌合部内径
L ハウジングと軸受部材との嵌合部の長さ
α ハウジングの線膨張係数

Claims (6)

  1. 回転可能な軸と、前記軸との間に軸受隙間を備え、該軸との相対回転によって前記軸受隙間に生じた油の動圧で前記軸を非接触支持する軸受部材と、
    前記軸受部材が収容され、一端が開口で他端が閉じられたハウジングと、
    前記ハウジングの開口部をシールするシール部材と、
    前記軸、前記軸受部材、及び前記ハウジングで囲まれた空間を外気と連通させる通気路とを有し、
    前記軸受部材が前記ハウジングに対して、嵌合されて固定された動圧軸受ユニットであって、
    軸受部材の嵌合部の外径(直径)をφd、ハウジングと軸受部材の嵌合部の軸方向長さをL、ハウジングの嵌合部の内径(直径)をφD、ハウジングの線膨張係数をαとするとき、
    φD−L×0.00175<φd<φD(1+α×200)
    を満足する関係が設定されていることを特徴とする動圧軸受ユニット。
  2. 前記軸受部材が、含油焼結金属からなることを特徴とする請求項1の動圧軸受ユニット。
  3. 請求項1または2に記載の動圧軸受ユニットを用いる光偏光器であって、
    多面鏡を固定された回転体が前記動圧軸受ユニットにより支持されていることを特徴とする光偏光器。
  4. 請求項3記載の光偏光器を用いる光走査装置であって、
    半導体レーザからのビームを、光偏向器を含む光学系を介して被走査面へ導いて、光スポットを形成し、前記光偏向器により偏向させることにより、前記被走査面に走査線を走査することを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項3記載の光偏光器を用いる光走査装置であって、
    半導体レーザからのビームが複数であり、前記光偏向器を含む光学系を介して被走査面へ導いて、複数の光スポットを形成し、前記光偏向器により偏向させることにより、前記被走査面の複数走査線を隣接走査することを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項4または5に記載の光走査装置を用いる画像形成装置であって、
    感光媒体の感光面に前記光走査装置を用いた光走査を行って潜像を形成し、該潜像を可視化して画像を得ることを特徴とする画像形成装置。
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