JP2009221354A - 水性メタリック塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタリック顔料と水との反応を長期間、抑制又は防止でき、且つ、優れた付着性、耐水密着性及び外観を有する塗膜を形成できる水性メタリック塗料組成物を提供する。
【解決手段】(1)(a)下記一般式(I)
Figure 2009221354

で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマー、
(b)水酸基含有重合性不飽和モノマー、並びに
(c)該モノマー(a)及び該モノマー(b)以外の重合性不飽和モノマー
を共重合させることにより得られるリン酸基含有樹脂と、
(2)メタリック顔料
とを含有する水性メタリック塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は新規な水性メタリック塗料組成物に関する。
アルミニウムフレークなどのメタリック顔料を含むメタリック水性塗料には、メタリック顔料が塗料中に含まれる多量の水と接触して反応することにより腐食するという問題や該反応により水素ガスが発生するという問題がある。
これらの問題を解決するために、リン酸エステル類を含有させたメタリック水性塗料が提案されている。このメタリック水性塗料は、該エステル類のリン原子に結合した酸性ヒドロキシル基による吸着作用を利用して、メタリック顔料の表面をリン酸エステル類で保護し、水とメタリック顔料との反応を抑制することが期待されている。しかしながら、かかるリン酸エステル類を含有するメタリック水性塗料は、長期間にわたって上記反応を抑制することが困難である。また、上記メタリック水性塗料を用いて形成されるメタリック塗膜の付着性、耐水密着性、外観などが不十分である。
例えば、特許文献1には、オルト燐酸とエポキシ化合物との反応生成物を含有する水性メタリック塗料が開示されており、特許文献2には、オルトリン酸とグリシジル基含有アクリル重合体とから得られるリン酸塩化アクリル重合体を含有する水性メタリック塗料が開示されている。しかしながら、これらの水性メタリック塗料を用いて形成される塗膜は、いずれも、十分な付着性、耐水密着性、外観等を有しない。
また、特許文献3には、特定の構造を有するリン酸エステルモノマー0.1〜5重量%とα,β−エチレン性不飽和単量体99.9〜95重量%を共重合させて得られる、水酸基価30〜150mgKOH/g及び数平均分子量1,500〜20,000のアクリル樹脂を含有する、耐水変色性及びメタリック感に優れた塗膜を形成しうるメタリック塗料組成物が開示されている。しかしながら、該メタリック塗料組成物によって形成される塗膜の耐水密着性及びメタリック外観は不十分である。
さらに、特許文献4には、アルキレンオキサイド鎖を有するリン酸基含有モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られるアクリル重合体を用いた水性塗料組成物が開示されている。しかしながら、アルキレンオキサイド鎖を有するリン酸基含有モノマーは親水性が高く、塗膜の耐水密着性確保の観点から使用量が制限される。そのため、アクリル重合体中のリン酸量が十分ではなく、メタリック顔料と水との反応を長期間にわたって抑制することが困難である。
また、特許文献5には、(a)分子中にリン原子に結合した酸性ヒドロキシル基を少なくとも1個含有するエチレン性モノマー、(b)ヒドロキシル基を含有するエチレン性モノマー及び(c)これらと共重合可能な他のエチレン性モノマーの共重合体から成る、リン原子に結合した酸性ヒドロキシル基及び/又はその塩を少なくとも1個有する酸価30〜150mgKOH/g、水酸基価30〜150mgKOH/g及び数平均分子量3000〜15,000のリン酸エステルを用いた水性塗料組成物が開示されている。しかしながら、該水性塗料組成物によって形成される塗膜のメタリック外観及び耐水密着性は不十分である。
特開昭61−47771号公報 特開平1−190765号公報 特開昭62−30167号公報 特開平4−25578号公報 特開平5−271580号公報
本発明の目的は、メタリック顔料と水との反応を長期間、抑制又は防止でき、且つ、優れた付着性、耐水密着性及び外観を有する塗膜を形成できる水性メタリック塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するリン酸基含有樹脂が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記のリン酸基含有樹脂に係る。
1. (1)(a)下記一般式(I)
Figure 2009221354
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。Rは、炭素数1〜36の炭化水素基又はアシル基を示す。R及びRは、独立して炭素数2〜4のアルキレン基を示す。mは0〜50の実数を示す。mが2以上のとき、R同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1〜50の実数を示す。nが2以上のとき、R同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマー、
(b)水酸基含有重合性不飽和モノマー、並びに
(c)該モノマー(a)及び該モノマー(b)以外の重合性不飽和モノマー
を共重合させることにより得られるリン酸基含有樹脂と、
(2)メタリック顔料
とを含有する水性メタリック塗料組成物。
2. 前記リン酸基含有樹脂中における前記モノマー(a)由来の構成単位、前記モノマー(b)由来の構成単位及び前記モノマー(c)由来の構成単位の割合が、リン酸基含有樹脂を基準にして、それぞれ3〜80質量%、3〜40質量%及び1〜94質量%である上記項1に記載の水性メタリック塗料組成物。
3. 前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の使用割合が、前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の合計量を基準にして、それぞれ3〜80質量%、3〜40質量%及び1〜94質量%である上記項1又は2に記載の水性メタリック塗料組成物。
4. 前記モノマー(c)の一部として芳香環含有重合性不飽和モノマーを共重合させる場合の該芳香環含有重合性不飽和モノマーの使用割合が、前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の合計量を基準にして、5〜60質量%である上記項1〜3のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
5. リン酸基含有樹脂の水酸基価が15〜150mgKOH/gである上記項1〜4のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
6. メタリック顔料100質量部に対して、リン酸基含有樹脂を固形分として0.1〜50質量部含有する上記項1〜5のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
7. メタリック顔料がアルミニウムである上記項1〜6のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
8. さらに基体樹脂及び硬化剤を含有する上記項1〜7のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
9. 上記項1〜8のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物が塗装された物品。

以下、本発明の水性メタリック塗料組成物について、さらに詳細に説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸及びメタクリル酸の総称であり、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド及びメタクリルアミドの総称である。
本発明の水性メタリック塗料組成物は、下記リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)、下記水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)及び下記重合性不飽和モノマー(c)を共重合させることにより得られるリン酸基含有樹脂を含有する。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、下記一般式(I)
Figure 2009221354
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。Rは、炭素数1〜36の炭化水素基又はアシル基を示す。R及びRは、独立して炭素数2〜4のアルキレン基を示す。mは0〜50の実数を示す。mが2以上のとき、R同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1〜50の実数を示す。nが2以上のとき、R同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される化合物である。
上記Rとしては、特に、メチル基が好ましい。
上記Rとしては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数2〜18の炭化水素基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜6の炭化水素基がより好ましい。上記炭化水素基及びアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、上記アシル基には、アルキルカルボニル基だけでなく、アルコキシカルボニル基も含まれる。
上記炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基が挙げられる。特に、上記Rとしてはエチレン基及び/又はプロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましい。上記Rとしては、エチレン基及び/又はプロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましい。
上記mとしては、0〜10の実数が好ましい。
上記nとしては、2〜10の実数が好ましい。
上記リン酸基含有重合性モノマー(a)の酸価は、通常20〜400mgKOH/g程度、好ましくは100〜300mgKOH/g程度である。
上記リン酸基含有重合性モノマー(a)は、公知の方法により容易に製造できる。例えば、(メタ)アクリル酸に対し、既知の方法に従い、エポキシ化合物を開環付加させることにより得られた反応物の水酸基にアルキレンオキサイドを付加させた後、得られた付加物に対してリン酸化剤を作用させてリン酸エステル化することにより得ることができる。
上記エポキシ化合物としては、例えば、アルキルグリシジルエーテル、アリールグリシジルエーテル、脂肪酸グリシジルエステル等を用いることができる。これらエポキシ化合物のアルキル基、アリール基、脂肪酸基等が、上記一般式(I)におけるRとなる。
上記アルキルグリシジルエーテルとしては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、sec−ブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アルキルグリシジルエーテルのアルキル基は、エーテル結合を有していてもよい。そのようなアルキル基を持つアルキルグリシジルエーテルとしては、例えば、2−ブトキシエチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アリールグリシジルエーテルとしては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテル、ベンジルアルコールグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記脂肪酸グリシジルエステルとしては、例えば、ラウリン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル等が挙げられる。
上記例示のエポキシ化合物については、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
また、上記エポキシ化合物として上記アルキルグリシジルエーテル、上記アリールグリシジルエーテル、上記脂肪酸グリシジルエステル等に加え、さらに、下記一般式(II)
Figure 2009221354
(式中、pは1〜50の範囲内であればよい。)
で表される2−エチルヘキシルアルコール−プロピレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、下記一般式(III)
Figure 2009221354
(式中、qは1〜50の範囲内であればよい。)
で表されるラウリルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル等を用いてもよい。これらのグリシジルエーテルについては、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。これらグリシジルエーテルの繰り返し単位の−CHCH(CH)−O−及び−CHCH−O−が、上記一般式(I)における−(R−O)−となる。
上記一般式(II)のグリシジルエーテルは、例えば、2−エチルヘキシルアルコールにプロピレンオキサイドを付加させた後、得られた付加物に対してエピクロルヒドリンを反応させることにより製造できる。上記pは、上記2−エチルヘキシルアルコール及び上記プロピレンオキサイドの使用モル比から決定される。
上記一般式(III)のグリシジルエーテルは、例えば、ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを付加させた後、得られた付加物に対してエピクロルヒドリンを反応させることにより製造できる。上記qは、上記ラウリルアルコール及び上記エチレンオキサイドの使用モル比から決定される。
上記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらアルキレンオキサイドを反応させることにより、上記一般式(I)における−(R−O)−を形成できる。
上記m及びnは、上記方法において原料として用いられる上記グリシジルエーテル及び上記アルキレンオキサイドの使用モル比から算出される。上記リン酸基含有重合性モノマー(a)は、上記一般式(I)で表されるモノマーを複数含む混合物であってもよい。例えば、上記方法により製造した上記リン酸基含有重合性モノマー(a)は、通常、分子量分布を持っている。上記m及びnは、上記一般式(I)で表される複数のモノマーの平均値である。
上記付加物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等のいずれであってもよい。
上記リン酸化剤としては、例えば、五酸化リン、オキシ塩化リン等の公知のリン化合物を使用できる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)
水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する脂肪族又は芳香族化合物であればよい。特に、水酸基を有する不飽和脂肪族化合物が好ましい。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該モノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる塗膜の耐水密着性の観点から、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トのε−カプロラクトン変性体から選ばれる少なくとも一種が好ましく、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
重合性不飽和モノマー(c)
重合性不飽和モノマー(c)は、上記リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)以外の重合性不飽和モノマーであって、該モノマー(a)及び該モノマー(b)と共重合し得る重合性不飽和モノマーである。上記重合性不飽和モノマー(c)については、リン酸基含有樹脂に望まれる特性に応じて適宜選択して使用することができる。
上記重合性不飽和モノマー(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシブチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
特に、上記モノマー(c)の一部として芳香環含有重合性不飽和モノマー共重合させることが好ましい。上記モノマー(c)として、上記芳香環含有重合性不飽和モノマーと該芳香環含有重合性不飽和モノマー以外のモノマー(c)との混合物を用いることにより、メタリック顔料と水の反応を長期間にわたって好適に抑制できる。上記芳香環含有重合性不飽和モノマーとしては、スチレンが好ましい。上記芳香環含有重合性不飽和モノマー以外のモノマー(c)としては、上記にて例示した範囲内から適宜選択すればよい。
リン酸基含有樹脂
前記リン酸基含有樹脂は、前記リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)、前記水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)並びに該モノマー(a)及び該モノマー(b)以外の前記重合性不飽和モノマー(c)を共重合させることにより得られる。
上記リン酸基含有樹脂中における上記モノマー(a)由来の構成単位、上記モノマー(b)由来の構成単位及び上記モノマー(c)由来の構成単位の割合は、厳密に制限されるものではなく、形成される共重合体に望まれる物性等に応じて適宜設定すればよいが、特に、リン酸基含有樹脂を基準にして、以下の範囲とすることが好適である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)由来の構成単位:3〜80質量%程度、好ましくは5〜70質量%程度、より好ましくは10〜60質量%程度、
水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)由来の構成単位:3〜40質量%程度、好ましくは5〜35質量%程度、より好ましくは10〜30質量%程度、
重合性不飽和モノマー(c)由来の構成単位:1〜94質量%程度、好ましくは5〜90質量%程度、より好ましくは10〜80質量%程度。
共重合に際しての上記モノマー(a)、(b)及び(c)の使用割合は、厳密に制限されるものではないが、上記リン酸基含有樹脂中の各構成単位の割合が上記範囲内になるよう設定することが好ましい。具体的に、モノマー(a)、(b)及び(c)の合計質量を基準として、上記モノマー(a)、(b)及び(c)の使用割合を以下の範囲内とすることが好適である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a):3〜80質量%程度、好ましくは5〜70質量%程度、より好ましくは10〜60質量%程度、
水酸基含有重合性不飽和モノマー(b):3〜40質量%程度、好ましくは5〜35質量%程度、より好ましくは10〜30質量%程度、
重合性不飽和モノマー(c):1〜94質量%程度、好ましくは5〜90質量%程度、より好ましくは10〜80質量%程度。
上記モノマー(c)の一部として芳香環含有重合性不飽和モノマーを共重合させる場合の該芳香環含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の合計量を基準にして、5〜60質量%程度が好ましく、10〜50質量%程度がより好ましく、20〜40質量%程度がさらに好ましい。
上記モノマー(a)、(b)及び(c)の共重合は、公知の方法に従って行うことができる。公知の方法としては、例えば、有機溶剤中での溶液重合法、水性媒体中でのエマルション重合法などが挙げられる。なかでも、上記溶液重合法が好適である。
上記溶液重合法による共重合法としては、例えば、上記モノマー(a)、モノマー(b)、モノマー(c)及びラジカル重合開始剤の混合物を、有機溶媒に溶解もしくは分散させ、撹拌しながら加熱して重合させる方法を挙げることができる。
上記有機溶媒としては、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド等のアミド系溶剤;1,3−ジメチル−2−イミダゾーリジノンなどのウレア系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;テトラメチレンスルホン等のスルホン系溶剤;スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500(いずれも商品名、コスモ石油社製)等の芳香族石油系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。この中でも特に、エーテル系溶剤が好ましい。
上記有機溶剤の使用量は、上記モノマー(a)、モノマー(b)及びモノマー(c)の合計量100質量部あたり400質量部以下が好ましく、40〜200質量部がより好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等が挙げられる。
上記有機過酸化物系重合開始剤としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキン)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類等が挙げられる。
上記アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン2,2'−アゾビスメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
これらラジカル重合開始剤については、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。特に、上記ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物系重合開始剤が好ましく、パーオキシエステル類がより好ましい。
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、上記モノマー(a)、モノマー(b)及びモノマー(c)の合計量100質量部あたり0.1〜15質量部程度が好ましく、0.3〜10質量部程度がより好ましい。
上記重合反応において、上記モノマー(a)、モノマー(b)、モノマー(c)及び重合開始剤の添加方法は、特に制約されるものではないが、重合開始剤については重合初期に一括仕込みするよりも、重合初期から重合後期にわたって数回に分けて分割滴下する方がよい。該分割滴下は、重合反応における温度制御、ゲル化物のような不良な架橋物の生成の抑制などの点で有利である。
加熱温度は、通常、80〜200℃程度である。加熱時間は、通常、1〜10時間程度である。
上記リン酸基含有樹脂の酸価は、通常20〜200mgKOH/g程度、好ましくは40〜170mgKOH/g程度、より好ましくは70〜150mgKOH/g程度である。
上記リン酸基含有樹脂の水酸基価は、通常15〜150mgKOH/g程度、好ましくは30〜120mgKOH/g程度、より好ましくは50〜100mgKOH/g程度である。
上記リン酸基含有樹脂の数平均分子量は、通常2,000〜100,000程度、好ましくは5,000〜80,000程度、より好ましくは10,000〜60,000程度である。
なお、本明細書における数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(商品名「HLC8120GPC」東ソー社製)で測定した数平均分子量を、ポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。この測定において、カラムとして「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも商品名、東ソー社製)の4本を用いた。その他の測定条件は次の通りである。
移動相:テトラヒドロフラン、設定温度:40℃、流速:1mL/min、検出器:RI
水性メタリック塗料組成物
本発明の水性メタリック塗料組成物は、(1)前記リン酸基含有樹脂及び(2)メタリック顔料を含有する。特に、該リン酸基含有樹脂は、メタリック顔料と水との反応を抑制するための添加剤、すなわち該反応による水素ガスの発生を抑制するための不活性化剤(passivator)として極めて有用である。従って、上記水性メタリック塗料組成物は、上記リン酸基含有樹脂を含有することにより、水との反応によるメタリック顔料の腐食を長期間防止又は抑制できる。
しかも、該リン酸基含有樹脂を配合することにより、メタリック顔料が塗面に対して平行かつ均一に配向するため、メタリックムラが抑制又は防止された優れた外観を有する塗膜を形成できる。また、付着性、耐水密着性などの塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる。
上記リン酸基含有樹脂が上記の如き優れた特性を発現する機構は明確ではないが、該リン酸基含有樹脂の主鎖とリン酸基をつなぐ側鎖中に、オキシアルキレン鎖に由来する比較的親水性の部分と炭化水素基に由来する比較的疎水性の部分が存在することによって、該リン酸基含有樹脂がメタリック顔料を水性媒体中に均一に分散させるため、メタリック顔料の配向性が向上して塗膜外観が向上し、さらに、メタリック顔料と塗膜形成樹脂(基体樹脂)とがなじみやすくなることにより、メタリック顔料と塗膜形成樹脂との相互作用が強くなり、付着性及び耐水密着性に優れた強固な塗膜が形成されるものと考えられる。
本発明の水性メタリック塗料組成物は、メタリック顔料100質量部に対して、前記リン酸基含有樹脂を固形分として通常0.1〜50質量部程度、好ましくは2〜40質量部程度、より好ましくは5〜30質量部程度含有する。
上記水性メタリック塗料組成物は、例えば、基体樹脂、硬化剤、上記リン酸基含有樹脂及びメタリック顔料を水性媒体中で混合し分散させることにより調製できる。
上記基体樹脂としては、従来から水性塗料組成物に使用されている公知の樹脂を使用することができる。例えば、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの水溶性又は水分散性の樹脂が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。これらの樹脂は、その分子中に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を一種又は二種以上で有していることが好ましい。
硬化剤としては、上記架橋性官能基と反応し得る化合物が挙げられる。例えば、メラミン樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物などが挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
上記水性メタリック塗料組成物を調製する際の上記基体樹脂と上記硬化剤との配合比率(上記基体樹脂/上記硬化剤)は、これら両者の合計固形分質量を基準にして、通常90/10〜50/50、好ましくは80/20〜60/40である。
上記メタリック顔料は、塗膜にキラキラとした光輝感や光干渉性模様を付与する顔料である。具体的には、アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウムなどを挙げることができる。この中でもアルミニウムを好適に使用することができる。これらの顔料は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのメタリック顔料はりん片状であることが好ましい。
りん片状のメタリック顔料としては、長手方向寸法が通常1〜100μm程度、好ましくは5〜40μm程度であり、厚さが通常0.0001〜5μm程度、好ましくは0.001〜2μm程度のものを好適に用いることができる。
上記水性メタリック塗料組成物を調製する際のメタリック顔料の配合量は、固形分として基体樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して、通常1〜50質量部程度、好ましくは5〜40質量部程度、より好ましくは10〜30質量部程度である。
上記リン酸基含有樹脂を配合するのに先だって、予め該リン酸基含有樹脂を塩基で中和しておいてもよい。該塩基としては、例えば、アンモニア、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノールなどが挙げられる。これらの塩基は一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
上記水性メタリック塗料組成物には、必要に応じて、さらに、ソリッドカラー顔料、体質顔料、親水性有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤などの塗料添加物を配合してもよい。これら塗料添加物については一種単独で又は二種以上を組み合わせて配合できる。
上記水性メタリック塗料組成物の調製方法としては、予め上記リン酸基含有樹脂と上記メタリック顔料とを混合することにより顔料分散液を調製しておき、その顔料分散液を上記基体樹脂、上記硬化剤などと共に水性媒体中で混合し分散させる方法が好ましい。より具体的には、例えば、固形分含有率を30〜70質量%程度に調整した上記リン酸基含有樹脂の溶液に、上記メタリック顔料を上記配合比率で均一に混合することにより、該メタリック顔料の表面に該リン酸基含有樹脂を吸着させ、次いで、上記塩基で中和し、分散せしめてから、これらを基体樹脂や硬化剤などと共に水中で混合、分散せしめる方法が好ましい。
水性メタリック塗料組成物を用いた塗膜形成
前記水性メタリック塗料組成物は、被塗物上に、塗膜を形成できる。該塗膜は、優れた付着性、耐水密着性及び外観を有する。
上記被塗物としては、特に制限されず、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができる。なかでも、自動車車体の外板部および自動車部品が好ましい。
また、上記被塗物の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができる。なかでも、金属材料およびプラスチック材料が好適である。
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。さらに、該被塗物は、上記金属材料や車体等に、電着塗料などの下塗り塗料を塗装し、さらに必要に応じて中塗り塗料などを塗装し、硬化させることにより、(複層)塗膜が形成されたものであってもよい。上記下塗り塗料及び中塗り塗料の種類については、従来から下塗り塗料及び中塗り塗料として使用されている塗料を使用すればよい。特に、上記被塗物としては、カチオン電着塗料による下塗り塗膜及び中塗り塗膜が形成された車体がより好ましい。上記塗装方法、硬化条件等についても公知の方法、条件に従えばよい。上記(複層)塗膜の厚みについても、従来の下塗り塗膜、中塗り塗膜の厚みと同様である。
水性メタリック塗料組成物は、例えば、回転霧化方式の静電塗装機、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機等の塗装機を用いて塗装することができる。特に、回転霧化方式の静電塗装機を用いて塗装することが好ましい。
水性メタリック塗料組成物は、硬化塗膜で5〜30μm程度の膜厚となるように塗装することが好ましく、10〜25μm程度の膜厚となるように塗装することがより好ましい。
水性メタリック塗料組成物を用いて形成されるメタリック塗膜は、100〜170℃程度の温度で10〜40分間程度加熱することにより硬化させることができる。
硬化又は未硬化のメタリック塗膜に、さらにクリヤー塗料を塗装することもできる。特に、クリヤー塗料を塗装する場合には、上記メタリック塗膜は、未硬化の状態であることが望ましい。具体的には、上記水性メタリック塗料組成物を塗装後、ウェット状態のメタリック塗膜に対して、該塗膜が硬化しない温度でプレヒート(予備乾燥)を行なった後、クリヤー塗料を塗装することが好ましい。
上記プレヒートの温度は、50〜100℃程度であることが好ましい。上記プレヒートの時間は、30秒間〜10分間程度が好ましく、1〜5分間程度がより好ましい。上記プレヒートには、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を使用することができる。
未硬化のメタリック塗膜上に、クリヤー塗料を回転霧化方式の静電塗装機、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機等の塗装機を用いて塗装することによりクリヤー塗膜を形成した後、加熱して両塗膜を同時に硬化させること(2コート1ベイク方式)により、優れた外観を有する塗膜を形成することができる。加熱温度は、100〜180℃程度が好ましく、120〜160℃程度がより好ましい。加熱時間は、10〜40分間程度が好ましい。
本発明の水性メタリック塗料組成物は、上記リン酸基含有樹脂を含有することにより、水との反応によるメタリック顔料の腐食を長期間防止又は抑制できる。
しかも、本発明の水性メタリック塗料組成物は、該リン酸基含有樹脂を含有することにより、メタリック顔料が塗面に対して平行かつ均一に配向するため、メタリックムラが抑制又は防止された優れた外観を有する塗膜を形成できる。また、付着性、耐水密着性などの塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−1)の製造
製造例1
反応容器に、メタクリル酸112部及びテトラメチルアンモニウムブロミド2.42部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.24部を入れ、ブチルグリシジルエーテル130部を2時間かけて滴下した後、70〜80℃に昇温して反応させた。ガスクロマトグラフにより未反応のブチルグリシジルエーテルが無くなったことを確認した後、アルカリ水洗により過剰量のメタクリル酸を除去した。
メタクリル酸を除去した後、上記反応容器に、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.7部を加え、空間部分を窒素置換した後、50℃以下に保ちながらプロピレンオキサイド157部を圧入し、2時間熟成を行なうことにより、水酸基を有する重合性不飽和モノマーを得た。なお、熟成後、反応容器に水を添加し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を失活させた。
更に、上記で得られた水酸基を有する重合性不飽和モノマー373部を反応容器に入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化リン68.2部を少量ずつ加えた。五酸化リンを全量添加した後、60℃で5時間熟成し、イオン交換水10.5部を加え、さらに80℃で5時間熟成を行うことにより、酸価が約210mgKOH/gのリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−1)を得た。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−1)は、前記一般式(I)で、Rがメチル基、Rがn−ブチル基、Rがプロピレン基、mが0、nが2.7である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−2)の製造
製造例2
反応容器に、メタクリル酸112部及びテトラメチルアンモニウムブロミド2.42部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.24部を入れ、ブチルグリシジルエーテル130部を2時間かけて滴下した後、70〜80℃に昇温して反応させた。ガスクロマトグラフにより未反応のブチルグリシジルエーテルが無くなったことを確認した後、アルカリ水洗により過剰量のメタクリル酸を除去した。
メタクリル酸を除去した後、上記反応容器に、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体4.7部を加え、空間部分を窒素置換した後、50℃以下に保ちながらプロピレンオキサイド256部を圧入し、2時間熟成を行なうことにより、水酸基を有する重合性不飽和モノマーを得た。なお、熟成後、反応容器に水を添加し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を失活させた。
更に、上記で得られた水酸基を有する重合性不飽和モノマー471部を反応容器に入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化リン68.2部を少量ずつ加えた。五酸化リンを全量添加した後、60℃で5時間熟成し、イオン交換水10.5部を加え、さらに80℃で5時間熟成を行うことにより、酸価が約160mgKOH/gのリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−2)を得た。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−2)は、前記一般式(I)で、Rがメチル基、Rがn−ブチル基、Rがプロピレン基、mが0、nが4.4である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−3)の製造
製造例3
反応容器に、メタクリル酸112部及びテトラメチルアンモニウムブロミド2.42部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.24部を入れ、ブチルグリシジルエーテル130部を2時間かけて滴下した後、70〜80℃に昇温して反応させた。ガスクロマトグラフにより未反応のブチルグリシジルエーテルが無くなったことを確認した後、アルカリ水洗により過剰量のメタクリル酸を除去した。
メタクリル酸を除去した後、上記反応容器に、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.7部を加え、空間部分を窒素置換した後、50℃以下に保ちながらエチレンオキサイド22部及びプロピレンオキサイド128部を圧入し、2時間熟成を行なうことにより、水酸基を有する重合性不飽和モノマーを得た。なお、熟成後、反応容器に水を添加し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を失活させた。
更に、上記で得られた水酸基を有する重合性不飽和モノマー366部を反応容器に入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化リン68.2部を少量ずつ加えた。五酸化リンを全量添加した後、60℃で5時間熟成し、イオン交換水10.5部を加え、さらに80℃で5時間熟成を行うことにより、酸価が約200mgKOH/gのリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−3)を得た。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−3)は、前記一般式(I)で、Rがメチル基、Rがn−ブチル基、Rがエチレン基及びプロピレン基、mが0、nが2.7である。該エチレン基と該プロピレン基の比率(該エチレン基/該プロピレン基)は0.5/2.2である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−4)の製造
製造例4
反応容器に、メタクリル酸112部及びテトラメチルアンモニウムブロミド2.42部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.24部を入れ、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル186部を2時間かけて滴下した後、70〜80℃に昇温した。ガスクロマトグラフにより未反応の2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが無くなったことを確認した後、アルカリ水洗により過剰量のメタクリル酸を除去した。
メタクリル酸を除去した後、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.9部を加え、空間部分を窒素置換した後、50℃以下に保ちながらプロピレンオキサイド116部を圧入し、2時間熟成を行なうことにより、水酸基を有する重合性不飽和モノマーを得た。なお、熟成後、反応容器に水を添加し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を失活させた。
更に、上記で得られた水酸基を有する重合性不飽和モノマー388部を反応容器に入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化リン68.2部を少量ずつ加えた。五酸化リンを全量添加した後、60℃で5時間熟成し、イオン交換水10.5部を加え、さらに80℃で5時間熟成を行うことにより、酸価が約190mgKOH/gのリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−4)を得た。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−4)は、前記一般式(I)で、Rがメチル基、Rが2−エチルヘキシル基、Rがプロピレン基、mが0、nが2である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−5)の製造
製造例5
反応容器に、メタクリル酸112部及びテトラメチルアンモニウムブロミド2.42部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.24部を入れ、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル186部を2時間かけて滴下した後、70〜80℃に昇温した。ガスクロマトグラフにより未反応の2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが無くなったことを確認した後、アルカリ水洗により過剰量のメタクリル酸を除去した。
メタクリル酸を除去した後、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.6部を加え、空間部分を窒素置換した後、50℃以下に保ちながらエチレンオキサイド88部を圧入し、2時間熟成を行うことにより、水酸基を有する重合性不飽和モノマーを得た。なお、熟成後、反応容器に水を添加し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を失活させた。
更に、上記で得られた水酸基を有する重合性不飽和モノマー360部を反応容器に入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化リン68.2部を少量ずつ加えた。五酸化リンを全量添加した後、60℃で5時間熟成し、イオン交換水10.5部を加え、さらに80℃で5時間熟成を行うことにより、酸価が約200mgKOH/gのリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−5)を得た。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−5)は、前記一般式(I)で、Rがメチル基、Rが2−エチルヘキシル基、Rがエチレン基、mが0、nが2である。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−6)の製造
製造例6
反応容器に、メタクリル酸112部及びテトラメチルアンモニウムブロミド2.42部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.24部を入れ、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル149部と2−エチルヘキシルアルコール−プロピレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル(上記一般式(II)においてpが1)49部の混合物を2時間かけて滴下した後、70〜80℃に昇温した。ガスクロマトグラフにより未反応の2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが無くなったことを確認した後、アルカリ水洗により過剰量のメタクリル酸を除去した。
メタクリル酸を除去した後、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.9部を加え、空間部分を窒素置換した後、50℃以下に保ちながらプロピレンオキサイド105部を圧入し、2時間熟成を行うことにより、水酸基を有する重合性不飽和モノマーを得た。なお、熟成後、反応容器に水を添加し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を失活させた。
更に、上記で得られた水酸基を有する重合性不飽和モノマー388部を反応容器に入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化リン68.2部を少量ずつ加えた。五酸化リンを全量添加した後、60℃で5時間熟成し、イオン交換水10.5部を加え、さらに80℃で5時間熟成を行うことにより、酸価が約190mgKOH/gのリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−6)を得た。
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−6)は、前記一般式(I)で、Rがメチル基、Rが2−エチルヘキシル基、Rがプロピレン基、Rがプロピレン基、mが0.2、nが1.8である。
リン酸基含有樹脂の製造
製造例7
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル120部を入れ、110℃に加熱し、同温度に保持しつつ、製造例1で得たリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a−1)48部、4−ヒドロキシブチルアクリレート15部、スチレン35部、n−ブチルアクリレート2部及びtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部からなる混合物(I)106部を4時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌熟成を行なった。その後、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル30部とからなるラジカル重合開始剤溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間攪拌熟成することにより、固形分濃度40%のリン酸基含有樹脂溶液(P1)を得た。得られたリン酸基含有樹脂の酸価は96mgKOH/g、水酸基価は56mgKOH/g、数平均分子量は約40,000であった。
製造例8〜21、比較製造例1〜6
製造例7において、混合物(I)の代わりに下記表1に示す配合割合の混合物を使用する以外は、製造例7と同様にして、固形分濃度40%のリン酸基含有樹脂(P2)〜(P21)を得た。得られたリン酸基含有樹脂(P2)〜(P21)の酸価及び水酸基価を製造例7のリン酸基含有樹脂(P1)と併せて下記表1に示す。また、得られたリン酸基含有樹脂(P2)〜(P21)の数平均分子量はいずれも約40,000であった。
Figure 2009221354
(注1)PLACCEL FM3:商品名、ダイセル化学工業社製、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトン3モルを付加したモノマー。
(注2)ライトエステルP−1M:商品名、共栄社化学社製、アシッドホスホキシエチルメタクリレート。
(注3)Phosmer PE:商品名、ユニケミカル社製、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート。
(注4)Phosmer PP:商品名、ユニケミカル社製、アシッドホスホキシポリオキシプロビレングリコールモノメタクリレート。
アクリル樹脂エマルション(AC)の製造
製造例22
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水130部及びアクアロンKH−10(注5)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで、下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を、3時間かけて同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却した。得られた混合液を100メッシュのナイロンクロスで濾過することにより、濾液として分散質の平均粒子径が100nm、固形分濃度が30%のアクリル樹脂エマルション(AC)を得た。得られたアクリル樹脂の酸価は33mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/gであった。
なお、上記平均粒子径は、上記アクリル樹脂エマルションを脱イオン水で希釈したものをサブミクロン粒度分布測定装置(商品名「COULTER N4型」ベックマン・コールター社製)を用いて20℃で測定した値である。
(注5)アクアロンKH−10:商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、アクアロンKH−10 0.72部、アリルメタクリレート2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌することにより、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、アクアロンKH−10 0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌することにより、モノマー乳化物(2)を得た。
ポリエステル樹脂の製造
製造例23
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、昇温させた。該昇温に際しては、160℃から230℃になるまでに3時間を要した。昇温後、230℃で4時間縮合反応させた。生成した縮合水は水分離器により留去した。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに、無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈することにより、固形分濃度70%のポリエステル樹脂溶液(PE)を得た。得られたポリエステル樹脂の酸価は46mgKOH/g、水酸基価は150mgKOH/g、数平均分子量は1,400であった。
水性メタリック塗料の製造例
実施例1
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、製造例7で得たリン酸基含有樹脂溶液(P1)10部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合することにより、顔料分散液を得た。
次に、製造例22で得たアクリル樹脂エマルション(AC)110部、製造例23で得たポリエステル樹脂溶液(PE)53部、上記の顔料分散液64部及びメラミン樹脂(商品名「サイメル325」日本サイテックインダストリーズ社製、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」ロームアンドハース社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えることにより、pH8.0、塗料固形分23%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性メタリック塗料(X1)を得た。
実施例2〜15、比較例1〜6
製造例7で得たリン酸基含有樹脂溶液(P1)の代わりに、製造例8〜21で得たリン酸基含有樹脂溶液(P2)〜(P15)又は比較製造例1〜6で得たリン酸基含有樹脂溶液(P16)〜(P21)を使用する以外は、実施例1と同様にして、pH8.0、塗料固形分23%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性メタリック塗料(X2)〜(X21)を得た。
塗料性能試験
<ガス発生量>
実施例1〜15及び比較例1〜6で得た水性メタリック塗料組成物(X1)〜(X21)(いずれも固形分含有率は23%であり、塗料中のアルミニウム顔料の含有率は2.7%である)150gを容量300mlの三角フラスコの底部に入れ、この容器中央部にメスピペットをほぼ垂直方向に差し込み、メスピペットの下端部が水性メタリック塗料中に没し且つ該メスピペットの下端部と該フラスコ底部との間に約5mmの隙間がある状態を保持した。そして、メスピペットの外側と三角フラスコの蓋部内側をコルク栓などで密閉し、外部から遮断しておき、メスピペットの内側は外部と連通させておいた。これを40℃で10日間貯蔵し、貯蔵中に発生したガスの圧力で押し上げられたメスピペット内部の水性メタリック塗料の体積をメスピペットの目盛りから読み取った。その結果を表2に示す。
試験板の作製
上記実施例1〜15及び比較例1〜6で得られた水性メタリック塗料組成物(X1)〜(X21)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製した。
りん酸亜鉛処理された冷延鋼板に熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料(商品名「エレクロンGT−10」関西ペイント社製)を乾燥膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。その上に有機溶剤型中塗り塗料(商品名「TP−65−2」関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系)を乾燥膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
上記試験用被塗物に上記実施例1で得た水性メタリック塗料(X1)を、回転霧化型のベル型塗装機を用いて、乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、その未硬化の塗面上にアクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料(商品名「マジクロンKINO−1210」関西ペイント社製)を乾燥膜厚40μmとなるように塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱し、この両塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例2〜15及び比較例1〜6で得られた水性メタリック塗料組成物(X2)〜(X21)を塗装した試験板についても上記と同様にして作製した。
塗膜性能試験
上記で得られた各試験板を用いて、塗膜の付着性、耐水密着性及び外観を評価した。具体的な試験方法及び評価方法は下記の通りである。結果を下記表2に示す。
<付着性>
試験板上の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作った。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べた。
◎:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなハガレが生じていない
○:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなハガレが生じている
△:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する
×:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
<耐水密着性>
試験板を40℃の温水に240時間浸漬後、引き上げ、室温(25℃)で12時間乾燥してから、上記付着性試験と同様の試験を行なった。なお、評価方法は、上記付着性試験と同じである。
<塗膜外観>
各試験板を目視し、下記基準で塗膜外観を評価した。
◎:メタリックムラがほとんど認められず、極めて優れた塗膜外観を有する。
○:メタリックムラがわずかに認められるが、優れた塗膜外観を有する。
△:メタリックムラが認められ、塗膜外観がやや劣る。
×:メタリックムラがかなり又は著しく認められ、塗膜外観が劣る。
Figure 2009221354

Claims (9)

  1. (1)(a)下記一般式(I)
    Figure 2009221354
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。Rは、炭素数1〜36の炭化水素基又はアシル基を示す。R及びRは、独立して炭素数2〜4のアルキレン基を示す。mは0〜50の実数を示す。mが2以上のとき、R同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1〜50の実数を示す。nが2以上のとき、R同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表されるリン酸基含有重合性不飽和モノマー、
    (b)水酸基含有重合性不飽和モノマー、並びに
    (c)該モノマー(a)及び該モノマー(b)以外の重合性不飽和モノマー
    を共重合させることにより得られるリン酸基含有樹脂と、
    (2)メタリック顔料
    とを含有する水性メタリック塗料組成物。
  2. 前記リン酸基含有樹脂中における前記モノマー(a)由来の構成単位、前記モノマー(b)由来の構成単位及び前記モノマー(c)由来の構成単位の割合が、リン酸基含有樹脂を基準にして、それぞれ3〜80質量%、3〜40質量%及び1〜94質量%である請求項1に記載の水性メタリック塗料組成物。
  3. 前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の使用割合が、前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の合計量を基準にして、それぞれ3〜80質量%、3〜40質量%及び1〜94質量%である請求項1又は2に記載の水性メタリック塗料組成物。
  4. 前記モノマー(c)の一部として芳香環含有重合性不飽和モノマーを共重合させる場合の該芳香環含有重合性不飽和モノマーの使用割合が、前記モノマー(a)、前記モノマー(b)及び前記モノマー(c)の合計量を基準にして、5〜60質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
  5. リン酸基含有樹脂の水酸基価が15〜150mgKOH/gである請求項1〜4のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
  6. メタリック顔料100質量部に対して、リン酸基含有樹脂を固形分として0.1〜50質量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
  7. メタリック顔料がアルミニウムである請求項1〜6のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
  8. さらに基体樹脂及び硬化剤を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の水性メタリック塗料組成物が塗装された物品。
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