JP2009220210A - ガンドリル - Google Patents

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Abstract

【課題】切刃やガイドパッドがロウ付けタイプであったり、切切屑排出溝の開き角度が大きかったり、工具径が小さい場合でも、切削部位へ充分なクーラントを供給でき、切削部位から切屑を効率よく排出して高い加工能率を達成できるガンドリルを提供する。
【解決手段】工具シャンク1と切削ヘッド2の内部にクーラント供給路3a,3bを有し、工具シャンク1の基部側から切削ヘッド2先端にわたる外周面に、直線状に長手方向に沿う1本の切屑排出溝4を備えたガンドリルにおいて、切削ヘッド2は、切屑排出溝4に対して背面側の外周面部20aに、ヘッド長手方向中間部からヘッド先端に至るクーラント導出溝5が形成され、クーラント導出溝5の基端側にクーラント供給路3bに連通するクーラント導出口5aが開口してなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、深穴加工に使用されるガンドリルに関する。
深穴加工方式としてガンドリル方式、エジェクタ方式(ダブルチューブ方式)、シングルチューブ方式等の種々の方式が知られるが、小径の深穴加工にはガンドリル方式が適している。すなわち、ガンドリル方式では、例えば図7に示すように、一般的に横断面2/3〜3/4円形で中空の工具シャンク51の先端に同様横断外形の切削ヘッド52を設けたガンドリルを用い、工具シャンク51及び切削ヘッド52内のクーラント供給路53a,53bを通して供給されるクーラントをヘッド先端面のクーラント吐出口54,54から切削部位へ供給しつつ切削を行うと共に、この切削に伴って発生する切屑をクーラントと一緒に工具シャンク51外周の長手方向に沿う断面V字状の切屑排出溝55を通して外部へ排出するようになっており(特許文献1)、小径でも切屑排出溝55の流路断面積を大きく取れることに加え、クーラントの送り圧が工具長さによって決まり、切削穴が深くなっても送り圧を高める必要がないことから、小径の深穴加工に適している。なお、図7中、56は切削ヘッド52の先端部において切屑排出溝55に臨んで一体形成された切刃、57は切削ヘッド52の切屑排出溝55から外れた外周部の先端側に固着されたガイドパッドである。
特開2004−130413号公報の図5
このようなガンドリル方式を含めて、深穴加工における加工能率を高めるには、切削部位へのクーラントの供給を多くして切屑の排出を促進することが重要である。しかしながら、ガンドリルにおいて、切削性や加工精度を高めるために切削ヘッドの切刃やガイドパッドとして超硬合金、セラミック、サーメット等の硬質材料からなるチップをロウ付けする構成としたり、切屑の排出性を高めるために切屑排出溝の断面V字状の開き角度を大きく設定した場合、切削ヘッド本体の先端側の肉部断面が小さくなり、切削工具としての強度を確保する上でクーラント供給路の孔径を大きく取れず、これによって切削部位へのクーラント供給量が制限されるために加工能率を高めることが困難になり、特に工具径が小さくなるほどクーラントの供給不足に陥り易いという難点があった。
本発明は、上述の情況に鑑み、ガンドリルとして、切刃やガイドパッドがロウ付けタイプであったり、切切屑排出溝の開き角度が大きかったり、また工具径が小さい場合でも、切削部位へ充分なクーラントを供給でき、もって切削部位から切屑を効率よく排出して高い加工能率を達成できるものを提供することを目的としている。
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係るガンドリルは、工具シャンク1とその先端部に装着される切削ヘッド2の内部に、両者1,2を連通するクーラント供給路3a,3bを有すると共に、該工具シャンク1の基部側から切削ヘッド2先端にわたる外周面に、直線状に長手方向に沿う1本の切屑排出溝4を備え、切削ヘッド2は、切屑排出溝4に対して背面側の外周面部20aに、ヘッド長手方向中間部からヘッド先端に至るクーラント導出溝5が形成され、該クーラント導出溝5の基端側に、クーラント供給路3bに連通するクーラント導出口5aが開口してなることを特徴としている。
請求項2の発明は、上記請求項1のガンドリルにおいて、切削ヘッド2の先端側外周面の周方向二カ所に、ガイドパッド7,7がロウ付けされ、両ガイドパッド7,7間の外周面部20aに、クーラント導出溝5が形成されてなる構成としている。
請求項3の発明は、上記請求項2のガンドリルにおいて、クーラント導出口5aの後部側に、周方向に沿う逆流止め突条部21が両側のガイドパッド7,7間にわたって形成されてなる構成としている。
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかのガンドリルにおいて、切削ヘッド2の先端部に、切屑排出溝4に臨んで切刃チップ8がロウ付けされてなる構成としている。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれかのガンドリルにおいて、切屑排出溝4が断面V字形で、そのV字形の開き角度θが110〜130度である構成としている。
請求項6の発明は、上記請求項1〜5のいずれかのガンドリルにおいて、工具シャンク1の少なくとも先端側が内側全体をクーラント供給路とするパイプ材10からなり、切削ヘッド2側のクーラント供給路3bが工具シャンク1側のクーラント供給路3aに連通する2本のクーラント流通孔31、32より構成されると共に、両クーラント流通孔31、32がクーラント導出溝5のクーラント導出口5aで合流してなる構成としている。
請求項7の発明は、上記請求項1〜6のいずれかのガンドリルにおいて、切削ヘッド2の先端面20bにクーラント供給路3bに連通する一つのクーラント吐出口9が開口してなる構成としている。
本発明の効果について図面の参照符号を付して説明する。まず請求項1の発明に係るガンドリルでは、切削ヘッド2の切屑排出溝4に対して背面側の外周面部20aに、その長手方向中間部からヘッド先端に至るクーラント導出溝5が形成され、その切削ヘッド2内のクーラント供給路3bが該クーラント導出溝5の基端側のクーラント導出口5aに連通していることから、該切削ヘッド2のヘッド本体の肉部断面が小さくとも、また工具径が小さくとも、クーラント導出溝5を通して充分な量のクーラントを切削部位へ供給でき、もって該クーラントによって切屑の排出を促進して深穴加工の加工能率を大きく高めることが可能となる。
請求項2の発明によれば、切削ヘッド2の先端側外周面の周方向二カ所にガイドパッド7,7がロウ付けされ、それだけヘッド本体20の先端側の肉部断面が小さくなるが、両ガイドパッド7,7間の外周面部20に形成されたクーラント導出溝5より、切削部位へクーラントを充分に供給できる。
請求項3の発明によれば、クーラント導出口5aの後部側に逆流止め突条部21を有するから、クーラント供給路3bよりクーラント導出溝5へ導出されたクーラントは、切削孔 H内周と切削ヘッド2 外周との隙間から後方へ逆流することなく、ほぼ全量が該クーラント導出溝5を通って切削ヘッド2先端の切削部位へ放出され、もって高い切屑排出性が確保される。
請求項4の発明によれば、切削ヘッド2の先端部に切屑排出溝4に臨んで切刃チップ8がロウ付けされ、それだけヘッド本体20の肉部断面が小さくなるが、クーラント導出溝5を通して切削部位へクーラントを充分に供給できる
請求項5の発明によれば、切屑排出溝4の断面V字形の開き角度θが110〜130度と大きく設定しているから、クーラント導出溝5を通した切削部位へのクーラントの充分な供給と、広く切屑排出溝4による切屑の良好な排出性とが相俟って、深穴加工の加工能率をより高めることができる。
請求項6の発明によれば、工具シャンク1側のクーラント供給路3aがパイプ材10の内側全体で広く、切削ヘッド2側のクーラント供給路3bもヘッド基端側からクーラント導出口5aまで2本のクーラント流通孔31、32にて構成されるから、充分なクーラント流量を確保でき、もってクーラント導出溝5を通した切削部位へのクーラント供給量を多くして加工能率を更に高めることができる。
請求項7の発明によれば、切削ヘッド2の先端面21に一つのクーラント吐出口9が開口しているから、前記のクーラント導出溝5と該クーラント吐出口9の両方から切削部位へクーラントを供給することにより、切屑の排出を更に促進して加工能率を高めることができる。
以下、本発明に係るガンドリルの実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は第一実施形態のガンドリル全体の側面、図2は図1のA−A線及びB−B線の矢視断面、図3は同ガンドリルの先端面、図4は同ガンドリルの切削ヘッド側を異なる方向から見た側面、図5は深穴加工中における該切削ヘッド側の要部断面、図6は第二実施形態に係るガンドリルの正面及び側面、をそれぞれ示す。
第一実施形態のガンドリルは、図1に示すように、スチール等のパイプ材10からなる長尺の工具シャンク1と、そのV字カットした先端1aに、対応する逆V字(山形)カットした基端2aをロウ付けして同軸状に連結された切削ヘッド2と、該工具シャンク1の基端部を挿嵌固着した径大の筒状ドライバー11とで構成されている。そして、工具シャンク1の基部側から切削ヘッド2の先端にわたる外周面に、長手方向に沿う直線状の1本の切屑排出溝4を備えている。この切屑排出溝4は、工具シャンク1及び切削ヘッド2の中心からの開き角度110〜130°程度の断面V字形をなしている。
工具シャンク1は、パイプ材10をダイス成形等によって基端部1b側を除いて横断面が図2(B)の如く2/3円形になるように成形し、もって外面側に前記切屑排出溝4を形成したものであり、内部空間がクーラント供給路3aを構成している。また、筒状ドライバー11は、図示省略した回転駆動軸のチャック等に把持されて回転駆動力を受ける部位であり、中心線に沿って工具シャンク1のクーラント供給路3aに連通するクーラント供給路3cを備えている。
切削ヘッド2は、図2及び図3に示すように、工具シャンク1に対応して横断面が2/3円形をなすヘッド本体20と、このヘッド本体20の先端側外周面の2箇所にロウ付けされた軸方向に長い蒲鉾形のガイドパッド7,7とで構成されており、ヘッド本体20の先端には切屑排出溝4に臨む切刃6が一体形成されている。
そして、図3及び図4に示すように、ヘッド本体20には、切屑排出溝4に対する背面側の該周面部20aに、ヘッド長手方向中間部からヘッド先端に至る断面略半円形のクーラント導出溝5が、両ガイドパッド7,7間に位置して形成されると共に、基端2aからヘッド長手方向中間部にわたる内部に、工具シャンク1のクーラント供給路3aに連通するクーラント供給路3bとして、2本のクーラント流通孔31、32が形成されており、両クーラント流通孔31、32がクーラント導出溝5の基端側に開口したクーラント導出口5aに合流して連通している。また、クーラント導出口5aの後部側には、両側のガイドパッド7,7間にわたって周方向に沿う逆流止め突条部21が形成されている。
更に、ヘッド本体20の先端面20bには、切屑排出溝4の切刃6側とは反対側の端縁近傍に位置して、一方のクーラント流通孔32に小径の流路孔33を介して連通したクーラント吐出口9が開口している。
なお、この第一実施形態では、ヘッド本体20をWC−Co系の如きタングステンカーバイドを主体とした超硬合金にて形成する一方、ガイドパッド7を超硬合金よりも高硬度の焼結セラミックスやサーメット等で形成しており、各ガイドパッド7をヘッド本体20に予め設けた凹陥部22(図3参照)に嵌合してメタライジング加工法によってロウ付けしている。
図6(A)(B)で示す第二実施形態のガンドリルは、切削ヘッド2の切刃6を切刃チップ8にて構成しているが、それ以外は前記第一実施形態のガンドリルと同様構成であるため、第一実施形態と共通する各部については同一符号を付して説明を省略する。
この第二実施形態では、ヘッド本体20を一般的な工具鋼の如き鉄鋼製とし、ガイドパッド7及び切刃チップ8として超硬合金、焼結セラミックス、サーメット等の硬質材料を用いる。そして、ガイドパッド7及び切刃チップ8は、やはりヘッド本体20に予め設けた凹陥部22,23に嵌合してメタライジング加工法によってロウ付けしている。
上記第一及び第二実施形態のガンドリルによる深穴加工においては、工具シャンク1及び切削ヘッド2内のクーラント供給路3a,3bを通して供給されるクーラントが、主として切削ヘッド2の外周面20aに設けたクーラント導出口5aからクーラント導出溝5へ導出され、このクーラント導出溝5を通って切削部位へ放出される。また、供給されるクーラントの一部は、クーラント供給路3bの一方のクーラント流通孔32より流路孔33を経てヘッド先端面20bのクーラント吐出口9から切削部位へ放出される。そして、切削部位へ放出されたクーラントは、該切削部位で発生する切屑を巻き込んで切屑排出溝4へ流入し、この切屑排出溝4を通って外部へ排出される。
しかして、これら第一及び第二実施形態のガンドリルでは、切削ヘッド2の先端側に2つのガイドパッド7,7(第一実施形態)もしくは両ガイドパッド7,7と切刃チップ8(第2実施形態)がそれぞれロウ付けされる上、切屑排出溝4の断面V字形の開き角度が110〜130°と大きく、それだけヘッド本体20の先端側の肉部断面が小さくなるために内部のクーラント流路の孔径を大きくできないが、ヘッド基端側内部のクーラント供給路3aをヘッド長手方向中間部で外周面側のクーラント導出溝5に連通させ、このクーラント導出溝5によって切削部位へ至る流路断面積を大きく確保できるから、切削部位へ充分な量のクーラントを供給できる。従って、これらガンドリルによれば、切削部位への大きなクーラント供給量と、切屑排出溝4側の大きな流路断面積とが相俟って、非常に優れた切屑排出性が得られ、もって深穴加工の加工能率を大きく向上できる。
なお、第一及び第二実施形態のガンドリルにおいては、クーラント導出口5aの後部側に逆流止め突条部21を有するから、図5で示すように、切削加工中において、切削孔Hの内周と切削ヘッド2の外周との隙間tがクーラント導出口5aの後部側で封じられる。従って、クーラント供給路3bよりクーラント導出溝5へ導出されたクーラントは、該隙間tから後方へ逆流することなく、ほぼ全量が該クーラント導出溝5を通って切削ヘッド2先端の切削部位へ放出されるから、より高い切屑排出性が得られる。
また、両実施形態では、工具シャンク1側のクーラント供給路3aがパイプ材10の内側全体で広くなり、切削ヘッド2側のクーラント供給路3bもヘッド基端側からクーラント導出口5aまで2本のクーラント流通孔31、32にて構成されるから、充分なクーラント流量を確保でき、もってクーラント導出溝5を通した切削部位へのクーラント供給量を多くして加工能率を更に高めることができる。
しかして、両実施形態のガンドリルでは切削ヘッド2の先端面20bにクーラント吐出口9を設けて切屑の排出を更に促進しているが、本発明のガンドリルではヘッド先端面のクーラント吐出口は必須ではなく、特に工具径が小さい場合には切削ヘッドの強度を確保する上でクーラント吐出口を省略することが望ましい。その他、本発明では、切刃2及び切刃チップ8の形状、ガイドパッド7の形状等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
本発明の第一実施形態に係るガンドリルの全体を示す側面図である。 同ガンドリルの要部の断面を示し、(A)は図1のA−A線の断面矢視図、(B)は図1のB−B線の断面矢視図である。 同ガンドリルの切削ヘッド側の正面図である。 同ガンドリルの先端側を図1とは異なる方向から見た側面図である。 同ガンドリルの深穴加工中における切削ヘッド側の要部の縦断側面図である。 本発明の第二実施形態に係るガンドリルを示し、(A)は切削ヘッド側の正面図、(B)は側面図である。 従来のガンドリルの構成例を示し、(A)は全体の側面図、(B)は切削ヘッド側の正面図、(C)は(A)のC−C線の断面矢視図、(D)は(A)のD−D線の断面矢視図である。
符号の説明
1 工具シャンク
10 パイプ材
2 切削ヘッド
20 ヘッド本体
20a 外周面部
20b ヘッド先端面
21 逆流止め突条部
3a,3b クーラント供給路
31,32 クーラント流通孔
4 切屑排出溝
5 クーラント導出溝
5a クーラント導出口
6 切刃
7 ガイドパッド
8 切刃チップ
9 クーラント吐出口

Claims (7)

  1. 工具シャンクとその先端部に装着される切削ヘッドの内部に、両者を連通するクーラント供給路を有すると共に、該工具シャンクの基部側から切削ヘッド先端にわたる外周面に、直線状に長手方向に沿う1本の切屑排出溝を備え、
    切削ヘッドは、前記切屑排出溝に対して背面側の外周面部に、ヘッド長手方向中間部からヘッド先端に至るクーラント導出溝が形成され、該クーラント導出溝の基端側に、前記クーラント供給路に連通するクーラント導出口が開口してなることを特徴とするガンドリル。
  2. 切削ヘッドの先端側外周面の周方向二カ所に、ガイドパッドがロウ付けされ、両ガイドパッド間の外周面部に、前記クーラント導出溝が形成されてなる請求項1に記載のガンドリル。
  3. クーラント導出溝の基端の後部側に、周方向に沿う逆流止め突条部が両側のガイドパッド間にわたって形成されてなる請求項2に記載のガンドリル。
  4. 切削ヘッドの先端部に、前記切屑排出溝に臨んで切刃チップがロウ付けされてなる請求項1〜3のいずれかに記載のガンドリル。
  5. 前記切屑排出溝が断面V字形で、そのV字形の開き角度が110〜130度である請求項1〜4のいずれかに記載のガンドリル。
  6. 工具シャンクの少なくとも先端側が内側全体をクーラント供給路とするパイプ材からなり、切削ヘッド側のクーラント供給路が工具シャンク側のクーラント供給路に連通する2本のクーラント流通孔より構成されると共に、両クーラント流通孔が前記クーラント導出溝のクーラント導出口で合流してなる請求項1〜5のいずれかに記載のガンドリル。
  7. 切削ヘッドの先端面に前記クーラント供給路に連通する一つのクーラント吐出口が開口してなる請求項1〜6のいずれかに記載のガンドリル。
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