JP2010069597A - ドリル - Google Patents
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Abstract
【課題】ドリルボディ3の機械的強度を十分に確保しつつ、ドリルボディ3のランド部7側へ流出した切粉によるドリルボディ3のランド部7の損傷を抑えること。
【解決手段】ドリルボディの先端部に超硬チップ13が設けられ、超硬チップ13の先端面にドリルボディ3の排出溝5に接続した切刃19が形成され、ドリルボディ3のランド部7に放電表面処理により硬質被膜21が形成され、硬質被膜21は、TiC、ステライト金属、又はこれらの複合材料により構成されたこと。
【選択図】図1
【解決手段】ドリルボディの先端部に超硬チップ13が設けられ、超硬チップ13の先端面にドリルボディ3の排出溝5に接続した切刃19が形成され、ドリルボディ3のランド部7に放電表面処理により硬質被膜21が形成され、硬質被膜21は、TiC、ステライト金属、又はこれらの複合材料により構成されたこと。
【選択図】図1
Description
本発明は、穴加工機によって被加工物に対して穴を加工する際に用いられるドリルに関する。
従来から超硬ドリル(ドリルの一例)はよく用いられており(特許文献1及び特許文献2参照)、一般的な超硬ドリルの構成は、次のようになる。
即ち、一般的な超硬ドリルは、ドリルボディを備えており、このドリルボディは、高速度工具鋼等の工具鋼により構成されている。また、ドリルボディの外周面には、切粉(切削屑)を排出可能な複数のねじれ状の排出溝が形成されており、複数の排出溝によって、複数のねじれ状のランド部が区画されている。
ドリルボディの基端部には、穴加工機のドリルチャックに装着可能なドリルシャンクが一体形成されており、このドリルシャンクは、ドリルボディと同様に、高速度工具鋼等の工具鋼により構成されている。また、ドリルボディの先端部には、超硬チップが設けられており、この超硬チップは、超硬合金等の硬質材料により構成されている。更に、超硬チップの先端面には、排出溝と同数の切刃が形成されており、各切刃は、対応する排出溝に接続可能(連通可能)である。
特開昭63−306813号公報
特開昭62−81509号公報
ところで、穴加工機によって穴深さが穴径の3倍以上の深穴を加工する際に、ドリルボディの排出溝において切粉が停滞して、ドリルボディの排出溝からランド部側へ切粉が流出する傾向にある。そのため、穴個数の増加に伴い、ドリルボディのランド部側へ流出した切粉によってドリルボディのランド部の損傷(摩耗)が激しくなって、穴の加工精度の低下を招くことになる。
一方、ドリルボディのランド部にPVD処理、CVD処理、無電解ニッケルメッキ処理により硬質被膜を形成することも考えられる。しかしながら、ドリルボディのランド部にPVD処理又はCVD処理を施す場合には、硬質被膜の耐摩耗性を十分に確保できるものの、超硬ドリルの製造過程においてドリルボディが400°以上の高温環境に置かれることなり、ドリルボディの機械的強度が低下する可能性があるため、好ましくない。また、ドリルボディのランド部に無電解ニッケルメッキ処理を施す場合には、超硬ドリルの製造過程においてドリルボディが高温環境に置かれることはないももの、硬質被膜の耐摩耗性を十分に確保することができず、ドリルボディのランド部側へ流出した切粉によるドリルボディのランド部の損傷を抑えることが困難になる。
つまり、ドリルボディの機械的強度を十分に確保しつつ、ドリルボディのランド部側へ流出した切粉によるドリルボディのランド部の損傷を抑えて、穴の加工精度を維持することは極めて困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のドリルを提供することを目的とする。
本発明の特徴は、穴加工機によって被加工物に対して穴を加工する際に用いられるドリルにおいて、外周面に切粉を排出可能なねじれ状の排出溝が形成され、前記排出溝によってねじれ状のランド部が区画されたドリルボディと、前記ドリルボディの基端部に一体形成され、前記穴加工機のドリルチャックに装着可能なドリルシャンクと、を備え、前記ドリルボディの前記ランド部に放電表面処理により硬質被膜が形成され、前記硬質被膜は、TiC、ステライト金属、又はこれらの複合材料により構成されたことを要旨とする。
ここで、前記ドリルにあっては、前記ドリルボディの先端部に切刃を有したチップが設けられている場合と、前記ドリルボディの先端部に切刃が直接形成されている場合の2つの態様がある。
なお、本願の特許請求の範囲及び明細書中において、「ねじれ状」とは、螺旋状を含む意である。
本発明の特徴によると、前記ドリルボディの前記ランド部に放電表面処理により前記硬質被膜が形成され、前記硬質被膜がTiC等により構成されているため、前記ドリルの製造過程において前記ドリルボディを高温環境に置くことなく、前記硬質被膜の耐摩耗性を十分に確保することができる。
本発明によれば、前記ドリルの製造過程において前記ドリルボディを高温環境に置くことなく、前記硬質被膜の耐摩耗性を十分に確保できるため、前記ドリルボディの機械的強度を十分に確保しつつ、前記ドリルボディの前記ランド部側へ流出した切粉による前記ドリルボディの前記ランド部の損傷を抑えて、穴の加工精度を維持することができる。
本発明の実施形態について図1から図3を参照して説明する。ここで、図1(a)は、本発明の実施形態に係る超硬ドリルの斜視図、図1(b)は、本発明の実施形態に係る超硬チップを先端側から見た拡大図、図2は、本発明の実施形態に係る超硬ドリルの分解斜視図、図3は、本発明の実施形態に係るドリルボディのランド部に放電表面処理を施している様子を示す図である。
図1(a)(b)及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る深穴加工用超硬ドリル1は、穴加工機(図示省略)によってリアクター等の圧力容器における管板等の被加工物(図示省略)に対して、穴径が25mm以上でかつ深さが穴径の3倍以上の深穴を加工する際に用いられるものである。そして、本発明の実施形態に係る深穴加工用超硬ドリル1の具体的な構成等は、以下のようになる。
深穴加工用超硬ドリル1は、ドリルボディ3を備えており、このドリルボディ3は、高速度工具鋼等の工具鋼により構成されている。また、ドリルボディ3の外周面には、切粉を排出可能な一対のねじれ状の排出溝5が形成されており、一対の排出溝5によって、一対のねじれ状のランド部7が区画されている。更に、ドリルボディ3の先端部には、山形状のボディ側嵌合歯9が形成されている
ドリルボディ3の基端部には、穴加工機のドリルチャック(図示省略)に装着可能なドリルシャンク11が一体形成されており、このドリルシャンク11は、ドリルボディ3と同様に、高速度工具鋼等の工具鋼により構成されている。
ドリルボディ3の基端部には、穴加工機のドリルチャック(図示省略)に装着可能なドリルシャンク11が一体形成されており、このドリルシャンク11は、ドリルボディ3と同様に、高速度工具鋼等の工具鋼により構成されている。
ドリルボディ3の先端部には、超硬チップ13が複数の六角穴付ボルト15を介して着脱可能に設けられており、この超硬チップ13は、超硬合金等の超硬材料(硬質材料の一例)により構成されている。また、超硬チップ13の縁部には、ドリルボディ3のボディ側嵌合歯9に嵌合した山形状のチップ側嵌合歯17が形成されている。更に、超硬チップ13の先端面には、一対(排出溝5と同数)の切刃19が形成されており、各切刃19は、対応する排出溝5に接続可能(連通可能)である。なお、超硬チップ13がドリルボディ3の先端部に着脱可能に設けられる代わりに、ロー付けによってドリルボディ3の先端部に一体的に設けられるようにしても構わない。
ドリルボディ3の各ランド部7には、放電表面処理により硬質被膜21が形成されており、硬質被膜21は、TiC、ステライト金属、又はこれらの複合材料により構成されている。より具体的には、図3に示すように、硬質被膜21は、電気絶縁性のある加工液中又は気中において、ドリルボディ3のランド部7と放電電極と23の間にパルス状の放電を発生させて、その放電エネルギーにより、ドリルボディ3のランド部7に放電電極23の電極材料(電極材料の反応物質を含む)を溶着させることによって形成されている。また、硬質被膜21は、パルス状の放電を発生させている間、放電電極23を保持する電極ホルダ25をドリルボディ3に対して相対的にドリルボディ3の軸方向へ移動させつつ、ドリルボディ3を軸心C周りに回転させることによってランド部7のねじれ方向に沿って形成されるものである。ここで、放電電極23は、TiCの粉末、ステライト金属の粉末、又はこれらの混合粉末から圧縮成形又は射出成形されるものであって、放電電極23の先端形状は、ドリルボディ3のランド部7の円周方向に沿う表面形状に対応(近似)している。
なお、超硬チップ13の先端面には、潤滑油を噴出する噴出孔(図示省略)が形成されており、ドリルシャンク11から超硬チップ13に亘って、噴出孔に連通しかつ潤滑油供給源(図示省略)からの潤滑油を供給する供給通路(図示省略)が形成されている。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
ドリルボディ3のランド部7に放電表面処理により硬質被膜21が形成され、硬質被膜21がTiC等により構成されているため、深穴加工用超硬ドリル1の製造過程においてドリルボディ3を高温環境に置くことなく、硬質被膜21の耐摩耗性を十分に確保することができる。
また、超硬チップ13がドリルボディ3の先端部に対して着脱可能であるため、穴加工によって超硬チップ13の切刃19の摩耗が進行した場合に、深穴加工用超硬ドリル1全体を交換するのでなく、超硬チップ13のみを交換すれば足りる。
従って、本発明の実施形態によれば、超硬チップ13のみが超硬材料により構成され、深穴加工用超硬ドリル1の製造過程においてドリルボディ3を高温環境に置くことなく、硬質被膜21の耐摩耗性を十分に確保できるため、深穴加工用超硬ドリル1の材料コストの低減を図った上で、ドリルボディ3の機械的強度を十分に確保しつつ、ドリルボディ3のランド部7側へ流出した切粉によるドリルボディ3のランド部7の損傷を抑えて、深穴の加工精度を維持することができる。
また、穴加工によって超硬チップ13の切刃19の摩耗が進行した場合に、深穴加工用超硬ドリル1全体を交換するのでなく、超硬チップ13のみを交換すれば足りるため、深穴加工用超硬ドリル1全体として寿命を延ばすことができる。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
本発明の実施形態に係る深穴加工用超硬ドリル1を発明品(実施例に係る深穴加工用超硬ドリル)として製造すると共に、本発明の実施形態に係る深穴加工用超硬ドリル1から硬質被膜21のみを省略した深穴加工用超硬ドリルを比較品(比較例に係る深穴加工用超硬ドリル)として製造する。そして、実施例に係る深穴加工用超硬ドリル及び比較例に係る深穴加工用超硬ドリルを用いて、穴加工機によってリアクターの管板に対して深穴(穴径38.6mm及び深さ170mm)を加工した。その結果、比較例に係る深穴加工用超硬ドリルを用いた場合には、400個程度の深穴を加工すると、ドリルボディのランド部の損傷が激しくなったのに対して、実施例に係る深穴加工用超硬ドリルを用いた場合には、800個の深穴を加工しても、ドリルボディのランド部に目立った損傷が見られなかった。
1 深穴加工用超硬ドリル
3 ドリルボディ
5 排出溝
7 ランド部
9 ボディ側嵌合歯
11 ドリルシャンク
13 超硬チップ
15 六角穴付ボルト
17 チップ側嵌合歯
19 切れ刃
21 硬質被膜
23 放電電極
25 電極ホルダ
3 ドリルボディ
5 排出溝
7 ランド部
9 ボディ側嵌合歯
11 ドリルシャンク
13 超硬チップ
15 六角穴付ボルト
17 チップ側嵌合歯
19 切れ刃
21 硬質被膜
23 放電電極
25 電極ホルダ
Claims (4)
- 穴加工機によって被加工物に対して穴を加工する際に用いられるドリルにおいて、
外周面に切粉を排出可能なねじれ状の排出溝が形成され、前記排出溝によってねじれ状のランド部が区画されたドリルボディと、
前記ドリルボディの基端部に一体形成され、前記穴加工機のドリルチャックに装着可能なドリルシャンクと、を備え、
前記ドリルボディの前記ランド部に放電表面処理により硬質被膜が形成され、前記硬質被膜は、TiC、ステライト金属、又はこれらの複合材料により構成されたことを特徴とするドリル。 - 前記硬質被膜は、TiCの粉末、ステライト金属の粉末、又はこれらの混合粉末から成形された放電電極を用い、前記ドリルボディの前記ランド部と前記放電電極との間にパルス状の放電を発生させて、その放電エネルギーにより、前記ドリルボディの前記ランド部に前記放電電極の電極材料を溶着させることによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載のドリル。
- 前記ドリルボディの先端部に設けられ、硬質材料により構成され、先端面に前記排出溝に接続した切刃が形成されたチップと、を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドリル。
- 前記チップは、前記ドリルボディの先端部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項3に記載のドリル。
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JP2008241672A JP2010069597A (ja) | 2008-09-19 | 2008-09-19 | ドリル |
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Citations (2)
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JPH10225824A (ja) * | 1997-02-17 | 1998-08-25 | Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan | 放電表面処理方法及びその処理装置 |
JPH11500967A (ja) * | 1995-03-03 | 1999-01-26 | コメート プレツィジオーンスヴェルクツォイゲ ローベルト ブロイニング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 穿孔工具 |
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2008
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