JP2009220044A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストの上昇を抑制しつつ、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時において、RhおよびPtの優れた触媒活性を発現させることのできる、排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】Rhを含有するアルミナと、下記一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物とを含む上層と、下記一般式(II)で示されるペロブスカイト型複合酸化物を含む下層とを備える排ガス浄化用触媒を調製する。A1 xZr1-yPty3±δ(I)A2 rCe1-(s+t+u)Zrs1 tPtu3±δ'(II)
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用エンジンなどの排ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)を浄化する排ガス浄化用触媒に関する。
自動車などの内燃機関から排出される排気ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)などが含まれている。
これらを浄化するための三元触媒として、活性成分である貴金属(Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)など)が、セリア系複合酸化物、ジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト複合酸化物またはアルミナなどの耐熱性酸化物に、担持または固溶している排ガス浄化用触媒が種々知られている。
排ガス浄化用触媒は、例えば、モノリス担体などの触媒担体に、触媒層として複数積層されて使用される。
例えば、モノリス担体の表面に形成された、La1.02Fe0.95Pd0.053+δ''(δ’’は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)、Ba1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide、Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxideおよびθアルミナを含む下層と、Rh/Zr0.777Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.003Oxide、Ca0.98Zr0.98Pt0.023+δ(δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)およびPt−Rh担持θアルミナを含む上層との2層コートからなる触媒組成物が知られている(特許文献1参照。)。この触媒組成物の上層において、Pt−Rh担持θアルミナのPtおよびRhの担持量は、モノリス担体1Lあたり、いずれも0.1gである。
国際公開パンフレットWO2006/095557
ところが、上層に含まれるθアルミナにおけるPtの担持量とRhの担持量とが同量であると、高温下、酸化還元変動下や長期使用時などにおいて、これらの貴金属が合金化し、これらの触媒活性を十分に発現できない場合がある。
さらに、貴金属は高価であるため、工業的には、なるべく少量で、排ガス浄化性能を有効に発現させることが求められている。
本発明の目的は、コストの上昇を抑制しつつ、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時において、RhおよびPtの優れた触媒活性を発現させることのできる、排ガス浄化用触媒を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の排ガス浄化用触媒は、Rhを含有するアルミナと、下記一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含む上層と、下記一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を含む下層とを備えていることを特徴としている。
1 xZr1-yPty3±δ (I)
(式(I)中、A1は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、yは、0<y≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
2 rCe1-(s+t+u)Zrs1 tPtu3±δ' (II)
(式(II)中、A2は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し
、R1は、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、rは、0.8≦r≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、s、tおよびuは、0<s+t+u<1(0<s<0.5、0<t<0.5、0<u<0.5)の数値範囲の原子割合を示し、δ’は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
また、本明の排ガス浄化用触媒では、前記上層が、下記一般式(III)で示される、Rhを含有するジルコニア系複合酸化物をさらに含み、前記下層が、下記一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物と、下記一般式(V)で示される、Ptが担持されたセリア系複合酸化物と、アルミナとをさらに含んでいることが好適である。
Zr1-(k+m)3 kRhm2-n (III)
(式(III)中、A3は、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素を示し、kは0.01<k<0.8の数値範囲の原子割合を示し、mは0<m≦0.2の数値範囲の原子割合を示し、nは酸素欠陥量を示す。)
4 p1 (1-q)Pdq3±δ'' (IV)
(式(IV)中、A4は、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B1は、遷移元素(希土類元素およびPdを除く。)から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、pは、p≧0.8の数値範囲の原子割合を示し、qは、0<q≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δ''は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
Ce1-(d+e)Zrd3 e2-f (V)
(式(V)中、R3は、希土類元素(Ceを除く。)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、dは0.2≦d≦0.7の数値範囲の原子割合を示し、eは0≦e≦0.2の数値範囲の原子割合を示し、1−(d+e)は0.3≦1−(d+e)≦0.8の数値範囲の原子割合を示し、fは酸素欠陥量を示す。)
本発明の排ガス浄化用触媒によれば、上層において、Rhのみをアルミナに含有させることで、Rhの触媒活性を良好に保持することができる。一方、Ptについては、上記一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物に含有させることで、その触媒活性を良好に保持することができる。
その結果、本発明の排ガス浄化用触媒を使用すれば、高温下または酸化還元変動下、さらには長期使用時において、RhおよびPtの優れた排ガス浄化性能を発現させることができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、Rhを含有するアルミナと、下記一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含む上層と、下記一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を含む下層とを備えている。
1 xZr1-yPty3±δ (I)
(式(I)中、A1は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、yは、0<y≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
2 rCe1-(s+t+u)Zrs1 tPtu3±δ' (II)
(式(II)中、A2は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、R1は、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、rは、0.8≦r≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、s、tおよびuは、0<s+t+u<1(0<s<0.5、0<t<0.5、0<u<0.5)の数値範囲の原子割合を示し、δ’は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
上層において、アルミナとしては、例えば、αアルミナ、θアルミナ、γアルミナなどが挙げられ、好ましくは、θアルミナが挙げられる。
αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、市販品として、住友化学社製 商品名:AKP−53(高純度アルミナ)などが挙げられる。このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる。
θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。具体的には、例えば、プロキャタリゼ社製 商品名:SPHERALITE 531P(γアルミナ)を、大気中にて、1000℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
γアルミナは、結晶層としてγ層を有するものであって、特に制限されず、例えば、排ガス浄化用触媒などに用いられている公知のものが挙げられる。
また、上記のアルミナは、Laおよび/またはBaを含んでいてもよく、すなわち、下記一般式(VI)で表されるものであってもよい。
(Al1-gg23 (VI)
(式中、Dは、Laおよび/またはBaを示し、gは0≦g≦0.5の数値範囲の原子割合を示す。)
Dは、Laおよび/またはBaを示す。gは、0≦g≦0.5の数値範囲のDの原子割合を示す。すなわち、LaやBaは必須成分ではなく、任意的に含まれる任意成分であって、含まれる場合には、0.5以下の原子割合である。LaやBaの原子割合が0.5を超えると、結晶相を保てなくなる場合がある。
一般式(VI)で示されるアルミナは、特に制限されることなく、例えば、後述する共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法によって、製造することができる。具体的には、アルミナとLaおよび/またはBaの塩とを用いて、適切な温度で熱処理(焼成)することによって製造することができる。また、アルミナとLaおよび/またはBaのアルコキシドとを用いて、適切な温度で熱処理(焼成)することによっても製造することができる。
上記したアルミナは、その比表面積が5m2/g以上、さらには、10m2/g以上のものが好ましく用いられる。とりわけ、θアルミナは、その比表面積が、好ましくは50〜150m2/gであり、さらに好ましくは70〜130m2/gである。
なお、上記したアルミナは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。例えば、Laおよび/またはBaの原子割合の異なるアルミナを複数併用してもよい。
本発明の排ガス浄化用触媒の上層では、アルミナが含まれていることによって、Ptを一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物中で安定に存在させながら、上記ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性を、アルミナによって顕著に高めることができる。
その結果、上記ペロブスカイト型複合酸化物においては、高温雰囲気下での長期使用においても、Ptがペロブスカイト型複合酸化物中において微細かつ高分散に保持され、高い触媒活性を維持することができる。また、Ptの使用量を大幅に低減しても、触媒活性を実現することができる。
そして、上記したように、上層におけるアルミナには、Rhが含有されている。つまり、アルミナには、Ptが含有されず、Rhが固溶および/または担持されている。アルミナにRhが固溶されているとは、Rhがアルミナの結晶格子中に配位することにより、アルミナとRhとが固溶体を形成していることである。
一方、アルミナにRhが担持されているとは、Rhがアルミナに固溶することなく、その表面に保持されていることである。
例えば、Rhを担持するアルミナは、特に制限されず、公知の方法で製造することができる。例えば、Rhを含む塩の溶液を調製し、この含塩溶液をアルミナに含浸させた後、熱処理(焼成)することによって製造することができる。
含塩溶液としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩などの溶液が挙げられ、実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。より具体的には、例えば、硝酸ロジウム水溶液、塩化ロジウム水溶液などが挙げられる。
アルミナにRhを含浸させた後は、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成する。
また、アルミナの製造工程において、アルミニウム塩水溶液からアンモニアなどを用いて沈殿させるときに、Rhの塩の溶液を加えて、上記アルミナとともにRhを共沈させて、その後、焼成することによってもアルミナにRhを担持させることができる。
Rhの担持量は、その目的および用途により適宜決定されるが、アルミナに対して、例えば、0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
上層において、一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型の結晶構造を有する複合酸化物である。
このペロブスカイト型複合酸化物において、Aサイトでは、A1で示されるアルカリ土類金属が必ず配位される。
また、Bサイトでは、ZrおよびPtが必ず配位される。
一般式(I)において、A1で示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられ、好ましくは、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
一般式(I)のAサイトにおいて、xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示している。すなわち、A1で示されるアルカリ土類金属は、0.8以上1.3以下の原子割合で必ず含まれている。xが0.8以上1.3以下であると、Ptを、より高い固溶率で、安定して固溶させることができる。xが1.3を超える場合には、上記の複合酸化物以外の副生成物を生じる場合がある。
また、一般式(I)のBサイトにおいて、yは、0<y≦0.5の数値範囲のPtの原子割合を示し、好ましくは、0<y≦0.2である。すなわち、Bサイトでは、Ptが、0.5以下の原子割合で必ず含まれている。
それゆえ、Bサイトでは、Zrは、1−yの数値範囲の原子割合で含まれている。すなわち、Bサイトにおいて、Ptの原子割合yの残余1−yの原子割合で含まれている。yが0<y≦0.5であることから、0.5≦1−y<1であり、Bサイトでは、Zrは、0.5以上1未満の原子割合で必ず含まれている。
一般式(I)において、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示し、0または正の数で表される。より具体的には、ペロブスカイト型複合酸化物の理論構成比、A:B:O=1:1:3に対して、Aサイトの構成元素を過剰または不足にしたことにより生じる、酸素原子の過剰原子割合または不足原子割合を示している。
一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物において、Ptの固溶率は、特に制限されないが、好ましくは、50%以上であり、さらに好ましくは、80%以上である。Ptの固溶率が50%より小さいと、本発明の排ガス浄化用触媒を、高温雰囲気下で長期にわたって使用した場合に、Ptの粒成長を有効に抑制できない場合がある。
なお、ペロブスカイト型複合酸化物に対する固溶率の測定には、例えば、ICP発光分光分析を用いることができる(以下、同様とする)。
一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。
共沈法では、例えば、上記した配位元素のうち、Ptを除く元素(以下、Rhを含有するペロブスカイト型複合酸化物の製造方法の説明において、「各元素」という。)の塩(配位元素原料)を、各元素が上記した化学量論比となるように含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させる。
次いで、共沈により得られた共沈物を乾燥させた後、熱処理(1次焼成)する。次いで、得られた熱処理物(1次焼成物)に、Ptの塩(Pt原料)を含有する水溶液を、各元素と、Ptとが上記した化学量論比となるように混合することにより、Ptが担持された前駆体組成物を得る。その後、得られた前駆体組成物を熱処理(2次焼成)することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得る。
上記した各元素の塩(配位元素原料)としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、混合塩水溶液は、例えば、上記した各元素の塩を、上記の化学量論比となるような割合で水に加えて、撹拌混合することにより調製することができる。
中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、カセイソーダ、カセイカリ、炭酸カリ、炭酸アンモンなどの無機塩基が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが、6〜10程度となるように加える。
共沈物の熱処理(1次焼成)は、得られた共沈物を、必要により水洗してろ過し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、300〜1200℃、好ましくは、500〜1100℃、さらに好ましくは、650〜1000℃で、1〜48時間加熱する。
Ptの塩(Pt原料)としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。Pt塩溶液は、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。より具体的には、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液、塩化白金酸水溶液、4価白金アンミン水溶液などが挙げられる。これらのPt塩溶液は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
そして、熱処理(1次焼成)後の共沈物にPt塩溶液を加えて、0.5〜12時間混合して含浸させることにより、Ptを担持させる。共沈物に対するPtの担持量は、例えば、共沈物100重量部に対して、20重量部以下、好ましくは、0.1〜10重量部である。
前駆体組成物の熱処理(2次焼成)は、得られた前駆体組成物を、必要により水洗し、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥させ、または、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、約500〜1200℃、好ましくは、約600〜1100℃、さらに好ましくは、約800〜1000℃で1〜48時間熱処理する。
2次焼成の熱処理温度が上記した温度よりも低いと、固溶率が50%より低くなる場合がある。一方、2次焼成の熱処理温度が上記した温度よりも高いと、上記した固溶率の範囲内となるが、Ptが劣化して、触媒活性が低下する場合がある。
また、共沈法では、例えば、各元素の塩(配位元素原料)と、Ptの塩(Pt原料)とを、各元素とPtとが上記した化学量論比となるように含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させ、前駆体組成物を得ることもできる。この場合も、得られた前駆体組成物を、乾燥後、熱処理することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得ることができる。
クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と各元素の塩(配位元素原料)とを、各元素が上記した化学量論比となるように含むクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、各元素のクエン酸錯体を形成させる。
次いで、得られたクエン酸錯体を仮焼成し、その後、熱処理(1次焼成)することにより、各元素を含む粉末を得る。次いで、得られた各元素を含む粉末に、Ptの塩(Pt原料)を含有する水溶液を、各元素とPtとが上記した化学量論比となるように混合することにより、Ptが担持された前駆体組成物を得る。その後、得られた前駆体組成物を熱処理(2次焼成)することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得る。
上記した各元素の塩(配位元素原料)としては、上記と同様の塩が挙げられる。
また、クエン酸混合塩水溶液は、例えば、共沈法と同様に、混合塩水溶液を調製し、その混合塩水溶液に、クエン酸の水溶液を加えることにより、調製する。
各元素のクエン酸錯体は、得られたクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、形成させる。乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、速やかに水分を除去する。
得られたクエン酸錯体の仮焼成は、例えば、真空または不活性雰囲気下、250℃以上、好ましくは、250〜350℃で、1〜12時間加熱すればよい。
クエン酸錯体の熱処理(1次焼成)は、仮焼成の後、例えば、共沈法と同様に、加熱する。
熱処理(1次焼成)後の粉末にPtを担持させるには、特に制限されないが、共沈法と同様に、上記粉末にPt塩水溶液を含浸すればよい。
前駆体組成物の熱処理(2次焼成)は、得られた前駆体組成物を、必要により水洗し、例えば、共沈法と同様に加熱する。
また、クエン酸錯体法では、例えば、各元素の塩(配位元素原料)と、Ptの塩(Pt原料)とを、各元素とPtとが上記した化学量論比となるように含むクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、各元素とPtとのクエン酸錯体を形成させることにより、前駆体組成物を得ることもできる。この場合も、得られた前駆体組成物を仮焼成後、熱処理することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得ることができる。
アルコキシド法では、例えば、各元素のアルコキシド(配位元素原料)を、各元素が上記した化学量論比となるように含む混合アルコキシド溶液を調製し、この混合アルコキシド溶液に、水を加えて、加水分解により沈殿させる。
次いで、得られた沈殿物を乾燥させて、熱処理(1次焼成)することにより、各元素を含む粉末を得る。次いで、得られた各元素を含む粉末に、Ptの塩(Pt原料)を含有する水溶液を、各元素とPtとが上記した化学量論比となるように混合することにより、Ptが担持された前駆体組成物を得る。その後、得られた前駆体組成物を熱処理(2次焼成)することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得る。
上記した各元素のアルコキシド(配位元素原料)としては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成されるアルコラートや、下記一般式(VII)で示される各元素のアルコキシアルコラートなどが挙げられる。
E[OCH(R4)−(CH2i−OR5j (VII)
(式中、Eは、各元素を示し、R4は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R5は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4(好ましくは、2〜3)の整数を示す。)
アルコキシアルコラートとして具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトシキプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
混合アルコキシド溶液は、例えば、各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、撹拌混合することにより調製することができる。
有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されず、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが用いられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
沈殿物の熱処理(1次焼成)は、得られた沈殿物を、必要により水洗してろ過し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、共沈法と同様に加熱する。
Ptの塩を含有する水溶液としては、例えば、硝酸塩水溶液、塩化物水溶液、ヘキサアンミン塩化物水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、ヘキサクロロ酸水和物水溶液、シアン化カリウム塩水溶液などが挙げられる。
熱処理(1次焼成)後の粉末にPtを担持させるには、特に制限されないが、共沈法と同様に、上記粉末にPt塩水溶液を含浸すればよい。
前駆体組成物の熱処理(2次焼成)は、得られた前駆体組成物を、必要により水洗し、例えば、共沈法と同様に加熱する。
また、アルコキシド法では、例えば、上記した混合アルコキシド溶液と、Ptの塩(Pt原料)を含む水溶液とを、各元素とPtとが上記した化学量論比となるように混合し、加水分解により沈殿させることにより、前駆体組成物を得ることもできる。この場合にも、得られた前駆体組成物を乾燥後、熱処理することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得ることができる。
さらに、アルコキシド法では、例えば、上記した混合アルコキシド溶液と、Ptの有機金属塩(Pt原料)とを、各元素とPtとが上記した化学量論比となるように含む均一混合溶液を調製し、これに水を加えて沈殿させた後、得られた沈殿物を乾燥させて、熱処理することにより、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を得ることもできる。
Ptの有機金属塩としては、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩などから形成されるPtのカルボン酸塩、例えば、下記一般式(VIII)で示されるβ−ジケトン化合物またはβ−ケトエステル化合物、および/または、下記一般式(IX)で示されるβ−ジカルボン酸エステル化合物から形成されるPtの金属キレート錯体などが挙げられる。
6COCHR8COR7 (VIII)
(式(VIII)中、R6は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基を示し、R7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R8は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
10CH(COOR92 (IX)
(式(IX)中、R9は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R10は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
一般式(VIII)および上記一般式(IX)中、R6、R7およびR9の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−ヘキシルなどが挙げられる。また、R8およびR10の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。
一般式(VIII)中、R6およびR7の炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチルなどが挙げられる。また、R6およびR7のアリール基としては、例えば、フェニルが挙げられる。また、R6の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
β−ジケトン化合物として具体的には、例えば、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1−トリフルオロメチル−1,3−ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、ジピバロイルメタンなどが挙げられる。
また、β−ケトエステル化合物として具体的には、例えば、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどが挙げられる。
また、β−ジカルボン酸エステル化合物として具体的には、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどが挙げられる。
下層において、上記一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複
合酸化物は、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型の結晶構造を有する複合酸化物である。
このペロブスカイト型複合酸化物において、Aサイトでは、A2で示されるアルカリ土類金属が必ず配位される。
また、Bサイトでは、Ce、ZrおよびPtが必ず配位され、さらに、R1で示される希土類元素が必ず配位される。
一般式(II)において、A2で示されるアルカリ土類金属としては、一般式(I)のA1で示されるアルカリ土類金属と同様の元素が挙げられ、これらアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
一般式(II)のAサイトにおいて、rは、0.8≦r≦1.3の数値範囲の原子割
合を示している。すなわち、A2で示されるアルカリ土類金属は、0.8以上1.3以下の原子割合で必ず含まれている。rが0.8以上1.3以下であると、Ptを、より高い固溶率で、安定して固溶させることができる。rが1.3を超える場合には、上記の複合酸化物以外の副生成物を生じる場合がある。
また、一般式(II)において、R1で示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)が挙げられ、好ましくは、Yが挙げられる。
一般式(II)のBサイトにおいて、sは、0<s<0.5の数値範囲のZrの原子割合を示している。すなわち、Bサイトでは、Zrは、0を超えて0.5未満の原子割合で必ず含まれている。
また、一般式(II)のBサイトにおいて、tは、0<t<0.5の数値範囲のR1で示される希土類元素の原子割合を示している。すなわち、Bサイトでは、R1で示される希土類元素は、0を超えて0.5未満の原子割合で必ず含まれている。
さらに、一般式(II)のBサイトにおいて、uは、0<u<0.5の数値範囲のPtの原子割合を示している。すなわち、Bサイトでは、Ptは、0を超えて0.5未満の原子割合で必ず含まれている。
そして、Bサイトでは、Ceは、1−(s+t+u)の数値範囲の原子割合で含まれている。すなわち、Bサイトにおいて、上記したZrと、Ptと、R1で示される希土類元素との合計(s+t+u)の残余(1−(s+t+u))の原子割合で含まれている。
一般式(II)において、δ’は、酸素過剰分または酸素不足分を示し、0または正の数で表される。より具体的には、ペロブスカイト型複合酸化物の理論構成比、A:B:O=1:1:3に対して、Aサイトの構成元素を過剰または不足にしたことにより生じる、酸素原子の過剰原子割合または不足原子割合を示している。
一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物において、Ptの固溶率は、特に制限されないが、好ましくは、50%以上であり、さらに好ましくは、80%以上である。Ptの固溶率が50%より小さいと、本発明の排ガス浄化用触媒を、高温雰囲気下で長期にわたって使用した場合に、Ptの粒成長を有効に抑制できない場合がある。
上記一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物と同様に、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。
また、一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、後述する一般式(V)で示されるセリア系複合酸化物を用いて製造することができる。
具体的には、上記した配位元素のうち、Ptを除く元素(各元素)であって、ペロブスカイト型複合酸化物を形成し得る元素の塩(配位元素原料)を、各元素がペロブスカイト型複合酸化物を形成し得る化学量論比となるように含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液を、一般式(V)で示されるセリア系複合酸化物に混合することにより前駆体組成物を得る。
そして、得られた前駆体組成物を、乾燥および熱処理(焼成)することにより、一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を製造することができる。
なお、この場合において、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、Ptを担持したホタル石型のセリア系複合酸化物との混合相として得られることがある。
各元素の塩(配位元素原料)としては、上記と同様の塩が挙げられる。
前駆体組成物の熱処理(焼成)は、得られた前駆体組成物を、必要により水洗し、例えば、50〜100℃で1〜48時間乾燥させ、または、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、350〜1000℃、好ましくは、600〜1000℃、さらに好ましくは、700〜1000℃で、1〜48時間加熱する。焼成時の熱処理温度がこの温度よりも低いと、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物の生成割合が低下する場合がある。また、焼成時の熱処理温度がこの温度よりも高いと、Ptが劣化して、触媒活性が低下する場合がある。
本発明の排ガス浄化用触媒は、上層において、好ましくは、下記一般式(III)で示される、Rhを含有するジルコニア系複合酸化物をさらに含んでおり、下層において、好ましくは、下記一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物と、下記一般式(V)で示される、Ptが担持されたセリア系複合酸化物と、アルミナとをさらに含んでいる。
Zr1-(k+m)3 kRhm2-n (III)
(式(III)中、A3は、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素を示し、kは0.01<k<0.8の数値範囲の原子割合を示し、mは0<m≦0.2の数値範囲の原子割合を示し、nは酸素欠陥量を示す。)
4 p1 (1-q)Pdq3±δ'' (IV)
(式(IV)中、A4は、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B1は、遷移元素(希土類元素およびPdを除く。)から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、pは、p≧0.8の数値範囲の原子割合を示し、qは、0<q≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δ''は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
Pt/Ce1-(d+e)Zrd3 e2-f (V)
(式(V)中、R3は、希土類元素(Ceを除く。)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、dは0.2≦d≦0.7の数値範囲の原子割合を示し、eは0≦e≦0.2の数値範囲の原子割合を示し、1−(d+e)は0.3≦1−(d+e)≦0.8の数値範囲の原子割合を示し、fは酸素欠陥量を示す。)
上層において、一般式(III)で示されるジルコニア系複合酸化物におけるA3で示される希土類元素としては、一般式(II)のR1で示される希土類元素と同様の元素が挙げられる。上記例示の希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。また、例示の希土類元素のうち、好ましくは、Ce、La、Ndが挙げられ、さらに好ましくは、Ce、La、Ndの併用が挙げられる。
一般式(III)において、A3で示されるアルカリ土類金属としては、一般式(I)のA1で示されるアルカリ土類金属と同様の元素が挙げられる。上記例示のアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
なお、A3として、希土類元素(Ceを除く。)およびアルカリ土類金属のうち、好ましくは、希土類元素(Ceを除く。)が挙げられる。
一般式(III)において、kは、0.01<k<0.8の数値範囲のA3の原子割合を示す。kは、好ましくは、0.01<k<0.4、より好ましくは、0.05<k<0.2である。
一般式(III)において、mは、0<m≦0.2の数値範囲のRhの原子割合を示す。mは、好ましくは、0<m≦0.05である。
また、一般式(III)において、nは、酸素欠陥量を示し、0または正の数で表される。この酸素欠陥量は、酸化物結晶構造において、その結晶構造にできる空孔の割合を意味する。
一般式(III)で示されるジルコニア系複合酸化物において、酸化物の結晶構造は、立方晶、正方晶の蛍石型結晶構造であることが好適である。
そして、一般式(III)で示されるジルコニア系複合酸化物において、Rhは、組成として含有されており、さらに、担持されていてもよい。
組成として含有され、さらに、必要により担持されて含有されるRhの含有量は、その目的および用途により適宜決定されるが、その総量として、ジルコニア系複合酸化物に対して、例えば、0.08〜0.8重量%、好ましくは、0.1〜0.5重量%である。
一般式(III)で示されるジルコニア系複合酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物と同様に、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。すなわち、ジルコニアを含む上記配位元素の原料を調製して、熱処理(1次焼成)した後、得られた熱処理物(1次焼成物)と、Rhを含むRh原料とを混合して、前駆体組成物を得る。得られた前駆体組成物を、その後、熱処理(2次焼成)することにより、一般式(III)で示される、Rhを含有するジルコニア系複合酸化物を製造することができる。また、Rhを担持する場合には、上記により得られたジルコニア系複合酸化物を、例えば、Rh塩水溶液に含浸させ、乾燥後、熱処理(焼成)する。
下層において、一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型の結晶構造を有する複合酸化物である。
このペロブスカイト型複合酸化物において、Aサイトでは、A4で示される希土類元素および/またはアルカリ土類金属が必ず配位される。
また、Bサイトでは、Pdと、B1で示される遷移元素(希土類元素およびPdを除く。)から選ばれる1以上の元素とが、必ず配位される。
一般式(IV)において、A4で示される希土類元素としては、一般式(II)のR1で示される希土類元素と同様の元素が挙げられる。上記例示の希土類元素のうち、好ましくは、La、Nd、Yが挙げられ、さらに好ましくは、Laが挙げられる。上記例示の希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(IV)において、A4で示されるアルカリ土類金属としては、一般式(I)のA1で示されるアルカリ土類金属と同様の元素が挙げられる。上記例示のアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
一般式(IV)のAサイトにおいて、アルカリ土類金属は、希土類元素に対して、0.5以下の原子割合で含まれていることが好ましい。すなわち、Aサイトでは、A4で示される元素が、希土類元素のみであるか、または、希土類元素およびアルカリ土類元素を含み、アルカリ土類元素の原子割合が、希土類の原子割合に対して0.5以下であることが好ましい。とりわけ好ましくは、Aサイトでは、A4で示される元素が、希土類元素のみである。
一般式(IV)のAサイトにおいて、pは、p≧0.8の数値範囲のA4の原子割合を示す。すなわち、Aサイトでは、p≧0.8であり、好ましくは、p≧1.0である。pが1.0である場合には、Aサイトに配位される元素の割合に化学量論比が成立するので、ペロブスカイト型複合酸化物が安定する。さらに、pが1.0を超える場合には、Aサイトに配位される元素の原子割合が1.0以上であり、Pdを、より高い固溶率で、より安定して固溶させることができる。なお、pは、より好ましくは、1.00≦p≦1.50であり、さらに好ましくは、1.00≦p≦1.30である。pの数値範囲が、1.50を超えると、ペロブスカイト型複合酸化物以外の副生成物を生じる場合がある。一方、pが0.8未満である場合には、Pdを高い固溶率で安定して固溶させることが困難である。
一般式(IV)において、B1で示される遷移元素は、希土類元素およびPdを除く遷移元素であって、具体的には、周期律表(IUPAC、1990年)において、原子番号22(Ti)〜原子番号30(Zn)、原子番号40(Zr)〜原子番号45(Rh)、原子番号47(Ag)、原子番号48(Cd)、および、原子番号72(Hf)〜原子番号80(Hg)の各元素が挙げられる。これらの遷移元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
1で示される遷移元素は、具体的には、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどが挙げられ、好ましくは、Mn、Fe、Coが挙げられ、さらに好ましくは、Feが挙げられる。
一般式(IV)のBサイトにおいて、qは、0<q≦0.5の数値範囲のPdの原子割合を示す。すなわち、Bサイトでは、Pdが、0.5以下の原子割合で含まれている。Pdの原子割合が0.5を超えると、Pdが固溶しにくくなる場合があり、また、コストの上昇が不可避となる。qは、好ましくは、0<q≦0.2を示す。
また、一般式(IV)のBサイトにおいて、B1で示されるPd以外の元素、すなわち、遷移元素(希土類元素およびPdを除く。)は、1−qの数値範囲の原子割合で含まれている。すなわち、Bサイトにおいて、Pdの残余(1−q)の原子割合で含まれている。
なお、一般式(IV)において、δ''は、酸素過剰分または酸素不足分を示し、0または正の数で表される。より具体的には、ペロブスカイト型複合酸化物の理論構成比、A:B:O=1:1:3に対して、Aサイトの構成元素を過剰または不足にしたことにより生じる、酸素原子の過剰原子割合または不足原子割合を示している。
一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物において、Pdの固溶率は、特に制限されないが、好ましくは、50%以上であり、さらに好ましくは、80%以上である。Pdの固溶率が50%より小さいと、本発明の排ガス浄化用触媒を、高温雰囲気下で長期にわたって使用した場合に、Pdの粒成長を有効に抑制できない場合がある。
上記一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物と同様に、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。
下層において、一般式(V)で示される、Ptが担持されたセリア系複合酸化物におけるR3で示される希土類元素(Ceを除く。)としては、一般式(II)のR1で示される希土類元素と同様の元素が挙げられる。上記例示の希土類元素のうち、Sc、Y、La、Pr、Ndが挙げられ、さらに好ましくは、Yが挙げられる。上記例示の希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(V)において、R3で示されるアルカリ土類金属としては、一般式(I)のA1で示されるアルカリ土類金属と同様の元素が挙げられる。上記例示のアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
一般式(V)のR3で示される元素において、アルカリ土類金属は、希土類元素に対して、0.5以下の原子割合で含まれていることが好ましい。すなわち、R3は、希土類元素のみであるか、または、希土類元素およびアルカリ土類元素を含み、アルカリ土類元素の原子割合が、希土類の原子割合に対して0.5以下であることが好ましい。とりわけ好ましくは、R3は、希土類元素のみである。
一般式(V)において、dは、0.2≦d≦0.7の数値範囲のZrの原子割合を示す。dが0.2に満たないと、比表面積が小さくなり、十分な触媒性能を発揮できない場合がある。一方、dが0.7を超えると、酸素吸蔵能力が低く、触媒性能を発揮できない場合がある。dは、好ましくは、0.2≦d≦0.5である。
一般式(V)において、eは、0≦e≦0.2の数値範囲のR3の原子割合を示す。すなわち、一般式(V)において、R3は必須成分ではなく、任意的に含まれる任意成分であって、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である。eが0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、一般式(V)において、1−(d+e)は、0.3≦1−(d+e)≦0.8の数値範囲のCeの原子割合を示す。1−(d+e)は、好ましくは、0.4≦1−(d+e)≦0.6である。
また、一般式(V)において、fは、酸素欠陥量を示し、0または正の数で表される。この酸素欠陥量は、酸化物結晶構造において、その結晶構造にできる空孔の割合を意味する。
一般式(V)で示されるセリア系複合酸化物において、酸化物の結晶構造は、立方晶、正方晶の蛍石型結晶構造であることが好適である。
また、一般式(V)で示されるセリア系複合酸化物に担持されるPtの担持量は、その目的および用途により適宜決定されるが、セリア系複合酸化物に対して、例えば、0.1〜1.0重量%、好ましくは、0.2〜0.7重量%である。
一般式(V)で示されるセリア系複合酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物と同様に、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。すなわち、セリアを含む上記配位元素の原料を調製して、熱処理(1次焼成)する。その後、得られた熱処理物(1次焼成物)と、Ptを含むPt原料とを混合し、乾燥および熱処理(2次焼成)することによって、Ptが担持された、一般式(V)で示されるセリア系複合酸化物を製造することができる。
下層において、アルミナとしては、上記したアルミナが挙げられ、好ましくは、θ−アルミナが挙げられる。
そして、上記した上層および下層は、例えば、触媒担体上にコート層として形成することができる。触媒担体としては、特に制限されず、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が用いられる。
触媒担体上にコート層として上層および下層を形成するには、例えば、まず、触媒担体の表面に下層を形成し、さらに下層の表面に上層を形成する。
具体的には、まず、一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物と、必要により、一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物と、一般式(V)で示される、Ptが担持されたセリア系複合酸化物と、アルミナとに、水を加えてスラリーとした後、触媒担体上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥する。そして、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成することにより、触媒担体上に下層を形成する。
なお、上記した各成分のそれぞれに、水を加えてスラリーとした後、これらスラリーを混合して、触媒担体上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成してもよい。
次いで、Rhを含有するアルミナと、一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物と、必要により、一般式(III)で示される、ジルコニア系複合酸化物とを、下層の場合と同様に、スラリーとした後、触媒担体上にコーティングする。そして、下層の場合と同様に乾燥し、さらに焼成することにより、下層上に上層を形成する。
そして、このようにして得られる本発明の排ガス浄化用触媒によれば、上層において、Rhのみをアルミナに含有させることで、Rhの触媒活性を良好に保持することができる。一方、Ptについては、一般式(I)で示されるペロブスカイト型複合酸化物に含有させることで、その触媒活性を良好に保持することができる。
その結果、本発明の排ガス浄化用触媒を使用すれば、高温下または酸化還元変動下、さらには長期使用時において、RhおよびPtの優れた排ガス浄化性能を発現させることができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、優れた排ガス浄化性能を長期にわたって実現することが
できるので、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関やボイラな
どから排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒として、有効に使用する
ことができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
参考例1
(Rh/θ−Al23粉末の製造)
θアルミナに、硝酸ロジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Rh担持θアルミナ粉末を得た。
この粉末のRh担持量は、粉末70gに対して、Rh0.1gの割合であった。
参考例2
(Pt−Rh/θ−Al23粉末の製造)
θアルミナに、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液および硝酸ロジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt−Rh担持θアルミナ粉末を得た。
この粉末のPtおよびRh担持量は、粉末70gに対して、Pt0.1gおよびRh0.1gの割合であった。
参考例3
(Ca0.98Zr0.98Pt0.023-δ粉末の製造)
カルシウムイソプロポキシドをCa換算で0.098molと、ジルコニウムイソプロポキシドをZr換算で0.098molとを、500mL容量の丸底フラスコに加え、さらに、トルエン200mLを加えて撹拌し、溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水を200mL滴下して加水分解したところ、白色の粘稠沈殿が生成した。そこで、この混合アルコキシド溶液からトルエンを留去して、スラリーとした後、このスラリーに、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液をPt換算で0.002mol加えて、室温下において1時間撹拌した。
次いで、減圧下において水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、大気中、電気炉にて、800℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Ca0.98Zr0.98Pt0.023-δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の褐色粉末を得た。この複合酸化物中のPt含有率は、2.16重量%であった。
参考例4
(Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末の製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH3)CH2OCH33]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH3)CH2OCH33]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH3)CH2OCH33]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示される耐熱性酸化物の粉末を得た。
参考例5
(Ba1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide+Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末の製造)
参考例4で得られたCe0.50Zr0.450.05Oxide粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、500℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を得た。
次いで、得られたPt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxideに酢酸バリウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、950℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ba1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide(Ptを固溶したペロブスカイト型酸化物)とPt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide(Ptを担持したホタル石型セリウム複合酸化物)の混合相からなる粉末を得た。この粉末のPt含有量は、粉末10gに対してPt0.05gの割合であった。
参考例6
(Zr0.78Ce0.16La0.02Nd0.04Oxide粉末の製造)
ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.156molと、セリウムメトキシプロピレートをCe換算で0.032molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH3)CH2OCH33]をLa換算で0.004molと、ネオジムメトキシプロピレート[Nd(OCH(CH3)CH2OCH33]をNd換算で0.008molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.78Ce0.16La0.02Nd0.04Oxideで示される耐熱性酸化物の粉末を得た。
参考例7
(Rh/Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末の製造)
参考例6で得られたZr0.78Ce0.16La0.02Nd0.04Oxide粉末30gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.06g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末を得た。
次いで、この粉末30gに硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.04g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、500℃で3時間焼成することにより、Rh担持Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末を得た。
この粉末のRh担持量は、粉末30gに対してRh0.1gの割合であった。
参考例8
(La1.02Fe0.95Pd0.053+δ''粉末の製造)
ランタンエトキシエチレート[La(OC24OEt)3]をLa換算で0.102molと、鉄エトキシエチレート[Fe(OC24OEt)3]をFe換算で0.095molとを、500mL容量の丸底フラスコに加え、さらに、トルエン200mLを加えて撹拌し、溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、トルエン100mLに、パラジウムアセチルアセトナート[PdII(acac)2]をPd換算で0.005mol溶解して、得られた溶液を、上記丸底フラスコ内の混合アルコキシド溶液に加えて、La、FeおよびPdを含む均一混合溶液を調製した。
さらに、上記丸底フラスコ中に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して加水分解したところ、褐色の粘稠沈殿が生成した。そこで、この粘稠沈殿を含む溶液を、さらに、室温下において2時間撹拌した。
次いで、減圧下においてトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の前駆体を得た。さらに、この前駆体をシャーレに移し、60℃にて24時間通風し、乾燥させた後、大気中、電気炉にて、800℃で1時間熱処理(焼成)することにより、La1.02Fe0.95Pd0.053+δ''からなるPd含有ペロブスカイト型複合酸化物の黒褐色粉体を得た。この複合酸化物中のPd含有率は、2.15重量%であった。
参考例9
(Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末の製造)
参考例4で得られたCe0.50Zr0.450.05Oxide粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を得た。
この粉末のPt担持量は、粉末30gに対してPt0.05gの割合であった。
実施例1
参考例5で得られたBa1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide+Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末、参考例8で得られたLa1.02Fe0.95Pd0.053+δ''粉末、参考例9で得られたPt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末およびθアルミナ粉末を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、下層を形成した。
上記下層は、モノリス担体1Lあたり、Ba1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide+Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を60g(Pt担持量0.3g)、La1.02Fe0.95Pd0.053+δ''粉末を14g(Pd担持量0.3g)、Pt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を60g(Pt担持量0.1g)およびθアルミナ粉末を40g、それぞれ担持するように形成した。
次いで、参考例1で得られたRh担持θアルミナ粉末、参考例3で得られたCa0.98Zr0.98Pt0.023-δ粉末および参考例7で得られたRh/Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の下層の表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、上層を形成した。
上記上層は、モノリス担体1Lあたり、Rh担持θアルミナ粉末を70g(Rh担持量0.1g)、Ca0.98Zr0.98Pt0.023-δ粉末を4.65g(Pt担持量0.1g)、Rh/Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末を60g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのPt、RhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.5g/L、0.3g/Lおよび0.3g/Lであった。
比較例1
参考例5で得られたBa1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide+Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末、参考例8で得られたLa1.02Fe0.95Pd0.053+δ''粉末、参考例9で得られたPt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末およびθアルミナ粉末を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、下層を形成した。
上記下層は、モノリス担体1Lあたり、Ba1.0Ce0.498Zr0.4480.050Pt0.004Oxide+Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を60g(Pt担持量0.3g)、La1.02Fe0.95Pd0.053+δ''粉末を14g(Pd担持量0.3g)、Pt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を60g(Pt担持量0.1g)およびθアルミナ粉末を40g、それぞれ担持するように形成した。
次いで、参考例2で得られたPt−Rh担持θアルミナ粉末、参考例3で得られたCa0.98Zr0.98Pt0.023-δ粉末および参考例7で得られたRh/Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の下層の表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、上層を形成した。
上記上層は、モノリス担体1Lあたり、Pt−Rh担持θアルミナ粉末を70g(Pt担持量0.1g、Rh担持量0.1g)、Ca0.98Zr0.98Pt0.023-δ粉末を4.65g(Pt担持量0.1g)、Rh/Zr0.778Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.002Oxide粉末を60g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
これにより、2層コートからなる排ガス浄化用触媒を得た。排ガス浄化用触媒全体でのPt、RhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.6g/L、0.3g/Lおよび0.3g/Lであった。
性能評価
(1)耐久試験
V型8気筒、排気量4Lのガソリンエンジンを動力計ベンチに搭載し、このエンジンの各々のバンク(4気筒)に、上記実施例1および比較例1の各モノリス状触媒を、それぞれ連結して、図1に示すサイクルを1サイクル(30秒)として、このサイクルを48時間繰り返すことにより、耐久試験を実施した。
1サイクルは、図1に示すように、0〜5秒の間は、フィードバック制御によって、理論空燃比(A/F=14.6)であるストイキ状態に維持されたガソリンと空気との混合ガスをエンジンに供給するとともに、排ガス浄化用触媒(触媒床)の内部温度が、850℃近辺となるように設定した。5〜7秒の間は、フィードバックをオープンにするとともに、燃料を過剰に噴射して燃料リッチな状態(A/F=11.2)の混合ガスをエンジンに供給した。7〜28秒の間は、引き続いて、フィードバックをオープンにして燃料を過剰に供給したままで、各触媒部の上流側から導入管を介してエンジンの外部から二次空気を吹き込んで、触媒床内部において過剰な燃料と二次空気とを反応させて触媒床温度を上昇させた。このときの最高温度は1150℃であり、A/Fは、ほぼ理論空燃比である14.8に維持した。最後の28〜30秒の間は、燃料を供給せずに二次空気を供給し、リーン状態とした。なお、燃料は、ガソリンにリン化合物を添加した状態で供給し、その添加量をリン元素に換算して、耐久試験の合計を0.41gとした。また、触媒床温度は、ハニカム担体の中心部に挿入した熱電対によって計測した。
(2)CO−NOxクロス点浄化率の測定
直列4気筒、排気量1.5Lのガソリンエンジンに、上記実施例1および比較例1のモノリス状触媒を、それぞれ連結し、混合気が燃料リッチな状態からリーン状態に変化させつつ供給し、燃焼させたときの排ガスを、耐久後の排ガス浄化用触媒に供給した。そして、排ガス中のCOおよびNOxが、排ガス浄化用触媒で浄化される割合をそれぞれ測定して、COおよびNOxの浄化される割合が一致するときの浄化率を、CO−NOxクロス点浄化率として測定した。その結果を表1に示す。なお、この測定は、エンジンを実際に自動車に搭載させた状態ではなく、エンジンのみの状態で実施した。また、排ガス浄化用触媒に供給される排ガスは、その温度が460℃であり、その空間速度SVが90000/hに設定された。
(3)HC浄化温度の測定
直列4気筒、排気量1.5Lのガソリンエンジンを用い、理論空燃比(λ=1)を中心として、△λ=±3.4%(△A/F=±0.5A/F)の振幅を、周波数1Hzで与え、上記(1)の耐久試験に供した後の上記実施例1および比較例1の各モノリス状触媒について、HCの浄化率を測定した。空間速度SVは90000/hに設定された。
測定は、エンジンにストイキ状態(A/F=14.6±0.2)の混合ガスを供給し、この混合ガスの燃焼によって排出される排気ガスの温度を30℃/分の割合で上昇させつつ、各触媒に供給し、排ガス中のHCが、50%浄化されるときの温度(浄化温度)(℃)を測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1には、各触媒1L当たりのPt/Rh/Pd担持量(g)を併せて示す。
Figure 2009220044
表1に示すように、実施例1の排ガス浄化用触媒によれば、Ptの使用量を低減できるとともに、耐久試験に供した後においても、比較的低温で、優れた触媒活性を発揮させることができる。
1150℃耐久試験の1サイクルの工程を示すタイムチャートである。

Claims (2)

  1. Rhを含有するアルミナと、下記一般式(I)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物とを含む上層と、
    下記一般式(II)で示される、Ptを含有するペロブスカイト型複合酸化物を含む
    下層と
    を備えていることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
    1 xZr1-yPty3±δ (I)
    (式(I)中、A1は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、yは、0<y≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
    2 rCe1-(s+t+u)Zrs1 tPtu3±δ' (II)
    (式(II)中、A2は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、R1は、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、rは、0.8≦r≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、s、tおよびuは、0<s+t+u<1(0<s<0.5、0<t<0.5、0<u<0.5)の数値範囲の原子割合を示し、δ’は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
  2. 前記上層が、下記一般式(III)で示される、Rhを含有するジルコニア系複合酸化物をさらに含み、
    前記下層が、下記一般式(IV)で示される、Pdを含有するペロブスカイト型複合酸化物と、下記一般式(V)で示される、Ptが担持されたセリア系複合酸化物と、アルミナとをさらに含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
    Zr1-(k+m)3 kRhm2-n (III)
    (式(III)中、A3は、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素を示し、kは0.01<k<0.8の数値範囲の原子割合を示し、mは0<m≦0.2の数値範囲の原子割合を示し、nは酸素欠陥量を示す。)
    4 p1 (1-q)Pdq3±δ'' (IV)
    (式(IV)中、A4は、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B1は、遷移元素(希土類元素およびPdを除く。)から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、pは、p≧0.8の数値範囲の原子割合を示し、qは、0<q≦0.5の数値範囲の原子割合を示し、δ''は、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
    Ce1-(d+e)Zrd3 e2-f (V)
    (式(V)中、R3は、希土類元素(Ceを除く。)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、dは0.2≦d≦0.7の数値範囲の原子割合を示し、eは0≦e≦0.2の数値範囲の原子割合を示し、1−(d+e)は0.3≦1−(d+e)≦0.8の数値範囲の原子割合を示し、fは酸素欠陥量を示す。)
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