JP2009219344A - モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ブラシレスモータの駆動回路を実装する回路基板のサイズの増大を抑制しつつ、当該駆動回路の抵抗成分に起因するモータ印加電圧の誤差を抑制すると共に、トルクリップルを低減する。
【解決手段】q軸電流指令値iq *およびd軸電流指令値id *で示される電流を流すためにブラシレスモータ1に印加すべき相電圧を示すq軸電圧指令値vqおよびd軸電圧指令値vdがPI制御演算によって求められ、これらのq軸およびd軸電圧指令値vq,vdが、第2座標変換部34によって3相交流座標上の値である相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換される。各相電圧指令値Vxは、それに対応する補正マップ37xにより当該相電圧指令値Vxに対応付けられた補正量を補正演算部36によって加算される(x=u,v,w)。これにより得られる補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに基づきモータ駆動回路43によりブラシレスモータ1が駆動される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置、および、そのようなモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。電動パワーステアリング装置の電動モータには従来からブラシモータが広く使用されているが、信頼性および耐久性の向上や慣性の低減などの観点から、近年ではブラシレスモータも使用されている。
このような操舵補助用のブラシレスモータは、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下「ECU」という)に内蔵されたモータ駆動回路によって駆動される。電動パワーステアリング装置では、小型化や高効率化、低コスト化が要請されることから、このECUとブラシレスモータの一体化等につき種々の提案がなされている。
ところで、ブラシレスモータおよび駆動回路を含むモータ・駆動回路系において抵抗成分につき相間で差があると、モータの出力トルクにおけるリップル(「トルクリップル」と呼ばれる)の発生が問題となる。特に電動パワーステアリング装置では、操舵フィーリング向上の観点からモータの出力トルクの滑らかさが重要視されるので、このようなトルクリップルの発生を抑制することが求められている。
これに対し、電動パワーステアリング装置において、ブラシレスモータおよび駆動回路を含むモータ・駆動回路系における抵抗成分の各相間での差(以下「相間抵抗差」という)が所定値以下になるように、当該モータ・駆動回路系における抵抗成分を調整する抵抗調整手段を備えるという構成が提案されている(例えば特許文献1の段落[0139]〜[0143]、[0157]〜[0161]参照)。
特開2005−319971号公報
しかし、モータ・駆動回路系における相間抵抗差を解消するために抵抗を付加すると、ブラシレスモータの駆動における効率や応答性の低下を招くことになる。このため、モータの駆動回路を実装する回路基板(以下「モータ駆動回路基板」という)において、モータ・駆動回路系における相間抵抗差が解消されるように配線パターンを形成するのが好ましい。
ところが、トルクリップルが十分に低減されるように配線パターンを形成しようとすると、上記モータ駆動回路基板における回路パターンが複雑化し、回路パターン形成のためのスペースが増大する。すなわち、モータ駆動回路基板において、電源端子から接地端子に到るまでの経路の配線抵抗が相間で揃うように配線パターンを設計することは可能であるが、配線抵抗をモータ駆動に影響しない程度に十分に小さくすることや、モータ駆動回路を構成するスイッチング素子を対称に配置することは困難である。このため、電源端子からモータ駆動回路の出力端までの抵抗成分(以下「上段アーム抵抗」という)と当該出力端から接地端子までの抵抗成分(以下「下段アーム抵抗」という)とが揃うように配線パターンを形成しようとすると、回路パターンが複雑化すると共に回路パターン形成のために大きなスペースが必要となり、基板サイズが増大する。その結果、電動パワーステアリング装置において、ECU内での基板占有面積が大きくなり、小型化等の上記要請に反することになる。
また、モータ駆動回路基板において上段アーム抵抗と下段アーム抵抗とが揃うように回路パターンが形成されたとしても、これら上段および下段アーム抵抗の抵抗値を十分に小さくできない場合には、モータへの実際の印加電圧と本来印加すべき電圧との間に誤差を生じる。この場合、正確に狙い通りにモータを駆動制御できず、特に、オープンループ制御によりモータを駆動する場合には、目標通りの電流をモータに流せないことになる。
それ故に、本発明の目的は、ブラシレスモータの駆動回路を実装する回路基板のサイズの増大を抑制しつつトルクリップルを低減することができるモータ制御装置を提供することである。本発明の他の目的は、当該回路基板のサイズの増大を抑制しつつ、当該駆動回路に含まれる抵抗成分(各相の上段および下段アーム抵抗)に起因するブラシレスモータへの印加電圧の誤差を抑制できるモータ制御装置を提供することである。本発明の更に他の目的は、そのようなモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置を提供することである。
第1の発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置であって、
前記ブラシレスモータに印加すべき各相電圧を示す指令値を求め、当該指令値を駆動指令値として出力する制御演算手段と、
前記駆動指令値を補正する補正手段と、
前記補正手段による補正後の駆動指令値に基づき前記ブラシレスモータを駆動する駆動手段とを備え、
前記駆動手段は、互いに直列に接続された2個のスイッチング素子からなるスイッチング素子対を前記ブラシレスモータの相数だけ電源端子と接地端子との間に並列に接続して構成され、各相に対応する前記2個のスイッチング素子の接続点が出力端として前記ブラシレスモータに接続されるインバータを含み、
前記補正手段は、前記電源端子から前記インバータの出力端までの経路の各相の抵抗成分である上段アーム抵抗と当該出力端から前記接地端子までの経路の各相の抵抗成分である下段アーム抵抗とに基づき、前記駆動指令値を相毎に補正することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記インバータから前記ブラシレスモータに供給されるべき電流を推定する電流推定手段と、
前記インバータから前記ブラシレスモータに供給される電流を検出する電流検出手段とを更に備え、
前記補正手段は、
前記電流推定手段により得られる電流推定値と前記電流検出手段により得られる電流検出値との比に基づき、前記上段および下段アーム抵抗の少なくとも一方の抵抗値を補正する抵抗値補正手段と、
前記抵抗値補正手段による補正後の抵抗値に基づき、前記駆動指令値が示す電圧に対する前記出力端における電圧のずれが補償されるように前記駆動指令値を相毎に補正する指令値補正手段とを含むことを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、
前記インバータの前記出力端における少なくとも1相の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、
前記補正手段は、
前記電圧検出手段により得られる前記電圧を検出した相の電圧検出値と前記インバータから前記ブラシレスモータに供給される前記電圧を検出した相の電流を示す電流値とに基づき、前記上段および下段アーム抵抗の抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、
前記抵抗値算出手段により算出される抵抗値に基づき、前記駆動指令値が示す電圧に対する前記出力端における電圧のずれが補償されるように前記駆動指令値を相毎に補正する指令値補正手段とを含むことを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、
前記上段および下段アーム抵抗の測定値を書き込んで保持するための抵抗値記憶手段を更に備え、
前記補正手段は、前記抵抗値記憶手段に保持されている前記測定値に基づき、前記駆動指令値が示す電圧に対する前記出力端における電圧のずれが補償されるように前記駆動指令値を相毎に補正することを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明において、
前記補正手段は、前記上段アーム抵抗と前記下段アーム抵抗との差により生じる前記出力端における電圧のずれが補償されるように、前記駆動指令値に応じて前記駆動指令値を相毎に補正することを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、
前記補正手段は、
前記ブラシレスモータに印加すべき相電圧の指令値と補正量との対応関係を示す補正マップを記憶している記憶手段と、
前記制御演算手段から出力される駆動指令値に前記補正マップによって対応付けられる補正量に応じて当該駆動指令値を相毎に補正することにより前記補正後の駆動指令値を算出する補正演算手段とを含むことを特徴とする。
第7の発明は、車両のステアリング機構にブラシレスモータによって操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
第1〜第6の発明のいずれかに係るモータ制御装置を備え、
前記モータ制御装置は、前記ステアリング機構に操舵補助力を与えるブラシレスモータを駆動することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、ブラシレスモータに印加すべき電圧を示す駆動指令値が、インバータにおける上段アーム抵抗および下段アーム抵抗に基づき相毎に補正され、これにより、当該上段および下段アーム抵抗による電圧降下によって生じる当該出力端における電圧のずれが補償される。このため、インバータの回路基板サイズの増大を抑制しつつ、補正前の駆動指令値が示す本来の電圧を精度よくブラシレスモータに印加することができる。また、これにより、インバータにおいて上段アーム抵抗と下段アーム抵抗との差に起因するトルクリップルの発生を抑制することができる。
上記第2の発明によれば、電流推定値と電流検出値との比に基づき上段および下段アーム抵抗の少なくとも一方の抵抗値が補正され、当該補正後の抵抗値に基づき、インバータの出力端における電圧のずれが補償されるように駆動指令値が相毎に補正される。これにより、電子部品等の特性バラツキや温度変化によって上段アーム抵抗や下段アーム抵抗の抵抗値がばらついたり変動したりしても、本来印加すべき電圧を精度よくブラシレスモータに印加し、トルクリップルを抑制することができる。
上記第3の発明によれば、インバータの出力端における少なくとも1相の電圧が検出され、当該出力端における電圧が検出された相の電圧検出値とインバータからブラシレスモータに供給される電圧が検出された相の電流を示す電流値とに基づき、上段および下段アーム抵抗の抵抗値が算出され、当該算出された抵抗値に基づき、インバータの出力端における電圧のずれが補償されるように駆動指令値が相毎に補正される。これにより、電子部品等の特性のバラツキや温度変化によって上段アーム抵抗や下段アーム抵抗の抵抗値がばらついたり変動したりしても、本来印加すべき電圧を精度よくブラシレスモータに印加し、トルクリップルを抑制することができる。
上記第4の発明によれば、モータ制御装置の製造時にインバータにおける上段および下段アーム抵抗の測定値を抵抗値記憶手段に書き込んでおくと、その測定値に基づき駆動指令値が示す電圧に対するインバータの出力端における電圧のずれが補償されるように駆動指令値が相毎に補正される。これにより、電子部品等の特性バラツキによって上段アーム抵抗や下段アーム抵抗の抵抗値がばらついても、本来印加すべき電圧を精度よくブラシレスモータに印加し、トルクリップルを抑制することができる。
上記第5の発明によれば、ブラシレスモータに印加すべき電圧を示す駆動指令値に応じて相毎に当該駆動指令値が補正されることにより、インバータにおける上段アーム抵抗と下段アーム抵抗とに差がある場合であっても、当該駆動指令値に応じた相電圧が精度よくブラシレスモータに印加される。これにより、インバータにおいて上段アーム抵抗と下段アーム抵抗との差に起因するトルクリップルの発生が抑制される。また、ブラシレスモータに印加すべき電圧を示す駆動指令値は、インバータの出力端における電圧ずれが補償されるように相毎に補正されるので、相間抵抗差が存在する場合であっても、ブラシレスモータに印加される相電圧の相間での不均衡化が抑制される。これにより、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生も低減できる。したがって、トルクリップルを低減すべくインバータの上段アームと下段アームの間または相間で抵抗成分が揃うように配線パターンを形成しようとするとインバータの回路基板サイズの増大を招くが、上記第5の発明によれば、駆動指令値を上述のように補正することで、回路基板サイズの増大を抑えつつトルクリップルを低減することができる。
上記第6の発明によれば、ブラシレスモータに印加すべき相電圧の指令値と補正量との対応関係を示す補正マップが用意されており、それらの補正マップに基づき駆動指令値が相毎に補正されることにより、上記第5の発明と同様の効果が得られる。なお、このような補正マップは、ブラシレスモータとモータ制御装置からなるシステムについての計算機シミュレーションにより、または、モータ・駆動回路系についての1相分の等価回路に基づく簡易計算により、作成することができる。すなわち、インバータの上段アーム抵抗および下段アーム抵抗やブラシレスモータの相抵抗の設計値または実測値を用いて、当該計算機シミュレーションまたは当該等価回路に基づく簡易計算により当該インバータの各相の出力端における電圧ずれ(または当該インバータのデューティ比と電圧ずれとの関係)を求め、その電圧ずれ等に基づき補正マップを作成することができる。
上記第7の発明によれば、ブラシレスモータ駆動用のインバータの回路基板サイズの増大を抑えつつトルクリップルを低減できるので、電動パワーステアリング装置における小型化や高効率化等の要請に応えつつ操舵フィーリングを向上させることができる。
<1.電動パワーステアリング装置>
図1は、本発明に係るモータ制御装置を用いた電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、位置検出センサ5、および、モータ制御装置としての電子制御ユニット(ECU)10を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクTsを検出する。車速センサ4は、車速Sを検出する。位置検出センサ5は、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pを検出する。位置検出センサ5は、例えばレゾルバで構成される。
ECU10は、車載バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクTs、車速Sおよび回転位置Pに基づきブラシレスモータ1を駆動する。ブラシレスモータ1は、ECU10によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、ブラシレスモータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
<2.第1の実施形態>
<2.1 モータ制御装置の構成>
図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すモータ制御装置は、ECU10を用いて構成されており、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動する。ECU10は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略称する)20、3相/PWM(Pulse Width Modulation)変調器41、モータ駆動回路43、および、電流センサ45を備えている。
ECU10には、トルクセンサ3から出力された操舵トルクTs、車速センサ4から出力された車速S、および、位置検出センサ5から出力された回転位置Pが入力される。マイコン20は、ブラシレスモータ1の駆動に用いられる電圧指令値を求める制御手段として機能する。マイコン20の機能の詳細については、後述する。
3相/PWM変調器41とモータ駆動回路43は、ハードウェア(回路)で構成されており、マイコン20で求めた電圧指令値の電圧を用いてブラシレスモータ1を駆動するモータ駆動手段として機能する。3相/PWM変調器41は、マイコン20で求めた3相の電圧指令値に応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号(図2に示すU、V、W)を生成する。モータ駆動回路43は、スイッチング素子として6個のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )を含むPWM電圧形インバータ回路である。6個のMOS−FETは、3種類のPWM信号とその否定信号によって制御される。すなわち、モータ駆動回路43において各相に対し2個ずつMOS−FETが割り当てられており、当該2個のMOS−FETは互いに直列に接続されてスイッチング素子対をなし、このようなスイッチング素子対が電源端子と接地端子との間に相数だけ並列に接続されることによりインバータが構成される。そして、各相に対応する2個のMOS−FET(スイッチング素子対)の接続点は、インバータにおける当該相の出力端としてブラシレスモータ1に接続される。各相に2個ずつ対応するMOS−FETの導通状態が当該相に対応する2つのPWM信号(互いに反転関係にある2つのPWM信号)によって制御され、これによりu相、v相、w相の出力端Nu,Nv,Nwに得られる電圧が、それぞれu相電圧、v相電圧およびw相電圧としてブラシレスモータ1に印加される。このようにしてブラシレスモータ1に電圧が印加されることにより、モータ駆動回路43からu相電流、v相電流およびw相電流がブラシレスモータ1に供給される。
電流センサ45は、ブラシレスモータ1に供給されるu相電流およびv相電流を示す検出信号を出力し、これらの検出信号はマイコン20に入力される。
マイコン20は、ECU10に内蔵されたメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、q軸電流指令値決定部21、d軸電流指令値決定部22、減算器23,24、q軸電流PI制御部31、d軸電流PI制御部32、第1座標変換部33、第2座標変換部34、補正演算部36、補正記憶部37、電流検出部14、および角度算出部15として機能する。なお、q軸電流指令値決定部21とd軸電流指令値決定部22と減算器23,24とq軸電流PI制御部31とd軸電流PI制御部32と第1および第2座標変換部33,34と電流検出部14と角度算出部15は、ブラシレスモータ1に印加すべき相電圧を示す相電圧指令値Vu,Vv,Vwを駆動指令値として求める制御演算手段を構成する。また、補正演算部36は、ブラシレスモータ1のu,v,w相にそれぞれ対応した3個の加算器36u,36v,36wからなり、補正記憶部37は、u相,v相およびw相補正マップ37u,37v,37wを格納している。そして、このような補正演算部36と補正記憶部37は、上記の相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正する補正手段を構成する。
マイコン20は、以下に示すように、ブラシレスモータ1に供給すべき電流を示す電流指令値とブラシレスモータ1のロータの回転角(電気角)とに基づき、モータ駆動回路43に与えるべき電圧を示す相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcを求める。なお以下におて、便宜上、u相,v相およびw相のうち任意の1つの相に着目して説明する場合には、その着目した相を「x相」として言及するものとする(他の実施形態においても同様)。
q軸電流指令値決定部21は、トルクセンサ3によって検出された操舵トルクTsと車速センサ4によって検出された車速Sとに基づき、ブラシレスモータ1に供給すべき電流のq軸成分を示すq軸電流指令値iq *を決定する。このq軸電流指令値i* qは、ブラシレスモータ1が発生すべきトルクに対応する電流値であり、減算器23に入力される。一方、d軸電流指令値決定部22は、ブラシレスモータ1に供給すべき電流のd軸成分を示すd軸電流指令値id *を決定する。ブラシレスモータ1に流れる電流のd軸成分は、トルクに関与しないので、典型的にはid *=0である。このd軸電流指令値id *は減算器24に入力される。
電流検出部14は、電流センサ45からの検出信号に基づき、モータ駆動回路43からブラシレスモータ1に供給される電流のうちu相電流およびv相電流の検出値をそれぞれu相電流検出値Iuおよびv相電流検出値Ivとして出力する。これらのu相およびv相電流検出値Iu,Ivは、第1座標変換部33に与えられる。また、角度算出部15は、位置検出センサ5で検出した回転位置Pに基づき、ブラシレスモータ1のロータの回転位置を示す電気角θを求める。この電気角θは、第1および第2座標変換部33,34に与えられる。なお、図3に示すようにブラシレスモータ1に対してu軸、v軸およびw軸を設定し、ブラシレスモータ1のロータ6に対してd軸およびq軸を設定したとき、u軸とd軸のなす角が電気角θとなる。
第1座標変換部33は、電気角θを用い次式(1)および(2)に従って、上記のu相およびv相電流検出値Iu,Ivをdq座標上の値であるq軸およびd軸電流検出値iq,idに変換する。
d=√2×{Iv×sinθ−Iu×sin(θ−2π/3)} …(1)
q=√2×{Iv×cosθ−Iu×cos(θ−2π/3)} …(2)
このようにして得られたq軸およびd軸電流検出値iq,idは減算器23,24にそれぞれ入力される。
減算器23は、q軸電流指令値i* qとq軸電流検出値iqとの偏差であるq軸電流偏差(i* q−iq)を算出し、q軸電流PI制御部31は、このq軸電流偏差(i* q−iq)に対する比例積分制御演算によってq軸電圧指令値vqを求める。減算器24は、d軸電流指令値i* dとd軸電流検出値idとの偏差であるd軸電流偏差(i* d−id)を算出し、d軸電流PI制御部32は、このd軸電流偏差(i* d−id)に対する比例積分制御演算によってd軸電圧指令値vdを求める。このようにして求められたq軸およびd軸電圧指令値vq,vdは、第2座標変換部34に入力される。
第2座標変換部34は、電気角θを用い次式(3)〜(5)に従って、上記のq軸およびd軸電圧指令値vq,vdを3相交流座標上の値である相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する(以下では、これらの相電圧指令値Vu,Vv,Vwを、それぞれ「u相電圧指令値Vu」、「v相電圧指令値Vv」、「w相電圧指令値Vw」ともいう)。
Vu=√(2/3)×{vd×cosθ−vq×sinθ} …(3)
Vv=√(2/3)×{vd×cos(θ−2π/3)
−vq×sin(θ−2π/3)} …(4)
Vw=−Vu−Vv …(5)
これらの相電圧指令値Vu,Vv,Vwは、補正演算部36の加算器36u,36v,36wにそれぞれ与えられると共に、補正記憶部37に格納されたu相、v相およびw相補正マップ37u,37v,37wにそれぞれ与えられる。
x相補正マップ37x(x=u,v,w)は、x相の電圧指令値と当該電圧指令値に必要な補正量とを対応づけるためのマップである。x相補正マップ37xによりx相電圧指令値Vxに対応する補正量が得られ、これらの補正量は補正演算部36におけるx相に対応する加算器36xにそれぞれ与えられる(x=u,v,w)。
補正演算部36において、x相に対応する加算器36xは、x相補正マップ37xにより得られる補正量をx相電圧指令値Vxに加算することにより当該x相電圧指令値Vxを補正する(x=u,v,w)。このようにして得られた補正後のu相、v相およびw相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcは3相/PWM変調器41に与えられる。
既述のように3相/PWM変調器41は、これらの補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号U,V,Wとその否定信号を生成する。モータ駆動回路43は、これら3種類のPWM信号とその否定信号によって制御されることにより、ブラシレスモータ1に対して3相の駆動電流(u相電流、v相電流およびw相電流)が供給される。これによりブラシレスモータ1が回転し、トルクを発生する。
なお、モータ駆動回路43からブラシレスモータ1への電流経路のうちu相およびv相の電流経路には電流センサ45が挿入されており、この電流センサ45は、既述のように、ブラシレスモータ1に供給されるu相およびv相電流を示す検出信号を出力する。また、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pは、既述のように、位置検出センサ5によって検出される。u相およびv相電流を示す検出信号および回転位置Pを示す検出信号は、マイコン20に入力され、上記のようにブラシレスモータ1の駆動制御に使用される。
<2.2 相電圧指令値の補正について>
ブラシレスモータ1の出力トルクに含まれるリップル(トルクリップル)を抑制すべく、モータ・駆動回路系において相間抵抗差が生じないようにモータ駆動回路基板(モータ駆動回路43が実装される回路基板)の回路パターンを形成するのが好ましい。しかし、電源端子から接地端子に到るまでの経路の抵抗成分に相間で差が生じないように配線パターンを形成しても、各相につき、電源端子からモータ駆動回路43の出力端までの経路の抵抗成分(以下「上段アーム抵抗」という)と当該出力端から接地端子までの経路の抵抗成分(以下「下段アーム抵抗」という)との間に差がある場合には、トルクリップルが発生する。これに対し、モータ・駆動回路系において相間抵抗差が生じないようにするだけでなく、各相につき上段アーム抵抗と下段アーム抵抗とが等しくなるように配線パターンを形成しようとすると、モータ駆動回路基板における回路パターンが複雑化し、回路パターン形成のためのスペースが増大する。
そこで本実施形態では、モータ駆動回路基板の面積の増大を抑えるべく、各相につき上段アーム抵抗と下段アーム抵抗との間に生じる差(以下、「上下段抵抗差」という)を許容している。そして、トルクリップルの発生を抑制すべく上下段抵抗差が相毎に補償されるように、上記補正演算部36および補正記憶部37からなる補正手段によって相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正される。以下、この補正手段による補正の詳細について説明する。
本実施形態では、上下段抵抗差を補償するために補正演算部36において相電圧指令値Vu,Vv,Vwに加算すべき補正量は、相毎に用意された補正マップを参照して求められる。すなわち、u相、v相およびw相電圧指令値Vu,Vv,Vwに加算される補正量は、u相、v相およびw相補正マップ37,37v,37wによって当該u相、v相およびw相電圧指令値Vu,Vv,Vwにそれぞれ対応付けられた補正量である。このようなu相、v相およびw相補正マップ37u,37v,37wは、相電圧指令値と補正量との具体的な対応の仕方が異なるように設定することが可能であるが、いずれの補正マップもその作成方法や利用方法は同様である。そこで以下では、u相、v相およびw相をx相で代表させて説明する。
図4は、本実施形態におけるx相補正マップ37xの作成を説明するための回路図であり、モータ駆動回路43およびブラシレスモータ1からなるモータ・駆動回路系の回路構成を示している。電源端子Npwからx相の出力端Nxまでの抵抗成分すなわちx相の上段アーム抵抗は、その上段アームにおけるスイッチング素子(FET)のオン抵抗と配線抵抗からなり、x相の出力端Nxから接地端子Ngdまでの抵抗成分すなわちx相の下段アーム抵抗は、その下段アームにおけるスイッチング素子(FET)のオン抵抗と配線抵抗からなる。なお、図4では示されていないが、ブラシレスモータ1が回転している場合には、ブラシレスモータ1の各相には逆起電力が発生する。以下、この図4を参照して、x相補正マップの作成について説明する(x=u,v,w)。
モータ駆動回路43が実装される回路基板(モータ駆動回路基板)において、電源端子Npwから接地端子Ngdに到るまでの経路の抵抗成分が相間で等しくなるように配線パターンが形成されていても、x相につき上段アーム抵抗Rhxと下段アーム抵抗Rlxとの間に差(上下段抵抗差)が存在すると、出力端Nxの電圧Vxaが本来の電圧からずれる。本実施形態では、この電圧ずれを補償するためのx相電圧指令値Vxの補正量がx相補正マップ37xによって与えられる。
モータ駆動回路43のx相の出力端Nxの電圧Vxaは、モータ駆動回路43に供給される直流電源の電圧をVbとし、x相の上段アームのスイッチング素子のオン期間の比率であるデューティ比をDxで示すものとすると、理想的(Rhx=Rlx=0の場合)には、
Vxa=Dx・Vb …(6)
となる。しかし実際には、上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxはゼロでない値を有しており、Rhx≠0,Rlx≠0であるので、出力端の電圧Vxaは、上記式(6)で与えられる値Dx・Vbからずれる。なお以下では、上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値も記号Rhx,Rlxでそれぞれ示すものとする(他の実施形態においても同様)。
一方、制御演算手段(の第2座標変換部34)から出力されるx相電圧指令値Vxは、モータ駆動回路43のx相上段アームのスイッチング素子のオン期間の比率を示すx相デューティ比Dxに対応し、
Dx=Vx/Vb …(7)
である。上記のようにRhx≠0,Rlx≠0であることから、式(7)で与えられるデューティ比Dxでx相に対応する2個のスイッチング素子が駆動されると、モータ駆動回路43の出力端Nxには相電圧指令値Vx通りの電圧が得られない。
これに対し本実施形態では、各相における上段アーム抵抗Rhx、下段アーム抵抗Rlx、およびブラシレスモータ1の抵抗成分(以下「モータ相抵抗」という)Rmの設計値または実測値を用いて、各種のデューティ比Dxにつき当該デューティ比Dxに対応する理想的な出力端電圧Vxa(=Dx・Vb=Vx)に対する実際の出力端電圧Vxaのずれを予め求めておく。そして、各種のデューティ比Dxにつき、そのデューティ比Dxにおける上記電圧ずれを補償するための相電圧指令値Vx(=Dx・Vb)の補正量を決定し、当該補正量とその相電圧指令値Vxまたはデューティ比Dxとを対応付けるデータをx相補正マップ37xとして補正記憶部37に格納しておく(x=u,v,w)。
本実施形態では、このようにして作成されたu相、v相およびw相補正マップ37u,37v,37wを参照して相毎に得られる補正量を相電圧指令値Vu,Vv,Vwに加算することにより、補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcが得られる。そして、この補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じて、PWM電圧形インバータとしてのモータ駆動回路43の各スイッチング素子(FET)が駆動(オン/オフ)される。これによりモータ駆動回路43の出力端Nu,Nv,Nwに得られる電圧Vua,Vva,Vwaが、ブラシレスモータ1に印加される。
<2.3 補正マップの作成の具体例>
本実施形態において使用する各相の補正マップ37u,37v,37wを作成するには、各相につき、上段アーム抵抗Rhx、下段アーム抵抗Rlx、およびモータ相抵抗Rmの設計値または実測値を用いて、各種のデューティ比Dxにおける(モータ駆動回路43の)出力端電圧Vxaが理想値(=相電圧指令値Vx)からどの程度ずれるかを求める必要がある。このような出力端Nxにおける電圧ずれは、上記抵抗Rhx,Rlx,Rmの設計値または実測値を用いて、モータ駆動回路43を含むモータ制御装置とブラシレスモータ1とからなるシステムの動作を計算機でシミュレーションすることにより求めることができる。
このような計算機シミュレーションを行うことなく、モータ駆動回路43とブラシレスモータ1からなるモータ・駆動回路系(図4)のうち1相分の構成を示す等価回路を簡易なモデルに基づいて表現し、相毎の等価回路に基づいて出力端Nxにおける電圧ずれを求めることもできる。以下、x相における出力端Nxの電圧ずれをこの簡易モデルで求め、その電圧ずれに基づきx相補正マップ37xを作成するという方法について説明する(x=u,v,w)。
図5(a)(b)は、いずれも、図4に示すモータ・駆動回路系のうちの1相分であるx相の構成を示す回路図である。この1相分の回路構成を用いる簡易モデルでは、ブラシレスモータ1における逆起電力は考慮されていない。図5(a)は、x相電流がモータ駆動回路43からブラシレスモータ1に流れる場合を示しており、図5(b)は、x相電流がブラシレスモータ1からモータ駆動回路43に流れる場合を示している。また、図5(a)(b)において、上段アームにおけるスイッチング素子(以下「上段スイッチング素子」という)SWXhのオン抵抗および配線抵抗を含む抵抗成分は、上段アーム抵抗Rhxとして示されており、下段アームにおけるスイッチング素子SWXl(以下「下段スイッチング素子」という)のオン抵抗および配線抵抗を含む抵抗成分は、下段アーム抵抗Rlxとして示されている。なお、Rmはブラシレスモータ1におけるx相の抵抗成分を示している。
図5(a)に示すようにx相電流がモータ駆動回路43からブラシレスモータ1に流れる場合において、上段スイッチング素子SWXhがオン状態のとき、そのx相電流Ixは
Ix=(Vb−Vm)/(Rhx+Rm) …(8)
であるので、このときの出力端Nxの電圧Vxuは、
Vxu=(Vb−Vm)Rm/(Rhx+Rm)+Vm …(9)
となる。ここで、Vbはモータ駆動回路43に与えられる直流電源の電圧であり、Vmはブラシレスモータ1の中性点Nnの電圧である。また、ブラシレスモータ1は誘導性負荷であることから、この場合において上段スイッチング素子SWXhがオフ状態となり下段スイッチング素子SWXlがオン状態となっても、上記式(8)で示される電流Ixが引き続き流れる。したがって、下段スイッチング素子SWXlがオン状態のときの出力端Nxの電圧Vxdは、
Vxd=−Ix・Rlx
=−(Vb−Vm)Rlx/(Rhx+Rm) …(10)
となる。よって、ブラシレスモータ1に印加されるx相電圧に相当する出力端電圧Vxaは、上段スイッチング素子SWXhのオン期間の比率であるデューティ比Dxを用いて、式(9)と(10)より次式のように表すことができる。
Vxa=Dx・Vxu+(1−Dx)・Vxd
=(Vb−Vm){Dx・(Rm+Rlx)−Rlx}/(Rhx+Rm)
+Dx・Vm …(11)
ところで、デューティ比Dxに対応する理想的なx相電圧すなわちRhx=Rlx=0のときの出力端Nxの電圧Vxoは、
Vox=Dx・Vb …(12)
である。また、出力端Nxにおける電圧ずれはVxa−Vxoであるので、本実施形態では補正量ΔVxを
ΔVx=Vxo−Vxa …(13)
とする。したがって、抵抗Rhx,Rlx,Rmの設計値または実測値が与えられると(Vb,Vmは既知)、x相電流がモータ駆動回路43からブラシレスモータ1に流れる場合すなわちDx>0.5の場合につき、種々のデューティ比Dxに対する補正量ΔVxを式(11)〜(13)より求めることができる。
一方、図5(b)に示すようにx相電流がブラシレスモータ1からモータ駆動回路43に流れる場合において、下段スイッチング素子SWXlがオン状態のとき、そのx相電流Ixは
Ix=Vm/(Rlx+Rm) …(14)
であるので、このときの出力端Nxの電圧Vxdは、
Vxd=Vm・Rlx/(Rlx+Rm) …(15)
となる。また、ブラシレスモータ1は誘導性負荷であることから、この場合において下段スイッチング素子SWXlがオフ状態となり上段スイッチング素子SWXhがオン状態となっても、上記式(14)で示される電流Ixが引き続き流れる。したがって、上段スイッチング素子SWXhがオン状態のときの出力端Nxの電圧Vxuは、
Vxu=Vb−Ix・Rhx
=Vb−Vm・Rhx/(Rlx+Rm) …(16)
となる。よって、ブラシレスモータ1に印加されるx相電圧に相当する出力端電圧Vxaは、Nxにおける上段スイッチング素子SWXhのオン期間の比率であるデューティ比Dxを用いて、式(15)と(16)より次式のように表すことができる。
Vxa=Dx・Vxu+(1−Dx)・Vxd
=Vm・{Rlx−Dx・(Rhx+Rlx)}/(Rlx+Rm)
+Dx・Vb …(17)
ところで、デューティ比Dxに対応する理想的なx相電圧すなわちRhx=Rlx=0のときの出力端Nxの電圧Vxoは、
Vox=Dx・Vb …(18)
である。したがって、抵抗Rhx,Rlx,Rmの設計値または実測値が与えられると、x相電流がブラシレスモータ1からモータ駆動回路43に流れる場合すなわちDx<0.5の場合につき、種々のデューティ比Dxに対する補正量ΔVxを式(17)と(18)と(13)より求めることができる。
以上のようにして、式(11)〜(13)および式(17)〜(18)より、種々のデューティ比Dxに対する補正量ΔVxを求めることができるので、x相につきデューティ比Dxに補正量ΔVxを対応付けるx相補正マップ37xを作成することができる(x=u,v,w)。
図6は、上記の簡易モデルによる図5(a)(b)の等価回路に基づき作成される補正マップの一例を示す図である。ただし、この図6は、便宜上、デューティ比Dxと補正量ΔVxとの対応関係を、Rhx>Rlxの場合とRhx=Rlx≠0の場合とRhx<Rlxの場合とRhx=Rlx=0の場合(理想の場合)という4つの場合について同時に示している。上記のように、本発明を実施しようとするモータ制御装置のモータ駆動回路43およびブラシレスモータ1についての抵抗Rhx,Rlx,Rmの設計値または実測値を用いれば(電源電圧Vb、中性点電圧Vmは既知)、各相につきデューティ比Dxに補正量ΔVxを対応付ける補正マップとして、それらの抵抗Rhx,Rlx,Rmの抵抗値に応じた補正マップ37xを作成することができる。すなわち、上下段抵抗差および相間抵抗差を反映させた補正マップ37x(x=u,v,w)を作成することができる。このようにして作成された補正マップ37xは、図6に示す4つの場合のうち理想の場合(Rlx=Rhx=0の場合)を除く3つの場合のいずれかに対応する曲線(折れ線)によって種々のデューティ比Dxと相電圧指令値Vxの補正量とを対応付けるマップとなっている。ここで、デューティ比Dxは、(補正前の)x相電圧指令値Vxを用いてDx=Vx/Vbと表すことができる。したがって、このx相補正マップ37xは、x相電圧指令値Vxにその補正量ΔVxを対応付けるマップとして使用することができる(x=u,v,w)。なお、本実施形態では
<2.4 効果>
上記のような本実施形態によれば、制御演算手段によって算出された相電圧指令値Vx(x=u,v,w)が、上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlx等の設計値または実測値等に基づき作成された補正マップ37xを参照して補正演算部36により相毎に補正され(図2参照)、補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じて、PWM電圧形インバータとしてのモータ駆動回路43の各スイッチング素子(FET)が駆動(オン/オフ)される。これにより、モータ駆動回路43における上段アーム抵抗Rhxと下段アーム抵抗Rlxとに差(上下段抵抗差)がある場合であっても、相電圧指令値Vu,Vv,Vwに応じた電圧が精度よくブラシレスモータ1に印加される。また、相電圧指令値Vu,Vv,Vwは、相毎に作成された補正マップ37u,37v,37wを参照して各相電圧指令値Vxに応じて相毎に補正されるので、モータ・駆動回路系において相間抵抗差が存在する場合であっても、ブラシレスモータ1に印加される相電圧Vua,Vva,Vwaの相間での不均衡化が抑制される。
したがって、このような本実施形態によれば、ブラシレスモータ1におけるトルクリップルを低減することができる。ところで、インバータとしてのモータ駆動回路43における上下段抵抗差や相間抵抗差が解消されるように配線パターンを形成することによりトルクリップルの発生を抑制しようとすると、モータ駆動回路基板のサイズの増大を招く。これに対し本実施形態によれば、相電圧指令値Vu,Vv,Vwの補正によりトルクリップルが低減されるので、モータ駆動回路基板のサイズの増大を回避することができ、配線抵抗の増大も避けることができる。このため、本実施形態に係るモータ制御装置を使用した電動パワーステアリング装置において、モータ駆動回路基板のサイズ増大を抑えることで小型化や高効率化、低コスト化等の要請に応えつつ、トルクリップルを抑制して操舵フィーリングを向上させることができる。
<3.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置について説明する。
一般に、モータ駆動回路からモータに与えられる印加電圧には、当該モータ駆動回路における上段および下段アーム抵抗による電圧降下に起因して誤差が生じる。このようなモータへの印加電圧の誤差は、上記第1の実施形態におけるように相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正することで抑制することが可能である。
ところで、モータ制御装置の製造時には電子部品等の特性のバラツキによって上記の上段および下段アーム抵抗の抵抗値がばらつき、また、使用温度環境によって当該抵抗値が変動する。このため上記第1の実施形態では、当該抵抗値についてのバラツキや変動によって相電圧指令値Vu,Vv,Vwの補正の精度が低下し、モータへの印加電圧の上記誤差を十分に抑制できない場合がある。オープンループ制御によりモータが駆動される場合において、目標通りの電流をモータに流すには、このような印加電圧の誤差が特に問題となる。
そこで本実施形態は、モータ駆動回路における上段および下段アーム抵抗の抵抗値がばらついたり変動したりしても、精度よく相電圧指令値を補正し、モータへの印加電圧の上記誤差を十分に抑制できるように構成されている。
<3.1 モータ駆動装置>
図7は、本実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。このモータ制御装置も、第1の実施形態と同様に、図1に示す電動パワーステアリング装置において、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動するものであって、ECU10を用いて構成されている。本実施形態における構成要素のうち上記第1の実施形態と同一のものについては同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施形態に係るモータ制御装置に使用されるECU10は、図7に示すように、マイコン60、3相/PWM(Pulse Width Modulation)変調器41、モータ駆動回路43、および、電流センサ46を備えている。
ECU10には、トルクセンサ3から出力された操舵トルクTs、車速センサ4から出力された車速S、および、位置検出センサ5から出力された回転位置Pが入力される。マイコン60は、ブラシレスモータ1の駆動に用いられる電圧指令値を求める制御手段として機能する。マイコン60の機能の詳細については、後述する。
3相/PWM変調器41は、マイコン60で求めた3相の電圧指令値に応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号(図7に示すU,V,W)を生成する。上記第1の実施形態と同様、これらのPWM信号U,V,Wとその否定信号は、PWM電圧形インバータとしてのモータ駆動回路43に与えられ、このモータ駆動回路43におけるu相、v相、w相の出力端Nu,Nv,Nwに得られる電圧が、それぞれu相電圧、v相電圧およびw相電圧としてブラシレスモータ1に印加される。これにより、モータ駆動回路43からu相電流、v相電流およびw相電流がブラシレスモータ1に供給される。
電流センサ46は、モータ駆動回路43からブラシレスモータ1に供給される電流、すなわちブラシレスモータ1に流れる電流を検出する。この電流センサ46は、例えば抵抗体やホール素子で構成され、モータ駆動回路13と電源との間に1個だけ設けられる。
ブラシレスモータ1が回転している間、電流センサ46で検出される電流値は、PWM信号に応じて変化する。PWM信号の1周期(以下「PWM周期」という)内では、電流センサ46によって1相の駆動電流が検知されるときと、2相の駆動電流の和が検知されるときとがある。3相の駆動電流の和はゼロになるので、2相の駆動電流の和に基づき、残り1相の駆動電流を求めることができる。したがって、ブラシレスモータ1が回転している間、1個の電流センサ46を用いて3相の駆動電流を検出することができる。電流センサ46で検出された電流値Iaは、マイコン60に入力される。
マイコン60は、ECU10に内蔵されたメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、q軸電流指令値決定部21、d軸電流指令値決定部22、オープンループ制御部51、dq軸/3相変換部54、補正部61、電流推定部58、角度算出部15、角速度算出部55、および、Φ算出部56として機能する。なお、q軸電流指令値決定部21とd軸電流指令値決定部22とオープンループ制御部51とdq軸/3相変換部54と角度算出部15と角速度算出部55とΦ算出部56は、ブラシレスモータ1に印加すべき相電圧を示す相電圧指令値Vu,Vv,Vwを求める制御演算手段を構成する。
マイコン60は、以下に述べるように、ブラシレスモータ1に供給すべき電流を示す電流指令値とブラシレスモータ1のロータの回転角(電気角)とに基づき、モータ駆動回路43に与えるべき電圧を示す相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcを求める。
q軸電流指令値決定部21は、上記第1の実施形態と同様、ブラシレスモータ1に供給すべき電流のq軸成分を示すq軸電流指令値iqcを決定し、d軸電流指令値決定部22は、ブラシレスモータ1に供給すべき電流のd軸成分を示すd軸電流指令値idcを決定する。これらのq軸電流指令値iqcおよびd軸電流指令値idcはオープンループ制御部51に入力される。
角度算出部15は、上記第1の実施形態と同様、位置検出センサ5で検出した回転位置Pに基づき、ブラシレスモータ1のロータの回転角を示す電気角(以下「角度θ」という)を求める。角速度算出部55は、角度θに基づき、ブラシレスモータ1のロータの角速度ωe を求める。角度θはΦ算出部56、dq軸/3相変換部54および補正部61に入力され、角速度ωe はオープンループ制御部51およびΦ算出部56に入力される。
オープンループ制御部51は、d軸電流指令値idc,q軸電流指令値iqcおよび角速度ωe に基づき、ブラシレスモータ1に印加すべき電圧の目標値のd軸成分およびq軸成分を示すd軸電圧指令値vdcおよびq軸電圧指令値vqcを求める。d軸電圧指令値vdcとq軸電圧指令値vqcは、次式(19)と(20)に示すモータの回路方程式を用いて算出される。
dc=(R+PLd)idc−ωeqqc …(19)
qc=(R+PLq)iqc+ωeddc+ωeΦ …(20)
ただし、式(19)と(20)において、ωe はロータの角速度、Rは電機子巻線抵抗を含む回路抵抗、Ld はd軸の自己インダクタンス、Lq はq軸の自己インダクタンス、Φはu,v,w相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍、Pは微分演算子である。このうちR、Ld 、Lq およびΦは、既知のパラメータとして扱われる。なお、Rで示される回路抵抗には、ブラシレスモータ1とECU10との間の配線抵抗やECU10内でのモータ駆動回路43の抵抗および配線抵抗などが含まれる。
dq軸/3相変換部54は、上記角度θを用いて、オープンループ制御部51で求めたd軸電圧指令値vdcとq軸電圧指令値vqcを3相交流座標軸上の電圧指令値すなわちu相電圧指令値Vu、v相電圧指令値Vvおよびw相電圧指令値Vwに変換する。なお、u相電圧指令値Vu、v相電圧指令値Vvおよびw相電圧指令値Vwを総称して「相電圧指令値Vu,Vv,Vw」ともいう。
電流推定部58は、q軸およびd軸電流指令値決定部21,22からのq軸およびd軸電流指令値iqc,idcと、オープンループ制御部51からのq軸およびd軸電圧指令値vqc,vdcとに基づき、モータ駆動回路43からブラシレスモータ1に設計上供給されるべき電流のq軸成分およびd軸成分をそれぞれq軸電流推定値Iqeおよびd軸電流推定値Iqeとして求める。具体的には、d軸およびq軸電圧指令値vqc,vdcから算出される電圧ベクトルの大きさが電源としてのバッテリ100の電圧以下すなわち電源電圧以下である場合には、q軸およびd軸電流指令値iqc,idcをそれぞれq軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideとし、当該算出される電圧ベクトルの大きさが電源電圧を超える場合には、当該算出された電圧ベクトルの大きさに対する電源電圧の大きさの比に応じてq軸およびd軸電流指令値iqc,idcを縮小したものをq軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideとする。これらのq軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideは、電流推定部58から出力され、補正部61に入力される。なお、q軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideの決定方法は上記方法に限定されるものではなく、モータ駆動回路43からブラシレスモータ1に供給されるべき電流のq軸成分およびd軸成分(ブラシレスモータ1に流れるべき電流のq軸成分およびd軸成分)を適切に推定できる方法であれば、他の方法によりq軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideを決定してもよい。
補正部61は、q軸電流推定値Iqeおよびd軸電流推定値Ideと電流センサ46で検出された電流値Iaとに基づき、上記の相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正する。補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcは3相/PWM変調器41に入力される。
3相/PWM変調器41は、これら補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号U,V,Wを生成する。モータ駆動回路43は、この3種類のPWM信号U,V,Wとその否定信号によって制御される。これによりモータ駆動回路43の出力端Nu,Nv,Nwに得られる電圧がブラシレスモータ1に印加される。その結果、ブラシレスモータ1の3相巻線には、各相の電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じた正弦波状の電流が流れ、ブラシレスモータ1のロータは回転する。これに伴い、ブラシレスモータ1の回転軸には、ブラシレスモータ1を流れる電流に応じたトルクが発生する。発生したトルクは操舵補助に用いられる。
Φ算出部56には、電流センサ46で検出された電流値Iaと、角度算出部34で算出された角度θと、角速度算出部35で算出された角速度ωe とが入力される。Φ算出部56は、まず電流値Iaに基づきブラシレスモータ1に流れるu相とv相の電流の値、すなわちu相電流検出値Iu、v相電流検出値Ivを求め、これらをdq座標軸上の電流値に変換することによりd軸電流検出値id とq軸電流検出値iq を求める。
次に、Φ算出部56は、ωe ≠0のときに、q軸電圧指令値vqc、d軸電流検出値id 、q軸電流検出値iq および角速度ωe に基づき、次式(21)を用いて式(20)に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求める。
Φ={vqc−(R+PLq)iq−ωedd}/ωe …(21)
なお、式(21)は、式(20)のd軸電流指令値idcとq軸電流指令値iqcにd軸電流検出値id とq軸電流検出値iq を代入し、その式をΦについて解いたものである。
Φ算出部56は、求めたΦ値をオープンループ制御部51に対して出力する。オープンループ制御部51は、式(20)を用いてq軸電圧指令値vqcを求めるときに、Φ算出部56で算出されたΦ値を使用する。このようにマイコン60は、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求め、q軸電圧指令値vqcを求めるときにはそのΦ値を使用するが、Φ算出部56を省略し、Φ値として予め決められた値を使用してもよい。
なお本実施形態では、オープンループ制御部31においてd軸電圧指令値vdcおよびq軸電圧指令値vqcを求めるために使用される電機子巻線抵抗R等は、既知のパラメータとして扱われるが、Φについては既知のパラメータとして扱いつつもパラメータ算出手段としてのΦ算出部56により適宜補正される。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、Φ算出部56に代えて又はΦ算出部56と共にパラメータ算出手段としてのR算出部を設け、d軸電圧指令値vdcおよびq軸電圧指令値vqcを求める際に、当該R算出部により算出されたRを使用してもよい。また、d軸電圧指令値vdcおよびq軸電圧指令値vqcを求めるための各パラメータを固定値または電流指令値に基づく算出値として扱ってもよい。
<3.2 補正部の詳細>
図8は、本実施形態における補正部61の構成を示すブロック図である。この補正部61は、相電流算出部612とdq軸/3相変換部614と抵抗値補正部616と指令値補正部618とを含んでいる。
相電流算出部612は、電流センサ46で検出された電流値Iaからu相電流検出値Iu、v相電流検出値Iv、w相電流検出値Iwを求める。これらの相電流検出値Iu,Iv,Iwは、抵抗値補正部616に入力される。
dq軸/3相変換部614は、電流推定部58から受け取るq軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideを、角度算出部15で算出される角度θに基づき、3相交流座標軸上の電流推定値すなわちu相電流推定値Iue、v相電流推定値Ive、およびw相電流推定値Iweに変換する。これらの相電流推定値Iue,Ive,Iweは、抵抗値補正部616および指令値補正部618に入力される。
抵抗値補正部616は、上記の相電流検出値Iu,Iv,Iwおよび相電流推定値Iue,Ive,Iweを用い、次式に従って、モータ駆動回路43における各相の上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxを補正する(x=u,v,w)。
Rhxc=Rhx×Ixe/Ix …(23)
Rlxc=Rlx×Ixe/Ix …(24)
ここで、Rhxcは補正後のx相の上段アーム抵抗を示し、Rlxcは補正後のx相の下段アーム抵抗を示している。なお、当該モータ制御装置の初期状態における各相の上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値としては、設計値または実測値を用いる。
図9(a)(b)は、モータ駆動回路43の1相分であるx相の構成を示す回路図であり、図10は、上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxを考慮した場合のx相出力端子Nxにおける電圧(以下「x相出力端電圧」という)の波形図である。ここで、図9(a)(b)に示される上段スイッチング素子SWXhおよび下段スイッチング素子SWXlは、モータ駆動回路43におけるx相のスイッチング素子としてのFETであるが、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxは、それぞれ、上段および下段スイッチング素子SWXh,SWXlのオン抵抗をも含めて表現しているものとする。
PWM信号X(X=U,V,W)の1周期Tのうち、上段スイッチング素子SWXhのオン期間(下段スイッチング素子SWXlのオフ期間)txでは、上段アームに実際に流れる電流またはx相電流検出値をIxとすると、このときのx相出力端電圧Vxhは、
Vxh=Vb−Rhx・Ix …(25)
となる。一方、上段スイッチング素子SWXhのオフ期間(下段スイッチング素子SWXlのオン期間)(T−tx)では、下段アームに実際に流れる電流またはx相電流検出値をIxとすると、このときのx相出力端電圧Vxlは、
Vxl=0−Rlx・Ix …(26)
となる(図10参照)。
したがって、モータ駆動回路43のx相出力端Nxからブラシレスモータ1に実際に印加される電圧(以下「x相実電圧」という)Vxaは、
Vxa={Vxh・tx+Vxl・(T−tx)}/T
={(Vb−Rhx・Ix)・tx+(0−Rlx・Ix)・(T−tx)}/T
={(Vb・tx+0・(T−tx)}/T
−{Rhx・tx+Rlx・(T−tx)}・Ix/T …(27)
となる。これより、x相実電圧Vxaにおいて上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxによって生じる誤差Δexは、
Δex=−{Rhx・tx+Rlx・(T−tx)}・Ix/T …(28)
となることがわかる。
したがって、この誤差Δexについては、tx>(T−tx)のときに上段アーム抵抗Rhxの影響が大きく、このときIx>0である(図9(a))。一方、tx<(T−tx)のときには下段アーム抵抗Rlxの影響が大きく、このときIx<0である(図9(b))。そこで本実施形態では、x相の電流検出値Ixに基づき、Ix>0のときには、上段アーム抵抗Rhxを式(23)に従って補正し、補正後の上段アーム抵抗Rhxcを新たにRhxと置き直す。また、Ix<0のときには、下段アーム抵抗Rlxを式(24)に従って補正し、補正後の下段アーム抵抗Rlxcを新たにRlxと置き直す。抵抗値補正部616では、このようにして上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxが更新されていく。
ただし、抵抗値の変動はモータ駆動のための制御演算の周期に比べて十分緩やかであるので、本実施形態では、これらの抵抗値の更新周期として、制御演算の周期すなわち相電圧指令値Vu,Vv,Vwを求める周期よりも長い期間が設定される。この更新周期は例えば数m秒ないし数秒程度でよく、また、当該モータ制御装置の起動時に一度だけ更新してもよく、また、相電流Iu,Iv,Iwが検出された時に更新してもよい。さらに算出された数回分の抵抗値の平均値や代表値などが使用されてもよい。なお、上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値の補正方法(更新方法)は上記に限定されるものではなく、相電流推定値Ixeと相電流検出値Ixとの比に基づいて上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値を適切に補正(更新)するものであればよい。
指令値補正部618は、dq軸/3相変換部54から相電圧指令値Vu,Vv,Vwを受け取ると共に、補正部61内の抵抗値補正部616で上記のように更新される上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxを受け取り、これらと共に上記の相電流推定値Iue,Ive,Iweを用いて下記のようにして相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正する。いまx相電圧指令値Vxに対応する上段スイッチング素子SWXhのオン期間がtxであるとすると、このときブラシレスモータ1に印加されるべきx相電圧(周期Tにおける平均値)は
{Vb・tx+0・(T−tx)}/T …(29)
である(x=u,v,w)。
x相実電圧Vxaをこのx相電圧に等しくすべく、x相電圧指令値Vxに対するx相実電圧Vxaのずれ(x相出力端の電圧のずれ)を補償するために、図11に示すように上段スイッチング素子SWXhのオン期間をtxからtxcに変更することを考える。すなわち、x相実電圧Vxaにつき上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxによって生じる誤差Δex(式(28))を補償するために上段スイッチング素子SWXhのオン期間をtxからtxcに変更する。この変更により、ブラシレスモータ1に印加されるx相実電圧Vxaは
{(Vb−Rhx・Ix)・txc+(0−Rlx・Ix)・(T−txc)}/T
…(30)
となるので、上記式(29)と(30)より下記式が成立する。
{Vb・tx+0・(T−tx)}/T
={(Vb−Rhx・Ix)・txc+(0−Rlx・Ix)・(T−txc)}/T
…(31)
ここで、Ixは、上段スイッチング素子SWXhのオン期間がtxcであるときに実際に流れるx相電流またはx相電流検出値であり、このオン期間txcは上記誤差Δexが補償されるように変更されたものである。そこで本実施形態では、この相電流Ixをx相電流推定値Ixeに等しいと見なすことにする。なお、オン期間txは補正前のx相電圧指令値Vxに対応し、tx=(Vx/Vb)・Tであり、変更後のオン期間txcは補正後のx相電圧指令値Vxcに対応し、txc=(Vxc/Vb)・Tである(x=u,v,w)。
上記式(31)より、次式により補正後のx相電圧指令値Vxcを算出することができる(x=u,v,w)。
Vxc=(Vx+Rlx・Ixe)・Vb/{Vb−(Rhx−Rlx)・Ixe} …(32)
上記のようにして得られた補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcは、補正部61から出力されて3相/PWM変調器41に与えられる。既述のように3相/PWM変調器41は、これらの補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号U,V,Wを生成する。これら3種類のPWM信号とその否定信号によってモータ駆動回路43が制御されることにより出力端Nu,Nv,Nwに得られる電圧が、ブラシレスモータ1に印加される。その結果、ブラシレスモータ1に対して3相の駆動電流(u相電流、v相電流およびw相電流)が供給される。
<3.3 効果>
上記のような本実施形態によれば、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値に基づいて相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正され、これにより、モータ駆動回路における上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxによる電圧降下によってモータへの印加電圧に生じていた誤差が補償される。このため、上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値が無視できない程度の大きさであっても、モータ駆動回路の基板サイズの増大を抑制しつつ、本来の電圧をブラシレスモータ1に印加し、上段アーム抵抗と下段アーム抵抗とが揃っていないことによるトルクリップルの発生も抑制することができる。
これに加えて本実施形態によれば、上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値が電流推定値と電流検出値との比に基づいて適宜更新され、更新された抵抗値に基づき相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正される。したがって、電子部品等の特性バラツキや温度変化によって上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値がばらついたり変動したりしても、本来印加すべき電圧が精度よくモータに印加され、トルクリップルが抑制される。
<3.4 変形例>
上記実施形態では、1個の電流センサ46がモータ駆動回路43とグランドの間に挿入されているが(図7)、モータ駆動回路43と電源ラインと間に挿入されていてもよい。また、このような電流センサ46に代えて、各相につき1個ずつ電流センサを設けてもよいし、3相のうち2相のそれぞれにつき電流センサを設けてもよい。このようにすれば、式(23)と(24)に基づき各相の上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxを容易に制御演算の周期毎に補正することができる。
<4.第3の実施形態>
図12は、本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。このモータ制御装置も、第1および第2の実施形態と同様、図1に示す電動パワーステアリング装置において、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動するために使用されるものであって、ECU10を用いて構成されている。本実施形態における構成要素のうち上記第2の実施形態と同一のものについては同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施形態に係るモータ制御装置は、モータ駆動回路43における出力端Nu,Nv,Nwの電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段としてu相電圧センサ48u、v相電圧センサ48v、w相電圧センサ48wを備えている。これらの電圧センサ48u,48v,48wは、それぞれ、上記出力端Nu,Nv,Nwの電圧の検出値をu相電圧検出値V1、v相電圧検出値V2、w相電圧検出値V3として出力する。
本実施形態における補正部71は、q軸電流推定値Iqeおよびd軸電流推定値Ideに加えて、これらの相電圧検出値V1,V2,V3を用いて、上記の相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正する。なお以下では、上段スイッチング素子SWXhのオン期間txcにおける相電圧検出値V1,V2,V3をそれぞれVuh,Vvh,Vwhで示し、上段スイッチング素子SWXhのオフ期間(T−txc)における相電圧検出値V1,V2,V3をそれぞれVul,Vvl,Vwlで示すものとする(図11参照)。
図13は、この補正部71の構成を示すブロック図である。この補正部71は、dq軸/3相変換部714と抵抗値算出部716と指令値補正部718とを含んでいる。
dq軸/3相変換部714は、第2の実施形態におけるdq軸/3相変換部614と同様、電流推定部58から受け取るq軸およびd軸電流推定値Iqe,Ideを、角度算出部15で算出される角度θに基づき、u相電流推定値Iue、v相電流推定値Ive、およびw相電流推定値Iweに変換する。
抵抗値算出部716は、上記の相電流推定値Iue,Ive,Iweを用い、次式に従って、モータ駆動回路43における各相の上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値を算出する(x=u,v,w)。
Rhx=(Vb−Vxh)/Ixe …(34)
Rlx=(0−Vxl)/Ixe …(35)
ここで既述のように、Vxhは、x相の上段スイッチング素子SWXhのオン期間におけるx相電圧検出値であり、Vxlは、x相の上段スイッチング素子SWXhのオフ期間すなわち下段スイッチング素子SWXlのオン期間におけるx相電圧検出値である。
なお、各相の上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値の算出には、本来、上記式(34)と(35)において相電流推定値Ixeの代わりに相電流検出値Ixを用いるべきである。したがって、各相の電流検出値Ixが容易に得られる場合には、上記抵抗値の算出において、相電流推定値Ixeの代わりに相電流検出値Ixを用いるのが好ましい。しかし、相電圧指令値Vxの補正が行われると、相電流検出値Ixは相電流推定値Ixeにほぼ等しくなるので、本実施形態では、構成の簡素化の観点を考慮して、上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値の算出に上記のように相電流推定値Ixeを用いている。
また、上記抵抗値算出部716における上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の算出は、各相の指令電圧Vu,Vv,Vwが算出される毎すなわち制御演算の周期毎に行ってもよいが、抵抗値は急激に変動することはないので、これらの抵抗値の算出は、本実施形態では、相電圧指令値Vu,Vv,Vwを求める周期よりも長い周期で行われる。この算出周期は例えば数m秒ないし数秒程度でもよく、また、装置の起動時に一度だけ算出してもよい。さらに、算出された数回分の抵抗値の平均値や代表値などが使用されてもよい。
指令値補正部718は、dq軸/3相変換部54から相電圧指令値Vu,Vv,Vwを受け取ると共に、補正部71内の抵抗値算出部716で算出される上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxを受け取り、これらと共に上記の相電流推定値Iue,Ive,Iweを用いて、上記第2の実施形態における指令値補正部618と同様の方法により相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正する。
すなわち、ブラシレスモータ1に印加される各相実電圧Vxaにつき上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxによって生じる誤差Δex(式(28)参照)が補償されるように補正後のx相電圧指令値Vxcは前述の式(32)により得られる。このようにして得られた補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcは、上記第1および第2の実施形態と同様、補正部71から出力されて3相/PWM変調器41に与えられる。
上記のような本実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値に基づいて相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正され、これにより、モータ駆動回路における上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxによる電圧降下によってモータへの印加電圧に生じていた誤差が補償される。また、上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値が電流推定値と電圧検出値に基づいて適宜算出され、算出された抵抗値に基づき相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正される。したがって、電子部品等の特性バラツキや温度変化によって上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値がばらついたり変動したりしても、本来印加すべき電圧が精度よくモータに印加され、トルクリップルが抑制される。
なお、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の算出はブラシレスモータ1の制御演算の周期毎(相電圧指令値の算出毎)に行う必要はなく、電圧センサ48u,48v,48wによる相電圧V1,V2,V3の検出も制御演算の周期毎に行う必要はない。このため本実施形態によれば、マイコン70の演算負荷が軽減される。また、電圧センサ48u,48v,48wはPWM周期に対して十分に応答できるものであればよく、その実現方法は限定されない。例えば、マイコン70がA/D変換器を内蔵している場合には、当該マイコン70の所定入力ポートにモータ駆動回路43における各出力端Nu,Nv,Nwの電圧を分圧回路等を介して与えることにより、電圧センサ48u,48v,48wを簡易に実現することができる。
上記実施形態では、相電圧指令値Vu,Vv,Vwの補正に使用する上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の算出には、電圧センサによる相電圧検出値V1,V2,V3が必要であるが、これらの相電圧検出値V1,V2,V3(Vxh,Vxl)を用いて式(34)(35)の計算を行う前に、ローパスフィルタに相当するフィルタ演算(なまし処理)を行うのが好ましい。このようにすれば、検出信号のノイズによる補正誤差を軽減することができる。
また上記実施形態では、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の算出に相電流推定値Iue,Ive,Iweが使用されているが、これに代えて、相電流検出値Iu,Iv,Iwを使用してもよい。この場合、上記第2の実施形態における相電流算出部612(図8)を補正部71に設けることにより、電流センサ46で検出された電流値Iaから相電流検出値Iu,Iv,Iwを得ることができる。一方、上記実施形態では、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の算出には相電流検出値は使用されていないので、オープンループ制御部51におけるq軸電圧指令値vqcおよびd軸電圧指令値vdcの計算に必要なΦの計算にも電流検出値を使用しないように変更すれば、電流センサ46が不要となる。
上記実施形態では、モータ駆動回路43における出力端Nu,Nv,Nwの電圧を検出することによりu相電圧検出値V1、v相電圧検出値V2、w相電圧検出値V3を得ているが、これに加えて、図14に示すように、モータ駆動回路43における上下端(電源ラインへの接続点とグランドへの接続点)の電圧を検出して上端電圧検出値V4および下端電圧検出値V5を得るようにしてもよい。この場合、各相の上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値を下記式により算出することができる(x=u,v,w)。
Rhx=(V4−Vxh)/Ixe …(37)
Rlu=(V5−Vxl)/Ixe …(38)
<5.その他の実施形態>
図15は、本発明の他の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。このモータ制御装置も、第1〜第3の実施形態と同様、図1に示す電動パワーステアリング装置において、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動するために使用されるものであって、ECU10を用いて構成されている。本実施形態における構成要素のうち上記第3の実施形態と同一のものについては同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施形態に係るモータ制御装置は、第3の実施形態と同様、モータ駆動回路43における出力端Nu,Nv,Nwの電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段としてu相電圧センサ48u、v相電圧センサ48v、w相電圧センサ48wを備えている。これらの電圧センサ48u,48v,48wは、それぞれ、上記出力端Nu,Nv,Nwの電圧の検出値をu相電圧検出値V1、v相電圧検出値V2、w相電圧検出値V3として出力する。
本実施形態における補正部81は、q軸電流推定値Iqeおよびd軸電流推定値Ideを使用することなく、上記の相電圧検出値V1,V2,V3に基づいて、dq軸/3相変換部54から出力される相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正する。このため本実施形態では、第3の実施形態(図12)とは異なり、電流推定部58は設けられていない。以下、図11および図15を参照して、本実施形態における補正部81の動作を説明する。
いまx相電圧指令値Vxに対応するモータ駆動回路43の上段スイッチング素子SWXhのオン期間がtxであるとすると、このときブラシレスモータ1に印加されるべきx相電圧(周期Tにおける平均値)は
{Vb・tx+0・(T−tx)}/T …(39)
である(x=u,v,w)。
x相実電圧Vxaをこのx相電圧に等しくすべく、x相電圧指令値Vxに対するx相実電圧Vxaのずれ(x相出力端の電圧のずれ)を補償するために、図11に示すように上段スイッチング素子SWXhのオン期間をtxからtxcに変更することを考える。すなわち、x相実電圧Vxaにおいて上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxによって生じる誤差Δex(式(28))を補償するために上段スイッチング素子SWXhのオン期間をtxからtxcに変更する。この変更により、ブラシレスモータ1に印加されるx相実電圧は
{Vxh・txc+Vxl・(T−txc)}/T …(40)
となる。ここで、上段スイッチング素子SWXhのオン期間txcにおける相電圧検出値V1,V2,V3をそれぞれVuh,Vvh,Vwhで示し、上段スイッチング素子SWXhのオフ期間(T−txc)における相電圧検出値V1,V2,V3をそれぞれVul,Vvl,Vwlで示すものとする(図11参照)。
上記式(39)と(40)より下記式が成立する。
{Vb・tx+0・(T−tx)}/T
={Vxh・txc+Vxl・(T−txc)}/T …(41)
上記式(41)とtx=(Vx/Vb)・T,txc=(Vxc/Vb)・Tより補正後のx相電圧指令値Vxcは次式により得られる(x=u,v,w)。
Vxc={Vx+(0−Vxl)}・Vb/(Vxh−Vxl) …(42)
このようにして得られた補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcは、補正部81から出力されて3相/PWM変調器41に与えられる。なお、このような補正後の相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに応じてブラシレスモータ1に電圧が印加されることにより、当該ブラシレスモータ1に流れる電流は、通常、当該補正に使用した相電圧検出値V1,V2,V3の検出時点の電流に比べて変化している。このため、当該補正後においては、通常、相電圧検出値Vxh,Vxlも変化しているので、必ずしも上記式(41)は成立しない。しかし、このような補正が繰り返されることによって、上記式(41)が成立するようになる。
上記のような実施形態によれば、第1〜第3の実施形態と同様、モータ駆動回路における上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxによる電圧降下によってモータへの印加電圧に生じていた誤差は、相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正されることにより補償される。また、モータ駆動回路43における出力端Nu,Nv,Nwの電圧が逐次検出され、それらの検出値に基づき相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正される。したがって、第2および第3の実施形態と同様、電子部品等の特性バラツキや温度変化によって上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値がばらついたり変動したりしても、本来印加すべき電圧が精度よくモータに印加され、トルクリップルが抑制される。
なお上記実施形態では、モータ駆動回路43における出力端Nu,Nv,Nwの電圧を検出することによりu相電圧検出値V1、v相電圧検出値V2、w相電圧検出値V3を得ているが、これに加えて、図14に示すように、モータ駆動回路43における上下端(電源ラインへの接続点とグランドへの接続点)の電圧を検出して上端電圧検出値V4および下端電圧検出値V5を得るようにしてもよい。この場合、補正後のx相電圧指令値Vxcは、上記式(42)に代えて次式により算出される。
Vxc={Vx+(V5−Vxl)}・V4/(Vxh−Vxl) …(43)
次に、本発明の更に他の実施形態について説明する。図16は、この実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。このモータ制御装置も、第1〜第3の実施形態と同様、図1に示す電動パワーステアリング装置において、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動するために使用されるものであって、ECU10を用いて構成されている。本実施形態における構成要素のうち上記第2の実施形態と同一のものについては同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施形態では、当該モータ制御装置の製造時にモータ駆動回路43における各相の上段および下段アーム抵抗Rhx、Rlxが測定され、それらの測定値(これらの測定値も記号Rhx、Rlxで示すものとする)を記憶するための抵抗値記憶部59が設けられている(x=u,v,w)。この抵抗値記憶部59としては、例えばマイコン90に内蔵されたフラッシュメモリ等を使用することができる。
本実施形態における補正部91は、その抵抗値記憶部59から各相の上段および下段アーム抵抗Rhx、Rlxの測定値を読み出し、これらの測定値を用いて、第3の実施形態における補正部71内の指令値補正部718(図13)と同様、式(32)に従って補正後の相電圧指令値Vxcを算出する(x=u,v,w)。なお、上記から明らかなように本実施形態では、第3の実施形態における抵抗値算出部716は不要となる。
モータ駆動回路43における各相の上段および下段アーム抵抗Rhx、Rlxの測定については下記のようにして行うことができる。すなわち、x相の上段スイッチング素子SWXhをオンさせた状態で、この上段スイッチング素子SWXhに所定の電流を流しつつ電源端子Npwと出力端Nxとの間の電圧を測定することにより、x相の上段アーム抵抗Rhxの測定値を得ることができる(図9参照)。同様にして、x相の下段アーム抵抗Rlxの測定値も得ることができる(x=u,v,w)。
なお、製造時における抵抗値測定のためにモータ駆動回路43に流すべき電流は、測定に適した値であれば限定はないが、例えば実際の動作時に流れるべき電流または実際に動作させたときに流れる電流を使用してもよい。さらに、電圧値および電流値の測定には、ここでは装置外部の(テスト用の)測定器が使用されるが、モータ駆動回路43に内蔵される図示されないセンサ類や電流センサ46や電圧センサを使用してもよい。
上記のような本実施形態によれば、抵抗値記憶部59に記憶された測定値に基づいて相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正され、これにより、モータ駆動回路43における上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxによる電圧降下によってモータへの印加電圧に生じていた誤差が補償される。また、当該モータ制御装置の製造時における電子部品等の特性のバラツキによって上段アーム抵抗Rhxや下段アーム抵抗Rlxの抵抗値がばらついても、当該抵抗値についての製造時における測定値に基づき相電圧指令値Vu,Vv,Vwが補正されるので、本来印加すべき電圧が精度よくモータに印加され、トルクリップルが抑制される。さらに、本実施形態によれば、既述の他の実施形態に比べ、相電圧指令値の補正に必要な検出回路(電流センサ、電圧センサ)を削減できると共に演算負荷を低減することができる。
<6.その他の変形例など>
上記第2および第3の実施形態では、抵抗値補正部616または抵抗値算出部716において、上段アーム抵抗Rhxおよび下段アーム抵抗Rlxの抵抗値の補正(更新)や算出に、電流推定部58およびdq軸/3相変換部614,714により得られる相電流推定値Ixeが使用されるが(式(23)と(24)、式(34)と(35))、この相電流推定値Ixeに代えて、q軸およびd軸電流指令値iqc,idcを3相交流座標軸上の指令値に変換した値すなわち相電流指令値Ixcを使用してもよい(x=u,v,w)。特にブラシレスモータ1の(単位時間当たりの)回転数の低い領域では、逆起電力が小さいことから、相電流推定値Ixeと相電流指令値Ixcとはほぼ等しいので、相電流指令値Ixcを使用して上記抵抗値を補正しても実質的に誤差は生じない。
また、式(23)と(24)や式(34)と(35)によって上記抵抗値を正確に補正または算出するには、ブラシレスモータ1における逆起電力の小さい方が好ましく、電流値は大きい方が好ましい。さらに、電流値が小さいほどモータ駆動回路43の上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxによる電圧降下は小さくなる。したがって、抵抗値補正部616における補正や抵抗値算出部716における抵抗値算出は、ブラシレスモータ1の(単位時間当たりの)回転数が所定値よりも低い領域でのみ行うようにしてもよく、また、各相の電流値が所定値よりも大きい領域でのみ行うようにしてもよい。
上記各実施形態では、補正マップの作成、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の補正、または、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の算出は、相毎に行われるが(図2、式(23)(24)、式(34)(35)参照)、これらに代えて、各相に共通の補正マップを作成したり、上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値の補正または算出を各相共通に行ってもよい。また、特定の相について補正または算出された上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxの抵抗値を各相共通に用いて相電圧指令値Vxを補正してもよい(x=u,v,w)。これらの場合においても、相電圧指令Vxの補正を相毎に行うことで、上記各実施形態と同様の効果が得られる。この場合、得られる効果の程度は上記各実施形態の場合と異なるが、上記各実施形態よりも構成を簡素化することができる。
上記各実施形態では、ブラシレスモータ1を駆動するために印加すべき相電圧を示す指令値(本明細書ではこれを「駆動指令値」という)としての相電圧指令値Vu,Vv,Vwを補正して得られる相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcがマイコンから3相/PWM変調器41に与えられ、3相/PWM変調器41は、それら(補正後の)相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに基づき、モータ駆動回路43における各スイッチング素子を制御するための信号としてPWM信号U,V,Wを生成する。しかし、これら相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに代えて、これら相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに対応するオン期間tuc,tvc,twcまたはデューティ比tuc/T,tvc/T,twc/Tが駆動指令値としてマイコン内の補正部から出力され、それらのオン期間tuc,tvc,twcまたはデューティ比tuc/T,tvc/T,twc/Tに基づき3相/PWM変調器41によりPWM信号U,V,Wが生成されるようにしてもよい。
例えば上記第2の実施形態(図7)において、上段スイッチング素子SWXhの(変更後の)オン期間txcを駆動指令値とする場合には(x=u,v,w)、式(32)で示される相電圧指令値Vxcに代えて、下記式(33)で示されるオン期間txcが補正部61で算出され、3相/PWM変調器41に与えられる。図17は、この場合の補正部61の構成を3相/PWM変換器41と共に示すブロックである。図17に示す補正部61は、図8に示した構成とは異なり、dq軸/3相変換部54から与えられる相電圧指令値Vxをオン期間tx=Vx/Vbに変換する変換器617を含んでおり(x=u,v,w)、指令値補正部618bは、これらのオン期間txを下記式(33)に従って補正することにより変更後のオン期間txcを算出する。これら変更後のオン期間tuc,tvc,twcは3相/PWM変調器41に与えられ、この場合の3相/PWM変調器41は、これらのオン期間tuc,tvc,twcに基づきPWM信号U,V,Wを生成する。なお、図17の補正部61における他の部分の構成は、図8に示した構成と同様であり、同一構成要素には同一の参照符号が付されている。
txc={(Vb−0)・tx+Rlx・Ixe・T}/{Vb−(Rhx−Rlx)・Ixe}
…(33)
また、例えば上記他の実施形態(図15)において上段スイッチング素子SWXhの(変更後の)オン期間txcを駆動指令値とする場合には、式(42)で示される相電圧指令値Vxcに代えて、下記式で示されるオン期間txcが補正部81で算出され、3相/PWM変調器41に与えられる(x=u,v,w)。
txc={(Vb−0)・tx+(0−Vxl)・T}/(Vxh−Vxl)
この場合の3相/PWM変調器41は、これらのオン期間tuc,tvc,twcに基づきPWM信号U,V,Wを生成する。なお、この場合において、更に図14に示すように、モータ駆動回路43における上下端(電源ラインへの接続点とグランドへの接続点)の電圧を検出して上端電圧検出値V4および下端電圧検出値V5を得るように構成されているときには、下記式で示されるオン期間txcが補正部81で算出され、3相/PWM変調器41に与えられる(x=u,v,w)。
txc={(V4−V5)・tx+(V5−Vxl)・T}/(Vxh−Vxl)
上記各実施形態のうち、第1の実施形態はフィードバック制御を前提として説明されており、他の実施形態はオープンループ制御を前提として説明されている。しかし、本発明はいずれの制御方式にも適用可能であり、各実施形態において採用されている制御方式をフィードバック制御とオープンループ制御との間で入れ替えてもよい。ただし、モータ駆動回路43における上段および下段アーム抵抗Rhx,Rlxに起因するモータ印加電圧の誤差によるモータ電流またはモータトルクへの影響は、一般に、フィードバック制御の場合よりもオープンループ制御の場合の方が大きい。このため、本発明はオープンループ制御の場合に特に有効である。
なお本発明は、上述したコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型やラックアシスト型の電動パワーステアリング装置にも適用できる。また本発明は、電動パワーステアリング装置以外のモータ制御装置にも適用できる。さらに上記各実施形態では、駆動対象としてのブラシレスモータ1の相数を3としているが、上記説明から明らかなように、3相以外の相数のブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置にも本発明を適用することができる。
本発明に係るモータ制御装置を備える電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 3相ブラシレスモータにおける3相交流座標とdq座標を示す図である。 上記第1の実施形態における補正マップの作成を説明するための図である。 上記第1の実施形態における補正マップの作成に必要な電圧ずれを求めるための1相分の等価回路を示す回路図である。 図5に示す等価回路に基づき作成される補正マップを説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 上記第2の実施形態における補正部の構成を示すブロック図である。 上段および下段アーム抵抗に起因するモータへの印加電圧の誤差を説明するための回路図である。 モータへの印加電圧につき上段および下段アーム抵抗によって生じる誤差を説明するための波形図である。 モータへの印加電圧につき上段および下段アーム抵抗によって生じる誤差を補償するための補正(相電圧指令値の補正)を説明するための波形図である。 本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 上記第3の実施形態における補正部の構成を示すブロック図である。 上記第3の実施形態の変形例を説明するための回路図である。 本発明の他の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の更に他の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の上記第2の実施形態の他の変形例における補正部の構成を3相/PWM変調器と共に示すブロック図である。
符号の説明
6…ロータ、10…ECU、20…モータ制御部、36…補正演算部、37…補正記憶部、43…モータ駆動回路、45…電流センサ、10,60,70,80,90…マイコン。

Claims (7)

  1. ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置であって、
    前記ブラシレスモータに印加すべき各相電圧を示す指令値を求め、当該指令値を駆動指令値として出力する制御演算手段と、
    前記駆動指令値を補正する補正手段と、
    前記補正手段による補正後の駆動指令値に基づき前記ブラシレスモータを駆動する駆動手段とを備え、
    前記駆動手段は、互いに直列に接続された2個のスイッチング素子からなるスイッチング素子対を前記ブラシレスモータの相数だけ電源端子と接地端子との間に並列に接続して構成され、各相に対応する前記2個のスイッチング素子の接続点が出力端として前記ブラシレスモータに接続されるインバータを含み、
    前記補正手段は、前記電源端子から前記インバータの出力端までの経路の各相の抵抗成分である上段アーム抵抗と当該出力端から前記接地端子までの経路の各相の抵抗成分である下段アーム抵抗とに基づき、前記駆動指令値を相毎に補正することを特徴とする、モータ制御装置。
  2. 前記インバータから前記ブラシレスモータに供給されるべき電流を推定する電流推定手段と、
    前記インバータから前記ブラシレスモータに供給される電流を検出する電流検出手段とを更に備え、
    前記補正手段は、
    前記電流推定手段により得られる電流推定値と前記電流検出手段により得られる電流検出値との比に基づき、前記上段および下段アーム抵抗の少なくとも一方の抵抗値を補正する抵抗値補正手段と、
    前記抵抗値補正手段による補正後の抵抗値に基づき、前記駆動指令値が示す電圧に対する前記出力端における電圧のずれが補償されるように前記駆動指令値を相毎に補正する指令値補正手段と
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記インバータの前記出力端における少なくとも1相の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、
    前記補正手段は、
    前記電圧検出手段により得られる前記電圧を検出した相の電圧検出値と前記インバータから前記ブラシレスモータに供給される前記電圧を検出した相の電流を示す電流値とに基づき、前記上段および下段アーム抵抗の抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、
    前記抵抗値算出手段により算出される抵抗値に基づき、前記駆動指令値が示す電圧に対する前記出力端における電圧のずれが補償されるように前記駆動指令値を相毎に補正する指令値補正手段と
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記上段および下段アーム抵抗の測定値を書き込んで保持するための抵抗値記憶手段を更に備え、
    前記補正手段は、前記抵抗値記憶手段に保持されている前記測定値に基づき、前記駆動指令値が示す電圧に対する前記出力端における電圧のずれが補償されるように前記駆動指令値を相毎に補正することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記上段アーム抵抗と前記下段アーム抵抗との差により生じる前記出力端における電圧のずれが補償されるように、前記駆動指令値に応じて前記駆動指令値を相毎に補正することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 前記補正手段は、
    前記ブラシレスモータに印加すべき相電圧の指令値と補正量との対応関係を示す補正マップを記憶している記憶手段と、
    前記制御演算手段から出力される駆動指令値に前記補正マップによって対応付けられる補正量に応じて当該駆動指令値を相毎に補正することにより前記補正後の駆動指令値を算出する補正演算手段と
    を含むことを特徴とする、請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 車両のステアリング機構にブラシレスモータによって操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
    請求項1から6のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備え、
    前記モータ制御装置は、前記ステアリング機構に操舵補助力を与えるブラシレスモータを駆動することを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
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