JP2009218495A - 半導体発光素子および半導体発光装置 - Google Patents

半導体発光素子および半導体発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009218495A
JP2009218495A JP2008062951A JP2008062951A JP2009218495A JP 2009218495 A JP2009218495 A JP 2009218495A JP 2008062951 A JP2008062951 A JP 2008062951A JP 2008062951 A JP2008062951 A JP 2008062951A JP 2009218495 A JP2009218495 A JP 2009218495A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductivity type
electrode
type side
layer
light emitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008062951A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Fukada
崇 深田
Hideyoshi Horie
秀善 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2008062951A priority Critical patent/JP2009218495A/ja
Publication of JP2009218495A publication Critical patent/JP2009218495A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】ハイパワーでの安定した発光が可能であり、照明用途にも適した半導体発光素子および半導体発光装置を提供する。
【解決手段】発光素子10は、第一導電型クラッド層24を含む第一導電型半導体層27、活性層構造25、および第二導電型クラッド層26を含む第二導電型半導体層28を有する薄膜結晶層と、第一導電型半導体層27にキャリアを注入する第一導電型側電極56と、第二導電型半導体層28にキャリアを注入する第二導電型側電極51とを有する。薄膜結晶層の第一導電型半導体層側から第二導電型半導体層側へ向かう方向を正方向としたとき、第一導電型側電極56の正方向側端を基準とした第二導電型側電極51の正方向側端との高低差がHDが−1.0μm以上+1.0μm以下であり、かつ、第二導電型側電極51の厚みT2tが1.4μm以上5.0μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、活性層構造を挟んで第一導電型半導体層および第二導電型半導体層を有し、第一導電型半導体層および第二導電型半導体層にそれぞれキャリアを注入するための電極が同じ側に配置された半導体発光素子に関する。また本発明は、上記半導体発光素子を放熱部材に接合した半導体発光装置に関する。
半導体発光素子として、発光ダイオードや半導体レーザダイオード等が知られている。中でも発光ダイオードは、小型でかつ消費電力が小さいため、表示用途としてだけでなく照明用途としても市場が拡大してきており、発光効率の向上および光取り出し効率の向上が求められている。
半導体発光素子は、主として、第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層、活性層構造、および第二導電型クラッド層を含む第二導電型半導体層を有する薄膜結晶層と、前記第一導電型半導体層にキャリアを注入する第一導電型側電極と、前記第二導電型半導体層にキャリアを注入する第二導電型側電極とを有している。
この種の半導体発光装置において、特許文献1には、第二導電型側電極が、半導体発光素子の発光効率を向上させることを目的として、Ni、Cr、V、Co、PdおよびAgからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を主成分として第二導電型半導体層と接して形成された第1層と、Au、PtおよびIrからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素を主成分として形成された第2層とを含む積層体を有して構成された半導体発光素子が開示されている。また、第二導電型電極の厚みは0.7〜0.8μm程度とされている。さらに、特許文献1には、半導体発光素子を配線基板に電気的に接続するのに導電性樹脂を用いることが記載されている。
また、特許文献2には、半導体発光素子の光取り出し効率および発光効率を向上させることを目的として、第二導電型側電極が、第二導電型半導体層に接するAg層と、その他の金属層とからなる電極を有し、この電極が、絶縁性保護膜とパッド電極とによって周囲を囲まれており、パッド電極の上面面積を上記電極の上面面積よりも小さくした半導体発光素子が開示されている。また、特許文献2には、各層の厚みに関して、Ag層の厚みは0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましいこと、およびパッド電極の厚みは0.5μm以上であることが好ましい旨が記載されている。さらに、特許文献2では、「pパッド電極の部材は、ワイヤボンディングやバンプと接合性が良好なAuが用いられる」と記載されていることから、半導体発光素子と配線基板との電気的な接続にボンディングワイヤやバンプを用いることを意図している。
特許第3631359号公報 特開2006−41403号公報
半導体発光素子を照明用途に適用するためには、半導体発光素子をよりハイパワーで駆動し、発光強度を高める必要がある。半導体発光素子をハイパワーで駆動する場合、半導体発光素子に大電流を効率よく注入し、かつ、半導体発生素子から発生した熱を効率よく放熱するために、半導体発光素子と配線基板との電気的な接続に半田材を用いることが好ましい。しかしながら、上述した従来の半導体発光素子は、配線基板との電気的接続に半田材を用いることは意図しておらず、必ずしもハイパワーで駆動するのに適した構造ではなかった。
本発明の目的は、ハイパワーでの安定した発光が可能であり、照明用途にも適した半導体発光素子および半導体発光装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明者らが鋭意検討を行なった結果、従来の半導体発光素子の構造では、半導体発光素子をハイパワーで駆動するために半田材を用いて配線基板と電気的に接続すると、半導体発光素子の電極が半田材によって侵食され、このことが安定した発光を阻害する原因となることが分った。言い換えれば、半導体発光素子をハイパワーで駆動するためには、半導体発光素子を半田材で配線基板と電気的に接続することは根本的な解決策ではなく、半導体発光素子の構造そのものを改良する必要がある。
そこで本発明は以下の事項に関する。
[1] 第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層、前記第一導電型半導体層上の活性層構造、および第二導電型クラッド層を含む前記活性層構造上の第二導電型半導体層を有する薄膜結晶層と、前記第一導電型半導体層にキャリアを注入する第一導電型側電極と、前記第二導電型半導体層にキャリアを注入する第二導電型側電極とを有する半導体発光素子であって、
前記薄膜結晶層の前記第一導電型半導体層側から前記第二導電型半導体層側へ向かう方向を正方向としたとき、前記第一導電型側電極の正方向側端を基準とした前記第二導電型側電極の正方向側端との高低差HDが−1.0μm以上+1.0μm以下であり、かつ、前記第二導電型側電極の厚みT2tが1.4μm以上5.0μm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
[2] 前記第一導電型側電極の厚みT1tが1.4μm以上であることを特徴とする上記[1]に記載の半導体発光素子。
[3] 前記第一導電型側電極の厚みT1tが5.0μm以下であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の半導体発光素子。
[4] 前記第二導電型側電極が、第二導電型側第一電極、第二導電型側バリア層および第二導電型側第二電極に分けられ、かつ/または前記第一導電型側電極が、第一導電型側第一電極、第一導電型側バリア層および第一導電型側第二電極に分けられることを特徴とする上記[1]から[3]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[5] 前記第二導電型側バリア層が、金属からなる層と誘電体を含む層の少なくとも一方を有することを特徴とする上記[4]に記載の半導体発光素子。
[6] 前記第二導電型側バリア層は誘電体を含む層を有し、該誘電体には前記第二導電型側第一電極と第二導電型側第二電極とを電気的に接続するためのコンタクトホールが形成されていることを特徴とする上記[5]に記載の半導体発光素子。
[7] 前記第一導電型側バリア層が、金属からなる層と誘電体を含む層の少なくとも一方を有することを特徴とする上記[4]から[6]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[8] 前記第一導電型側バリア層は誘電体を含む層を有し、該誘電体には前記第一導電型側第一電極と第一導電型側第二電極とを電気的に接続するためのコンタクトホールが形成されていることを特徴とする上記[7]に記載の半導体発光素子。
[9] 前記第二導電型側バリア層と前記第一導電型側バリア層とが実効的に同一の構成であり、かつ/または前記第二導電型側第二電極と前記第一導電型側第二電極とが実効的に同一の構成であることを特徴とする上記[4]から[8]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[10] 前記第二導電型側第一電極が、Ni、Co、Pt、Rh、Ti、Ru、Ir、Au、Al、In、SnおよびZnの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[4]から[9]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[11] 前記第二導電型側バリア層が、Mo、Ti、Pt、W、Ta、Re、Ir、RuおよびSiの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[4]から[10]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[12] 前記第二導電型側第二電極が、Au、Pt、AlおよびCuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[4]から[11]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[13] 前記第一導電型側第一電極が、Ti、Al、In、SnおよびZnの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[4]から[12]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[14] 前記第一導電型側バリア層が、Mo、Ti、Pt、W、Ta、Re、Ir、RuおよびSiの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[4]から[13]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[15] 前記第一導電型側第二電極が、Au、Pt、AlおよびCuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[4]から[14]のいずれかに記載の半導体発光素子。
[16] 前記誘電体がSiO、AlO、TiO、TaO、HfO、ZrO、SiN、AlN、AlF、BaF、CaF、SrFまたはMgFの単層膜若しくは当該材料の2種類以上の組み合わせからなる多層膜であることを特徴とする上記[5]または[7]に記載の半導体発光素子。
[17] 前記薄膜結晶層は、V族として窒素原子を含むIII―V族化合物半導体からなり、前記薄膜結晶層中に、In、GaおよびAlからなる群より選ばれる元素が含まれることを特徴とする上記[1]から[16]のいずれかに半導体発光素子。
[18] 前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であることを特徴とする上記[1]から[17]のいずれかに半導体発光素子。
[19] 上記[1]から[18]のいずれかに記載の半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の第一導電型側電極および第二導電型側電極が接合された放熱部材と、
を有することを特徴とする半導体発光装置。
[20] 前記放熱部材が、略平板な放熱板と、該平板上に設けられた配線とを有し、前記配線に前記第一導電型側電極および第二導電型側電極が電気的に接続されていることを特徴とする上記[19]に記載の半導体発光装置。
[21] 前記第一導電型側電極および第二導電型側電極と前記配線との電気的接続が半田材によって行われていることを特徴とする上記[20]に記載の半導体発光装置。
[22] 前記半導体発光素子と接合される前の前記半田材の厚みTstが2.0μm以上4.0μm以下であることを特徴とする上記[21]に記載の半導体発光装置。
[23] 前記半田材が、Au、In、Sn、PbおよびGeの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする上記[21]または[22]に記載の半導体発光装置。
本発明によれば、第二導電型側電極の厚み、および第二導電型側電極と第一導電型側電極との高低差を上記のように規定することで、半導体発光素子を配線基板と半田材で電気的に接合し、ハイパワー駆動した場合であっても安定した発光を達成でき、照明用途にも適した半導体発光素子および半導体発光装置を提供することができる。
本明細書において、「積層」または「重なる」の表現は、もの同士が直接接触している状態に加え、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、互いに接触していなくても、一方を他方に投影した際に空間的に重なる状態をも指す場合がある。また、「〜の上(〜の下)」の表現も、もの同士が直接接触して一方が他方の上(下)に配置されている状態に加え、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、互いに接触していなくても、一方が他方の上(下)に配置されている状態にも使用する場合がある。さらに、「〜の後(前、先)」との表現は、ある事象が別の事象の直後(前)に発生する場合にも、ある事象が別の事象との間に第三の事象を挟んだ後(前)発生する場合にも、どちらにも使用する。また、「接する」の表現は、「物と物が直接的に接触している場合」に加えて、本発明の趣旨に適合する限りにおいて、「物と物が直接的には接触していなくても、第三の部材を介して間接的に接している場合」、「物と物が直接的に接触している部分と、第三の部材を介して間接的に接している部分が混在している場合」などを指す場合もある。
さらに、本発明において、「薄膜結晶成長」とは、いわゆる、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、プラズマアシストMBE、PLD(Pulsed Laser Deposition)、PED(Pulsed Electron Deposition)、VPE(Vapor Phase Epitaxy)、LPE(Liquid Phase Epitaxy)法等の結晶成長装置内における薄膜層、アモルファス層、微結晶、多結晶、単結晶、あるいはそれらの積層構造の形成に加えて、その後の薄膜層の熱処理、プラズマ処理等によるキャリアの活性化処理等も含めて薄膜結晶成長と記載する。また、本発明において、「薄膜結晶層」とは、「薄膜結晶成長」によって形成された膜をいう。
また、本発明において、半導体発光素子はあらゆる方向へ光を取り出すことができ、任意に設けられる誘電体膜(絶縁膜)の構造を適宜変更することで、配光分布も調整することができる。本発明では、半導体発光素子における方向をいうとき、「第1の光取り出し方向」ということがあるが、この用語は、配光分布が最も高い方向を意味するのではなく、単に種々の光取り出し方向のうち1つの方向という意味で、第一導電型側電極および第二導電型側電極が設けられた側と反対側へ向かう方向を指す。
本発明の一実施形態による半導体発光素子(以下、単に発光素子という)は、図1に示すように、基板21と、基板21の片面に積層された化合物半導体薄膜結晶層(以下、単に薄膜結晶層ともいう)とを有する。化合物半導体薄膜結晶層は、第一導電型クラッド層24を含む第一導電型半導体層27、活性層構造25、および第二導電型クラッド層26を含む第二導電型半導体層28が、基板21側からこの順番に積層されて構成されている。
第二導電型半導体層28の表面の一部に、第二導電型半導体層28にキャリアを注入するための第二導電型側電極51が配置されており、第二導電型半導体層28と第二導電型側電極51の接触している部分が、第二導電型半導体層28にキャリアを注入する第二導電型側電流注入領域となっている。また、化合物半導体薄膜結晶層の一部が、その厚さ方向において第二導電型半導体層28側から第一導電型半導体層27の途中まで除去されており、除去された箇所に露出する第一導電型半導体層27に接して、第一導電型半導体層27にキャリアを注入するための第一導電型側電極56が配置されている。第一導電型半導体層27と第一導電型側電極56の接触している部分が、第一導電型半導体層にキャリアを注入する第一導電型側電流注入領域となっている。
第二導電型側電極51および第一導電型側電極56が上記のように配置されることによって、両者は基板21に対して同じ側に配置され、発光素子10はフリップチップ型の発光素子10として構成されている。
第一導電型側電極56および第二導電型側電極51は、互いに空間的に重なりを有していない。これは、図1に示すように、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51を基板面に対して投影したときに、影が重ならないことを意味する。
図1に示す発光素子10は、例えば図1Aに示すように第一導電型側電極56および第二導電型側電極51を放熱部材42に向けて放熱部材42の上に搭載されることで、放熱部材42とともに半導体発光装置(以下、単に発光装置という)を構成する。放熱部材42は、放熱基板40と、放熱基板40に形成された配線41を有している。配線41は、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51に対応する位置に形成されており、これら配線41に、導電性を有する接合部材である半田材43を介してそれぞれ第一導電型側電極56および第二導電型側電極51が接合され、これによって発光素子10が放熱部材42上にフリップチップマウントされる。放熱部材42は、サブマウントであってもよい。
以下に、図1に示す発光素子10の構成についてさらに詳細に説明する。
<基板>
基板21は、光学的に発光素子10の発光波長に対しておおよそ透明であれば、材料等は特に限定されない。ここでおおよそ透明とは、発光波長に対する吸収が無いか、あるいは、吸収が存在しても、その基板21の吸収によって光出力が50%以上低減しないものである。
基板21は、電気的には絶縁性であることが好ましい。これは、発光素子10をフリップチップマウントした際に、半田や導電性樹脂などの電気的接合部材が基板21の周辺に付着しても、発光素子10へのキャリア注入には影響を与えないからである。基板21の具体的な材料としては、例えばInAlGaN系発光材料またはInAlBGaN系材料をその上に薄膜結晶成長させるためには、サファイア、SiC、GaN、LiGaO2、ZnO、ScAlMgO4、NdGaO3、およびMgOから選ばれることが望ましく、特にサファイアが好ましい。
本形態で使用される基板21は、いわゆる面指数によって完全に確定されるジャスト基板だけではなく、薄膜結晶成長の際の結晶性を制御する観点から、いわゆるオフ基板(miss oriented substrate)であることもできる。オフ基板は、ステップフローモードでの良好な結晶成長を促進する効果を有するため、素子のモフォロジ改善にも効果があり、基板として広く使用される。たとえば、サファイアのc+面基板をInAlGaN系材料の結晶成長用基板として使用する際には、m+方向に0.2度程度傾いた面を使用することが好ましい。オフ基板としては、0.1〜0.2度程度の微傾斜を持つものが広く一般的に用いられるが、サファイア上に形成されたInAlGaN系材料においては、活性層構造25内の発光ポイントである量子井戸層にかかる圧電効果による電界を打ち消すために、比較的大きなオフ角度をつけることも可能である。
基板21は、MOCVDやMBE等の結晶成長技術を利用して発光素子10を製造するために、あらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいてもよい。
基板21の厚みとしては、本発明の1形態においては、素子作成初期においては、通常350〜700μm程度のものであり、発光素子10の結晶成長、素子作製プロセスにおける機械的強度が確保されるようにしておくのが普通である。これを用いて薄膜結晶層を成長した後に、各々の素子に分離しやすくするために、適宜、研磨工程によってプロセス途中で薄くし、最終的に100μmの厚さ程度以下となっていることが普通である。通常、基板21は30μm以上の厚みである。
さらに本発明の異なる形態では、基板21の厚さは、従来とは異なり厚いものでもよく、好ましくは150μm以上、より好ましくは250μm以上とすることもできる。ただし過度の厚さを有する基板21は、同一の基板21上に複数の発光素子10を形成する場合、隣接する発光素子10の境界部において基板21を切断して個々の発光素子10に分離するときに素子分離等の困難さが発生する。そのため、基板21の厚さは550μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましい。最も好ましくは、基板の厚みは275μm以上であって、375μm以下である。
なお、基板21は、薄膜結晶層や誘電体膜など、発光素子10を構成する全ての構造が形成された後、除去されてもよい。よって、本発明において基板21は必須の要素ではない。また、基板21が発光素子の製造時にのみ用いられて最終的に除去される場合、基板は透明である必要はない。
基板21の除去は、例えば、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51を支持体(不図示)に接合し、その後、薄膜結晶層から基板21を剥離することによって行なうことができる。基板21の剥離には、研磨、エッチング、レーザディボンディング等のあらゆる方法を用いることが可能である。
<第一導電型半導体層および第一導電型クラッド層>
第一導電型クラッド層24は、活性層構造25に対して、第二導電型クラッド層26と共に機能して、キャリアを効率よく注入し、かつ、活性層構造25からのオーバーフローも抑制し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。また、あわせて活性層構造近傍への光の閉じ込めにも寄与し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。第一導電型半導体層27は、上記のクラッド機能を有する層に加えて、コンタクト層のように発光素子の機能向上のため、または製造上の理由により、第一導電型にドープされた層を含むものである。広義には、第一導電型半導体層27の全体を第一導電型クラッド層24と考えてもよく、その場合にはコンタクト層等は、第一導電型クラッド層24の一部と見ることもできる。
一般的に第一導電型クラッド層24は、後述する活性層構造25の平均屈折率より小さな屈折率を有する材料で、かつ、活性層構造25の平均的なバンドギャップよりも大きな材料で構成されることが好ましい。さらに、第一導電型クラッド層24は、活性層構造内の特にバリア層との関係において、いわゆるタイプI型のバンドラインナップとなる材料で構成されるのが一般的である。このような指針の元で、第一導電型クラッド層24の材料としては、所望の発光波長を実現するために準備される基板21、活性層構造25、および必要に応じて基板21と第一導電型半導体層27との間に設けられるバッファ層(詳しくは後述する)等に鑑みて、適宜選択することができる。
例えば、基板21としてC+面サファイアを使用し、バッファ層として低温成長したGaNと高温成長したアンドープGaNの積層構造を使用する場合には、第一導電型クラッド層24としてGaN系材料、AlGaN系材料、AlGaInN系材料、InAlBGaN系材料、もしくはその多層構造を用いることができる。
第一導電型クラッド層24のキャリア濃度としては、下限としては1×1017cm−3以上が好ましく、5×1017cm−3以上がより好ましく、1×1018cm−3以上が最も好ましい。上限としては5×1019cm−3以下が好ましく、1×1019cm−3以下がより好ましく、7×1018cm−3以下が最も好ましい。また、ここでは、第一導電型がn型の場合、ドーパントとしては、Siが最も望ましい。
第一導電型クラッド層24の構造は、単一の層からなるものとすることができるが、2層以上の層からなるものであってもよい。この場合には、たとえばGaN系材料とAlGaN系材料、InAlGaN系材料、InAlBGaN系材料を使用することも可能である。また第一導電型クラッド層24の全体を異種材料の積層構造として超格子構造とすることもできる。さらに、第一導電型クラッド層24内において、前述のキャリア濃度を変化させることも可能である。
第一導電型クラッド層24の第一導電型側電極56と接触している部分においては、そのキャリア濃度を意図的に高くして、当該電極との接触抵抗を低減することも可能である。
第一導電型クラッド層24の一部はエッチングされており、かつ、第一導電型クラッド層24の露出した側壁、エッチングされた部分などは、第一導電型側電極56との接触を実現する第一電流注入領域を除いて、フリップボンドする際に半田等による短絡が発生しないように、適宜誘電体膜で覆われている構造が望ましい。
第一導電型クラッド層24に加えて、第一導電型半導体層27として、必要によりさらに異なる層が存在してもよい。例えば、電極との接続部にキャリアの注入を容易にするためのコンタクト層が含まれていてもよい。また、各層を、組成または形成条件等の異なる複数の層に分けて構成してもよい。
<活性層構造>
第一導電型半導体層27の上には、活性層構造25が形成されている。活性層構造25とは、前述の第一導電型クラッド層24と、後述する第二導電型クラッド層26から注入される、電子と正孔(あるいは正孔と電子)が再結合して発光する層である量子井戸層を含み、かつ、量子井戸層に隣接して配置される、あるいは、量子井戸層とクラッド層間に配置されるバリア層をも含む構造を指す。ここで、発光素子10の高出力化、高効率化を実現するためには、活性層構造中の量子井戸層の層数をW、バリア層の層数をBとすると、B=W+1を満たすことが望ましい。すなわち、クラッド層と活性層構造の全体の層の関係は、「第一導電型クラッド層、活性層構造、第二導電型クラッド層」と形成され、活性層構造は、「バリア層、量子井戸層、バリア層」、あるいは、「バリア層、量子井戸層、バリア層、量子井戸層、バリア層」のように形成されることが、高出力化のために望ましい。
ここで、量子井戸層においては量子サイズ効果を発現させて、発光効率を高めるために、その層厚はド・ブロイ波長と同程度にうすい層である。このため、高出力化を実現するためには、単層の量子井戸層のみではなく、複数の量子井戸層を設けてこれを分離して活性層構造25とすることが望ましい。この際に各量子井戸層間の結合を制御しつつ分離する層がバリア層である。また、バリア層は、クラッド層と量子井戸層の分離のためにも存在することが望ましい。たとえば、クラッド層がAlGaNからなり、量子井戸層がInGaNからなる場合には、この間にGaNからなるバリア層が存在する形態が望ましい。これは結晶成長の最適温度が異なる場合の変更も容易にできるので、薄膜結晶成長の観点からも望ましい。また、クラッド層が、最もバンドギャップの広いInAlGaNからなり、量子井戸層が最もバンドギャップの狭いInAlGaNからなる場合は、バリア層にその中間のバンドギャップを有するInAlGaNを用いることも可能である。さらに、一般にクラッド層と量子井戸層との間のバンドギャップの差は、バリア層と量子井戸層の間のバンドギャップの差よりも大きく、量子井戸層へのキャリアの注入効率を考えても、量子井戸層はクラッド層に直接隣接しないことが望ましい。
量子井戸層は意図的なドーピングは実施しないほうが望ましい。一方、バリア層には、ドーピングを施して、系全体の抵抗を下げるなどのことを実施するのが望ましい。特に、バリア層にはn型のドーパント、特にSiをドーピングするのが望ましい。これは、p型のドーパントであるMgはデバイス内では拡散しやすく、高出力動作時においては、Mgの拡散を抑制することが重要となる。このために、Siは有効であって、バリア層にはSiがドーピングされていることが望ましい。但し量子井戸層とバリア層との界面においては、ド−ピングを実施しないほうが望ましい。
活性層構造25の側壁は、誘電体膜(図1では不図示)で覆われていることが望ましい。このようにすると、発光素子10をフリップボンドする際に、活性層構造25の側壁における半田等による短絡が発生しない利点がある。
<第二導電型半導体層および第二導電型クラッド層>
第二導電型クラッド層26は、活性層構造25に対して、第一導電型クラッド層24と共に、キャリアを効率よく注入し、かつ、活性層構造25からのオーバーフローも抑制し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。また、あわせて活性層構造近傍への光の閉じ込めにも寄与し、量子井戸層における発光を高効率で実現するための機能を有している。第二導電型半導体層28は、上記のクラッド機能を有する層に加えて、コンタクト層のように発光素子10の機能向上のため、または製造上の理由により、第二導電型にドープされた層を含むものである。広義には、第二導電型半導体層28の全体を第二導電型クラッド層26と考えてもよく、その場合にはコンタクト層等は、第二導電型クラッド層26の一部と見ることもできる。
一般的に第二導電型クラッド層26は、活性層構造25の平均屈折率より小さな屈折率を有する材料で、かつ、活性層構造25の平均的なバンドギャップよりも大きな材料で構成される。さらに、第二導電型クラッド層26は、活性層構造25内の特にバリア層との関係において、いわゆるタイプI型のバンドラインナップとなる材料で構成されるのが一般的である。このような指針の元で、第二導電型クラッド層26の材料としては、所望の発光波長を実現するために準備される基板21、活性層構造25、および必要に応じて基板21と第一導電型半導体層27との間に設けられるバッファ層(詳しくは後述する)等に鑑みて、適宜選択することができる。
例えば、基板21としてC+面サファイアを使用し、バッファ層としてGaNを使用する場合には、第二導電型クラッド層26としてGaN系材料、AlGaN系材料、AlGaInN系材料、AlGaBInN系材料等を用いることができる。また、上記材料の積層構造であってもかまわない。また、第一導電型クラッド層24と第二導電型クラッド層26は同じ材料で構成することも可能である。
第二導電型クラッド層26のキャリア濃度としては、下限としては1×1017cm−3以上が好ましく、4×1017cm−3以上がより好ましく、5×1017cm−3以上がさらに好ましく、7×1017cm−3以上が最も好ましい。上限としては7×1018cm−3以下が好ましく、3×1018cm−3以下がより好ましく、2×1018cm−3以下が最も好ましい。また、ここでは、第二導電型がp型の場合ドーパントとしては、Mgが最も望ましい。
第二導電型クラッド層26の構造は、単一の層で形成されたものとすることができるが、2層以上の層からなるものであってもよい。この場合には、たとえばGaN系材料とAlGaN系材料を使用することも可能である。また第二導電型クラッド層26の全体を異種材料の積層構造からなる超格子構造とすることもできる。さらに、第二導電型クラッド層26内において、前述のキャリア濃度を変化させることも可能である。
一般に、GaN系材料においては、n型ドーパントがSiであって、かつ、p型ドーパントがMgである場合には、p型GaN、p型AlGaN、p型AlInGaNの結晶性は、n型GaN、n型AlGaN、n型AlInGaNにはそれぞれ及ばない。このため、素子作製においては、結晶性の劣るp型クラッド層を活性層構造の結晶成長後に実施することが望ましく、この観点で、第一導電型がn型で、第二導電型がp型である場合が望ましい。
また、結晶性の劣るp型クラッド層(これは、望ましい形態をとった場合の第二導電型クラッド層26に相当する)の厚みは、ある程度薄いほうが望ましい。これは、発光素子10をフリップチップボンディングを実施する場合においては、基板側が第1の光取り出し方向となるため、後述する第二導電型側電極51側からの光の取り出しを考慮する必要がなく、大面積の厚膜電極を形成することが可能である。このため、発光素子10をフェイスアップマウントする際のように、第二導電型クラッド層26における横方向への電流拡散を期待する必要がなく、第二導電型クラッド層26は、ある程度薄くすることが素子構造からも有利である。但し、極端に薄い場合には、キャリアの注入効率が低下してしまうため、最適値が存在する。第二導電型クラッド層26の厚みは、適宜選択可能であるが、0.05μmから0.3μmが望ましく、0.1μmから0.2μmが最も望ましい。
第二導電型クラッド層26の第二導電型側電極51と接触している部分においては、そのキャリア濃度を意図的に高くして、当該電極との接触抵抗を低減することも可能である。
第二導電型クラッド層26の露出した側壁は、後述する第二導電型側電極51と接触した第二電流注入領域を除いて、すべて誘電体膜(図1では不図示)で覆われている構造であることが望ましい。
さらに、第二導電型クラッド層26に加えて、第二導電型半導体層28として、必要によりさらに異なる層が存在してもよい。例えば、電極と接する部分にキャリアの注入を容易にするためのコンタクト層が含まれていてもよい。また、各層を、組成または形成条件等の異なる複数の層に分けて構成してもよい。
なお、本発明の要旨に反しない限り、薄膜結晶層として、必要により上述のカテゴリに入らない層を形成してもよい。
<第二導電型側電極>
第二導電型側電極51は、第二導電型の窒化物化合物半導体と良好なオーム性接触を実現し、かつ、発光素子10をフリップチップマウントした際に、半田材などによるサブマウントなどとの良好な接着を実現するものである。このためには、適宜材料選択が可能であり、第二導電型側電極51は単一の層であっても、複数の層からなる場合でもかまわない。一般には、電極に要請される複数の目的を達するために、複数の層構成をとるのが普通である。
また、第二導電型がp型で第二導電型クラッド層の第二導電型側電極側がGaNである場合には、第二導電型側電極51の構成元素として、Ni、Co、Pt、Rh、Ti、Ru、Ir、Au、Al、In、Sn、Zn、Mo、W、Ta、ReおよびCuの少なくとも1種を含むことが望ましい。特に、第二導電型側電極のp側クラッド層側の第一層目はNiであることが望ましく、第二導電型側電極のp側クラッド層側と反対側の表面はAuであることが望ましい。これは、Niの仕事関数の絶対値が大きく、p型材料にとって都合がよく、また、Auは、後述するプロセスダメージに対する耐性、マウントの都合などを考えると最表面の材料として好ましい。
第二導電型側電極51は、第二導電型のキャリアを注入可能であれば、第二導電型半導体層のどの層と接してもよく、例えば第二導電型側コンタクト層が設けられるときは、それに接するように形成される。
<第一導電型側電極>
第一導電型側電極56は第一導電型の窒化物化合物半導体と良好なオーム性接触を実現し、かつ、発光素子10をフリップチップマウントした際に、半田材等によるサブマウントなどとの良好な接着を実現するものであって、このためには、適宜材料選択が可能である。第一導電型側電極56は単一の層であっても、複数の層からなる場合でもかまわない。一般には、電極に要請される複数の目的を達するために、複数の層構成をとるのが普通である。
第一導電型がn型であるとすると、n側電極は、Ti、Al、In、Sn、Zn、Mo、Pt、W、Ta、Re、Ir、Ru、Si、AuおよびCuの少なくとも1種を構成元素として含むことが望ましい。これらの材料の中でも特に、第一導電型側電極56のn側クラッド層側の第一層目は、TiまたはAlであることが望ましい。これは、これらの金属の仕事関数の絶対値が小さいためである。
本発明の1形態においては、第一導電型側電極56は第一電流注入領域の大きさよりも大きな面積に形成され、かつ、第一導電型側電極56と第二導電型側電極51は、空間的に重なりを有さないことが望ましい。これは、発光素子10を半田などでフリップチップマウントした際に、サブマウントなどとの十分な密着性を確保するに十分な面積を確保しつつ、第二導電型側電極51と第一導電型側電極56との間の半田材等による意図しない短絡を防止するのに十分な間隔を確保するために重要である。
第一導電型側電極56は、第一導電型のキャリアを注入可能であれば、第一導電型半導体層のどの層と接してもよく、例えば第一導電型側コンタクト層が設けられるときは、それに接するように形成される。
本発明において、第二導電型側電極51の厚みT2tは、1.4μm以上5.0μm以下であり、好ましくは1.5μm以上4.5μm以下である。
本発明者らの検討によれば、第二導電型側電極51の厚みT2tが1.4μmよりも薄く、例えば1.2μm程度の厚みである場合は、発光素子10を半田材43で放熱基板40に接合すると、第二導電型側電極51が半田材43によって侵食される。そのことにより、発光素子10を駆動した際に、第1の光取り出し方向から観察すると、第二導電型側電極51が形成されている部分に、正常な発光をしない暗部、あるいは発光が弱い部分が発生する。本明細書では、このような発光状態を発光異常と記載する。
一方、第二導電型側電極51の厚みT2tが5.0μmを超えると、発光素子製造上の困難が発生する。第二導電型側電極51は通常パターニングされており、その形状はエッチング法やリフトオフ法等によって形成されるのが普通である。その際、第二導電型側電極51の厚みT2tが5.0μmを超えると、一般的な方法では歩留りよく第二導電型側電極51を形成することが困難になる。
以上、本形態の発光素子10を構成する基板21、薄膜結晶層、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51について説明したが、本発明においては、以上説明した構造に加え、第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDが、主要な特徴の1つとなっている。
この高低差HDは、薄膜結晶層の第一導電型半導体層27側から第二導電型半導体層28側へ向かう方向を正方向としたとき、第一導電型側電極56の正方向側端を基準とした、第一導電型側電極56の正方向側端と第二導電型側電極51の正方向側端との高低差で定義され、本発明においては、この値は−1.0μm以上+1.0μm以下とされる。高低差HDは、好ましくは−0.5μ以上+0.5μm以下、より好ましくは−0.3μm以上+0.3μm以下、さらに好ましくは−0.2μm以上+0.2μm以下であって、最も好ましくは、製造誤差の範囲内において高低差HDが実質的に0である。
本発明においては、放熱基板40は、いわゆる表面材料の粗さに由来する凹凸を除いて、巨視的に見た場合に凹凸のない略平坦な板状形状であることが好ましい。このため、放熱基板40は、発光素子10を放熱基板40に搭載する際に第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDを相殺する機能を果たさない。よって、第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDを上記の範囲内とすることで、略平坦な放熱基板40であっても発光素子10を容易かつ確実に接合することができる。
上記の高低差HDの調整は、第一導電型側電極56の総厚みおよび第二導電型側電極51の総厚みを調整することによっておこなうことができる。ただし、第二導電型側電極51は、前述のとおり、発光素子10を駆動したときに発光異常が発生せず、かつ、発光素子10の製造上問題のないように、厚みT2tが制限される。よって、第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDの調整は、主として第一導電型側電極56の総厚みの調整によっておこなうことが好ましい。
以上説明したように第二導電型側電極51の厚みT2t、および第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDを規定することで、製造が容易であり、かつ半田材43を用いて略平坦な放熱基板40への接合も良好であり、しかも、半田材43によって放熱基板40に搭載されて発光装置として駆動した場合であっても発光異常が生じない、ハイパワー駆動に適した発光素子10とすることができる。
ところで、半田材43を用いて発光素子10を放熱基板40へ接合する場合、この種の半田材43はスパッタや蒸着によって放熱基板40の配線41上に形成されるのが一般的である。第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差が大きいときには、例えば数十μmの厚さで半田材43を形成すれば、半田材43の厚みによって第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差が相殺された状態で発光素子10を放熱基板40に接合することができる。しかし、そのような厚い半田材43をスパッタで形成しようとすると、スパッタは成膜レートが低いため所定の厚みまで成膜するのに時間がかかりすぎ、好ましくない。また、蒸着によって厚い半田材43を形成すると、通常は合金である半田材43に層分離が生じるため好ましくない。一方、半田材43の厚みが薄ければ、スパッタの低い成膜レートで形成してもその影響は少なく、また、合金を蒸着で形成することにより半田材43中に組成差が生じたとしてもその影響は小さい。
よって、上記のように第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDを小さくすることは、厚みの薄い半田材43であっても発光素子10を放熱基板40上に良好に接合できるため、発光素子10を半田材43で放熱基板40に接合する場合に特に有効である。
なお、放熱基板40への発光素子10の接合を良好に行えるようにするためには、
A)上述したように、第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差HDを調整すること、
B)放熱基板40上に形成する配線41の厚みを調整すること、
C)好ましくは半田材43である接合部材の厚みを調整すること、および
D)放熱基板40自体に段差を形成すること、
が考えられる。これらA)〜D)のうち、D)は、放熱基板40への加工が煩雑であり製造コストの観点から好ましくない。よって、A)〜C)を適宜組み合わせるのが、放熱基板40への加工も不要であり好ましく、その中でもA)およびC)を利用するのがより好ましく、B)は補助的であってよい。
前述したように、本形態においては、半田材43を用いて発光素子10を放熱基板40へ接合した場合であっても、第二導電型側電極51への半田材43の侵食による発光異常が生じないように第二導電型側電極51の厚みの下限値が決定されている。半田材43の侵食によって発光異常が生じるのは、第二導電型側電極51が、第1の光取り出し方向側から見たときに活性層構造25と重なった位置に形成されているからである。本形態の構造においては、第一導電型側電極56は第1の光取り出し方向側から見たときに活性層構造25と重なりを有しておらず、第一導電型側電極56の厚みT1tが薄くても発光異常を確認することはできない。よって、第二導電型側電極51と異なり、第一導電型側電極56は、放熱基板40への接合が可能であればその厚みの下限は特に制限されない。ただし、第二導電型側電極51において発光異常が発生するような厚みであれば、第一導電型側電極56においても同様に、半田材43を用いて放熱基板40と接合した場合には、接合プロセス時に半田材43によって第一導電型側電極56が固溶してしまい、正常な金属/半導体界面の形成が阻害される恐れがある。そのため、第一導電型側電極56の厚みT1tは、1.4μm以上であることが好ましい。
第一導電型側電極56の厚みT1tの上限についても、本発明では特に制限はないが、第二導電型側電極51と同様、製造上の理由から、5.0μm以下であることが好ましい。
第一導電型側電極56および第二導電型側電極51は、複数の層構成を有してもよいことは前述したとおりである。図2に、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51が複数の層構成を有する発光素子を備えた発光装置の一例を図2に示す。
図2に示す発光装置は、発光素子と、半田材43を用いて発光素子が接合された放熱基板40とを有しており、発光素子の第一導電型側電極56および第二導電型側電極51が多層構造になっていることを除いて図1Aに示した発光装置と同様に構成されている。以下の説明では、図1Aに示した構成と同様の構成については図1Aと同じ符号を付して詳細な説明は省略し、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51の構成を主体に説明する。
第二導電型側電極51は、第二導電型側第一電極52、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54の3つの層が、第二導電型半導体層28側からこの順番に積層された構造を有している。
第二導電型側第一電極52は、第二導電型半導体層28に接して設けられており、第二導電型半導体層28と良好なオーム性接触を実現し、効率良くキャリア注入を行なう働きを有する。第二導電型側第一電極52を構成する材料としては、Ni、Co、Pt、Rh、Ti、Ru、Ir、Au、Al、In、SnおよびZnの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。また、第二導電型側第一電極52自身が多層構造であってもよい。この場合は、少なくとも1つの層が上記元素を含む材料で形成され、好ましくは各層が上記元素を含み構成成分(種類および/または比率)が異なる材料で構成される。特に好ましい形態では、第二導電型側第一電極52の第二導電型半導体層28側の第一層目はNiであり、第二導電型側第一電極52の第二導電型半導体層28側と反対側の表面はAuである。第二導電型半導体層28側の第一層目をNiとするのは、Niは仕事関数の絶対値が大きく、p型材料にとって都合がよいとともに、GaN系材料に対する密着性が良好であり、プロセス中の熱履歴やダメージ耐性が高いためである。一方、Auは、プロセスダメージに対する耐性や、隣接する第二導電型側バリア層58等との密着性を考慮すると、第二導電型半導体層28側と反対側の表面を構成する層として好ましい。
第二導電型側第二電極54は、発光素子が放熱基板40に接合された際に少なくとも一部が半田材43と接する部分であり、発光素子の駆動により発生する熱の放熱経路ともなる。放熱基板40と発光素子との接合は、特に発光素子を高出力動作させる場合には、半田材43で接合することが最も好ましい。そのため、第二導電型側第二電極54を構成する材料は、半田材43と安定して固溶し、熱的接合をし易いことが望ましい。さらには、第二導電型側第二電極54は、発光素子が発生する熱を放熱する放熱経路ともなることから、熱伝導率が高いことが好ましい。これらの観点から、第二導電型側第二電極54を構成する材料としては、Au、Pt、AlおよびCuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。第二導電型側第二電極54は、単層で構成されてもよいし多層で構成されてもよいが、単層で構成される場合には、電極表面の酸化や接合のし易さ、発光素子駆動時の電極の安定性から、少なくともAuを含む材料で構成されることが好ましい。
第二導電型側バリア層53は、発光素子をフリップチップマウントした際に半田材43の侵食のバリアとなり、第二導電型側第一電極52のオーム性接触の阻害を抑制する働きを有する層である。第二導電型側バリア層53を構成する材料としては、Mo、Ti、Pt、W、Ta、Re、Ir、RuおよびSiの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。
これら第二導電型側第一電極52、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54は、図2に示すようにそれぞれ1層ずつ設けてもよいが、例えば図3の縦断面図に示すように、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を複数層ずつ設けてもよい。この場合、複数層の第二導電型バリア層53のうちの1つは、第二導電型側第一電極52と第二導電型側第二電極54を離間させるように形成される。
第二導電型側バリア層53は、半田材43による第二導電型側第一電極52の侵食をより効果的に抑制するために、金属からなる層と誘電体を含む層の少なくとも一方を有することが好ましい。
それぞれの層を構成する材料は、第二導電型側バリア層53を構成する好ましい材料として上記に列挙した材料を含むことが好ましい。すなわち、金属からなる層は、Mo、Ti、Pt、W、Ta、Re、IrおよびRuの中から選択される少なくとも1種の材料を含み、誘電体を含む層は、Siを含むことが好ましい。これらの金属材料は、比較的硬く、かつ高融点であるので、これらの金属材料を第二導電型側バリア層53に含有させることで、半田材43の固溶が抑制される。また、第二導電型側バリア層53が誘電体を含むことで、第二導電型側バリア層53における半田材43の拡散が抑制される。
第二導電型側バリア層53が誘電体を含む層を有している場合、誘電体には、誘電体を含む層をその厚み方向に貫通するコンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、コンタクトホールを形成した後に誘電体を含む層の上に形成される層を構成する材料で充填され、これによって第二導電型側第一電極と第二導電型側第二電極とが電気的に接続されている。
図4に、第二導電型側バリア層53が金属60からなる層と誘電体61を含む層を有して構成された第二導電型側電極51の一例の模式的縦断面図を示す。図4に示す例では、第二導電型側電極51は、第二導電型半導体層28上に設けられた第二導電型側第一電極52、その上に設けられた第二導電型側バリア層53、およびさらにその上に設けられた第二導電型側第二電極54を有しており、第二導電型側第一電極52と第二導電型側第二電極54とは第二導電型側バリア層53によって離間させられている。
第二導電型側バリア層53は、金属60からなる層と誘電体61を含む層とを有している。金属60からなる層は第二導電型側第二電極54に接して設けられ、誘電体61を含む層は第二導電型側第一電極52に接して設けられている。誘電体61を含む層には、誘電体61を含む層を第二導電型側電極51の厚みT2tの方向に貫通するコンタクトホール55が形成されている。コンタクトホール55は金属60からなる層を構成する金属60で充填されている。これによって、第二導電型側第一電極52と第二導電型側第二電極54とは、金属60からなる層を構成する金属60を介して電気的に接続され、第二導電型側第一電極52と第二導電型側第二電極54との間にキャリアを注入可能となる。
第二導電型側電極51を構成する各層は、蒸着法など通常の成膜手法を用いて形成され、コンタクトホール55が形成された誘電体61を含む層の上に形成された金属60からなる層や第二導電型第二電極54は、コンタクトホール55を反映した厚みで形成される。よって、コンタクトホール55の存在は、第二導電型側電極51の最上面にコンタクトホール55の形状、位置および深さに対応した凹部として現れ、顕微鏡観察等によって確認することが可能である。
誘電体61を含む層に形成されるコンタクトホール55の形状および数は、任意である。その幾つかの例を、第二導電型側バリア層の誘電体を含む層での横断面図である図5A〜5Eに示す。図5Aに示す例では、誘電体61を含む層の中央領域に1つのコンタクトホール55が形成されており、コンタクトホール55は誘電体61によって取り囲まれている。図5Bに示す例では、誘電体61を含む層の内側に複数のコンタクトホール55が形成されている。図5Cに示す例では、誘電体61を含む層の内側にコンタクトホール55がメッシュ状に形成されている。図5Dに示す例では、誘電体61を含む層において誘電体61の一部が扇形状に除去され、この除去された部分がコンタクトホール55となっている。図5Eに示す例では、コンタクトホール55はストライプ状に形成されている。図5Dおよび図5Eから明らかなように、コンタクトホール55は、外周が誘電体61によって取り囲まれた「孔」として形成されたものに限らず、第二導電型側バリア層の側面にまで達するような、誘電体61を含む層において誘電体61がその層の厚み方向全体にわたって除去された部分であってよい。
誘電体61を含む層は複数層であってもよい。この場合、第二導電型側バリア層53内で、誘電体61を含む層と金属60からなる層が交互に積層された構成とすることもできるし、第二導電型側バリア層53を、誘電体61を含む層のみとし、例えば図3に示したように、第二導電型側第二電極54と交互に積層された構成とすることもできる。誘電体61を含む層を複数層とした場合には、コンタクトホール55が第二導電型側電極51の厚み方向で一直線上に位置しないように、各層におけるコンタクトホール55のパターンおよび/または配置を変えることが望ましい。これによって、第二導電型側電極51での半田材43の拡散をより効果的に抑制できる。
再び図2を参照すると、第一導電型側電極56も第二導電型側電極51と同様、第一導電型側第一電極57、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59を有している。
第一導電型側第一電極57は、第一導電型半導体層27に接して設けられており、第一導電型半導体層27と良好なオーム性接触を実現し、効率良くキャリア注入を行なう働きを有する。第一導電型側第一電極を構成する材料としては、Ti、Al、In、SnおよびZnの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。また、第一導電型側第一電極57自身が多層構造であってもよい。この場合は、少なくとも1つの層が上記元素を含む材料で構成され、好ましくは各層が上記元素を含み構成成分(種類および/または比率)が異なる材料で構成される。特に好ましい形態では、第一導電型側第一電極57の第一導電型半導体層27側の第一層目はTiであり、第一導電型側第一電極57の第一導電型半導体層27側と反対側の表面はAlである。Alは、仕事関数の絶対値が小さく、n型材料にとって都合がよいため、第一導電型半導体層27側と反対側の表面を構成する材料として好ましく、また、Tiは、GaN系材料に対する密着性が良好であるため、第一導電型半導体層27側の第一層目を構成する材料として好ましい。
第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59は、例えば第一導電型側バリア層58が金属からなる層と誘電体を含む層の少なくとも一方を有していてもよいこと等、それぞれ上述した第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54と同様の働きを有し、同様の材料で構成することができる。また、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59はそれぞれ複数層ずつ設けられていてもよい。つまり、上述した第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54に関する説明は、それぞれ「第二導電型側」を「第一導電型側」に置き換えて説明することができる。
図2では、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51の双方が第一電極、バリア層および第二電極を有する多層構造とされた例を示したが、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51のいずれか一方が第一電極、バリア層および第二電極を有していてもよい。
第二導電型側電極51は、発光異常等が発生せず、かつ発光素子を製造する上で問題のないような厚みで形成されている。さらに、第二導電型側電極51を、第一電極、バリア層および第二電極を有する多層構造で形成することにより、第二導電型側電極51への接合部材の侵食を抑制できる。第一導電型側電極56は、活性層構造25と重ならない位置に配置されることから、接合部材が第一導電型側電極56を侵食しても、第二導電型側電極51が侵食されることにより発生するような発光異常は確認することができない。ただし、第一導電型側電極56が過度に侵食されると第一導電型半導体層27とのオーム性接触が阻害され、発光装置の駆動電圧が上昇する。よって、第一導電型側電極56を第二導電型側電極51と同様に構成することは、発光素子と放熱基板との良好な接合のためにも好ましいものである。また、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51を共通のプロセスで形成できれば、製造プロセスの簡略化および製造時間の短縮化を可能とし、結果的に製造コストを削減できる。
第一導電型側電極56および第二導電型側電極51の双方が第一電極、バリア層および第二電極を有している場合、第二導電型側バリア層53と第一導電型側バリア層58とが実効的に同一の構成であること、および第二導電型側第二電極54と第一導電型側第二電極59とが実効的に同一の構成であることの少なくとも一方を満たしていることが好ましい。ここで、「実効的に同一」とは、実際に現れる効果が同じになるように、構成材料、構造、厚み等が同一であることを意味する。したがって、実際に現れる効果が同じであれば、第二導電型側バリア層53と第一導電型側バリア層58との間、および/または第二導電型側第二電極54と第一導電型側第二電極59との間で、例えばそれらの横断面の形状および/または寸法が異なっていてもよい。
次に、本発明の他の形態について、図6等を参照して説明する。
図6に示す発光装置は、より一般的な薄膜結晶層の構造を有した発光素子10を備えており、基板21側の第一層目としてバッファ層22を有している。その他の構成については図2に示した発光装置と同様である。
バッファ層22は、基板21上に薄膜結晶成長する上で、転移の抑制、基板結晶の不完全性の緩和、基板結晶と所望の薄膜結晶層との各種の相互不整合の軽減など、主に薄膜結晶成長のための目的のために形成される。
バッファ層22は、薄膜結晶成長で成膜され、本発明で望ましい形態であるInAlGaN系材料、InAlBGaN系材料、InGaN系材料、AlGaN系材料、GaN系材料などを異種基板上に薄膜結晶成長する際には、必ずしも基板21との格子定数のマッチングが確保されないので、バッファ層22は特に重要である。たとえば、薄膜結晶層を有機金属気相成長法(MOVPE法)で成長する際には、600℃近傍の低温成長AlN層をバッファ層に用いたり、あるいは500℃近傍で形成した低温成長GaN層を用いたりすることもできる。また、800℃から1000℃程度の高温で成長したAlN、GaN、AlGaN、InAlGaN、InAlBGaNなども使用可能である。これらの層は一般に薄く5〜40nm程度である。
バッファ層22は必ずしも単一の層である必要はなく、低温で成長したGaNバッファ層の上に、結晶性をより改善するために、ドーピングを施さない1000℃程度の温度で成長したGaN層を数μm程度有するようにしてもかまわない。実際には、このような厚膜バッファ層を有することが普通であって、その厚みは0.5〜7μm程度である。バッファ層22は、Si等でドーピングされていてもよいし、バッファ層内にドーピング層とアンドープ層を積層して形成することも可能である。
特に好ましい形態では、基板21に接して350℃〜650℃未満程度の低温で薄膜結晶成長させた低温バッファ層と、650℃〜1050℃程度の高温で薄膜結晶成長させた高温バッファ層の2層構造のものである。
また、バッファ層22の形成に関しては、いわゆるマイクロチャネルエピタキシーの一種である横方向成長技術(ELO)も使用可能であり、これによってサファイア等の基板とInAlGaN系材料の間で発生する貫通転移の密度を大幅に低減することも可能である。さらに基板の表面に凹凸の加工を施したような加工基板を使用することもでき、その際にも、横方向成長をさせる際に転位の一部を消滅させることが可能であって、このような基板とバッファ層の組み合わせを本発明に適応する事は好ましい。さらに、この際には基板上に形成された凹凸によって光取り出し効率が向上する効果もあって、好ましい。
図6に示す発光装置10は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、図6Aに示すように、基板21を用意し、その表面にバッファ層22、第一導電型クラッド層24、活性層構造25および第二導電型クラッド層26を薄膜結晶成長により順次成膜する。これらの薄膜結晶層の形成には、MOCVD法が望ましく用いられる。しかし、MBE法、PLD法、PED法、VPE法、LPE法なども全部の薄膜結晶層、あるいは一部の薄膜結晶層を形成するために用いることが可能である。これらの層構成は、発光素子の目的等に合わせて適宜変更が可能である。また、薄膜結晶層の形成後には、各種の処理を実施してもかまわない。
薄膜結晶層成長の後、図6Aに示すように、第二導電型側第一電極52を形成することが好ましい。即ち、予定されている第二電流注入領域に対する第二導電型側第一電極52の形成が、第一電流注入領域の形成よりも、さらには、第一導電型側第一電極57の形成よりも、早く実施されることが望ましい。これは、望ましい形態として第二導電型がp型である場合において、表面に露出しているp型クラッド層の表面に対して各種プロセスを経た後にp側電極を形成すると、GaN系材料では比較的活性化率の劣るp−GaNクラッド層中の正孔濃度をプロセスダメージによって低下させてしまうからである。このため、薄膜結晶成長の後には第二導電型側第一電極52の形成が他のプロセス工程(たとえば後述する第一エッチング工程、第二エッチング工程、第一導電型側第一電極形成工程など)よりも先に実施されることが望ましい。
本発明では、第二導電型側第一電極52が形成される層が、第二導電型コンタクト層である場合にも同様に、第二導電型半導体層に対してのプロセスダメージを低減することができる。
第二導電型側第一電極52の形成には、スパッタ、真空蒸着、メッキ等種々の成膜技術を適応可能であり、所望の形状とするためには、フォトリソグラフィー技術を用いたリフトオフ法や、メタルマスク等を用いた場所選択的な蒸着等を適宜使用可能である。
第二導電型側第一電極52を形成した後、図6Bに示すように、第一導電型クラッド層24の一部を露出させる。この工程では、第二導電型クラッド層26、活性層構造25、さらには第一導電型クラッド層24の一部をエッチングにより除去することが好ましい(第一エッチング工程)。第一エッチング工程においては、後述する第一導電型側電極が第一導電型のキャリアを注入するための半導体層を露出することが目的であるので、薄膜結晶層に他の層、たとえば、クラッド層が2層からなる場合や、あるいはコンタクト層がある場合には、その層を含んでエッチングしてもかまわない。
第一エッチング工程では、エッチング精度があまり要求されないので、SiNxのような窒化物やSiOx等の酸化物、SiOxy等の酸窒化物をエッチングマスクとして、Cl2等を用いたプラズマエッチング法による公知のドライエッチングを使用することができる。しかし、後述する第二エッチング工程で詳細に説明するような、金属フッ化物マスクを用いたドライエッチングを実施することも望ましい。特に、SrF2、AlF3、MgF2、BaF2、CaF2およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる金属フッ化物層を含むエッチングマスクを用いて、Cl2、SiCl4、BCl3、CCl4等のガスを用いたプラズマ励起ドライエッチングによりエッチングを行うことが好ましい。さらに、ドライエッチングの方法としては、高密度プラズマを生成可能なICP型のドライエッチングが最適である。
次に図6Cに示すように、装置間分離溝13を、第二エッチング工程により形成する。本形態では、装置間分離溝13をバッファ層22の厚さ方向の途中まで形成する。ただし、装置間分離溝13を基板21に達するまで形成することもできる。この場合には、素子同士を分離するために、スクライブ、ブレーキング等の工程において、薄膜結晶層が形成されている側からダイヤモンドスクライブを実施した際にも、基板21上のGaN系材料の剥離を抑制することが可能である。またレーザスクライブを実施した場合にも、薄膜結晶層にダメージが入らない利点がある。さらに、基板21の一部までエッチングして装置間分離溝13を形成することも同様に好ましい。
第二エッチング工程は、第一エッチング工程と比較して、さらに深くGaN系材料をエッチングすることが必要となる。一般に、第一エッチング工程によってエッチングされる層の総和は、0.5μm程度が普通であるが、第二エッチング工程においては、第一導電型クラッド層24のすべてと、バッファ層22をエッチングすることが必要なことから、3〜10μmとなることがある。
一般に、金属マスク、SiNx等の窒化物マスク、SiOx等の酸化物マスク等は、Cl2系プラズマに対するエッチング耐性を示すGaN系材料に対する選択比は5程度であって、膜厚の厚いGaN系材料をエッチングする必要のある第二エッチング工程を実施するには、比較的厚めのSiNx膜が必要となってしまう。たとえば第二エッチング工程で10μmのGaN系材料をエッチングする最には、2μmを越えるSiNxマスクが必要となってしまう。しかし、この程度の厚みのSiNxマスクになると、ドライエッチング実施中にSiNxマスクもエッチングされてしまい、その縦方向の厚みのみではなく水平方向の形状も変ってしまい、所望のGaN系材料部分のみを選択的にエッチングすることができなくなってしまう。
そこで、第二エッチング工程において装置間分離溝13を形成する際には、金属フッ化物層を含むマスクを用いたドライエッチングが好ましい。金属フッ化物層を構成する材料は、ドライエッチング耐性とウェットエッチング性のバランスを考慮すると、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、AlF3が好ましく、この中でもSrF2が最も好ましい。
金属フッ化物膜は、第一、第二エッチング工程で行うドライエッチングに対しては十分な耐性があり、一方でパターニングのためのエッチング(好ましくはウェットエッチング)に対しては、容易にエッチング可能でかつパターニング形状、特に側壁部分の直線性の良いものが求められる。金属フッ化物層の成膜温度を150℃以上にすることで、下地との密着性に優れ、緻密な膜が形成され、同時にエッチングによってパターニングした後に、マスク側壁の直線性にも優れている。成膜温度は、好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上、最も好ましくは350℃以上である。特に350℃以上で成膜された金属フッ化物層は、あらゆる下地との密着性に優れ、かつ、緻密な膜となり、高いドライエッチング耐性を示しつつ、パターニング形状についても、側壁部分の直線性に非常に優れ、開口部の幅の制御性も確保されるようになり、エッチングマスクとして最も好ましい。
このようなことに配慮してパターニングされたマスク(金属フッ化物層が表面層になるようにSiNx、SiOなどと積層されていてよい)を用いて、ドライエッチングを行う。ドライエッチングのガス種としては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4およびこれらの組み合わせから選ばれるものが望ましい。ドライエッチングの際に、SrF2マスクのGaN系材料に対する選択比は100を越えるため、厚膜GaN系材料のエッチングが容易に、かつ、高精度に行うことができる。さらに、ドライエッチングの方法としては、高密度プラズマを生成可能なICP型のドライエッチングが最適である。
このような第二エッチング工程により、図6Cに示すように、装置間分離溝13が形成される。
なお、第一エッチング工程と第二エッチング工程は、どちらの工程を先に実施しても、後に実施してもかまわない。
次に、図6Dに示すように、第一エッチング工程において第一導電型クラッド層24が除去された部分であって、かつ第二エッチング工程において装置間分離溝13が形成されていない部分に、第一導電型側第一電極57を形成する。本形態においては、第一導電型側第一電極57と第二導電型側第一電極52は、空間的に重なりを有していない。これは、当該発光素子を半田材等でフリップチップマウントした際に、サブマウントなどとの十分な密着性を確保するに十分な面積を確保しつつ、第一導電型側第一電極57および第二導電型側第一電極52からそれぞれ最終的に形成される第二導電型側電極51(図6参照)と第一導電型側電極56(図6参照)との間の半田材等による意図しない短絡を防止するのに十分な間隔を確保するために重要である。
第一導電型側第一電極57の形成には、スパッタ、真空蒸着、メッキ等種々の成膜技術を適応可能であり、所望の形状とするためには、フォトリソグラフィー技術を用いたリフトオフ法や、メタルマスク等を用いた場所選択的な蒸着等を適宜使用可能である。
第一導電型側第一電極57は、この例では、第一導電型クラッド層24に接して形成されるが、第一導電型側コンタクト層が形成されるときはそれに接するように形成することができる。
次に、図6Eに示すように、第一導電型側第一電極57上に、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59をこの順番に形成し、さらにその後、図6Fに示すように、第二導電型側第一電極52上に、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54をこの順番に形成する。これらの形成には、第一導電型側第一電極57および第二導電型側第一電極52と同様の成膜技術およびパターニング技術を利用することができる。以上の工程によって、第一導電型側電極56および第二導電型側電極51が形成される。
本形態では第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59を形成した後に、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を形成したが、第一導電型側バリア層58を構成する材料と第二導電型側バリア層53を構成する材料が同じ材料である場合は、これらを同時に形成することができる。同様に、第一導電型側第二電極59を構成する材料と第二導電型側第二電極54を構成する材料が同じ材料であれば、これらを同時に形成することができる。製造プロセスを簡略化できるという観点からは、第一導電型側バリア層58と第二導電型側バリア層53とを同一プロセスで同時に形成し、その後、第一導電型側第二電極59と第二導電型側第二電極54とを同一プロセスで同時に形成することが好ましい。
また、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59の形成を、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54の形成後に行なうこともできる。ただし、第一導電型側第一電極57を構成する金属材料としてAlが含まれる場合、Alはプロセスダメージに対する耐性が比較的弱く、その後のプロセスによって第一導電型側第一電極57の表面にダメージが導入される可能性を考慮すると、少なくとも第一導電型側バリア層58を形成して第一導電型側第一電極57の表面を覆った後、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を形成することが好ましい。
このようにして、図6Fに示す構造が形成された後には、各発光素子を1つ1つ分離するために、装置間分離溝13が形成された位置で、基板21に対してダイヤモンドスクライブによる傷入れ、レーザスクライブによる基板材料の一部のアブレーションが実施される。
素子間分離工程の際に、装置間分離溝13が形成された位置では大部分の薄膜結晶層がないので、薄膜結晶層へのプロセスダメージの導入がほとんどない。
傷入れ(スクライブ)が終了した後には、発光素子はブレーキング工程において個々に分割され、好ましくは半田材等によってサブマウントに搭載される。
以上のようにして、図6に示した発光装置が完成する。
この製造方法では、説明のとおり薄膜結晶層の形成、第二導電型側第一電極52の形成、エッチング工程(第一エッチング工程および第二エッチング工程)、第一導電型側第一電極57の形成は、この順に実施されることが望ましい。この工程順により、第二導電型側第一電極52直下の薄膜結晶層のダメージがなく、品質として良好な発光素子10を得ることができる。
図7に、本発明のさらに他の形態による発光装置の模式的断面図を示す。本形態では、発光素子10は、バッファ層22の一部、第一導電型半導体層(ここでは第一導電型クラッド層24)の第一導電型側電流注入領域(第一導電型側電極56と接触している部分)を除く部分、活性層構造25、および第二導電型半導体層(ここでは第二導電型クラッド層26)の第二導電型側電流注入領域(第二導電型側電極51と接触している部分)を除く部分を覆う誘電体膜31を有している。つまり、バッファ層22、第一導電型半導体層、活性層構造25および第二導電型半導体層を有する薄膜結晶層の側壁の少なくとも一部が誘電体膜31で覆われている。その他の構成は図6に示した発光素子10と同様である。
誘電体膜31は、発光素子10をフリップチップマウントした際に、マウント用の半田材43等が「第二導電型側電極と第一導電型側電極との間」、「活性層構造などの薄膜結晶層の側壁」に回り込んで、意図しない短絡が発生しないようにするためのものである。誘電体膜31は、電気的に絶縁が確保できる材料であれば、適宜材料を選択することができる。誘電体膜31を構成する材料としては、例えば、酸化物、窒化物、フッ化物等が好ましく、具体的には、SiOx、AlOx、TiOx、TaOx、HfOx、ZrOx、SiNx、AlNx、AlFx、BaFx、CaFx、CaFx、SrFx、MgFxの単層膜、またはそれらの材料の2種以上の組み合わせからなる多層膜であることが好ましい。
誘電体膜31を多層膜とし、屈折率を適宜調整することによって、誘電体膜31は、発光素子10内で発生した光に対して比較的高い反射率を有する高反射コーティング機能を発現することができる。さらには、第二導電型側バリア層53に含まれる誘電体と誘電体膜31とを同一の構造とすることで、複数の機能を併せて発現させることができる。
図7に示す発光装置10は、例えば以下のようにして製造することができる。
本形態においても、図6A〜図6Cを用いて上述したように、基板21上に薄膜結晶層(バッファ層22、第一導電型クラッド層24、活性層構造25および第二導電型クラッド層26)を形成し、その後、第二導電型クラッド層26上の所定の位置に第二導電型側第一電極52を形成し、さらに、第一エッチング工程および第二エッチング工程を経て薄膜結晶層に装置間分離溝13を形成する(図6A〜図6C参照)。ここまでの工程は、図6に示す発光素子を製造する場合と同様であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
第二エッチング工程の後、図7Aに示すように、第二エッチング工程までの工程で形成された構造の表面全体を覆って誘電体膜31を形成する。誘電体膜31は、電気的に絶縁が確保できる材料であれば、適宜材料を選択することができ、詳細は前述したとおりである。誘電体膜31の形成には、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法、イオンビームスパッタ法などの各種成膜方法を使用することが可能である。
次に、図7Bに示すように、誘電体膜31の所定部分を除去し、第二導電型側第一電極52上の一部で誘電体膜31が除去された第二導電型側第一電極52の露出部分、第一導電型クラッド層24上で誘電体膜31が除去された第一導電型側電流注入領域36、装置間分離溝13内で誘電体膜31が除去されたスクライブ領域14を形成する。第二導電型側第一電極52上の誘電体膜31の除去は、第二導電型側第一電極52の周辺部分が誘電体膜31によって覆われているように実施する。すなわち第二導電型側第一電極露出部分の表面積は第二導電型側電流注入領域の面積よりも小さい。また、誘電体膜31が、第二導電型側バリア層53(図7参照)における誘電体を兼ねる場合は、第二導電型側第一電極52の露出部分がコンタクトホール55となる。
誘電体膜31の所定部分の除去は、選択された材質によってドライエッチング、ウェットエッチング等のエッチング手法が選択可能である。たとえば、誘電体膜31がSiOxの単層膜である場合には、SF6等のガスを用いたドライエッチングも可能であるし、フッ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチングも可能である。また、誘電体膜31がSiOxとTiOxとからなる多層膜である場合には、Arイオンミリングによって所望の部分の多層膜を除去することも可能である。
第二導電型側第一電極52の露出部分、第一導電型側電流注入領域36、およびスクライブ領域14の形成は、別々に行ってもよいが、通常は同時にエッチングで形成する。
次に、図7Cに示すように、第一エッチング工程において第一導電型クラッド層24が除去された部分であって、かつ第二エッチング工程において装置間分離溝13が形成されていない部分に、第一導電型側第一電極57を形成する。本形態においては、第一導電型側第一電極57は第一電流注入領域36の大きさよりも大きな面積に形成され、かつ、第一導電型側第一電極57と第二導電型側第一電極52は、空間的に重なりを有していない。これは、当該発光素子を半田材等でフリップチップマウントした際に、サブマウントなどとの十分な密着性を確保するに十分な面積を確保しつつ、第一導電型側第一電極52および第二導電型側第一電極57からそれぞれ最終的に形成される第二導電型側電極51(図7参照)と第一導電型側電極56(図7参照)との間の半田材等による意図しない短絡を防止するのに十分な間隔を確保するために重要である。
本形態においても、図6に示す発光装置と同様、第一導電型側第一電極57の形成には適宜手法を利用でき、また、第一導電型半導体層に第一導電型側コンタクト層が形成されるときはそれに接して第一導電型側第一電極57を形成することができる。
次に、図7Dに示すように、第一導電型側第一電極57上に、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59をこの順番に形成し、さらにその後、図7Eに示すように、第二導電型側第一電極52上に、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54をこの順番に形成する。これらの形成方法および形成順は、図6に示した発光素子の製造方法で説明したのと同様である。
以上のようにして図7Eに示す構造が形成された後は、各発光素子を1つ1つ分離するために、装置間分離溝13が形成された位置で、基板21に対してダイヤモンドスクライブによる傷入れ(スクライブ)、レーザスクライブによる基板材料の一部のアブレーションが実施される。本形態では、スクライブ領域14に誘電体膜31が存在しないので、スクライブ時に誘電体膜31の剥離等が生じる可能性はない。また、素子間分離工程の際に、装置間分離溝13が形成された位置では大部分の薄膜結晶層がないので、薄膜結晶層へのプロセスダメージの導入がほとんどない。
傷入れ(スクライブ)が終了した後には、発光素子はブレーキング工程において個々に分割され、好ましくは半田材等によってサブマウントに搭載される。
以上のようにして、図7に示した発光装置が完成する。
この製造方法でも、説明のとおり薄膜結晶層の形成、第二導電型側第一電極52の形成、エッチング工程(第一エッチング工程および第二エッチング工程)、第一導電型側第一電極57の形成は、この順に実施されることが望ましい。この工程順により、第二導電型側第一電極52直下の薄膜結晶層のダメージがなく、品質として良好な発光素子10を得ることができる。
なお、上述した各形態では、放熱部材42と発光素子10とを半田材43によって接合した例を示したが、放熱部材42と発光素子10との接合は、放熱部材42と発光素子10との電気的接続が確保できれば、例えば図8に示すように金バンプ44によって行なうこともできるし、あるいは図9に示すように導電性樹脂45によって行なうこともできる。
以上、本発明に係る発光素子について幾つかの形態を例に挙げて説明したが、いずれの形態においても、第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差、および第二導電型側電極の高さは、前述したような、本発明で規定される範囲内の値とされる。
また、本発明に係る発光素子は、上述した各形態に示した構造以外の層を含むことができる。その一例として、例えば、基板と第一導電型半導体層との間(発光素子がバッファ層を含む場合は基板とバッファ層との間)に、第1の光取り出し方向側から出射する光の均一性を向上させる光均一化層を有することができる。光均一化層は、活性層構造で発生した光を、一旦、層内に閉じこめて分布させることで光の一部をリークしながらも緩やかに導波し、また場合によっては光を散乱、多重反射、薄膜干渉を引き起こすなどの効果を発現し、第1の光取り出し方向からの光の均一性を向上させるための層である。光均一化層は、少なくとも層内に光の閉じ込めが生じるように、即ち光の分布密度が高くなるようにその屈折率が選ばれる。従って、光均一化層の平均屈折率は、第一導電型クラッド層の平均屈折率よりも大きく、また、基板がある態様では基板の平均屈折率よりも大きい。光均一化層を有する発光素子については、例えばWO2007/126094に詳しく開示されており、本発明においても当該文献に記載された光均一化層を適用することができる。
次に、本発明の発光装置で好ましく用いられる放熱部材について、図10を参照して詳細に説明する。
放熱部材42は、主として放熱性を担う放熱基板40と、発光素子との電気的接続のための配線41とを有することが好ましい。
放熱基板40は、発光素子をフリップチップマウントした際に、主として発光素子から発する熱を放熱させる機能を有する。放熱基板40は、電気的に絶縁性であってもよいし、電気伝導性を有していてもよい。また、放熱基板40は、いわゆる表面材料の粗さに由来する凹凸を除いて、巨視的に見た場合の凹凸がなく、平坦な板状形状であることが好ましい。そのため、放熱基板40自身は、発光素子を搭載する際に第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差を相殺する機能を有していないと考えてよい。
配線41は、放熱基板40の外側表面に少なくとも一部が露出して設けられ、発光素子への電流注入の役割を担う。さらに、配線41は、放熱基板40と発光素子とを熱的に接続する機能を有することも可能である。発光素子に形成されている第一導電型側電極および第二導電型側電極と、放熱基板40に形成されうる配線41との間の接合には、好ましくは半田材43を用いることができる。
本発明者らの検討によれば、放熱部材42と発光素子の接合は、特に発光素子を高出力動作させる場合には、半田材43で接合することが最も好ましく、いわゆる金属バンプによる接合や、導電性樹脂等による接合に比較して、圧倒的に良好な特性を示す。たとえば、発光素子が発光ダイオードの場合においては、その最大全放射束特性は、エピタキシャル成長された構造や電極構造が同一であっても2〜3倍からの高出力動作が可能である。
放熱基板40の材料としては、AlN、BN、サファイア、BeO、Si、SiC、SiO2、CuW、CuMo、ダイヤモンド、Al、Cu等が好ましく、放熱性を決定付ける熱伝導率、素子を構成する材料との間の熱膨張係数差、コスト等を考慮して適宜決定することが可能である。
配線41は、金属で形成されていることが好ましく、Ti、Ni、Pd、Rh、Pt、Au等によって構成されることが好ましい。また、配線41は多層構造であることが好ましい。多層構造の配線41としては、特に、放熱基板40と接する側には、Ti、Ni等が形成されており、かつ、好ましく利用される半田材43と接する側あるいはこれを介して接合される発光素子に形成された第一導電型側電極、第二導電型側電極と面する側には、Au、Ptが形成されていることが好ましい。このような構造が好ましいのは、配線41が放熱基板40と接する側には、密着性が高い金属層を配することが好ましく、一方、第一導電型側電極、第二導電型側電極と面する側には、半田材43によって接合する際に、利用する半田材43によって、配線41の一部が固溶し、強固な熱的接合が可能となることが好ましいからである。また、配線41が金属によって構成され、多層構造化されている場合には、この中にその他の機能、たとえば、前述のバリア層的な機能を有する層を内在させることも可能であって、好ましい形態である。
半田材43としては、AuSi、AuSn、PbSn、InSn、AuGe、In、InAg、InPbAg、SnPb、SnZn等の金属ハンダが使用可能であり、その中でも特に、AuSnが好ましい。
半田材43の厚みTstは適宜選択可能であるが、2.0μm以上、4.0μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、2.5μm以上、3.5μm以下であり、最も好ましくは、2.7μm以上、3.2μm以下である。半田材43の厚みTstが過度に薄いと、
A)放熱基板40上に形成された配線41などの搭載部分への、発光素子の接合が十分にできなくなる、
B)1μm程度の第一導電型側電極と第二導電型側電極の高低差を解消することもできなくなる、
などの問題があり、好ましくない。また、半田材43の厚みTstが過度に厚い場合は、
a)第一導電型側電極と第二導電型側電極の間を短絡させてしまうおそれがある、
b)第二導電型側電極直下に発光異常がみられるようになる、
c)成膜に時間がかかる、
d)形成方法によっては均一な合金組成制御が困難になる、
などの問題があり、好ましくない。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、以下の実施例において参照している図面は、構造を把握しやすくするために敢えて寸法を変えている部分があるが、実際の寸法は以下の文中に記載されるとおりである。また、以下の説明において、元素記号の後の括弧内の寸法は、その元素の膜厚を示す。
(実施例1)
図6に示した発光装置を以下の手順で作製した。関連する工程図として、図6A〜図6Fを参照する。
厚みが430μmのc+面サファイア基板21を用意し、この上に、まずMOCVD法を用いて、第1のバッファ層および第2のバッファ層からなるバッファ層22を形成した。バッファ層22の形成は、まず第1のバッファ層として10nmの厚みの低温成長したアンドープのGaNを形成し、この後に第2のバッファ層として厚み1.0μmのアンドープGaNを1040℃で形成することによって行なった。
さらに、第一導電型(n型)クラッド層24としてSiドープ(Si濃度1×1018cm−3)のGaN層を6.0μmの厚さに形成した。さらに活性層構造25として、バリア層として860℃で13nmの厚さに成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として720℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.06Ga0.94N層とを、量子井戸層が全部で8層で両側がバリア層となるように交互に成膜した。さらに成長温度を1000℃にして、第二導電型クラッド層26として、Mgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)Al0.10Ga0.90Nを0.03μmの厚さに形成した後、Mgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)GaNを0.13μmの厚さに形成した。
この後に、MOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対して第二導電型側第一電極52を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いて、第二導電型側第一電極52をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここで第二導電型側第一電極52としてNi(20nm)/Au(400nm)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施して第二導電型側第一電極52を完成させた。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Aに対応する。
次いで、第一エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクを形成した。ここでは、p−CVD法を用いて0.4μmの厚みのSiN膜を基板温度350℃で、ウエハー全面に成膜した。次に再度フォトリソグフィー工程を実施してSiN膜をパターニングし、SiNエッチングマスクを作製した。この際には、SiN膜の不要部分のエッチングはRIE法を用いてSFプラズマを用いて実施し、後述する第一エッチング工程において薄膜結晶層のエッチングを行わない部分はマスクを残し、かつ予定されている薄膜結晶層のエッチング部分に相当する部分のSiN膜を除去した。
次いで第一エッチング工程として、第二導電型(p型)クラッド層26、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、第一導電型(n型)クラッド層24の途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施した。エッチングされた段差を測定したところ、400nmであった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Bに対応する。
次いで、装置間分離溝13を形成する第二エッチング工程を実施するために、真空蒸着法を用いて、SrF膜をウエハー全面に形成した。次いで、装置間分離溝13を形成する領域のSrF膜を除去し、薄膜結晶層の装置間分離溝形成用マスク、すなわち、第二エッチング工程用SrFマスクを形成した。
次いで第二エッチング工程として、装置間分離溝に相当する部分の、第二導電型クラッド層26、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、第一導電型クラッド層24およびアンドープGaNバッファ層22の途中までの薄膜結晶層を、Clガスを用いたICPエッチングを実施した。この第二エッチング工程中には、SrFマスクはほとんどエッチングされなかった。
第二エッチング工程によって装置間分離溝13を形成した後は、不要となったSrFマスクを除去した。続いて、SiNxマスクをバッファフッ酸を用いてすべて除去した。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Cに対応する。
次いで、第一導電型側第一電極57を形成した。ここではまず、第一導電型側第一電極57をリフトオフ法でパターニングする準備のために、フォトリソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。次いで、電極材料としてTi(20nm)/Al(800nm)を真空蒸着法でウエハー全面に形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。その後、熱処理を実施して第一導電型側第一電極57を完成させた。Al電極は、プラズマプロセス等により変質しやすく、かつ、フッ酸等によってもエッチングされるが、薄膜結晶層形成プロセスの後に第一導電型側第一電極57の形成を行ったことから、まったくダメージを受けなかった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Dに対応する。
次いで、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59を形成した。ここではまず、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59をリフトオフ法でパターニングする準備のために、フォトリソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。次いで、第一導電型側バリア層58としてMo(15nm)/Ti(15nm)を、第一導電型側第二電極59としてAu(1550nm)を、真空蒸着法でウエハー全面に形成し、その後、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去し、これによって、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59を完成させた。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Eに対応する。
次いで、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を形成した。ここではまず、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54をリフトオフ法でパターニングする準備のために、フォトリソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。次いで、第二導電型側バリア層53としてMo(15nm)/Ti(15nm)を、第二導電型側第二電極54としてAu(1650nm)を、真空蒸着法でウエハー全面に形成し、その後、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去し、これによって第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を完成させた。その結果得られた第二導電型側電極51の総厚みは2.1μmであった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Fに対応する。
全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。
得られた第一導電型側電極56の上端と第二導電型側電極51の上端との高低差を測定したところ、薄膜結晶層の形成方向、すなわち第一導電型クラッド層24側から第二導電型クラッド層26側へ向かう方向を正方向としたとき、第一導電型側電極56の正方向端を基準とした、第二導電型側電極51の正方向端との高低差は約+0.1μmであった。
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、装置間分離溝13内でブレーキングし、1つ1つの発光素子を完成させた。この際に、薄膜結晶層へのダメージ導入はなかった。
次いで、サブマウント(放熱部材42)の放熱基板40として、350μmの厚みを有する略平板の焼結したAlN基板を用意し、この放熱基板40の上面に、発光素子10への電流注入を行う配線41として、Ti(100nm)/Pt(200nm)/Au(5000nm)/Ti(100nm)/Pt(200nm)/Au(50nm)を形成した。さらに、配線41上に、厚み2.6μmのAuSnからなる半田材43を形成した。
次いで、上記のようにして得られた発光素子10とサブマウント(放熱部材42)を、半田材43で、フリップチップ接合して発光装置を完成させた。第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極51が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材43による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極52の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の全放射束が測定され、その値は、後述する比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約4.8倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例2)
実施例2では、Auからなる第二導電型第二電極の厚みを1850nmとし、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを1750nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.3μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約+0.1μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを2.8μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.6Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約5.1倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例3)
実施例3では、MoとTiの積層膜である第二導電型側バリア層の厚みを40nm(Mo)/50nm(Ti)とし、Auからなる第二導電型側第二電極の厚みを3800nmとし、MoとTiの積層膜である第一導電型側バリア層の厚みを30nm(Mo)/50nm(Ti)とし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを3600nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造は、リフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは4.31μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電側電極と第二導電型側電極との高低差は約+0.21μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを4.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.6Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約5.2倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例4)
実施例4では、MoとTiの積層膜である第二導電型側バリア層の厚みを20nm(Mo)/20nm(Ti)とし、Auからなる第二導電型側第二電極の厚みを1000nmとし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを1000nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造は、リフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは1.46μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電側電極と第二導電型側電極との高低差は約+0.01μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを2.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する部分の一部に若干光強度の弱い部分が観察されたものの、ほぼ均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約3.8倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例5)
実施例5では、第二導電型側第一電極の材料および厚みをNi(20nm)/Pt(30nm)/Au(370nm)とし、第二導電型側バリア層の材料および厚みをCr(30nm)とし、第一導電型側第一電極の材料および厚みをTi(20nm)/Al(200nm)/W(20nm)/Au(800nm)とし、かつ、第一導電型側バリア層の材料および厚みをCr(30nm)としたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.1μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約−0.12μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを3.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約5.1倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例6)
実施例6では、第二導電型側第一電極の材料および厚みをCo(30nm)/Au(380nm)とし、第二導電型側バリア層の材料および厚みをCr(30nm)とし、第一導電型側第一電極の材料および厚みをTi(20nm)/Al(200nm)/W(20nm)/Au(800nm)とし、かつ、第一導電型側バリア層の材料および厚みをCr(30nm)としたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.09μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約−0.13μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを3.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約4.6倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例7)
実施例7では、第二導電型側第一電極の材料および厚みをITO(200nm)とし、第二導電型側バリア層の材料および厚みをTi(30nm)/Mo(20nm)とし、第二導電型側第二電極の材料および厚みをAu(1400nm)とし、第一導電型側第一電極の材料および厚みをTi(50nm)/Au(200nm)とし、第一導電型側バリア層の材料および厚みをMo(30nm)とし、かつ第一導電型側第二電極の材料および厚みをAu(1600nm)としたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは1.65μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約0.17μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、半田材がInSnからなり、その厚みが2.2μmであること以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約4.9倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例8)
図7に示した発光装置を以下の手順で作製した。関連する工程図として、図6A〜図6Cおよび図7A〜図7Eを参照する。
厚みが430μmのc+面サファイア基板21を用意し、この上に、まずMOCVD法を用いて、第1のバッファ層および第2のバッファ層からなるバッファ層22を形成した。バッファ層22の形成は、まず第1のバッファ層として10nmの厚みの低温成長したアンドープのGaNを形成し、この後に第2のバッファ層として厚み1.0μmのアンドープGaNを1040℃で形成することによって行なった。
さらに、第一導電型(n型)クラッド層24としてSiドープ(Si濃度1×1018cm−3)のGaN層を6.0μmの厚さに形成した。さらに活性層構造25として、バリア層として860℃で13nmの厚さに成膜したアンドープGaN層と、量子井戸層として720℃で2nmの厚さに成膜したアンドープIn0.06Ga0.94N層とを、量子井戸層が全部で8層で両側がバリア層となるように交互に成膜した。さらに成長温度を1000℃にして、第二導電型クラッド層としてMgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)Al0.10Ga0.90Nを0.03μmの厚さに形成した後、Mgドープ(Mg濃度5×1019cm−3)GaNを0.13μmの厚さに形成した。
この後にMOCVD成長炉の中で徐々に温度を下げて、ウエハーを取り出し、薄膜結晶成長を終了した。
薄膜結晶成長が終了したウエハーに対して第二導電型側第一電極52を形成するために、フォトリソグラフィー法を用いて、第二導電型側第一電極52をリフトオフ法でパターニングする準備をしてレジストパターンを形成した。ここで第二導電型側第一電極52としてNi(20nm)/Au(300nm)を真空蒸着法によって形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。次いで、その後熱処理を実施して第二導電型側第一電極52を完成させた。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Aに対応する。
次いで、第一エッチング工程を実施するために、エッチング用マスクを形成した。ここでは、p−CVD法を用いて0.4μmの厚みのSiN膜を基板温度350℃で、ウエハー全面に成膜した。次に再度フォトリソグフィー工程を実施してSiN膜をパターニングし、SiNエッチングマスクを作製した。この際には、SiN膜の不要部分のエッチングはRIE法を用いてSFプラズマを用いて実施し、後述する第一エッチング工程において薄膜結晶層のエッチングを行わない部分はマスクを残し、かつ予定されている薄膜結晶層のエッチング部分に相当する部分のSiN膜を除去した。
次いで第一エッチング工程として、第二導電型(p型)クラッド層26、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、第一導電型(n型)クラッド層24の途中まで、Clガスを用いたICPプラズマエッチングを実施した。エッチングされた段差を測定したところ、400nmであった。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Bに対応する。
次いで、装置間分離溝13を形成する第二エッチング工程を実施するために、真空蒸着法を用いて、SrF膜をウエハー全面に形成した。次いで、装置間分離溝13を形成する領域のSrF膜を除去し、薄膜結晶層の装置間分離溝形成用マスク、すなわち、第二エッチング工程用SrFマスクを形成した。
次いで第二エッチング工程として、装置間分離溝に相当する部分の、第二導電型クラッド層26、InGaN量子井戸層とGaNバリア層からなる活性層構造25、第一導電型クラッド層24およびアンドープGaNバッファ層22の途中までの薄膜結晶層を、Clガスを用いたICPエッチングを実施した。この第二エッチング工程中には、SrFマスクはほとんどエッチングされなかった。
第二エッチング工程によって装置間分離溝13を形成した後は、不要となったSrFマスクを除去した。続いて、SiNxマスクをバッファフッ酸を用いてすべて除去した。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図6Cに対応する。
次いで、p−CVD法によってSiNの誘電体膜31を150nmの厚さでウエハー全面に形成した。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図7Aに対応する。
次いで、Ni/Auからなる第二導電型側第一電極52上のコンタクトホール55と、第一導電型クラッド層24上の第一導電型側電流注入領域36と、装置間分離溝13内のスクライブ領域14とを同時に形成する、誘電体膜31の除去のために、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストマスクを形成した。次いで、フッ酸系のエッチャントでレジストマスクで覆われていない部分の誘電体膜31を除去した。ここでは、第二導電型側第一電極52の周辺が、SiNからなる誘電体膜31に30μmだけ覆われるようにして、コンタクトホール55を形成した。なお、第二導電型側第一電極52の周辺の、誘電体膜31で覆われている部分は、後工程で形成する第二導電型側バリア層における誘電体として機能する。この後に、不要となったレジストマスクは、アセトンで除去し、かつ、RIE法による酸素プラズマでアッシングし除去した。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図7Bに対応する。
次いで、第一導電型側第一電極57を形成した。ここではまず、第一導電型側第一電極57をリフトオフ法でパターニングする準備のために、フォトリソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。次いで、電極材料としてTi(20nm)/Al(100nm)/W(20nm)/Au(500nm)を真空蒸着法でウエハー全面に形成し、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去した。その後、熱処理を実施して第一導電型側第一電極57を完成させた。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図7Cに対応する。
次いで、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59を形成した。ここではまず、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59をリフトオフ法でパターニングする準備のために、フォトリソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。次いで、第一導電型側バリア層58としてMo(15nm)/Ti(15nm)を、第一導電型側第二電極59としてAu(1750nm)を、真空蒸着法でウエハー全面に形成し、その後、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去し、これによって、第一導電型側バリア層58および第一導電型側第二電極59を完成させた。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図7Dに対応する。
次いで、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を形成した。ここではまず、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54をリフトオフ法でパターニングする準備のために、フォトリソグラフィー法によってレジストパターンを形成した。次いで、既に形成されている誘電体膜であるSiN上および第二導電型側第一電極52上のコンタクトホール55上に、第二導電型側バリア層53の一部としてMo(15nm)/Ti(15nm)を、第二導電型側第二電極54としてAu(1850nm)を、真空蒸着法でウエハー全面に形成し、その後、アセトン中で不要部分をリフトオフ法によって除去し、これによって、第二導電型側バリア層53および第二導電型側第二電極54を完成させた。その結果得られた第二導電型側電極51の総厚みは2.35μmであった。この例では、第二導電型側バリア層53は、第二導電型側第一電極52上のコンタクトホール55を有するSiNおよびその上のMo/Tiで構成され、かつ、このSiNは薄膜結晶層の側壁の少なくとも一部を覆う誘電体層の一部で構成されている。ここまでの工程で完成した構造は、概ね図7Eに対応する。
全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。
得られた第一導電型側電極56と第二導電型側電極51との高低差を実施例1と同様にして測定したところ、約+0.18μmであった。
次いで、ウエハー上に形成された1つ1つの発光素子を分割するために、装置間分離溝13内でブレーキングし、1つ1つの発光素子を完成させた。この際に、薄膜結晶層へのダメージ導入はなかった。
次いで、サブマウント(放熱部材42)の放熱基板40として、350μmの厚みを有する略平板の焼結したAlN基板を用意し、この放熱基板40の上面に、発光素子10への電流注入を行う配線41として、Ti(100nm)/Pt(200nm)/Au(5000nm)/Ti(100nm)/Pt(200nm)/Au(50nm)を形成した。さらに、配線41上に、厚み2.6μmのPbSnからなる半田材43を形成した。
次いで、上記のようにして得られた発光素子10とサブマウント(放熱部材42)を、半田材43で、フリップチップ接合して発光装置を完成させた。第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極51が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材43による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極52の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の全放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約4.7倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例9)
実施例9では、TiとAlの積層膜である第一導電型側第一電極厚みを20nm(Ti)/400nm(Al)とし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを1200nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.1μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約+0.85μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを3.4μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約4.6倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例10)
実施例10では、TiとAlの積層膜である第一導電型側第一電極厚みを20nm(Ti)/400nm(Al)とし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを2900nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.1μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約−0.85μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを3.4μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する全ての部分が均一に発光し、発光状態は良好であった。また、1.5Aの電流を注入したときに最大の相対放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約4.4倍であり、高出力動作が可能なLEDが実現された。
(実施例11)
前述のように、実施例1では、AuSnからなる半田材で放熱部材にフリップチップ接合した発光素子に、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は、比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
そこで本例では、実施例1で作製した発光素子を、導電性樹脂およびAuバンプをそれぞれ用いて放熱部材と接合した2種類の発光装置を作製し、それぞれについて特性を測定した。導電性樹脂としては、Agを含んだペースト、いわゆるAgペーストを用いた。Agペーストを用いて発光素子を接合したサンプルは、350mAの電流を注入したときに最大の全放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで発光素子を接合したサンプルと比較して約1.42倍であった。一方、Auバンプを用いて発光素子を接合したサンプルは、600mAの電流を注入したときに最大の全放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで接合したサンプルと比較して約1.62倍であった。
(比較例1)
比較例1では、MoとTiの積層膜である第二導電型側バリア層の厚みを20nm(Mo)/20nm(Ti)とし、Auからなる第二導電型側第二電極の厚みを800nmとし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを800nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造は、リフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは1.26μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電側電極と第二導電型側電極との高低差は約+0.01μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを2.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面は比較的均一に見え、半田材による侵食は見られなかった。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する部分の一部で、極度に発光強度が弱い部分が観察され、通電とともにこの部分の発光強度がさらに低下する発光異常が確認された。
(比較例2)
比較例2では、MoとTiの積層膜である第二導電型側バリア層の厚みを30nm(Mo)/50nm(Ti)とし、Auからなる第二導電型側第二電極の厚みを5000nmとし、MoとTiの積層膜である第一導電型側バリア層8の厚みを30nm(Mo)/50nm(Ti)とし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを5000nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは5.5μmであった。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、第二導電型側第二電極と第一導電型側第二電極の形成時におけるリフトオフが十分に行えず、ウェハー面内で素子の短絡や電流電圧特性異常が多発し、ウェハー面内における素子の歩留りが極めて悪かった。そのため、比較例2においては、第一導電側電極と第二導電型側電極との高低差の測定、および発光素子を放熱部材に接合しての発光特性の確認は行なわなかった。
(比較例3)
比較例3では、第二導電型側バリア層、第二導電型側第二電極、第一導電型側バリア層および第一導電型側第二電極を形成しなかったこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造は、リフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは0.42μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電側電極と第二導電型側電極との高低差は約+0.01μm以下であった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを2.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面の一部に変色が確認され、半田材による侵食が確認された。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する部分の比較的広い面積で極度に発光強度が弱い部分が観察され、発光異常が確認された。
(比較例4)
比較例4では、第二導電型側バリア層および第一導電型側バリア層を形成しなかったこと、Auからなる第二導電型側第二電極の厚みを800nmとしたこと、およびAuからなる第一導電型側第二電極の厚みを800nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚み1.22μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は、約+0.01μm以下であった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを2.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材42との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置を、第1の光取り出し方向から白色光を反射させて外観を観察したところ、第二導電型側電極が形成された位置に対応する面の一部に変色が確認され、半田材43による侵食が確認された。
次いで、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する部分の比較的広い面積で極度に発光強度が弱い部分が観察され、発光異常が確認された。
(比較例5)
前述のように、比較例1では、発光素子をAuSnからなる半田材で放熱部材にフリップチップ接合し、発光素子を発光させたところ、第二導電型側第一電極の位置に対応する部分の一部で極端に発光強度が弱い部分が観察された。
そこで、比較例5では、比較例1で作製した発光素子を、導電性樹脂およびAuバンプをそれぞれ用いて放熱部材と接合した2種類の発光装置を作製し、それぞれについて特性を測定した。導電性樹脂としては、Agを含んだペースト、いわゆるAgペーストを用いた。Agペーストを用いて発光素子を接合したサンプルは、350mAの電流を注入したときに最大の全放射束が測定された。なお、前述したように、この例で得られた全放射束の値が他の実施例等で述べている相対値の基準である。一方、Auバンプを用いて発光素子を接合したサンプルは、600mAの電流を注入したときに最大の相対的な全放射束が測定され、Agペーストで接合したサンプルと比較して1.5倍であった。
(比較例6)
比較例6では、TiとAlの積層膜である第一導電型側第一電極の厚みを20nm(Ti)/400nm(Al)とし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを550nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.1μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約+1.50μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを3.8μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置の、放熱部材と発光素子との接合部に対してシェア強度を測定したところ、接合強度が著しく低く、接合面を観察すると、第一導電型側第二電極面は明らかに不均一な接合状態であった。
(比較例7)
比較例7では、TiとAlの積層膜である第一導電型側第一電極の厚みを20nm(Ti)/400nm(Al)とし、かつ、Auからなる第一導電型側第二電極の厚みを3550nmとしたこと以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。全ての電極構造はリフトオフ法によって作製したが、構造形成は容易で、素子作製歩留まりも高かった。得られた発光素子においては、第二導電型側電極の総厚みは2.1μmであった。また、実施例1と同様にして測定した第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差は約−1.50μmであった。
さらに、上記の発光素子を、放熱部材に接合し、発光装置を完成した。放熱部材は、AuSnからなる半田材の厚みを3.8μmとしたこと以外は、実施例1と同様に作製されたものを用い、発光素子と放熱部材との接合も実施例1と同様に行なった。
完成した発光装置の、放熱部材と発光素子との接合部に対してシェア強度を測定したところ、接合強度が著しく低く、接合面を観察すると、第二導電型側第二電極面は明らかに不均一な接合状態であった。
(比較例8)
前述のように、比較例6では、第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差が約+1.50μmである発光素子を半田材で放熱部材と接合したため、放熱部材と発光素子との接合状態が不均一であり、両者の接合強度が著しく低かった。
そこで、比較例8では、比較例6で作製した発光素子を、導電性樹脂およびAuバンプをそれぞれ用いて放熱部材と接合した2種類の発光装置を作製し、それぞれについて特性を測定した。導電性樹脂としては、Agを含んだペースト、いわゆるAgペーストを用いた。Agペーストを用いて発光素子を接合したサンプルは、350mAの電流を注入したときに最大の放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで接合したサンプルと比較して約1.1倍であった。一方、Auバンプを用いて発光素子を接合したサンプルは、600mAの電流を注入したときに最大の放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで接合したサンプルと比較して約1.53倍であった。
(比較例9)
前述のように、比較例7では、第一導電型側電極と第二導電型側電極との高低差が約−1.50μmである発光素子を半田材で放熱部材と接合したため、放熱部材と発光素子との接合状態が不均一であり、両者の接合強度が著しく低かった。
そこで、比較例9では、比較例7で作製した発光素子を、導電性樹脂およびAuバンプをそれぞれ用いて放熱部材と接合した2種類の発光装置を作製し、それぞれについて特性を測定した。導電性樹脂としては、Agを含んだペースト、いわゆるAgペーストを用いた。Agペーストを用いて発光素子を接合したサンプルは、350mAの電流を注入したときに最大の放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで接合したサンプルと比較して約1.2倍であった。一方、Auバンプを用いて発光素子を接合したサンプルは、600mAの電流を注入したときに最大の放射束が測定され、その値は、比較例5のAgペーストで接合したサンプルと比較して約1.55倍であった。
図11に、上述した実施例1〜11および比較例1〜9の、第一導電型側電極および第二導電型側電極の主要な構成、接合部材の種類、発光状態の確認結果、および相対最大放射束をまとめた。
図11中、発光状態の欄の印は以下のことを意味する。
◎:発光異常が確認されない。
○:ほぼ均一に発光し、極端な発光異常は確認されない。
△:発光強度の極度に弱い部分が確認される。
×:広い面積で発光強度の極度に弱い部分が確認される。
また、図11中に示す相対最大放射束は、前述したように、比較例5においてAgペーストを用いて発光素子を放熱部材に接合したサンプルでの最大放射束を基準にした相対値で示している。
図11から明らかなように、実施例1〜11はいずれも、極端な発光異常は認められなかった。また、相対最大放射束を比較すると、実施例1〜10は、比較例5においてAgペーストを用いて接合したサンプルと比較して3.8倍以上の最大放射束が得られた。なお、実施例11は、他の実施例と比較して最大放射束が小さいが、それでもなお、比較例5、8、9において、同じ接合材料で接合したサンプル同士で比較すると、比較例5、8、9よりも高い最大放射束が得られた。参考までに、実施例1および実施例11における、注入電流に対する相対放射束の変化のグラフを図12に示す。図12より、半田材を用いて発光素子を接合することにより、AgペーストやAuバンプを用いて接合した場合と比較して最大放射束が格段に向上することが分る。
本発明の一実施形態による半導体発光素子の模式的断面図である。 図1に示す半導体発光素子を放熱部材に搭載した半導体発光装置の一例の模式的断面図である。 第一導電型側電極および第二導電型側電極が複数の層構成を有する半導体発光素子を備えた半導体発光装置の一例の模式的断面図である。 第二導電型側電極の層構成の一例を示す模式的縦断面図である。 第二導電型側電極の層構成の他の例を示す模式的縦断面図である。 第二導電型側電極のバリア層が誘電体を含む層を有する場合の、コンタクトホールのパターンの一例を示す横断面図である。 第二導電型側電極のバリア層が誘電体を含む層を有する場合の、コンタクトホールのパターンの他の例を示す横断面図である。 第二導電型側電極のバリア層が誘電体を含む層を有する場合の、コンタクトホールのパターンの他の例を示す横断面図である。 第二導電型側電極のバリア層が誘電体を含む層を有する場合の、コンタクトホールのパターンの他の例を示す横断面図である。 第二導電型側電極のバリア層が誘電体を含む層を有する場合の、コンタクトホールのパターンの他の例を示す横断面図である。 本発明の他の形態による半導体発光装置の模式的断面図である。 図6に示す半導体発光素子の製造方法の一例を説明する断面図である。 図6に示す半導体発光素子の製造方法の一例を説明する断面図である。 図6に示す半導体発光素子の製造方法の一例を説明する断面図である。 図6に示す半導体発光素子の製造方法の一例を説明する断面図である。 図6に示す半導体発光素子の製造方法の一例を説明する断面図である。 図6に示す半導体発光素子の製造方法の一例を説明する断面図である。 本発明のさらに他の形態による半導体発光装置の模式的断面図である。 図7に示す半導体発光装置の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7に示す半導体発光装置の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7に示す半導体発光装置の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7に示す半導体発光装置の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7に示す半導体発光装置の製造方法の一例を説明する断面図である。 半導体発光素子と放熱部材との接合構造の他の例を示す、半導体発光装置の模式的断面図である。 半導体発光素子と放熱部材との接合構造のさらに他の例を示す、半導体発光装置の模式的断面図である。 半田材を用いて半導体発光素子を接合する場合に用いられる放熱部材の一例の、半導体発光素子との接合前の断面図である。 実施例1〜11および比較例1〜9の、第一導電型側電極および第二導電型側電極の主要な構成、接合部材の種類、発光状態の確認結果、および相対最大放射束をまとめた表である。 実施例1および実施例11における、注入電流に対する相対放射束の変化を示すグラフである。
符号の説明
10 発光素子
21 基板
22 バッファ層
24 第一導電型クラッド層
25 活性層構造
26 第二導電型クラッド層
27 第一導電型半導体層
28 第二導電型半導体層
31 誘電体膜
40 放熱基板
41 配線
42 放熱部材
43 半田材
51 第二導電型側電極
52 第二導電型側第一電極
53 第二導電型側バリア層
54 第二導電型側第二電極
55 コンタクトホール
56 第一導電型側電極
57 第一導電型側第一電極
58 第一導電型側バリア層
59 第一導電型側第二電極
60 金属
61 誘電体

Claims (23)

  1. 第一導電型クラッド層を含む第一導電型半導体層、前記第一導電型半導体層上の活性層構造、および第二導電型クラッド層を含む前記活性層構造上の第二導電型半導体層を有する薄膜結晶層と、前記第一導電型半導体層にキャリアを注入する第一導電型側電極と、前記第二導電型半導体層にキャリアを注入する第二導電型側電極とを有する半導体発光素子であって、
    前記薄膜結晶層の前記第一導電型半導体層側から前記第二導電型半導体層側へ向かう方向を正方向としたとき、前記第一導電型側電極の正方向側端を基準とした前記第二導電型側電極の正方向側端との高低差HDが−1.0μm以上+1.0μm以下であり、かつ、前記第二導電型側電極の厚みT2tが1.4μm以上5.0μm以下であることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第一導電型側電極の厚みT1tが1.4μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第一導電型側電極の厚みT1tが5.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記第二導電型側電極が、第二導電型側第一電極、第二導電型側バリア層および第二導電型側第二電極に分けられ、かつ/または前記第一導電型側電極が、第一導電型側第一電極、第一導電型側バリア層および第一導電型側第二電極に分けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  5. 前記第二導電型側バリア層が、金属からなる層と誘電体を含む層の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
  6. 前記第二導電型側バリア層は誘電体を含む層を有し、該誘電体には前記第二導電型側第一電極と第二導電型側第二電極とを電気的に接続するためのコンタクトホールが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子。
  7. 前記第一導電型側バリア層が、金属からなる層と誘電体を含む層の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 前記第一導電型側バリア層は誘電体を含む層を有し、該誘電体には前記第一導電型側第一電極と第一導電型側第二電極とを電気的に接続するためのコンタクトホールが形成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体発光素子。
  9. 前記第二導電型側バリア層と前記第一導電型側バリア層とが実効的に同一の構成であり、かつ/または前記第二導電型側第二電極と前記第一導電型側第二電極とが実効的に同一の構成であることを特徴とする請求項4から8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  10. 前記第二導電型側第一電極が、Ni、Co、Pt、Rh、Ti、Ru、Ir、Au、Al、In、SnおよびZnの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項4から9のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  11. 前記第二導電型側バリア層が、Mo、Ti、Pt、W、Ta、Re、Ir、RuおよびSiの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  12. 前記第二導電型側第二電極が、Au、Pt、AlおよびCuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項4から11のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  13. 前記第一導電型側第一電極が、Ti、Al、In、SnおよびZnの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項4から12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  14. 前記第一導電型側バリア層が、Mo、Ti、Pt、W、Ta、Re、Ir、RuおよびSiの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項4から13のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  15. 前記第一導電型側第二電極が、Au、Pt、AlおよびCuの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項4から14のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  16. 前記誘電体がSiO、AlO、TiO、TaO、HfO、ZrO、SiN、AlN、AlF、BaF、CaF、SrFまたはMgFの単層膜若しくは当該材料の2種類以上の組み合わせからなる多層膜であることを特徴とする請求項5または7に記載の半導体発光素子。
  17. 前記薄膜結晶層は、V族として窒素原子を含むIII―V族化合物半導体からなり、前記薄膜結晶層中に、In、GaおよびAlからなる群より選ばれる元素が含まれることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に半導体発光素子。
  18. 前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に半導体発光素子。
  19. 請求項1から18のいずれか1項に記載の半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子の第一導電型側電極および第二導電型側電極が接合された放熱部材と、
    を有することを特徴とする半導体発光装置。
  20. 前記放熱部材が、略平板な放熱板と、該平板上に設けられた配線とを有し、前記配線に前記第一導電型側電極および第二導電型側電極が電気的に接続されていることを特徴とする請求項19に記載の半導体発光装置。
  21. 前記第一導電型側電極および第二導電型側電極と前記配線との電気的接続が半田材によって行われていることを特徴とする請求項20に記載の半導体発光装置。
  22. 前記半導体発光素子と接合される前の前記半田材の厚みTstが2.0μm以上4.0μm以下であることを特徴とする請求項21に記載の半導体発光装置。
  23. 前記半田材が、Au、In、Sn、PbおよびGeの中から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項21または22に記載の半導体発光装置。
JP2008062951A 2008-03-12 2008-03-12 半導体発光素子および半導体発光装置 Pending JP2009218495A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008062951A JP2009218495A (ja) 2008-03-12 2008-03-12 半導体発光素子および半導体発光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008062951A JP2009218495A (ja) 2008-03-12 2008-03-12 半導体発光素子および半導体発光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009218495A true JP2009218495A (ja) 2009-09-24

Family

ID=41190054

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008062951A Pending JP2009218495A (ja) 2008-03-12 2008-03-12 半導体発光素子および半導体発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009218495A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7655409B2 (en) 2003-12-05 2010-02-02 Life Technologies Corporation Cyanine dye compounds
JP2011233552A (ja) * 2010-04-23 2011-11-17 Citizen Holdings Co Ltd 半導体発光装置及びその製造方法
WO2012014448A1 (ja) * 2010-07-30 2012-02-02 Dowaエレクトロニクス株式会社 半導体素子と半導体素子の製造方法
JP2012142508A (ja) * 2011-01-06 2012-07-26 Hitachi Cable Ltd 半導体素子用ウェハ
WO2014027380A1 (ja) * 2012-08-14 2014-02-20 ウェーブスクエア,インコーポレイテッド Iii族窒化物半導体素子およびその製造方法
JP2014511042A (ja) * 2011-04-14 2014-05-01 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 半導体ボディの製造方法
US8742395B2 (en) 2012-01-13 2014-06-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor light emitting device
JP6375049B1 (ja) * 2017-11-27 2018-08-15 ルーメンス カンパニー リミテッド Ledチップ及びそのledチップが適用されたledモジュール
JP2019047059A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 豊田合成株式会社 発光装置
JPWO2019150825A1 (ja) * 2018-02-01 2020-02-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 半導体装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001168444A (ja) * 1999-12-09 2001-06-22 Sony Corp 半導体発光素子、その製造方法および配設基板
JP2002151739A (ja) * 2000-11-09 2002-05-24 Showa Denko Kk フリップチップ型半導体発光素子とその製造方法及び発光ダイオードランプ並びに表示装置、フリップチップ型半導体発光素子用電極
JP2003017757A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Sanken Electric Co Ltd フリップチップ形半導体発光素子
JP2005051233A (ja) * 2003-07-15 2005-02-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光装置およびその製造方法
JP2006128161A (ja) * 2004-10-26 2006-05-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd 発光素子実装構造体および発光素子実装構造体の製造方法
JP2007049045A (ja) * 2005-08-11 2007-02-22 Rohm Co Ltd 半導体発光素子およびこれを備えた半導体装置
JP2007300063A (ja) * 2006-04-03 2007-11-15 Toyoda Gosei Co Ltd 半導体発光素子

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001168444A (ja) * 1999-12-09 2001-06-22 Sony Corp 半導体発光素子、その製造方法および配設基板
JP2002151739A (ja) * 2000-11-09 2002-05-24 Showa Denko Kk フリップチップ型半導体発光素子とその製造方法及び発光ダイオードランプ並びに表示装置、フリップチップ型半導体発光素子用電極
JP2003017757A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Sanken Electric Co Ltd フリップチップ形半導体発光素子
JP2005051233A (ja) * 2003-07-15 2005-02-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体発光装置およびその製造方法
JP2006128161A (ja) * 2004-10-26 2006-05-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd 発光素子実装構造体および発光素子実装構造体の製造方法
JP2007049045A (ja) * 2005-08-11 2007-02-22 Rohm Co Ltd 半導体発光素子およびこれを備えた半導体装置
JP2007300063A (ja) * 2006-04-03 2007-11-15 Toyoda Gosei Co Ltd 半導体発光素子

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7655409B2 (en) 2003-12-05 2010-02-02 Life Technologies Corporation Cyanine dye compounds
JP2011233552A (ja) * 2010-04-23 2011-11-17 Citizen Holdings Co Ltd 半導体発光装置及びその製造方法
TWI506816B (zh) * 2010-07-30 2015-11-01 Dowa Electronics Materials Co Semiconductor device and method for manufacturing semiconductor element
WO2012014448A1 (ja) * 2010-07-30 2012-02-02 Dowaエレクトロニクス株式会社 半導体素子と半導体素子の製造方法
JP2012049520A (ja) * 2010-07-30 2012-03-08 Dowa Electronics Materials Co Ltd 半導体素子と半導体素子の製造方法
CN103038902A (zh) * 2010-07-30 2013-04-10 同和电子科技有限公司 半导体元件及其制造方法
KR101255489B1 (ko) 2010-07-30 2013-04-16 도와 일렉트로닉스 가부시키가이샤 반도체 소자와 반도체 소자의 제조 방법
CN103038902B (zh) * 2010-07-30 2015-08-19 同和电子科技有限公司 半导体元件及其制造方法
US8765584B2 (en) 2010-07-30 2014-07-01 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Semiconductor device and manufacturing method therefor
JP2012142508A (ja) * 2011-01-06 2012-07-26 Hitachi Cable Ltd 半導体素子用ウェハ
JP2014511042A (ja) * 2011-04-14 2014-05-01 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 半導体ボディの製造方法
US9324615B2 (en) 2011-04-14 2016-04-26 Osram Opto Semiconductors Gmbh Method for producing a semiconductor body
US9768344B2 (en) 2011-04-14 2017-09-19 Osram Opto Semiconductors Gmbh Method of producing a semiconductor body
US8742395B2 (en) 2012-01-13 2014-06-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor light emitting device
WO2014027380A1 (ja) * 2012-08-14 2014-02-20 ウェーブスクエア,インコーポレイテッド Iii族窒化物半導体素子およびその製造方法
JPWO2014027380A1 (ja) * 2012-08-14 2016-07-25 ビービーエスエイ リミテッドBBSA Limited Iii族窒化物半導体素子およびその製造方法
JP5936696B2 (ja) * 2012-08-14 2016-06-22 ビービーエスエイ リミテッドBBSA Limited Iii族窒化物半導体素子およびその製造方法
JP2019047059A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 豊田合成株式会社 発光装置
JP6375049B1 (ja) * 2017-11-27 2018-08-15 ルーメンス カンパニー リミテッド Ledチップ及びそのledチップが適用されたledモジュール
JP2019096859A (ja) * 2017-11-27 2019-06-20 ルーメンス カンパニー リミテッド Ledチップ及びそのledチップが適用されたledモジュール
JP2019096853A (ja) * 2017-11-27 2019-06-20 ルーメンス カンパニー リミテッド Ledチップ及びそのledチップが適用されたledモジュール
US10644212B2 (en) 2017-11-27 2020-05-05 Lumens Co., Ltd. LED chip with improved bonding strength and LED module using the LED chip
JPWO2019150825A1 (ja) * 2018-02-01 2020-02-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 半導体装置
US11183615B2 (en) 2018-02-01 2021-11-23 Nuvoton Technology Corporation Japan Semiconductor device
US11417805B2 (en) 2018-02-01 2022-08-16 Nuvoton Technology Corporation Japan Semiconductor device
US11742461B2 (en) 2018-02-01 2023-08-29 Nuvoton Technology Corporation Japan Semiconductor device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8581274B2 (en) Integrated semiconductor light-emitting device and its manufacturing method
JP5016808B2 (ja) 窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子製造方法
US20090315045A1 (en) Integrated semiconductor light emitting device and method for manufacturing same
JP2009218495A (ja) 半導体発光素子および半導体発光装置
US7977682B2 (en) Light emitting device
JP4994758B2 (ja) 窒化ガリウム系半導体発光素子及びその製造方法
TWI303909B (en) Ridge waveguide semiconductor laser diode
JP5189734B2 (ja) 窒化物半導体発光素子
EP2023412A1 (en) Semiconductor light-emitting device
JP5776535B2 (ja) Iii族窒化物半導体発光素子
JP2007287757A (ja) 窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法
JP2008282930A (ja) 発光装置
JP2009135466A (ja) 半導体発光素子およびその製造方法
JP2007324585A (ja) 半導体発光素子
JP2007329465A (ja) 半導体発光素子の製造方法
JP2007173534A (ja) 発光ダイオード
JP2007324581A (ja) 集積型半導体発光装置およびその製造方法
JP2006253670A (ja) 窒化物半導体発光素子及びその製造方法
JP2011165799A (ja) フリップチップ型発光ダイオード及びその製造方法、並びに発光ダイオードランプ
JP2013239471A (ja) 発光ダイオード素子の製造方法
US20050079642A1 (en) Manufacturing method of nitride semiconductor device
JP2007324586A (ja) 半導体発光素子の製造方法
JP2007324582A (ja) 集積型半導体発光装置およびその製造方法
JP2007329464A (ja) 半導体発光素子
JP2007324579A (ja) 集積型半導体発光装置およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120717

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121113