JP2009217114A - 光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属酸化物微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性及び高屈折率を有する有機無機複合材成形体と、光遮断薄層体を用い、光による黄変等の経時劣化の無いレンズ基材等の光学部品の提供。
【解決手段】金属酸化物粒子からなるコアと、該コア表面を被覆する金属酸化物からなるシェルとからなるコア−シェル構造の金属酸化物微粒子、及び熱可塑性樹脂を含む有機無機複合材成形体と、前記有機無機複合材成形体の光が当たる側の面に、前記金属酸化物微粒子の吸収端における透過率が10%以下である光遮断薄層体と、を有する光学部品である。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性及び軽量性に優れ、レンズ基材等として好適な光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズの分野においては高屈折性、耐熱性、耐光性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性、及び耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴って、レンズの薄肉化、撮像素子の小型化を目的として素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(特許文献1及び2参照)、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、十分に屈折率が大きくて良好な透明性、耐光性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。また、光ファイバーや光導波路では、異なる屈折率を有する材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料を使用したりする。これらの材料のように屈折率が部位によって異なるものに対応するために、屈折率を任意に調節できる技術の開発も望まれている。
有機物のみで屈折率を高めることは難しいことから、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって樹脂を高屈折率化する手法が報告されている(特許文献4参照)。また、レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子サイズが15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリックス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子サイズが15nm以下の1次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリックス中に均一に分散させることは極めて難しい。また、レンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散することはこれまでできなかった。
また、数平均粒子サイズ0.5nm〜50nmの超微粒子が分散した熱可塑性樹脂を主体とする成形体であって、光波長1mm当たりの複屈折率の平均が10nm以下である樹脂組成物成形体(特許文献5参照)、特定の数式で示される屈折率及びアッベ数を有する熱可塑性樹脂と、特定の平均粒子径と屈折率とを有する無機微粒子とからなる有機無機複合材組成物及びこれを用いた光学部品が報告されている(特許文献6及び7参照)。これらも樹脂中に無機微粒子を分散させたものであるが、いずれも樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散するといった観点からは十分な性能を発揮するものではなかった。
更に、高屈折率を要求される樹脂組成物と無機微粒子からなる有機無機複合材組成物には屈折率の高い無機材料が必要とされる。屈折率が高い無機材料としては金属酸化物や金属硫化物等が知られているが、安定性や分散性に優れることから金属酸化物が用いられる場合が多い。しかし、屈折率の高い金属酸化物にはそれを構成する金属種、結晶構造及び粒子サイズにより決定される光を吸収する限界の波長、いわゆる固有吸収端が太陽光のスペクトルと重なるものが多く、その結果、光触媒活性による樹脂組成物の変性が生じ着色、ヘイズ等の問題を引き起こす場合がある。
この解決策として、屈折率の高い無機微粒子の表面を光触媒活性の低い他の無機材料で被覆することが報告されている。例えば特許文献8では光触媒活性を抑制するために屈折率の高い酸化チタン微粒子の表面をアモルファス構造の酸化ジルコニウムで被覆している。光触媒活性を実用上問題ない程度に十分に抑制するためには表面を完全に被覆する必要がある。粒径の小さなナノ粒子になると粒子を構成する全原子数に対する表面を構成する原子数の割合が高く、従って被覆するための光触媒活性の低い無機材料の占める割合が高くなる。屈折率が高い無機材料の光触媒活性を抑制するために屈折率の低い無機材料で被覆するため複合粒子としての屈折率は低下してしまい十分な効果は得られていない。逆に高屈折率を維持するために光触媒活性の制御を十分に行わないと着色及びヘイズ等の問題が生じ実用に耐えうる寿命を低下させてしまう。このように無機材料と樹脂組成物を混合してなる有機無機複合材成形体として高屈折率と高耐光性を兼ね備えたものは未だ実在しない。
ここで、物質の屈折率は、下記数式1で記述することができる(非特許文献1参照)。
<数式1>
n=fe(ω )/2mε{(ω )ω}+1
ただし、fは振動子強度(振動に関与する電荷が実効的にf1/2倍)、Nは振動子密度、ωは固有振動数、mは電子質量、εは真空誘電率、γは減衰定数、eは電荷である。
前記数式1において屈折率を測定する光の周波数ωが物質固有の周波数ω(物質の固有吸収端に相当)に近いほど屈折率が高くなることが分かる。可視光領域で使用する光学材料の屈折率は当然可視領域で意味を持つため、固有吸収端が可視光領域に近い材料ほど屈折率は高くなる。しかし、このような材料は太陽光を吸収するために程度に差こそあれ光触媒活性を示すことが多い。上述したように光触媒活性の低い固有吸収端が短波長側にある材料で表面修飾すると複合粒子としての屈折率は低下し、所望の高屈折率有機無機複合材成形体は得られない。
したがってTiO等のように屈折率が高い金属酸化物微粒子が合成できるようになったにも関わらず、金属酸化物微粒子単独では高屈折率を維持したまま光触媒活性を十分に抑制することができないため、十分満足できるレベルの屈折率の高い有機無機複合材成形体は未だ得られていないのが現状である。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2003−73559号公報 特開2003−147090号公報 特開2003−73563号公報 特開2003−73564号公報 特開2004−18311号公報 「光物性ハンドブック」 朝倉書店発行
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、金属酸化物微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性及び高屈折率を有する有機無機複合材成形体と、光遮断薄層体を用い、光による黄変等の経時劣化の無いレンズ基材等の光学部品を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、高屈折率を維持したまま金属酸化物微粒子の光触媒活性を微粒子単独で実用上問題がない程度に抑制することは困難であると考え、金属酸化物微粒子の固有吸収端よりも短波長側の光をカットする光遮断薄層体と組み合わせることにより、前記課題を効果的に解決できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 金属酸化物粒子からなるコアと、該コア表面を被覆する金属酸化物からなるシェルとからなるコア−シェル構造の金属酸化物微粒子、及び熱可塑性樹脂を含む有機無機複合材成形体と、
前記有機無機複合材成形体の光が当たる側の面に、前記金属酸化物微粒子の吸収端における透過率が10%以下である光遮断薄層体と、を有することを特徴とする光学部品である。
<2> 有機無機複合材成形体の波長589nmにおける屈折率が1.60以上であり、かつ厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上である前記<1>に記載の光学部品である。
<3> コアにおける金属酸化物微粒子が、ZnO、GeO、TiO、ZrO、HfO、SiO、Al、SnO、Mn、Ga、Mo、In、Sb、Ta、V、Y、Nb、及びこれらの複合金属酸化物から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学部品である。
<4> コアにおける金属酸化物微粒子が、TiO及びSnOの少なくともいずれかを含む前記<3>に記載の光学部品である。
<5> シェルにおける金属酸化物が、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、スズ、シリコン、ゲルマニウム、アンチモン、タンタル、及びニオブから選択される少なくとも1種を含む金属酸化物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学部品である。
<6> 熱可塑性樹脂が、末端及び側鎖の少なくともいずれかに金属酸化物微粒子と化学結合し得る官能基を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の光学部品である。
<7> 有機無機複合材成形体がレンズ基材であり、該レンズ基材を複数個組み合わせて構成されるレンズ群である前記<1>から<6>のいずれかに記載の光学部品である。
<8> 光遮断薄層体が、有機無機複合材成形体の光が当たる側の面に真空成膜装置により形成される前記<1>から<7>のいずれかに記載の光学部品である。
<9> 光遮断薄層体が、レンズ群の最前面のレンズ表面に形成される前記<7>から<8>のいずれかに記載の光学部品である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、金属酸化物微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性及び高屈折率を有する有機無機複合材成形体と、光遮断薄層体を用い、光による黄変等の経時劣化の無いレンズ基材等の光学部品を提供することができる。
以下、本発明の光学部品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光学部品は、有機無機複合材成形体と、光遮断薄層体とを有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
<光遮断薄層体>
前記光遮断構造体は、有機無機複合材成形体に光が当たる側の面に設置される。そして前記光遮断構造体は、前記有機無機複合材成形体を構成する金属酸化物微粒子の吸収端における透過率が10%以下であることにより、金属酸化物微粒子の光触媒活性を抑制することができ、有機無機複合材成形体の光による経時劣化を実用上問題ない程度に軽減することができる。
前記光遮断構造体の金属酸化物微粒子の吸収端における透過率は10%以下であり、5%以下であることが好ましい。前記透過率が10%を超えると、金属酸化物微粒子が光を吸収して材料によっては光触媒活性が発現してしまうことがある。
このことは、別の観点では、有機無機複合材成形体の透過率が800nmを基準としたときの90%に低下するときの波長における光遮断薄層体の透過率が10%以下であり、5%以下であることが好ましい。
前記金属酸化物微粒子の吸収端とは、X線又は光の連続スペクトルにおいて、波長がこれ以上長くなると吸収率が急激に減少するようになる部分又はその端を意味する(理化学辞典、第4版(1987年)、岩波書店)。
前記光遮断薄層体の金属酸化物微粒子の吸収端における透過率は、光遮断薄層体を、紫外可視吸収スペクトル測定装置(UV−3100、株式会社島津製作所製)の光線に対して垂直になるように設置して測定することができる。
ここで、一般の金属酸化物の吸収係数αと吸収端Egとは以下の式(1)で関係付けられている。
(αhω/π)1/2=B(hω/2π−Eg) ・・・(1)
ただし、ωは光の各周波数、hはプランク定数、Bは物質固有の定数である。金属酸化物微粒子が分散しているゾルの吸収係数αと吸光度Aとは下記(2)式で関係付けられている。
α=2.303ρ10A/lcM ・・・(2)
ただし、ρは粒子の密度、Mは分子量、cは濃度(mol/L)、lは光路長である。
従って、ゾルの吸光度を紫外可視吸収スペクトル測定装置を用いて通常の吸光度測定を行い得られた吸光度を前記式(2)を用いて吸収係数αに変換し、波長に対してプロットすることにより、前記式(1)の関係式より吸収係数がゼロになる波長(エネルギー)より、吸収端Egを求めることができる。
前記光遮断薄層体としては、金属酸化物微粒子の吸収端における透過率が10%以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシャープカットフィルターのようにある特定の波長以下の光を吸収して光を遮断するものであってもよいし、反射により特定の波長以下の光を遮断するものであってもよい。
前記シャープカットフィルターとしては、例えばSC−37〜42フィルター(富士フイルム株式会社製)、L−38、L−37(いずれも、HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製)、などが挙げられる。
前記光遮断薄層体が遮断する光の波長は、有機無機複合材成形体を形成する金属酸化物微粒子の種類により決定されるが、可視光を利用する光学デバイス用透明形成体である場合にはカラーバランスの点からあまり長波長でない方が好ましい。
前記光遮断薄層体は、有機無機複合材成形体とは空間的に離れて設置されることが好ましい。これは、光遮断薄層体を形成する材料によっては、有機無機複合材形成体に密着しているとそれ自体の光触媒活性で有機無機複合材成形体を劣化させてしまう場合があるからである。
また、前記光遮断薄層体は所望の光吸収をもつ塗布物を面上に湿式塗布した後に乾燥、熱処理して形成してもよいし、蒸着、スパッタ等の気相法により形成してもよい。この場合には、光遮断薄層体の光触媒活性のために有機無機複合材成形体が劣化してしまう可能性があるために、有機無機複合材成形体と光遮断薄層体との間に保護層を形成することが好ましい。
前記有機無機複合材成形体がレンズとともにレンズ群の一部の構成要素である場合、光遮断薄層体は最前面のレンズ上に形成されることが好ましい。通常レンズ群の最前面には反射防止膜が形成されているが、この反射防止膜が光遮断薄層体を兼ねることが最も好ましい。レンズ群の前に例えばフィルターのような光遮断薄層体を設置することは可能であるが、コスト的にも高くなるため反射防止膜と兼用することにより大きなコストダウンに結び付けることができる。
前記光遮断薄層体は、スパッタ装置以外の蒸着装置、CVD装置等の真空成膜装置でも形成することができる。また、所望の波長領域をカットする材料を湿式塗布により塗布した後に乾燥させて形成することもできる。また、例えば光学レンズとして本発明の光学部品を応用する場合は成形機でレンズ状の成形物を成形した後、光が当たる面に上記方法で光遮断薄層体を形成することができる。
<有機無機複合材成形体>
前記有機無機複合材成形体は、コア−シェル構造の金属酸化物微粒子と、熱可塑性樹脂とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる有機無機複合材を成形して得られる。
前記有機無機複合材成形体の波長589nmにおける屈折率は1.60以上であり、1.65以上が好ましく、1.67以上がより好ましい。レンズの薄肉化や撮影ユニットの小型化を図るにはレンズ材料の高屈折率化が求められるが、市販されている熱可塑性樹脂では屈折率は1.6程度である。前記屈折率が、1.60未満であると、樹脂単体でも実現可能であり、コストの面から有機無機複合材料成形体のメリットは少なくなる。
前記屈折率は、例えばアッベ屈折計(アタゴ株式会社製、「DR−M4」)にて、波長589nmの光について求めることができる。
前記有機無機複合材成形体の光線透過率は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算で70%以上であり、75%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。また、波長405nmにおける光線透過率は60%以上であることが好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。前記波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であればより好ましい性質を有するレンズ基材を得やすい。
ここで、前記厚さ1mm換算の光線透過率は、厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、株式会社島津製作所製)で測定した値である。
−金属酸化物微粒子−
前記金属酸化物微粒子は、金属酸化物粒子からなるコアと、該コア表面を被覆する金属酸化物からなるシェルとからなるコア−シェル構造である。
前記コアを構成する金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ZnO、GeO、TiO、ZrO、HfO、SiO、Al、SnO、Mn、Ga、Mo、In、Sb、Ta、V、Y、Nb、又はこれらの複合酸化物、などが挙げられる。
前記複合酸化物としては、例えばチタンとジルコニウムの複合酸化物、チタンとジルコニアとハフニウムの複合酸化物、チタンとバリウムの複合酸化物、チタンとアルミニウムの複合酸化物、チタンとケイ素の複合酸化物、チタンとケイ素とアルミニウムの複合酸化物、チタンとジルコニウムとアルミニウムの複合酸化物、チタンとジルコニウムとケイ素の複合酸化物、チタンとジルコニウムとアルミニウムとケイ素の複合金属酸化物、チタンと錫の複合酸化物、チタンとジルコニアと錫の複合酸化物などが挙げられる。
前記コアの構成する金属酸化物の中でも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタンと錫の複合酸化物、チタンとジルコニウムの複合酸化物、チタンとジルコニアとハフニウムの複合酸化物が特に好ましい。
なお、前記金属酸化物は、ドーパントとして他の金属元素を含有することができる。添加される金属元素の種類、添加量は目的により適宜選択することができる。例えば前記酸化チタン微粒子としては、例えばFe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Y、Rh、Pb、Ag、Ta、Pt、及びAuから選択される少なくとも1種の金属元素を0.1原子%〜20原子%ドープすることができる。
前記シェルを構成する金属酸化物としては、例えばジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、スズ、シリコン、ゲルマニウム、アンチモン、タンタル、及びニオブから選択される少なくとも1種を含む金属酸化物、などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高く、屈折率が高い点から酸化ジルコニウムが特に好ましい。
前記シェルを構成する金属酸化物は、コアを構成する金属酸化物と同種及び異種のいずれであってもよく、異種金属酸化物の組み合わせとしては、例えばコアが酸化チタンでシェルが酸化ジルコニウム、コアが酸化チタンでシェルが酸化スズ、コアが酸化チタンでシェルが酸化ハフニウム、などが挙げられる。
また、複合金属酸化物がコアを形成し、更に複合的に組成の異なるシェルが形成した多層構造であってもよい。更に、シェルによる被覆効果は粒子表面のゼータ電位の制御だけではなく、光照射で生じる電荷を遮蔽する効果が期待できる。特に酸化チタン微粒子は、光触媒性(耐光性)の観点から、例えば、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、スズ、及びジルコニアから選択される少なくとも1種の酸化物で被覆することで高機能化できる。
本発明においては、光触媒活性を有する金属酸化物であっても、光遮断構造体と組み合わせることにより紫外光を照射しても耐光性に優れた有機無機複合材成形体を作製することは可能であるが、微粒子の光触媒活性を低くすることは光遮断薄層体に対する負荷を軽減できるという点で好ましい。このために金属酸化物微粒子中に光照射により発生した電子と正孔を再結合させるような金属をドープしたり特異な構造を持たせることもできる。
また、金属酸化物微粒子表面を光触媒活性の低い材料で被覆したり前記電子と正孔を再結合させる金属をドープすることと組み合わせてもよい。
このような金属酸化物としてはTiO、ZrO、SnOが好ましく、屈折率が高いという点においてTiOがより好ましい。更にスズとの複合酸化物にすることでルチル構造にすることにより更に屈折率を向上させることができる。この様なスズとチタンのルチル型複合酸化物をコアとしてその表面をZrOやAl及びSiO等で被覆することが最も好ましい。またこれらの微粒子は光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的からシランカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面修飾した微粒子であってもよい。
前記複合金属酸化物粒子の製造方法は、特に制限はなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、金属塩や金属アルコキシドを原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の金属酸化物微粒子を得ることができる。
前記金属塩としては、例えば、所望の金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
前記有機酸塩としては、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、などが挙げられる。
前記金属アルコキシドとしては所望の金属のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド、などが挙げられる。
このような無機微粒子の合成方法としては、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)に記載の公知の方法を用いることができる。
具体的には、ゾル生成法により金属酸化物ナノ粒子を合成する場合においては、例えば四塩化チタンを原料として用いる酸化チタンナノ粒子の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し次いで酸やアルカリによりこれを脱水縮合又は解膠してヒドロゾルを生成させる手順も可能である。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、濾過や遠心分離等の任意の方法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適である。
また、水中で加水分解させる方法以外には有機溶媒中や熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製してもよい。これらの方法に用いられる溶媒としては、例えばアセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール、などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
前記金属酸化物微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、材料組成物の透明性が極端に低下する場合がある。従って、前記金属酸化物微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、更に好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは7nm以下である。即ち、前記金属酸化物微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜20nmが好ましく、2nm〜10nmがより好ましく、3nm〜7nmが更に好ましい。
ここで、前記数平均粒子サイズは、例えば、X線回折(XRD)装置、又は透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
前記金属酸化物微粒子の屈折率は、22℃で589nmの波長において1.9〜3.0が好ましく、2.0〜2.7がより好ましく、2.1〜2.5が更に好ましい。前記微粒子の屈折率が、3.0より高いと樹脂との屈折率差が大きくなりレイリー散乱を抑制するのが難しくなる一方で、屈折率が上記範囲より低いと本来の目的である高屈折率化の効果が十分得られないため好ましくない。
前記金属酸化物微粒子の屈折率は、例えば熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムとして、アッベ屈折計(アタゴ株式会社製、「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率とから換算する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
−熱可塑性樹脂−
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルカルバゾール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリチオエーテ、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、末端又は側鎖に金属酸化物微粒子と化学結合し得る官能基を有するものが、金属酸化物微粒子の凝集を防止して均一分散を実現できるため、有機無機複合材成形体の透過率が向上するという点から特に好ましい。前記官能基としては、下記式で表されるものが好適に挙げられる。
ただし、前記式中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、−SOH、−OSOH、−COH、又はSi(OR15m116 3−m1(ただし、R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、又は置換又は無置換のアリール基を表し、m1は1〜3の整数を表す)を表す。
ここで、前記「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ金属酸化物微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と金属酸化物微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が金属酸化物微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが金属酸化物微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が金属酸化物微粒子と化学結合を形成していてもよい。
前記熱可塑性樹脂の質量平均分子量は、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、10,000〜100,000が更に好ましい。前記質量平均分子量が、500,000以下であることにより、成形加工性が向上する傾向にあり、1,000以上とすることにより力学強度が向上する傾向にある。
ここで、前記熱可塑性樹脂の質量平均分子量は、例えば「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(いずれも、東ソー株式会社製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
前記熱可塑性樹脂において、金属酸化物微粒子と結合する官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個が好ましく、0.5〜10個がより好ましく、1〜5個が更に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個以下であれば、熱可塑性樹脂が複数の金属酸化物微粒子に配位して溶液状態で高粘度化やゲル化が起こるのを防ぎやすい傾向がある。また、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.1個以上であれば、金属酸化物微粒子を安定に分散させやすい傾向がある。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、80℃〜400℃が好ましく、130℃〜380℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
前記熱可塑性樹脂の屈折率と金属酸化物微粒子の屈折率差が大きい場合には、レイリー散乱が起こりやすくなるため透明性を維持して複合できる微粒子の量が少なくなる。熱可塑性樹脂(1)の屈折率が1.48程度であれば屈折率1.60レベルの透明性成形体を提供することができるが、1.65以上の屈折率を実現するためには本発明に用いられる熱可塑性樹脂(1)の屈折率は1.55以上であることが好ましく、1.58以上であることがより好ましい。なお、これらの屈折率は22℃、波長589nmにおける値である。
前記熱可塑性樹脂は、波長589nmにおける厚み1mm換算の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることが特に好ましい。
前記熱可塑性樹脂は、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.60より大きいことが更に好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。
ここで、前記屈折率は、例えばアッベ屈折計(アタゴ株式会社製、「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が、80℃以上であると、耐熱性が向上する傾向にあり、400℃以下であると、成形加工性が向上する傾向にある。
前記有機無機複合材成形体では、熱可塑性樹脂とコア−シェル構造の金属酸化物微粒子とを必須の構成成分とするが、更に必要に応じて別種の樹脂、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から表面処理剤、可塑剤、劣化防止剤等の各種添加剤を配合してもよい。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加してもよく、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記金属酸化物微粒子及び熱可塑性樹脂の合計量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
前記別種の樹脂としては硬化性樹脂を用いることができる。該硬化性樹脂としては熱又は活性エネルギー線の作用によって硬化する公知の構造を利用できる。具体的には、ラジカル反応性基(例えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基等の不飽和基)、カチオン反応性基(エポキシ基、オキセタニル基、エピスルフィド基、オキサゾリル基等)、反応性シリル基(例えば、アルコキシシリル基など)を有するモノマー、プレポリマー等が挙げられる。
その他、特開平5−148340号公報、特開平5−208950号公報、特開平6−192250号公報、特開平7−252207号公報、特開平9-110979号公報、特開平9−255781号公報、特開平10−298287号公報、特開2001−342252号公報、特開2002−131502号公報などに記載の硫黄を含有する硬化性樹脂も好適に用いることができる。
また、前記熱硬化性樹脂に加えて金属酸化物微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーを含有していることが好ましい。
熱又は光の作用によってラジカル重合を開始する化合物の添加量としては重合を開始できる量であればよいが、一般的には樹脂組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜15質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、2質量%〜5質量%が更に好ましい。
熱又は光の作用によってカチオン重合を開始する化合物の添加量もラジカル開始剤と同様に、一般的には樹脂組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜15質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、2質量%〜5質量%が更に好ましい。
<有機無機複合材の製造方法>
前記コア−シェル構造の金属酸化物微粒子は、側鎖に前記官能基を有する熱可塑性樹脂と結合して熱可塑性樹脂中に分散される。
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、金属酸化物微粒子は溶液中に分散された状態で熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。
前記有機無機複合材の好ましい製造方法としては、(1)金属酸化物微粒子を上記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された金属酸化物微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該金属酸化物微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して金属酸化物微粒子と熱可塑性樹脂の有機無機複合材を製造する方法、(2)金属酸化物微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して金属酸化物微粒子と熱可塑性樹脂の有機無機複合材を製造する方法、などが挙げられる。
前記(1)の手法によって金属酸化物微粒子と熱可塑性樹脂の有機無機複合材を製造する場合には、有機溶媒として、例えばトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。金属酸化物微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などが挙げられる。
なお、有機溶媒中に抽出された金属酸化物微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
前記(2)の場合には、溶剤として、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、t−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独又は混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加してもよい。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際、前記表面処理剤を添加してもよい。
前記(1)、(2)の方法によって得られた材料組成物溶液は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の手法によって成形することが好ましい。
前記有機無機複合材は、ガラス転移温度が100℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が、100℃以上であれば十分な耐熱性が得られやすく、400℃以下であれば成形加工を行いやすくなる傾向がある。
前記有機無機複合材を成形することにより、本発明における前記有機無機複合材成形体を製造することができる。
また、本発明の有機無機複合材成形体は最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品に対して特に有用であり、好ましくは0.1mm〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1mm〜3mmの厚みを有する透明部品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、前記有機無機複合材を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、コア−シェル構造の金属酸化物微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する材料とすることができる。
前記有機無機複合材成形体を用いた本発明の光学部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に使用することも可能である。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学部品としては、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
これらの中でも、レンズ基材が特に好ましい。前記レンズ基材は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、材料組成物を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
前記レンズ基材とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
前記レンズ基材をレンズとして利用するに際しては、レンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例において、各分析方法及び評価方法は、下記の手段により行った。
<X線回折(XRD)スペクトル測定>
リガク株式会社製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
<透過型電子顕微鏡(TEM)観察>
株式会社日立製作所製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度7.6×10―9Pa)にて行った。
<金属酸化物微粒子の吸収端の測定>
一般の金属酸化物の吸収係数αと吸収端Egとは以下の式(1)で関係付けられている。
(αhω/π)1/2=B(hω/2π−Eg) ・・・(1)
ただし、ωは光の各周波数、hはプランク定数、Bは物質固有の定数である。金属酸化物微粒子が分散しているゾルの吸収係数αと吸光度Aとは下記(2)式で関係付けられている。
α=2.303ρ10A/lcM ・・・(2)
ただし、ρは粒子の密度、Mは分子量、cは濃度(mol/L)、lは光路長である。
従って、ゾルの吸光度を紫外可視吸収スペクトル測定装置を用いて通常の吸光度測定を行い得られた吸光度を前記式(2)を用いて吸収係数αに変換し、波長に対してプロットすることにより、前記式(1)の関係式より吸収係数がゼロになる波長(エネルギー)より、吸収端Egを求めた。
<光線透過率の測定>
測定する樹脂組成物を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」(株式会社島津製作所製)で測定した。
<屈折率の測定>
アッベ屈折計(アタゴ株式会社製、「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
<質量平均分子量の測定>
質量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(いずれも、東ソー株式会社製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒としてテトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量を求めた。
(調製例1)
−二酸化チタン微粒子分散物の調製−
チタニウムテトライソプロポキシド0.0473モルをエタノール12mlと攪拌しながら室温で混合し、濃塩酸2mlを滴下することにより透明な溶液を得た。この透明溶液を室温にて87mlの水と混合して数分間攪拌すると透明な溶液が得られた。これを70℃に温度を保ったウォーターバスに入れて30分間攪拌しながら加熱することにより透明感のあるやや泊濁した二酸化チタンゾルを得た。次いで、室温にて数時間攪拌しながら冷却することにより透明な二酸化チタンゾルを得た。
得られた二酸化チタンは、X線回折(XRD)測定の結果、アナターゼ型であった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)観察の結果、粒子サイズは直径4〜5nmであった。該分散物は限外ろ過により15質量%の濃度に調整した。
(調製例2)
−Sn−Ti複合金属酸化物微粒子分散液の調製−
チタニウムテトライソプロポキシド0.0473モルをエタノール12mlと攪拌しながら室温で混合し、濃塩酸2mlを滴下することにより透明な溶液を得た。これとは別に室温にて四塩化スズ5水和物0.00591モルを101.3gの水に溶かした溶液を用意した。両溶液を室温にて攪拌しながらしばらく混合すると透明溶液を得た。これを80℃に温度を保ったウォーターバスに入れて30分間攪拌しながら加熱することにより透明感のあるやや泊濁したゾルを得た。次いで、室温にて数時間攪拌しながら冷却することにより透明なゾルを得た。
得られたゾルは、X線回折(XRD)測定の結果、ルチル型のスズとチタンの複合酸化物であった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)観察の結果、粒子サイズは直径4〜5nmであった。該分散物は限外ろ過により15質量%の濃度に調整した。
(調製例3)
−酸化ジルコニウム被覆Sn−Ti複合金属酸化物微粒子分散液の調製−
チタニウムテトライソプロポキシド0.0473モルをエタノール12mlと攪拌しながら室温で混合し濃塩酸2mlを滴下することにより透明な溶液を得た。これとは別に室温にて四塩化スズ5水和物0.00591モルを101.3gの水に溶かした溶液を用意した。両溶液を室温にて攪拌しながらしばらく混合すると透明溶液が得られた。これを80℃に温度を保ったウォーターバスに入れて30分間攪拌しながら加熱することにより透明感のあるやや泊濁したゾルを得た。これとは別に室温にて塩化酸化ジルコニウム8水和物0.0236モルを50mlの水に溶かした水溶液を40分間かけてウォーターバスで加熱しているゾルに添加した。添加終了後更に80分間80℃に温度を保ったまま熟成を行った。更に室温にて数時間攪拌しながら冷却することにより透明なゾルを得た。
得られたゾルは、X線回折(XRD)解析の結果、ルチル型構造を示す微粒子を得た。透過型電子顕微鏡(TEM)観察の結果、粒子サイズは直径4〜5nmであった。該分散物は限外ろ過により15質量%の濃度に調整した。
(調製例4)
−酸化スズ被覆Sn−Ti複合金属酸化物微粒子分散液の調製−
チタニウムテトライソプロポキシド0.0473モルをエタノール12mlと攪拌しながら室温で混合し濃塩酸2mlを滴下することにより透明な溶液を得た。これとは別に室温にて四塩化スズ5水和物0.00591モルを101.3gの水に溶かした溶液を用意した。両溶液を室温にて攪拌しながらしばらく混合すると透明溶液が得られた。これを80℃に温度を保ったウォーターバスに入れて30分間攪拌しながら加熱することにより透明感のあるやや泊濁したゾルを得た。これとは別に室温にて塩化スズ5水和物0.0236モルを50mlの水に溶かした水溶液を40分間かけてウォーターバスで加熱しているゾルに添加した。添加終了後更に80分間80℃に温度を保ったまま熟成を行った。更に室温にて数時間攪拌しながら冷却することにより透明なゾルを得た。
得られたゾルは、X線回折(XRD)解析の結果、ルチル型構造を示す微粒子を得た。透過型電子顕微鏡(TEM)観察の結果、粒子サイズは直径4〜5nmであった。該分散物は限外ろ過により15質量%の濃度に調整した。
(製造例1)
−金属酸化物微粒子のジメチルアセトアミド分散物(1)の作製−
500gのN,N’−ジメチルアセトアミドに1.2gのp−オクチル安息香酸を加えた溶液に、前記調製例1で調製した金属酸化物微粒子ゾル400gを加え、約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った。その後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることで15質量%の(複合)金属酸化物微粒子N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)を作製した。
(製造例2)
−複合金属酸化物微粒子のジメチルアセトアミド分散物(2)の作製−
500gのN,N’−ジメチルアセトアミドに1.2gのp−オクチル安息香酸を加えた溶液に、前記調製例2で調製した複合金属酸化物微粒子ゾル400gを加え、約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った。その後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることで15質量%の複合金属酸化物微粒子N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(2)を作製した。
(製造例3)
−複合金属酸化物微粒子のジメチルアセトアミド分散物(3)の作製−
500gのN,N’−ジメチルアセトアミドに1.2gのp−オクチル安息香酸を加えた溶液に、前記調製例3で調製した複合金属酸化物微粒子ゾル400gを加え、約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った。その後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることで15質量%の複合金属酸化物微粒子N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(3)を作製した。
(製造例4)
−複合金属酸化物微粒子のジメチルアセトアミド分散物(4)の作製−
500gのN,N’−ジメチルアセトアミドに1.2gのp−オクチル安息香酸を加えた溶液に、前記調製例4で調製した複合金属酸化物微粒子ゾル400gを加え、約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った。その後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることで15質量%の複合金属酸化物微粒子N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(4)を作製した。
(合成例1)
−熱可塑性樹脂の合成−
スチレン247.5g、β−カルボキシエチルアクリレート2.50g、及び重合開始剤(和光純薬株式会社製、V−601(商品名))の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素雰囲気下、80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂を合成した。
(比較例1)
−材料組成物の調製及び光学部品の作製−
N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)に熱可塑性樹脂、n−オクチル安息香酸、及び可塑化剤としてKP−L155(商品名;花王株式会社製)を質量比率が、金属酸化物微粒子固形分/熱可塑性樹脂A/n−オクチル安息香酸/KP−L155=35.7/42.9/7.1/14.3になるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下、ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣を、加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を作製した。
得られた透明成形体を切削し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、金属微粒子が樹脂中に均一に分散していることを確認した。
光遮断薄層体としてSC-39フィルター(富士フイルム株式会社製)を用いて、透明成形体の光が照射する側の面に配置し、光学部品を作製した。SC−39フィルターの光学特性を図1に示す。
得られた光学部品について、以下のようにして耐光性評価を行った。結果を透明成形体のみの屈折率とともに表1に示す。
<耐光性評価>
厚さ1mmの透明成形体を作製し、該透明成形体の光が照射する側の面にSC−39フィルターを配置した光学部品について、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、S300(H))を使用して模擬太陽光を200時間連続照射した。耐光性は着色による透過率の変化として評価した。透過率は、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」(株式会社島津製作所製)で測定した。
(実施例1)
比較例1において、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)を、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(3)に変更して、更に金属酸化物微粒子固形分/熱可塑性樹脂/n−オクチル安息香酸/KP−L155=41.7/36.7/6.1/12.2の質量比率になるように添加して均一に攪拌混合した以外は、比較例1と同様にして、透明成形体(レンズ基材)を作製した。
得られた透明成形体を切削し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。また、光遮断薄層体としてSC−40フィルター(富士フイルム株式会社製)を用いて、透明成形体の光が照射する側の面に配置し、光学部品を作製した。SC−40フィルターの光学特性を図1に示す。
得られた光学部品について、比較例1と同様にして耐光性評価を行った。結果を透明成形体のみの屈折率とともに表1に示す。
(実施例2)
比較例1において、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)を、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(3)に変更して、更に金属酸化物微粒子固形分/熱可塑性樹脂/n−オクチル安息香酸/KP−L155=41.7/36.7/6.1/12.2の質量比率になるように添加して均一に攪拌混合した以外は、比較例1と同様にして、透明成形体(レンズ基材)を作製した。
得られた透明成形体を切削し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
また、光遮断薄層体としてSC−40フィルター(富士フイルム株式会社製)を用いて、透明成形体の光が照射する側の面に配置し、光学部品を作製した。 得られた光学部品について、比較例1と同様にして耐光性評価を行った。結果を透明成形体のみの屈折率とともに表1に示す。
(実施例3)
比較例1において、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)を、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(4)に変更して、更に金属酸化物微粒子固形分/熱可塑性樹脂/n−オクチル安息香酸/KP−L155=41.7/36.7/6.1/12.2の質量比率になるように添加して均一に攪拌混合した以外は、比較例1と同様にして、透明成形体(レンズ基材)を作製した。
得られた透明成形体を切削し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。また、光遮断薄層体としてSC−40フィルター(富士フイルム株式会社製)を用いて、透明成形体の光が照射する側の面に配置し、光学部品を作製した。
得られた光学部品について、比較例1と同様にして耐光性評価を行った。結果を透明成形体のみの屈折率とともに表1に示す。
(実施例4)
比較例1において、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)を、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(4)に変更して、更に金属酸化物微粒子固形分/熱可塑性樹脂/n−オクチル安息香酸/KP−L155=41.7/36.7/6.1/12.2の質量比率になるように添加して均一に攪拌混合した以外は、比較例1と同様にして、透明成形体(レンズ基材)を作製した。
得られた透明成形体を切削し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
また、光遮断薄層体としてSC−42フィルター(富士フイルム株式会社製)を用いて、透明成形体の光が照射する側の面に配置し、光学部品を作製した。SC−42フィルターの光学特性を図1に示す。
得られた光学部品について、比較例1と同様にして耐光性評価を行った。結果を透明成形体のみの屈折率とともに表1に示す。
(比較例2)
比較例1において、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(1)を、N,N’−ジメチルアセトアミド分散物(2)に変更して、更に金属酸化物微粒子固形分/熱可塑性樹脂/n−オクチル安息香酸/KP−L155=40.06/38.235/6.33/12.8の質量比率になるように添加して均一に攪拌混合した以外は、比較例1と同様にして、透明成形体(レンズ基材)を作製した。
得られた透明成形体を切削し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。また、光遮断薄層体としてSC−40フィルター(富士フイルム株式会社製)を用いて、透明成形体の光が照射する側の面に配置し、光学部品を作製した。得られた光学部品について、比較例1と同様にして耐光性評価を行った。結果を透明成形体のみの屈折率とともに表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、光遮断薄層体を形成しない以外は、実施例1と同様にして、透明成形体(レンズ基材)を作製した。得られた透明成形体について、比較例1と同様にして耐光性評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、光遮断薄層体としてSC−40フィルターの代わりにSC−39フィルターを二枚用いた以外は、比較例1と同様にして、耐光性評価を行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜4の光学部品は、高い屈折率と1mmの厚い成形体でも良好な透明性を併せ持ち、光学用途に好適に使用できることが分かった。また、熱可塑性樹脂を主体とした本発明の光学部品は、生産性よくかつ金型の形状に合わせて正確にレンズ形状を形成できることが分かった。
本発明の光学部品は、光線透過性、及び軽量性を併せ持ち、屈折率を任意に調節可能なレンズ等を比較的容易に提供することができる。また、機械的強度や耐熱性及び耐光性が良好なレンズ等を提供することができる。したがって本発明の光学部品は、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、又はマイクロレンズアレイ等を構成するレンズ基材などの広範な光学部品の提供に有用であり、産業上の利用可能性が高い。
図1は、実施例及び比較例で用いた光遮断薄層体(フィルター)の光学特性を示す図である。

Claims (9)

  1. 金属酸化物粒子からなるコアと、該コア表面を被覆する金属酸化物からなるシェルとからなるコア−シェル構造の金属酸化物微粒子、及び熱可塑性樹脂を含む有機無機複合材成形体と、
    前記有機無機複合材成形体の光が当たる側の面に、前記金属酸化物微粒子の吸収端における透過率が10%以下である光遮断薄層体と、を有することを特徴とする光学部品。
  2. 有機無機複合材成形体の波長589nmにおける屈折率が1.60以上であり、かつ厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上である請求項1に記載の光学部品。
  3. コアにおける金属酸化物微粒子が、ZnO、GeO、TiO、ZrO、HfO、SiO、Al、SnO、Mn、Ga、Mo、In、Sb、Ta、V、Y、Nb、及びこれらの複合金属酸化物から選択される少なくとも1種を含有する請求項1から2のいずれかに記載の光学部品。
  4. コアにおける金属酸化物微粒子が、TiO及びSnOの少なくともいずれかを含む請求項3に記載の光学部品。
  5. シェルにおける金属酸化物が、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、スズ、シリコン、ゲルマニウム、アンチモン、タンタル、及びニオブから選択される少なくとも1種を含む金属酸化物である請求項1から4のいずれかに記載の光学部品。
  6. 熱可塑性樹脂が、末端及び側鎖の少なくともいずれかに金属酸化物微粒子と化学結合し得る官能基を有する請求項1から5のいずれかに記載の光学部品。
  7. 有機無機複合材成形体がレンズ基材であり、該レンズ基材を複数個組み合わせて構成されるレンズ群である請求項1から6のいずれかに記載の光学部品。
  8. 光遮断薄層体が、有機無機複合材成形体の光が当たる側の面に真空成膜装置により形成される請求項1から7のいずれかに記載の光学部品。
  9. 光遮断薄層体が、レンズ群の最前面のレンズ表面に形成される請求項7から8のいずれかに記載の光学部品。
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