JP4906361B2 - 無機酸化物超微粒子およびその製造法 - Google Patents

無機酸化物超微粒子およびその製造法 Download PDF

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Description

本発明は光学部材の材料や、反射防止剤等の光学部材、並びに各種用途に有用な無機酸化物超微粒子、ゾル液及びその製造方法に関する。
より詳しくは、光学レンズ(メガネレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体用封止材料等の高屈折光学部材の材料等だけでなくプラスチック劣化防止添加剤、化粧品添加剤、自動車用窓ガラス、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、光学フィルター等における反射防止材、誘電材、拡散板などといった光学部材、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料、コーティング材料などの用途に有用な透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた高屈折率の被覆型無機酸化物超微粒子、ゾル液およびその製造方法に関する。
無機ガラスは、透明性に優れているなどの諸物性に優れており、光学部材として広い分野で用いられている。しかしながら、重くて破損しやすいこと、加工性、生産性が悪い等の短所があり、無機ガラスに代わる素材として透明光学用樹脂の開発が盛んに行われている。アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂に代表される非晶性熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の硬化性樹脂は、可視領域波長における良好な透明性を有し、しかも無機ガラス材料に比べて成形性、量産性、あるいは可撓性、強靱性、耐衝撃性等の優れた特徴を有する汎用透明樹脂材料である。このような透明樹脂材料に高い屈折率を付与することによって、薄肉軽量な光学レンズ(プラスチック製眼鏡レンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体用封止材料等の高屈折光学部材の材料等への展開が期待されている。
例えば、プラスチック製眼鏡レンズ分野においては、ファッション性豊かなニーズに対応するためには、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を下げ、全体的に肉薄であることが必要である。この点から、ますます高い屈折率が求められている。近年、硫黄、ハロゲン元素等の原子番号の大きな元素を含有するモノマーを用いることによる高屈折率化が積極的に研究されている。従来から眼鏡レンズには低屈折率のジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(屈折率1.50)が用いられてきたが、近年、特許文献1に記載されているチオール化合物とイソシアネート化合物を熱重合し、チオウレタン結合を形成して得られる樹脂レンズ(屈折率1.60〜1.70)、さらには特許文献2に記載されているチオエポキシ化合物の開環熱重合により、エピチオスルフィド結合を形成して得られる樹脂樹脂レンズ(屈折率1.70以上)が開発されている。しかしながら非汎用の特殊モノマーを使用する特殊な高屈折率樹脂であるために産業上の利用分野が極度に制限されるという問題があった。このようなハロゲン元素あるいは硫黄元素の導入によっても高くなるが、有機樹脂の屈折率は使用される元素、分子構造により決まるため、通常1.4〜1.7程度の範囲が限度である。そこで、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式アクリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂に代表される非晶性熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂などの汎用透明樹脂を利用しての高屈折率化技術、特に屈折率1.7以上の高屈折率樹脂が強く求められている。
また例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などアクリル系樹脂を利用したポリマー光ファイバーについては、コア部(光ファイバー断面における中心部)はクラッド部(同外周部)よりも高屈折率とすることで、この屈折率差が大きいほど光が伝播可能な最大角度に対応する開口数を大きくすることができる。
また例えば、発光ダイオードでは発光素子部をエポキシ樹脂、シリコン樹脂などで封止している。一般に半導体素子部を構成している半導体の屈折率は非常に高く、接している物質の屈折率が低ければ臨界角も小さく全反射が起こりやすい。そのため、より屈折率の高い物質で発光素子をつつむことで全反射の起こる角度を大きくでき、その分外部での光束取り出し効率が向上する。
さらには、例えば光ファイバーや光導波路、一部のレンズのように、異なる屈折率を有する複数の材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料の開発も望まれている。これらの材料に対応するためには、屈折率を任意に調節できることが不可欠となる。
近年、樹脂の高屈折率化を目的として、Zr、Sn、Sb、Mo、In、Zn、Ti等の結晶構造を有する屈折率の高い透明性無機酸化物微粒子あるいはそれらの複合酸化物を、分散状態を保ったまま樹脂中に導入して、無色透明な高屈折率樹脂を形成する技術が提案されている。このような用途に用いるためには高分散性や透明性が要求されるため、無機酸化物はその粒子径が1−100nmサイズの超微粒子であることが望ましい。
しかしながら、上記の技術では、強度などを保持できるマトリックス量を用いながら高い屈折率の樹脂を設計することは、未だ不十分であった。屈折率を上げようと微粒子の含有量が多すぎると樹脂が脆弱となってしまうからである。また、超微粒子になるほど凝集を生じやすく透明な樹脂を得ることは困難であった。
一方、プラスチック製眼鏡レンズは耐擦傷性が低く傷が付き易いという欠点を持つため、シリカゾルおよび有機ケイ素化合物を用いたコーティング組成物、あるいは光硬化型コーティング組成物を調製し、ハードコーティング膜を表面に設ける方法が行われている。また、プラスチック製眼鏡レンズは耐衝撃性が低いという欠点を持つ。そのため、基材とハードコーティング膜との間にプライマー膜を施し、衝撃を吸収させるといった方法が用いられている。しかしながら、基材が高屈折率であるのに対して低い屈折率であるため、塗膜に基材との屈折率差による干渉縞が見え、外観不良となるという問題が生じている。そのため、ハードコーティング膜、プライマー膜、あるいは光硬化型ハードコーティング膜の屈折率も、基材の屈折率同等レベルにまでに近づける必要がある。
これまでコーティング膜高屈折率化用コーティング組成物に添加する無機酸化物超微粒子、ゾル液として、酸化アンチモンが推奨されてきたが、レンズのプラスチック基材の屈折率が最近のように1.6以上の場合には、もはやこの酸化アンチモンでは対応できない。酸化アンチモン自体は屈折率1.7を有しているが、屈折率の低い有機ケイ素化合物等に充填させて用いるため、コーティング膜としての屈折率が基材よりも低くなるためである。
同様に透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた高屈折率の超微粒子、ゾル液が光学レンズ(メガネレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体用封止材料等の高屈折光学部材の材料等だけでなくプラスチック劣化防止添加剤、化粧品添加剤、自動車用窓ガラス、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、光学フィルター等における反射防止材、誘電材、拡散板などといった光学部材、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料、コーティング材料などといった製品分野でも求められている。
そこで酸化チタン超微粒子を用いる方法が提案されている。酸化チタンは特に屈折率が高く、かつ透明性も高いため、他微粒子に比べて少ない量で樹脂組成物、コーティング膜の高屈折率化が可能である。酸化チタンには代表的な結晶型としてルチル型とアナターゼ型とがある。これまで高屈折率用の無機酸化物超微粒子ゾル液として、屈折率no=2.56、ne=2.49を有するアナターゼ型酸化チタン超微粒子を主成分とした材料が、主に用いられている。これに対し、ルチル型酸化チタンはその屈折率が屈折率no=2.61、ne=2.9(no:常光線に対する屈折率、ne:異常光線に対する屈折率)(実験科学講座 日本化学会編)であり、アナターゼ型に比べて高屈折率、紫外線吸収といった光学特性などに優れていることが知られており、このルチル型酸化チタン超微粒子、及びゾル液を合成する試みが積極的に行われていた。しかしながら、産業的に用い得るルチル型酸化チタン超微粒子、及びゾル液は未だ得られていないのが現状であった。例えばJpn.J.Appl.Phys.,37,4603(1998)に報告されているように長繊維状のルチル型酸化チタンが寄せ集まった凝集粒子径200〜400nmの凝集体が生成するが、このままでは産業的には利用不可能であった。
一方、光学材料、コーティング材料、樹脂組成物等にこれらの酸化チタン超微粒子を用いる場合、特に樹脂などの有機媒体と複合化して用いる場合には、酸化チタンの光触媒作用により、光吸収で発生した電子−ホールによる有機物分解を起こし、耐擦傷性、表面硬度、耐磨耗性、透明性、耐熱性、耐光性、耐候性、紫外線遮蔽性能等が問題となっている。
現在ではこのようなアナターゼ型酸化チタン超微粒子の耐光性を改善させる目的で、例えば特許文献3記載のような、アナターゼ型酸化チタンと無機酸化物を複合した超微粒子、あるいはアナターゼ型酸化チタンを無機酸化物で被覆した超微粒子が適用されている。
これらはいずれも無機酸化物被覆によるアナターゼ型酸化チタン超微粒子の不活性化を目標としたものである。このように酸化チタン超微粒子を無機酸化物で被覆することで耐光性は改善される。しかし、使用されている酸化チタンはアナターゼ型であるために、屈折率が約2.5であり、耐光性向上のために無機酸化物で被覆した場合には大幅に屈折率が低下してしまい、本来のアナターゼ型酸化チタンの屈折率よりは低くなり、屈折率を向上させる効果は低い。被覆する無機酸化物の量を減らし屈折率を上げたとしても耐光性が不十分となり、屈折率と耐光性の両者を満足するようなものは得られていないのが現状である。
さらには酸化チタン超微粒子およびそのゾル液を上記のような有機媒体等に分散させる必要がある。しかしながら酸化チタン超微粒子ゾル液は通常酸性領域で安定であり、中性〜塩基性領域ではゲル化、沈殿を生じるため、使用可能なpH領域が限定される。あるいは有機溶媒等に分散させようとすると安定性を損ないやすいといった利用上の問題が生じている。
これに対して従来のアナターゼ型酸化チタンより屈折率の高いルチル型酸化チタンは、前記した通り、用い得る超微粒子、ゾル液が無いのが現状であった。
特開平9−110956号公報 特開2002−194083号公報 特開2001−123115号公報
本発明の目的は上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、光学材料、コーティング材料、樹脂組成物などの用途に有用な透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた高屈折率の平均粒子径が1〜100nmの被覆型無機酸化物超微粒子、ゾル液およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、焼結剤として用いられるスズ化合物が長繊維化を防止すると共に凝集も防止し、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子、分散性に優れたゾル液が得られることを見出し、これを核超微粒子とし特定の方法でケイ素酸化物を含む被覆層を設けることによって透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた高屈折率の平均粒子径が1〜100nmの被覆型無機酸化物超微粒子が得られることを見出した。
即ち、本発明は、
[1]屈折率が1.5〜2.8であるルチル型結晶構造の酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子を核(A)とし、ケイ素酸化物を含む被覆層(B)から構成される無機酸化物被覆層を有する被覆型無機酸化物超微粒子であって、
前記核(A)のルチル型結晶構造の酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子中のルチル型酸化チタン超微粒子が、
チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られ、Sn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子であり、
前記(B)のケイ素酸化物を含む被覆層が、二層被覆型であって、内層が(1)の工程、外層が(2)の工程によって得られる被覆層を有し、核微粒子に対するケイ素酸化物被覆層の重量比がSiO換算で0.001〜20であることを特徴とする被覆型無機酸化物超微粒子。
(1)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH<7の条件下で、核(A)と反応させる工程
(2)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH≧7の条件下で、(1)で得られた被覆超微粒子と反応させる工程
[2]前記の被覆型無機酸化物超微粒子の結晶径の短軸、長軸が2〜20nmである前記1記載の被覆型無機酸化物超微粒子。
[3]前記1または2に記載の被覆型無機酸化物超微粒子からなる超微粒子凝集体の平均凝集粒子径が、10〜100nmである被覆型無機酸化物超微粒子。
[4]前記1〜3の何れかに記載の被覆型無機酸化物超微粒子が、水あるいは有機溶剤に分散してなるゾル。
に関するものである。
本発明のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子は、従来の製法では成し得なかったものであり、かつアナターゼ型では得られない高屈折率の超微粒子、ゾル液を提供することが出来る。本発明の被覆型無機酸化物超微粒子は、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を特定の方法でケイ素酸化物で被覆することによって、ルチル型酸化チタンとしての高い屈折率や紫外線遮蔽性等を有しながら、その光触媒性を効果的に抑制している。これにより得られた透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた被覆型無機酸化物超微粒子、ゾル液を用いることで、耐擦傷性、表面硬度、耐磨耗性、透明性、耐熱性、耐候性、紫外線遮蔽性等に優れた光学レンズ(メガネレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体用封止材料等の高屈折光学部材の材料等だけでなくプラスチック劣化防止添加剤、化粧品添加剤、自動車用窓ガラス、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、光学フィルター等における反射防止材、誘電材、拡散板などといった光学部材、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料、コーティング材料などといった製品分野に好適に用いることが出来る。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、屈折率が1.5〜2.8であるルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子を核微粒子とし、ケイ素酸化物を含む被覆層から構成される被覆型無機酸化物超微粒子およびそのゾル液、である。
即ち、屈折率が1.5〜2.8であるルチル型結晶構造の酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子を核(A)とし、ケイ素酸化物を含む被覆層(B)から構成される無機酸化物被覆層を有する被覆型無機酸化物超微粒子であって、
前記核(A)のルチル型結晶構造の酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子中のルチル型酸化チタン超微粒子が、
チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られ、Sn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子であり、
前記(B)のケイ素酸化物を含む被覆層が、二層被覆型であって、内層が(1)の工程、外層が(2)の工程によって得られる被覆層を有し、核微粒子に対するケイ素酸化物被覆層の重量比がSiO換算で0.001〜20であることを特徴とする被覆型無機酸化物超微粒子、である。
(1)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH<7の条件下で、核(A)と反応させる工程
(2)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH≧7の条件下で、(1)で得られた被覆超微粒子と反応させる工程
前述の通り、ルチル型はアナターゼ型に比べてより高い屈折率を有するため、超微粒子化したルチル型酸化チタンを用いることで、より高屈折率化が可能となる。さらに、樹脂の透明性等を損なわないためには、ルチル型酸化チタンは超微粒子である必要がある。
本発明における、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子、とは、上記のように、超微粒子化したルチル型酸化チタンを含んでいればよく、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンとの複合体であっても、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを被覆するような形状であってもよく、特に制限はないが、通常、当該無機酸化物超微粒子中、ルチル型酸化チタンの割合は5〜100%(重量比)、好ましくは、50〜100%、さらに好ましくは70〜100%である。
また、超微粒子化したルチル型酸化チタン以外の成分については、本発明の超微粒子の分散安定性を損なわないものであればよく、特に制限はないが、中でも無機酸化物が望ましい。具体的には、例えば、Al、Si、V、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Sn、Sb、W等の酸化物が挙げられ、好ましくは、Al、Si、Zr、Sn、Sbの酸化物である。
本発明において、好適な、ルチル型酸化チタン超微粒子としては、チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子であって、該超微粒子のSn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であることを特徴とするスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子であり、さらに当該超微粒子の結晶径の短軸、長軸が2〜20nmであることを特徴とするスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子である。
なお、ここで言う結晶径とは、いわゆる一次粒子径のことであって、化学便覧改訂3版(基礎編 丸善株式会社)記載のようにa、c軸方向長さで表現される。本明細書ではそれぞれ短軸、長軸と呼ぶ。また、平均凝集粒子径とは、一次粒子が凝集してなる粒子径を表す。
まず、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の製造法について説明する。
本発明において用いられるスズ化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には例えば塩化スズ、硝酸スズ、硫酸スズ、スズ酸塩などのスズ塩化合物あるいは酸化物、水酸化物、金属スズ等から選ばれるスズ化合物等が好ましいものとして挙げられる。
本発明において用いられるチタン化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には例えば、塩化酸化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、チタンアルコキシド、水和酸化チタン(あらかじめチタン化合物をアルカリ条件で加水分解させたものも含む)などから選ばれるチタン化合物等が好ましいものとして挙げられる。
まず、スズ化合物を水溶液に添加しておき、これにチタン化合物を加える。スズ化合物とチタン化合物は同時に加えてもよいし、どちらが先であってもよい。また、混合化合物の形態であってもよい。反応媒体は水が望ましいが、アルコール等の有機溶剤あるいは水と有機溶剤の混合媒体でもよい。
ルチル型酸化チタンの結晶成長制御のための修飾剤として反応に用いるスズ化合物の量は、チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2、好ましくは0.01〜1であることが望ましい。スズ量を上記範囲より少なくしていくとルチル型酸化チタン超微粒子は生成するが、結晶径、凝集粒子径が大きくなり、したがって分散性が悪くなる可能性がある。また、有機媒体等に分散させた際、媒体の透明性が低下する可能性がある。また、上記範囲より多くしていっても、ルチル型を有する酸化チタン超微粒子の合成は可能であるが、反応に要する時間が長くなり、この場合はルチル型酸化チタン超微粒子に多量のスズ化合物が付着したものが得られる可能性がある。また、これより大きいと残存スズ化合物量が多くなり、粒子屈折率が低下する可能性がある。
反応液中のTi濃度は0.07〜5mol/l、好ましくは0.1mol/lから1mol/lが望ましい。上記範囲より低いTi濃度では、Sn/Ti(モル比)として0.01〜0.03の範囲でスズ化合物を添加してもアナターゼ型とルチル型の混合酸化チタン超微粒子が生成する可能性がある。同様に上記範囲より低いTi濃度では、Sn/Ti(モル比)として0.03より大きい範囲でスズ化合物を添加すると、ルチル型酸化スズを有する酸化チタン酸化スズ混合超微粒子が生成する可能性がある。
反応液のpHは−1〜3が望ましい。必要に応じて塩酸や硝酸などで調節する。pHが3より大きい条件で反応させると、スズ化合物を加えない場合ではアナターゼ型酸化チタンになってしまい、これを避けるためにスズ化合物を添加してルチル構造を得ようとすると、酸化スズなどのルチル型酸化チタンではない異種物質が生成してしまう可能性がある。
反応温度に関しては、Ti濃度とpHが上記の範囲であれば良く、特に制限は無いが、好ましくは−10〜100℃、さらに好ましくは20〜60℃が推奨される。反応温度に応じて反応完了時間が決定されるが、通常は0.5〜10時間で実施する。
上記の反応により生成したスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子中に含まれるスズ化合物量として、Sn/Tiモル比=0.001〜0.5であることが好ましい。スズ量を上記範囲より少なくしていくとルチル型酸化チタン超微粒子の粒子径が大きくなり、分散性が悪くなる可能性がある。また、上記範囲より多くしていくと、より効率よく結晶成長及び凝集を制御し、粒子径の小さな超微粒子が得られるが、ルチル型酸化チタン超微粒子に多量のスズ化合物が付着したものが得られ、結果として屈折率の低い超微粒子が得られる可能性がある。
この方法により得られたスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の結晶径の短軸、長軸は2〜20nm、平均凝集粒子径は10〜100nmである。
本発明のスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子が得られる反応機構(反応メカニズム)は現在十分に明らかではないが、これは表面がスズ化合物で修飾されていることを特徴としている。原料に用いたスズ化合物、あるいは溶液中で解離したスズイオン、あるいは加水分解等により溶液中で生成したスズ化合物が、酸化チタン表面に配位、吸着、化学結合等により付着したものと推測される。また、元々アナターゼ型ではなくルチル型酸化チタン生成条件でスズ化合物を修飾剤として添加したもので、長軸方向への結晶成長が阻止された結果生じたものと推測される。このことは超微粒子の結晶径が2〜20nmであるスズ修飾酸化チタン超微粒子を得るために必要な修飾スズ化合物量が酸化チタンを隙間無く被覆する量には程遠い、チタンに対するモル比が0.001〜0.5という少量であることからも窺える。
上記により得られた反応生成物は、そのままスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子、ゾル液として用いてもよいし、所望の後処理を施してもよい。すなわち、エバポレーターによる減圧濃縮、限外ろ過などの公知の方法で精製、適当な濃度に濃縮することも可能である。遠心分離して白色沈殿物を得、水、その他所望の媒体に対して再分散させることも可能である。スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を水に分散させたゾル液は、メタノールなどのアルコール類、2−メトキシエタノールなどのセロソルブ類といった有機溶媒に溶媒置換して、有機溶媒分散スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液として用いることも可能である。
本発明により得られたスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の結晶径の短軸、長軸は2〜20nm、平均凝集粒子径は10〜100nmであることが好ましい。結晶径が2nmより小さいと、これらを含むコーティング液を用いてコート膜を作成した場合に耐擦傷性、硬度が不十分となり、また、本来得られる屈折率が得られなくなる可能性がある。20nmより大きいと、光の散乱が生じる可能性がある。平均凝集粒子径が100nmより大きいと、得られる媒体が白濁し、不透明となる可能性がある。
次に、ケイ素酸化物を含む被覆層(B)の調製方法について述べる。
該被覆層(B)、即ちケイ素酸化物を含む被覆層とは、二層被覆型であって、内層が(1)の工程、外層が(2)の工程によって得られ、核微粒子に対するケイ素酸化物被覆層の重量比がSiO換算で0.001〜20であることを特徴とする被覆層である。
(1)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH<7の条件下で、核(A)と反応させる工程
(2)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH≧7の条件下で、(1)で得られた被覆超微粒子と反応させる工程
本発明において、上記で合成したスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子あるいはそのゾル液を光学材料、コーティング材料、樹脂組成物等に用いる場合、酸化チタンの光触媒性による周辺有機物の劣化を防止するため、耐光性を付与することが必要になる。この目的のためにケイ素酸化物を含む被覆層をルチル型酸化チタン超微粒子に設ける。なお、被覆とは超微粒子表面を完全に覆った形態、あるいは隙間が空いた形態両方を意味する。
上記被覆に用いられるケイ素酸化物としては、コロイダルシリカ、ケイ酸ゾル、ケイ酸ナトリウム、あるいはケイ酸カリウムなどのケイ酸塩を挙げることが出来る。ここでいうケイ素酸化物とは無定形の酸化物、結晶性の酸化物、あるいは水和した状態であってもよい。また、ケイ酸、ケイ酸オリゴマーあるいはそれらの塩であってもよく、それらが核微粒子表面に吸着、結合した状態であってもよい。
被覆層の形成方法としては、まず、スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子のゾル液を調製する。上記で調製したゾル液を希釈あるいは濃縮し、固形分として0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲にすることが望ましい。分散液の固形分濃度が0.01重量%未満の場合は生産性が低く工業的に有効でなく、分散液の固形分濃度が20重量%を越えると得られる超微粒子が凝集体となる可能性がある。
核微粒子(この場合、核(A)であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子、をさす)を含む反応液にケイ素酸化物を水および/または有機溶媒に溶解した溶液を連続的あるいは断続的に添加して核微粒子表面において反応させる。0.1〜100時間かけて(核微粒子ゾル液がゲル化しない程度に)滴下することが望ましい。反応液中でのケイ素酸化物の滴下終了後の濃度は酸化ケイ素換算で0.01〜5wt%が好ましい。これより小さいと生産性が低く工業的に有効でなく、これより大きいと(ケイ素酸化物のみで)重合が進行しすぎてケイ素酸化物の不溶物が生成する可能性がある。
[ 工程(1):核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH<7の条件下で、核(A)と反応させる工程 ]
まず、核微粒子即ち核(A)と、核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH<7の条件下で反応させる。
ここで用いられるケイ素酸化物としては特に制限はないが、コロイダルシリカ、ケイ酸ゾルが好ましい。用いる量としては、核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10が好ましく、0.01〜0.5であることが好ましい。この範囲、即ち10より大きいと十分な屈折率が得られなくなる可能性がある。この範囲、即ち0.001より小さいと分散安定性が低くなる可能性がある。
反応液のpHは7より小さいことが好ましく、さらには2〜4が好ましい。pHが7以上だと核微粒子であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子が、凝集、ゲル化を引き起こす可能性がある。pHは必要に応じて酸性化合物あるいは塩基性化合物を加えて調整してもよい。例えば酸性化合物としては塩酸、硫酸、硝酸などが、塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
本工程では、核微粒子を含む反応液にケイ素酸化物を水および/または有機溶媒に溶解した溶液を連続的あるいは断続的に添加して核微粒子表面において反応させる。0.1〜100時間かけて核微粒子ゾル液がゲル化しない程度に滴下することが望ましい。これより長いと経済的に効率的でない。これより短いと反応が不十分となる可能性がある。
反応温度は特に制限はないが、0〜200℃が好ましく、30〜100℃がより好ましい。この範囲、即ち200℃より大きいと超微粒子が凝集する可能性がある。この範囲、即ち0℃より小さいと反応が十分に進行しない可能性がある。
[ 工程(2):核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH≧7の条件下で、(1)で得られた被覆超微粒子と反応させる工程 ]
工程(1)で得られた被覆超微粒子あるいはゾル液を必要に応じて解こうした後、続いて、(1)で得られた被覆超微粒子と、核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物を、pH≧7の条件下で反応させる。
ここで用いられるケイ素酸化物としては特に制限はないが、コロイダルシリカ、ケイ酸ゾルが好ましい。用いる量としては、核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10が好ましく、0.1〜1であることが好ましい。この範囲、即ち10より大きいと十分な屈折率が得られなくなる可能性がある。この範囲、即ち0.001より小さいと十分な耐光性が得られなくなる可能性がある。
反応液のpHは7以上であることが好ましく、さらには8〜11が好ましい。適宜この範囲にpHを調節すればよい。pHが7より小さいと緻密な被覆層が形成できない可能性がある。pHは塩基性化合物を加えて適宜調整すればよい。該塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
本工程では、核微粒子を含む反応液にケイ素酸化物を水および/または有機溶媒に溶解した溶液を連続的あるいは断続的に添加して核微粒子表面において反応させる。0.1〜100時間かけて添加することが望ましい。これより長いと経済的に効率的でない。これより短いと反応が不十分となる可能性がある。
反応温度は特に制限はないが、0〜200℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。この範囲、即ち200℃より大きいと微粒子が凝集する可能性がある。この範囲、即ち0℃より小さいと反応が十分に進行しない可能性がある。
なお、該被覆層(B)、即ちケイ素酸化物を含む被覆層に含まれるその他の無機酸化物としては得られる微粒子の耐光性、分散性、保存安定性を損なうものでなければ特に制限はないが、具体的には、例えば、Al、Si、V、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Sn、Sb、W等の酸化物が挙げられ、好ましくは、Al、Si、Zr、Sn、Sbの酸化物が挙げられる。
また、被覆層としては上記記載の二層のケイ素酸化物からなる被覆層のみが望ましいが、他の無機酸化物の被覆層を設けても良い。この場合、上記記載の二層のケイ素酸化物からなる被覆層の内側に設けることが望ましい。
本発明により得られた二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の結晶径の短軸、長軸は2〜20nm、平均凝集粒子径は10〜100nmであることが好ましい。結晶径が2nmより小さいと、本来得られる屈折率が得られなくなる可能性がある。20nmより大きいと、光の散乱が生じる可能性がある。平均凝集粒子径が100nmより大きいと、有機媒体が白濁し、不透明となる可能性がある。
上記手法によって得られる核微粒子に対するケイ素酸化物被覆層の重量比はSiO換算で0.001〜20である。被覆層の量により、超微粒子自体の屈折率と耐光性を調節することが出来る。これにより所望する耐光性を付与出来、かつ屈折率が1.5〜2.8で調節可能である。
上記により得られた反応生成物は、そのまま二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液として用いてもよいし、所望の後処理を施してもよい。すなわち、エバポレーターによる減圧濃縮、限外ろ過などの公知の方法で精製、適当な濃度に濃縮することも可能である。遠心分離して白色沈殿物を得、水、その他所望の媒体に対して再分散させることも可能である。特に限外ろ過を行うことによって、微粒子周りの電気二重層を遮蔽して微粒子の凝集を引き起こす原因となるイオン分を取り除くことが出来るため、分散安定性が向上する。二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を分散させた水ゾル液は、メタノールなどのアルコール類、2−メトキシエタノールなどのセロソルブ類といった有機溶媒に溶媒置換して、有機溶媒に分散したゾル液として用いることも可能である。
酸化チタン超微粒子は通常中性域に等電位点を持ち、従来の製法では酸性領域で安定なゾルである。そのため従来の手法で製造した酸化チタン超微粒子ゾル液は中性〜塩基性では凝集、ゲル化を引き起こし、使用範囲が限定されるという問題があった。また有機溶剤に置換しようとすると凝集、ゲル化を引き起こし、安定性を損なうという問題があった。さらには分散媒が水の場合でも10重量%以上に濃縮しようとするとゲル化を引き起こし、高濃度に分散したゾル液を得るのは困難であり、生産性が低いといった問題があった。本発明に係るケイ素酸化物をpH<7の範囲で反応させることによって、広範囲pH、特に14>pH>3の条件において、凝集、ゲル化を生じず、分散性、保存安定性に優れた薄層のケイ素酸化物で被覆された酸化チタン超微粒子ゾル液が得られ、かつpH≧7の範囲で反応させることによって緻密で厚いケイ素酸化物被覆層を設けることができる。
通常酸性領域において安定な酸化チタン超微粒子ゾル液はその表面がプラスに帯電している。そこに上記条件において反応させることによって反対符号の電荷を持ち、かつ核微粒子よりもサイズの小さな超微粒子を選択することによって核微粒子表面でヘテロ凝集を引き起こし、より効果的に一様に薄層のケイ素酸化物被膜が形成され、これにより、核微粒子表面にSiOの特性が付与され、本発明に係る酸化チタン超微粒子ゾルはpH=3〜14という広範囲のpH領域において安定となると考えられる。pH≧7の塩基性条件下で緻密で厚いケイ素酸化物層に成長させることによって高分散性を保ちながら耐光性、耐候性を有する超微粒子が得られる。すなわち、pH<7で形成される被覆内層及びpH≧7で形成される被覆外層の二層構造を持つ透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れた酸化チタン超微粒子、ゾル液である。
前記ケイ素酸化物被覆によりゾル液の濃度は固形分換算で20重量%以上、さらには35重量%以上の高濃度にした場合でも広範囲のpHで安定に存在し、有機媒体に置換した際でも高濃度に安定に存在する。
本発明により得られた被覆型無機酸化物超微粒子、即ち二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子をカルボン酸、アミン、有機ケイ素酸化物、あるいは有機ポリマーなどで修飾することにより、表面修飾された二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液として用いることも可能である。これにより有機媒体等への分散性、相溶性が向上する。
表面処理に用いられるカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酒石酸、グリコール酸などが好適に用いられる。
また、表面処理に用いられるアミンとしては、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミンなどが好適に用いられる。これらで表面処理を行うには、例えばこれらの水あるいはアルコールなどの溶液に超微粒子あるいはゾル液を混合し、必要に応じて触媒を加えた後、所定時間常温で放置するか、加熱処理を行うとよい。
有機ケイ素酸化物表面処理は、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどが好適に用いられる。処理方法としては有機ケイ素酸化物を含む溶剤にゾル液を混合し、必要に応じて触媒を加えた後、一定時間室温から60℃の範囲で加熱した後に限外ろ過、遠心分離などの方法で混合液中の未反応分を除去する等の方法で行われる。
また有機ポリマーとしてはアミノ基、カルボン酸基など微粒子表面と反応、吸着等相互作用を有することが可能な官能基を有するポリマーが望ましい。ポリスチレンをアミノ化、クロロメチル化、スルホン化した、さらにはそれらの誘導体であるスチロール系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。表面処理方法は上記記載の方法で行えばよい。用いられる表面処理剤の量は、用いる有機溶剤、有機媒体等への分散性を考慮して適宜設定される。
この方法により結晶径の短軸、長軸は2〜20nm、平均凝集粒子径は10〜100nmのケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子が得られる。 結晶径が2nmより小さいと、これらを含む媒体等に用いた場合に本来得られる屈折率が得られなくなる可能性がある。20nmより大きいと、光の散乱が生じる可能性がある。平均凝集粒子径が100nmより大きいと、有機媒体が白濁し、不透明となる可能性がある。
また、本発明の被覆型無機酸化物超微粒子は、その製造工程により、通常は水に分散してなるゾルの形態を取るが、溶剤置換により、メタノール、エタノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、クロロホルムなどのハロゲン炭化水素類、トルエン、ヘプタンなどの炭化水素類等の、有機溶剤に分散してなるゾル液とすることもできる。
また、上記のような有機溶剤ではなく、樹脂モノマーなどの有機媒体に直接分散させてもかまわない。これにより微粒子分散有機媒体を直接硬化させることが可能となり、製造法の簡略化が可能となる。エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等のモノマーなどが挙げられる。
上記方法によって得られた二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子の屈折率は、1.5〜2.8、特に2.0〜2.8のものが得られ、各用途に合わせて適宜設定される。
従って、本発明に係る被覆型無機酸化物超微粒子、すなわち二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子は高屈折率であり、透明性、分散性、保存安定性、耐光性、耐候性等に優れているため、当該超微粒子を用いて形成した有機媒体等は高屈折率、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、成形加工性等を併せ持ち、任意に屈折率を調節できるものであり、光学部材に好適に用いられる。具体的には、例えば光学レンズ(メガネレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体用封止材料等の高屈折光学部材の材料等だけでなくプラスチック劣化防止添加剤、化粧品添加剤、自動車用窓ガラス、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、光学フィルター等における反射防止材、誘電材、拡散板などといった光学部材、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料、コーティング材料などといった製品分野が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子、ゾル液の調製)
[製造例1]
四塩化スズ五水和物0.27gを100mlナス型フラスコに仕込み、イオン交換水50mlに溶解し、酸化塩化チタンの塩酸水溶液(Ti 15重量%含有)5mlを加えた。溶液のpHは−0.1であった。(仕込みTi濃度=0.45、Sn/Ti=0.03) マグネチックスターラーで攪拌し、50℃で1時間加熱したところ、白色の沈殿を得た。遠心分離を行い、白色沈殿を回収、イオン交換水に再分散させた。限外ろ過を行い、固形分2重量%のゾル液を得た。この固形分の粉末X線回折測定、電子顕微鏡観察を行った。120℃で2時間熱風乾燥を行った後に粉末X線回折測定を行ったところ、酸化チタンルチル型であった。結晶径は回折ピークの半値幅からDebye−Sherrerの式を用いて計算した。その結果、結晶径が平均それぞれ短軸5nm、長軸8nmであった。電子顕微鏡観察は透過型電子顕微鏡を用い、メッシュに希薄ゾル液を滴下したものを倍率20万倍、200万倍で観察した。その結果、平均凝集粒子径が23nmのルチル型酸化チタンであった。誘導結合プラズマ法分析によるSn/Tiの元素モル比は0.02であった。
[製造例2]
製造例1で四塩化スズ五水和物を0.9g用いた以外は実施例1と同様に実施した。(仕込みTi濃度=0.45、Sn/Ti=0.1) 得られたゾル液の固形分を製造例1と同様に分析したところ、結晶径が平均それぞれ短軸5nm、長軸8nmで、平均凝集粒子径が20nmのルチル型酸化チタンであった。Sn/Tiの元素モル比は0.06であった。
(二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液の調製)
このスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液2500gをpH<7に調整した後、80℃に加熱した。2重量%のケイ素酸化物水溶液125gを1時間かけて滴下し、さらに30分加熱した。室温にまで冷却した後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性ゾル液にした。80℃に昇温し、2重量%ケイ素酸化物水溶液625gを2時間かけて滴下しさらに4時間加熱した。限外ろ過を行い精製し、2重量%ゾル液を得た。120℃で2時間熱風乾燥を行った後に誘導結合プラズマ法による元素分析を行ったところ、酸化物換算で酸化ケイ素/スズ修飾酸化チタン重量比=0.11/1であった。ロータリーエバポレーターによりメタノールへ溶媒を置換し濃縮し、30重量%メタノール分散ゾル液とした。
製造例2で調製したスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子ゾル液を用いた以外は実施例1と同様にして2重量%ゾル液、及び溶媒置換、濃縮を行い30重量%メタノール分散ゾル液を調製した。
[比較例1]
イオン交換水2Lに酸化塩化チタンの塩酸水溶液(Ti含有率15重量%)20mlを加え、60℃で6時間加熱した。室温まで冷却した後、限外ろ過により濃縮、脱イオン処理を行い、固形分2重量%ゾル液とした。得られたゾル液の固形分を製造例1と同様に分析したところ、結晶径が短軸、長軸共に平均5nmのアナターゼ型酸化チタンであった。
(ジルコニウム酸化物被覆アナターゼ型酸化チタン超微粒子ゾル液の調製)
[比較例2]
イオン交換水2Lに酸化塩化チタンの塩酸水溶液(Ti含有率15重量%)20mlを加え、60℃で6時間加熱した。酸化塩化ジルコニウム八水和物32gを溶解した水溶液50gを滴下し、90℃に昇温し、1時間加熱した。室温まで冷却した後、限外ろ過を行った。室温まで冷却した後、限外ろ過により濃縮、脱イオン処理を行い、2重量%ゾル液とした。得られたゾル液の固形分を実施例1と同様に分析したところ、結晶径が短軸、長軸共に平均5nmのアナターゼ型酸化チタンであった。ジルコニウム酸化物被覆アナターゼ型酸化チタン超微粒子の組成は酸化物換算で酸化ジルコニウム/酸化チタン重量比=0.85/1であった。
上記方法により調整したゾル液について、以下に示すように耐光性、屈折率、分散安定性、保存安定性について評価を行った。その結果を表1に示す。
(a)耐光性
色素としてアリザリンレッドスルホン酸ナトリウム(以下AR)を用いた。石英セルに限外ろ過をしたゾル液を固形分6mg相当分取り出し、2×10-4mol/lのAR水溶液を3g加えて攪拌した。混合した後、遮光下で攪拌し、吸収ピークが変化しなくなった時点で吸着平衡に達したとしてキセノンランプを用いて照射した。照射光出口にHOフィルターを用いて赤外光をカットした。出口から10cmの位置にセルを配置し攪拌した。この位置での照度は120〜130mW/cmとし、通常太陽光の約2.5倍とした。10分ごとに吸収スペクトルを測定し、横軸を時間、縦軸を色素残存率(A/A)(照射前の最大吸収強度(A)に対する各時間における吸収強度(A)の比)としてグラフを作成し、各ゾル液で比較を行った。吸収スペクトルの測定は分光光度計UV−2200(島津製作所製)を用いた。その結果を図1に示す。
(b)屈折率
(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン15gに0.001規定塩酸3.5gを2時間かけて滴下し、3時間攪拌した。エチルセロソルブを30g加え、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン部分加水分解物の溶液とした。次に、ケイ素酸化物被覆処理を行った各メタノールゾル液(実施例1,2、比較例2)(全固形濃度20重量%に調整したもの)9.3gに前述の(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン部分加水分解物溶液5.3gを添加、さらに硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトナート50mg、界面活性剤(日本ユニカー(株)製:L7604)10mgを添加し、攪拌しコーティング液を作成した。次に、石英基板上に当該コーティング液をスピンコート法により膜厚約700Åに塗布し、120℃で2時間熱風乾燥した塗布膜を、自動波長走査型エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)を用いて屈折率を測定した。
また、ケイ素酸化物被覆処理を行った各ゾル液(実施例1,2、比較例2)にゾル液中に含まれる固形分と同量のポリビニルピロリドンを加え、石英基板上にスピンコート法により膜厚約700Åに塗布し、120℃で(2時間熱風)乾燥した塗布膜を、すみやかに前記エリプソメーターを用いて屈折率を測定した。含有される固形分の体積分率から固形分の屈折率を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0004906361
*微粒子ナシでの塗膜屈折率:1.47
(c)分散性、保存安定性
得られた水に分散したゾル液に塩酸水溶液あるいは水酸化ナトリウム水溶液を加えて以下の表2に記載の各pHに調整し、分散安定性を以下の指標で評価した。
○… 変化しない
×… ゲル化、凝集し沈殿を生成した
また、各ゾル液の溶媒及び固形分濃度を調製して得られた30重量%メタノールゾル液を室温で半年保存した際の変化を以下の指標で評価した。その結果を表2に示す。
○… 変化しない
△… 増粘した
×… ゲル化した(あるいは溶媒置換、濃縮中にゲル化)
Figure 0004906361
上記結果からわかるように、二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子を用いることにより、アナターゼ型酸化チタンを核微粒子に用いた場合では得られない高屈折率を有し、かつ微粒子光触媒性が効果的に抑制され、広範囲のpH領域で分散安定性、保存安定性に優れた無機酸化物超微粒子が得られていることが分かる。
本発明により得られた被覆型無機酸化物超微粒子、すなわち二層ケイ素酸化物被覆スズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子、もしくはそのゾル液は、光学レンズ(メガネレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)、光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体用封止材料等の高屈折光学部材の材料等だけでなくプラスチック劣化防止添加剤、化粧品添加剤、自動車用窓ガラス、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、光学フィルター等における反射防止材、誘電材、拡散板などといった光学部材、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料、コーティング材料などの用途に有用な透明性、分散性、耐光性、耐候性等に優れた高屈折率の部材を提供出来るという有用性がある。
実施例等における色素残存率(A/A)の時間変化を示した図である。

Claims (4)

  1. 屈折率が1.5〜2.8であるルチル型結晶構造の酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子を核(A)とし、ケイ素酸化物を含む被覆層(B)から構成される無機酸化物被覆層を有する被覆型無機酸化物超微粒子であって、
    前記核(A)のルチル型結晶構造の酸化チタンを含有する無機酸化物超微粒子中のルチル型酸化チタン超微粒子が、
    チタンに対するスズのモル比(Sn/Ti)が0.001〜2のスズ化合物共存下、Ti濃度が0.07〜5mol/lのチタン化合物水溶液をpHが−1〜3の範囲で反応させて得られ、Sn/Ti組成モル比が0.001〜0.5であるスズ修飾ルチル型酸化チタン超微粒子であり、
    前記(B)のケイ素酸化物を含む被覆層が、二層被覆型であって、内層が(1)の工程、外層が(2)の工程によって得られる被覆層を有し、核微粒子に対するケイ素酸化物被覆層の重量比がSiO換算で0.001〜20であることを特徴とする被覆型無機酸化物超微粒子。
    (1)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH<7の条件下で、核(A)と反応させる工程
    (2)核(A)に対する重量比がSiO換算で0.001〜10となるケイ素酸化物をpH≧7の条件下で、(1)で得られた被覆超微粒子と反応させる工程
  2. 前記の被覆型無機酸化物超微粒子の結晶径の短軸、長軸が2〜20nmである請求項1記載の被覆型無機酸化物超微粒子。
  3. 請求項1または2に記載の被覆型無機酸化物超微粒子からなる超微粒子凝集体の平均凝集粒子径が、10〜100nmである被覆型無機酸化物超微粒子。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の被覆型無機酸化物超微粒子が、水あるいは有機溶剤に分散してなるゾル。
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