JP2009215862A - 永久型枠の取り付け構造及び位置決め部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】傾いた鋼矢板に対し、少ない部品で型枠パネルを垂直に設置できる永久型枠の取り付け構造と位置決め部材を提供する。
【解決手段】この永久型枠の取り付け構造は、鋼矢板1等の前面に固着された底板及び複数の梁受け4と、梁受け4に水平に取り付けるための水平梁6と、型枠パネル15の各孔ピッチに対応する間隔て前記水平梁に固着された複数のボルトスタッド7と、ボルトスタッドに設けられたストッパ9と、前記パネルをボルトスタッドに嵌合した後に固定する締結部材8とから成る位置決め部材が使用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久型枠を用いて鋼矢板等の鋼構造物を防食、補強するための取り付け構造とこれに用いられる位置決め部材に関する。
従来、鋼矢板の防食対策としてはその形状に沿った凹凸のFRPカバーを金具で鋼矢板の海側に取り付け、カバー内にモルタルを充填して固化させるのが一般的である。しかし、実際の鋼矢板は歪みや傾斜が多くて凹凸カバーを整列させるのが困難であり、また凹凸カバーは材料や製作のコストが高くなる欠点がある。
このため近年、凹凸ではなくフラットのカバーを用いて不揃いの鋼矢板に対しても簡単に取り付けられる構造が普及している。さらにFRPカバーと内部のモルタルはどうしても密着力が悪いので、これを改善するためカバー自体をコンクリート製の型枠にしたり、予めFRPとコンクリートの2層にした永久型枠も現れている。
一方、フラットカバーを鋼矢板に取り付ける手段としては、第1に実開昭60−159061号のように鋼矢板の前面に複数のスタッドやブラケットを溶接し、これにカバーを取り付けた後に外からナットで締め付ける方法があげられる。第2に特開昭57−137529号のように鋼矢板に縦長のT字金具やフックを溶接し、このT字金具に上からコンクリート型枠を落とし込んで固定する方法がある。
しかし、設置後長期間経過した鋼矢板は腐蝕により薄くなっているので、ボルトスタッドを溶接しても固着力が弱く、しかも多数のスタッドを水平に溶接するのは難作業である。また、フラットなカバーや型枠は凹凸カバーに比べるとモルタルの充填量が多いのでモルタル圧も大きく、樹脂カバーが変形したり、フック方式では引掛け部分が外れる欠点がある。さらに、歪みや前後左右に傾斜した鋼矢板に前述の方式でカバーや型枠を取り付けると、型枠自体も傾く難点がある。
前述の欠点を改善する構造としては、特開平9−279568号及び特開2001−131956号があり、これらの発明では、金具を各方向に調整してから永久型枠を固定するので、全ての型枠が垂直に取り付けられる。
実開昭60−159061号 特開昭57−137529号 特開平9−279568号 特開2001−131956号
しかし、前記文献3,4の構造は、部品点数が多いため海中及び海上工事に手間がかかり、特にこの種の工事ではダイバ−の海中作業を伴うので現場からは簡単な構造にしてほしいとの要望がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、傾斜した鋼矢板に対して少ない部品で型枠パネルを垂直に設置できる永久型枠の取り付け構造とこれに適した位置決め部材を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の取り付け構造は、鋼矢板等の前面に固着された底板及び複数の梁受けと、各梁受けに取り付けられた水平梁と、予め水平梁に固着された複数のボルトスタッドと、ボルトスタッドに設けられたストッパと、鋼矢板の外側に配置された鉄筋と、前記底板に載置された型枠パネルと、パネルの前記ボルトスタッドの対応位置に設けられた孔と、前記パネルをボルトスタッドに嵌合した後に固定する締結部材とから構成されている。また、請求項2の位置決め部材は、鋼矢板の梁受けに水平に取り付けるための水平梁と、型枠パネルの各孔ピッチに対応する間隔で前記水平梁に固着された複数のボルトスタッドと、ボルトスタッドに設けられたストッパと、前記パネルをボルトスタッドに嵌合した後に固定する締結部材とから構成されている。
請求項1の発明により、傾いた鋼矢板であっても永久型枠を垂直に設置でき、請求項2の位置決め部材を用いることにより、少ない工程で型枠取り付け工事を行なえる効果がある。
図1,2,3は各々本発明が連用された永久型枠の取り付け構造の平面図、一部切欠き正面図及び側面図、図4は位置決め部材の側面図で、鋼矢板1の前面にはモルタルとの密着性を高めるためスタッドジベル2、鋼矢板1の下方には型枠支持用の底板3が固着されている。
鋼矢板1の凸部前面には、アングル鋼を用いた複数の梁受け4が溶接され、この梁受け4は図2から示すように上下8段にわたって設けられている。鋼矢板1が傾いている場合(図3参照)は、長さの異なる梁受けを用いてそれらの先端が鉛直方向に揃えるのが望ましい。各段の梁受け4には、細長い位置決め金具5が載置6が載置固定され、金具5は図4に拡大して示すように水平梁6、ボルトスタッド7、締結用ナット8、ストッパ用ナット9、固着用ナット10、ワッシャ11,12から構成されている。
この実施例では、水平梁6に既成の安価なH鋼が使用されている。水平梁6には、一定間隔で角孔13が形成され、後に充填されるモルタルがこの角孔13を通って上下に行き渡るようになっている。金具5のうち、ボルトスタッド7、ナット8及びワッシャ11は、海側に突出するためステンレスのような耐食性材料を用いるのが望ましい。他のナット9,10とワッシャ12は、最終的にモルタルに埋没するので既製品で十分である。ボルトスタッド7,7の間隔は、後述する型枠パネルの孔ピッチと合致している。位置決め金具5は、予め工場で一体に製造される。
水平梁6の海側(図1の下側、図3では左側)には、モルタルを補強するための格子鉄筋14がほぼ平行に配置され、鉄筋14の前面に永久型枠15が設置されている。永久型枠15は、予め工場でFRPにコンクリートを充填して所定サイズに形成しておくのが望ましい。この実施例では、上下5段に分割した型枠パネル5a〜5eを用いることで、運搬及び取り付けを容易にしている。最下段のパネル15eには、シ−ト17(図3参照)を取り付けて底板3との隙間を塞ぎ、モルタルの漏れを防止している。各パネルには、ボルトスタッド7と対応する位置にスタッドの直径よりも大きめの孔16が形成されている。
次に永久型枠14の取り付け順序について説明すると、まず鋼矢板1の凹部にスタッドジベル2を、海中部分に底板3を固着し、鋼矢板1の凸部1つおきに梁受け4を計器を用いて水平に溶接する。続いてクレ−ン(図示せず)を用いて位置決め金具5を梁受け4に載置固定する。このときスタッド前方のナット8とワッシャ11は外しておく。
次にクレーンで格子鉄筋14を底板3上に載置し、溶接等でほぼ垂直に固定する。続いてクレ−ン及びロ−プを用いて型枠パネル15a〜15eを位置決め金具のボルトスタッド7に順次はめ込んでいく。ボルトスタッド7にはストッパとしてのナット9とワッシャ12がついているので、各パネルを押し込むたけで垂直に位置決めされる。次にパネルの孔16から出ているボルトスタッド部分にワッシャ11及びナット8を嵌合して締め付ける。
各型枠15の取り付けが終了したら、鋼矢板1と型枠15の間にモルタル(図示せず)を充填する。位置決め金具の水平梁6には角孔13が設けられているので、梁6がモルタルの流入を妨げることはない。モルタルは、スタッドジベル2、梁6、格子鉄筋14及び型枠パネル内面のコンクリート層と結合するので、外部から衝撃があっても型枠15や鋼矢板1から剥離することがない。本実施例では、サイズの異なる梁受け4を使用したが、ボルトスタッド7のストッパ用ナット位置を調節すれば同一サイズの梁受けでも鋼矢板の傾斜に対応できる。
型枠取り付け構造の平面図である。 型枠の一部を切り欠いた正面図である。 型枠取り付け構造の側面図である。 位置決め金具の側面図である。
符号の説明
1 鋼矢板
4 梁受け
5 位置決め金具
6 水平梁
7 ボルトスタッド
8,9 ナット
15 永久型枠

Claims (2)

  1. 鋼矢板(1)等の前面に固着された底板(3)及び複数の梁受け(4)と、各梁受けに取り付けられた水平梁(6)と、予め水平梁に固着された複数のボルトスタッド(7)と、ボルトスタッドに設けられたストッパ(9)と、鋼矢板の外側に配置された鉄筋(14)と、前記底板に載置された型枠パネル(15)と、パネルの前記ボルトスタッドの対応位置に設けられた孔(16)と、前記パネルをボルトスタッドに嵌合した後に固定する締結部材(8)とから成る永久型枠の取り付け構造。
  2. 鋼矢板(1)の梁受け(4)に水平に取り付けるための水平梁(6)と、型枠パネル(15)の各孔ピッチに対応する間隔で前記水平梁に固着された複数のボルトスタッド(7)と、ボルトスタッドに設けられたストッパ(9)と、前記パネルをボルトスタッドに嵌合した後に固定する締結部材(8)とから成る永久型枠の位置決め部材。
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