JP2009212283A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、陽極側の引き出しリードタブを接続した陽極箔と、陰極側の引き出しリードタブを接続した陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子を有する電解コンデンサにおいて、前記陰極側の引き出しリードタブ周辺の、陰極箔とセパレータとの間に、絶縁性の液状樹脂を設けることを特徴とする電解コンデンサと、その製造方法である。
【選択図】図1
Description
また、陰極箔に接続された陰極側引き出しリードタブの陽極箔側の表面をエッチング処理した発明には、陰極側引き出しリードタブ作製時に、通常行わない片面エッチング処理の工程が追加されることになるほか、エッチングしていない通常のリードタブとの混合防止対策や在庫管理においても手間がかかるという問題点がある。
また、陰極箔に接続された陰極側引き出しリードタブと、セパレータを介しこれに隣接して対向する部分の陽極箔との間に絶縁性フィルムのような電解液の比抵抗以上の電気抵抗値を持つ部材を設ける発明には、陰極側引き出しリードタブ表面に、粗面化加工したアルミニウム箔の小片を重ねた発明と同様、固定する手段が必要で、設置する手段が煩雑となるという問題点がある。
また、陽極側の引き出しリードタブを接続した陽極箔と、陰極側の引き出しリードタブを接続した陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子を有する電解コンデンサにおいて、前記陰極引き出しリードタブ周辺の、陰極箔とセパレータとの間およびセパレータ中に、絶縁性の液状樹脂を設けることを特徴とする電解コンデンサを提供する。
また、陽極側の引き出しリードタブを接続した陽極箔と、陰極側の引き出しリードタブを接続した陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子を有する電解コンデンサにおいて、巻回工程時に、巻取り方向に対し、前記陰極側の引き出しリードタブの巻始側に絶縁性の液状樹脂をポッティングし、巻取り時に前記陰極側の引き出しリードタブ及びその周辺の陰極箔とセパレータに塗り広げることを特徴とした電解コンデンサの製造方法を提供する。
固化する方法としては、加熱による溶剤の蒸発、硬化剤の添加や光照射による樹脂の架橋化があげられる。
液状樹脂材として、特に限定はないが、液状ガスケット材、ポッティング剤、液状封止材、ダイボンド剤などと呼ばれているものから選択できる。
液状樹脂は樹脂の種類や剤型により、熱硬化・熱可塑、溶剤・無溶剤、一液・二液型などに分類される。
樹脂の種類の代表例は、ポリオレフィン類、ビニル系ポリマー(分子中にビニル基を持つポリマー)、ポリアミド、ポリエステル、アルキド樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、合成もしくは天然ゴム、シリコーンゴムなどの有機材料であり、それらを変性したり組み合わせたりすることも可能である。
たとえば、液状封止材の場合、その構成材料はエポキシ樹脂が主に使用され、必要に応じて可塑性ポリマー等の樹脂や、カップリング剤、希釈剤、難燃剤、消泡剤等の添加材が使用される。可塑性ポリマーを添加する目的は、液状封止材の可塑化、可撓化以外には、液状封止材コンパウンドの反応において粘度上昇を抑制するメリットがある。添加できる可塑性ポリマーとしては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
熱硬化タイプの液状封止材ではエポキシ樹脂系のほか、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、耐熱性の熱可塑性芳香族ポリアミド樹脂などを用いる。
絶縁性の液状樹脂のポッティング方法としては、たとえば、ポッティングする部分に、絶縁性の液状樹脂をチューブのような注入容器を用いて垂らしたり、またはスプレーで吹きつけたりすることができる。
このとき、電解コンデンサが使用される段階にて、絶縁性の液状樹脂は必ずしも固体である必要はなく、このため絶縁性の液状樹脂が電解液中を流動する物質でなければ上記のようにポッティングしたままの液体の状態でよい。また、電解液中を流動する物質であれば、巻取り時に温風などをあてて固化させるかまたは巻取り後加熱固化などして流動しないよう調整することができる。
また、陰極側の引き出しリードタブ周辺の、陰極箔とセパレータとの間およびセパレータ中に、絶縁性の液状樹脂を設けることにより、液状樹脂が、セパレータの間隙部に浸透し、その部分自体が絶縁体となる。このため、従来の保護部材のように、リードタブの上面に盛り上がって、巻径を圧迫する心配が少ない。
また、陰極側の引き出しリードタブ3上には絶縁性の液状樹脂5が被覆されている。絶縁性の液状樹脂5は、陰極側の引き出しリードタブ3の表面、幅側面および下部側面をできるだけ全て被覆するのが好ましい。なお、絶縁性の液状樹脂5は、陰極側の引き出しリードタブ3の表側および裏側のセパレータ4にも散在してもかまわない。
図3では、絶縁性の液状樹脂5は、陰極側の引き出しリードタブ3の少なくとも表面、幅側面が被覆されているが、そのほかに、絶縁性の液状樹脂5と接する陰極側の引き出しリードタブ3上面に位置する高密度紙4a内にも浸入していて、その部分の、高密度紙の繊維間の間隙を充填している。このことにより、図4に示すような、電流集中を防ぐために、従来用いていた絶縁フィルム9を陰極側の引き出しリードタブ3上に設ける方法における、おおよそ絶縁フィルム9の厚み分だけリードタブの上面に盛り上がって、巻径を圧迫するという心配が少ない。強いテンションで巻回した場合、たとえば、図4に示すように、陰極側の引き出しリードタブ3上であって、高密度紙4a上の低密度紙4bが圧迫を受けて繊維間の間隙が詰まり、電解液が減少してしまうと、それと接する陽極箔1の酸化皮膜の修復ができず、漏れ電流が増加する心配が生ずる。
また、図3では図示してはいないが、絶縁性の液状樹脂5は、低粘度であれば、微細なエッチング穴を持った陰極箔2にも浸入し、アンカー効果として、絶縁性の液状樹脂5が陰極側の引き出しリードタブ3からはく離するのを防止する。
厚さ100μm、化成電圧600Vの陽極箔と厚さ20μmの陰極箔、および厚さ60μmのクラフト紙を巻回し、有機酸系電解液を含浸させ素子とする。陽極箔と陰極箔には厚さ200μm、巾5mmのアルミリードタブがコールドウェルドにより接続されている。
本素子を用いて、定格400V330μFの基板自立形アルミニウム電解コンデンサを作製した。ここで比較例は、通常手法によって作製したもので、実施例は請求項3に基づき、陰極リードタブ表面にシリコーンゴムを滴下したものであり、陰極リードタブのセパレータ側表面は約15μmのシリコーンゴム膜にて覆われている。
これら比較例および実施例コンデンサ各10ヶを、表1の充放電条件にて試験したときのショート率を表2に示す。
Claims (3)
- 陽極側の引き出しリードタブを接続した陽極箔と、陰極側の引き出しリードタブを接続した陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子を有する電解コンデンサにおいて、前記陰極側の引き出しリードタブ周辺の、陰極箔とセパレータとの間に、絶縁性の液状樹脂を設けることを特徴とする電解コンデンサ。
- 陽極側の引き出しリードタブを接続した陽極箔と、陰極側の引き出しリードタブを接続した陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子を有する電解コンデンサにおいて、前記陰極側の引き出しリードタブ周辺の、陰極箔とセパレータとの間およびセパレータ中に、絶縁性の液状樹脂を設けることを特徴とする電解コンデンサ。
- 陽極側の引き出しリードタブを接続した陽極箔と、陰極側の引き出しリードタブを接続した陰極箔とをセパレータを介し巻回したコンデンサ素子を有する電解コンデンサの製造方法において、巻回工程時に、巻取り方向に対し、前記陰極側の引き出しリードタブの巻始側に絶縁性の液状樹脂をポッティングし、巻取り時に前記陰極側の引き出しリードタブ及びその周辺の陰極箔とセパレータに塗り広げることを特徴とした電解コンデンサの製造方法。
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