JP2009208683A - 前輪用サスペンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行時に前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に時間差が発生する場合であっても、車体に伝達する振動を低減することが可能な前輪用サスペンション装置を提供する。
【解決手段】車体側部材とアーム部材とを連結する可変剛性連結部材14を備え、前輪を回転自在に支持する車輪支持部材と車体とを連結するアーム部材を介して、前輪を車体に懸架する前輪用サスペンション装置であって、可変剛性連結部材14が備える弾性体32の内部に液室40を形成し、前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、液室40内に封入した磁性流体62へ磁場を印加することにより、前輪の車両前後方向への固有振動と後輪の車両前後方向への固有振動が逆位相となるように、可変剛性連結部材14による前輪の支持剛性を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両が備える前輪用サスペンション装置に関する。
従来、車両が備える前輪用サスペンション装置としては、例えば、前輪を回転自在に支持するアクスル等の車輪支持部材とサブフレーム等の車体側部材とを、テンションロッド等のアーム部材で連結したものがある。このような前輪用サスペンション装置では、車輪支持部材及び車体側部材とアーム部材の端部とを、筒状の弾性体を備える連結部材によって揺動可能に連結することが多い。なお、上記弾性体は、車輪支持部材に連結した外筒と車体に連結した内筒とを結合する部材であり、外部からの入力、具体的には、外部からの入力の向き及び強さに応じて弾性変形する。
このような連結部材としては、例えば、特許文献1に記載されているような、車幅方向両側(左右側)にそれぞれ配置した一対の連結部材に対し、互いの動特性に差異を持たせた構成のものがある。具体的には、各連結部材が備える弾性体内に液体を封入した封入空間を形成し、この封入空間を、二つの液室と、両液室を連通させる連通路とから構成する。そして、一対の連結部材のうち一方が備える弾性体に形成した連通路の断面積や長さを、一対の連結部材のうち他方が備える弾性体に形成した連通路の断面積や長さと異ならせる。これにより、一対の連結部材のうち一方の振動減衰特性と他方の振動減衰特性との比を、1.5倍以上として、互いの動特性に差異を持たせている。
このような連結部材を備えた前輪用サスペンション装置であれば、一対の連結部材のうち一方が受ける入力と他方が受ける入力に位相差が生じる。また、一対の連結部材のうち一方の振動減衰特性と他方の振動減衰特性との比を、1.5倍以上としているため、一対の連結部材のうち一方が受ける入力の位相と他方が受ける入力との位相が、逆位相の関係となる。このため、左右の前輪から車体に伝達する振動が、互いに効率良く打ち消し合うこととなり、車体に伝達する振動を低減することが可能となる。
特開2002−48182号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、車両の前進走行時に路面上の突起を乗り越す場合等、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に時間差が発生する場合には、適用することが困難である。これは、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に発生する時間差が、走行時の車速に応じて変化し、前輪が受ける入力の位相と後輪が受ける入力の位相が、走行時の車速に応じて変化するためである。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、走行時の車速に応じて、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に位相差を生じさせることが可能な前輪用サスペンション装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、アーム部材を介して、前輪を回転自在に支持する車輪支持部材と車体とを連結する前輪用サスペンション装置であって、
前記前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、前記前輪の車両前後方向への固有振動と、前記前輪の車両前後方向後方に配置した後輪の車両前後方向への固有振動とに位相差が生じるように、前記車輪支持部材または前記車体と前記アーム部材とを連結する連結部材の支持剛性を制御する。
本発明によれば、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に、走行時の車速に応じて位相差を生じさせることが可能となり、走行時に、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に時間差が発生する場合であっても、車体に伝達する振動を低減することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態の前輪用サスペンション装置1を備えた車両Cを示す側面図である。また、図2は、図1のII線矢視図であり、前輪用サスペンション装置1及びその周辺の断面図である。なお、図2中では、説明のために、前輪用サスペンション装置1及びその周辺以外の記載を省略している。
図1中に示すように、車両Cは、車両前後方向に配列した前輪2及び後輪4を有する車両である。なお、図1中には、前輪2と後輪4とのホイールベースを、符号Lを付して記載している。
また、車両Cは、前輪用サスペンション装置1を備えている。なお、本実施形態では、左前輪に用いる前輪用サスペンション装置1について説明する。また、右前輪に用いる前輪用サスペンション装置1についても、同様の構成とする。
前輪2には、前輪速センサ6を設けている。
前輪速センサ6は、前輪2の回転速度を検出し、この検出した回転速度を含む車速信号FSを、後述する固有振動記憶部8に出力する。なお、車速信号FSとしては、上述した回転速度の他に、例えば、前輪2の回転角や回転数等を用いてもよい。
図1及び図2中に示すように、前輪用サスペンション装置1は、アーム式サスペンションであり、前輪2と車体との間に配置してある。
また、前輪用サスペンション装置1は、アーム部材10と、定剛性連結部材12と、可変剛性連結部材14と、支持剛性制御手段16とを備えている。
アーム部材10は、上面視で略L字状の部材である。アーム部材10の一方の辺は、車幅方向に延在しており、アーム部材10の他方の辺は、一方の辺の車幅方向内方の端部から車両前後方向後方へ延在している。また、アーム部材10は、三箇所の連結部を備えており、車輪支持部材18(アクスル)と、車体の一部を構成する車体側部材20とを連結する。なお、本実施形態では、車体側部材20を、サスペンションメンバとした場合について説明する。
アーム部材10が備える三箇所の連結部のうち一箇所は、車輪支持部材18側の連結部である。この連結部は、車輪支持部材18に対し、定剛性連結部材12を介して、上下方向へ揺動可能な状態に取り付けてある。なお、図2中及び以下の説明では、車輪支持部材18側の連結部と車輪支持部材18とを連結する定剛性連結部材12を、定剛性連結部材12aと記載する。
また、アーム部材10が備える三箇所の連結部のうち残りの二箇所は、車体側部材20側の連結部である。これらの連結部は、車体側部材20に対し、定剛性連結部材12及び可変剛性連結部材14を介して、上下方向へ揺動可能な状態に取り付けてある。なお、図2中及び以下の説明では、車輪支持部材18側の連結部と車体側部材20とを連結する定剛性連結部材12を、定剛性連結部材12bと記載する。可変剛性連結部材14は、定剛性連結部材12bよりも、車両前後方向後方に配置してある。これは、アーム部材10が備える二箇所の車体側部材20側の連結部のうち、車両前後方向後方の連結部が、車輪支持部材18が受ける車両前後方向への入力の大部分が伝達するためである。
以上により、アーム部材10は、車輪支持部材18と車体側部材20とを連結して、前輪2を車体に懸架している。
車輪支持部材18は、円板状に形成してあり、前輪2を回転自在に支持する。
また、車輪支持部材18は、アーム部材10とは別に、公知のタイロッド22を介して、ステアリングギアボックス24に連結している。すなわち、前輪2は、車両Cの操舵輪を形成する。
以上により、前輪用サスペンション装置1は、アーム部材10、定剛性連結部材12、可変剛性連結部材14及び車輪支持部材18を介して、前輪2を車体に支持している。
定剛性連結部材12a,12bは、入れ子状に配置した外筒(図示せず)と内筒(図示せず)との間に、ゴム等の弾性を有する材質で形成した弾性体(図示せず)を介装して構成する。この弾性体は、前輪2が受けた入力に応じて弾性変形する。また、弾性体は、中実に形成してあり、その剛性は一定である。したがって、定剛性連結部材12による前輪2の支持剛性は一定である。なお、本実施形態では、外筒を、アーム部材10の連結部に固定する場合について説明する。同様に、内筒を、ボルト(図示せず)を介して、車体側部材20または車輪支持部材18に取り付けた場合について説明する。
可変剛性連結部材14の構成は、定剛性連結部材12a,12bの構成と異なる。
以下、図3を参照して、可変剛性連結部材14の詳細な構成について説明する。
図3は、図2のIII―III線断面図であり、可変剛性連結部材14の構成を示す断面図である。なお、図3中では、説明のために、可変剛性連結部材14及び後述する貫通軸26以外の図示を省略している。
図3中に示すように、可変剛性連結部材14は、外筒28と、内筒30と、弾性体32とを備えている。
外筒28は、円筒状に形成してあり、その外周面に、アーム部材10を介して車輪支持部材18を連結している。外筒28の内周面には、厚入等の手段により、弾性体32を結合している。
内筒30は、外筒28と同様、円筒状に形成してあり、その内周面に、車体側部材20の一部を構成する貫通軸26を連結している。内筒30の外周面には、厚入等の手段により、弾性体32を結合している。
弾性体32は、ゴム等の弾性を有する材質を用いて筒状に形成してあり、前輪2が受けた入力に応じて弾性変形する。具体的には、弾性体32は、車両Cの走行時に前輪2が路面上の突起等に衝突すると、前輪2が受けた入力の向き及び強さに応じた形状に弾性変形する。また、弾性体32は、上述したように、外筒28と内筒30とを結合している。なお、本実施形態では、可変剛性連結部材14が、外筒28及び内筒30を備えている構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、可変剛性連結部材14が、外筒28及び内筒30を備えていない構成としてもよい。この場合、接着等の固着手段により、弾性体32に、アーム部材10及び貫通軸26を直接結合してもよい。
弾性体32の内部には、液室40と、印加経路50と、空隙部60とを形成している。
液室40は、互いに独立して形成した三つの液室40から形成してある。
三つの液室40は、車幅方向に配列してある。なお、図3中及び以下の説明では、三つの液室40を、内筒30に近い順から遠い順に、第一液室41、第二液室42、第三液室43と記載する。
第一液室41、第二液室42及び第三液室43は、それぞれ、車幅方向と直交する方向(本実施形態では上下方向)に延在している。
第一液室41の形状は、後述するように、第一液室41内に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分が、第二液室42内に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分よりも小さくなるように形成してある。
また、第二液室42の形状は、後述するように、第二液室42内に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分が、第三液室43内に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分よりも小さくなるように形成してある。
以上により、第一液室41、第二液室42及び第三液室43の形状は、それぞれの内部に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分が、第一液室41、第二液室42、第三液室43の順に大きくなるように形成してある。なお、本実施形態では、内部に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分が、第一液室41、第二液室42、第三液室43の順に大きくなるように形成した場合について説明するが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、内部に封入した磁性流体62の硬化時における弾性体32の剛性増加分が、第一液室41、第二液室42及び第三液室43において、全て同一であってもよい。
第一液室41は、内筒30を間に挟んで対向する一対の第一子液室41a,41bから形成してある。第一子液室41aの容積と、第一子液室41bの形状は、互いに等しい。これらは、第二液室42及び第三液室43についても同様である。なお、図3中及び以下の説明では、第二液室42を形成する子液室を第二子液室42a,42b、第三液室43bを形成する子液室を第三子液室43a,43bと記載する。なお、本実施形態では、第一子液室41aの容積と第一子液室41bの形状が、互いに等しい場合について説明するが、これに限定するものではなく、第一子液室41aの容積と第一子液室41bの形状を、互いに異ならせてもよい。
第一液室41内には、磁性流体62を封入している。これは、第二液室42及び第三液室43についても同様である。すなわち、本実施形態の可変剛性連結部材14は、流体封入ブッシュである。
磁性流体62は、例えば、水等の液体を媒体とし、この媒体に、磁性微粒子と界面活性剤とを混合して形成してある。また、磁性流体62は、磁場を印加することにより、その硬度が変化する物性を有する。本実施形態では、磁性流体62の物性を、磁場の強さに因らず、磁場を印加すれば硬化する物性とする。
印加経路50は、その両端が、液室40を形成する一対の子液室に接続している。すなわち、印加経路50は、三つの印加経路50から形成してある。なお、図3中及び以下の説明では、三つの印加経路50を、それぞれ、第一子液室41a,41bに接続する第一印加経路51、第二子液室42a,42bに接続する第二印加経路52、第三子液室43a,43bに接続する第三印加経路53と記載する。
各印加経路50の両端部間には、それぞれ、印加部70を配置してある。すなわち、印加部70は、三つの印加部70から形成してある。なお、図3中及び以下の説明では、三つの印加部70を、それぞれ、第一印加経路51に配置した第一印加部71、第二印加経路52に配置した第二印加部72、第三印加経路53に配置した第三印加部73と記載する。
各印加部70は、例えば、ソレノイドによって形成してある。各印加部70に電流が流れると、この電流により磁場が発生する。発生した磁場は、各印加経路50により各液室40内の磁性流体62へ印加される。磁性流体62へ磁場が印加されると、磁性流体62が硬化して、弾性体32の剛性が増加する。
したがって、各印加部70に電流を流すことにより、各液室40内の磁性流体62へ磁場を印加して、弾性体32の剛性を増加することが可能となる。これにより、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を変化させることが可能となる。
空隙部60は、二つの空隙部60a,60bから形成してある。空隙部60aと空隙部60bは、内筒30を間に挟んで対向している。
空隙部60aは、第一印加部71及び第三印加部73と内筒30との間に配置してあり、空隙部60bは、第二印加部72と内筒30との間に配置してある。
なお、本実施形態では、弾性体32の内部に空隙部60を形成したが、これに限定するものではなく、弾性体32の内部に空隙部60を形成しなくともよい。
以下、図4から図8を参照して、支持剛性制御手段16の構成を説明する。
図4は、支持剛性制御手段16の構成を示すブロック図である。
図4中に示すように、支持剛性制御手段16は、固有振動記憶部8と、剛性記憶部34と、印加状態制御手段36と、電流印加部38とを備えている。
固有振動記憶部8は、車速と前輪2の車両前後方向への固有振動値との関係を示す固有振動マップを記憶している。
また、固有振動記憶部8は、前輪速センサ6から車速信号FSの入力を受けると、この車速信号FSに基づき、車速を算出する。ここで、車速信号FSに基づき車速を算出する方法としては、車速信号FSが含む前輪2の回転速度と前輪2の外径とに基づき、車速を算出する方法を用いる。そして、算出した車速と固有振動マップに基づき、前輪2の車両前後方向への固有振動値を印加状態制御手段36に出力する。
図5は、固有振動マップを示す図である。
図5中に示すように、固有振動マップは、横軸が車速(図中では「車速[km/h]」と記載する)を示し、縦軸が前輪2の車両前後方向への固有振動値(図中では「FR SUSP前後固有値[Hz]」と記載する)を示している。
図5中に示す複数の破線は、前輪2が車両前後方向へ変位する際の周期を示す線であり、図の右側から左側へ向かうにつれて、「(N+0.5)周期」(N=0,1,2,3…)を示している。なお、図中では、各破線の終端に、それぞれ、「(N+0.5)T」と記載している(0.5T〜5.5Tの範囲を記載)。
また、図5中に示す一点鎖線は、前輪2が車両前後方向へ変位する際の周期が1周期である状態を示す線である。なお、図中では、一点鎖線の終端に、「1T」と記載している。
また、図5中に示す実線は、前輪2が車両前後方向へ変位する際の周期が「(N+0.5)周期」(N=0,1,2,3…)である場合に、前輪2の車両前後方向への固有振動と、後輪4の車両前後方向への固有振動に位相差が生じる条件を示す線である。
前輪2が車両前後方向へ変位する際の周期が「(N+0.5)周期」である場合に、前輪2の車両前後方向への固有振動と、後輪4の車両前後方向への固有振動に位相差が生じる条件は、以下の手順により求められる。
車速をV、前輪2の車両前後方向への固有振動値をF、前輪2と後輪4とのホイールベースをL(図1中に記載)と規定すると、以下の式(1)を満足することにより、上記の条件を成立させることが可能となる。
F=(N+1/2)V/L (N=0,1,2,3…) …(1)
以下、上述した条件を、前輪2が車両前後方向へ変位する際の周期が「(N+0.5)周期」(N=0,1,2,3…)である場合とした理由について説明する。
図6は、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相との関係を示す図である。なお、図6中には、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相(図中に示す「Fr」)を上段に示し、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相(図中に示す「Rr」)を上段に示している。
図6中に示すように、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相との間に、0.5周期の位相差が生じている場合、両者の位相が逆位相となる。この状態では、両者の位相が干渉し合うことにより互いに打ち消しあい、前輪2から車体に伝達する振動と後輪4から車体に伝達する振動が、最大限に弱め合うこととなる。
なお、本実施形態では、上述したように、固有振動マップを、複数の線を用いて、0.5周期毎に、車速と前輪2の車両前後方向への固有振動値との関係を示す図としたが、これに限定するものではない。すなわち、固有振動マップを、一本の線を用いて、車速と前輪2の車両前後方向への固有振動値との関係を示す図としてもよい。
以下、図4を参照した説明に戻る。
剛性記憶部34は、三つの液室40内に封入した磁性流体62へ個別に磁場を印加した場合の、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性と、定剛性連結部材12a,12bによる前輪2の支持剛性とを記憶している。
印加状態制御手段36は、固有振動記憶部8が記憶している固有振動マップと、剛性記憶部34が記憶している、可変剛性連結部材14の支持剛性及び定剛性連結部材12a,12bの支持剛性とに基づき、各印加部70へ流す電流を演算する。そして、この演算した電流を含む制御信号を、電流印加部38へ出力する。
以下、印加状態制御手段36が、各印加部70へ流す電流を演算する手順について説明する。
図7は、印加状態制御手段36が行う演算を示す図である。
印加状態制御手段36は、まず、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相が逆位相となる、前輪2の車両前後方向への固有振動値を算出する。この固有振動値は、図7(a)に示す車速と前輪2の車両前後方向への固有振動値(図中では「固有値」と記載する)を示すマップに基づいて算出する。
次に、上記算出した前輪2の車両前後方向への固有振動値を実現するために必要となる、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を算出する。この支持剛性は、図7(b)に示す剛性と前輪の車両前後方向への固有振動値(図中では「固有値」と記載する)を示すマップに基づいて算出する。
上記可変剛性連結部材14の支持剛性は、以下の式(2)を満足することにより算出する。
ここで、式(2)の演算に際しては、可変剛性連結部材14の支持剛性をK1、定剛性連結部材12の支持剛性をK2、前輪2の車両前後方向への固有振動値をF、車輪支持部材18、前輪2及びアーム部材10の総重量をmと規定する。なお、定剛性連結部材12の支持剛性K2は、定剛性連結部材12aの支持剛性と定剛性連結部材12bの支持剛性との平均値とする。定剛性連結部材12aの支持剛性と定剛性連結部材12bの支持剛性は、剛性記憶部34から取得する。
K1=(2πF)2m−K2 …(2)
そして、上記算出した可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性K1を実現するために必要となる、各印加部70に流す電流を含んだ制御信号を演算する。この制御信号は、図7(c)に示す剛性と制御信号を示すマップに基づいて算出する。
上記制御信号を算出する際には、剛性記憶部34が記憶している、三つの液室40内に封入した磁性流体62へ個別に磁場を印加した場合の、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を用いる。
図8は、三つの液室40内に封入した磁性流体62へ個別に磁場を印加した場合の、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性(図中では「剛性値」と記載する)を示す図である。なお、図8中では、三つの液室40内に封入した磁性流体62に対し、磁場を印加した場合を「On」と記載し、磁場を印加していない場合を「Off」と記載する。
図8中に示すように、第一液室41、第二液室42及び第三液室43内に封入した磁性流体62に対して、個別に磁場を印加すると、各液室40への磁場の印加状態により、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性が変化する。本実施形態では、三つの液室40内に封入した磁性流体62に対し、個別に磁場を印加するため、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を8段階に変化させることが可能である。
したがって、上記制御信号を算出する際には、第一液室41、第二液室42及び第三液室43内に封入した磁性流体62に対して、個別に磁場を印加するために、第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73へ流す電流を算出する。なお、本実施形態では、磁性流体62の物性を、磁場の強さに因らず、磁場を印加すれば硬化する物性とするため、電流の大小に因らず、各印加部70へ電流を流すか否かにより、弾性体32の剛性を変化させることが可能である。これにより、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を変化させることが可能である。
以上により、印加状態制御手段36は、前輪2の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、磁性流体62への磁場の印加状態を制御する。
以下、図4を参照した説明に戻る。
電流印加部38は、印加状態制御手段36が算出した制御信号の入力を受けると、この制御信号に応じて、第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73へ、電流指令値信号ISを出力する。電流指令値信号ISの入力を受けた第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73には、上記制御信号に応じた電流が流れる。ここで、各印加部70へ流す電流の電源としては、例えば、車両Cに既存のバッテリを用いる。
以上により、支持剛性制御手段16は、前輪2の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、前輪2の車両前後方向への固有振動と、後輪4の車両前後方向への固有振動に位相差が生じるように、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を制御する。
なお、上述した電流印加部38、印加部70及び印加経路50は、磁性流体62へ磁場を印加する印加手段を形成している。
(動作)
次に、図1から図8を参照しつつ、図9を用いて、前輪用サスペンション装置1を備えた車両Cの動作について説明する。なお、図9は、前輪用サスペンション装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、前輪用サスペンション装置1の動作について説明する。
図9のフローチャートは、車両Cの走行時(以下、特に記載しない場合は「前進走行時」)に前輪2が回転する状態からスタートする。
前輪2が回転すると、所定のサンプリング時間毎に、前輪速センサ6が、前輪2の回転速度を検出する(ステップS10)。そして、この検出した回転速度を含む車速信号FSを、固有振動記憶部8に出力する。
車速信号FSの入力を受けた固有振動記憶部8は、車速信号FSと固有振動マップに基づき、前輪2の車両前後方向への固有振動値を算出する(ステップS20)。そして、この算出した固有振動値を、印加状態制御手段36に出力する。
固有振動値の入力を受けた印加状態制御手段36は、まず、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相が逆位相となる、前輪2の車両前後方向への固有振動値を算出する。
次に、印加状態制御手段36は、上記の固有振動値を実現するために必要となる、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を算出する(ステップS30)。
そして、印加状態制御手段36は、上記算出した可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を実現するために必要となる、各印加部70に流す電流を含んだ制御信号を演算し、この演算した電流を含む制御信号を、電流印加部38へ出力する。
上記制御信号の入力を受けた電流印加部38は、この制御信号に応じて、第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73へ、電流指令値信号ISを出力する(ステップS40)。
電流印加部38が、第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73へ電流指令値信号ISを出力すると、図9のフローチャートは終了する(END)。そして、次のサンプリング時間になると、ステップS10からENDまでの処理を行い、サンプリング時間における車速に応じた処理を行う。
第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73へ電流指令値信号ISを出力すると、第一印加部71、第二印加部72及び第三印加部73に、制御信号に応じた電流が流れる。これにより、第一液室41、第二液室42及び第三液室43内に封入した磁性流体62に対して、個別に磁場が印加され、制御信号に応じて、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性が変化する。そして、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性が、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相が逆位相となる、前輪2の車両前後方向への固有振動値を実現する値となる。
次に、前輪用サスペンション装置1を備えた車両Cの動作について説明する。
車両の前進走行時に、前輪2が路面上の突起に衝突すると、この前輪2は、車両前後方向後方への入力を受けて、当初の位置から車両前後方向後方へ変位し、突起を乗り越す。そして、車両前後方向後方へ変位した前輪2は、前輪用サスペンション装置1により、当初の位置へ向けて車両前後方向前方へ変位する。このような前輪2の車両前後方向への変位は、時間の経過につれて収束する。
前輪2が突起を乗り越した後、車速に応じた時間差を空けて、同じ突起に後輪4が衝突する。突起に衝突した後輪4は、車両前後方向後方への入力を受けて、当初の位置から車両前後方向後方へ変位し、突起を乗り越す。
このとき、上述したように、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を、前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相が逆位相となる、前輪2の車両前後方向への固有振動値を実現する値としている。
このため、後輪4が車両前後方向後方へ変位する際には、前輪2が車両前後方向前方へ変位することとなる。また、両者の固有振動には、0.5周期の位相差を生じさせている。
以上により、前輪2から車体に伝達する振動と後輪4から車体に伝達する振動が、最大限に弱め合うこととなるため、前輪2が乗り越した突起に後輪4が衝突した際に、車体に伝達する振動を低減することが可能となる。
(第一実施形態の効果)
(1)本実施形態の前輪用サスペンション装置では、前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、前輪の車両前後方向への固有振動と、後輪の車両前後方向への固有振動とに位相差が生じるように、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御する。
このため、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に、走行時の車速に応じて位相差を生じさせることが可能となり、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力が、互いに弱め合うこととなる。
その結果、走行時に、前輪が受ける入力と後輪が受ける入力に時間差が発生する場合であっても、車体に伝達する振動を低減することが可能となる。これにより、突起の乗り越し時に、車体に伝達する振動を低減することが可能となるため、車両の乗り心地を向上させることが可能となる。
(2)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、前輪の車両前後方向への固有振動と後輪の車両前後方向への固有振動が逆位相となるように、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御する。
その結果、前輪から車体に伝達する振動と後輪から車体に伝達する振動が、最大限に弱め合うこととなるため、前輪が乗り越した突起に後輪が衝突した際に、車体に伝達する振動を低減することが可能となる。
(3)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、可変剛性連結部材が備える弾性体の内部に、磁性流体を封入した液室を形成している。また、磁性流体へ磁場を印加する印加手段と、前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、磁性流体への磁場の印加状態を制御する印加状態制御手段とを備える。
このため、前輪用サスペンション装置に既存の連結部材を用いて、前輪の車両前後方向への固有振動と、後輪の車両前後方向への固有振動とに位相差が生じるように、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御することが可能となる。
その結果、車両の製造コスト増加を抑制することが可能となるとともに、車両の乗り心地を向上させることが可能となる。
(4)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、弾性体の内部に液室を複数形成している。また、印加状態制御手段が、複数の液室内に封入した磁性流体への磁場の印加状態を、個別に制御する。
その結果、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を、複数の段階に変化させることが可能となり、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を、高精度に制御することが可能となる。
(応用例)
(1)なお、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、前輪の車両前後方向への固有振動と、後輪の車両前後方向への固有振動とに位相差が生じるように、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御する。しかしながら、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性の制御は、これに限定するものではない。すなわち、前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に加え、前輪が受けた車両前後方向への入力に応じて、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御してもよい。
具体的には、車両の走行時において、前輪が路面上の突起に衝突し、前輪が受けた車両前後方向への入力が所定の値を超えた場合に、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御してもよい。この場合、上述した構成に加え、前輪の変位を検出する前輪変位センサを設け、この前輪変位センサが検出した前輪の変位を、支持剛性制御手段へ出力する。なお、上記「所定の値」は、例えば、衝突する突起の高さに応じて調節し、路面上の小石等に対する前輪の微小な変位は、制御対象としないようにすることが好適である。
また、車両の走行時には、上述したように、前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、前輪の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪の車両前後方向への固有振動の位相が逆位相となる、前輪の車両前後方向への固有振動値を算出する。また、この算出した可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を実現するために必要となる、各印加部に流す電流を含んだ制御信号を演算しておく。
そして、前輪が路面上の突起に衝突し、前輪が受けた車両前後方向への入力が所定の値を超えた際に、上記演算した電流を含む制御信号を、電流印加部へ出力する。
このような構成であれば、前輪が路面上の突起に衝突していない場合等、前輪が受けた車両前後方向への入力が所定の値未満である状態では、各印加部に電流が流れないため、電力の消費量を低減することが可能となる。
(2)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、前輪の車両前後方向への固有振動と後輪の車両前後方向への固有振動が逆位相となるように、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御したが、これに限定するものではない。すなわち、前輪の車両前後方向への固有振動と後輪の車両前後方向への固有振動が略逆位相となるように、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御してもよい。
また、前輪の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪の車両前後方向への固有振動の位相との位相差を、逆位相または略逆位相、すなわち、180°前後より広い幅に設定してもよい。この場合、前輪の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪の車両前後方向への固有振動の位相との位相差を、例えば、90°〜270°の範囲内とする。要は、前輪の車両前後方向への固有振動と後輪の車両前後方向への固有振動に、前輪から車体に伝達する振動と後輪から車体に伝達する振動が、互いに弱め合う条件の位相差を生じさせればよい。
(3)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、可変剛性連結部材が備える弾性体の内部に、磁性流体を封入した液室を形成し、磁性流体への磁場の印加状態を制御して、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御している。しかしながら、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御する構成は、これに限定するものではない。すなわち、例えば、可変剛性連結部材が備える弾性体の外周を、アクチュエータに接続し、弾性体の変位を規制する把持部材によって把持することにより、可変剛性連結部材による前輪の支持剛性を制御してもよい。
(4)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、弾性体の内部に液室を複数形成し、複数の液室内に封入した磁性流体への磁場の印加状態を、個別に制御しているが、これに限定するものではない。すなわち、弾性体の内部に、液室を一つのみ形成し、この液室内に封入した磁性流体への磁場の印加状態を制御してもよい。
(5)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、前輪と後輪を有する車両を対象としているが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、車両前後方向に三個以上の車輪を備える車両に適用してもよい。この場合、例えば、最前列の車輪より後方の車輪を前輪とし、この前輪よりも後方の車輪を後輪としてもよい。
(6)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、可変剛性連結部材以外に、定剛性連結部材を介して、アーム部材と前輪または車体側部材とを連結したが、これに限定するものではない。すなわち、定剛性連結部材の代わりに、例えば、ピロボールを介して、アーム部材と前輪または車体側部材とを連結してもよい。
(7)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、車体側部材を、サスペンションメンバとしたが、車体側部材は、これに限定するものではなく、サブフレームやメインフレームとしてもよい。
(8)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、前輪用サスペンション装置を、アーム式サスペンションとしたが、これに限定するものではない。すなわち、図10及び図11中に示すように、前輪用サスペンション装置1を、リンク式サスペンション等、アーム式サスペンション以外の形式に適用してもよい。
ここで、前輪用サスペンション装置1を、例えば、リンク式サスペンションに適用した場合、図10及び図11中に示すように、リンク80(ロアリンク、アッパーリンク、テンションロッド等)と車体側部材20との連結に、可変剛性連結部材14を用いる。ここで、リンク80と車体側部材20との連結に可変剛性連結部材14を用いる位置は、車輪支持部材18へ加わった車両前後方向への入力の大部分が伝達する位置とすることが好適である。なお、図10及び図11は、本実施形態の変形例を示す図である。
(9)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、アーム部材の形状を、一方の辺が車幅方向に延在し、他方の辺が一方の辺の車幅方向内方の端部から車両前後方向後方へ延在している形状としたが、アーム部材の形状は、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図12中に示すように、アーム部材10の形状を、一方の辺が車幅方向に延在し、他方の辺が一方の辺の車幅方向内方の端部から車両前後方向前方へ延在している形状としてもよい。この場合、可変剛性連結部材14を、定剛性連結部材12よりも、車両前後方向前方に配置することが好適である。なお、図12は、本実施形態の変形例を示す図である。
(10)また、本実施形態の前輪用サスペンション装置では、アーム部材を、上面視で略L字状の部材としたが、アーム部材は、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図13中に示すように、アーム部材10を、上面視で略A字状の部材としてもよい。この場合、図13中に示すように、アーム部材10が備える二箇所の車体側部材20側の連結部に対して、共に可変剛性連結部材14を用いてもよい。また、アーム部材10が備える二箇所の車体側部材20側の連結部に対して、一方のみに可変剛性連結部材14を用いてもよい。なお、図13は、本実施形態の変形例を示す図である。
本発明の前輪用サスペンション装置1を備えた車両Cを示す側面図である。 図1のII線矢視図であり、前輪用サスペンション装置1及びその周辺の断面図である。 図2のIII―III線断面図であり、可変剛性連結部材14の構成を示す断面図である。 支持剛性制御手段16の構成を示すブロック図である。 固有振動マップを示す図である。 前輪2の車両前後方向への固有振動の位相と、後輪4の車両前後方向への固有振動の位相との関係を示す図である。 印加状態制御手段36が行う演算を示す図である。 三つの液室40内に封入した磁性流体62へ個別に磁場を印加した場合の、可変剛性連結部材14による前輪2の支持剛性を示す図である。 前輪用サスペンション装置1の動作を示すフローチャートである。 本発明の変形例を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。
符号の説明
1 前輪用サスペンション装置
2 前輪
4 後輪
6 前輪速センサ
8 固有振動記憶部
10 アーム部材
12 定剛性連結部材
14 可変剛性連結部材
16 支持剛性制御手段
18 車輪支持部材
20 車体側部材
28 外筒
30 内筒
32 弾性体
34 剛性記憶部
36 印加状態制御手段
38 電流印加部
40 液室
50 印加経路
60 空隙部
62 磁性流体
70 印加部
80 リンク
C 車両
L 前輪2と後輪4とのホイールベース
FS 車速信号
IS 電流指令値信号

Claims (5)

  1. 前輪を回転自在に支持する車輪支持部材と車体とをアーム部材を介して連結する前輪用サスペンション装置であって、
    前記車輪支持部材または前記車体と前記アーム部材とを連結する連結部材と、当該連結部材の支持剛性を、前記前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて、前記前輪の車両前後方向への固有振動と、前記前輪の車両前後方向後方に配置した後輪の車両前後方向への固有振動とに位相差が生じるように制御する支持剛性制御手段と、を備えることを特徴とする前輪用サスペンション装置。
  2. 前記支持剛性制御手段は、前記前輪が受けた車両前後方向への入力が所定の値を超えた場合に、前記前輪の車両前後方向への固有振動と前記後輪の車両前後方向への固有振動に位相差が生じるように前記連結部材の支持剛性を制御することを特徴とする請求項1に記載した前輪用サスペンション装置。
  3. 前記支持剛性制御手段は、前記前輪の車両前後方向への固有振動と前記後輪の車両前後方向への固有振動が逆位相または略逆位相となるように前記連結部材の支持剛性を制御することを特徴とする請求項1または2に記載した前輪用サスペンション装置。
  4. 前記連結部材は、内部に液室を形成した弾性体を介して前記前輪または前記車体と前記アーム部材とを連結し、
    前記液室内に磁性流体を封入し、
    前記磁性流体へ磁場を印加する印加手段と、前記前輪の車両前後方向への固有振動及び車速に応じて前記磁性流体への前記磁場の印加状態を制御する印加状態制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した前輪用サスペンション装置。
  5. 前記液室を複数形成し、
    前記印加状態制御手段は、前記複数の液室内に封入した前記磁性流体への前記磁場の印加状態を個別に制御することを特徴とする請求項4に記載した前輪用サスペンション装置。
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