JP2009208633A - 車両の制御装置および車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロックアップクラッチの係合時において駆動系からガタ打ち音が生じるのを防ぐことが可能な車両の制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】トルクコンバータ300に設けられたロックアップクラッチが係合状態である場合、4WD_ECU2000は電子制御カップリング900を制御することにより後輪1100側に伝達されるトルクを増加させる。これにより、ギヤ等を含む後輪側の駆動系(たとえばトランスファ500)において被駆動側のギヤが駆動側のギヤに押し付けられた状態が生成される。このため、ロックアップクラッチが係合したときにギヤ同士の衝撃が生じるのを防ぐことができる。よって、ガタ打ち音が発生するのを抑制することができる。
【選択図】図1
【解決手段】トルクコンバータ300に設けられたロックアップクラッチが係合状態である場合、4WD_ECU2000は電子制御カップリング900を制御することにより後輪1100側に伝達されるトルクを増加させる。これにより、ギヤ等を含む後輪側の駆動系(たとえばトランスファ500)において被駆動側のギヤが駆動側のギヤに押し付けられた状態が生成される。このため、ロックアップクラッチが係合したときにギヤ同士の衝撃が生じるのを防ぐことができる。よって、ガタ打ち音が発生するのを抑制することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は車両の制御装置および車両の制御方法に関し、特に、4輪駆動車を制御する技術に関する。
従来から、前輪および後輪にトルクを伝達することによって走行可能な4輪駆動車が知られている。4輪駆動車は、その前輪および後輪にトルクを伝達可能に構成されるため、2輪駆動車に比べて駆動系を構成する部品が多くなる。そのため、4輪駆動車においては、車輪へのトルクの伝達状態あるいは車両の走行状態が変化する際に、駆動系のギヤ等におけるバックラッシュが詰まるときの異音(ガタ打ち音)が、2輪駆動車に比べて生じやすくなる傾向にある。そこで、4輪駆動車においてガタ打ち音を抑制する技術が提案されている。
たとえば特開2003−326995号公報(特許文献1)は、駆動および被駆動の切換わりによる駆動系のガタ打ち音を低減することが可能な前後輪駆動車用の駆動装置を開示する。上記文献に記載の前後輪駆動車は、前輪側の駆動手段であるエンジンとは独立したモータにより後輪を駆動するよう構成される。駆動装置は、そのモータに対して微小なプレトルクを付与するプレトルク付与手段を備える。上記文献によれば、モータに対して微小なプレトルクを常時付与することにより、駆動力伝達機構におけるギヤ間でのガタが詰まるため、ガタ打ち音を解消させることが可能になる。
特開2003−326995号公報
特開昭63−61635号公報
特開平5−178108号公報
特開2007−137124号公報
多くの4輪駆動車は、変速機として自動変速機を備えている。一般に自動変速機は流体クラッチの一種であるトルクコンバータを介してエンジンと連結される。そして、トルクコンバータの中には、トルクの伝達効率を向上するためにロックアップクラッチが設けられるものがある。
また、4輪駆動車の中には、油圧等を用いてトルクの伝達量を変更可能な電子制御カップリングを備えたものがある。前輪もしくは後輪に対して電子制御カップリングからトルクが伝達されて前輪と後輪との差動が制限されることにより、4輪駆動車の走行状態が2輪駆動状態から4輪駆動状態に変更されたり、前後のトルク配分が変更されたりする。
したがって、4輪駆動車の中には、ロックアップクラッチを含むトルクコンバータと、自動変速機と、電子制御カップリングを搭載するものがある。このような4輪駆動車において、副駆動輪(たとえば後輪)を駆動する駆動系(ギヤを含む)では、その副駆動輪に伝達されるトルクに応じてガタが駆動側あるいは被駆動側に詰まる。
ロックアップクラッチが係合した場合、トルクコンバータの入力軸側(エンジン側)とトルクコンバータの出力軸側(自動変速機側)とが直結されることになる。このときに、ガタ打ち音が発生する可能性がある。しかしながら、特開2003−326995号公報には、ロックアップクラッチの係合については特に記載されていない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ロックアップクラッチの係合時において駆動系からガタ打ち音が生じるのを防ぐことが可能な車両の制御装置および制御方法を提供することである。
本発明は、要約すれば、動力源と、自動変速機と、その係合状態において動力源と自動変速機とを直結状態にするためのロックアップクラッチを含む流体継手と、複数のギヤによって自動変速機からのトルクを主駆動輪および副駆動輪に伝達するトルク伝達装置と、副駆動輪に伝達されるトルクの大きさを調整可能なトルク調整装置とを含む車両の制御装置である。制御装置は、トルク算出部と、判定部と、トルク補正部と、トルク制御部とを備える。トルク算出部は、車両の走行状態を示す情報に基づいて、副駆動輪に伝達されるべきトルク伝達量を算出する。判定部は、ロックアップクラッチが係合状態および解放状態のいずれであるかを判定する。トルク補正部は、判定部によりロックアップクラッチが係合状態であると判定された場合、トルク算出部の算出したトルク伝達量よりも大きなトルクが得られるように、トルク算出部の算出したトルク伝達量を補正する。トルク制御部は、トルク補正部により補正されたトルク伝達量に基づいて、トルク調整装置を制御する。
好ましくは、トルク補正部は、ロックアップクラッチが係合状態である場合には、トルク伝達量が所定値を下回らないように、トルク伝達量を補正する。
より好ましくは、トルク補正部は、判定部によって、ロックアップクラッチが解放状態であると判定された場合には、トルク算出部の算出したトルク伝達量を、トルク制御部にそのまま出力する。
本発明の他の局面に従うと、動力源と、自動変速機と、その係合状態において動力源と自動変速機とを直結状態にするためのロックアップクラッチを含む流体継手と、複数のギヤによって自動変速機からのトルクを主駆動輪および副駆動輪に伝達するトルク伝達装置と、副駆動輪に伝達されるトルクの大きさを調整可能なトルク調整装置とを含む車両の制御方法である。制御方法は、車両の走行状態を示す情報に基づいて、副駆動輪に伝達されるべきトルク伝達量を算出するステップと、ロックアップクラッチが係合状態および解放状態のいずれであるかを判定するステップと、判定部によりロックアップクラッチが係合状態であると判定された場合、トルク算出部の算出したトルク伝達量よりも大きなトルクが得られるように、トルク算出部の算出したトルク伝達量を補正するステップと、補正されたトルク伝達量に基づいて、トルク調整装置を制御するステップとを備える。
好ましくは、トルク伝達量を補正するステップは、ロックアップクラッチが係合状態である場合には、トルク伝達量が所定値を下回らないように、トルク伝達量を補正する。
より好ましくは、トルク伝達量を補正するステップは、判定するステップにおいて、ロックアップクラッチが解放状態であると判定された場合には、算出するステップにおいて算出されたトルク伝達量を、そのまま出力する。
本発明によれば、ロックアップクラッチの係合時において駆動系からガタ打ち音が生じるのを防ぐことが可能になる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に示すように、本実施の形態における車両100は、エンジン200と、トルクコンバータ300と、自動変速機400と、トランスファ500と、フロントデファレンシャル600と、前輪700と、プロペラシャフト800と、電子制御カップリング900と、リアデファレンシャル1000と、後輪1100と、4WD_ECU(Electronic Control Unit)2000とを備える。本実施の形態に係る車両の制御装置は、たとえば4WD_ECU2000により実行されるプログラムにより実現される。
エンジン200の駆動力(トルク)は、トルクコンバータ300、自動変速機400、フロントデファレンシャル600、ドライブシャフト602、トランスファ500、プロペラシャフト800、電子制御カップリング900、リアデファレンシャル1000、ドライブシャフト1002からなる駆動系(ドライブライン)を介して車輪に伝達される。
図1に示した車両100は、前輪700を主駆動輪とし、後輪1100を副駆動輪とするFFベースの4輪駆動車である。ただし本実施の形態に係る車両は、特にこれに限定されるものではなく、たとえば、後輪を主駆動輪とし、前輪を副駆動輪とするFRベースの4輪駆動車でもよい。
トルクコンバータ300は、エンジン200と自動変速機400との間に設けられる流体クラッチである。トルクコンバータ300は、エンジン200から出力されたトルクを増幅する機能を実現する。なお図1に示さないが、トルクコンバータ300は、その入力軸と出力軸とを直結状態にするためのロックアップクラッチを有する。
自動変速機400は、プラネタリギヤユニットからなる有段式の変速機であってもよく、無段階に変速比を変更するCVT(Continuously Variable Transmission)であってもよい。
フロントデファレンシャル600は、ドライブシャフト602を介して前輪700に接続される。自動変速機400には、フロントデファレンシャル600のケースを介してトランスファ500が接続される。
トランスファ500は、自動変速機400から出力されるトルクを前輪側と後輪側とに分配するための装置である。トランスファ500には、エンジン200のトルクを後輪側に伝達するプロペラシャフト800が設けられる。プロペラシャフト800の後輪側の端部は、電子制御カップリング900の入力側に接続される。電子制御カップリング900の出力側には、リアデファレンシャル1000が接続される。リアデファレンシャル1000は、ドライブシャフト1002を介して後輪1100に接続される。
エンジン200で発生する駆動力(トルク)は、トルクコンバータ300、自動変速機400、フロントデファレンシャル600およびドライブシャフト602を介して前輪700に伝達される。また、エンジン200で発生するトルクは、トルクコンバータ300、自動変速機400、フロントデファレンシャル600、トランスファ500、プロペラシャフト800および電子制御カップリング900を介してリアデファレンシャル1000に伝達される。リアデファレンシャル1000に伝達されたトルクは、ドライブシャフト1002を介して後輪1100に伝達される。
車両100において、エンジン200からのトルクを前輪700あるいは後輪1100に伝達するための部分(トルク伝達経路)には、複数のギヤ、スプライン等が配置されている。ただし、図1では、その経路における複数のギヤ等を単純化して示している。
電子制御カップリング900は、プロペラシャフト800から伝達されるトルクを入力として、4WD_ECU2000から出力される指令電流に基づいて、リアデファレンシャル1000に出力するトルクの伝達量を調整する。電子制御カップリング900は、たとえば、多板クラッチ等から構成される。そのクラッチの圧着力は、指令電流に基づいて制御される。すなわち、電子制御カップリング900は、クラッチがその解放状態から直結状態までの間で制御されることにより、自動変速機400と後輪1100との間におけるトルクの伝達量を制御する。なお、電子制御カップリング900により、自動変速機400と前輪700との間におけるトルクの伝達量を制御するようにしてもよい。
電子制御カップリング900は、車両100の走行状態に応じてトルクの伝達量を調整する。具体的には、前輪700と後輪1100との回転数差に基づいて、後輪1100へのトルクの伝達量を調整する。
たとえば、前輪700と後輪1100との回転数差が比較的小さい乾燥路面上を車両100が走行する場合には、電子制御カップリング900が解放状態になるように制御され、後輪1100へのトルク伝達が遮断される。この場合、車両100は、主駆動輪である前輪700の2輪のみにエンジン200からトルクが伝達されて走行する。乾燥路面においては、路面の摩擦係数が高く、前後輪の回転状態に偏差は生じにくいため、2輪駆動でもトラクション性能を確保することができる。2輪駆動で走行することにより、駆動抵抗は4輪駆動のときよりも減少するため、燃費を向上させることができる。
一方、車両100が路面の摩擦係数が低く、前輪700と後輪1100との回転数差が大きくなりやすい低μ路面上を車両100が走行する場合には、電子制御カップリング900は、後輪1100にトルクを伝達するように制御される。この場合、車両100は4輪駆動で走行する。4輪駆動で走行することにより、トラクション性能を向上させることができる。
4WD_ECU2000は、各種センサ等からの信号に応じて電子制御カップリング900を制御することで、後輪側に伝達されるトルクの大きさを制御する。4WD_ECU2000は、車輪速センサ2100、スロットルポジションセンサ2300、エンジン回転数センサ2400、および前後Gセンサ2500の各々から信号を受ける。
車輪速センサ2100は、前輪700および後輪1100の車輪速(4つの車輪の各々の速度)を検出して、その検出結果を示す信号を4WD_ECU2000に送信する。スロットルポジションセンサ2300は、エンジン200の吸気量を調整するためのスロットルバルブ(図1に示さず)の開度を検出して、その検出結果を示す信号を4WD_ECU2000に送信する。エンジン回転数センサ2400は、エンジン200の出力軸(クランクシャフト)の回転数を検出して、その検出結果を示す信号をECU200に送信する。前後Gセンサ2500は、車両100の前後方向のG(加速度)を検出して、その検出結果を示す信号を4WD_ECU2000に送信する。
さらに、4WD_ECU2000は、使用中のシフトポジションを示すシフトポジション信号、ロックアップクラッチが係合状態または解放状態に制御されていることを示すロックアップクラッチ制御信号を受ける。4WD_ECU2000はこれらの信号に基づいて指令電流を生成する。なお、4WD_ECU2000への入力信号は図1に示したものに限定されない。
図2は、トルクコンバータ300およびその周辺の構成を示した図である。図2を参照して、エンジン200の出力軸は、トルクコンバータ300の入力軸に接続される。エンジン200とトルクコンバータ300とは回転軸により連結されている。したがってエンジン回転数センサ2400により検出されるエンジン200の出力軸回転数(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ300の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
トルクコンバータ300は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ310と、入力軸側のポンプインペラ320と、出力軸側のタービンランナ330と、トルク増幅機能を発現するステータ340と、ワンウェイクラッチ350とを含む。
トルクコンバータ300と自動変速機400とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ300の出力軸回転数(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ2410により検出される。自動変速機400の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ2420により検出される。
エンジン200、トルクコンバータ300および自動変速機400は、ECU3000により制御される。ECU3000は、エンジン200を制御するエンジンECU3010と、ECT(Electronic Controlled Transmission)_ECU3020とを含む。
ECT_ECU1020には、タービン回転数センサ2410からタービン回転数NTを表わす信号が、出力軸回転数センサ2420から出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU3020には、エンジンECU3010から、エンジン回転数センサ2400にて検出されたエンジン回転数NEを表わす信号と、スロットルポジションセンサにて検出されたスロットル開度を表わす信号と、シフトポジションセンサ2430にて検出されたシフトレバー3100の位置を表すシフトポジション信号と、アクセル開度センサ2440にて検出されたアクセルペダル3200の踏み込み量を表す信号と、車速を表す信号とが入力される。ECT_ECU3020は、これらの信号に基づいて、ロックアップクラッチ310の係合状態や自動変速機400における変速比等を制御する。なお、ロックアップクラッチ310を係合させる条件は、たとえば、アクセルペダル3200の踏み込み量と、車速とに基づいて予め定められる。
図1に示したシフトポジション信号は、エンジンECU3010から4WD_ECU2000に送られる。また、図1に示したロックアップクラッチ制御信号は、ECT_ECU3020から4WD_ECU2000に送られる。
図3は、図1に示した4WD_ECU2000の機能ブロック図である。なお、図3に示した構成を有する4WD_ECU2000は、上述したように、たとえばソフトウエアによって実現される。ただし図3に示した構成は、ハードウエアの組合せによって実現されてもよい。
図3を参照して、4WD_ECU2000は、トルク算出部2010と、ロックアップ判定部2020と、トルクガード部2030と、指令電流生成部2040とを含む。
トルク算出部2010は、車輪速、エンジン回転数、スロットルポジション、前後G、およびシフトポジション等、車両100の走行状況を示す情報に基づいて、車両100の後輪側に伝達されるトルクtoutを算出する。ロックアップ判定部2020は、ロックアップ制御信号(この信号は図2に示したECT_ECU3020より送られる)に基づいて、ロックアップクラッチ310が係合状態および解放状態のいずれの状態であるかを判定する。
トルクガード部2030は、トルク算出部2010から、トルクtoutを受けるとともに、ロックアップ判定部2020から、ロックアップクラッチ310が係合状態か否かについての判定結果を受ける。トルクガード部2030は、ロックアップクラッチが係合状態である場合には、トルクtoutを増加させる。具体的にはトルクガード部2030は、ロックアップクラッチが係合状態である間、トルクガード部2030はトルクtoutをある所定値以上に保つ。これにより、トルクtoutは、その所定値を下回らないようにガードされる。すなわち、トルクガード部2030は、ロックアップクラッチが係合状態である場合に、トルク算出部2010が算出したトルクtoutよりも大きなトルクが得られるようにトルクtoutを補正する。
一方、ロックアップクラッチが解放状態である場合には、トルクガード部2030は、トルク算出部2010から受けたトルクtoutをそのまま出力する。
指令電流生成部2040は、トルクガード部2030から受けるトルクtoutに基づいて、指令電流を生成し、その生成した指令電流を電子制御カップリング900に出力する。この指令電流に基づいて、電子制御カップリング900は、リアデファレンシャル1000に出力するトルクの伝達量を調整する。
図4は、図3に示した4WD_ECU2000により実行される後輪側トルクの制御処理を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、一定の時間ごと、または所定の条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図4および図3を参照して、処理が開始されると、ステップS1において、トルク算出部2010は、各種センサの出力信号が示す情報(上述したような車輪速、エンジン回転数、スロットルポジション等の情報)、すなわち車両100の走行状況を示す情報に基づいて、車両100の後輪側に伝達されるトルクとして、トルクtoutを算出する。
ステップS2において、ロックアップ判定部2020は、ロックアップ制御信号に基づいて、ロックアップクラッチが係合状態および解放状態のいずれの状態であるかを判定する。ロックアップクラッチが係合状態である場合(ステップS2においてYES)、処理はステップS3に進む。
ステップS3において、トルクガード部2030は、トルクtoutが所定値TGATA以上となるようにトルクtoutをガード(補正)する。トルク算出部2010が算出したトルクtoutがTGATAより小さい場合、トルクガード部2030は、トルクtoutを補正することによりトルクtoutを大きくする。たとえば、トルクガード部2030は、トルクtoutをTGATAに等しくする。所定値TGATAは、たとえば実験によって予め定められる。
一方、ロックアップクラッチが解放状態である場合(ステップS2においてNO)、処理はステップS4に進む。ステップS4において、トルクガード部2030は、トルク算出部2010から受けたトルクtoutをそのまま出力する。
ステップS3またはステップS4の処理が終了すると、全体の処理はステップS5に進む。ステップS5において、指令電流生成部2040は、トルクガード部2030から受けるトルクtoutに基づいて、指令電流を生成し、その生成した指令電流を電子制御カップリング900に出力する。ステップS5の処理が終了すると、全体の処理は、メインルーチンに戻される。
以上の説明に基づき、本実施の形態によるガタ打ち音の防止について説明する。自動変速機やデファレンシャルギヤ、トランスファを構成する機械部品である、歯車やスプラインには、それらの寸法公差に基づくバックラッシュ(ガタ)が生じている。ガタが詰まるときには、たとえば歯車の歯面同士が衝撃的に当たるガタ打ちが生じる。このガタ打ちに伴って異音(ガタ打ち音)が発生する。
たとえば自動変速機では、駆動側にガタが詰まっている。ただし、後輪側では車両100の走行状況に応じて、伝達されるトルクの大きさが変化する。したがって、後輪側の駆動系の構成要素(たとえばトランスファとする)におけるガタは、車両100の走行状況に応じて駆動側に詰まっていたり、被駆動側に詰まっていたりする。これにより、ロックアップクラッチ310が係合する直前において、エンジン回転数NEとタービン回転数NT(自動変速機の入力側の回転数)との差が生じている。なお、この場合においては、エンジン回転数NEのほうがタービン回転数NTより大きい。
ロックアップクラッチが係合すると、エンジン200にはエンジン回転数NEを下げる力が働く一方で、トルクコンバータ300には、タービン回転数NTを上げる力が働く。つまりロックアップクラッチ310を係合させることによって、タービン回転数NTを強制的に上昇させる強制力が働く。
図5は、後輪側駆動系を構成するギヤを模式的に示した図である。図5において、ギヤ851は駆動側のギヤであり、ギヤ852は被駆動側のギヤである。なお、図5では説明を分かりやすくするために、ギヤは平歯車であるとする。ただし、ギヤの種類が平歯車でなくてもよい(たとえば、かさ歯車が用いられてもよい)。また、ギヤの種類が複数(たとえば平歯車とかさ歯車など)であってもよい。
ギヤ852は、たとえばプロペラシャフト800のトランスファ500側の端部に取り付けられたギヤを模式的に示すものである。ギヤ851は、そのギヤ852と噛合するギヤ(トランスファ500側のギヤ)を模式的に示したものである。
タービン回転数NTが上昇することによって、自動変速機の出力軸の回転数が上昇する。自動変速機では、ガタが駆動側に詰まっているので、ガタ打ち音は生じないと考えられる。一方、トランスファ500では、図5の(A)に示されるように、ギヤ851が回転することによって、ガタが駆動側に詰まる。このときに、ギヤ851とギヤ852との接触に伴う衝撃によりガタ打ち音が発生しうる。
したがって、本実施の形態では、図5の(B)に示されるように、ロックアップクラッチ310の係合時において、ギヤ852がギヤ851に押し付けられた状態が生成される。4WD_ECU2000が電子制御カップリング900を制御することにより後輪側に伝達されるトルクを増加させることで、この状態が生成される。ギヤ852がギヤ851に接触しているので、ロックアップクラッチが係合したときに、ギヤ851,852同士の衝撃が生じるのを防ぐことができる。よって、ガタ打ち音が発生するのを抑制することができる。
このように、本実施の形態によれば、ロックアップクラッチが係合状態であると判定された場合、トルク算出部の算出した後輪側トルクよりも大きなトルクが得られるように、トルク算出部の算出した後輪側トルクを補正する。これによって、後輪側駆動系を構成する部材(ギヤ等)によるガタ打ち音を防止することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 車両、200 エンジン、300 トルクコンバータ、310 ロックアップクラッチ、320 ポンプインペラ、330 タービンランナ、340 ステータ、350 ワンウェイクラッチ、400 自動変速機、500 トランスファ、600 フロントデファレンシャル、602,1002 ドライブシャフト、700 前輪、800 プロペラシャフト、851,852 ギヤ、900 電子制御カップリング、1000 リアデファレンシャル、1100 後輪、2000 4WD_ECU、2010 トルク算出部、2020 ロックアップ判定部、2030 トルクガード部、2040 指令電流生成部、2100 車輪速センサ、2300 スロットルポジションセンサ、2400 エンジン回転数センサ、2410 タービン回転数センサ、2420 出力軸回転数センサ、2430 シフトポジションセンサ、2440 アクセル開度センサ、2500 前後Gセンサ、3000 ECU、3010 エンジンECU、3020 ECT_ECU、3100 シフトレバー、3200 アクセルペダル。
Claims (6)
- 動力源と、自動変速機と、その係合状態において前記動力源と前記自動変速機とを直結状態にするためのロックアップクラッチを含む流体継手と、複数のギヤによって前記自動変速機からのトルクを主駆動輪および副駆動輪に伝達するトルク伝達装置と、副駆動輪に伝達されるトルクの大きさを調整可能なトルク調整装置とを含む車両の制御装置であって、
前記車両の走行状態を示す情報に基づいて、前記副駆動輪に伝達されるべきトルク伝達量を算出するトルク算出部と、
前記ロックアップクラッチが前記係合状態および解放状態のいずれであるかを判定する判定部と、
前記判定部により前記ロックアップクラッチが前記係合状態であると判定された場合、前記トルク算出部の算出した前記トルク伝達量よりも大きなトルクが得られるように、前記トルク算出部の算出した前記トルク伝達量を補正するトルク補正部と、
前記トルク補正部により補正された前記トルク伝達量に基づいて、前記トルク調整装置を制御するトルク制御部とを備える、車両の制御装置。 - 前記トルク補正部は、前記ロックアップクラッチが前記係合状態である場合には、前記トルク伝達量が所定値を下回らないように、前記トルク伝達量を補正する、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記トルク補正部は、前記判定部によって、前記ロックアップクラッチが前記解放状態であると判定された場合には、前記トルク算出部の算出した前記トルク伝達量を、前記トルク制御部にそのまま出力する、請求項1または2に記載の車両の制御装置。
- 動力源と、自動変速機と、その係合状態において前記動力源と前記自動変速機とを直結状態にするためのロックアップクラッチを含む流体継手と、複数のギヤによって前記自動変速機からのトルクを主駆動輪および副駆動輪に伝達するトルク伝達装置と、副駆動輪に伝達されるトルクの大きさを調整可能なトルク調整装置とを含む車両の制御方法であって、
前記車両の走行状態を示す情報に基づいて、前記副駆動輪に伝達されるべきトルク伝達量を算出するステップと、
前記ロックアップクラッチが前記係合状態および解放状態のいずれであるかを判定するステップと、
前記判定部により前記ロックアップクラッチが前記係合状態であると判定された場合、前記トルク算出部の算出した前記トルク伝達量よりも大きなトルクが得られるように、前記トルク算出部の算出した前記トルク伝達量を補正するステップと、
補正された前記トルク伝達量に基づいて、前記トルク調整装置を制御するステップとを備える、車両の制御方法。 - 前記トルク伝達量を補正するステップは、前記ロックアップクラッチが前記係合状態である場合には、前記トルク伝達量が所定値を下回らないように、前記トルク伝達量を補正する、請求項4に記載の車両の制御方法。
- 前記トルク伝達量を補正するステップは、前記判定するステップにおいて、前記ロックアップクラッチが前記解放状態であると判定された場合には、前記算出するステップにおいて算出された前記トルク伝達量を、そのまま出力する、請求項4または5に記載の車両の制御方法。
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- 2008-03-04 JP JP2008053851A patent/JP2009208633A/ja not_active Withdrawn
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