JP2009208166A - 工作機械の主軸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造を簡素化して、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行うことができるとともに、主軸の回転速度を減速から増速まで無段階に調節することができる工作機械の主軸装置を提供する。
【解決手段】主軸頭11の内部に筒体12を収容固定し、該筒体12の内部に軸受13を介して主軸14を回転可能に支持する。前記主軸頭11の後端部にハウジング18を膨出形成し、該ハウジング18の後端面に取付基板19を介して駆動モータ20を装着する。該駆動モータ20の出力軸21の前端部と、前記主軸14の後端部との間にトロイダル型無段変速機22を介装する。
【選択図】図1
【解決手段】主軸頭11の内部に筒体12を収容固定し、該筒体12の内部に軸受13を介して主軸14を回転可能に支持する。前記主軸頭11の後端部にハウジング18を膨出形成し、該ハウジング18の後端面に取付基板19を介して駆動モータ20を装着する。該駆動モータ20の出力軸21の前端部と、前記主軸14の後端部との間にトロイダル型無段変速機22を介装する。
【選択図】図1
Description
本発明は、工作機械の主軸装置に係り、詳しくは主軸の回転速度を調節することができるトロイダル型変速機を備えた主軸装置に関する。
工作機械の主軸装置として、次のようなものが提案されている。この主軸装置は円筒状に形成された主軸頭の内周面に対し軸受を介して主軸を回転可能に支持するとともに、主軸頭の後端部に駆動モータを固着し、該モータの出力軸と、前記主軸の後端部との間に歯車変速機構を介在している。そして、前記歯車変速機構のシフトレバーを切り替え操作することにより主軸の回転速度を段階的に変更するようになっていた。
ところが、上記従来の主軸装置は、駆動モータの出力軸、歯車変速機及び主軸を収容する専用のハウジングが必要になるので、内部構造が複雑になって、部品点数が多くなり、製造及び組付作業を容易に行うことができないという問題があった。又、従来の主軸装置は、駆動モータの出力軸の軸線と、主軸の軸線とをオフセットさせる必要があるので、設計の自由度が低下するという問題があった。さらに、従来の主軸装置は、シフトレバーを操作して主軸の回転速度を段階的に変化させることはできるが、主軸の回転速度を無段階に調節することができないという問題もあった。加えて、従来の主軸装置は、歯車変速機構によって主軸が低速度で回転される場合には、歯車変速機の減速比が大きくなって、主軸の回転トルクが弱くなるという問題もあった。
本発明は、上記従来の技術に存す問題点を解消して、構造を簡素化して、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行うことができるとともに、主軸の回転速度を減速から増速まで無段階に調節することができる工作機械の主軸装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、主軸頭の内部に軸受を介して主軸を回転可能に支持し、主軸頭の後端部に前記主軸を回転する駆動モータを固着し、該駆動モータの出力軸の前端部と前記主軸の後端部との間にトロイダル型変速機を介在したことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記トロイダル型変速機は、前記主軸の後端部外周面に相対回転可能に嵌合され、前記駆動モータの出力軸により回転される入力ディスクと、同じく主軸の後端寄り外周面に相対回転不能に嵌合固定された出力ディスクと、前記入力ディスク及び出力ディスクの間に介在された一対のパワーローラと、該パワーローラの傾斜角を変更する傾斜角変更機構と、前記出力軸と前記入力ディスクとの間に介在され、かつ入力ディスクを前記パワーローラに押圧する与圧手段とにより構成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記与圧手段は、前記駆動モータの出力軸の前端部に連結された回転ディスクと、該回転ディスクと、前記入力ディスクとの間に介在された付勢手段とにより構成され、前記回転ディスクと入力ディスクとの間には、該入力ディスクの軸方向の移動を許容し、かつ前記回転ディスクと入力ディスクとを同期回転させる軸方向移動許容機構が設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記付勢手段は、前記回転ディスクと入力ディスクとの間に介在した皿バネであることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記駆動モータの出力軸、トロイダル型変速機及び主軸の軸心には、主軸に装着された工具ホルダに流体を供給するための流体通路が形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記駆動モータの出力軸、トロイダル型変速機及び主軸の軸心には、主軸に装着された工具ホルダに流体を供給するための流体通路が形成されていることを要旨とする。
本発明によれば、該駆動モータの出力軸の前端部と前記主軸の後端部との間にトロイダル型変速機を介在したことにより、構造を簡素化して、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行うことができる。又、主軸の回転速度を減速から増速まで無段階に調節することができる。
以下、本発明を具体化した工作機械の主軸装置の一実施形態を図面にしたがって説明する。
主軸装置の円筒状をなす主軸頭11の内周面には筒体12が嵌入固定され、該筒体12の内周面には軸受13を介して主軸14が回転可能に支持されている。前記主軸14の中心穴14aの前部には、工具ホルダクランプユニット15が装着され、該工具ホルダクランプユニット15のユニット本体16の先端部には工具ホルダ17が取り外し可能に装着されるようになっている。
主軸装置の円筒状をなす主軸頭11の内周面には筒体12が嵌入固定され、該筒体12の内周面には軸受13を介して主軸14が回転可能に支持されている。前記主軸14の中心穴14aの前部には、工具ホルダクランプユニット15が装着され、該工具ホルダクランプユニット15のユニット本体16の先端部には工具ホルダ17が取り外し可能に装着されるようになっている。
前記主軸頭11の後端部にはハウジング18が一体に膨出形成され、該ハウジング18の後端部には取付基板19を介して駆動モータ20が取り付けられている。該駆動モータ20の出力軸21の先端部と、前記主軸14の後端部14bとの間には、ハーフトロイダル型無段変速機22が介装されている。以下、このハーフトロイダル型無段変速機22について説明する。
前記出力軸21の先端部には回転ディスク23が前記出力軸21と同期回転可能に嵌合固定されている。前記主軸14の後端部14bの外周面にはニードルベアリング24を介してトロイド曲面25aを有する入力ディスク25が主軸14と相対回転可能に、かつ主軸14の軸線方向の往復動可能に嵌装されている。該入力ディスク25の外周面25bには、図3に示すように係合溝25cが複数箇所(この実施形態では4箇所)に形成されている。一方、前記回転ディスク23の外周部に一体に前方に指向するように形成されたフランジ部23aの内周面には、前記係合溝25cに係合される係合突条23bが一体的に、かつ前記主軸14の軸線と平行に複数箇所に形成されている。そして、前記回転ディスク23が回転されると、係合突条23bと係合溝25cとの係合により入力ディスク25が回転されるとともに、前記主軸14の後端部14bの外周面における前記入力ディスク25の軸方向の移動が許容されるようになっている。この実施形態では前記回転ディスク23の係合突条23bと入力ディスク25の係合溝25cとによって入力ディスク25の軸方向移動許容機構26が構成されている。
前記主軸14の後端部14bの外周面には前記入力ディスク25と対向するようにトロイド曲面27aを有する出力ディスク27がキー28によって主軸14と同期回転可能に、かつ主軸14の軸線方向の移動不能に嵌合固定されている。前記入力ディスク25と出力ディスク27の間には前記両トロイド曲面25a,27aに摩擦係合する一対のパワーローラ29が介在されている。前記入力ディスク25、出力ディスク27及びパワーローラ29等によってトロイダル変速部が構成されている。前記回転ディスク23の前面と、入力ディスク25の背面との間には付勢手段としての皿バネ30が介在され、該皿バネ30により前記入力ディスク25が前方に押圧されて、該入力ディスク25のトロイド曲面25aが前記パワーローラ29の外周面に押圧され、前記トロイダル変速部の摩擦係合力が確保されるようになっている。この実施形態では前記回転ディスク23、入力ディスク25及び皿バネ30によって与圧手段が構成されている。前記パワーローラ29は自身の回転軸線31の周りで回転自在となっており、前記回転軸線31に直交する傾転軸32の周りで傾転運動可能となっている。
図1に示すハウジング18の内部には、図示しないが動力伝達用のオイルが貯留されており、前記入力ディスク25の回転運動がパワーローラ29を介して出力ディスク27に円滑に伝達されるようになっている。
次に、図2を中心に前記パワーローラ29の傾斜角変更機構について説明する。以下に述べる傾斜角変更機構は、例えば特開平9−269040号公報或いは特開2002−266967号公報に開示されたトロイダル無段変速機の傾斜角変更機構の構造と同様のものである。
前記両パワーローラ29は、トラニオン33に固定された回転支持軸34によって回転自在に支持されている。前記回転支持軸34は両端の軸中心が変心しており、一端35によりパワーローラ29が回転自在に支持され、他端36が前記トラニオン33に支持されている。前記回転支持軸34はトラニオン33に回転可能に支持されているので、パワーローラ29がトラニオン33に対して首振り運動をして入力及び出力ディスク25,27の弾性変形による軸方向の変位を吸収することが可能である。
前記トラニオン33は前記ハウジング18に回動可能に、かつ主軸14の軸方向に移動可能に支持されている。前記トラニオン33は傾転軸32を備え、傾転軸32の軸方向に移動し、かつ傾転軸32を中心として回動可能である。前記トラニオン33の傾転軸32にはピストン37が設けられ、該ピストン37は前記ハウジング18に形成された油圧シリンダ38内を摺動可能に設けられている。前記油圧シリンダ38内には前記ピストン37によって区画された増速側シリンダ室39Bと減速側シリンダ室39Aが形成されている。前記増速側シリンダ室39Bに油圧が供給されると、増速側に変速し、減速側シリンダ室39Aに油圧が供給されると、減速側に変速する。
前記二つの減速側シリンダ室39Aは、油路40Aによって連通され、該油路40Aはスプール弁41のAポートに連通され、二つの増速側シリンダ室39Bは油路40Bによって連通され、該油路40Bはスプール弁41のBポートに連通されている。前記スプール弁41内にはスプール42が摺動自在に配設されており、スプール42は軸方向両端に配置されたスプリング43によって中立位置に保持されている。スプール弁41は一端にSAポートが形成され、他端にSBポートが形成されており、SAポートにはソレノイド弁44Aを介してパイロット圧が供給され、SBポートにはソレノイド弁44Bを介してパイロット圧が供給される。又、スプール弁41はライン圧(油圧源)に連結されるLPポート、油路40Aを介して前記減速側シリンダ室39Aに連結されるAポート、油路40Bを介して増速側シリンダ室39Bへ連結されるBポート、タンクへ連結されるTポートを備えている。ソレノイド弁44A,44Bはコントローラ45から出力された制御信号に応じて作動するように構成されており、該制御信号を受けて前記ソレノイド弁44A,44Bはスプール42を軸方向に変位させる。
前記トラニオン33の傾転軸32の先端にはプリセスカム46が連結されており、中央部を軸支されたレバー47の一端がプリセスカム46に当接され、レバー47の他端がポテンショメータ48に接続されている。このポテンショメータ48はトラニオン33の傾転軸32の軸方向変位及び傾転角度を合成変位量として検出し、検出信号をコントローラ45に入力するものである。前記コントローラ45には前記主軸14の回転位相角を検出するための位相角センサ49からの検出信号が入力されるようになっている。前記コントローラ45は前記位相角センサ49からの検出信号に基づいて前記ソレノイド弁44A,44Bに制御信号を送るようになっている。
次に、前記工具ホルダクランプユニット15によってクランプされた工具ホルダ17にワークの加工中にクーラントを供給するためのクーラント供給機構について説明する。
図1及び図5に示すように、前記工具ホルダクランプユニット15のユニット本体16の内部にはクランプ機構51が設けられ、前記工具ホルダクランプユニット15の後端部には付勢機構52が設けられ、この付勢機構52の後端部には、クランプ解除機構53が設けられている。
図1及び図5に示すように、前記工具ホルダクランプユニット15のユニット本体16の内部にはクランプ機構51が設けられ、前記工具ホルダクランプユニット15の後端部には付勢機構52が設けられ、この付勢機構52の後端部には、クランプ解除機構53が設けられている。
前記クランプ機構51は前記ユニット本体16の内部に収容された一対のクランプ爪54と、該クランプ爪54をクランプ位置とアンクランプ位置に切換可能なスライダ55と、該スライダ55の後端部に連結されたドローイングバー56と、前記ドローイングバー56の後端部の外周面に嵌合固定されたバネ受部材57と、前記ユニット本体16の後端面と前記バネ受部材57との間に介在された皿バネ58とを備えている。そして、前記皿バネ58によって前記スライダ55及びドローイングバー56が後方向に移動されると、前記クランプ爪54によって工具ホルダ17のテーパシャンク部17a の先端部に設けたプルスタッド部17bがクランプされ、前記ドローイングバー56が皿バネ58の勢力に抗して前方に移動されると、クランプ爪54によるプルスタッド部17bのクランプ状態が解除されるようになっている。
前記クランプ解除機構53は、前記主軸14の中心穴14a内に収容され、かつ前記バネ受部材57の後端面に接触された作動部材61と、この作動部材61及び前記主軸14の内外を貫通するように半径方向に貫通支持された作動ピン62と、前記主軸頭11の内周面に装着され、前記作動ピン62を前方に移動することにより、作動部材61を前方に移動し、ドローイングバー56を前方に移動して、工具ホルダ17のプルスタッド部17bのクランプを解除することができるピストン63とを備えている。
前記出力軸21の中心部にはクーラント通路21aが貫通形成され、出力軸21の後端部は駆動モータ20のハウジングから後方向に突出され、図示しないクーラント供給装置から配管を介してクーラントがクーラント通路21a内に供給されるようになっている。前記出力軸21の前端部にはパイプ64の後半部が挿入固定され、該パイプ64の前端部は前記主軸14の後端部に形成された挿入孔14cに対し主軸14の回転が許容されるように挿入されている。前記主軸14の後部の中心部にはクーラント通路14dが形成され、このクーラント通路14dの前端部にはパイプ65の後端部が挿入固定されている。前記作動部材61及び作動ピン62の中心部にはパイプ66が貫通支持され、該パイプ66の後端部には、前記パイプ65の前端部が挿入され、前記作動部材61の軸方向の移動が許容されるようになっている。前記ドローイングバー56の中心部にはクーラント通路56aが形成され、このクーラント通路56aの後端部には前記パイプ66の前端部が挿入されている。前記スライダ55の中心部にはクーラント通路55aが形成され、このクーラント通路55aの後端部は前記ドローイングバー56のクーラント通路56aに連通されている。前記スライダ55のクーラント通路55aの内部にはノズル67が収容され、ノズル67の先端部が前記工具ホルダ17のプルスタッド部17bのクーラント通路17cに接離可能に支持されている。
従って、前記駆動モータ20の出力軸21のクーラント通路21aに図示しないクーラント供給装置からクーラントが供給されると、前記パイプ64、主軸14の挿入孔14c、パイプ65及びパイプ66を通して、スライダ55のクーラント通路55aに供給され、さらに、スライダ55のクーラント通路55a及びノズル67を通して工具ホルダ17のクーラント通路17cにクーラントが供給され、工具ホルダ17に保持された工具によって加工されるワークの加工部にクーラントが供給される。
次に、前記トロイダル型無段変速機22の動作について説明する。
図1は主軸装置の工具ホルダクランプユニット15のクランプ機構51によって工具ホルダ17がクランプされ、駆動モータ20が停止された状態にある。この状態において、前記駆動モータ20が起動されると、出力軸21が回転され、この回転運動が回転ディスク23を介して入力ディスク25に伝達される。この入力ディスク25の回転運動によって前記パワーローラ29が回転され、その回転が出力ディスク27に伝達され、この出力ディスク27の回転によって主軸14が回転され、主軸14の先端部に工具ホルダ17を介して取り付けられたドリルなどの工具によってワークに例えば穴開け作業などの加工が行われる。
図1は主軸装置の工具ホルダクランプユニット15のクランプ機構51によって工具ホルダ17がクランプされ、駆動モータ20が停止された状態にある。この状態において、前記駆動モータ20が起動されると、出力軸21が回転され、この回転運動が回転ディスク23を介して入力ディスク25に伝達される。この入力ディスク25の回転運動によって前記パワーローラ29が回転され、その回転が出力ディスク27に伝達され、この出力ディスク27の回転によって主軸14が回転され、主軸14の先端部に工具ホルダ17を介して取り付けられたドリルなどの工具によってワークに例えば穴開け作業などの加工が行われる。
通常、前記トラニオン33は入力ディスク25及び出力ディスク27の回転軸線と、パワーローラ29の回転中心が交差する位置、即ちトロイダル変速部の変速比が1の中立位置に保持されている。変速はトラニオン33を中立位置から傾転軸32の軸方向に変位させることによって行われる。トルク伝達中に、トラニオン33が傾転軸32方向に変位すると、それに伴ってトラニオン33がその変位方向と変位量に応じた向きと速さで傾転軸32回りに傾転し、入力ディスク25とパワーローラ29との摩擦接触点が描く半径と、出力ディスク27とパワーローラ29との摩擦接触点が描く半径との比が変化することによって無段変速が行われる。
前記パワーローラ29の傾転はコントローラ45によって次のようにして行われる。最初にコントローラ45はポテンショメータ48で検出したトラニオン33の合成変位量から実際の変速比を算出し、目標変速比と変速比との偏差に応じてトラニオン33の目標変位を設定し、ソレノイド弁44A,44Bへ制御信号出力する。これによって、ソレノイド弁44A,44Bからスプール弁41の両端に油圧SB,SAが供給される。その際、スプール弁41に供給される油圧SBと、油圧SAの関係がSA<SBである場合には、スプール42は図1において左側へシフトし、油路40BはPLポートを介して圧力源へ連通し、油路40AはTポートを介してタンクへ連通して、油路40Bの圧力が油路40Aの圧力よりも大きくなる。その結果、減速及び増速側シリンダ室39A,39Bの圧力差により図2に示したトロイダル変速部における右側のトラニオン33は下方へ変位し、左側のトラニオン33は上方へ変位する。この変位に伴ってトラニオン33は傾転軸32を中心とし、その回りに傾転し、増速側へ変速動作が開始される。(図4は前記パワーローラ29が減速側に傾斜した状態であるが、逆の傾斜になると増速側となる)そして、実際の変速比が目標変速比に近づくように、コントローラ45によってフィードバック制御が行われる。実際の変速比が目標変速比に近づくにつれて、トラニオン33の目標変位はゼロに近づき、実際の変速比が目標変速比に一致した時には、トラニオン33の目標変位はゼロとなって、パワーローラ29は中立位置に戻り、変速動作が終了する。
上記実施形態の工作機械の主軸装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記主軸14の後端部と駆動モータ20の出力軸21との間にトロイダル型無段変速機22を介在したので、変速機構の構造を簡素化して、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行うことができるとともに、主軸14の回転速度を無段階に調節することができる。
(1)上記実施形態では、前記主軸14の後端部と駆動モータ20の出力軸21との間にトロイダル型無段変速機22を介在したので、変速機構の構造を簡素化して、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行うことができるとともに、主軸14の回転速度を無段階に調節することができる。
(2)上記実施形態では、主軸14の軸線、駆動モータ20の軸線及びトロイダル型無段変速機22の軸線を同一直線上に配置することができ、設計の自由度を向上することができる。
(3)上記実施形態では、トロイダル型無段変速機22を用いたので、シフトレバーを備えた歯車変速機構を用いる従来の方式と比べて、主軸の回転速度の切り換える動作をリアルタイムで行うことができる。
(4)上記実施形態では、トロイダル型無段変速機22を用いたので、主軸14の低速回転領域における主軸14の回転トルクの増大を図ることができる。即ち、入力及び出力ディスク25,27のトロイド曲面25a,27aに対するパワーローラ29の外周面の摩擦係合力は、パワーローラ29の傾斜角が変化しても同じに保持されるので、出力ディスク27が低速回転時における回転トルクの低下を低減することができる。
(5)上記実施形態では、回転ディスク23と入力ディスク25との間に皿バネ30を介在し、該皿バネ30によって入力ディスク25を前方に押圧することにより、入力及び出力ディスク25,27とパワーローラ29との摩擦係合力を付与するようにしたので、簡単な構造により前記摩擦係合力を確保することができる。
(6)上記実施形態では、駆動モータ20の出力軸21の中心部、トロイダル型無段変速機22の中心部及び主軸14の中心部に対し、前記工具ホルダ17のプルスタッド部17bにクーラントを供給するためのクーラント通路を形成したので、加工中のワークに対するクーラントの供給を容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 図示しないが、図1において、前記主軸14を支持する軸受13をアンギュラベアリングにより形成し、油圧シリンダにより前記軸受13のアウターレースに与圧を付与するようにしてもよい。そして、主軸14の回転速度の増速時には前記油圧シリンダにより軸受13に作用する与圧を低下させ、主軸14の減速時には軸受13に作用する与圧を上昇するようにしてもよい。この実施形態においては、主軸14の回転速度に応じ、軸受13によって主軸14を安定して支持することができ、主軸14の増速時あるいは減速時における振動を抑制することができ、ワークの加工精度を向上することができる。
・ 図示しないが、図1において、前記主軸14を支持する軸受13をアンギュラベアリングにより形成し、油圧シリンダにより前記軸受13のアウターレースに与圧を付与するようにしてもよい。そして、主軸14の回転速度の増速時には前記油圧シリンダにより軸受13に作用する与圧を低下させ、主軸14の減速時には軸受13に作用する与圧を上昇するようにしてもよい。この実施形態においては、主軸14の回転速度に応じ、軸受13によって主軸14を安定して支持することができ、主軸14の増速時あるいは減速時における振動を抑制することができ、ワークの加工精度を向上することができる。
・ 前記実施形態では、変速機のハウジングの内部に動力伝達用のオイルを貯留するようにしたが、オイルミスト供給装置を用いてトロイダル変速部にオイルミストを供給するようにするとともに、オイルミストをチラーユニットに回収するようにしてもよい。
・ 前記実施形態ではハーフトロイダル型無段変速機22を用いたが、前記入力ディスク25及び出力ディスク27のトロイド曲面25a,27aを主軸14の軸線から離隔する方向に延長したフルトロイダル型無段変速機を用いてもよい。前者の変速機は、ディスク間のすべり成分を小さく抑えることができるので、伝達効率を向上することが可能となる。又、後者の変速機は、変速比を大きく設定することができるとともに、パワーローラの制御を容易に行うことができる。
11…主軸頭、13…軸受、14…主軸、14b…後端部、14d,17c,21a,55a,56a…流体通路、17…工具ホルダ、20…駆動モータ、21…出力軸、23…回転ディスク、25…入力ディスク、25b…外周面、26…軸方向移動許容機構、27…出力ディスク、29…パワーローラ、30,58…皿バネ。
Claims (5)
- 主軸頭の内部に軸受を介して主軸を回転可能に支持し、主軸頭の後端部に前記主軸を回転する駆動モータを固着し、該駆動モータの出力軸の前端部と前記主軸の後端部との間にトロイダル型変速機を介在したことを特徴とする工作機械の主軸装置。
- 請求項1において、前記トロイダル型変速機は、前記主軸の後端部外周面に相対回転可能に嵌合され、前記駆動モータの出力軸により回転される入力ディスクと、同じく主軸の後端寄り外周面に相対回転不能に嵌合固定された出力ディスクと、前記入力ディスク及び出力ディスクの間に介在された一対のパワーローラと、該パワーローラの傾斜角を変更する傾斜角変更機構と、前記出力軸と前記入力ディスクとの間に介在され、かつ入力ディスクを前記パワーローラに押圧する与圧手段とにより構成されていることを特徴とする工作機械の主軸装置。
- 請求項2において、前記与圧手段は、前記駆動モータの出力軸の前端部に連結された回転ディスクと、該回転ディスクと、前記入力ディスクとの間に介在された付勢手段とにより構成され、前記回転ディスクと入力ディスクとの間には、該入力ディスクの軸方向の移動を許容し、かつ前記回転ディスクと入力ディスクとを同期回転させる軸方向移動許容機構が設けられていることを特徴とする工作機械の主軸装置。
- 請求項3において、前記付勢手段は、前記回転ディスクと入力ディスクとの間に介在した皿バネであることを特徴とする工作機械の主軸装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、前記駆動モータの出力軸、トロイダル型変速機及び主軸の軸心には、主軸に装着された工具ホルダに流体を供給するための流体通路が形成されていることを特徴とする工作機械の主軸装置。
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