JP2009207319A - モータの制御システムおよびモータの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コントローラ30は、駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断する間に、駆動電流Idriの時間積分を行い、この時間積分値Asが所定の限界値Ashighを超えた場合に、モータ10は過負荷状態であると判断し、サーボアンプ20からモータ10に供給する電流値Iの最大電流Imaxを所定の制限値Ilim以下に制限することによりモータ10の過負荷状態を回避する。
【選択図】図3
Description
また、このようなモータの制御として、モータの出力を制御してモータの過負荷を保護し、不測の運転停止、又はモータの故障等を防止する技術が広く実用化されている。
しかしながら、過負荷時に遮断される電源とモータとの通電を復帰させる場合に、別途設けられる復帰装置を操作する必要等があり、係る操作のために作業を中断しなければならず、手間がかかるとともに作業時間が長くなる点で不利がある。
しかしながら、特許文献2に記載の技術においても、一定時間モータを休止することにより、作業の中断が発生し、作業時間が長くなる点で不利がある。
これによれば、コントローラによってモータが過負荷状態であると判断したときに、当該モータへ供給する電流の最大値を制限するので、モータの過負荷状態から保護できるとともに、前記最大値を制限することによりモータを連続使用することができる。また、モータの過負荷を適切に保護できるので、コントローラがモータの過負荷状態と判断するまでの間のモータの出力を十分に確保できる。
これによれば、コントローラによってモータが過負荷状態であると判断したときに、当該モータへ供給する電流の最大値を制限するので、モータの過負荷状態から保護できるとともに、前記最大値を制限することによりモータを連続使用することができる。また、モータの過負荷を適切に保護できるので、コントローラがモータの過負荷状態と判断するまでの間のモータの出力を十分に確保できる。
また、本発明に係るモータの制御システムを組立ライン等に設けられるロボットアームに適用すれば、最大出力が80W以下のいわゆる低出力モータを使用した場合でも十分な出力を得ることが可能となり、実用性を向上できるとともに、モータの作動に起因する組立ラインの停止が生じないので、組立ラインにおける作業時間を短縮できる。
制御システム1は、図1に示すように、制御システム1は、モータ10、サーボアンプ20、コントローラ30等を具備し、サーボアンプ20によってモータ10へ供給される電流値をフィードバック制御するシステムである。本実施形態における「フィードバック制御」とは、サーボアンプ20によってモータ10の制御の状態(つまり、実際にモータ10を駆動する駆動電流Idriの値)を確認し、これをコントローラ30にフィードバックするとともに、コントローラ30によって前記フィードバックされた制御の状態に基づいてサーボアンプ20を介してモータ10を制御する構成のことである。
図1に示すように、モータ10はサーボアンプ20から駆動電流Idri(本実施形態では、より厳密には直流電流)の供給を受けて回転駆動されるとともに、前記エンコーダにより検出されるモータ10の回転数(パルス信号)をサーボアンプ20に出力する構成である。そして、サーボアンプ20によって前記エンコーダにより検出されるモータ10の回転数とモータ10を駆動している駆動電流Idriの値との間の関係(つまり、入力と出力との比例関係)により、モータ10の駆動状態を確認している。
以上のように、サーボアンプ20は、モータ10に供給する電流の最大値として出力信号Pmaxの指令をコントローラ30から受け取るとともに、前記電源からの電流を駆動電流Idriに変換してモータ10に供給するものである。
本実施形態では、図1に示すように、コントローラ30は、サーボアンプ20に出力信号Pmaxを伝送し、モータ10の最大電流Imaxを決定する。サーボアンプ20は、この最大電流Imaxを超えない駆動電流Idriをモータ10に供給して回転駆動する。そして、サーボアンプ20より駆動電流Idriとして(より厳密には、サーボアンプ20内のA/D変換器を介して、)入力信号Pdriがコントローラ30に入力される構成である。
図2に示すように、ロボットアーム110は、車体120にウインドガラス130を組み付ける作業を補助するための多関節のロボットアームであり、モータ10を駆動させることによって前記各関節の角度を調整し、ロボットアーム110を作動する構成である。また、ロボットアーム110の先端部には、ウインドガラス130を吸着して保持するための吸着装置140が設けられ、この吸着装置140近傍には作業用ハンドル150がウインドガラス130より側方に突出して設けられる。
このように構成される組立ライン100において、車体120にウインドガラス130を組み付ける際には、作業者の手作業によって作業用ハンドル150を操作し、ロボットアーム110を作動させることによって作業を行うものである。
より具体的には、マップ200は、図3(a)に示すように、以下の(1)〜(4)の工程に係る駆動電流Idriの値の変動を示している。すなわち、(1)ウインドガラス130を車体120近傍まで近づけるために、ロボットアーム110を所定の位置まで操作し、(2)前記所定の位置にて所定時間ロボットアーム110を停止させ、(3)ウインドガラス130を車体120の所定箇所に組み付け、(4)次のサイクルへ移行する際の駆動電流Idriの値の変動を示すものである。
また、図3(b)に示すように、コントローラ30はマップ200と同時に、マップ200に応じて作成されるマップ300を記憶する。マップ300は、作業時間T(s)と、マップ200において駆動電流Idriが所定のしきい値Ihigh以上となったときの、駆動電流Idri(A)を作業時間T(s)にて積分した時間積分値As(A・s)との関係を示すマップである。
図4に示すように、駆動電流Idriが所定のしきい値Ihighを超えたかどうかを判断する(S100)。駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断した場合は(S100:Yes)、つまり、サーボアンプ20からの入力信号Pdriが所定のしきい値Phighを超えたと判断した場合は、駆動電流Idriが所定の下限値Irelより大きいかどうかを判断する(S110)。また、駆動電流Idriがしきい値Ihigh以下と判断した場合は(S100:No)、再度、駆動電流Idriとしきい値Ihighとを比較し、駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断するまでこれ以降のステップには移行しない。
駆動電流Idriが下限値Irelより大きいと判断した場合は(S110:Yes)、コントローラ30は、駆動電流Idriの前記しきい値Ihighを超えた部分の時間積分(本実施形態では、図3(a)中の斜線で示す部分の面積の演算であり、図3(b)に示すマップ300としてコントローラ30に記憶される。)を開始する(S120)。
また、駆動電流Idriが下限値Irel以下と判断した場合は(S110:No)、時間積分値Asをゼロにリセットする(S150)。
続いて、この時間積分値Asが所定の限界値Ashighを超えたかどうかを判断する(S130)。時間積分値Asが限界値Ashighを超えたと判断した場合は(S130:Yes)、サーボアンプ20からモータ10に供給する駆動電流Idriの最大電流Imaxを所定の制限値Ilim以下に制限する(S140)。
一方、時間積分値Asが限界値Ashigh以下と判断した場合は(S130:No)、再度駆動電流Idriが所定の下限値Irelより大きいかどうかを判断し(S110)、駆動電流Idriがまだしきい値Ihighをよりも大きいと判断した場合は(S100:Yes)、(駆動電流Idriが所定の下限値Irelより大きいかどうかの判断(S110)を行った上で)駆動電流Idriの時間積分を継続する(S120)。
また、駆動電流Idriがしきい値Ihigh以下となっていたときには、駆動電流Idriの時間積分は行われず、再度駆動電流Idriがしきい値Ihighを超えたと判断するまでこれ以降のステップには移行しない。すなわち、駆動電流Idriの時間積分を停止する。
また、時間積分値Asの限界値Ashighは、モータ10の負荷率(つまり、モータ10を駆動する駆動電流Idri(A))と作業時間T(s)との関係を示すマップ400における連続使用可能時間(本実施形態では、図5に示す斜線部分の面積(A・s))の一例として積算され、予めコントローラ30に記憶されている。
また、本発明に係る下限値は、本実施形態の下限値Irelに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、モータの使用サイクルを繰り返すに際して、当該モータを駆動する電流の最小値よりも大きい値であれば良い。
また、本発明に係る制限値は、本実施形態の制限値Ilimに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、例えば前記使用するモータの連続使用時間等を考慮して値を設定しても良い。
また、本発明に係る限界値Ashighは、本実施形態の限界値Ashighに限定されず、使用するモータの特性等に応じて適宜変更しても良く、例えば前記使用するモータの負荷率と動作時間との関係に応じて値を設定しても良い。
これによれば、モータ10を駆動する駆動電流Idriをコントローラ30にフィードバックしてこの時間積分値Asを評価することによる簡易な方法にて、モータ10の過負荷状態を検出し、モータ10の最大電流Imaxを制限して係る過負荷状態を回避しつつ、モータ10の連続駆動を実現できる。また、駆動電流Idriの最大電流Imaxを制限値Ilimに制限するまでの間に最大電流Imaxを高く設定でき、モータ10の出力を担保できる。さらには、本実施形態に係る制御システム1は、コントローラ30による制御方法を変更することによって既存のサーボアンプ20及びモータ10に対して適用可能であるので、新たなサーボアンプ、モータ等を導入するコストを削減できるという利点もある。
また、本実施形態におけるモータ10は、最大出力80W以下のいわゆる低出力モータであるが、上述のように十分な出力を担保できるので、例えば本実施形態のように作業者が介在する組立ライン100等へのモータ10の適用が実現され、モータ10の実用性が向上する。
また、本実施形態におけるロボットアーム110は、最大出力80W以下、かつ、駆動軸を一軸としたアクチュエータとしてモータ10を用いているので、いわゆる産業用ロボットには該当せず、作業者が介在することが可能となり、モータ10の実用性が向上する。
これによれば、モータ10が過負荷状態と判断されるまでの出力を十分に確保することが可能となる。
これによれば、モータ10の過負荷状態をより適切に判断することが可能となり、モータ10を使用している最中に急に停止することがなく、モータ10の信頼性を向上できる。
これによれば、モータ10の出力をより確実に保証することができるとともに、モータ10の連続使用時間をより確実に保証することができる。
10 モータ
20 サーボアンプ
30 コントローラ
Idri 駆動電流(モータを駆動する電流値)
Ihigh しきい値
Irel 下限値
As 時間積分値
Ashigh 限界値
Claims (9)
- モータと、
前記モータに任意の値の電流を供給して回転駆動するサーボアンプと、
前記サーボアンプから前記モータを駆動する電流値のフィードバックを受けて、当該フィードバックされる電流値に基づいて前記サーボアンプの前記モータへ供給する電流の最大値を制限することによって、前記モータを制御するコントローラと、を具備するモータの制御システムであって、
前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えている間、当該電流値の時間積分を行い、当該時間積分値が所定の限界値を超えた場合に、前記最大値を所定の制限値以下に制限することを特徴とするモータの制御システム。 - 前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えた後に当該電流値の時間積分を開始するとともに、前記フィードバックされる電流値が前記しきい値を下回った後に、前記時間積分を中断することを特徴とする、請求項1に記載のモータの制御システム。
- 前記コントローラは、前記フィードバックされる電流値が所定の下限値を下回った場合に、前記時間積分値をゼロにリセットすることを特徴とする、請求項1または請求項2の何れかに記載のモータの制御システム。
- 前記所定の制限値は、前記モータの連続定格値であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のモータの制御システム。
- 前記モータは、低出力モータであり、かつ、ロボットアームに用いられるモータであることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のモータの制御システム。
- サーボアンプにより供給されるモータへの電流値をフィードバック制御するモータの制御方法であって、
前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えている間、当該電流値の時間積分を行い、当該時間積分値が所定の限界値を超えた場合に、前記サーボアンプの前記モータに供給する電流の最大値を所定の制限値以下に制限することを特徴とするモータの制御方法。 - 前記フィードバックされる電流値が所定のしきい値を超えた後に当該電流値の時間積分を開始するとともに、前記フィードバックされる電流値が前記しきい値を下回った後に、前記時間積分を中断することを特徴とする、請求項6に記載のモータの制御方法。
- 前記フィードバックされる電流値が所定の下限値を下回った場合に、前記時間積分値をゼロにリセットすることを特徴とする、請求項6または請求項7の何れかに記載のモータの制御方法。
- 前記所定の制限値は、前記モータの連続定格値であることを特徴とする、請求項6〜請求項8の何れか一項に記載のモータの制御方法。
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