JP2009203120A - チタニアナノ構造複合体被覆型構造物及びその製造方法 - Google Patents

チタニアナノ構造複合体被覆型構造物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 任意形状の固体基材表面がチタニアで被覆されている構造物、更にその被覆層中に金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子が含まれている構造物、及びこれら構造物の簡便且つ効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを含有する溶液中に固体基材を浸漬させた後取り出し、該固体基材の表面にポリマー層を形成させる工程(1)と、前記で得られたポリマー層を有する固体基材と、チタンソース液とを接触して、固体基材表面のポリマー層中にチタニアを析出させ、ナノ構造複合体を形成させる工程(2)と、を有することを特徴とするチタニアナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法及び該製法で得られる、固体基材の表面が、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーとチタニアとを含有するナノ構造複合体で被覆されていることを特徴とするチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
【選択図】 図4

Description

本発明は、任意形状の固体基材表面がポリエチレンイミン骨格を有するポリマーとチタニアとがナノメートルオーダーで複合化されてなるナノ構造複合体(ナノフィルムまたはナノ粒子)で緻密に被覆されていることを特徴とするナノ構造複合体被覆型構造物、及び該構造物の製造方法に関する。
チタニア(酸化チタン)は白色顔料として古くから利用されてきたが、近年ではその高い屈折率に基づく光の反射・屈折現象を利用して、化粧料、干渉顔料等にも幅広く使用されており、フォトニック結晶の構成材料としての期待も高い。また、光触媒又は色素増感電荷分離機能では、酸化チタンは群を抜いた触媒材料であり、物質の光分解、水素製造触媒、酸化反応を利用した浄化、殺菌、抗菌、防臭システム等への応用から、エネルギー変換用の太陽電池、燃料電池への応用まで、幅広い分野と関連する。即ち、酸化チタンは日常生活から産業活動の全般まで応用されうる材料である。
酸化チタンは一般的にチタン化合物の加水分解を経由して製造されることになるが、ほとんどの初期製造物は粉末状態である。従って、具体的に使用する際には、その粉末状酸化チタンを固体表面にコーティングしたり焼き付けしたりするなど、多くのプロセスが要求される。光触媒または太陽電池などへの応用でも、例外なくこのようなプロセスを経て酸化チタンの製品が作られている。
粉末状酸化チタンを経由せずに、溶液中での金属酸化物の沈殿手法を駆使することで、溶液中の酸化チタンソースを固体表面で析出させ、簡便に酸化チタン皮膜を形成させる技術も開発されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。これは、通常基材表面にいわゆる自己組織化単分子膜(SAMs)を形成させ、その基材をチタンソース液中にディッピングすることで、酸化チタン結晶がそのSAMsに吸着する過程を経て、酸化チタン皮膜を形成させる方法である。この技術では固体基材としてプラスチックまたはシリコンウェハなどを用いることができるが、いずれの場合でも、当該固体基材表面に化学官能基、例えば−SOH、−COOH、−OH、−NHなどを密に植え付けることが必要である。これらの官能基がナノサイズの酸化チタンの核として結晶成長を促進させ、結果的に酸化チタンのナノ結晶の連続膜を形成させるものである。
これらの手法で形成される酸化チタン皮膜は、あくまでも酸化チタン結晶そのものの連続膜であって、有機化合物と高度に複合化された皮膜を形成するものではない。また、これらの手法では、複雑な階層構造をプログラム的に制御した皮膜を形成することはできない。固体基材表面のSAMsの機能は単純に無機結晶を固定するのみであって、他の付加機能を発揮することはない。
有機化合物と無機化合物とが高度に複合化された階層構造を有する構造体に関する技術開発では、特に生体系の啓発によるbiomimetic手法が注目を集めている。生体系では、生体ポリマー(例えば、タンパク質、ポリアミン)の組織構造に沿って無機質(例えば、シリカ等の金属酸化物)の沈積や配向が起こり、有機無機複合の精巧な組織体が形成する。従って、有機ポリマー、特に塩基性ポリアミンを用いるシリカ、チタニアの析出法は階層性有機無機複合体構築に新たな可能性をもたらし、材料科学領域では多くの注目を集めているが、任意材質、任意形態の固体表面で高度な規則性を有するチタニア/ポリマー複合体からなるナノ界面を構築することには至ってない。
本発明者らは、ポリアミンとして直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーの結晶性会合体を選択し、これをシラン類、チタン化合物の加水分解と縮合反応の触媒およびテンプレートとして用いることにより、シリカ/ポリマーまたはチタニア/ポリマーが高度に複合化され規則性構造を有するナノ構造複合体およびその製法を見出した(特許文献1〜6参照。)。さらに、ポリエチレンイミンを芯とするシリカナノファイバーの固体表面に酸化チタン皮膜を沈積させることで、シリカナノファイバー表面が酸化チタンでコートされた複合体およびその製法を見出した(特許文献7参照)。しかしながら、これらは基材となる固体表面上にナノ構造体を構築するものではない。
Anke Dutschke et al.,J.Mater.Chem.,2003,13,1058−1063 Takashi Sakai et al.,JSME International Journal Series A.,2005,48,451−457 B.C.Bunker et al.,Science,1994,264,48−55. 特開2005−264421号公報 特開2005−336440号公報 特開2006−063097号公報 特開2007−051056号公報 特開2007−224139号公報 特開2005−281080号公報 特開2006−213888号公報
本発明が解決しようとする課題は、任意形状の固体基材表面がチタニアで被覆されている構造物、特には、有機物であるポリマーと無機物であるチタニアとがナノメートルオーダーで複合化されてなるナノ構造複合体が基材表面全体に広がり、それが基材を完全に被覆するほどの皮膜として基材上に複雑構造のナノ界面を形成しているナノ構造複合体被覆型構造物、更にそのナノ構造複合体中に金属イオン、金属ナノ粒子等が含まれている該構造物、及びこれら構造物の簡便且つ効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは既に、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーが水性媒体中で自己組織化的に成長する結晶性会合体を反応場にし、溶液中でその会合体表面にてアルコキシシラン、またはアルコキシチタンを加水分解的に縮合させ、それらの金属酸化物を析出させることで、形状変化に富んだ複雑なナノシリカまたはナノチタニア構造体およびそれらの製法を提供した(前記特許文献1〜6参照。)。この技術の基本原理は、溶液中でポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの結晶性会合体を自発的に生長させることであり、一旦結晶性会合体ができたら、後は単に該結晶性会合体の分散液中にシリカまたはチタニアソースを混合して、結晶性会合体表面上だけでのシリカまたはチタニアの析出を自然に任せることになる(いわゆる、ゾルゲル反応)。溶液中でのポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの結晶性会合体の生長を、任意形状の固体基材の表面にて進行させ、基材上にポリマーの結晶性会合体の層が形成できれば、その固体基材上にシリカまたはチタニアとポリマーとが複合化された新しい界面を有するナノ構造物を構築することができると考えられる。この作業モデルをさらに拡張すれば、固体基材上に形成させる層がポリマーの結晶性会合体ではなく、ポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの非結晶性の分子会合体からなる安定な層であっても、同様に目的のシリカまたはチタニアとポリマーとが複合化された新しいナノ界面を構築することができると考えられる。
従って、上記課題解決の根本的な問題は、如何に固体基材の表面にポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの自己組織化会合体の安定な層(皮膜)を形成させるかだけになる。ポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの重要な特徴は、塩基性であること、そして極めて高い極性を有することである。従って、ポリエチレンイミン骨格含有ポリマーは金属基材、ガラス基材、無機金属酸化物基材、極性表面を有するプラスチック基材、セルロース基材など多くの電子受容体基材類や、ルイス酸性基材類、酸性基材類、極性基材類、水素結合性基材類等の様々な表面と強い相互作用力(吸着力)を有する。本発明者らは、ポリエチレンイミン骨格含有ポリマーのこの特徴を生かし、任意形状の固体基材表面と一定濃度、一定温度のポリエチレンイミン骨格含有ポリマーとの分子溶液と接触(浸漬)させることにより、溶液中の該ポリマーが固体基材表面に吸引され、結果的には該ポリマーの分子会合体からなる層が、固体基材表面の接触させた部分の全面に渡り容易に形成できることを見出した。更にこのようにして得られたポリマー層で被覆された固体基材をチタニアソース液中に浸漬させることで、固体基材を複雑なナノ構造を有するチタニア/ポリマー複合体で被覆させることができる事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、任意形状の固体基材が、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーとチタニアとがナノメートルオーダーで複合化されたナノ構造複合体によって被覆されてなることを特徴とするチタニアナノ構造複合体被覆型構造物、及びその製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記ナノ構造複合体中に金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子等が含まれていることを特徴とするチタニアナノ構造複合体被覆型構造物、及びその製造方法を提供するものである。
本発明のナノ構造複合体被覆型構造物は、任意形状の金属、ガラス、無機金属酸化物、プラスチック、セルロースなどの固体基材表面に、ポリマーとチタニアとを含有する複合体が形成されているものであり、該構造物自体は、複雑な平面、曲面、棒状、管状等のいずれの形態であってもよく、また、管内、管外、容器内、容器外のいずれにも限定的または包括的に被覆させることができる。また、被覆するナノ構造複合体は、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー溶液と固体基材との接触によって該基材上に形成されるポリマー層をテンプレートとすることから、固体基材表面の一部のみを選択して被覆することも容易である。構造物の大小にかかわらず、その表面にはナノ構造複合体が形成されていることから、単位面積あたりの表面積(比表面積)は極めて大きくなる。また、固体基材表面のナノ構造複合体は基本的にチタニアからなる最表面を有するものであるため、チタニアに関連する応用技術分野で好適に用いることが可能である。更には、該複合体中に、金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子などの様々な機能性パーツを組み込むことも容易であるから、それらの機能を発現させて利用する様々なデバイスへ利用することができる。具体的には、触媒付与型マイクロリアクター、酵素固定装置、物質の分離精製装置、チップ、センサー、フォトニックデバイス構築、絶縁体または半導体構築、殺菌/滅菌デバイス構築、各種マイクロ電池構築、超親水/超疎水界面構築等として用いることができ、また、プラスチックの耐熱性、難燃性、耐摩耗性及び耐溶剤性改良技術への応用や、基材表面の屈折率調整技術などの、産業上幅広い分野への応用展開が可能である。
本発明の構造物は、固体基材(X)の表面がポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)とチタニア(B)とを含有するナノ構造複合体(Y)によって被覆されたものである。さらに、本発明の構造物は、該ナノ構造複合体部分に、金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子が含まれることを特徴とする構造物をも提供する。従って、本発明の構造物は、固体基材、ポリマー、チタニア、金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子等により構成される。本発明において、ナノ構造複合体(Y)とは、ポリマー(A)とチタニア(B)、更に必要に応じて併用される金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子等が、ナノメートルオーダーで複合化され、それがファイバー状・フィルム状等の一定の形状を有する有機無機複合体のことを示すものである。また、金属ナノ粒子は後述するように、金属微粒子がナノメートルオーダーの大きさで存在しているものを示すものであって、必ずしも完全な球形である必要はないが、便宜上「粒子」と記載するものである。以下、本発明を詳細に述べる。
[固体基材]
本発明において使用する固体基材(X)としては、後述するポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)が吸着できるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、金属、金属酸化物などの無機材料系基材、樹脂(プラスチック)、セルロースなどの有機材料系基材等、更にはガラス、金属、金属酸化物表面をエッチング処理した基材、樹脂基材の表面をプラズマ処理、オゾン処理した基材などを使用できる。
無機材料系ガラス基材としては、特に限定するものではないが、例えば、耐熱ガラス(ホウケイ酸ガラス)、ソーダライムガラス、クリスタルガラス、鉛や砒素を含まない光学ガラスなどのガラスを好適に用いることができる。ガラス基材の使用においては、必要に応じ、表面を水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液でエッチングして用いることができる。
無機材料系金属基材としては特に限定しないが、例えば、鉄、銅、アルミ、ステンレス、亜鉛、銀、金、白金、またはこれらの合金などからなる基材を好適に用いることができる。
無機材料系金属酸化物基材としては、特に限定するものではないが、例えば、ITO(インジウムティンオキシド)、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛、アルミナなどを好適に用いることができる。
樹脂基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカボナート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンアルコール、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、セルロースなどの各種ポリマーの加工品を用いることができる。各種ポリマーの使用においては、必要に応じ、表面をプラズマ、UV照射処理したものであっても、硫酸またはアルカリ等で処理したものであっても良い。
固体基材(X)の形状については、特に限定されるものではなく、平面状若しくは曲面状板、またはフィルムでも良い。特に、複雑形状加工品の管状チューブ、管状チューブのらせん体、マイクロチューブ;また、任意形状の(例えば、球形、四角形、三角形、円柱形等)容器;また、任意形状の(例えば、円柱形、四角形、三角形等)棒または繊維状態の固体基材でも好適に用いることができる。
[ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)]
本発明において、固体基材(X)上に形成するポリマー層には、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)を用いることを必須とする。該ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)としては、線状、星状、櫛状構造の単独重合体であっても、他の繰り返し単位を有する共重合体であっても良い。共重合体の場合には、該ポリマー(A)中のポリエチレンイミン骨格(a)のモル比が20%以上であることが、安定なポリマー層を形成できる点から好ましく、該ポリエチレンイミン骨格(a)の繰り返し単位数が10以上である、ブロック共重合体であることがより好ましい。
前記ポリエチレンイミン骨格(a)としては、分岐状または直鎖状のいずれでも良いが、結晶性会合体形成能が高い直鎖状ポリエチレンイミン骨格であることがより好ましい。また単独重合体であっても共重合体であっても、ポリエチレンイミン骨格部分に相当する分子量が500〜1,000,000の範囲であると、安定なポリマー層を基材(X)上に形成することができる点から好ましい。これらポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)は市販品または本発明者らがすでに開示した合成法(前記特許文献1〜7参照。)により得ることができる。
後述するように、前記ポリマー(A)は様々な溶液に溶解して用いることができるが、この時、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)以外に、該ポリマー(A)と相溶するその他のポリマーと混合して用いることができる。その他のポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリプロピレンイミンなどを挙げることができる。これらのその他のポリマーを用いることにより、得られる構造物中の表面にあるナノ構造複合体層の厚み等を容易に調整することが可能となる。
[チタニア(B)]
本発明で得られる構造物の基材表面は、ポリマーとチタニアとからなるナノ構造複合体であることが大きな特徴である。チタニア(B)形成に必要なチタンソースとしては、水中で安定な水溶性チタン化合物を好ましく用いることができる。
水溶性チタン化合物として、例えば、チタニウムビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド水溶液、チタニウムビス(ラクテート)の水溶液、チタニウムビス(ラクテート)のプロパノール/水混合液、チタニウム(エチルアセトアセテート)ジイソプロポオキシド、硫酸チタンなどが挙げられる。
これらの水溶性チタン化合物を用いる際、チタン以外のアルコキシシラン類を混合して、反応を行うこともできる。アルコキシシラン類として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどが挙げられる。
また、アルキルトリアルコキシシラン類を混合して、反応を行う事もできる。アルキルトリアルコキシシラン類として、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシラン、エチルトリメトキシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシラン、n−プロピルトリエトキシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン、3−メルカプトプロピルトメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシアンなどを単一で、又は混合して用いることができる。
上記シラン化合物の使用量としては、水溶性チタン化合物の1/2〜1/10当量であることが好ましい。
また、上記チタンソースとして、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、ヘキサフルオロチタンアンモニウム等を用いることができる。
[金属イオン(C)]
本発明の構造体における基材表面は、前述のポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)とチタニア(B)とからなるナノ構造複合体(Y)で被覆されている。このナノ構造複合体(Y)中には金属イオン(C)を安定に取り込むことができ、従って、金属イオン(C)を含むチタニアナノ構造複合体被覆型構造物を得ることができる。
前記ポリマー(A)中のポリエチレンイミン骨格(a)は金属イオン(C)に対して強い配位能力を有するため、金属イオン(C)は該骨格中のエチレンイミン単位と配位結合して金属イオン錯体を形成する。該金属イオン錯体は金属イオン(C)がエチレンイミン単位に配位されることにより得られるものであり、イオン結合等の過程と異なり、該金属イオン(C)がカチオンでも、またはアニオンでも、エチレンイミン単位への配位により錯体を形成することができる。従って、金属イオン(C)の金属種は、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位と配位結合できるものであれば制限されず、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属、ランタン系金属、ポリオキソメタレート類の金属化合物等のいずれでも良く、単独種であっても複数種が混合されていても良い。
上記アルカリ金属としては、Li,Na,K,Cs等が挙げられ、該アルカリ金属のイオンの対アニオンとしては、Cl,Br,I,NO,SO,PO,ClO,PF,BF,FCSOなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、Mg,Ba,Ca等が挙げられる。
遷移金属系の金属イオンとしては、それが遷移金属カチオン(Mn+)であっても、または遷移金属が酸素との結合からなる酸根アニオン(MO n−)、またはハロゲン類結合からなるアニオン(ML n−)であっても、好適に用いることができる。なお、本明細書において遷移金属とは、周期表第3族のSc,Y、及び、第4〜12族で第4〜6周期にある遷移金属元素を指す。
遷移金属カチオンとしては、各種の遷移金属のカチオン(Mn+)、例えば、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,W,Os,Ir,Pt,Au,Hgの一価、二価、三価または四価のカチオンなどが挙げられる。これら金属カチオンの対アニオンは、Cl,NO,SO、またはポリオキソメタレート類アニオン、あるいはカルボン酸類の有機アニオンのいずれであってもよい。ただし、Ag,Au,Ptなど、エチレンイミン骨格により還元されやすいものは、pHを酸性条件にする等、還元反応を抑制してイオン錯体を調製することが好ましい。
また遷移金属アニオンとしては、各種の遷移金属アニオン(MO n−)、例えば、MnO,MoO,ReO,WO,RuO,CoO,CrO,VO,NiO,UOのアニオン等が挙げられる。
本発明における金属イオン(C)としては、前記遷移金属アニオンが、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位に配位した金属カチオンを介してチタニア(B)中に固定された、ポリオキソメタレート類の金属化合物の形態であってもよい。該ポリオキソメタレート類の具体例としては、遷移金属カチオンと組み合わせられたモリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジン酸塩類等を挙げることができる。
さらに、各種の金属が含まれたアニオン(ML n−)、例えば、AuCl,PtCl,RhCl,ReF,NiF,CuF,RuCl,InCl等、金属がハロゲンに配位されたアニオンもイオン錯体形成に好適に用いることができる。
また、半金属系イオンとしては、Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,Sb,Biのイオンが挙げられ、なかでもAl,Ga,In,Sn,Pb,Tlのイオンが好ましい。
ランタン系金属イオンとしては、例えば、La,Eu,Gd,Yb,Euなどの3価のカチオンが挙げられる。
[金属ナノ粒子(D)]
上記した通り、本発明では金属イオン(C)を構造体中のナノ構造複合体(Y)中に取り込むことができる。従って、これらの金属イオン(C)のなかでも、還元反応により還元されやすい金属イオンは、金属ナノ粒子(D)に変換させることで、該複合体(Y)中に金属ナノ粒子(D)を含有させることができる。
金属ナノ粒子(D)の金属種としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、マンガン、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、レニウム、モリブデン、鉄等が挙げられ、複合体(Y)中の金属ナノ粒子(D)は一種であっても、二種以上であってもよい。これら金属種の中でも、特に、銀、金、白金、パラジウムは、その金属イオンがエチレンイミン単位に配位された後、室温または加熱状態で自発的に還元されるため特に好ましい。
複合体(Y)中の金属ナノ粒子(D)の大きさは、1〜20nmの範囲に制御できる。また、金属ナノ粒子(D)は、ポリマー(A)とチタニア(B)とのナノ構造複合体(Y)の内部、または外表面に固定することができる。
[有機色素分子(E)]
本発明において、構造物を被覆するナノ構造複合体(Y)中のポリエチレンイミン骨格(a)はアミノ基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基を有する化合物と、水素結合及び/又は静電気引力により、物理的な結合構造を構成することができる。従って、これらの官能基を有する有機色素分子(E)を該複合体(Y)中に含有させることが可能である。
前記有機色素分子(E)としては、単官能酸性化合物、または二官能以上の多官能酸性化合物を好適に用いることができる。
具体的には、例えば、テトラフェニルポルフィリンテトラカルボン酸、ピレンジカルボン酸などの芳香族酸類、ナフタレンジスルホン酸、ピレンジスルホン酸、ピレンテトラスルホン酸、アンスラキノンジスルホン酸、テトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸、フタロシアニンテトラスルホン酸、ピペス(PIPES)などの芳香族または脂肪族のスルホン酸類、acid yellow,acid blue,acid red,direct blue,direct yellow,direct red系列のアゾ系染料等を挙げることができる。また、キサンテン骨格を有する色素、例えば、ローダミン、エリスロシン、エオシン系列の色素を用いることができる。
[ポリマー(A)とチタニア(B)とを含有するナノ構造複合体(Y)]
ポリマー(A)とチタニア(B)とを含有するナノ構造複合体(Y)は、基本的にはポリマー(A)とチタニア(B)との複合ナノファイバーまたは複合ナノフィルムの集合体であり、その集合体が基材表面全体を覆った状態を構成しながら、様々なパターンまたはモルフォロジーを形成する。例えば、ナノファイバーが固体基材上の全面でネットワークを形成しているスポンジ状(ナノスポンジ)、ナノフィルムが固体基材表面に沿って、ナノ薄膜を形成すると同時に、フィルムがそのナノ薄膜上の全面で、囲み型塀が立ち並ぶ状態で迷路を形成している(ナノ迷路)など、多様多種の階層構造を構成することができる。
上記ナノスポンジ等の高次構造における、基本ユニットの複合ナノファイバーの太さは10〜100nmの範囲である。それらにより被覆膜厚みは50nm〜10μm範囲に制御できる。
上記ナノ迷路状高次構造における、基本ユニットの複合ナノフィルムの厚みは30〜500nmの範囲である。ナノ迷路形成の囲み型塀の高さは100〜2000nm範囲に制御できる。また、囲み型塀と塀の間隔は200nm〜5μm範囲に制御できる。
ナノ構造複合体(Y)中、ポリマー(A)の成分は5〜30質量%で調整可能である。ポリマー(A)成分の含有量を変えることで、集合体構造(高次構造)を変えることもできる。
また、該ナノ構造複合体(Y)中に金属イオン(C)、金属ナノ粒子(D)又は有機色素分子(E)を含有させる場合には、その種類によって高次構造を制御することも可能である。この場合においても、基本ユニットは前記したようなナノファイバー及び/ナノフィルムであり、これらが、組み合わさって複雑形状を形成する。
金属イオン(C)を取り込む際の該金属イオン(C)取り込み量としては、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位1当量に対し、1/4〜1/200当量の範囲で調製することが好ましく、この比率を変えることによって、被覆層の厚みを変化させることができる。また、この時の被覆層は金属種に応じた発色をすることもある。
金属ナノ粒子(D)を取り込む際の該金属ナノ粒子(D)取り込み量としては、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位1当量に対し、1/4〜1/200当量の範囲で調製することが好ましく、この比率を変えることによって、被覆層の厚みを変化させることができる。また、この時の被覆層は金属種に応じた発色をすることもある。
有機色素分子(E)を取り込む際の該有機色素分子(E)取り込み量としては、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位1当量に対し、1/2〜1/200当量の範囲で調製することが好ましく、この比率を変化させることにより、被覆層の厚みや形状パターンを変えることもできる。
また、ナノ構造複合体(Y)には、金属イオン(C)、金属ナノ粒子(D)及び有機色素分子(E)の2種以上を同時に取り込ませることもできる。
[チタニアナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法]
本発明の構造物の製造方法は、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオン(C)との混合溶液、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と有機色素分子(E)との混合溶液、またはポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオン(C)と有機色素分子(E)との混合溶液を固体基材(X)の表面に接触させた後、該基材(X)を取り出し、基材(X)の表面にポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と、併用された金属イオン(C)及び/又は有機色素分子(E)とからなるポリマー層が吸着した基材を得る工程(1)と、前記ポリマー層が吸着した基材とチタンソース液(B’)とを接触させて、基材表面に吸着したポリマー層中のポリエチレンイミン骨格(a)が有する触媒機能により、チタニア(B)がその上に析出して、ナノ構造複合体(Y)を形成すると共に基材を被覆する工程(2)、とを有する製造方法である。この手法により固体基材(X)の表面にポリマー(A)とチタニア(B)とからなるナノ界面、ポリマー(A)/金属イオン(C)/チタニア(B)からなるナノ界面、ポリマー(A)/有機色素分子(E)/チタニア(B)からなるナノ界面及びポリマー(A)/金属イオン(C)/有機色素分子(E/チタニア(B)の被覆層を容易に形成することができる。
工程(1)において使用するポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)は前述のポリマーを使用できる。また、該ポリマー(A)の溶液を得る際に使用可能な溶媒としては、該ポリマー(A)が溶解するものであれば特に制限されず、例えば、水、メタノールやエタノールなどの有機溶剤、あるいはこれらの混合溶媒などを適宜使用できる。
溶液中における該ポリマー(A)の濃度としては、固体基材(X)上にポリマー層を形成できる濃度であれば良いが、所望のパターン形成や、基材表面へ吸着するポリマー密度を高くする場合には、0.5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、5質量%〜50質量%の範囲であるとより好ましい。
ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液中には、該溶剤に可溶でポリマー(A)と相溶可能な前述のその他のポリマーを混合することもできる。その他のポリマーの混合量としては、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の濃度より高くても低くても良い。
金属イオン(C)を含有するナノ構造複合体(Y)からなる被覆層を形成させる場合には、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液中に、当該金属イオン(C)を混合する。該金属イオン(C)の濃度はポリエチレンイミン骨格(a)中のエチレンイミン単位の1/4当量以下で調整することが好ましい。
また、有機色素分子(E)を含有するナノ構造複合体(Y)からなる被覆層を形成させる場合には、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液中に当該有機色素分子(E)を混合する。該有機色素分子(E)の濃度はポリエチレンイミン骨格(a)中のエチレンイミン単位の1/2当量以下で調整することが好ましい。
また、工程(1)においてポリマー層を作製するには、固体基材(X)をポリマー(A)の溶液と接触させる。接触法としては、所望の固体基材(X)をポリマー(A)の溶液に浸漬することが好適である。
浸漬法では、基材状態により、基材(非容器状)を溶液中に入れる、または溶液を基材(容器状)中に入れる方式で、基材と溶液を接触させることができる。浸漬の際、ポリマー(A)の溶液の温度は加熱状態であることが好ましく、概ね50〜90℃の温度であれば好適である。固体基材(X)をポリマー(A)の溶液と接触させる時間は特に制限されず、基材(X)の材質に合わせて、数秒から1時間で選択することが好ましい。基材の材質がポリエチレンイミンと強い結合能力を有する場合、例えば、ガラス、金属などでは数秒〜数分でよく、基材の材質がポリエチレンイミンと結合能力が弱い場合は数十分から1時間でも良い。
固体基材(X)とポリマー(A)の溶液を接触した後、該基材をポリマー(A)の溶液から取り出し、室温(25℃前後)に放置すると、自発的にポリマー(A)の集合体層が該基材(X)の表面に形成される。あるいは、該基材(X)をポリマー(A)の溶液から取り出してから、ただちに4〜30℃の蒸留水中、または室温〜氷点下温度のアンモニア水溶液中に入れることにより、自発的なポリマー(A)の集合体層を形成させても良い。
固体基材(X)の表面とポリマー(A)の溶液との接触方法では、例えば、スピンコータ、バーコータ、アプリケータなどによる塗布の他、ジェットプリンタによるプリントや印刷などの方法も使用できる。特に、微細なパターン状に接触させる場合には、ジェットプリンタよる方法が好適である。
工程(2)においては、工程(1)において形成したポリマー層とチタンソース液(B’)とを接触させ、ポリマー層表面にチタニア(B)を析出し、ポリマー(A)とチタニア(B)とのナノ構造複合体(Y)を形成させる。ポリマー層に金属イオン(C)及び/又は有機色素分子(E)が含まれる場合でも、同様な方法でチタニア(B)を析出させ、目的のナノ構造複合体(Y)を形成させることができる。
この時用いる、チタンソース液(B’)としては、前述した各種のチタンソースの水溶液や、アルコール類溶剤、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの水性有機溶剤溶液、またはこれらと水との混合溶剤溶液を用いることができる。用いるチタンソース液(B’)には、チタン以外の金属アルコキシドを混合することもできる。
ポリマー層が吸着した固体基材をチタンソース液(B’)と接触させる方法としては、浸漬法を好ましく用いることができる。浸漬する時間は5〜60分であれば十分であるが、必要に応じ時間を更に長くすることもできる。チタンソース液(B’)の温度は室温でもよく、加熱状態でも良い。加熱の場合、チタニア(B)を固体基材(X)の表面にて規則的に析出させるため、温度を70℃以下に設定することが望ましい。
チタンソースの種類、濃度などの選定により、析出されるチタニア(B)とポリマー(A)とのナノ構造複合体(Y)の構造を調整することができ、目的に応じて、チタンソースの種類や濃度を適宜に選定することが好ましい。
ポリエチレンイミンは貴金属イオン、例えば、金、白金、銀、パラジウムなどを金属ナノ粒子に還元することができる。従って、上記工程で得られた、ナノ構造複合体(Y)によって被覆された構造物を、当該貴金属イオンの水溶液と接触させる工程(3)を経ることにより、該貴金属イオンをナノ構造複合体(Y)中で金属ナノ粒子(D)に変換させることができ、金属ナノ粒子(D)を有するナノ構造複合体被覆型構造物を得ることができる。
前記工程(3)において貴金属イオンの水溶液と接触させる方法は浸漬法を好ましく用いることができる。貴金属イオンの水溶液としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、硝酸銀等の水溶液を好適に用いることができ、貴金属イオンの水溶液濃度としては0.1〜5モル%であることが好ましい。
貴金属イオンの水溶液の温度は特に限定されず、室温〜90℃の範囲であれば良いが、還元反応を促進するためであれば、50〜90℃の加熱された水溶液を用いることが好ましい。また、構造物を金属イオンの水溶液中に浸漬する時間は0.5〜3時間であればよく、加熱された水溶液に浸漬する場合は30分程度で十分である。
ポリエチレンイミン単独では還元されにくい金属イオンの場合には、前記で得られた金属イオン(C)を有する構造物中の当該金属イオン(C)を、還元剤、特に低分子量の還元剤溶液または水素ガスと接触させる工程(4)を併用して、該金属イオン(C)を還元することにより、当該金属ナノ粒子(D)を含有するナノ構造複合体被覆型構造物を得ることができる。
この時使用できる還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルデヒド、ヒドラジン、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素アンモニウム、水素などが例として挙げられる。還元剤を用いて金属イオンを還元する際には、その反応は水性媒体中で行うことができ、金属イオン(C)が含まれた構造物を還元剤溶液中に浸漬する方法、または水素ガス雰囲気中放置させる方法を用いることができる。この時、還元剤水溶液の温度は室温〜90℃以下の範囲であればよく、また還元剤の濃度としては1〜5モル%であることが好ましい。
工程(4)に適応できる金属イオン(C)の金属種としては、特に限定されないが、還元反応が速やかに進行する点から、銅、マンガン、クロム、ニッケル、錫、バナジウム、パラジウムであることが好ましい。
被覆型構造物を還元剤水溶液に浸漬する際、還元剤水溶液温度は室温または90℃以下の加熱状態でも好適であり、還元剤の濃度は1〜5%程度で十分である。
前述の方法で得られた様々な構造物は、室温(25℃)〜60℃程度に放置することにより、溶剤や水を除去して、前記した様々な用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、特に断わりがない限り、「%」は「質量%」を表わす。
[走査電子顕微鏡によるナノ構造体の形状分析]
単離乾燥したナノ構造体を両面テープにてサンプル支持台に固定し、それをキーエンス製表面観察装置VE−9800にて観察した。
合成例1
<直鎖状のポリエチレンイミン(L−PEI)の合成>
市販のポリエチルオキサゾリン(数平均分子量50,000,平均重合度5,000,Aldrich社製)3gを、5モル/Lの塩酸15mLに溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加熱し、その温度で10時間攪拌した。反応液にアセトン50mLを加え、ポリマーを完全に沈殿させ、それを濾過し、メタノールで3回洗浄し、白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水、日本電子株式会社製、AL300、300MHz)にて同定したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖エチル基に由来したピーク1.2ppm(CH)と2.3ppm(CH)が完全に消失していることが確認された。即ち、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリマー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥し、線状のポリエチレンイミン(L−PEI)を得た。収量は2.2g(結晶水含有)であった。ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンは、側鎖だけが反応し、主鎖には変化がない。従って、L−PEIの重合度は加水分解前の5,000と同様である。
合成例2
<ベンゼン環中心の星状ポリエチレンイミン(B−PEI)合成>
Jin,J.Mater.Chem.,13,672−675(2003)に示された方法に従い、前駆体ポリマーであるベンゼン環中心に6本のポリメチルオキサゾリンのアームが結合した星状ポリメチルオキサゾリンの合成を次の通り行った。
磁気攪拌子がセットされたスリ口試験管中に、重合開始剤としてヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン0.021g(0.033mmol)を入れ、試験管の口に三方コックをつけた後、真空状態にしてから窒素置換を行った。窒素気流下で三方コックの導入口からシリンジを用いて2−メチル−2−オキサゾリン2.0ml(24mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド4.0mlを順次加えた。試験管をオイルバス上で60℃まで加熱し、30分間保ったところ、混合液は透明になった。透明混合液をさらに100℃まで加熱し、その温度で20時間攪拌して、前駆体ポリマーを得た。この混合液のH−NMR測定から、モノマーの転化率は98モル%、収量は1.8gであった。この転化率によりポリマーの平均重合度を見積もったところ、各アームの平均重合度は115であった。また、GPC(HLC−8000,東ソー株式会社製)による分子量測定では、ポリマーの質量平均分子量は22,700であり、分子量分布は1.6であった。
この前駆体ポリマーを用い、上記合成例1と同様な方法によりポリメチルオキサゾリンを加水分解し、6本のポリエチレンイミンがベンゼン環コアに結合した星状ポリエチレンイミンB−PEIを得た。H−NMR(TMS外部標準、重水中)測定の結果、加水分解前の前駆体ポリマーの側鎖メチルに由来した1.98ppmのピークは完全に消失したことが確認された。
その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿した結晶粉末を濾過し、その結晶粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温(25℃)乾燥し、6本のポリエチレンイミンがベンゼン環コアに結合した星状ポリエチレンイミン(B−PEI)を得た。収量は1.3g(結晶水含有)であった。
実施例1−1〜1−3
[ガラス管内壁がチタニア/ポリマーのナノ構造複合体で被覆された構造物]
上記合成例1で得たポリマーL−PEIを蒸留水中に加え、90℃まで加熱し、3%の水溶液を調製した。ソーダライム材質のガラス管(内径4mm、長さ5cm)とシリンジをゴム管で連結し、該ガラス管中に一定目安のところまで前記加温したポリマー水溶液を吸い取ってから、30秒間静置した後、該ポリマー水溶液をシリンジの押し力で排出した。この操作でガラス管内壁にL−PEIポリマー層が形成された。該ガラス管を室温にて5分間静置したのち、ガラス管を表1記載の各種チタンソース液中に30分間浸けた。ガラス管を取り出し、ガラス管内壁をエタノールで洗浄した後、それを室温で乾燥した。この作業後、ガラス管に薄青色の反射色が見えた。
上記過程を経て得られたガラス管末端を少々潰し、その破片をSEMにて観察した。図1〜3には異なるチタンソース液で作製したガラス管内壁表面のSEM写真の結果を示した。いずれの場合でも、内壁には、ナノファイバーをユニット構造とする緻密な配列膜が形成した。
表1の脚注
TC315:チタンラクテートの44%の水溶液(マツモトファインケミカル社製)
図1〜3には異なるチタンソース液で作製したガラス管内壁表面のSEM写真の結果を示した。いずれの場合でも、内壁には、ナノファイバーをユニット構造とする皮膜が形成した。
実施例2−1〜2−3
[ガラス管内壁がチタニア/ポリマーのナノ構造複合体で被覆された構造物]
実施例1において用いるアンモニア水濃度を高めた以外は、実施例1と同様にしてガラス内壁を被覆した構造物を得た。
上記過程を経て得られたガラス管末端を少々潰し、その破片をSEMにて観察した。図4〜6には異なるチタンソース液で作製したガラス管内壁表面のSEM写真の結果を示した。いずれの場合でも、内壁には、ナノフィルムが塀の様に立ち並ぶナノ迷路構造の皮膜が形成した。
実施例3
[平面状ガラス板表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
上記合成例1で得たポリマーL−PEIを蒸留水中に加え、80℃まで加熱し、3%の水溶液を調製した。該溶液中にソーダライム材質のガラススライドまたは表面アミン処理のソーダグラススライド(幅3cm、長さ5cm)を1分間浸漬けした後取り出し、室温で1分間静置した後、チタンソース液(TC315/1.0 Mアンモニア溶液体積比=1/120)に20分間浸漬けした。これにより、ガラススライド表面にポリマーの集合体層が形成した。板を液中から取り出し、エタノールで表面を洗浄し、室温にて乾燥させて板状の構造物を得た。得られた板の表面をSEMで観察した。図7は板表面を被覆したナノファイバーの構造写真である。
実施例4
[平面状ポリスチレン板表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
2×2cmのポスチレン板を濃硫酸液中に3時間浸けた後、水、メタノールで表面を洗浄し、室温で5分間乾燥した。その後、ポリスチレン板を3%のL−PEIの水溶液(80℃)に浸け、30秒間静置した。板を取り出し、室温にて5分間静置させた後、チタンソース液(TC315/1.0 Mアンモニア溶液体積比=1/120)につけた後、室温で20分静置した。板を液中から取り出し、エタノールで表面を洗浄し、室温にて乾燥させて板状の構造物を得た。得られた該構造物表面をSEMで観察した。図8は板表面を被覆したナノ迷路構造の写真である。
実施例5
[平面状スチール板表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
上記実施例4と同様な工程で行ない、スチール表面にナノ構造体で被覆された構造物を得た。図9に該構造物表面観察のSEM写真を示した。
実施例6
[平面状PETシート表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
上記実施例4と同様な工程で行ない、シート表面にナノ構造体で被覆された構造物を得た。図10に該構造物表面観察のSEM写真を示した。
実施例7
[平面状ポリエチレン−ポリビニルアルコール板表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
上記実施例4と同様に、ポリエチレン−ポリビニルアルコール板を用いて、板表面にナノ構造体で被覆された構造物を得た。図11に該構造物表面観察のSEM写真を示した。
実施例8
[平面状ガラス板表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
上記合成例2で得た星状ポリマーB−PEIを用いた以外、上記実施例4と同様な工程で行ない、ガラス板上をチタニア/ポリマーの複合体が被覆した構造物を得た図12に該構造物表面観察のSEM写真を示した。
実施例9
[ガラス板表面がチタニア/金ナノ粒子/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
実施例3で作製した構造物であるガラス板を5mLのNaAuCl・2HOの水溶液(1%)中に浸けて、80℃で1時間加熱した。ガラス管を取り出し、蒸留水、エタノール順に洗浄した後、室温で乾燥した。これで得たガラス管には薄いワインレッド色が現れた。このワインレッド色はガラス管内壁を被覆する層中に金ナノ粒子の存在を示すプラズモン吸収に由来する。反射スペクトル(日立製作所株式会社製、UV−3500)からも520nmをピークトップとする金ナノ粒子由来のプラズモン吸収が観測された。また、被覆膜から落としたTEM観察からも3〜4nm大きさの金属ナノ粒子が確認された。
実施例10
[ガラス板表面がチタニア/銅イオン/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
実施例3で作製した構造物であるガラス板を5mLのCu(NO水溶液(濃度0.014mol/L)中に漬けて、室温で3時間保持した。その後、板を取り出し蒸留水中に漬けて洗浄を行なった。乾燥後の板表面被覆物は青色を示した。反射スペクトルの測定から、630nm付近に銅イオン由来の吸収が確認された。
実施例11
[ガラス板表面がチタニア/色素/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
実施例3で作製した構造物のガラス板を5mLのテトラスルホン酸フェニルポルフィリン(TSPP)の水溶液(濃度0.1wt%)中に浸けて、室温で3時間保持した。その後、板を取り出し蒸留水中に漬けて洗浄を行なった。乾燥後の板表面被覆物は蛍光顕微鏡で強い赤色の蛍光を示した。反射スペクトルの測定から、420nm付近にポルフィリン由来のSoretバンドが観察され、蛍光スペクトルからは、605nm付近にポルフィリン由来の発光が確認された。
実施例12
[ガラス板表面がチタニア/銀ナノ粒子/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
実施例3で作製した構造物のガラス板を5mLの0.1wt%AgNOアンモニア水溶液(Ag/NH4モル比=1/6)中に浸けて、室温で3時間保持した。該板を取り出し、表面を蒸留水で洗浄後、5mLのアスコルビン酸水溶液(1wt%)中に2時間浸漬けした。板を取り出し、表面の反射スペクトルを測定したところ、403nm付近に銀ナノ粒子由来のプラズモン吸収が観察された。
実施例1−1で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:横方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 実施例1−2で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:横方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 実施例1−3で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:横方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 実施例2−1で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:横方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 実施例2−2で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:横方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 実施例2−3で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:cの○部分拡大図。 実施例3で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図。 実施例4で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図。 実施例5で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図。 実施例6で得た構造物の走査型/透過型電子顕微鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:PETシート溶解後得た固体成分のTEM写真(酸化チタン結晶格子が観察される)。 実施例7で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。 a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:cの○部分拡大図。 実施例8で得た構造物の走査型電子顕微鏡写真である。 a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図。

Claims (10)

  1. 固体基材(X)の表面がナノ構造複合体(Y)で被覆されているナノ構造複合体被覆型構造物であって、該ナノ構造複合体(Y)がポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)とチタニア(B)とを含有することを特徴とするチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
  2. 前記ナノ構造複合体(Y)中に更に金属イオン(C)が含まれている請求項1記載のチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
  3. 前記ナノ構造複合体(Y)中に更に金属ナノ粒子(D)が含まれている請求項1記載のチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
  4. 前記ナノ構造複合体(Y)中に更に有機色素分子(E)が含まれている請求項1記載のチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
  5. 前記ナノ構造複合体(Y)が複合ナノフィルム(y1)を基本ユニットとし、該複合ナノフィルムが固体基材(X)の表面全体に広がり薄膜を形成していると共に、一定の空間距離範囲で薄膜の垂直の方向を向いて囲み塀を作りながら、迷路構造を形成している請求項1〜4の何れか1項記載のチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
  6. 前記ナノ構造複合体(Y)が複合ナノファイバー(y2)を基本ユニットとし、該複合ファイバー(y2)がネットワークを形成して固体基材(Y)を被覆する請求項1〜4の何れか1項記載のチタニアナノ構造複合体被覆型構造物。
  7. ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)を含有する溶液中に固体基材(X)を浸漬させた後取り出し、該固体基材(X)の表面にポリマー層を形成させる工程(1)と、
    前記工程(1)で得られたポリマー層を有する固体基材(X)と、チタンソース液(B’)とを接触して、固体基材(X)表面のポリマー層中にチタニア(B)を析出させ、ナノ構造複合体(Y)を形成させる工程(2)と、
    を有することを特徴とするチタニアナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
  8. 請求項7で得られるナノ構造複合体被覆型構造物を、更に金、銀、白金及びパラジウムからなる群から選ばれる貴金属のイオン水溶液中に浸漬させることにより、該貴金属イオンをナノ構造複合体(Y)中に浸透させ、該ナノ構造複合体(Y)中のポリエチレンイミン骨格(a)による自発還元作用により、当該貴金属の金属ナノ粒子(D)とすることを特徴とする、金属ナノ粒子が含まれたチタニアナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
  9. ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオン(C)とを含有する溶液中に固体基材(X)を浸漬させた後取り出し、該固体基材(X)の表面に金属イオン(C)を含有するポリマー層を形成させる工程(1)と、
    前記工程(1)で得られたポリマー層を有する固体基材(X)と、チタンソース液(B’)とを接触して、固体基材(X)表面の該ポリマー層中にチタニア(B)を析出させ、金属イオン(C)を含むナノ構造複合体(Y)を形成させる工程(2)と、
    を有することを特徴とする、金属イオンが含まれたチタニアナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
  10. 請求項9で得られる金属イオンを含むチタニアナノ構造複合体被覆型構造物を、更に還元剤溶液中に浸漬させ、ナノ構造複合体(Y)中の金属イオンを還元し、当該金属ナノ粒子に変換させることを特徴とする金属ナノ粒子が含まれたチタニアナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
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