JP4338757B2 - 炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター - Google Patents

炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター Download PDF

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Description

本発明は、炭素−炭素結合形成反応に用いる有機・無機複合体である固体触媒が反応容器に固定されているリアクターに関し、詳しくは、不飽和結合を有する化合物と活性メチレン又は活性メチンを有する化合物とを付加反応または縮合反応させて、炭素−炭素結合を形成する際に用いる固体触媒を容器や管の内壁に固定したリアクターに関する。
不飽和結合を有する化合物と活性メチレン又は活性メチンを有する化合物とが付加反応または縮合反応することにより、炭素−炭素結合を形成させる反応は、化学産業、特にファインケミストリー分野、医薬品用中間体の製造等には欠かせない反応であり、その反応には常に触媒が要求される。炭素−炭素結合形成反応の中でも、クネーフェナーゲル(Knoevenagel)反応やマイケル(Michael)反応は、塩基性を示す物質を触媒として用いることから、該触媒に関する技術開発も絶えず展開されている。一般的に、上記触媒として古くから塩基性を示す有機アミン化合物を用いることが多いが、反応系から該有機アミン化合物を完全に除くことが困難であるため、精製工程にかかるコストが高くなりやすく、更には精製工程で生じる廃棄物量も多くなり環境負荷を高めてしまうことになる。従って、触媒と生成物との分離や触媒の再利用などの視点から固体触媒の開発が多く行われてきた。例えば、ルイス塩基性を有する無機酸化物触媒(例えば、非特許文献1参照。)、有機アミンまたは有機塩基性残基がシリカ表面に化学結合で固定された触媒(例えば、非特許文献2および3参照。)、メソポーラスシリカ中にアミン残基が固定されてなる固体触媒(例えば、非特許文献4参照。)など、数多くの固体触媒が提案されている。
前記非特許文献1〜4で提案された固体触媒は、何れの場合も触媒機能を有する化合物の一部が固体表面に化学的に結合されていることを特徴とする。該固体触媒を再利用しようとする場合には、固体表面に結合されている触媒機能を有する化合物の構造変化が起こりやすいために触媒活性の低下が避けられなく、使用する固体触媒量を増やすことが必要となる。従って前記非特許文献1〜4等で提案されている塩基性固体触媒での工業化は通常、困難である。
触媒を固体表面に固定することとは反対に、触媒として機能する化合物の分子をポリマーカプセル中に閉じ込める方法も開示されている(例えば、非特許文献5参照。)。この方法は触媒活性を低下させることはないが、繰り返し使用を考えた場合、固体触媒に比べると回収などの作業は簡便ではない。
不飽和結合を有する化合物と活性メチレン又は活性メチンを有する化合物とが関わる炭素−炭素結合形成反応において、塩基性を示す有機アミン化合物を触媒とする場合、その触媒が分子触媒的に機能し、しかも、それが固体中に閉じ込まれていることになれば、触媒の活性向上、分離回収の簡便化、再利用効率の向上など多くの利点をもたらすことが予想され、それが更に環境負荷の低減、コスト削減を達成させることにも繋がると考えられる。しかしながら、反応液から固体触媒の分離回収は古典的な合成プロセスでも捉える手法であり、それなりの作業プロセスが要求される。化学合成の全プロセスを革新させるには、触媒機能を有する組成を反応容器または反応管にナノレベルで固定し、反応終了後は反応液を取り出し、次の反応物質を反応容器または管に取り入れることができる触媒機能型リアクターが最も望ましい。
A.Corma et al.,J.Catal.,1990年、126巻、192頁 J.L.Defreese et al.,Chem.Mater.,2005年、17巻、6503頁 C.Paun et al.,J.Mol.Cat.A:Chem.,2007年、269巻、6頁 E.DeOliveira et al.,J.Mol.Cat.A:Chem.,2007年、271巻、63頁 Sarah L.Poe et al.,J.AM.CHEM.SOC.,2006年,128巻,15586頁
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、不飽和結合を有する化合物と活性メチレン又は活性メチンを有する化合物との、炭素−炭素結合形成反応に用いることができる固体触媒が容器や管の内壁に固定されている、触媒固定型容器または触媒固定型管状のリアクターを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを金属酸化物が被覆してなる複合体は、ガラスまたはプラスチック等からなる容器または管の内壁表面に固定することが可能であり、その複合体が、炭素−炭素結合形成反応時に使用する塩基性の固体触媒として好適に用いることができること、更に、反応終了後、反応液を取り出し、新しい反応液を入れ替えることで繰り返し使用可能で、再利用時にも触媒活性の機能低下がないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、不飽和結合を有する化合物(x1)と、活性メチレン又は活性メチンを有する化合物(x2)とを用いて炭素−炭素結合を形成する付加反応又は縮合反応に用いる固体触媒が固定されたリアクターであって、該固体触媒が、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)を金属酸化物(B)が被覆してなる複合体であり、且つ該複合体が容器又は管の内壁に固定されていることを特徴とする炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクターを提供するものである。
本発明の触媒固定型リアクターは、容器または管の内壁表面に非常に高い比表面積を有する複合体が形成され、その複合体中に触媒として機能する直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーが閉じ込められていることを特徴とする。従って、このリアクターは炭素−炭素結合反応における触媒として用いることができる。このような触媒固定型リアクターは化学産業上の有用な化合物、医薬用中間体製造プロセスを一新させることができる。特に、全体合成プロセスを簡易化し、触媒効率を飛躍的に向上させることで、環境負荷低減に大きく貢献できる。
不飽和炭素結合を有する化合物に活性メチレン(メチン)を含む化合物が関わる炭素−炭素結合反応触媒には有機低分子アミンと高分子アミンを用いることができる。しかし、低分子アミンでは、そのアミンの構造が変性してしまうと、触媒は完全に失活してしまうし、また、低分子アミンを分子レベルで固体中に閉じ込むことはほとんど不可能である。分子触媒の効率的な閉じ込みのためには、高分子ポリアミンを用いることが前提となる。高分子ポリアミンには、ポリマー鎖に数多いアミンが含まれているので、アミン構造に部分変性が起こっても、触媒失活は基本的に起こらないと考えられる。高分子ポリアミン系では、ポリエチレンイミンは重要な塩基性分子触媒として知られている。ポリエチレンイミンはシリカを析出させる触媒としても有効であるが、それと同時にシリカとハイブリッドされ、容易にポリイミン・シリカ複合体になる。特に、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーをシリカ析出に使用する際には、該ポリマーの会合体がシリカ中にナノメートルオーダーで閉じ込められた構造のナノ複合体を得ることができる。これはまさに、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有する塩基性ポリマーがシリカ篭中に閉じ込まれたようなナノ複合体である。
本発明者らは既に、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーが水性媒体中で自己組織化的に成長する結晶性会合体を反応場にし、溶液中でその会合体表面にてアルコキシシランを加水分解的に縮合させ、シリカを析出させることで、形状変化に富んだ複雑なナノシリカ構造体およびそれらの製法を提供した(特開2005−264421号公報、特開2005−336440号公報、特開2006−063097号公報、特開2007−051056号公報)。この技術の基本原理は、溶液中で直鎖状ポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの結晶性会合体を自発的に生長させることであり、一旦結晶性会合体ができたら、後は単に該結晶性会合体の分散液中にシリカソースを混合して、結晶性会合体表面上だけでのシリカの析出を自然に任せることになる(いわゆる、ゾルゲル反応)。溶液中でのポリエチレンイミン骨格含有ポリマーの結晶性会合体の生長を、任意形状の固体基材の表面にて進行させ、基材上にポリマーの結晶性会合体の層が形成できれば、その固体基材上にシリカとポリマーとが複合化された新しい界面を有するナノ構造物を構築することができると考えられる。この作業モデルをさらに拡張すれば、固体基材上に形成させる層がポリマーの結晶性会合体ではなく、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーの非結晶性の分子会合体からなる安定な層であっても、同様に目的のシリカとポリマーとが複合化された新しいナノ界面を構築することができると考えられる。
従って、上記課題解決の根本的な問題は、如何に固体基材、即ち容器または管の内壁の表面に直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーの自己組織化会合体の安定な層(皮膜)を形成させるかだけになる。直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーの重要な特徴は、塩基性であること、そして極めて高い極性を有することである。従って、該ポリマーは金属基材、ガラス基材、無機金属酸化物基材、極性表面を有するプラスチック基材、セルロース基材など多くの電子受容体基材類や、ルイス酸性基材類、酸性基材類、極性基材類、水素結合性基材類等の様々な表面と強い相互作用力(吸着力)を有する。本発明者らは、該ポリマーのこの特徴を生かし、容器または管の内壁表面を、一定濃度、一定温度でポリマーの分子溶液と接触(浸漬)させることにより、溶液中の該ポリマーが該表面に吸引され、結果的には該ポリマーの分子会合体からなる層が、内壁表面の接触させた部分の全面に渡り容易に形成できることを見出した。更にこのようにして得られたポリマー層で被覆された内壁表面を金属酸化物のソース溶液中に浸漬させることで、内壁表面に金属酸化物/ポリマー複合体からなる複雑なナノ界面構造を構築でき、その内壁中に閉じ込められた直鎖状ポリエチレンイミン部分が、炭素−炭素結合反応の触媒として機能できることを見出した。以下、本発明を詳細に述べる。
[容器または管]
本発明において使用する容器または管としては、後述する直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)が吸着できるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、金属、金属酸化物などの無機材料系基材、樹脂(プラスチック)、セルロースなどの有機材料系基材等、更にはガラス、金属、金属酸化物表面をエッチング処理した基材、樹脂基材の表面をプラズマ処理、オゾン処理、エッチング処理した基材などを使用できる。
無機材料系ガラス基材としては、特に限定することではないが、例えば、耐熱ガラス(ホウケイ酸ガラス)、ソーダライムガラス、クリスタルガラス、鉛や砒素を含まない光学ガラスなどのガラスを好適に用いることができる。ガラス基材の使用においては、必要に応じ、表面を水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液でエッチングして用いることができる。
無機材料系金属基材としては特に限定しないが、例えば、鉄、銅、アルミ、ステンレス、亜鉛、銀、金、白金、またはこれらの合金などからなる基材を好適に用いることができる。
無機材料系金属酸化物基材としては、特に限定することではないが、例えば、ITO(インジウムティンオキシド)、酸化スズ、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどを好適に用いることができる。
樹脂基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカボナート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンアルコール、ポリ酢酸ビニール、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、セルロースなどの各種ポリマーの加工品を用いることができる。各種ポリマーの使用においては、必要に応じ、表面をプラズマまたはオゾン処理したものであっても、硫酸またはアルカリ等で処理したものであっても良い。
上記機材類の形状については、特に限定されるものではなく、複雑形状加工品の管状チューブ、管状チューブのらせん体、マイクロチューブ、また、任意形状の(例えば、球形、四角形、三角形、円柱形等)容器でも好適に用いることができる。
[直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)]
本発明において、容器または管の内壁に形成するポリマー層には、結晶性会合体形成能が高い直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)を用いることを必須とする。該ポリマー(A)としては、線状、星状、櫛状構造の単独重合体であっても、他の繰り返し単位を有する共重合体であっても良い。共重合体の場合には、該ポリマー(A)中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)のモル比が20%以上であることが、安定なポリマー層を形成できる点から好ましく、該直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)の繰り返し単位数が10以上である、ブロック共重合体であることがより好ましい。
前記直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)としては、単独重合体であっても共重合体であっても、ポリエチレンイミン骨格部分に相当する分子量が500〜1,000,000の範囲であると、安定なポリマー層を容器又は管の内壁に形成することができる点から好ましい。これら直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)は市販品または本発明者らがすでに開示した合成法(前記特許文献参照。)により得ることができる。
後述するように、前記ポリマー(A)は様々な溶液に溶解して用いることができるが、この時、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)以外に、該ポリマー(A)と相溶するその他のポリマーと混合して用いることができる。その他のポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリプロピレンイミンなどを挙げることができる。これらのその他のポリマーを用いることにより、得られる複合体からなる固体触媒層の厚み等を容易に調整することが可能となる。
[金属酸化物(B)]
本発明で得られるリアクターに固定されている固体触媒は、ポリマーと金属酸化物とからなる複合体であることが大きな特徴である。金属酸化物(B)を析出させるために必要なソースとしては、例えば、アルコキシシラン類、水ガラス、ヘキサフルオロシリコンアンモニウム、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、または水性媒体中安定なチタニウムビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド水溶液、チタニウムビス(ラクテート)の水溶液、チタニウムビス(ラクテート)のプロパノール/水混合液、チタニウム(エチルアセトアセテート)ジイソプロポオキシド、硫酸チタン、ヘキサフルオロチタンアンモニウム等を用いることができる。これらの中でも、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)によるゾルゲル反応が速やかに進行し、ナノメートルオーダーで複合化された複合体が容易に得られること、及び工業的入手の容易性の観点から、アルコキシシラン類を用いることが好ましい。即ち、本発明のリアクターに固定される固体触媒は前述のポリマー(A)がシリカで被覆されてなる複合体であることが好ましい。
前記アルコキシシラン類としては、テトラメトキシシラン、メトキシシラン縮合体のオリゴマー、テトラエトキシシラン、エトキシシラン縮合体のオリゴマーを好適に用いることができる。さらに、アルキル置換アルコキシシラン類の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン等、更に、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を、単一で、又は混合して用いることができる。
本発明のリアクターは、容器又は管の内壁が前述の直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属酸化物(B)とを有する複合体からなる固体触媒が被覆してなるものであるが、ポリエチレンイミン骨格が有する塩基性や配位力により、該複合体中には金属イオン、金属ナノ粒子、有機色素分子等を安定に取り込むことができる。金属イオンや金属ナノ粒子は、化学反応時の触媒機能を有するものもあることから、本発明のリアクターを用いて様々な化学反応を行う際、該反応制御を行なう等の目的に応じて選択して用いることが好ましい。又、有機色素分子等の発色性・蛍光性を示す化合物を併用する場合には、本発明のリアクターの寿命の判断、化学反応の進行度合いの検出等の応用に好適に用いることができる。
ポリエチレンイミン骨格(a)は金属イオンに対して強い配位能力を有するため、金属イオンは該骨格中のエチレンイミン単位と配位結合して金属イオン錯体を形成する。該金属イオン錯体は金属イオンがエチレンイミン単位に配位されることにより得られるものであり、イオン結合等の過程と異なり、該金属イオンがカチオンでも、またはアニオンでも、エチレンイミン単位への配位により錯体を形成することができる。従って、金属イオンの金属種は、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位と配位結合できるものであれば制限されず、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属、ランタン系金属、ポリオキソメタレート類の金属化合物等のいずれでも良く、単独種であっても複数種が混合されていても良い。
上記アルカリ金属としては、Li,Na,K,Cs等が挙げられ、該アルカリ金属のイオンの対アニオンとしては、Cl,Br,I,NO,SO,PO,ClO,PF,BF,FCSOなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、Mg,Ba,Ca等が挙げられる。
遷移金属系の金属イオンとしては、それが遷移金属カチオン(Mn+)であっても、または遷移金属が酸素との結合からなる酸根アニオン(MO n−)、またはハロゲン類結合からなるアニオン(ML n−)であっても、好適に用いることができる。なお、本明細書において遷移金属とは、周期表第3族のSc,Y、及び、第4〜12族で第4〜6周期にある遷移金属元素を指す。
遷移金属カチオンとしては、各種の遷移金属のカチオン(Mn+)、例えば、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,W,Os,Ir,Pt,Au,Hgの一価、二価、三価または四価のカチオンなどが挙げられる。これら金属カチオンの対アニオンは、Cl,NO,SO、またはポリオキソメタレート類アニオン、あるいはカルボン酸類の有機アニオンのいずれであってもよい。ただし、Ag,Au,Ptなど、エチレンイミン骨格により還元されやすいものは、pHを酸性条件にする等、還元反応を抑制してイオン錯体を調製することが好ましい。
また遷移金属アニオンとしては、各種の遷移金属アニオン(MO n−)、例えば、M,MoO,ReO,WO,RuO,CoO,CrO,VO,NiO,UOのアニオン等が挙げられる。
また金属イオンとしては、前記遷移金属アニオンが、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位に配位した金属カチオンを介して金属酸化物(B)中に固定された、ポリオキソメタレート類の金属化合物の形態であってもよい。該ポリオキソメタレート類の具体例としては、遷移金属カチオンと組み合わせられたモリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジン酸塩類等をあげることができる。
さらに、各種の金属が含まれたアニオン(MLxn−)、例えば、AuCl,PtCl,RhCl,ReF,NiF,CuF,RuCl,InCl等、金属がハロゲンに配位されたアニオンもイオン錯体形成に好適に用いることができる。
また、半金属系イオンとしては、Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,Sb,Biのイオンが挙げられ、なかでもAl,Ga,In,Sn,Pb,Tlのイオンが好ましい。
ランタン系金属イオンとしては、例えば、La,Eu,Gd,Yb,Euなどの3価のカチオンが挙げられる。
上記した通り、本発明では金属イオンを内壁表面の固体触媒中に取り込むことができる。従って、これらの金属イオンのなかでも、還元反応により還元されやすい金属イオンは、金属ナノ粒子に変換させることで、該固体触媒中に金属ナノ粒子を含有させることができる。
金属ナノ粒子の金属種としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、マンガン、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、レニウム、モリブデン、鉄等が挙げられ、複合体からなる固体触媒中の金属ナノ粒子は一種であっても、二種以上であってもよい。これら金属種の中でも、特に、銀、金、白金、パラジウムは、その金属イオンがエチレンイミン単位に配位された後、室温または加熱状態で自発的に還元されるため特に好ましい。
複合体からなる固体触媒中の金属ナノ粒子の大きさは、1〜20nmの範囲に制御できる。また、金属ナノ粒子は、ポリマー(A)と金属酸化物(B)とのナノ構造複合体の内部、または外表面に固定することができる。
本発明において、容器または管内壁表面を被覆する複合体からなる固体触媒中のポリエチレンイミン骨格(a)はアミノ基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基を有する化合物と、水素結合及び/又は静電気引力により、物理的な結合構造を構成することができる。従って、これらの官能基を有する有機色素分子を該複合体からなる固体触媒中に含有させることが可能である。
前記有機色素分子としては、単官能酸性化合物、または二官能以上の多官能酸性化合物を好適に用いることができる。
具体的には、例えば、テトラフェニルポルフィリンテトラカルボン酸、ピレンジカルボン酸などの芳香族酸類、ナフタレンジスルホン酸、ピレンジスルホン酸、ピレンテトラスルホン酸、アンスラキノンジスルホン酸、テトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸、フタロシアニンテトラスルホン酸、ピペス(PIPES)などの芳香族または脂肪族のスルホン酸類、acid yellow,acid blue,acid red,direct blue,direct yellow,direct red系列のアゾ系染料等を挙げることができる。また、キサンテン骨格を有する色素、例えば、ローダミン、エリスロシン、エオシン系列の色素を用いることができる。
[ポリマー(A)と金属酸化物(B)とを含有する複合体]
ポリマー(A)と金属酸化物(B)とを含有する複合体は、基本的にはポリマー(A)と金属酸化物(B)との複合ナノファイバーまたは複合ナノ粒子の集合体であり、その集合体が固体容器または管の内壁表面全体を覆った状態を構成しながら、様々なパターンまたはモルフォロジーを形成する。例えば、複合ナノファバーが固体容器または管の内壁上の全面に該ファイバーの長軸が約垂直方向を向いて生えているような芝状(ナノ芝)またはファイバーの長軸が比較的長く、そのため若干垂直方向よりも倒れる傾向を有する田んぼ状(ナノ田んぼ)、複合ナノファイバーが基材上全面で横倒れているような畳状(ナノ畳)、複合ナノファイバー又は複合ナノ粒子が基材上の全面でネットワークを形成しているスポンジ状(ナノスポンジ)など、多様多種の階層構造を構成することができる。
上記ナノ芝状またはナノ田んぼ状、ナノ畳状、ナノスポンジ状等の高次構造における、基本ユニットの複合ナノファイバーの太さは10〜100nmの範囲である。ナノ芝状、ナノ田んぼ状における複合ナノファイバーの長さ(長軸方向)は50nm〜10μm範囲に制御することができる。
また、固体容器または管の内壁上でネットワークを形成する場合、即ち、被覆層全体にわたって三次元の網目構造を構築している場合には、基本構造が前記複合ナノファイバーのみからなるものであっても、複合ナノ粒子のみからなるものであっても、あるいは両者が組み合わさって形成されていても良い。この時、複合ナノ粒子の平均粒子径としては20nm以下に制御することが好ましい。
固体容器または管の内壁上を被覆する際の固体表面からの厚みは、複合ナノファイバー及び/又は複合ナノ粒子の集合体構造とも関連するが、概ね50nm〜20μm範囲で変化させることができる。ナノ芝状では、複合ナノファイバーが真っすぐ立ち伸びる傾向が強く、ファイバーの長さが基本的に厚みを構成し、一本一本のファイバーの長さはかなり揃った状態であることが特徴である。ナノ田んぼ状では、複合ナノファイバーが斜めに伸びる傾向が強く、被覆層の厚みはファイバーの長さよりは小さい。また、ナノ田んぼ状の層の厚さは、複合ナノファイバーの横倒れの重なり状態で決定されることが特徴である。ナノスポンジ状の層の厚さは複合ナノファイバーが規則性を有する複雑な絡みで盛り上がる度合いにより決まることが特徴である。ネットワークを形成している場合には、その重なり状態、複合ナノファイバーと複合ナノ粒子との存在割合等によって厚みが決定される。
複合体中、ポリマー(A)の成分は5〜30質量%で調整可能である。ポリマー(A)成分の含有量を変えることで、集合体構造(高次構造)を変えることもできる。
また、該複合体中に金属イオン、金属ナノ粒子又は有機色素分子を含有させる場合には、その種類によって高次構造を制御することも可能である。この場合においても、基本ユニットは前記したような複合ナノファイバー及び/複合ナノ粒子であり、これらが、組み合わさって複雑形状を形成する。
金属イオンを取り込む際の該金属イオン取り込み量としては、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位1当量に対し、1/4〜1/200当量の範囲で調製することが好ましく、この比率を変えることによって、被覆層の厚みを変化させることができる。また、この時の被覆層は金属種に応じた発色をすることもある。
金属ナノ粒子を取り込む際の該金属ナノ粒子取り込み量としては、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位1当量に対し、1/4〜1/200当量の範囲で調製することが好ましく、この比率を変えることによって、被覆層の厚みを変化させることができる。また、この時の被覆層は金属種に応じた発色をすることもある。
有機色素分子を取り込む際の該有機色素分子取り込み量としては、ポリマー(A)中のエチレンイミン単位1当量に対し、1/2〜1/1200当量の範囲で調製することが好ましく、この比率を変化させることにより、被覆層の厚みや形状パターンを変えることもできる。
また、複合体には、金属イオン、金属ナノ粒子及び有機色素分子の2種以上を同時に取り込ませることもできる。
[固体容器または管状内壁表面に触媒を固定したリアクターの製造方法]
本発明のリアクターの製造方法は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオンとの混合溶液、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と有機色素分子との混合溶液、または直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオンと有機色素分子との混合溶液を固体容器または管の内壁表面に接触させた後、これらの内壁に直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と、併用された金属イオン及び/又は有機色素分子とからなるポリマー層が吸着した基材を得る工程(1)と、前記ポリマー層が吸着した基材と金属酸化物のソース液(B’)とを接触させて、基材表面に吸着したポリマー層中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)が有する触媒機能により、金属酸化物(B)がその上に析出して、複合体を形成すると共に基材を被覆する工程(2)、とを有する製造方法である。この手法により容器又は管の内壁表面にポリマー(A)と金属酸化物(B)とからなるナノ界面、ポリマー(A)/金属イオン/金属酸化物(B)からなるナノ界面、ポリマー(A)/有機色素分子/金属酸化物(B)からなるナノ界面の触媒層を容易に形成することができる。
工程(1)において使用する直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)は前述のポリマーを使用できる。また、該ポリマー(A)の溶液を得る際に使用可能な溶媒としては、該ポリマー(A)が溶解するものであれば特に制限されず、例えば、水、メタノールやエタノールなどの有機溶剤、あるいはこれらの混合溶媒などを適宜使用できる。
溶液中における該ポリマー(A)の濃度としては、容器または管の内壁表面にポリマー層を形成できる濃度であれば良いが、所望のパターン形成や、基材表面へ吸着するポリマー密度を高くする場合には、0.5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、5質量%〜50質量%の範囲であるとより好ましい。
直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液中には、該溶剤に可溶でポリマー(A)と相溶可能な前述のその他のポリマーを混合することもできる。その他のポリマーの混合量としては、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の濃度より高くても低くても良い。
金属イオンを含有する複合体からなる固体触媒を形成させる場合には、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液中に、当該金属イオンを混合する。該金属イオンの濃度は直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)中のエチレンイミン単位の1/4当量以下で調整することが好ましい。
また、有機色素分子を含有する複合体からなる固体触媒を形成させる場合には、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液中に当該有機色素分子を混合する。該有機色素分子の濃度は直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)中のエチレンイミン単位の1/2当量以下で調整することが好ましい。
また、工程(1)においてポリマー層を作製するには、容器又は管の内壁をポリマー(A)の溶液と接触させる。接触法としては、所望の容器又は管の内壁をポリマー(A)の溶液に浸漬することが好適である。
浸漬法では、ポリマー溶液を容器または管状中に入れる方式で、基材と溶液を接触させることができる。浸漬の際、ポリマー(A)の溶液の温度は加熱状態であることが好ましく、概ね50〜90℃の温度であれば好適である。容器または管をポリマー(A)の溶液と接触させる時間は特に制限されず、これらの材質に合わせて、数秒から1時間で選択することが好ましい。容器又は管の材質がポリエチレンイミンと強い結合能力を有する場合、例えば、ガラス、金属などでは数秒〜数分でよく、基材の材質がポリエチレンイミンと結合能力が弱い場合は数十分から1時間でも良い。
容器または管とポリマー(A)の溶液を接触した後、これらをポリマー(A)の溶液から取り出し、室温(25℃前後)に放置すると、自発的にポリマー(A)の集合体層が内壁表面に形成される。あるいは、ポリマー(A)の溶液と分離してから、ただちに4〜30℃の蒸留水中、または室温〜氷点下温度のアンモニア水溶液中に入れることにより、自発的なポリマー(A)の集合体層を形成させても良い。
工程(2)においては、工程(1)において形成したポリマー層と金属酸化物のソース液(B’)とを接触させ、ポリマー層表面に金属酸化物(B)を析出し、ポリマー(A)と金属酸化物(B)とを含有する複合体からなる固体触媒層を形成させる。ポリマー層に金属イオン及び/又は有機色素分子が含まれる場合でも、同様な方法で金属酸化物(B)を析出させ、目的の複合体からなる固体触媒層を形成させることができる。
この時用いる、ソース液(B’)としては、前述した各種の金属酸化物ソースの水溶液や、アルコール類溶剤、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの水性有機溶剤溶液、またはこれらと水との混合溶剤溶液を用いることができる。また、pH値が9〜11の範囲に調整した水ガラス水溶液も用いることができる。
また、シリカソースとしてのアルコキシシラン類化合物は、無溶剤のバルク液のままでも使用可能である。
ポリマー層が吸着した容器または管をソース液(B’)と接触させる方法としては、浸漬法を好ましく用いることができる。浸漬する時間は5〜60分であれば十分であるが、必要に応じ時間を更に長くすることもできる。ソース液(B’)の温度は室温でもよく、加熱状態でも良い。加熱の場合、金属酸化物(B)を容器又は管の内壁表面にて規則的に析出させるため、温度を70℃以下に設定することが望ましい。
金属酸化物のソースの種類、濃度などの選定により、析出される金属酸化物(B)とポリマー(A)との複合体からなる固体触媒層の構造を調整することができ、目的に応じて、ソースの種類や濃度を適宜に選定することが好ましい。
ポリエチレンイミンは貴金属イオン、例えば、金、白金、銀、パラジウムなどを金属ナノ粒子に還元することができる。従って、上記工程で得られた、複合体によって被覆された内壁を、当該貴金属イオンの水溶液と接触させる工程(3)を経ることにより、該貴金属イオンを複合体中で金属ナノ粒子に変換させることができ、金属ナノ粒子を有する複合体からなる固体触媒層を形成させることができる。
前記工程(3)において貴金属イオンの水溶液と接触させる方法は浸漬法を好ましく用いることができる。貴金属イオンの水溶液としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、硝酸銀等の水溶液を好適に用いることができ、貴金属イオンの水溶液濃度としては0.1〜5モル%であることが好ましい。
貴金属イオンの水溶液の温度は特に限定されず、室温〜90℃の範囲であれば良いが、還元反応を促進するためであれば、50〜90℃の加熱された水溶液を用いることが好ましい。また、構造物を金属イオンの水溶液中に浸漬する時間は0.5〜3時間であればよく、加熱された水溶液に浸漬する場合は30分程度で十分である。
ポリエチレンイミン単独では還元されにくい金属イオンの場合には、前記で得られた金属イオンを有する複合体からなる固体触媒層中の当該金属イオンを、還元剤、特に低分子量の還元剤溶液または水素ガスと接触させる工程(4)を併用して、該金属イオンを還元することにより、当該金属ナノ粒子を含有する複合体からなる固体触媒層を形成させることができる。
この時使用できる還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルデヒド、ヒドラジン、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素アンモニウム、水素などが例として挙げられる。還元剤を用いて金属イオンを還元する際には、その反応は水性媒体中で行うことができ、金属イオンが含まれた複合体を還元剤溶液中に浸漬する方法、または水素ガス雰囲気中放置させる方法を用いることができる。この時、還元剤水溶液の温度は室温〜90℃以下の範囲であればよく、また還元剤の濃度としては1〜5モル%であることが好ましい。
工程(4)に適応できる金属イオンの金属種としては、特に限定されないが、還元反応が速やかに進行する点から、銅、マンガン、クロム、ニッケル、錫、バナジウム、パラジウムであることが好ましい。
複合体を還元剤水溶液に浸漬する際、還元剤水溶液温度は室温または90℃以下の加熱状態でも好適であり、還元剤の濃度は1〜5%程度で十分である。
前述の方法で得られた様々な固体触媒層は、室温(25℃)〜60℃程度に放置することにより、溶剤や水を除去して、本発明のリアクターとすることができる。
〔ガラス容器または管を触媒型リアクターとする炭素−炭素結合形成反応〕
本発明でいう炭素−炭素結合形成反応とは、不飽和結合を有する化合物(x1)と活性メチレン又は活性メチンを有する化合物(x2)とが関わる反応を言う。例えば、アルデヒド、ケトン等の不飽和の炭素原子を含む化合物、またはアルデヒド、ケトン、エステル、アミド基にC=C結合が共役された構造を含む化合物へ、強い電子吸引基にメチレンまたはメチンが結合している活性メチレン又は活性メチンを有する化合物が反応することで炭素−炭素結合が形成される反応であり、クネーフェナーゲル(Knoevenagel)反応やマイケル(Michael)反応として知られている。
前記アルデヒド類としては、脂肪族、芳香族に限らず、化合物中にアルデヒド基が含まれていれば用いることができる。前記ケトン類としても、脂肪族、芳香族に限らず、化合物中にケトン基が含まれていれば用いることができる。
活性メチレン又は活性メチンを有する化合物(x2)としては、そのメチレン又はメチンに強い電子吸引基が結合されることが要求されるが、例えば、−CN,−NO,−COOH,−CO(O)CH,−CO(O)C,−C(O)NH,−C(O)NHCH,−C(O)N(CH、−S(O)OPh等の官能基が単独または二つが組み合わせられてメチレン炭素に結合された化合物であると好ましく用いることができる。
以下、上記アルデヒド類、ケトン類化合物等の不飽和結合を有する化合物(x1)を電子のアクセプターとして定義し、一方、活性メチレン又は活性メチンを有する化合物(x2)を電子のドナーとして定義する。
アクセプターとしての化合物は、例えば、アルデヒドまたはケトンに、置換または未置換の脂肪族、環状脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘトロ環状脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族基が結合されたものである。詳しくは、脂肪族基としては、例えば、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等のアルキル基を挙げることができる。また、プロペニル、イソプロペニル、イソブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、n−2−ペンテニル、n−2−オクテニル等のアルケニル基であっても良い。置換基を有する脂肪族基としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシ−n−プロピル、1−ヒドロキシ−i−プロピル、1−ヒドロキシ−n−プロピル、1−ヒドロキシ−n−ブチル、1−ヒドロキシ−i−ブチル、2−ヒドロキシ−n−ブチル等の各種異性体のヒドロキシアルキル基を挙げることができる。更に、置換された脂肪族基として、ハロゲン基を有する脂肪族基、例えば、フッ化メチル、2−フッ化エチル、クロロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリクロロエチル、及びクロロ、フルオロ、ブロモに置換されたi−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等のアルキル基を挙げることができる。環状の脂肪族基としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等を挙げることができる。ヘテロ脂肪族基としては、脂肪族基に一つまたは一個以上のヘテロ原子、例えば、O,S,N,Pなどが含まれたものを挙げることができる。ヘテロシクロ脂肪族基としては、ヘテロ環状基に炭素原子数が4または5であり、その環状構造に一つまたは二つのヘテロ原子、例えば、O,S,Nなどが含まれた、例えば、オキシラン、アジリン、1,2−オキサチオラン、ピラゾリン、ピロリドン、ピパリジン、モルフォリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン等を挙げることができる。
芳香族基の場合、炭素原子が6ないし10である、例えば、フェニル、ペンタリン、インデン、ナフタレン、アンスラセンなどを挙げることができる。ヘテロ芳香族の場合は、炭素原子が4または5であり、その環状構造に、O,S,N等のヘテロ原子の一つが含まれた、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、プリン、キノリン等を挙げることができる。
また、ドナーとしての化合物としては、下記構造式(1)、
YCHY (1)
〔式中、Yは、CN,COOR,COOH,NO,CONH,CONHR,COR,又は−SOR(但し、RはC〜C12のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基である。)〕
下記構造式(2)、
XCHY (2)
〔式中、Yは前記と同様であり、XはC〜Cのアルキル基、または置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基であり、前記置換基は、Cl,Br,F,OH,CN,COOR’,COOH,CONH,NO,OCH,OC,SOR’,POR’(R’はC〜Cのアルキル基)である。〕
下記構造式(3)、
YCHZY (3)
〔式中、Yは前記と同様であり、ZはC〜Cのアルキル基、フェニル、又はナフチル基である。〕
又は、下記構造式(4)
XCHZY
〔式中、X、Y、Zは前記と同様である。〕
で表される化合物を挙げることができる。
これらのアクセプターとドナーとの反応は、本発明での複合体を触媒とする反応であるが、その際、反応温度、反応溶剤、触媒使用量などが反応効率に影響を与える。
ドナーが活性メチレン化合物の場合、そのメチレンに二つの電子吸引基(例えば、二つのCN基)が結合するとそれの反応活性は高くなる。従って、この様なドナーにアクセプターが反応する際は、反応温度は常温または30℃の範囲で反応を進行させることができる。ドナーの反応活性が比較的に弱い場合は、温度を少々高めることが望ましく、例えば、50〜150℃に設定することができる。
本発明の触媒は、無溶剤または溶剤存在下で用いることができる。特に原料として用いる化合物が液体の場合には、溶剤を用いなくても触媒活性を十分発揮させることができる。
特に、原料化合物が結晶性を有する場合、又は生成物が結晶性を有する場合には、本発明の固体触媒を用いて反応を行う場合に極性溶剤中で行うことが好ましい。前記極性溶剤としては、固体触媒中に含まれた直鎖状ポリエチレンイミ骨格(a)を有するポリマー(A)との溶媒和が起こりやすい溶剤類であることが好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、エチレンジアルコールなどアルコール系溶剤を好ましく使用することができる。また、これらのアルコール系溶剤に、その他の溶剤を混合して用いることもできる。その他の溶剤類としては、例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォンオキシドなどの極性溶剤を挙げることができる。
本発明での触媒固定型リアクターの内壁複合界面には、内部に分子触媒として機能する直鎖状ポリエチレンイミン骨格のポリマーが含まれるので、その触媒活性が高く、使用量はかなり少なくても反応を進行させることができる。一般に、アルデヒドまたはケトンなどが関わる炭素−炭素結合反応に用いるアクセプターとドナーのモル比では、ドナーを大過剰用いながら、触媒量もアクセプターの5/100〜10/100当量を用いることがよくあるが、本発明での固体触媒を用いる場合、アクセプターとドナーをそれぞれ1当量にし、触媒量(固体触媒中含まれるポリエチレンイミン中のエチレンイミン単位相当)は1/1000〜1/100等量範囲にして用いることができる。
本発明での触媒固定型リアクターを用いる反応では、反応終了後反応液を取り出した後引き続き次の反応物を仕込み、次々と繰り返し反応を行なうことができる。
触媒固定型リアクターの繰り返し使用では、反応終了後反応液を取り出し、その後溶剤でリアクター内部を洗浄後、乾燥工程を経て、または乾燥工程を経ずに、次の反応に用いることもできる。
本発明の触媒固定型リアクターを炭素−炭素結合反応用の触媒型リアクターとして用いることができるが、このリアクターの内壁界面に高い比表面積を有する「ナノ芝」状の複合体で構成され、それを形成する一つ一つの複合ナノファイバー又は複合ナノ粒子には、触媒として働くポリエチレンイミンが閉じ込まれた様な構造を有する。従って、この触媒は、反応溶液中では、実は分子触媒として機能することができるので、従来のアミン残基を固体粉末表面に結合した担持型触媒とは大きく異なり、炭素−炭素結合反応以外にも、ポリエチレンイミンが触媒として関わる他の有機反応の触媒として用いることもできると考えられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
[走査電子顕微鏡による複合体からなる固体触媒の形状分析]
単離乾燥した複合体からなる固体触媒を両面テープにてサンプル支持台に固定し、それをキーエンス製表面観察装置VE−9800にて観察した。
合成例1
<直鎖状のポリエチレンイミン(L−PEI)の合成>
市販のポリエチルオキサゾリン(数平均分子量50,000,平均重合度5,000,Aldrich社製)3gを、5モル/Lの塩酸15mLに溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加熱し、その温度で10時間攪拌した。反応液にアセトン50mLを加え、ポリマーを完全に沈殿させ、それを濾過し、メタノールで3回洗浄し、白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水、日本電子株式会社製、AL300、300MHz)にて同定したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖エチル基に由来したピーク1.2ppm(CH)と2.3ppm(CH)が完全に消失していることが確認された。即ち、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリマー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥し、線状のポリエチレンイミン(L−PEI)を得た。収量は2.2g(結晶水含有)であった。ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンは、側鎖だけが反応し、主鎖には変化がない。従って、L−PEIの重合度は加水分解前の5,000と同様である。
合成例2
<ベンゼン環中心の星状ポリエチレンイミン(B−PEI)合成>
Jin,J.Mater.Chem.,13,672−675(2003)に示された方法に従い、前駆体ポリマーであるベンゼン環中心に6本のポリメチルオキサゾリンのアームが結合した星状ポリメチルオキサゾリンの合成を次の通り行った。
磁気攪拌子がセットされたスリ口試験管中に、重合開始剤としてヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン0.021g(0.033mmol)を入れ、試験管の口に三方コックをつけた後、真空状態にしてから窒素置換を行った。窒素気流下で三方コックの導入口からシリンジを用いて2−メチル−2−オキサゾリン2.0ml(24mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド4.0mlを順次加えた。試験管をオイルバス上で60℃まで加熱し、30分間保ったところ、混合液は透明になった。透明混合液をさらに100℃まで加熱し、その温度で20時間攪拌して、前駆体ポリマーを得た。この混合液のH−NMR測定から、モノマーの転化率は98モル%、収量は1.8gであった。この転化率によりポリマーの平均重合度を見積もったところ、各アームの平均重合度は115であった。また、GPCによる分子量測定では、ポリマーの質量平均分子量は22,700であり、分子量分布は1.6であった。
この前駆体ポリマーを用い、上記合成例1と同様な方法によりポリメチルオキサゾリンを加水分解し、6本のポリエチレンイミンがベンゼン環コアに結合した星状ポリエチレンイミンB−PEIを得た。H−NMR(TMS外部標準、重水中)測定の結果、加水分解前の前駆体ポリマーの側鎖メチルに由来した1.98ppmのピークは完全に消失したことが確認された。
その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿した結晶粉末を濾過し、その結晶粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温(25℃)乾燥し、6本のポリエチレンイミンがベンゼン環コアに結合した星状ポリエチレンイミン(B−PEI)を得た。収量は1.3g(結晶水含有)であった。
実施例1
<触媒固定型ガラスリアクターでのベンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応>
[ガラス試験管内壁がポリマー/シリカの複合体からなる固体触媒で被覆されたリアクターAの調製]
上記合成例1で得たポリマーL−PEIを蒸留水中に加え、90℃まで加熱し、4%の水溶液15mLを調製した。ソーダライム材質のガラス試験管(商品名AR−GLAS、DURAN社製、内径2cm、長さ15cm)中に前記加温したポリマー水溶液を加えてから、30秒間静置した後、該ポリマー水溶液を傾斜法で排出した。この操作でガラス管内壁にL−PEIポリマー層が形成された。試験管中にシリカソース液(0.5%のテトラメトキシシランのエタノール溶液)を加え、10分間保持した。ガラス管から溶液を取り出し、ガラス管内壁をエタノールで洗浄した後、それを室温で乾燥した。この試験管内壁表面には概ね5mgの複合ナノ構造体が被覆された。この作業法で、5本のリアクターAを作製した。図1には作製したリアクターの破片から観測したSEM写真を示した。
[リアクターAを用いるベンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応]
窒素置換された上記リアクターA中に、ベンズアルデヒド1.06g(10mmol)、マロノニトリル0.66g(10mmol)、メタノール10mLを混合した。反応液を30℃まで加熱し、その温度で4時間放置した後、反応液を少々取り出し、H−NMRにて反応物の転化率を測定した。10ppmあたりでのベンズアルデヒド由来のアルデヒドピークの消失から転化率が100%であることを確認した。
実施例2
<触媒固定型リアクターAの繰り返し使用>
実施例1で使用したリアクターAをメタノールで洗浄した後、室温乾燥し、それを実施例1と同様な反応に用いた。30℃下4時間反応後、反応液を全部取り出し、リアクター内部をメタノールで2回洗浄した後、同じ反応物を加え、それを30℃下4時間反応させた。このような作業を全体9回繰り返し、各回での反応転化率を実施例1と同様にH−NMRにて測定した。その結果を表1に示した。
実施例1と実施例2の結果を合わせ、合計10回の再使用でも触媒活性の低下はなく、定量的に反応が進行することがわかった。
実施例3
<触媒固定型プラスチックリアクターでのベンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応>
[プラスチック試験管内壁がポリマー/シリカの複合体からなる固体触媒で被覆されたリアクターBの調製]
上記合成例1で得たポリマーL−PEIを蒸留水中に加え、90℃まで加熱し、4%の水溶液を調製した。ポリスチレン材質のプラスチック試験管(内径2cm、長さ10cm、試験管内表面を85%硫酸で10分間エッチング)中に前記加温したポリマー水溶液を加えてから、30秒間静置した後、該ポリマー水溶液を傾斜法で排出した。この操作でガラス管内壁にL−PEIポリマー層が形成された。該試験管を室温にて5分間静置したのち、試験管中にシリカソース液(0.5%のテトラメトキシシランのエタノール溶液)を加え、10分間保持した。ガラス管から溶液を取り出し、ガラス管内壁をエタノールで洗浄した後、それを室温で乾燥した。この試験管内壁表面には概ね5mgの複合ナノ構造体が被覆された。この作業法で、5本のリアクターBを作製した。図2には作製したプラスチックリアクターの破片から観測したSEM写真を示した。
[リアクターBを用いるベンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応]
窒素置換された上記リアクターB中に、ベンズアルデヒド 0.63g、マロノニトリル 0.40g、メタノール7mLを混合した。反応液を30℃まで加熱し、その温度で4時間放置した。反応液を少量取り出し、H−NMRにて反応物の転化率を測定した。10ppmあたりでのベンズアルデヒド由来のアルデヒドピークの消失から転化率が100%であることを確認した。
実施例4
[リアクターAを用いたシクロヘキセノンとニトロエタンとの反応]
リアクターA中に、シクロヘキセノン0.49g(5mmol)、ニトロエタン0.75g(10mmol)、エタノール3mLを混合した。その混合液を30℃下、2時間反応させた。反応液を取り出し、H−NMRにて反応物の転化率を測定したところ、シクロヘキセノンのCH=CH由来のピークは完全に消失し、目的のニトロエタンの付加物が生成したことが確認された。反応は100モル%の転化率で定量的に進行した。
実施例5
[リアクターAを用いたシクロヘキセノンとフェニルアセトニトリルとの反応]
リアクターA中に、シクロヘキセノン0.98g(10mmol)、フェニルアセトニトリル1.17g(10mmol)、エタノール5mLを混合した。その混合液を30℃下、2時間反応させた。反応液を取り出し、H−NMRにて反応物の転化率を測定したところ、シクロヘキセノンのCH=CH由来のピークは完全に消失し、目的のフェニルアセトニトリルの付加物が生成したことが確認された。反応は100モル%の転化率で定量的に進行した。
実施例6
<触媒固定型ガラスリアクターでのベンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応>
[ガラス試験管内壁がポリマー/シリカの複合体からなる固体触媒で被覆されたリアクターCの調製]
上記合成例2で得たポリマーB−PEIを用いた以外、実施例1と同様な方法でリアクターCを作製した。
[リアクターCを用いるベンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応]
窒素置換された上記リアクターC中に、ベンズアルデヒド1.06g(10mmol)、マロノニトリル0.66g(10mmol)、メタノール10mLを混合した。反応液を30℃まで加熱し、その温度で4時間放置した後、反応液を少々取り出し、H−NMRにて反応物の転化率を測定した。10ppmあたりでのベンズアルデヒド由来のアルデヒドピークの消失から転化率が100%であることを確認した。
実施例7
[リアクターCを用いるシクロヘキセノンとフェニルアセトニトリルとの反応]
実施例6で使用したリアクターCの内部をメタノールで洗浄した後、リアクター中にシクロヘキセノン0.98g(10mmol)、フェニルアセトニトリル1.17g(10mmol)、エタノール5mLを加えた。その混合液を30℃下、2時間反応させた。反応液を取り出し、H−NMRにて反応物の転化率を測定したところ、シクロヘキセノンのCH=CH由来のピークは完全に消失し、目的のフェニルアセトニトリルの付加物が生成したことが確認された。反応は100モル%の転化率で定量的に進行した。
内壁が複合体で被覆されたリアクターAの写真(a1)被覆前(a2)被覆後。ガラス管破片内壁表面のSEM写真:(b)低倍率;(c)5000倍;(d)25000倍;(e)断面部(ガラス面上にナノ芝、その厚みが2μm程度)。 内壁が複合体で被覆されたリアクターBの写真(a)。割れたリアクターB破片内壁表面のSEM写真:(b)低倍率;(c)25000倍;(d)断面部(プラスチック面上にナノ芝)。

Claims (5)

  1. 不飽和結合を有する化合物(x1)と、活性メチレン又は活性メチンを有する化合物(x2)とを用いて炭素−炭素結合を形成する付加反応又は縮合反応に用いる固体触媒が固定されたリアクターであって、該固体触媒が、直鎖状ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)をシリカが被覆してなる複合ナノファイバー又は複合ナノ粒子の集合体からなる複合体であり、且つ該複合体が容器又は管の内壁に固定されていることを特徴とする炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
  2. 前記炭素−炭素結合を形成する付加反応又は縮合反応が、クネーフェナーゲル反応又はマイケル反応である請求項1に記載の炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
  3. 前記複合ナノファイバーの太さが10〜100nmの範囲であり、且つ長さが50nm〜10μmである請求項1〜の何れか1項記載の炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
  4. 前記複合ナノ粒子の平均粒子径が20nm以下である請求項1〜の何れか1項記載の炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
  5. 固体容器または管の内壁上を被覆する前記複合体の厚みが50nm〜20μmである請求項1〜の何れか1項記載の炭素−炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
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