[0031] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0032]− 放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0033]− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決め装置PMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0034]− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0035]− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
[0036] 照明システムILは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0037] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0038] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
[0039] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0040] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。投影システムは計測フレームRFによって保持することができる。投影システムはベースフレームBFによって保持することができる。ベースフレームBFは計測フレームRFを支持することができる。計測フレームRFは、ベースフレームBFによって支持し、例えば1つ又は複数の隔離マウントを使用して、そこから動的に隔離することができる。
[0041] ここに示している本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
[0042] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0043] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0044] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。また、イルミネータを用いて放射ビームを調整し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様に、イルミネータILもリソグラフィ装置の一部を形成すると見なしても、見なさなくてもよい。例えば、イルミネータILはリソグラフィ装置の一体部品でよい、又はリソグラフィ装置とは別々の構成要素でよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILを自身上に装着できるように構成することができる。任意選択で、イルミネータILは着脱式であり、(例えばリソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)別々に提供することができる。
[0045] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターンが与えられる。放射ビームBはパターニングデバイスMAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPSを通過する。第二位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば放射ビームBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一位置決め装置PM及び別の位置センサ(図1には明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般的に、支持構造MTの移動は、第一位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第二位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアラインメントマークM1、M2及び基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に配置してもよい(スクライブラインアラインメントマークとして知られる)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0046] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0047] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0048] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0049] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0050] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0051] 投影システムPSの最終要素と基板の間に液体を提供する従来の構成は、2つの一般的カテゴリに分類することができる。基板Wの全体及び任意選択で基板テーブルWTの一部が液体槽に浸される槽型構成と、液体が実質的に基板の局所領域に提供されるだけである、いわゆる局所液浸システムとがある。後者のカテゴリでは、液体によって充填された空間が基板の上面より平面図で小さく、液体で充填された領域は、基板Wがその領域の下で移動している間、投影システムPSに対して静止したままである。本発明の実施形態が主に指向しているさらなる構成は、液体が閉じ込められないオールウェットの解決法である。この構成では、実質的に基板の上面全体、及び基板テーブルの全部又は一部が液浸液で覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは浅い。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜でよい。図2から図5の液体供給デバイスのいずれも、このようなシステムにも使用できるが、その密封特徴は存在しないか、動作しないか、通常ほど効率的でないか、それ以外にも局所領域のみに液体を密封するには有効でない。図2から図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが図示されている。図2から図4に開示した液体供給システムは、以上で説明されている。
[0052] 図5は、投影システムPSの最終要素と基板テーブルとの間の空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在するバリア部材12がある局所液体供給システムを概略的に示す。バリア部材12は、投影システムPSに対してXY面では実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)には多少の相対運動があってよい。実施形態では、バリア部材12と基板Wの表面との間にシールが形成され、ガスシール又は流体シールのような非接触シールでよい。
[0053] バリア部材12は、投影システムPSの最終要素と基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板表面と投影システムPSの最終要素の間の空間11内に液体が閉じ込められるように、基板Wに対するガスシール16などの非接触シールを、投影システムPSの像フィールドの周囲に形成することができる。空間11は、投影システムPSの最終要素の下方に配置され、それを囲むバリア部材12によって少なくとも部分的に形成される。液体を、液体入口13によって投影システムPSの下方で、バリア部材12内の空間11に入れ、液体出口13によって除去することができる。バリア部材12は投影システムPSの最終要素の少し上まで延在することができ、液体のバッファが提供されるように、液体が最終要素の上まで上昇する。バリア部材12は、実施形態ではその上端が投影システムPS又はその最終要素の形状に非常に一致することができる内周を有し、例えば円形でよい。底部では、内周が像フィールドの形状に非常に一致し、例えば長方形でよいが、そうである必要はない。
[0054] 液体は、使用中にバリア部材12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシール16は、気体、例えば空気又は合成空気によって形成されるが、実施形態ではN2又は別の不活性ガスによって形成され、これは圧力下で入口15を介してバリア部材12と基板Wの間のギャップに提供され、出口14を介して抽出される。気体入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流があるように構成することができる。バリア部材12と基板Wの間で液体にかかる気体の力が、液体を空間11に封じ込める。これらの入口/出口は、空間11を囲む環状溝でよい。環状溝は連続的又は不連続的でよい。気体の流れは、液体を空間11に封じ込めるのに有効である。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
[0055] 他の構成が可能であり、以下の説明から明白になるように、本発明の実施形態は、任意のタイプの局所液体供給システムを液体供給システムとして使用することができる。
[0056] 1つ又は複数の局所液体供給システムは、液体供給システムの一部と基板Wの間を密封する。液体供給システムのこの部分と基板Wとの相対運動がシールの破壊につながり、それによって液体が漏れることがある。この問題は、高いスキャン速度でさらに重大になることがある。スループットが増加するので、スキャン速度を上げることが望ましい。
[0057] 図6は、液体供給システムの部分であるバリア部材12を示す。バリア部材12は、投影システムPSの最終要素の周囲(例えば円周)に延在し、したがってバリア部材(シール部材と呼ぶことがある)は、例えば実質的に全体的形状が環状である。投影システムPSは円形でなくてよく、バリア部材12の外縁も円形でなくてよく、したがってバリア部材がリング形である必要はない。バリアは、投影ビームが投影システムPSの最終要素から出て通過できる開口を有する限り、他の形状でもよい。開口は中心に配置することができる。したがって露光中に、投影ビームは、バリア部材の開口に封じ込められた液体を通過して、基板Wに当たることができる。バリア部材12は、例えば実質的に長方形でよく、バリア部材12の高さにおいて投影システムPSの最終要素と必ずしも同じ形状ではない。
[0058] バリア部材12の機能は、投影ビームが液体を通過できるように、液体を投影システムPSと基板Wの間の空間内に少なくとも部分的に維持するか閉じ込めることである。液体の最上位は、単にバリア部材12の存在によって封じ込められ、空間中の液体のレベルは、液体がバリア部材12の頂部を越えて溢れないように維持される。バリア部材12の底部と基板Wの間にシールが設けられる。図6では、シールデバイスが非接触シールを提供するように構成され、幾つかのコンポーネントで構成される。投影システムPSの光軸から半径方向外側へと作業し、空間内に延在して(しかし投影ビームの経路内には延在せず)、出口20からの液浸液の流れを空間全体で実質的に平行に維持するのに役立つ(任意選択の)フロープレート50が提供される。フロー制御プレートは、投影システムPS及び/又は基板Wに対してバリア部材12の光軸の方向での動作への抵抗を減少させるために、貫通穴55を有する。
[0059] バリア部材12の底部に沿って半径方向外側には、実質的に光軸に平行な方向で基板に向かう液体の流れを提供する入口60がある。この液体の流れは、基板Wの縁部と基板を支持する基板テーブルWTの間のギャップを充填するのに役立つように使用される。このギャップが液体で充填されないと、基板Wの縁部がシールの下を通過する場合に、投影システムPSと基板Wの間の空間内の液体に気泡が含まれることがある。これは、像の品質劣化につながることがあるので、望ましくない。
[0060] 出口60の半径方向外側には、バリア部材12と基板W及び/又は基板テーブルWTの間から液体を抽出する抽出器アセンブリ70があってよい。抽出器70は、以下でさらに詳細に説明され、バリア部材12と基板Wの間に生成される非接触シールの一部を形成する。
[0061] 抽出器アセンブリ70の半径方向外側には窪み80があってよい。窪みは、入口82を通して雰囲気に接続される。窪みは、出口84を介して低圧源に接続される。窪み80の半径方向外側にはガスナイフ90があってよい。抽出器、窪み及びガスナイフの配置構成は、米国特許出願公開US2006−0158627号でさらに詳細に開示されている。しかし、その文書では、抽出器アセンブリの配置構成が異なる。
[0062] 抽出器アセンブリ70は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願US2006−0038968号で開示されているような液体除去デバイス又は抽出器又は入口100を備える。任意のタイプの液体抽出器を使用することができる。実施形態では、液体除去デバイス100は、液体を気体から分離して、1つの液相の液体を抽出できるように使用される多孔質材料110で覆われた入口を備える。多孔質材料110の下流のチャンバ120は、わずかに低圧に維持され、液体で充填される。チャンバ120内の低圧は、多孔質材料の穴に形成されたメニスカスによって周囲気体が液体除去デバイス100のチャンバ120に引き込まれるのを防止することができるような圧力である。しかし、多孔質表面110が液体に接触した場合は、流れを制限するメニスカスがなく、液体が液体除去デバイス100のチャンバ120内に自由に流れることができる。多孔質表面110は、バリア部材12に沿って半径方向内側に(さらに空間の周囲に)延在する。多孔質表面110を通る抽出速度は、液体によって覆われる多孔質材料110の量に従って変化する。
[0063] (基板がバリア部材12及び投影システムPSの下で移動する)基板Wのスキャン中に、移動する基板によって加えられる抵抗力によって光軸に向かって、又は光軸から離れるようにメニスカスを引っ張ることができる。これで液体が失われることがあり、その結果、上述したように液体が蒸発し、基板を冷却して、その結果、収縮してオーバエラー誤差が生じることがある。追加的又は代替的に、液体の小滴とレジストの光化学との相互作用で、液体汚れが残ることがある。液体抽出の機能とメニスカス制御の機能とを互いから分離できるように、液体除去デバイス100と基板Wの間にプレート200を設けることができる。バリア部材12は、それぞれに合わせて最適化することができる。
[0064] プレート200は、液体除去デバイス100と基板Wの間の空間を2つの流路に分割する機能を要する分割器、又は任意の他の要素である。2つの流路は、上部流路220及び下部流路230である。上部流路220はプレート200の上面と液体除去デバイス100の間にある。下部流路230はプレート200の下面と基板Wの間にある。各流路は、その半径方向に最も内側の端部で空間11に対して開いている。プレートの厚さは重大ではない。図6に示すように、上部流路220は水平に延在しているが、そうである必要はない。上部流路220が図6で水平に延在する理由は、コンポーネントの構造的構成によるものである。しかし、上部流路220は垂直に、又は水平と垂直の間のいずれかに延在してもよい。上部流路220内の液体にかかる重力圧力は非常に小さく、必要に応じて例えば液体除去デバイス100自体を通して、又は以下で説明するガス抜き穴250などの別の通路を通して低圧を加えることによって相殺することができる。
[0065] 実施形態では、液体除去デバイス100とプレート200の間の上部流路220は、プレート200と基板Wの間の下部流路230より狭い。下部流路は高さが250mmと50μmの間、又は100μmと60μmの間である。下部流路の高さは、非限定的なリストで、(例えば流れパターンからの粘性抵抗長さの)設計、流体のパラメータ(例えば粘度、密度、表面張力)、及び表面の特性(表面/液体の結合エネルギ及び液体の表面張力の結果である接触角を含む)によって決定される。上部流路220は、例えば下部流路より2倍から3倍狭くすることによって、より強力な毛管作用を有する。代替的又は追加的に、上部流路220は、下部流路230の表面よりも親液性である表面(例えばコーティング)を有してよい。しかし、上部流路220は下部流路230より高くてよい。上部流路220が狭すぎる場合は、摩擦抵抗が大きすぎるので、液体がその流路内を流れない。メニスカスは、流体力学的な力で十分に加重されているので、釘付けにすることができる。したがって、上部流路220が、例えば150μmの領域で、恐らく60μmでよい下部流路230より高くされている場合、これらの困難を克服することができる。250μmという流路の高さより上では、毛管作用が低下する。毛管作用を促進するために、上部流路220を親液性にするか、流路が半径方向外側より半径方向内側で高くなるように、プレート200と液体除去デバイス100の間でメニスカスに近い高さの段差を作成することができる。
[0066] 上部流路220は、例えば穴250などのガス抜き穴250を通って大気に開いておくのではなく、低圧を加えることができる。この方法で、上部流路220を広くすることができる。
[0067] プレート200には2つのメニスカス310、320がある。第一メニスカス310はプレート200より上に位置する。これは多孔質表面110とプレート200の上面との間に延在する。第二メニスカス320はプレート200の下に位置する。これはプレート200と基板Wの間に延在する。この方法で、液体を最適に抽出するために第一メニスカス310を制御する、及び/又は第二メニスカス320の位置を制御するために、抽出器アセンブリ200を最適化することができる。したがって、第二メニスカス320の粘性抵抗長さが減少する。特徴、特にプレート200の特徴は、第二メニスカス320がプレート200に付着したままであるためにエネルギ的に好ましくなるように最適化される。したがって、バリア部材10の下方で基板Wのスキャン速度を上げることができる。第二メニスカス320に作用する毛管力は外方向であり、第二メニスカス320に隣接する液体の低圧と釣り合い、したがって第二メニスカス320は実質的に静止したままである。例えば粘性抵抗及び慣性によって第二メニスカス320にかかる負荷が高くなると、その結果、第二メニスカス320と表面との接触角が小さくなる。
[0068] 1つ又は複数のガス抜き穴250が、プレート200の半径方向で最も外側の端に設けられる。第一メニスカス310は、多孔質材料110の下で内側及び外側へと自由に移動し、したがって液体除去デバイス100の抽出率は、液体によって覆われた多孔質材料110の量に応じて変化することがある。図6に示すように、第二メニスカス320はプレート200の下側内縁に付着する。
[0069] 図6では、第二メニスカス320を実質的に所定の位置に釘付けるように、プレートの最も内側の下縁に鋭利な縁部が設けられる。縁部の半径は、実施形態では0.1mm未満、50μm未満、20μm未満、又は約10μmである。
[0070] 第二メニスカス320を釘付けにする代替的又は追加的な方法は、第二メニスカス320が付着しているプレート200の表面の表面特性を変化させることである。例えば、プレート200の半径方向外側の方向で親液性表面から疎液性表面に変化すると、その変化点で第二メニスカス320が釘付けされる結果にもなる。というのは、メニスカスの形状は、親液性表面から疎液性表面へと通過するにつれて反転する必要があるからである。追加的又は代替的に、プレート200の表面を粗い表面から滑らかな表面へと変化させることによって、第二メニスカス320を釘付けにすることができる。十分にウェットな場合、粗い表面はメニスカストラップとして作用することができる。表面が十分に濡れていず、液体が粗さの頂点にのみある場合、粗い表面は、いわゆるハス効果などで疎液性になることができる。また、エレクトロウェッティングを使用して、メニスカスを局所的に捕捉することができる。これは、オンとオフに切り換えられるという利点を有する。
[0071] 図6には特に示されていないが、液体供給システムは液体のレベルの変動に対処する構成を有する。これは、投影システムPSとバリア部材12の間に蓄積する液体を処理でき、零さないような構成である。このような液体の蓄積は、以下で説明するような投影システムPSに対するバリア部材12の相対運動の間に生じ得る。この液体を処理する1つの方法は、投影システムPSに対してバリア部材12が移動する間に、バリア部材12の周囲(例えば円周)に圧力勾配がほとんどないように、非常に大きくなるようなバリア部材120を提供することである。代替的又は追加的な構成では、例えば抽出器120に類似した単相抽出器などの抽出器を使用して、バリア部材12の頂部から液体を除去することができる。代替的又は追加的なフィーチャは、開口を囲むバリア部材12の頂部の周囲及び/又は投影システムPSの最終光学要素の周囲の帯内で、投影システムの光軸の半径方向外側に形成された疎液性又は疎水性コーティングである。疎液性又は疎水性コーティングは、液浸液を空間内に維持するのに役立つ。
[0072] 局所領域液体供給システムの問題は、液浸液の全部を封じ込めることが困難なことである。したがって、基板が投影システムの下を移動する時に、多少の液体が基板上に残るのを回避することは困難である。液体の損失を回避するために、前進するメニスカスに潜在的な気泡が取り込まれることにより、液体供給システムの下で基板が移動する速度を制限しなければならない。これは、液浸リソグラフィ装置内で高い値のNAを生成することができる液浸液に特に当てはまる。というのは、これが水より低い表面張力、さらに高い粘度を有する傾向があるからである。メニスカスの破壊速度は、表面張力を粘度で割った値とともに増減し、したがってNAが高い液体の方が封じ込めるのがはるかに困難になり得る。基板上の特定の領域にのみ液体が残ると、残った液浸液の蒸発により基板全体で温度の変動を引き起こし、したがってオーバレイ誤差を引き起こすことがある。追加的又は代替的に、液浸液が蒸発するにつれて、基板W上に乾燥汚れが残ることが可能である。追加的又は代替的に、液体が基板上のレジスト内に拡散し、基板の上面の光化学的性質に不一致を引き起こすことがある。槽型の解決法(つまり基板を液体の容器に浸す)はこれらの問題の多くを軽減することができるが、槽型の解決法では液浸装置内での基板交換が特に困難なことがある。本発明の実施形態は、以下で述べるようにこれらの問題の1つ又は複数、又は本明細書で言及していない他の問題に対処する。
[0073] 本発明の実施形態では、基板の結像の最初から最後まで、実質的に基板Wの上面の全体を液浸液で覆う。さらに、部材を基板の上に配置する。部材は基板及び基板テーブルに面する表面を有する。液浸流体(特に非圧縮性流体などの気体以外の流体)が、基板及び/又は基板テーブルの上面と、基板及び/又は基板テーブルに面する部材の表面との間に延在する。これによって、基板の表面から液体の蒸発が生じ得ないことが保証される。液体上に表面波が生じて、これにより有害な振動を引き起こすことがないことも保証される。さらなる汚染物質がシステムに入ることも防止し、液体の外方向の流れによって洗い流すことができる。さらに、汚染源になり得るガスナイフが必要ない。
[0074] 液体は、基板テーブル、基板テーブルのキャリア又は部材自体の中に配置された1つ又は複数の抽出器によって、部材と基板テーブルの間から除去される。流量が制限されるので、基板テーブルの縁部にあるか、基板テーブルWTの表面に形成されて、(基板テーブルWT上に存在する場合に)基板を囲む包括的な排液部は必要ない。その結果、基板テーブルの占有面積を小さくすることができる。抽出器は、ガスナイフの有無にかかわらず単相抽出器でよく、又は2007年11月30日出願の米国特許出願US11/987,569号に開示されたバリア部材に使用されるような抵抗原理の抽出器でよい。
[0075] 図7及び図8に示す実施形態では、部材は結像中に基板及び基板テーブルに対して所定の位置に固定される。投影ビームは部材を通過して基板に当たる。したがって、部材1000の少なくとも一部は、投影ビームの波長を有する放射に対して透明である。図9及び図10に示す実施形態では、部材は投影システムPSに対して所定の位置で実質的に静止している。投影ビームは部材1000の貫通穴1075を通過して基板Wに当たる。以降で明白になるように、この2つのシステムは類似点を有し、特に投影システムの下で第一基板と第二基板の交換を遂行する方法が類似している。これも以降で明白になるように、図2から図6に示すバリア部材のタイプ、及び他のタイプの液体供給システムを、これらの実施形態に使用することができる。
[0076] 図7aの断面図に示すように、部材1000が使用される。部材1000はプレートの形態である。部材1000は、基板Wの結像中に基板テーブルWT(いわゆるチャック又はミラーブロック)に対して固定される。実施形態では、クランプ機構を設けて、結像中に部材1000を基板テーブルWTに取り付ける。これは、例えば基板テーブルWTに装着するか、部材1000に装着したクランプ機構を使用することによって遂行することができる。クランプ機構は、例えば真空又は静電取り付けデバイスの形態でよい。
[0077] ギャップが部材1000と基板テーブルWTと基板Wの間に存在する。このギャップは液浸液で充填される。したがって、液浸液は基板WT及び基板Wの上面と、基板テーブルWT及び基板Wに面する部材1000の表面との間に延在する。したがって、部材1000は、液体の膜上に浮いていると考えることができる。
[0078] バリア部材12は、投影システムPSの最終要素と、部材1000の表面の反対で基板テーブルWT及び基板Wに面する部材1000の表面との間に液体を提供するために使用される。バリア部材12は任意のタイプでよい。特に、バリア部材12は図5及び図6に示すタイプでよい。しかし、任意のタイプのバリア部材12を使用することができる。特に適切なバリア部材は、液体を局所領域に提供するものである。つまり、バリア部材は基板Wの平面図の領域より小さい平面図の領域に液体を提供する。
[0079] 実施形態では、バリア部材12によって提供される液浸液と、部材1000と基板テーブルWTとの間の液浸液とは同じである。部材1000の透明部分は、バリア部材12によって提供される、及び/又は部材1000と基板テーブルWTの間にある液浸液の屈折率の0.05〜0.1%以内に厳密に一致する屈折率を有することができる。部材1000は、基板テーブルWTの幅、又は基板テーブルWTの対向する側に配置されたシールデバイス(以下でさらに検討する)間の距離以下の幅を有してよい。
[0080] 部材1000は、例えば約100μmと約1000μmの間から選択した厚さのガラス又は石英プレートであるか、それを備えることができる。実施形態では、部材1000の厚さは、500μmから800μmの範囲から選択される。プレートは、可能な限り薄く作成することが望ましいが、大きい撓み及び取扱の問題を回避するように、実際に多少の厚さを有する必要がある。部材1000は、使用する放射に対して透明でなければならない。193nmの波長の放射を使用する場合は、例えば石英でプレートを作成することができる。
[0081] 図7の実施形態に部材1000を設けることの利点は、部材1000の上面(つまり投影システムPSに面する表面)に、バリア部材12に理想的に適した表面(例えばコーティングを有する)を設けられることである。特に、バリア部材12による液体の封じ込めに関して有利なコーティングを選択することができる。例えば、部材1000の上面は、疎液性材料(つまり液浸液に対して70°より大きい、90°より大きい、100°より大きい、110°より大きい、120°より大きい、又は130°より大きい接触角を有する材料)でコーティングすることができる。部材1000の底面が液浸流体と接触すると、接触角が大きい(つまり70°より大きい、90°より大きい、100°より大きい、110°より大きい、120°より大きい、又は130°より大きい)表面を有することができる。部材の底面は疎液性であることが望ましい。というのは、これが液浸液と部材1000の底面との間の摩擦を減少させるからである。
[0082] (バリア部材12とは別個の)液体供給デバイスを設けて、結像中に使用するために部材1000と基板テーブルWTの間のギャップに液体を供給することができる。このような液体供給デバイスは、部材1000を通して、又は基板テーブルWTを通して液体を提供することができる。実施形態では、結像中に半径方向外側への流れが引き起こされる。このような半径方向外側への流れは欠陥の観点から有利である。これは、基板テーブルWT及び/又は基板Wの上面全てが同一平面上にない場合に、特に有利である。例えば、基板Wは基板テーブルWTの窪みに配置してよい。その場合、液体供給デバイスを設けて、液体をその窪みに提供することができる。このような液体供給デバイスは、基板Wの表面全体に液体の流れを生成できるようにすることができる。これは、温度制御、基板Wからのレジスト及び/又はトップコートの浸出などに関する利点を有する。特に基板テーブルWTの上面と基板Wが同一平面上にある場合、結像中に液体をギャップに提供する液体供給デバイスは不必要なことがある。ギャップは、以下で説明するように、基板交換中に液体で充填することができる。
[0083] 基板テーブルWTと部材1000の間に、シールデバイスを設けることができる。このようなシールデバイスは、基板Wの周囲(例えば円周)に設けられる。シールデバイスは、例えば非接触シールを提供するために配置することがある。非接触シールデバイスは、例えば図5に関して上述したバリア部材12の底部上にある非接触シールデバイスと同様でよい。シールデバイスがある必要はない。というのは、部材1000と基板テーブルWTの上面との間の液体膜が比較的薄いからである。したがって、液体は、(接触角に応じて)毛管力によって所定の位置に保持することができる。また、結像中に部材1000と基板テーブルWTの間に実質的に相対運動がない。
[0084] 液体供給システムを使用して、基板テーブルWTと部材1000の間のギャップに液体を提供する場合は、ギャップから液体を除去するために液体除去システムが必要なことがある。液体除去システムは、以上のシールデバイスに組み込むか、完全に別々でもよい。図5及び図6のバリア部材に使用される非接触シールデバイスは、液体を密封し、除去するという2つの目的に適している。
[0085] リソグラフィ装置内の基板テーブルの位置は、従来からの2つの方法で測定することができる。一方の方法は、基板テーブルの縁部に1つ又は複数のミラーを設け、1つ又は複数のレーザ干渉計を使用して、基板テーブルの位置を判断する。このような位置測定システムは、部材1000の存在がこのようなシステムを妨害しないので、本発明の実施形態に非常に適している。基板テーブルWTの位置を測定する別の位置測定システムは、基板テーブルの上に配置された1つ又は複数のグリッドプレートを使用する。これで、基板テーブルWTの上面に(望ましくは外縁に)装着された1つ又は複数のセンサ及び/又はレーザが、基板テーブルの上のグリッドプレートと相互作用し、それによってグリッドプレートに対する基板テーブルの位置を導き出す(このようなシステムは一般的にエンコーダとして知られている)。投影システムPSに対するグリッドプレートの相対位置が分かり、したがってこれで投影システムPSに対する基板テーブルの位置を計算することができる。グリッドプレートは、グリッドプレート測定システムの部分でよい。グリッドプレート測定システムは、関連するコントローラ及び動作システムを有してよい。これらのフィーチャは一緒になって位置決めシステムとして動作し、投影システムに対する基板テーブルの位置を検出して、投影システムに対する基板テーブルの相対運動及び/又は位置を制御することができる。
[0086] 基板テーブルの頂部に部材1000が存在する状態で、グリッドプレート測定システムを使用する場合に、これがまだ機能できることを保証することが望ましい。図8に示すように、部材1000が十分に小さく、したがってグリッドプレート測定システムのレーザ及び/又はセンサ1010を妨害しないように、部材1000の平面図の形状及び/又は部材1000の長さ及び/又は幅を最適化することが可能である。つまり、部材1000は、透過イメージセンサ(transmision image sensor TIS)、干渉計波面測定センサ(interferometric wavefront measurement sensorILIAS)及び/又はスポットセンサ1015などの1つ又は複数の他のセンサを覆うが、グリッドプレート測定システムのレーザ及び/又はセンサ1010を遮断しないように、十分に小さくすることができる。つまり、グリッドプレート測定システムのレーザ及び/又はセンサ1010は、基板テーブルWTの外縁で、部材1000に覆われない位置に配置することができる。グリッドプレート測定システムの適切な位置は、基板テーブルWTの隅部の各耳である。代替的又は追加的に、部材1000は、グリッドプレート測定システムが使用する放射の波長に対して透明でよい。これで、レーザ1010のビーム及びグリッドプレート測定システムのセンサ1010によって検出されるビームは、部材1000を通過することができる。その場合、投影システムPSに対する基板テーブルWTの位置を計算する時に、部材1000の存在を考慮に入れてはならない。
[0087] 使用時には、いったん部材1000を基板テーブルWT上の所定の位置にして、所定の位置で締め付けると、基板テーブルWTは、投影システムPSの下で部材1000と同時に動く。これで、投影システムPSの下で基板Wが動くことにより、基板Wの結像が通常通りに可能になる。実質的に基板Wの上面全体が、液浸液(ギャップ内に存在する)に覆われる。したがって、基板Wはその表面に与えられた実質的に同じで一定の状態を有する。さらに、部材1000の上面にコーティングがあることが可能であるので、基板Wは、バリア部材12から液浸液が実質的に漏れない状態で、投影システムPSの下を迅速に移動することができる。したがって、基板Wの全領域を結像することができる。液浸液が実質的に漏れない状態で、投影システムPSと基板Wとの間の高速が可能である。したがって、スループットを増大させることができる。それと同時に、基板の異なる部品間の処理状態が実質的に一定のままであるので、オーバレイ性能を改良することができる。
[0088] 図7aから図7cで明白になるように、異なる基板テーブルに配置された異なる基板Wの結像に、同じ部材1000が使用される。図7aから図7cは、基板交換を達成する方法を示す。図7aから図7cは、図8との関連で考察されたい。図8の部材1000、基板テーブル及び他の構造の位置は、第一基板テーブルWT1が投影システムPSの下から移動し、第二基板テーブルWT2が所定の位置に入って、第一基板テーブルWT1を置換するという点で、図7bのその位置と同様である。
[0089] 図7aに示すように、第二基板W2を保持する第二基板WT2(又は第二基板テーブルWT2のキャリア1702)は、第一基板WT1(又は第一基板テーブルWT1のキャリア1701)に結合される。これは、基板WT1が投影システムPSの下からから移動する前に生じ得る。着脱式結合システム1050が使用される。結合システムは、2つの基板テーブルWT1、WT2が同時に移動するように、これを相互に固定する。結合システムは任意選択であり、同時の運動は追加的又は代替的に、2つの基板テーブルWT1、WT2を慎重に位置制御することによって遂行することができる。結合システム1050は、第一及び第二基板テーブルWT1、WT2両方の上に、又は第一基板WT1上のみに、又は第二基板テーブルWT2上のみにコンポーネントを備えることができる。任意のタイプの結合システムを使用することができる。例えば、機械的連結を含むか、電磁又は真空吸引で作動する連結を使用することができる。任意の他のタイプの結合システムを使用することができる。これらの結合システムの任意の組合せを使用することができる。結合システムは、2つの基板テーブルWT1、WT2の衝突又は堅固な集合が減衰するように、減衰システムを含むことが望ましい。したがって、損傷の危険を軽減することができる。より一般的には、結合システムは1つ又は複数のアクチュエータを備える動作システムでよい。
[0090] 2つの基板テーブルWT1、WT2の結合前又は結合後に、部材1000を、投影システムPSに対するその位置が実質的に静止しているように把持する。この把持は、例えば計測フレームRFに取り付けられた把持器1100、例えば真空チャックによって実行することができる。代替的又は追加的に、把持器1100は他のアイテムに、例えばバリア部材12、投影システムPS又はベースフレームBF又はプレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300(以下でさらに説明する)に取り付けることができる。部材1000を把持したら、第一基板テーブルWT1が(以前に保持している場合は)部材1000を解放し、部材1000の下から移動することができる。
[0091] 図7及び図8に示すように、プレウェッティング装置1200及び乾燥器(流体又は液体除去装置)1300を、部材1000のいずれかの側で、基板Wの上面と実質的に同一表面上の面に設ける。プレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300を、所定の位置に固定することができる。あるいは、プレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300は、基板交換中及び露光中に位置に出入りすることができる。プレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300は、独立して移動可能でよい。ケーブル布線の問題(例えば絡み合い)を回避するために、第一及び第二基板テーブルはそれぞれ、自身のループ内で移動する。例えば、第一基板テーブルは、最初にプレウェッティングステーション1200の下、次に投影システムPSの下、及び乾燥ステーション1300の下を通過し、次に投影システムの第一側へと移動する(つまり図7の紙面から出て紙面を見る人に向かう)ループを作成する。第二基板テーブルは、同様のループを作成するが、乾燥器1300の下を通過した後に、基板テーブルは第一側とは反対の投影システムの第二側へと(つまり見る人から離れて図7の紙面内へと)移動する。この方法で、これらのテーブルにサービスを提供する第一及び第二基板テーブルのケーブルの絡み合いが生じない。さらに、プレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300のx−y位置を、両方の基板テーブルで同じにすることができる。
[0092] 実施形態では、プレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300は細長く、部材1000及び/又は基板テーブルWTの幅に等しい(又はそれより大きい)長さを有する。
[0093] 基板交換中に、プレウェッティング装置1200は、投影システムPSに対して固定されている部材1000の下を新しい基板テーブル(図示のように第二基板テーブルWT2)が移動するにつれて、その上面に液浸液を与える。ギャップを液体で充填するために、液体をある流量(調節又は適応可能でよい)で提供する、及び/又は基板テーブルWTの速度を調節する。したがって、基板テーブルWT2が部材1000の下で移動する場合に、基板テーブル及び基板上に液体の膜が既に存在する。したがって、第二基板テーブルWT2及び基板W2の上面と、基板テーブルWT2及び基板W2に面する部材1000の表面との間に延在する液浸液を提供することができる。
[0094] プレウェッティング装置1200は、基板テーブルWT2、さらに基板W2の上面と、部材1000の下に存在する任意のセンサ1015又は他のコンポーネントとの両方に液体を提供する。実施形態では、プレウェッティング装置1200は、結像中に部材1000の下にあるコンポーネントに液体を提供することができる。
[0095] 第一基板テーブルWT1が部材1000の下から移動する部材1000の他方端では、乾燥器1300が基板テーブルWT1の上面、基板W1及び部材1000の下にある任意のセンサ1015又は他のコンポーネントを乾燥する。基板交換の最後に、プレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器1300は、次の基板交換を準備する際に配置することができる。
[0096] 乾燥器1300及びプレウェッティング装置1200は任意の形態をとることができる。例えば、乾燥器1300は、気体抵抗原理の乾燥器、例えば2007年2月21日出願の米国特許第11/708,686号に開示されているような乾燥器の形態をとることができる。その文書は、プレウェッティング装置1200に使用できるウェッティングシステムについても説明している。
[0097] 部材1000と基板テーブルWT及び/又は基板Wの間の液浸液が、基板テーブルWTに対して静止する(ゼロ流)か、液体の流れがあってよい。液浸液は、部材1000と基板テーブルWT1と基板W1の間で実質的に気体雰囲気がない。これは、液飛び及び液跳ね、さらに蒸発及び凝結の問題を解消し、液体の特に剪断力の再現性を改良する。
[0098] 米国特許公開US2007−0216881A1号に記載されているような交換ブリッジが、2つの基板テーブルWT1、WT2間に存在してよい。2つの基板テーブルWT1、WT2は、部材1000の下で一緒に移動する。バリア部材12は、基板交換中に動作し続けてよい。これは、バリア部材12の出口が常に部材1000によって遮断されているからである。これが有利であるのは、これで開口を遮断するために別個のシャッタ部材を設けるか、基板交換中に投影システムの最終要素をウェットに維持する他の手段を設ける必要がなくなるからである。
[0099] 任意の1つの時に基板の局所領域のみが液体で覆われるシステムと比較すると、基板及び基板テーブルへの熱負荷が減少する。これは、このような他のシステムでは、基板Wと基板テーブルWTの間のギャップから気体とともに液体も抽出する必要があるからである。これは、本発明のシステムでは必要なく、したがって蒸発熱負荷が減少する。
[00100] 実施形態では、部材1000は基板テーブルWT1の上面から約100μmから500μm又はそれ以上の値から選択された距離に配置される。実施形態では、ギャップは高さが100μmより高い、200μmより高い、300μmより高い、400μmより高い、500μmより高い、又は700μmより高い。これは、例えば部材1000が載った基板テーブルWTの上面に1つ又は複数の突起を設け、したがって基板テーブルWTの上面から間隔をおくことによって達成される。突起は、上述したクランプ機構を含んでよい。
[00101] 部材1000の厚さの均一性は、部材1000の厚さ変動の過度に複雑な補償を回避するのに重大なことがある。さらに、部材1000の透明材料の屈折率を液浸液の屈折率と慎重に一致させる必要があることがある。図9a及び図10に関して示した実施形態は、図7及び図8の実施形態の利点のうち1つ又は複数を維持しながら、これらの問題の1つ又は複数、又は本明細書で言及していない他の問題を克服することができる。
[00102] 図9a及び図10の実施形態は、以下に述べることを除いて図7及び図8の実施形態と同じである。図9a及び図10の実施形態に関して述べる特徴は、図7及び図8の実施形態にも当てはまる。
[00103] 上述したように、部材1000及び基板テーブルWTは、図9a及び図10では相互に対して移動する。実施形態では、基板テーブルが部材1000に対して移動する。例えば、部材1000は投影システムPSに対して実質的に静止している。部材1000はバリア部材12に接続するか、計測フレームRF又はベースフレームBFに接続することによって、バリア部材12に対して実質的に制した状態で保持することができる。部材1000の位置が投影システムPS及び/又はバリア部材12及び/又は計測フレームRF及び/又はベースフレームBFに対して移動できるように、多少の動作が存在してよい。この動作は、投影システムの光軸に平行及び/又は直角でよい。バリア部材12は、投影システムPSと基板の間の空間に液体を提供する任意のタイプでよい。例えば、図2から図6に示した液体供給システムのタイプのいずれも適切である。
[00104] 部材1000は、投影ビームが通過する貫通穴1075を有する。貫通穴の中には、投影システムPSの最終要素と基板W及び/又は基板テーブルWTの間の空間に液浸液を提供する液体供給システムが配置される。したがって、投影システムPSのビームPBは部材1000の貫通穴を通って移動する。実施形態では、液体供給システムはバリア部材、例えば図5又は図6のバリア部材12の形態であり、任意選択で液体を閉じ込めない。バリア部材12は貫通穴1075内にある。バリア部材12は貫通穴を遮断する。バリア部材12は部材1000の一体部品でよい。液体供給システムは、部材1000の貫通穴1075の内周に密封される。したがって、部材1000と基板テーブルWT及び基板Wの上面との間のギャップ内の液体は、雰囲気に対して開いていない。図7及び図8の実施形態と同様に、部材1000と基板テーブルWT及び/又は基板Wの間のギャップは、液浸液で完全に充填される。そのギャップ内には気体が存在しないことが望ましい。液浸液は、基板テーブルWT及び基板Wの上面と、基板テーブルWT及び基板Wの上面に面する部材1000の表面との間に延在する。
[00105] 液体は、別個の液体供給システムで部材1000と基板テーブルWT及び基板Wの間のギャップに提供することができる。代替的又は追加的に、バリア部材12を使用して、そのギャップに液体を提供することができる。液体は、上述したようにプレウェッティング装置1200によってギャップに提供するだけでよい。液体は、プレウェッティング装置1200によってギャップに提供することができ、動作中に液体はバリア部材及び/又は別個の液体供給システムによってギャップに提供される。
[00106] 認識されるように、バリア部材12が自身と基板テーブルWT及び/又は基板Wの上面との間に完璧な密封特徴を有する必要はない。というのは、バリア部材12と基板テーブルWT又は基板Wの上面との間で漏れる液体は全て、いかなる場合でも液浸液が存在するギャップに入るだけであり、そのために熱要件がそれほど厳格でなくなる。実際、実施形態ではバリア部材12によって、部材1000と基板テーブルWT及び/又は基板Wの間のギャップに液体を提供することが望ましい。
[00107] バリア部材12は、投影システムの最終要素と基板及び/又は基板テーブルの間の空間に液体を提供する。さらなる液体供給システムを設けて、部材1000と基板テーブルWT及び基板Wの間のギャップに液体を供給する。この液体供給システムは、バリア部材12の部分でよい。例えば、図6に示す出口60を使用して、ギャップに液体を提供することができる。その場合、図6に示した出口の半径方向外側の密封及び抽出器システム及びフィーチャは必要ない。この実施形態では、基板Wの上面が基板テーブルWTの上面と同一平面上にあってもなくてもよい。実施形態では、部材1000は平面図で基板テーブルWTの少なくとも2倍のサイズである。つまり、部材1000の幅及び奥行き(x、y)寸法は、基板Wの完全なスキャンに対応するために、基板テーブルWTの対応する寸法の少なくとも2倍である。
[00108] 実施形態では、投影システムPSの最終要素と基板及び/又は基板テーブルWTの間の空間全体に、液体の第一流れを提供する。これは、図6のバリア部材12の入口20によって提供することができる。バリア部材の出口、例えば出口13又は20は、空間11全体に液体の流れが存在するように、空間の反対側に設けることができる。次に、部材1000と基板テーブルWT及び/又は基板Wの間のギャップ内で、バリア部材12の半径方向外側への液体の第二流れを提供することができる。半径方向外側への流れは、バリア部材12の出口60を通してギャップに液体を供給することによって提供することができる。バリア部材12の半径方向外側への液体の流れは、以下でさらに詳細に述べるように、ギャップからバリア部材12の半径方向外側に液体を除去することによって生成することができる。2つの液体の流れは別々にしたままでよく、したがって一方の液体の流れからの液体が他方の液体の流れからの液体と実質的に混合しないことが望ましい。2つの流れは、流れの液体が異なる物理的要件を有することがあるので、別々のままである。例えば、第一液体流れの液体は、投影システムの最終光学要素と基板Wの間の光学コンポーネント内のように使用される。露光中に、パターン付き投影ビームがこれを通過することができる。第一液体流れの液体が良好な光学的品質を有して、結像欠陥の発生源を最適に軽減することが望ましい。第二液体流れの液体は、例えば露光のために基板の表面を調節するために使用することができ、光学コンポーネントとしては使用されない。したがって、第二液体流れの液体には、第一液体流れの場合と同じレベルの物理的特性の制御は不必要なことがある。第二液体流れの液体は光学コンポーネントとして使用するのに適切ではないので、2つの流れは別々にしておかねばならない。
[00109] 図7及び図8の実施形態と同様に、基板テーブルの縁部に取り付けたミラーと相互作用する干渉計によって基板テーブルWTの位置を測定する場合に、この実施形態は実質的に問題を生じない。しかし、グリッドプレート測定システムを使用する場合、この実施形態は問題を生じることがある。しかし、図7及び図8の実施形態とは異なり、例えば図9aの実施形態における厚さの不均一性に伴う誤差は、以前の実施形態の露光誤差とは対照的に、較正を通して補正できる測定誤差である。これを軽減する1つの方法は、実際の部材1000として(1つ又は複数の)グリッドプレートを設けることである。あるいは、部材1000を通してグリッドプレート1500の上から基板テーブルWT上で測定する必要があることがある。これが図9に示す状態である。1つ又は複数のグリッドプレートを、1つ又は複数のリンク1050を介して部材1000に取り付ける。1つ又は複数のアクチュエータ1510を設けて、部材1000を所定の位置に維持する、及び/又は部材1000をグリッドプレート1500及び/又は計測フレームRFから動的に切り離すのに役立てることができる。部材1000は、移動する基板テーブルからギャップ内の液体によって伝達された大きい力を経験することがある。
[00110] グリッドプレート1500と部材1000が分離されたシステムの最適化に役立つために、部材1000の頂部とグリッドプレート1500の間のギャップに(半径方向内側に)気体の流れ1550を設ける。この気体の流れは、部材1000とグリッドプレート1500の間のギャップを汚染物質がない状態に維持するのに役立ち、そのギャップ内の気体が一定の特性(例えば温度、圧力、組成など)を有することを保証するのにも役立つので有利である。
[00111] グリッドプレートは、部材100に固定、例えば接着することができる。グリッドプレートは、計測フレームRF又はベースフレームBFに対して配置する(例えば取り付ける)ことができる。計測フレームRFに対するグリッドプレートの位置を測定すると、計測フレームRFに対する基板テーブルWTの位置を計算することができる。したがって、投影システムPSの位置も計算することができる。
[00112] 結像中に、基板テーブルWTは投影システムPS、バリア部材12及び部材1000の下で移動する。投影システムPS、バリア部材12及び部材1000は、相互に対して実質的に静止している。したがって、部材1000及び基板テーブルWTの相互に対する位置は、これが相互に対して移動するにつれて変化する。その結果、ギャップを規定する基板テーブルWT及び部材1000の表面が相互に対して移動する。この理由から、基板テーブルWTと部材1000の間を密封する密封デバイス1600が基板Wの半径方向外側に設けられる。密封デバイスは、部材1000と基板テーブルWT及び/又は基板Wの表面間に液浸液を閉じ込める。実施形態では、密封デバイス1600が基板テーブルWT内に設けられる。代替的又は追加的に、密封デバイス1600は基板テーブルキャリア1701及び/又は部材1000上に設けることができる。しかし、後者の選択肢では、これは基板テーブルWTの大型化という犠牲を払う。図9a及び図10に見られるように、密封デバイス1600は基板テーブルWTの最も外側の縁部に隣接して装着することが望ましい。密封デバイス1600は、液浸液を通して露光される基板テーブルWT、及び液浸液と接触し得る表面上の全てのオブジェクトを囲むように装着しなければならない。このようなオブジェクトは基板W、センサ1015などを含む。
[00113] 密封デバイス1600は、図5又は図6のバリア部材12の底部に図示されたような密封デバイスの形態でよく、ここでメニスカスは部材1000と密封デバイス1600の間に閉じ込められる。密封デバイス1600は非接触密封デバイスでよい。密封デバイス1600は液体除去デバイスでよい。密封デバイス1600が液体除去デバイスである場合、これはバリア部材12から液浸液の半径方向外側への流れを生成するのに役立つ。
[00114] したがって、システムには、投影システムの最終要素と基板の間の空間から液体を除去する第一液体除去デバイスを備える。その液体は、第一液体供給デバイスによって入口20、13を通して提供される。第二液体除去デバイスが存在して、基板テーブル及び/又は基板に面する部材1000、つまり(密封)液体除去デバイスの表面間のギャップから液体を除去する。第二液体除去システムは、基板Wの半径方向外側の液体を除去する。
[00115] 部材1000の下面は疎液性でよく、例えばコーティングなどで処理することができる。これによって、基板テーブルWT上の密封デバイス1600の仕事がさらに容易になる。これは、図7及び図8の部材1000の上面と同じでよい。
[00116] 部材1000と基板テーブルWT及び/又は基板Wの間のギャップは、100μmから500μmの間、又は100μmより小さい範囲から選択することが望ましい。例えば、ギャップは100μm未満又は50μm未満でよい。投影システムPLの最終要素と基板の間の距離は、約3mmであることが望ましい。投影システムPSの最終要素と基板テーブルWT及び/又は基板Wの間に光学液浸液に対する流れ抵抗を生成するために、基板W及び/又は基板テーブルWTからバリア部材12までの距離は、部材1000と基板W又は基板テーブルWTの間の距離より小さくてよい。例えば、バリア部材12は基板W及び/又は基板テーブルWTの上面からわずか0.15mmでよい。部材1000は、グリッドプレート測定システムに使用される放射の波長に対して透明でよい。
[00117] 図9及び図10の実施形態の基板交換中に、図7及び図8の実施形態と同様にプレウェッティングステーション1200を使用する。これは、部材1000が投影システムPSに対して静止しているので実行することができる。プレウェッティングステーション1200の下の液体除去システムは、基板交換中にオフに切り換えられる。第一基板テーブルWT1と第二基板テーブルWT2も、図7及び図8の実施形態のように、望ましくは基板テーブルWT1、WT2のキャリア1701、1702を通して相互に結合される。基板テーブルWT自体の上の液体除去システム1600を使用して、部材1000から液体を除去することができる。図7及び図8の実施形態のような乾燥ステーションを設けて、基板テーブルWT及び基板Wの上面を乾燥すると有利である。というのは、基板テーブルWTが部材1000の下から移動しても、部材1000と基板テーブルWTの間のギャップ内にある液体が、必ずしも基板テーブルWTの縁部にある液体除去デバイス1600までの全道程を引きずられないからである。そのために、例えば図10の1つ又は複数の乾燥器1350のような乾燥器を設けることができる。
[00118] 図10では、明快さを期して図9aのグリッドプレート1500が削除されている。しかし、部材100の上に、さらに図示のように部材1000の右手側にグリッドプレートが設けられる。部材1000の右手側のグリッドプレートは、第二基板テーブルWT2を正確に位置決めするためのものである。乾燥器1350は、プレウェッティング装置1200が配置された部分を除いて部材1000の周囲(例えば円周)を囲むものとして見られる。乾燥器1350は、基板テーブルWTの上面を乾燥することができる。乾燥器1350が部材1000を完全に囲む必要はないことが認識される。例えば、部材100の周囲の一部にのみ乾燥器を設けてもよい。その場合、装置のコントローラは、乾燥器1350が配置された位置で部材1000の下から現れるだけであるように、基板テーブルWTを制御する。乾燥器は、部材1000の縁部の隣に配置される。乾燥器は、部材1000内又はその上に装着してもよい。ステージ/基板テーブル毎に1つずつ、2つのプレウェッティング装置1200及び/又は乾燥器があってもよい。
[00119] 図9bは、部材1000がグリッドプレート1500と同じである図9aの実施形態の変形を示す。図9bは、部材1000/グリッドプレート1500に力を加えられる方法を示す。その原理及び構成は、図9aの実施形態に等しく使用することができる。
[00120] 部材1000と基板テーブルWTの上面との間には液体の大きい領域があるので、基板テーブルWTがその下で移動することによって、部材1000に大きい抵抗力を加えることができる。これらの力を補償するために、アクチュエータ1700を設ける。このアクチュエータは、ベースフレームBF(又は計測フレームRF)と部材1000の間で作用する。コントローラ1800が、アクチュエータ1700を通して部材1000に加えられる力を制御する。コントローラは、フィードフォワード又はフィードバックの方法で部材1000に力を加えることができる。力の補償は一般的に、部材1000の面に実質的に平行な面で力を加えることによって実行される。高さの動作も提供することができる。バリア部材12を高さ方向に動作させるために、1つ又は複数のアクチュエータを設けることができる。バリア部材12は、計測フレームRFに対して投影システムの光軸に直角の面で固定することができる。
[00121] 図10に示すように、基板テーブルWT(又は少なくとも濡れている部分)は、平面図で部材100より小さく、例えば非常に小さい。これは、基板テーブルWTを、基板W及びセンサ1015の全領域の結像を可能にする位置へと移動できるようにするためである。
[00122] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームが通過でき、表面が基板テーブルに面する部材と、投影システムと基板及び/又は基板テーブルとの間の空間に液浸流体を供給して、液浸流体を基板テーブル及び/又は基板と部材の表面との間に延在するよう提供するように構成された流体供給システムと、部材の表面と基板テーブルとの間を密封するように構成されたシールデバイスと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。任意選択で、部材の少なくとも一部は、基板テーブルの位置測定システムが使用する電磁放射に対して透明である。任意選択で、シールデバイスは非接触シールデバイスである。任意選択で、シールデバイスはシールを形成する気体の流れを生成するために気体入口及び気体出口を備える。任意選択で、シールデバイスは、基板テーブル上の基板及び/又はセンサを囲むように構成される。任意選択で、液浸リソグラフィ装置は、基板テーブルが部材の下から現れると基板テーブルの上面を乾燥するように構成された乾燥器をさらに備える。任意選択で、部材は平面図で基板テーブルの平面図のサイズより大きく、望ましくは少なくとも2倍のサイズを有する。任意選択で、液浸リソグラフィ装置は、基板テーブルが部材の下で移動する前に、基板テーブルの上面に液浸流体を与えるように構成されたプレウェッティングステーションをさらに備える。任意選択で、シールデバイスは流体除去デバイスを含む。任意選択で、部材は、基板の露光中に基板の上面全体が液浸流体で覆われるようなサイズにされる。任意選択で、部材の下面は液浸流体に対して疎液性である。任意選択で、液浸リソグラフィ装置は、基板テーブルの位置測定に使用するために、部材上にグリッドプレートをさらに備える。液浸リソグラフィ装置は、グリッドプレートと部材の間に気体を提供するように構成された出口をさらに備えることが望ましい。任意選択で、液浸リソグラフィ装置は、部材に力を加えて、流体を通して部材に加えられる力を補償するように構成されたアクチュエータをさらに備える。液浸リソグラフィ装置は、アクチュエータによってフィードフォワード方法で加えられる力を制御するように構成されたコントローラをさらに備えることが望ましい。任意選択で、シールデバイスは基板テーブルの部分である。任意選択で、基板テーブルは、基板の上面が基板テーブルの上面と実質的に同一平面上になるように基板を保持するように構築される。任意選択で、部材はパターン付き放射ビームが通過する貫通穴を規定する。
[00123] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームが通過できるように構成されて、表面が基板テーブルに面する部材と、液浸流体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルとの間の空間に供給して、基板テーブル及び/又は基板と部材の表面との間に延在させるように構成された流体供給システムと、空間から流体を除去するように構成された第一流体除去システムと、基板の外側の位置で部材の表面と基板テーブルの間から流体を除去するように構成された第二流体除去システムと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。任意選択で、流体供給システムは、投影システムと基板及び/又は基板テーブルとの間の空間に流体を供給する第一流体供給システムと、部材と基板テーブル及び/又は基板との間に流体を供給する第二流体供給システムとを備える。流体供給システム及び流体除去システムは、第一流体供給システムによって供給された流体が第一流体除去システムによって実質的に完全に除去されるように構成されることが望ましい。流体供給システム及び流体除去システムは、第二流体供給システムによって供給された流体が第二流体除去システムによって実質的に完全に除去されるように構成されることが望ましい。任意選択で、流体供給システム及び第一流体除去システムが協働して、空間全体に流体の流れを形成する。任意選択で、流体供給システム及び第二流体除去システムが協働して、実質的に半径方向外側への流体の流れを生成する。任意選択で、第二流体除去システムは、部材と基板テーブル及び/又は基板との間の流体を密封するのに効果的である。任意選択で、第二流体除去システムは基板テーブル内にある。任意選択で、第二流体除去システムは部材内にある。任意選択で、部材は、基板テーブルの位置測定システムが使用する放射に対して透明である。
[00124] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、基板テーブルに面する表面を有する部材と、液浸流体が基板及び/又は基板テーブルの表面と基板テーブルに面する部材の表面との間に延在するように、基板及び/又は基板テーブルが部材の下で移動する前に、基板及び/又は基板テーブルの表面に液浸流体を提供するように構成されたプレウェッティングステーションと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。任意選択で、液浸リソグラフィ装置は、基板テーブルが部材の下から移動すると、基板及び/又は基板テーブルの表面から流体を除去するように構成された流体除去装置をさらに備える。任意選択で、プレウェッティングステーションは細長く、部材又は流体除去装置の平面図の幅と等しい長さを有する。
[00125] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、基板テーブルに面する表面を有する部材と、基板が部材の下から移動する間に基板及び/又は基板テーブルが部材の表面の下から移動すると、基板及び/又は基板テーブルの表面から流体を除去するように構成された流体除去装置と、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。任意選択で、流体除去装置は部材内又は部材上又は部材の隣に配置される。任意選択で、流体除去装置は、露光後に基板が部材の下から移動する間、基板及び/又は基板テーブルが部材の表面の下から移動すると、基板及び/又は基板テーブルの表面から流体を除去するように構成される。
[00126] 態様では、基板を保持するように構築された第一基板テーブルと、基板を保持するように構築された第二基板テーブルと、を備え、第一及び第二基板テーブルが相互に着脱式に取り付け可能である液浸リソグラフィ装置が提供される。任意選択で、基板テーブルはそれぞれセンサを備える。
[00127] 態様では、液浸リソグラフィ装置の投影システムの下に基板を提供する方法が提供され、方法は、基板テーブル上の基板を、基板及び/又は基板テーブルの上面に液浸流体を提供する細長いプレウェッティングステーションの下で移動させ、基板及び/又は基板テーブルに面する部材の表面と基板及び/又は基板テーブルとの間に液浸流体が延在するように、投影システムに対して実質的に静止して保持された部材の下で、基板及び/又は基板テーブルのプレウェット部分を移動させることを含む。
[00128] 態様では、液浸リソグラフィ装置の投影システムの下から基板テーブルを取り出す方法が提供され、方法は、基板テーブル上の基板を、投影システムに対して実質的に静止して保持された部材の下から移動させ、基板テーブルが部材の下から移動すると現れる基板テーブルの部分に配置された流体除去デバイスを使用して、その部分から流体を除去することを含む。任意選択で、使用することは、基板テーブルが部材の下から移動すると現れる基板テーブルの部分に流体除去デバイスを配置して、その部分から流体を除去することを含む。
[00129] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームが通過できるように構成され、表面が基板テーブルに面する部材と、実質的に非圧縮性の液浸流体を、投影システムと基板及び/又は基板テーブルとの間、及び基板テーブル及び/又は基板と部材の表面との間の空間に供給するように構成された流体供給システムと、部材の表面と基板テーブルとの間を密封するように構成されたシールデバイスと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
[00130] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームが通過できるように構成され、表面が基板テーブルに面する部材と、投影システムと部材との間の空間に液浸流体を供給し、液浸流体を、基板テーブル及び/又は基板と部材の表面の間に延在するように部材と基板及び/又は基板テーブルとの間の空間に供給するように構成された流体供給システムと、部材の表面と基板テーブルとの間を密封するように構成されたシールデバイスと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
[00131] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームが通過できるように構成され、表面が基板テーブルに面する部材と、投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に実質的に非圧縮性の液浸流体を供給し、基板テーブル及び/又は基板と部材の表面の間に実質的に非圧縮性の液浸流体をさらに供給するように構成された流体供給システムと、部材の表面と基板テーブルの間を密封するように構成されたシールデバイスと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
[00132] 態様では、基板が基板テーブルの上面と実質的に同一平面上になるように基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームを通過させる貫通穴を有し、表面が基板テーブルに面する部材と、投影システムの最終要素と基板及び/又は基板テーブルの間の空間に液浸流体を供給し、基板テーブル及び/又は基板と部材の表面の間に延在する液浸流体を提供するように構成された流体供給システムと、部材の表面と基板テーブルの間を密封するように構成された基板テーブル内のシールデバイスと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
[00133] 態様では、基板の上面が基板テーブルの上面と実質的に同一平面上になるように基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームが通過する貫通穴及び基板テーブルに面する表面を有する部材と、投影システムの最終要素と基板及び/又は基板テーブルの間、及び基板テーブル及び/又は基板と部材の表面の間の空間に実質的に非圧縮性の液浸流体を供給するように構成された流体供給システムと、部材の表面と基板テーブルの間を密封するように構成された基板テーブル内のシールデバイスと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
[00134] 態様では、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、投影システムに対して実質的に静止して保持され、パターン付き放射ビームを通過できるように構成され、基板テーブルに面する表面を有する部材と、投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に非圧縮性流体を供給する第一流体供給システムと、部材と基板テーブル及び/又は基板の間に非圧縮性流体を供給する第二流体供給システムと、空間から流体を除去するように構成された第一流体除去システムと、基板の外側の位置で部材の表面と基板テーブルの間から流体を除去するように構成された第二流体除去システムと、を備える液浸リソグラフィ装置が提供される。
[00135] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることは言うまでもない。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、計測ツール及び/又は検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[00136] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm又は126nm、或いはその辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[00137] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学部品を含む様々なタイプの光学部品のいずれか一つ、又はその組合せを指す。
[00138] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はその内部に記憶されたこのようなコンピュータプログラムを有するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。さらに機械読み取り式命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで実現することができる。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶することができる。
[00139] 上述したコントローラは、信号を受信、処理及び送信するのに適切な任意の構成を有することができる。例えば、各コントローラは、上述した方法の機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行するために、1つ又は複数の処理装置を含んでよい。コントローラは、このようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はこのような媒体を受信するハードウェアを含んでよい。
[00140] 本発明の1つ又は複数の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域に閉じ込められるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
[00141] 本明細書で想定するような液体処理システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組合せでよい。これは、1つ又は複数の構造、1つ又は複数の液体入口、1つ又は複数の気体入口、1つ又は複数の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ又は複数の液体出口の組合せを備えてよい。実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体処理システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ又は複数の要素をさらに含むことができる。
[00142] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。