JP2009195804A - 逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置 - Google Patents

逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】タンクを設ける必要がないため設備が大型化することなく、さらに洗浄液が原因による逆浸透膜の劣化が生じないように洗浄液の薬品濃度を調整することができ、逆浸透膜の汚れ成分が洗浄液とともに循環しない逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置を提供する。
【解決手段】原水を供給し透過水及び濃縮水を取り出す逆浸透膜モジュールに、所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を通液する逆浸透膜モジュールの洗浄方法において、隣接する複数の逆浸透膜モジュールの原水供給口を連結した原水滞留部と、前記隣接する複数の逆浸透膜モジュールの濃縮水取り出し口を連結した濃縮水滞留部とを管によって接続し、前記管、原水滞留部、逆浸透膜モジュール内部、濃縮水滞留部、前記管の順に水を循環させ、該循環している水中に前記洗浄薬品を所定量導入して、前記洗浄液を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置に関するものであり、特に設備が大型化することなく、さらに洗浄液が原因による逆浸透膜の劣化が生じないように洗浄液を調整することができ、逆浸透膜の汚れ成分が洗浄液ととも循環しない逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置に関する。
逆浸透膜モジュールに海水などの原水を供給し、逆浸透膜の分子レベルの細孔を通して水を透過させ、イオン分及び非イオン性物質の透過を阻止することで溶質の分離を行い純水として透過水を取り出す逆浸透膜モジュールは、不純物の除去性能が高く、運転操作が簡単であることから、純水を製造するために広く用いられている。このような純水製造装置では、逆浸透膜によって不純物を分離するため、長期間使用していると逆浸透膜が汚染されて透過流束が低下するので、洗浄が必要になる。
図5は、従来技術に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。
従来技術における逆浸透膜モジュールを用いた純水の製造及び逆浸透膜モジュールの洗浄方法について図5を用いて説明する。
まず、純水の製造時の運転について説明する。
図5において1は海水などの原水、2は逆浸透膜モジュール、3は透過水、4は透過水タンク、5は濃縮水である。
図5において、海水などの原水1は後述する逆浸透膜モジュール2で水と不純物とを分離することができる圧力まで昇圧され、逆浸透膜モジュール2に送られる。逆浸透膜モジュール2は、例えば酢酸セルロース製や芳香族ポリアミド製の逆浸透膜を中空糸型やスパイラル型に構成し、容器内に収納したものであり、逆浸透作用により前記原水1を前記逆浸透膜を透過した透過水3と、前記逆浸透膜を透過することなく不純物濃度が高められた濃縮水5に分離する。前記透過水3は純水として透過水タンク4に貯留され、前記濃縮水5は外部に排出され処理される。
次に逆浸透膜モジュール2の洗浄について説明する。
逆浸透膜モジュール2の洗浄は、浸透膜の汚染物に応じて酸又はアルカリ等による薬品洗浄を行う。膜の汚染の状態によっては酸洗浄を行った後、さらにアルカリ洗浄を行う場合もある。
洗浄を行う場合、前記透過水タンク4に貯留された透過水を、洗浄液タンク7に所定量だけ供給する。その後、酸又はアルカリ等の洗浄薬品8を洗浄薬品ポンプ9によって洗浄液タンク7へ導入する。そして、洗浄液タンク7内に設けられた攪拌機12を回転させ攪拌を行うことで、洗浄液タンク7内では前記透過水と洗浄薬品が混合され、所定の薬品濃度の洗浄液が調整される。前記所定の薬品濃度の洗浄液が調整されると、原水1の逆浸透膜モジュール2への供給を停止した状態で、洗浄液ポンプ11を用いて洗浄液タンク7→洗浄液ポンプ11→逆浸透膜モジュール2→洗浄液タンク7の順に前記洗浄液を循環ライン10内を循環させて逆浸透膜の洗浄を行う。
図5においては、攪拌機12を設けたタンク内で水と洗浄薬品を攪拌することで洗浄液の調整を行ったが、特許文献1にはタンク→ポンプ→タンクの順に循環する混合用の循環ラインを設け、該混合用の循環ライン内を循環する水中に洗浄薬品を導入し、循環によって洗浄液の調整を行う技術が開示されている。
特開2002−307058号公報
しかしながら、図5で説明した技術及び特許文献1に開示された技術は何れも、所定の薬品濃度の洗浄液を調整するために、調整用のタンクを設ける必要があり、設備が大型化するという問題があった。特に、逆浸透モジュールは、通常多数の逆浸透モジュールを並列に配置し、広い場所を使用することから、さらに広い場所を使用することを避けるために洗浄に使用する設備を出来る限り小型化する必要がある。
また、タンクにおける攪拌が不十分で局所的に薬品濃度が濃い洗浄液が調整されてしまった場合、逆浸透膜の耐薬品性によっては膜の劣化を引き起こしてしまう可能性がある。
さらに、浸透膜の汚れ成分が洗浄液に溶解する溶解成分である場合や、懸濁物として洗浄液とともに循環する成分である場合、汚れ成分が洗浄液とともに循環して洗浄能力が低下する。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、タンクを設ける必要がないため設備が大型化することなく、さらに洗浄液が原因による逆浸透膜の劣化が生じないように洗浄液の薬品濃度を調整することができ、逆浸透膜の汚れ成分が洗浄液とともに循環しない逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明においては、
原水を供給し透過水及び濃縮水を取り出す逆浸透膜モジュールに、所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を通液する逆浸透膜モジュールの洗浄方法において、隣接する複数の逆浸透膜モジュールの原水供給口を連結した原水滞留部と、前記隣接する複数の逆浸透膜モジュールの濃縮水取り出し口を連結した濃縮水滞留部とを管によって接続し、前記管、原水滞留部、逆浸透膜モジュール内部、濃縮水滞留部、前記管の順に水を循環させ、該循環している水中に前記洗浄薬品を所定量導入して、前記洗浄液を調整することを特徴とする。
水を循環させ、該水中に所定量の洗浄薬品を導入することで、循環によって前記水と洗浄薬品が混合され、所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を調整することができる。前記循環中に前記原水滞留部及び濃縮水滞留部で循環中の水の滞留が起こるため、循環による水と洗浄薬品の混合が可能となる。
これによりタンクなどの大型の設備を設ける必要がないため、逆浸透膜モジュールの洗浄に係る設備の小型化が可能となり、さらにタンクを要しないため循環流量がタンクを要する場合と比較するとタンク貯留分だけ少なくなり、従って必要な洗浄薬品量も少なくてよい。
また、前記循環している水中の洗浄薬品の濃度又は該洗浄薬品の濃度に対応して変動する物性値を検出し、該検出値が所定値を越えたときに、前記洗浄薬品の導入流量を減少させるか、前記洗浄薬品の導入を停止することを特徴とする。
前記洗浄薬品の濃度に対応して変動する物性値の例として、洗浄薬品が酸(HCl)又はアルカリ(NaOH)である場合にはpH、洗浄薬品が酸化剤(H)である場合には酸化還元電位(ORP)、洗浄薬品が蛍光あるいは吸収を持つ薬品である場合にはUVなどが挙げられる。
また前記所定値は、逆浸透モジュールの膜の耐薬品性、洗浄薬品の種類などによって決定し、基準値以内であれば膜を劣化させないような値とする。
これにより、循環中に洗浄薬品濃度が局所的に濃くなり、前記検出値が所定値を越えた場合には、洗浄薬品の循環ラインへの導入流量が減少されるか導入が停止されるため、さらに洗浄薬品濃度が濃くなることを防止することができ、局所的に洗浄薬品濃度が濃い洗浄液が逆振動膜モジュール内に導入されて膜を劣化させることを抑制することができる。
前記洗浄薬品が酸又はアルカリであり、前記物性値が水素イオン濃度(pH)であることを特徴とする。
酸又はアルカリは、洗浄薬品濃度が変化するとpHも変化する。pHは濃度の変化を高い精度で追従し、またpHを測定するためのpH計は安価で構造も簡単であることから、安価で高い精度で薬品濃度の変化を検知することができる。
また、前記循環している水の体積流量Fと、前記循環している水中に導入する洗浄薬品の体積流量Fを、前記洗浄液中の水量と洗浄薬品量の体積比をV/Vとしたとき、下記の(1)式が成立するように設定することを特徴とする。
/F<V/V・・・(1)
(1)が成立することにより、循環中の水中に洗浄薬品が導入された位置で局所的に薬品濃度が高濃度になることを避けることができ、高濃度の洗浄液が逆浸透膜モジュール内に流れ込んで膜の劣化を引き起こすことを防止することができる。
また、課題を解決するための装置発明として、
原水を供給し透過水及び濃縮水を取り出す逆浸透膜モジュールに、所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を通液する逆浸透膜モジュールの洗浄装置において、隣接する複数の逆浸透膜モジュールの原水供給口を連結した原水滞留部と、前記隣接する複数の逆浸透膜モジュールの濃縮水取り出し口を連結した濃縮水滞留部とを接続する管と、前記管、原水滞留部、逆浸透膜モジュール内部、濃縮水滞留部、前記管の順に水を循環させる手段と、前記管内に洗浄薬品を導入する手段とを設け、前記循環している水中に前記洗浄薬品を所定量導入して、前記洗浄液を調整することを特徴とする。
また、前記循環している水中の洗浄薬品の濃度又は該洗浄薬品の濃度に対応して変動する物性値を検出する検出手段と、該検出値が所定値を越えたときに、前記洗浄薬品の導入流量を減少させるか、前記洗浄薬品の導入を停止する制御装置を設けたことを特徴とする。
また、前記洗浄薬品が酸又はアルカリであり、前記検出手段が水素イオン濃度計(pH計)であることを特徴とする。
さらに、前記原水滞留部と濃縮水滞留部に接続した管に、前記洗浄液中の汚れ成分を除去する手段を設けたことを特徴とする。
汚れ成分を除去する手段は例えばろ過器、吸着剤などが挙げられる。
これにより、逆浸透膜モジュールから洗浄液によって除去された汚れ成分が、洗浄液とともに循環して洗浄液の洗浄能力が低下させることを防止することができる。
以上記載のごとく本発明によれば、タンクを設ける必要がないため設備が大型化することなく、さらに洗浄液が原因による逆浸透膜の劣化が生じないように洗浄液の薬品濃度を調整することができ、逆浸透膜の汚れ成分が洗浄液とともに循環しない逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は実施例1に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図であり、図2は逆浸透膜モジュール周辺の構成図である。
まず、純水の製造時の運転について説明する。
図1において1は海水などの原水、2は逆浸透膜モジュール、3は透過水、4は透過水タンク、5は濃縮水である。
図1において、海水などの原水1は図示しない昇圧用ポンプなどによって後述する逆浸透膜モジュール2で水と不純物とを分離することができる圧力まで昇圧され、逆浸透膜モジュール2に送られる。逆浸透膜モジュール2は、例えば酢酸セルロース製やポリアミド製の逆浸透膜を中空糸型やスパイラル型に構成し、容器内に収納したものであり、逆浸透作用により前記原水1を前記逆浸透膜を透過した透過水3と、前記逆浸透膜を透過することなく不純物濃度が高められた濃縮水5に分離する。前記透過水3は純水として透過水タンク4に貯留され、前記濃縮水5は外部に排出される。
また、図2に2a、2b、2c、2d、2eで示したように、逆浸透膜モジュール2は1本だけでなく複数本が並列に配置される。図2においては5本の逆浸透膜モジュールを横に並べて配置しているが、並列に配置する逆浸透膜モジュールの本数や配置の方向特に制限はなく、数十本の逆浸透モジュールを縦に並べて配置することもある。
このように、複数本の逆浸透膜モジュール2a〜2eが並列に配置される場合、前記原水1は逆浸透膜モジュール2a〜2eの入口部に設けられた入口ヘッダ21に導入され、該入口ヘッダ21からそれぞれの逆浸透膜モジュール2a〜2eに導入される。それぞれの逆浸透膜モジュール2a〜2eで原水を分離して得られる透過水3は出口ヘッダ23に導入された後、透過水タンク4へ送られる。またそれぞれの逆浸透膜モジュール2a〜2eで得られる濃縮水5は濃縮液ヘッダ22に導入された後、外部に排出される。
次に逆浸透膜モジュール2の洗浄について説明する。
逆浸透膜モジュールの洗浄は、膜の汚染物に応じて酸又はアルカリ等による薬品洗浄を行う。膜の汚染の状態によっては酸洗浄を行った後、さらにアルカリ洗浄を行う場合もある。
図1において、8は酸又はアルカリ等の洗浄薬品、9は洗浄薬品8を後述する循環ライン10へ導入する洗浄薬品ポンプ、10は所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を循環させる循環ライン、11は前記洗浄液を循環させるための洗浄液ポンプであり、6は前記循環ラインに透過水タンク4中から導入される洗浄用透過水である。なお、循環ライン10は、図2に示したように入口ヘッダ21及び濃縮液ヘッダ22に接続されている。
逆浸透膜モジュール2の洗浄を行う場合、まず原水1の逆浸透膜モジュール2a〜2eへの供給、即ち入口ヘッダ21への供給を停止した状態で、透過水タンク4に貯留された透過水の一部を洗浄用透過水6として前記循環ライン10中に所定量だけ供給し、洗浄液ポンプ11を起動して前記循環ライン10内を循環させる。これにより前記洗浄用透過水は、洗浄液ポンプ11→入口ヘッダ21→各逆浸透膜モジュール2a〜2e→濃縮液ヘッダ22→洗浄液ポンプ11の順に循環する。なお、循環中の洗浄用透過水が透過水タンク4側に流れないようにする必要があるため、各逆浸透膜モジュール2a〜2eの出口側、即ち逆浸透膜モジュール2a〜2eと出口ヘッダ23との間にそれぞれ弁(不図示)を設けておき洗浄時には該弁を閉止するようにするとよい。
さらに、前記洗浄用透過水を循環させたまま、洗浄薬品8を洗浄薬品用ポンプ9によって前記循環ライン10中に所定量に達するまで連続的に導入し、その後該導入を停止する。前記洗浄薬品8を導入する所定量は、前記循環ライン10中に導入した洗浄薬品8の量と洗浄用透過水6の量との比が、逆浸透膜モジュール2a〜2eを洗浄するために必要な洗浄液中の洗浄薬品と水との比と同じになるような量とする。
また、前記循環ライン10中を循環する洗浄用透過水の体積流量Fと、前記循環ライン10中に導入する洗浄薬品の体積流量Fの関係を、最終的に必要な洗浄液中の洗浄用透過水量と洗浄薬品量の体積比をV/Vとしたとき、下記の(1)式が成立するように体積流量F及びFを設定する。
/F<V/V・・・(1)
(1)が成立することにより、循環中の洗浄用透過水中に洗浄薬品が導入された位置で局所的に薬品濃度が高濃度になることを避けることができ、高濃度の洗浄液が逆浸透膜モジュール内に流れ込んで膜の劣化を引き起こすことを防止することができる。
ここで前記体積流量F及びFの調整は例えば洗浄液ポンプ11及び洗浄薬品ポンプ9の吐出側に流量計を設け、該流量計による検知値に応じて洗浄液ポンプ11及び洗浄薬品ポンプ9のストロークを調整したり、別途流量調整弁を設けて該流量調整弁開度を調整するようにしてもよいが、設備全体を小型化するためには(1)式が成立するように洗浄液ポンプ11と洗浄薬品ポンプ9の能力、及び循環ライン10と洗浄薬品を導入するラインの配管径を選択し、流量計を設けないようにするとよい。例えば洗浄液ポンプ11と洗浄薬品ポンプ9をそれぞれ定格運転させたときに(1)式が成立するようなポンプ能力及び配管径を選択しておく。
このようにして、所定量の洗浄用透過水を循環させたまま、該洗浄用透過水中に所定量の洗浄薬品を導入することで、循環によって洗浄用透過水と洗浄薬品が混合され、所定の濃度の洗浄液となる。本発明においては、図2に示したように循環ライン10を入口ヘッダ21及び濃縮液ヘッダ22に接続しているため、入口ヘッダ21及び濃縮液ヘッダ22が滞留部となり、循環による洗浄用透過水と洗浄薬品の混合が可能である。
そして、前記洗浄用透過水と洗浄薬品が混合され洗浄液となった後もそのまま循環を続けることで、逆浸透膜モジュール2a〜2eの洗浄を行うことができる。
これにより、タンク等の大型設備が必要なくなるため、小型の設備で逆浸透膜モジュールを洗浄することができ、さらにタンクを要しないため循環流量がタンクを要する場合と比較するとタンク貯留分だけ少なくなり、従って必要な洗浄薬品量も少なくてよい。
図3は実施例2に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。
図1と同一符号は同一物を示し、センサ14及びその付帯物を設けたこと以外は実施例1と同じであるため、実施例1と同一箇所については説明を省略する。
本実施例2においては、循環ライン10中であり、洗浄液ポンプ9の吐出側にセンサ14を設けている。センサ14は洗浄液中の洗浄薬品濃度又は該濃度に対応して変動する物性値を検出するものである。
例えば、逆浸透膜モジュール2中の有機物汚れを洗浄するために洗浄薬品としてアルカリ(NaOH)を使用する場合、洗浄液中の洗浄薬品濃度変化に対応してpHが変化するため、センサ14をpH計とすることができる。また逆浸透膜モジュール2中の金属(FeOH)汚れを洗浄するために洗浄薬品として酸(HCl)を使用する場合、洗浄液にアルカリを使用する場合と同様に洗浄液中の洗浄薬品濃度変化に対応してpHが変化するため、センサ14をpH計とすることができる。また洗浄薬品が酸化剤(H)である場合にセンサ14を酸化還元電位(ORP)センサとしたり、洗浄薬品が蛍光あるいは吸収を持つ薬品である場合にセンサ14をUV計とすることができる。
さらに、循環ライン10内の洗浄液中の洗浄薬品濃度が局所的に濃くなり、センサ14による検出値が所定の基準値を越えると前記ポンプ9を停止して洗浄薬品の循環ラインへの導入を停止するように制御する。
これにより、さらに洗浄薬品濃度が濃くなることを防止することができ、局所的に洗浄薬品濃度が濃い洗浄液が逆浸透膜モジュール2内に導入されて膜を劣化させることを抑制することができる。また洗浄薬品ポンプ9を停止するのではなく、ポンプストロークを下げて洗浄薬品導入流量を下げるようにしても同様の効果が得られる。
また、センサ14による検出値が前記所定の基準値を越えた時に、洗浄薬品の循環ライン10への導入流量を下げるか停止すれば同様の効果が得られるので、洗浄薬品ポンプ9の吐出側に流量調整弁を設けておき、センサ14による検出値が基準値を越えた時に該流量調整弁の開度を調整するように制御してもよい。
前記洗浄薬品の循環ライン10への導入流量を下げるか停止する基準となる前記基準値は、逆浸透モジュールの膜の耐薬品性、洗浄薬品の種類などによって決定し、基準値以内であれば膜を劣化させないような値とする。
洗浄薬品がアルカリ(NaOH)でポリアミド系の膜を使用し、センサ14としてpH計を使用する場合、前記基準値として例えばpH=12とすることができ、このときセンサ14による検出pH値が12を越えると洗浄薬品の循環ライン10への導入流量を下げるか停止する。
また洗浄薬品が酸(HCl)で酢酸セルロースの膜を使用し、センサ14としてpH計を使用する場合、前記基準値として例えばpH=1とすることができ、このときセンサ14による検出pH値が1未満となると洗浄薬品の循環ライン10への導入流量を下げるか停止する。
図4は実施例3に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。
図1と同一符号は同一物を示し、ろ過器13を設けたこと以外は実施例1と同じであるため、実施例1と同一箇所については説明を省略する。
本実施例3においては、循環ライン10中にろ過器13を設けている。逆浸透膜モジュール2における汚れ成分を洗浄液で除去した場合、その汚れ成分は洗浄液とともに循環ライン10内を循環し洗浄液の洗浄能力を低下させることがあるが、ろ過器13を設けることで汚れ成分をろ過器で除去することができるため、汚れを循環させることなく、従って洗浄液の洗浄能力を低下させずに洗浄を行うことができる。
また、汚れ成分が洗浄液に溶解しない場合はろ過器13を設ければ充分であるが、汚れ成分が洗浄液に溶解する場合はろ過器13で汚れ成分を除去することができない場合があるため、ろ過器13に換えて吸着剤を用いて汚れ成分を除去するとよく、ろ過器13と吸着剤を循環ライン10中に直列に配置して洗浄液に溶解性の汚れ成分と非溶解性の汚れ成分を除去するようにしてもよい。
タンクを設ける必要がないため設備が大型化することなく、さらに洗浄液が原因による逆浸透膜の劣化が生じないように洗浄液の薬品濃度を調整することができ、逆浸透膜の汚れ成分が洗浄液とともに循環しない逆浸透膜モジュールの洗浄方法及び装置として利用することができる。
実施例1に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。 逆浸透膜モジュール周辺の構成図である。 実施例2に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。 実施例3に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。 従来技術に係る逆浸透膜モジュール及びその洗浄装置を示す構成図である。
符号の説明
1 原水
2 逆浸透膜モジュール
3 透過水
4 透過水タンク
5 濃縮水
8 洗浄薬品
10 循環ライン
11 洗浄液ポンプ
13 ろ過器
14 センサ
21 入口ヘッダ(原水滞留部)
22 濃縮液ヘッダ(濃縮水滞留部)
23 出口ヘッダ

Claims (8)

  1. 原水を供給し透過水及び濃縮水を取り出す逆浸透膜モジュールに、所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を通液する逆浸透膜モジュールの洗浄方法において、
    隣接する複数の逆浸透膜モジュールの原水供給口を連結した原水滞留部と、前記隣接する複数の逆浸透膜モジュールの濃縮水取り出し口を連結した濃縮水滞留部とを管によって接続し、
    前記管、原水滞留部、逆浸透膜モジュール内部、濃縮水滞留部、前記管の順に水を循環させ、
    該循環している水中に前記洗浄薬品を所定量導入して、前記洗浄液を調整することを特徴とする逆浸透膜モジュールの洗浄方法。
  2. 前記循環している水中の洗浄薬品の濃度又は該洗浄薬品の濃度に対応して変動する物性値を検出し、
    該検出値が所定値を越えたときに、前記洗浄薬品の導入流量を減少させるか、前記洗浄薬品の導入を停止することを特徴とする請求項1記載の逆浸透膜モジュールの洗浄方法。
  3. 前記洗浄薬品が酸又はアルカリであり、前記物性値が水素イオン濃度(pH)であることを特徴とする請求項2記載の逆浸透膜モジュールの洗浄方法。
  4. 前記循環している水の体積流量Fと、前記循環している水中に導入する洗浄薬品の体積流量Fを、前記洗浄液中の水量と洗浄薬品量の体積比をV/Vとしたとき、下記の(1)式が成立するように設定することを特徴とする請求項1〜3何れか1に記載の逆浸透膜モジュールの洗浄方法。
    /F<V/V・・・(1)
  5. 原水を供給し透過水及び濃縮水を取り出す逆浸透膜モジュールに、所定濃度の洗浄薬品の水溶液である洗浄液を通液する逆浸透膜モジュールの洗浄装置において、
    隣接する複数の逆浸透膜モジュールの原水供給口を連結した原水滞留部と、前記隣接する複数の逆浸透膜モジュールの濃縮水取り出し口を連結した濃縮水滞留部とを接続する管と、
    前記管、原水滞留部、逆浸透膜モジュール内部、濃縮水滞留部、前記管の順に水を循環させる手段と、
    前記管内に洗浄薬品を導入する手段とを設け、
    前記循環している水中に前記洗浄薬品を所定量導入して、前記洗浄液を調整することを特徴とする逆浸透膜モジュールの洗浄装置。
  6. 前記循環している水中の洗浄薬品の濃度又は該洗浄薬品の濃度に対応して変動する物性値を検出する検出手段と、
    該検出値が所定値を越えたときに、前記洗浄薬品の導入流量を減少させるか、前記洗浄薬品の導入を停止する制御装置を設けたことを特徴とする請求項5記載の逆浸透膜モジュールの洗浄装置。
  7. 前記洗浄薬品が酸又はアルカリであり、前記検出手段が水素イオン濃度計(pH計)であることを特徴とする請求項6記載の逆浸透膜モジュールの洗浄装置。
  8. 前記原水滞留部と濃縮水滞留部に接続した管に、前記洗浄液中の汚れ成分を除去する手段を設けたことを特徴とする請求項4又は5記載の逆浸透膜モジュールの洗浄装置。
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