JP2009194891A - 高周波スイッチ回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】チップサイズを増大することなく相互変調歪及び高調波歪が低減可能な高周波スイッチ回路を提供する。
【解決手段】アンテナ端子と、第1及び第2のRF端子と、前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有し、前記アンテナ端子と前記接地との間、及び前記第1及び第2のRF端子のいずれかと前記接地との間、の少なくともいずれかに配置された歪補償回路と、を備え、前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路が提供される。
【選択図】図1
【解決手段】アンテナ端子と、第1及び第2のRF端子と、前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有し、前記アンテナ端子と前記接地との間、及び前記第1及び第2のRF端子のいずれかと前記接地との間、の少なくともいずれかに配置された歪補償回路と、を備え、前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路が提供される。
【選択図】図1
Description
本発明は、高周波スイッチ回路に関する。
マルチモード・マルチバンド無線機器にはSP5T(Single-Pole 5-Throw)のような多ポート高周波スイッチ回路が用いられる。この場合、アンテナ端子と5つのRF端子との間には、多段直列接続されたスルーFETが設けられ、それぞれのRF端子と接地との間には、多段直列接続されたシャントFETが設けられている。
例えば第1のRF端子とアンテナ端子との間を導通するには、スルーFET及びシャントFETを以下のように制御する。すなわち第1のRF端子とアンテナ端子との間のn段接続スルーFETをオンとし、第1のRF端子と接地との間のn段直列接続シャントFETをオフとする。同時に他のRF端子とアンテナ端子との間のスルーFETをすべてオフとし、他のRF端子と接地との間のシャントFETをすべてオンとすればよい。
このようなn段直列トランジスタがオフの状態では、電圧に対するオフ容量の非線形性に基づく高調波歪や高次相互変調歪を生じやすい。GSM(global system for mobile communication)やUMTS(univerasal mobile telecommunications system)においてこれらの歪をシステム要求値以下に抑制する必要がある。
SOI(silicon on insulator:シリコンオンインシュレータ)技術などを用い無線用途に使用可能なスイッチ回路及び高周波信号のスイッチング方法に関する技術開示例がある(特許文献1)。この技術開示例では、第1及び第2のスイッチトランジスタ・グループと第1及び第2の分路トランジスタグループとを含み、集積化が容易なRFスイッチ回路が提供されている。
しかしながら、この技術開示例を用いても、高周波スイッチ回路のチップサイズを増大することなく、GSMやUMTSの要求を満足するように高調波歪や高次相互変調歪を低減することは容易ではない。
特表2005−515657号公報
しかしながら、この技術開示例を用いても、高周波スイッチ回路のチップサイズを増大することなく、GSMやUMTSの要求を満足するように高調波歪や高次相互変調歪を低減することは容易ではない。
チップサイズを増大することなく相互変調歪及び高調波歪が低減可能な高周波スイッチ回路を提供する。
本発明の一態様によれば、アンテナ端子と、第1及び第2のRF端子と、前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有し、前記アンテナ端子と前記接地との間、及び前記第1及び第2のRF端子のいずれかと前記接地との間、の少なくともいずれかに配置された歪補償回路と、を備え、前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、アンテナ端子と、第1及び第2のRF端子と、前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、 前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有する歪補償回路と、 を備え、前記第1のスルートランジスタ、前記第2のスルートランジスタ、前記第1のシャントトランジスタ、及び前記第2のシャントトランジスタ、の少なくともいずれかは、前記歪補償回路が並列接続されたトランジスタが少なくとも2つ直列接続された構成であり、前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、アンテナ端子と、第1及び第2のRF端子と、前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、 前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有する歪補償回路と、 を備え、前記第1のスルートランジスタ、前記第2のスルートランジスタ、前記第1のシャントトランジスタ、及び前記第2のシャントトランジスタ、の少なくともいずれかは、前記歪補償回路が並列接続されたトランジスタが少なくとも2つ直列接続された構成であり、前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路が提供される。
チップサイズを増大することなく相互変調歪及び高調波歪が低減可能な高周波スイッチ回路が提供される。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる高周波スイッチ回路である。本実施形態は、SP5Tスイッチの構成を表し、アンテナ端子10と、5つの高周波(以下RF)端子と、の導通(電気的接続)状態をFETを制御することにより切り替えることができる。少なくとも2つのRF端子には、それぞれ送受信回路が接続される。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる高周波スイッチ回路である。本実施形態は、SP5Tスイッチの構成を表し、アンテナ端子10と、5つの高周波(以下RF)端子と、の導通(電気的接続)状態をFETを制御することにより切り替えることができる。少なくとも2つのRF端子には、それぞれ送受信回路が接続される。
本実施形態では、アンテナ端子10と、接地と、の間には、歪補償回路50が配置されている。歪補償回路50は、互いに逆接続されたMOSキャパシタにより構成されており、FETのオフ状態におけるオフ容量Coffの電圧依存性に基づく非線形歪を補償する。なお、歪補償回路50に関しては、のちに詳細に説明する。
本具体例においては、例えばアンテナ端子10と第1のRF端子(以下RF1端子)20との間に配置されたスルーFET(スルートランジスタ)30をオンとし、RF1端子と接地との間に配置されたシャントFET(シャントトランジスタ)40をオフとし、RF1端子以外のRF端子(RF2、RF3、RF4、RF5)とアンテナ端子10との間に配置されたそれぞれのスルーFETをオフとし、RF1端子以外のRF端子と接地との間に配置されたシャントFETをオンとすると、RF1端子とアンテナ端子10との間を導通できる。通常は、アンテナ端子10が、RF1〜RF5端子のうちのいずれかと導通するように切り替える。
FETがMOSFETの場合、この電気的接続の切り替えは制御信号線からそれぞれのMOSFETに加えられるゲート電圧により制御可能である。スルーFETであるTij(i=1、・・・、m、j=1、・・・、n)のゲートは、高抵抗を介して制御信号線Conia(i=1、・・・、m)に接続されている。また、シャントFETであるSij(i=1、・・・、m、j=1、・・・、q)のゲートは、高抵抗を介して制御信号線Conib(i=1、・・・、m)に接続されている。それぞれの制御信号線は、図示しない制御回路に接続されている。
制御回路には、デコーダ、負電圧発生回路、駆動回路などが設けられる。高周波スイッチ回路を構成するスルーMOSFET、シャントMOSFET、及び制御回路をCMOS構造とすると、低消費電力とできる。しかしながら、通常用いられるバルクCMOS構造ではSi基板との間の拡散容量が大きく、また導電性基板により高周波伝送損失を生じるため、高周波スイッチ回路としての動作が不十分となる。SOIプロセスを用いると、MOSFETの高速動作が可能となるのでより好ましい。
RF1端子と、アンテナ端子10と、の間に配置されるスルーFET30は、n段直列接続されたMOSFET(T1j:j=1、・・・、n)とする。一般的に、i番目のRF端子と、アンテナ端子10、との間に配置されるスルーFETは、n段直列接続されたMOSFET(Tij:i=1、・・・、m、j=1、・・・、n)とする。なお、異なるRF端子に接続されるTijにおいて、直列接続数がすべて同一である必要はない。
以下同様に、i番目のRF端子と接地との間に配置されるシャントFETは、q段直列接続されたMOSFET(Sij:i=1、・・・、m、j=1、・・・、q)とする。この場合も、直列接続数がすべて同一である必要はない。なお、シャントFETを設けると、導通RF端子と非導通RF端子との間において高周波信号のアイソレーションを改善することができる。
オフ状態のMOSFETは、非線形性容量とみなすことができるが、ドレイン・ソース間電圧の増大に伴い非線形性が増大する。このため、スルーMOSFET(Tij)をn段直列接続し1つのMOSFETに加わる電圧振幅をn分の1に低減する方が、1つのMOSFETを用いるよりも非線形性により生じる信号歪を低減することができる。同様に、シャントMOSFET(Sij)をq段直列接続すると信号歪を低減することができる。本図において、直列接続段数n及びqを8とするが、これに限定されることはない。また、オン状態のMOSFETは、非線形抵抗と見なすことができ、この場合にもドレイン・ソース間電圧の増大に伴い非線形性が増大する。
なお、MOSFET(Tij及びSij)のソース・ドレイン電極間に並列に高抵抗をそれぞれ設ける(図示せず)と、複数のMOSFETにおいて動作を均一にできるので好ましい。
図2は、本実施形態に用いるSOI上に形成されたMOSFETの模式断面図である。Si基板60上に埋め込み酸化膜層62、その上部にSOI層64、ソース領域68,ドレイン領域72が形成され、素子分離層74により、それぞれのMOSFETが分離される。さらにゲート酸化膜66、その上にゲート電極70が形成されMOSFETとなる。なお、SOI層64に、バックゲートとなるp型層、ソース領域68及びドレイン領域72となるn型層を形成したnチャネル型構造とすると、例えば0.1Vよりも大きいしきい値Vth以上の正のゲート電圧でオン状態、しきい値Vthよりも低いゲート電圧でオフ状態とMOSFETの動作状態を制御することができる。
また、SOI層64の膜厚がチャネルの空乏層深さよりも薄く、チャネル部分が空乏化している完全空乏型SOIとすると、高速動作とできより好ましい。なお、MOSFETはpチャネル型構造であってもよい。
図2において、例えば、ゲート酸化膜66の厚さToxを9nm、ゲート長Lgを0.25μm、しきい値電圧Vthを0.35Vとする。例えば、紙面に略垂直方向となるスルーMOSFET(Tij)のゲート幅Wg1を3mm、シャントMOSFET(Sij)のゲート幅Wg2を0.6mmとする。このように、シャントMOSFETのサイズは、スルーMOSFETのサイズの数分の1程度と小さくできる。
また、SOI層64のゲート電極70の直下近傍はバックゲートである。バックゲートとソース領域68との間には寄生ダイオード76、SOI層64のバックゲートとドレイン領域72との間には寄生ダイオード78が生じる。すなわち、完全空乏型であっても、オフ状態においてはゲート電極70は負バイアスとなるため、チャネルは蓄積状態となる。このためにオフ状態ではチャネル層にホールが生じソース・チャネル間及びドレイン・チャネル間に寄生ダイオード76、78を生じることになる。この寄生ダイオード76、78は、バイアス電圧に対して非線形性を示すオフ容量Coffを有する。
図3は、オフ容量Coffの電圧依存性を表すグラフ図である。寄生ダイオード76、78が逆方向に互いに接続されオフ容量Coffを生じる。縦軸はオフ容量Coff(pF/mm)、横軸はドレイン・ソース間電圧Vds(V)である。ドレイン・ソース間電圧Vdsが僅か±0.1V程度の変化範囲にあっても、オフ容量Coffは大きく変化し、小電力領域においても大きな信号歪を生じる。また、MOSFETのオン抵抗は十分に小さく、ドレイン・ソース電圧Vdsは0V近傍である。
次に、歪補償回路50について説明する。
図4は、歪補償回路50を構成するMOSキャパシタの接続を説明する図である。図4(a)は、図2のMOSFETにおいて、ソース領域68とドレイン領域72とを直接に接続した構成を表す。図4(b)は図4(a)に表すMOSFET(Ma及びMb)を互いに逆方向に並列接続した構成、図4(c)は逆方向に並列接続したMOSFET(Mja及びMjb)にさらに抵抗Rj(j=1、・・・、p)を並列接続した構成をそれぞれ表す。図1に表す歪補償回路50は、図4(c)の構成をp(p31)段直列接続しアンテナ端子10と接地との間に配置している。
図4は、歪補償回路50を構成するMOSキャパシタの接続を説明する図である。図4(a)は、図2のMOSFETにおいて、ソース領域68とドレイン領域72とを直接に接続した構成を表す。図4(b)は図4(a)に表すMOSFET(Ma及びMb)を互いに逆方向に並列接続した構成、図4(c)は逆方向に並列接続したMOSFET(Mja及びMjb)にさらに抵抗Rj(j=1、・・・、p)を並列接続した構成をそれぞれ表す。図1に表す歪補償回路50は、図4(c)の構成をp(p31)段直列接続しアンテナ端子10と接地との間に配置している。
なお、抵抗Rjを、例えば10kΩ〜数十kΩ程度とすると、p個の逆方向並列MOSFETを均等に動作できるので好ましい。歪補償回路50を構成するMOSFET、スルーMOSFET(Tij)、及びシャントMOSFET(Sij)、抵抗Rjは、同一の基板上に集積して形成できる。これらは、配線層により直列接続及び並列接続され、小型の1チップ高周波スイッチ回路が実現できる。
図5は、MOSFETのゲート容量のバイアス電圧依存性を表すグラフ図である。図4(a)に表すように、ゲートP1と、ソース領域68及びドレイン領域72の接続点Q1と、の間のゲート容量(F)を縦軸に、ゲート電圧(V)を横軸に表す。MOSFETのしきい値電圧Vthが、0.1、0.3、0.5Vと上昇するに従って、ゲート容量が極小となるゲート電圧がプラス側にシフトする。
図6は、図4(b)における端子P2と端子Q2との間のMOS容量のバイアス電圧依存性を表すグラフ図である。縦軸はMOS容量(F)、横軸はバイアス電圧(V)である。しきい値電圧Vthを、0.1、0.3、0.5Vと変えることにより、MOS容量のバイアス電圧依存性を本図のように制御できる。しきい値電圧Vthが0.3及び0.5Vの場合、MOS容量の電圧依存性を、0V近傍において極小であり、マイナス方向(下)に凸な非線形性とできる。
他方、MOSFETのオフ容量Coffの電圧依存性は図3のようにドレイン・ソース間電圧Vdsに対して、0V近傍において極大となり、プラス方向(上)に凸な非線形性であり、アンテナ端子10と接地との間に配置された歪補償回路50が有する下に凸な非線形性を用いて、所望の電力領域においてMOSFETのオフ容量Coffの非線形性を補償することが可能である。
本実施形態において、歪補償回路50を構成するMOSFETのゲート酸化膜厚Toxを9nm、ゲート長Lgを0.25μm、しきい値電圧Vthを0.35Vとし、スルーMOSFET及びシャントMOSFETにおいて同一とする。他方、ゲート幅Wg3を4μmとし、スルーMOSFETのゲート幅Wg1(3mm)及びシャントMOSFETのゲート幅Wg2(0.6mm)と異なるようにしてある。また、直列接続段数pをスルーMOSFET及びシャントMOSFETの直列接続段数n、qと同じく8とするがこれに限定されることはない。ゲート幅Wg3及び直列接続段数pは高周波スイッチ回路の要求に対応して最適化することが好ましい。なお、逆接続MOS容量は、図4のようにMOSFETのドレイン及びソースを接続して用いることができる。この場合、図2に表すMOSFETの断面において、ドレイン領域72及びソース領域68のいずれかを省略することができる。
図7は、本実施形態にかかる高周波スイッチ回路の3次高調波歪の入力電力依存性を表すグラフ図である。縦軸は3次高調波歪(dBm)である。また、横軸は入力電力Pin(dBm)である。実線で表す本実施形態では20dBmの入力電力Pinにおいて、3次高調波歪は約マイナス101dBmであり、GSM要求を満たしている。
また、図8は、3次相互変調歪の位相依存性を表すグラフ図であり、縦軸は3次相互変調歪IMD3(dBm)、横軸は位相(度)である。本図において、送信電力は20dBmであり、周波数が1.76GHzである妨害波電力はマイナス15dBmであるものとする。この場合、高周波スイッチ回路と、これに接続される送受信回路内のデュプレクサと、の間に移相器を設けて位相を表す。本図のように、3次相互変調歪IMD3は、信号波と妨害波との間の位相に依存して変化する。実線で表す本実施形態では3次相互変調歪IMD3の最悪値はマイナス110dBmであり、UMTS要求を満たしている。
なお、周波数がf1である送信波の近傍に妨害波f2が存在する場合、(2f1−f2)または(2f2−f1)なる周波数を有する3次相互変調積が、周波数f1及びf2の近傍に現れ混信などを生じ通信品質を下げるので、好ましくない。
図1のようにRF端子が5つである場合、RF1端子とアンテナ端子10とを導通とし、他の4つのRF端子(RF2〜RF5)を非導通とする場合を考える。スルーMOSFETのうちT1j(j=1、・・・、n)をオンとするが、T2j、T3j、T4j、T5j(j=1、・・・、n)をオフとする。また、S1j(j=1、・・・、q)をオフとするが、S2j、S3j、S4j、S5j(j=1、・・・、q)をオンとする。
この場合、オンであるT1j(j=1、・・・、n)の両端には、オフ状態のS1j、T2j、T3j、T4j、T5jが接地との間に配置されることなる。すなわち、多ポート高周波スイッチ回路において、アンテナ端子10と電気的に接続しているRF端子及びアンテナ端子に電気的に接続し、オフ状態であるMOSFETの数が多いので、オフ容量Coffが高調波歪及び高次相互変調歪に対して支配的であると考えることができる。
また、受信電力に対して送信電力が十分に大きいので、高調波歪及び高次相互変調歪は送信の場合に大きくなる。さらに、MOSFETは、通常ゲートの中心線に対してドレイン及びソースが左右対称形であることが多く、偶数次の歪の発生は少ない。このために、図7の3次高調波歪及び図8の3次相互変調歪のように、3次歪の低減を考えるのが現実的である。
図7及び図8において破線は、歪補償回路を有していない比較例にかかる高周波スイッチ回路を表す。なお、歪補償回路を除く構成は、図1と同一とする。図7において、破線で表す比較例の3次高周波歪は、33dBmの入力電力においてマイナス43dBmであり、GSMの要求であるマイナス43dBmと略同一程度である。
他方、図8において、破線で表す比較例の3次相互変調歪IMD3は、最悪値ではマイナス99dBmとなる。UMTSの要求は、例えば20dBmの送信電力かつマイナス15dBmの妨害波電力において3次相互変調歪IMD3がマイナス108dBm以下であり、これを満たさない。
3次相互変調歪IMD3を低減するには、スルーMOSFETの直列接続段数n及びシャントMOSFETの直列接続段数qを増加し、1つのMOSFETあたりに加わるバイアス電圧を低減することが考えられる。この場合、挿入損失の増大を抑制するには、、直列接続段数m、nの増加に応じてゲート幅Wgを増大し導通状態の損失を低く保つことが必要となる。しかし、この方法では必然的に高周波スイッチ回路のチップサイズの増大を伴うので、信号歪の低減には限界を生じる。
もし、オフ容量Coffに蓄積する電荷Q(V)がバイアス電圧Vについてのテーラー展開を用いて3次までの低次近似で表すことができれば、上記のGSM要求とUMTS要求とを共に満たすことが容易となるはずである。例えば、GSM要求を満たす限界として、送信電力が33dBmにおける高調波歪がマイナス43dBmとなる高周波スイッチ回路を考える。この場合、3次高調波歪(dBm)の入力電力(dBm)に対する傾きを3と仮定し、20dBmの送信電力において、3次高調波歪はマイナス82dBmと求めることができる。
これから3次相互変調歪IMD3を次式で計算できる(但し、反射波が存在しない場合)。
IMD3=−82−{20−(−15)}=−117(dBm)
アンテナ端子に入力したマイナス15dBmの妨害波(1.76GHz)がデュプレクサで全反射するとマイナス111dBmと悪化するが、それでもUMTS要求を満たすはずである。
IMD3=−82−{20−(−15)}=−117(dBm)
アンテナ端子に入力したマイナス15dBmの妨害波(1.76GHz)がデュプレクサで全反射するとマイナス111dBmと悪化するが、それでもUMTS要求を満たすはずである。
しかし実際には、図3に表すように、オフ容量Coffのドレイン・ソース間電圧Vds依存性は、Q(v)をテーラー展開の低次近似で表すことが困難であることを示しており、3次高調波歪(dBm)の入力電力(dBm)に対する傾きは3よりも小さくなる。このために、実際の高周波スイッチ回路では、GSM要求を満たすが、UMTS要求を満たさない場合が度々生じる。
本実施形態では、歪補償回路50を用いてオフ容量Coffの電圧依存性における非線形性を補償し、3次高調波歪及び3次相互変調歪を低減できる。歪補償回路50を構成するMOSFETのサイズは、高周波スイッチ回路を構成するMOSFET(Tij及びSij)のサイズの0.1%程度と小さくすることが可能であり、チップサイズを小型に保つことができる。
このようにして、図7において、20dBmの入力電力Pinにおいて3次高調波歪を、比較例よりも約27dB改善できる。また、図8において、3次相互変調歪IMD3の最悪値を比較例よりも約11dB改善し、マイナス110dBとできる。このため、GSM及びUMTS要求を共に満たすことが容易となる。アンテナ端子10と、接地と、の間に歪補償回路50を配置すると、UMTS用送受信回路がどのRF端子されても歪低減効果を略同一にすることができる。
また、歪補償回路50を、いずれかのRF端子と接地との間に配置してもよい。この場合、UMTS用送受信回路と接続されるRF端子と接地との間に歪補償回路50を配置すると、UMTS要求を満たすことが容易となる。
他方、オフFETが有する非線形性容量により生じる不要な高調波歪を、オンFETが有する非線形性インピーダンスを用いて補償する方法が考えられる。この方法で用いられるレベルシフト回路やアクティブ回路を高周波スイッチ回路に集積しようとすると、チップサイズが増大し、製造プロセスが複雑になる。これに対して本実施形態では、MOSキャパシタを用いた受動回路による簡素な歪補償回路構成であり、チップサイズの増大を抑制しつつ、製造プロセスを簡素にできるので好ましい。
図9は、第2の実施形態にかかる高周波スイッチ回路の回路図である。GSM送信端子であるRF1端子と、接地との間に歪補償回路51が配置されている。この場合、歪補償回路50を構成するMOSFET(Mja、Mjb)のしきい値電圧Vthを、0.8V、ゲート幅Wg3を12μmのように設定する。このしきい値電圧Vthは第1の実施形態のしきい値電圧Vth(0.35V)よりも高く、ゲート幅Wg3は第1の実施形態のゲート幅Wg3(4μm)よりも広い。
図10は、本実施形態の3次高調波歪の入力電力依存性を表すグラフ図である。歪補償回路50を構成するMOSFETのしきい値電圧Vth及びゲート幅Wgを上記のように設定することにより、GSMの最大送信電力である33dBmにおいて、実線で表す3次高調波歪を、破線で表す比較例よりも15.7dB改善できる。なお、必要に応じて、いずれかのRF端子と接地との間に、歪補償回路50を配置してもよいことは言うまでもない。
図11は、第3の実施形態にかかる高周波スイッチ回路の回路図である。本実施形態では、アンテナ端子10と接地との間に第1の歪補償回路50、RF1端子と接地との間に第2の歪補償回路51、がそれぞれ配置されている。また、図12は、RF1端子とアンテナ端子10との間を導通状態とした場合、3次高調波歪の入力電力依存性を表すグラフ図である。実線で表す3次高調波歪は、17dBmの入力電力Pinにおいて、破線で表す比較例よりも約30dB改善されている。なお、RF1端子以外のいずれかのRF端子とアンテナ端子10とが導通状態である場合の3次高調波歪の入力電力依存性は、図7と同一となる。
なお、歪補償回路50、51は、第1〜第3の実施形態に限定されない。歪補償回路50、51を構成するMOSFETのゲート幅Wg及びしきい値電圧Vthを変化させ、アンテナ端子10、及びRF端子のうちのいくつかにそれぞれ適正に配置することができる。
図13は、本実施形態の高周波スイッチ回路を備えた携帯電話の高周波部の構成図である。歪補償回路50を有する高周波スイッチ回路5のアンテナ端子10には、アンテナ90が接続されている。RF1端子にはGSM Low-band(900MHz帯)用送受信回路92の送信用アンプ92aの出力端子、RF2端子には受信用アンプ92bの入力端子が接続されている。また、RF3端子にはGSM High-band(1800MHz帯)用送受信回路94の送信用アンプ94aの出力端子、RF4端子には受信用アンプ94bの入力端子が接続されている。
UMTS(2GHz帯)用送受信回路96は、送受信信号を分離するデュプレクサ96c、送信用アンプ96a、及び受信用アンプ96bを有している。デュプレクサ96cにより、RF5端子からの受信信号は受信用アンプ96bへ伝送され、送信用アンプ96aからの送信信号はRF5端子へ伝送される。歪補償回路50を用いて、チップサイズを増大することなく、信号歪が低減された高周波スイッチ回路5を実現できる。このために、例えば3次高調波歪が低減されたGSM用携帯電話及び3次相互変調歪が低減されたUMTS用携帯電話などが実現し、無線機器の伝送品質を高め、かつ小型化が容易となる。
図14は、第4の実施形態にかかる高周波スイッチ回路を説明する図である。すなわち、図14(a)はトランジスタとMOSキャパシタとの接続図、図14(b)は端子間容量のドレイン・ソース間電圧依存性、をそれぞれ表す。なお、縦軸は容量(pF)、横軸はドレイン・ソース間電圧Vds(V)、をそれぞれ表す。
端子P4と端子Q4との間に、トランジスタSTと、歪補償回路52と、が並列接続されている。歪補償回路52は、MOS容量を有するMOSFETが互いに逆方向に並列接続された第1のMOSキャパシタ52aと、MOSFETが互いに逆方向に並列接続された第2のMOSキャパシタ52bと、を有している。このトランジスタSTが直列接続され、スルートランジスタTij及びシャントトランジスタSijなどを構成する。
端子P4と端子Q4との間に、トランジスタSTと、歪補償回路52と、が並列接続されている。歪補償回路52は、MOS容量を有するMOSFETが互いに逆方向に並列接続された第1のMOSキャパシタ52aと、MOSFETが互いに逆方向に並列接続された第2のMOSキャパシタ52bと、を有している。このトランジスタSTが直列接続され、スルートランジスタTij及びシャントトランジスタSijなどを構成する。
トランジスタSTがNチャネルMOSFETであると、そのしきい値電圧Vthは、例えば略0.1Vとできる。また、第1のMOSキャパシタ52aを構成するMOSFET(Ma1、Mb1)のしきい値電圧Vthは略0.2V、第2のMOSキャパシタ52bを構成するMOSFET(Ma2、Mb2)のしきい値電圧Vthは略0.6Vとする。さらに、トランジスタSTのゲート電極は、略30kΩの抵抗Rgを介してコントロール端子に接続されている。コントロール端子の電圧を、MOSFETのしきい値電圧Vthよりも高く、例えば3Vとすると端子P4と端子Q4との間を導通でき、しきい値電圧Vthよりも低く、例えばマイナス2Vとすると、端子P4と端子Q4との間を遮断できる。
なお、トランジスタSTのオフ容量Coffの電圧依存性は図3に表すものと略同一とする。本実施形態において、トランジスタSTのオフ状態において、端子P4と端子Q4との間の全容量変化は、ドレイン・ソース間電圧Vdsがマイナス1.8〜プラス1.8Vの範囲において略2.2fFと低減できる。スルートランジスタを1つのトランジスタSTで構成した高周波スイッチ回路において、15dBmの入力電力Piで、3次高調波歪はマイナス51dBmである。他方、歪補償回路が無いと、15dBmの入力電力Pinでの3次高調波歪はマイナス45dBmであるので本実施形態の方が略6dB低減できる。また、図17(a)のように、しきい値電圧が1つの歪補償回路では、15dBmの入力電力Piで3次高調波歪がマイナス47dBmである。このように、第4の実施形態により3次高調波歪がより低減できる。
図15は、ゲート容量の電圧依存性を表すグラフ図である。なお、縦軸はゲート容量(F)、横軸はゲート電圧(V)、をそれぞれ表す。
ソース領域とドレイン領域を接地した状態で、チャネル(B+)濃度NAが、1×1017cm−3、2×1017cm−3、4×1017cm−3と高くなるとともにゲート容量が極小となるゲート電圧がプラス側にシフトする。
ソース領域とドレイン領域を接地した状態で、チャネル(B+)濃度NAが、1×1017cm−3、2×1017cm−3、4×1017cm−3と高くなるとともにゲート容量が極小となるゲート電圧がプラス側にシフトする。
また、図16は、逆方向並列接続MOS容量のバイアス電圧依存性を表すグラフ図である。なお、縦軸はMOS容量(F)、横軸はゲートバイアス電圧(V)、をそれぞれ表す。MOSFETのチャネル濃度NAを低くしていくと、0V近傍におけるMOS容量はマイナス方向(下)に凸な非線形性が急峻になっていく。
本実施形態では、チャネル濃度NAを変化させて、第1のMOSキャパシタ52aを構成するMOSFETのしきい値電圧Vthと、第2のMOSキャパシタ52bを構成するMOSFETのしきい値電圧Vthと、を異なるように制御する。このようにすると、ゲート電圧依存性が異なるMOSキャパシタの特性を合成することができ、所望の電力範囲においてトランジスタSTのオフ容量Coffの非線形性を補償することがより容易となる。さらに、MOSキャパシタのサイズを変化すると、オフ容量Coffの補償量を適正に制御することがより容易となる。
図17は、しきい値電圧を1つとした場合の端子間容量を説明する図である。すなわち、図17(a)はその接続図、図17(b)は容量(pF)のドレイン・ソース間電圧V ds(V)依存性を表す。この場合、トランジスタSTとして、Lg=0.25μm、Wg1=1mmのNチャネルMOSFETを用いている。また、MOSキャパシタを構成するMOSFETは、tOX=9nm、チャネル濃度NA=2×1017cm−3、Lg=1μm、及びWg3=1.65μmとしている。すなわち、逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタ(Ma1及びMb1)のしきい値電圧Vthは、共に略0.6Vとなる。トランジスタSTのゲート電圧Vg=−1.5Vにおけるオフ容量Coffの変化は、マイナス1.8〜プラス1.8Vのドレイン・ソース間電圧Vdsの範囲において、略10fFである。
他方、MOSキャパシタからなる歪補償回路により、例えば図16のように0V近傍のゲート電圧においてMOS容量を低減可能である。このために、端子P2と端子Q2との間の全容量の変化幅は略3fFとなる。しかしながら、図14(a)に表す実施形態の方が、少なくとも2つの異なるしきい値電圧Vthを有するMOSキャパシタを組み合わせた歪補償回路52を用いて全容量の変化幅を低減し、3次高調波歪をより低減することが可能である。
図18は、第5の実施形態にかかる高周波スイッチを表す回路図である。
本実施形態はSP5Tスイッチを表す。スルートランジスタTij(i=1、・・・、m、j=1、・・・、n)は、例えばしきい値電圧Vthが略0.1V、Wg1=4mm、Lg=0.25μm、及びn=8とする。また、歪補償回路52は、図14(a)の構成とする。すなわち、MOSFETは、しきい値電圧Vthが略0.2V、Wg3=3.2μm、及びLg=1μmである群(Ma1、Mb1)と、しきい値電圧Vthが略0.6V、Wg3=4.8μm、及びLg=1μmである群(Ma2、Mb2)とする。なお、しきい値電圧Vthがさらに異なる群を含んでいても良い。
本実施形態はSP5Tスイッチを表す。スルートランジスタTij(i=1、・・・、m、j=1、・・・、n)は、例えばしきい値電圧Vthが略0.1V、Wg1=4mm、Lg=0.25μm、及びn=8とする。また、歪補償回路52は、図14(a)の構成とする。すなわち、MOSFETは、しきい値電圧Vthが略0.2V、Wg3=3.2μm、及びLg=1μmである群(Ma1、Mb1)と、しきい値電圧Vthが略0.6V、Wg3=4.8μm、及びLg=1μmである群(Ma2、Mb2)とする。なお、しきい値電圧Vthがさらに異なる群を含んでいても良い。
このような歪補償回路52は、例えばTij(j=1、・・・、8)を構成する8つのMOSFET毎に、ドレイン及びソース間にそれぞれ並列接続される。それぞれの歪補償回路52において、第1のMOSキャパシタ52aと、第2のMOSキャパシタ52bと、に並列接続される抵抗RDij(i=1、・・・、m、j=1、・・・、n)は、オフ状態のTi1、・・・、Tinのドレイン・ソース間のそれぞれのDCバイアスを略一定に保つことができる。また、Tijのゲート電極は、それぞれ高抵抗RGij(i=1、・・・、m、j=1、・・・、n)を介してそれぞれの制御端子に接続されており、ANT端子10と、所望のRF端子との接続を制御可能とする。
この場合、スルートランジスタはn=8のトランジスタの直列接続であり、n=1よりも高い入力電力Pinで動作可能である。このために、例えば3次高調波歪は、35dBmの入力電力Pinにおいて、マイナス44dBmとなる。他方、歪補償回路を接続しないと3次高調波歪がマイナス38dBmとなり、本実施形態の方が6dB低くできる。また、図17(a)のように、歪補償回路をしきい値電圧Vthが略0.6VのMOSFETのみで構成すると、3次好調波歪がマイナス40dBmとなり、本実施形態の方が略4dB低くできる。
なお、シャントトランジスタSijがオフ状態の場合には、シャントトランジスタSijを構成する直列トランジスタのそれぞれに歪補償回路を並列接続することができる。本図において、スルートランジスタTij及びシャントトランジスタSijの直列接続段数を共にnとしているが、本発明はこれに限定されない。
図19は、第6の実施形態にかかる高周波スイッチを表す回路図である。
本図において、歪補償回路53は、しきい値電圧Vthが異なる少なくとも2つのMOSFETを用いる。互いに逆方向に並列接続され、第1のしきい値電圧を有するMOSFETからなる第1のMOSキャパシタと、第2のしきい値電圧を有するMOSFETからなる第2のMOSキャパシタと、高抵抗RKj(j=1、・・・、p)と、を並列接続する。なお、しきい値電圧が異なるMOSキャパシタを2つ以上配置しても良い。
本図において、歪補償回路53は、しきい値電圧Vthが異なる少なくとも2つのMOSFETを用いる。互いに逆方向に並列接続され、第1のしきい値電圧を有するMOSFETからなる第1のMOSキャパシタと、第2のしきい値電圧を有するMOSFETからなる第2のMOSキャパシタと、高抵抗RKj(j=1、・・・、p)と、を並列接続する。なお、しきい値電圧が異なるMOSキャパシタを2つ以上配置しても良い。
歪補償回路53は、アンテナ端子10と接地との間に設けられ、このような並列回路をp段直列に接続したものとすることができ、p=nであってもよい。高抵抗RKjは、直列接続されたp段のMOSキャパシタを構成するMOSFETのゲート・ソース間電圧を略一定に保つことができる。
この場合、3次高調波歪は、35dBmの入力電力Pinにおいてマイナス44dBmであり、歪補償回路が無い場合のマイナス38dBmや1つのしきい値電圧の場合のマイナス40dBmよりも低くできる。なお、歪補償回路53を、いずれかのRF端子と接地との間に配置してもよい。
図20は、第1〜第6の実施形態にかかるMOSキャパシタの第1の変形例を説明するための模式図である。すなわち、図20(a)はMOSFETの平面図、図20(b)はA−A線に沿った断面図である。
また、図21は、図2に表すMOSFETの模式平面図である。本図において、p+型Si層76によりボディ領域(SOI層64)の電位を引き出し、例えばソース領域68と接続される。
また、図21は、図2に表すMOSFETの模式平面図である。本図において、p+型Si層76によりボディ領域(SOI層64)の電位を引き出し、例えばソース領域68と接続される。
図20に表す本変形例では、図2のMOSFETにおけるドレイン領域72の代わりにp+型Si層76を設け、ボディ領域の電位を引き出すことが可能である。このような構造とすると、MOSキャパシタの動作を保ちつつ、平面サイズを図21に表す平面サイズよりも縮小することできる。この場合、ゲート電極70の下のSOI層64に形成されるチャネル層の一方の側はn+型Si層69とし、他方の側はp+型層76とする。n+型Si層69と、p+型Si層76と、は引き出し電極で同一電位とすることができる。
図22は、MOSキャパシタの第2の変形例の模式平面図である。第4〜第6の実施形態では、しきい値電圧Vthが異なるMOSFETを用いることにより、スルートランジスタTij及びシャントトランジスタSijのオフ容量Coffの非線形性の補償を容易にできる。本図のように、キャリア濃度が異なるSOI層64、65を設けると、しきい値電圧Vthが異なるMOSキャパシタを隣接して設けることができる。このために、例えば図14(a)におけるキャパシタMa1とキャパシタMa2とを隣接し、共通のゲート電極70を設けることができ、歪補償回路の平面サイズを縮小することができる。
第1〜第3、第5、及び第6の実施形態においては、SP5Tスイッチについて説明を行ったが、本発明はこれに限定されず、SPnT(n32)で表される一般的な高周波スイッチ回路であってもよい。
以上、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかしながら本発明はこれらの実施形態に限定されない。高周波スイッチ回路を構成するトランジスタ、MOSFET、MOSキャパシタ、抵抗、SOI、歪補償回路のサイズ、形状、材質、配置などに関して当業者が各種の設計変更を行ったものであっても、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明の範囲に包含される。
5 高周波スイッチ回路、10 アンテナ端子、20 第1のRF端子、30 第1のスルーFET、40 第1のシャントFET、50、51、52、53 歪補償回路、64、65 SOI層、90 アンテナ
RF1、RF2、RF3、RF4、RF5 RF端子、Tij スルーMOSFET、Sij シャントMOSFET、Coff オフ容量、Ma、Mb、Mja、Mjb MOSFET
RF1、RF2、RF3、RF4、RF5 RF端子、Tij スルーMOSFET、Sij シャントMOSFET、Coff オフ容量、Ma、Mb、Mja、Mjb MOSFET
Claims (7)
- アンテナ端子と、
第1及び第2のRF端子と、
前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、
前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、
接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、
接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、
互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有し、前記アンテナ端子と前記接地との間、及び前記第1及び第2のRF端子のいずれかと前記接地との間、の少なくともいずれかに配置された歪補償回路と、
を備え、
前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路。 - アンテナ端子と、
第1及び第2のRF端子と、
前記アンテナ端子と前記第1のRF端子との間に配置された第1のスルートランジスタと、
前記アンテナ端子と前記第2のRF端子との間に配置された第2のスルートランジスタと、
接地と前記第1のRF端子との間に配置された第1のシャントトランジスタと、
接地と前記第2のRF端子との間に配置された第2のシャントトランジスタと、
互いに逆方向となるように並列接続されたMOSキャパシタを有する歪補償回路と、
を備え、
前記第1のスルートランジスタ、前記第2のスルートランジスタ、前記第1のシャントトランジスタ、及び前記第2のシャントトランジスタ、の少なくともいずれかは、前記歪補償回路と並列接続されたトランジスタが少なくとも2つ直列接続された構成であり、
前記アンテナ端子と、前記第1及び第2のRF端子と、の間の電気的接続が切り替え可能とされたことを特徴とする高周波スイッチ回路。 - 前記MOSキャパシタは、第1のしきい値電圧を有するMOSFETからなる第1のキャパシタと、第2のしきい値電圧を有するMOSFETからなる第2のキャパシタと、が並列接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波スイッチ回路。
- 前記MOSキャパシタの容量は、0ボルトの近傍においてマイナス方向に凸な非線形の電圧依存性を有し、
前記歪補償回路は、前記第1及び第2のスルートランジスタ及び前記第1及び第2のシャントトランジスタのオフ容量の0ボルトの近傍においてプラス方向に凸な非線形の電圧依存性を補償することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の高周波スイッチ回路。 - 前記第1のスルートランジスタをオン状態とし、前記第2のスルートランジスタをオフ状態とし、前記第1のシャントトランジスタをオフ状態とし、前記第2のシャントトランジスタをオン状態とすることにより、前記アンテナ端子と前記第1のRF端子とを電気的に接続することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の高周波スイッチ回路。
- 前記第1及び第2のスルートランジスタと前記第1及び第2のシャントトランジスタは、シリコンオンインシュレータ上に形成されたMOSFETであり、
前記MOSキャパシタは、前記シリコンオンインシュレータ上に形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の高周波スイッチ回路。 - 前記第1及び第2のRF端子の少なくともいずれかは、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)に用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の高周波スイッチ回路。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100805 |
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Effective date: 20120217 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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