JP2009192155A - 車両用空気調和システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートポンプ式冷房装置を用いたシステムにあって、即暖性に優れた車両用空気調和システムを提供する。
【解決手段】第1の冷媒が循環する第1循環経路1を有するヒートポンプ式冷房装置Aと、第2の冷媒が循環する第2循環経路10を有する暖房用循環装置Bとを備え、第1循環経路1には、第1の冷媒の熱を第2の冷媒に放熱する冷媒/冷媒コンデンサ3と、第1の冷媒の熱を空気に放熱する冷媒/空気コンデンサ4とが設けられ、第2循環経路10には、第2の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を加熱するヒータコア14が設けられ、冷媒/空気コンデンサ4及びヒータコア14は、ブロアファンによって送風を車室内に導入する空調ダクト内に配置され、且つ、冷媒/空気コンデンサ4がヒータコア14より下流に配置された。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートポンプ式冷房装置を用いて暖房を行うことができる車両用空気調和システムに関する。
この種の従来の空気調和システムとしては、特許文献1に開示されたものがある。この空気調和システムは、図8に示すように、第1の冷媒が循環する第1循環流路101を有するヒートポンプ式冷房装置100と、第2の冷媒が循環する第2循環流路121を有する暖房用循環装置120とを備えている。
ヒートポンプ式冷房装置100の第1循環流路101中には、コンプレッサ102と内部熱交換部103の放熱部と室内用熱交換器104と膨脹弁105とエバポレータ(室外用熱交換器)106と気液分離器107とが設けられている。室内用熱交換器104は、空調ダクト110内に配置されている。暖房用循環装置120の第2循環流路121には、第2の冷媒を循環させるポンプ122と内部熱交換部103の受熱部とヒータコア123が設けられている。
暖房モードにあっては、ヒートポンプ式冷房装置100のコンプレッサ102と暖房用循環装置120のポンプ122が共に駆動される。そして、第1の冷媒の熱が室内用熱交換器104で放熱され、この熱が暖房に供される。又、第1の冷媒の熱が内部熱交換部103で第2の冷媒に放熱される。これにより加熱された第2の冷媒がヒータコア123で放熱され、この熱が暖房に供される。
このようにヒートポンプ式冷房装置100を用いた空気調和システムでは、暖房モードにあってもヒートポンプ式冷房装置100が駆動され、ヒータコア123と室内用熱交換器104の双方が暖房用の機器として用いることができる。
特開2002−98430号公報(図1)
しかしながら、前記従来例では、第1の冷媒の熱が内部熱交換部103で第2の冷媒に伝達され、加熱された第2の冷媒がヒータコア123で放熱するが、第2の冷媒が空調風を加熱できるまで温度上昇し、且つ、熱容量の大きなヒータコア123が放熱するまでには時間を要し、即暖性能が劣る。又、第1の冷媒の熱は、内部熱交換部103、室内用熱交換器104の順に放熱するが、暖房運転開始直後では第1の冷媒の熱は、内部熱交換部103での放熱量が多く、室内用熱交換器104での放熱量が少ないため、室内用熱交換器104は即暖性能が劣る。以上より、従来例の空気調和システムは、即暖性において問題がある。また、この従来例のシステムは、家庭用の暖房システムであり、車両用ではない。
そこで、本発明は、ヒートポンプ式冷房装置を用いたシステムにあって、即暖性に優れた車両用空気調和システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する請求項1の発明は、第1の冷媒が循環する第1循環経路を有するヒートポンプ式冷房装置と、第1循環経路とは別に、第2の冷媒が循環する第2循環経路を有する暖房用循環装置とを備え、ヒートポンプ式冷房装置の第1循環経路には、第1の冷媒を圧縮するコンプレッサと、第2循環経路内に配置され、第1の冷媒の熱を第2の冷媒に放熱する冷媒/冷媒コンデンサと、第1の冷媒の熱を空気に放熱する冷媒/空気コンデンサと、第1の冷媒を膨張させる膨張手段と、膨張手段で膨張された第1の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を冷却するエバポレータとが設けられ、暖房用循環装置の第2循環経路には、第2の冷媒を循環させるポンプと、第2の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を加熱するヒータコアとが設けられ、第2の冷媒は流体で、顕熱変化によって熱交換を行うものであり、冷媒/空気コンデンサ及びヒータコアは、ファンによって送風を車室内に導入する空調ダクト内に配置され、且つ、冷媒/空気コンデンサがヒータコアより下流に配置されたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用空気調和システムであって、第1循環経路には、第1の冷媒を冷媒/冷媒コンデンサと冷媒/空気コンデンサに共に流す経路と、冷媒/空気コンデンサにのみ流す経路とに切り替えできる第1切替手段が設けられたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の車両用空気調和システムであって、冷媒/冷媒コンデンサと冷媒/空気コンデンサは、第1循環経路中に直列に配置され、且つ、コンプレッサからの第1の冷媒の流れに対し冷媒/空気コンデンサが上流に、冷媒/冷媒コンデンサが下流に配置されたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用空気調和システムであって、空調ダクトには、冷媒/空気コンデンサ及びヒータコアが配置される暖房用通路と、エバポレータが配置される冷房用通路が設けられていると共にエバポレータを通過した冷却風を車室外部に排出する排出手段が設けられ、暖房用通路と冷房用通路への配風割合を調整できるミックスドアが設けられたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用空気調和システムであって、空調ダクトには、冷媒/空気コンデンサ及びヒータコアが配置される暖房用通路と、エバポレータが配置される冷房用通路が設けられていると共にエバポレータを通過した冷却風を車室外部に排出する排出手段が設けられ、ファンは、暖房用通路に主に送風する第1ファンと、冷房用通路に主に送風する第2ファンとから構成され、第1ファンと第2ファンは別個独立に送風力が調整できることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、暖房運転が開始されると、コンプレッサが第1の冷媒の圧縮を開始し、コンプレッサの仕事分の熱量によって第1の冷媒が直ちに加熱されるため、冷媒/空気コンデンサは暖房運転開始直後から直ちに暖房性能を発揮できる。これに対し、第2の冷媒は、冷媒/冷媒コンデンサからの放熱を受けても徐々にしか加熱されないため、暖房運転開始直後はヒータコアは暖房性能をほとんど発揮しない。このことに着目して、空調ダクト内の送風は、ヒータコアの通過後に冷媒/空気コンデンサを通過するように配置したため、暖房運転開始直後は、空調ダクト内の送風が暖房性能を発揮しないヒータコアを先ず通過し、その後に、暖房性能を発揮する冷媒/空気コンデンサを通過するため、温風がヒータコアで冷却されることなく車室内に送風される。以上より、即暖性が向上する。
請求項2の発明によれば、暖房運転を暖房運転直後の暖気モードと、暖気モード後の暖房モードとに分け、暖気モードでは第1の冷媒を冷媒/空気コンデンサにのみ流すように第1切替手段によって経路を切り替えれば、第1の冷媒の熱が冷媒/冷媒コンデンサで放熱されることなく冷媒/空気コンデンサで放熱されるため、即暖性が更に向上する。
請求項3の発明によれば、冷媒/冷媒コンデンサと冷媒/空気コンデンサを直列に配置すれば良いため、流路を切り替える手段が不要である。又、冷媒/空気コンデンサが冷媒/冷媒コンデンサより上流であるため、第1の冷媒の熱が冷媒/空気コンデンサの放熱に優先的に使用される。以上より、ヒートポンプ式冷房装置の構成を複雑化することなく即暖性の向上を図ることができる。
請求項4の発明によれば、暖房運転を暖房運転直後の暖気モードと、暖気モード後の暖房モードとに分け、ミックスドアの配風によって暖気モードではエバポレータへの送風量を多くして排出空気からの熱回収を積極的に行うようにすると共に、冷媒/空気コンデンサとヒータコアへの送風量を少なくして送風の温度上昇の向上を図り、これによって、暖房運転直後における乗員の暖房感の向上を図ることができる。
請求項5の発明によれば、暖房運転を暖房運転直後の暖気モードと、暖気モード後の暖房モードとに分け、第1ファンと第2ファンの送風力を別個に制御することによって暖気モードではエバポレータへの送風量を多くして排出空気からの熱回収を積極的に行うようにすると共に、冷媒/空気コンデンサとヒータコアへの送風量を少なくして送風の温度上昇の向上を図り、これによって、暖房運転直後における乗員の暖房感の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図5は本発明の第1の実施形態を示し、図1は車両用空気調和システムの要部構成図、図2は空調ダクト内に要部断面図、図3は車両用空気調和システムの暖気モードの冷媒流れを示す構成図、図4は車両用空気調和システムの寒冷地用の暖気モードの冷媒流れを示す構成図、図5は車両用空気調和システムの暖房モードの冷媒流れを示す構成図である。
図1に示すように、車両用空気調和システムは、ヒートポンプ式冷房装置Aと暖房用循環装置Bとを有し、これらが組み合わせている。
ヒートポンプ式冷房装置Aは、第1の冷媒としてのR134が封入された第1循環経路1を有し、この第1循環経路1には、コンプレッサ2、第1切替手段である第1切替弁8A、冷媒/冷媒コンデンサである水冷コンデンサ3、この水冷コンデンサ3と並列に接続された冷媒/空気コンデンサ4、膨張手段である膨張弁5、気液分離器6、エバポレータ7、第2切替弁8Bがこの順で配置されている。又、第1循環経路1には、気液分離器6と第2切替弁8Bとの間を連通するガス冷媒用バイパス通路9が設けられている。
コンプレッサ2は、吸入した低温低圧の第1の冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒として吐出する。
第1切替弁8Aは、第1の冷媒を水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4に共に流す経路と、冷媒/空気コンデンサ4にのみ流す経路とに切り替えできる。
水冷コンデンサ3は、下記する第2循環経路10中の機器収容室13内に配置されており、コンプレッサ2から圧送された第1の冷媒が第2の冷媒によって冷却される。すなわち、水冷コンデンサ3において第1の冷媒と第2の冷媒との間で熱交換が行われ、第2の冷媒は第1の冷媒によって加熱される。
冷媒/空気コンデンサ4は、コンプレッサ2から、又は、水冷コンデンサ3からの第1の冷媒と冷媒/空気コンデンサ4を通過する送風とを熱交換させ、冷媒/空気コンデンサ4を通過する送風は、第1の冷媒によって加熱される。冷媒/空気コンデンサ4は、下記するように空調ダクト30内に配置されている。
膨張弁5は、冷媒/空気コンデンサ4を通過した第1の冷媒を膨張(減圧)させて低温低圧のガスとして気液分離器6へと送出する。
気液分離器6は、エバポレータ7から送出された第1の冷媒を気液分離すると共に液相状態の第1の冷媒を一時的に貯留する。気液分離器6は、分離した液冷媒を第1循環経路1を通してエバポレータ7に送出し、分離したガス冷媒をガス冷媒用バイパス通路9を通してエバポレータ7をバイパスさせる。
エバポレータ7は、気液分離器6から送出された第1の液冷媒とエバポレータ7を通過する空気とを熱交換させ、エバポレータ7を通過する空気は第1の冷媒によって冷却される。エバポレータ7は、下記するように空調ダクト30内に配置されている。
第2切替弁8Bは、ガス冷媒用バイパス通路9が第1循環経路1に合流する位置に設けられ、ガス冷媒用バイパス通路9が第1循環経路1に連通し、且つ、エバポレータ7に液冷媒が流れないように第1循環経路1を閉塞する第1切替位置と、エバポレータ7に液冷媒が流れるように第1循環経路1を開口する第2切替位置に切り替えできる。つまり、第1切替位置では、ガス冷媒のみが冷凍サイクル内を循環し、第2切替位置では、ガス冷媒と液冷媒が共に冷凍サイクル内を循環する。
暖房用循環装置Bは、第2の冷媒としての水や不凍液などの液体が封入された第2循環経路10を有し、この第2循環経路10中に、ポンプ11、放熱器12、機器収容室13及びヒータコア14がこの順で配置されている。機器収容室13は、第2循環経路10よりも大きな断面積を有するスペースであり、この内部に上記した水冷コンデンサ3と共にヒータである電気ヒータ15が収納されている。
ポンプ11は、第2の冷媒を第2循環経路10内に循環させるため、吸入した第2の冷媒を圧送する。ポンプ11で圧送された液体の冷媒は、相変化することなく液相のまま第2循環経路10内を循環し、熱交換により顕熱変化する。
放熱器12は、第2の冷媒の熱を外気に放熱させるものであり、電動ファンや走行風によって外気が吹き付けられ、第2の冷媒と外気との間で熱交換が行われる。
電気ヒータ15は、水冷コンデンサ3の下流側に設けられ、通電することで発熱して第2の冷媒を加熱する。
ヒータコア14は、第2の冷媒とヒータコア14を通過する空気とを熱交換させることで、ヒータコア14を通過する空気を加熱する。ヒータコア14は、下記するように空調ダクト30内に配置されている。
第2循環経路10には、放熱器12をバイパスする放熱器バイパス流路16が設けられ、放熱器バイパス流路16の上流側に設けられた流路切替弁17を切り換えることで、第2の冷媒の流れを放熱器12側と放熱器バイパス流路16側のいずれかに切り換えることができる。
次に、空調ダクト30内の構成を説明する。空調ダクト30内には、内外気ドア(図示せず)及びブロアファン31がこの順で配置されている。内外気ドアは車室内の空気(内気)を取り込む内気位置と車室外の空気(外気)を取り込む外気位置との間で移動し、ブロアファン31の送風力によって空調ダクト30内に内気と外気を取り込むことができる。
空調ダクト30内のブロアファン31より下流側の一部は、分岐壁32によって暖房用通路33と冷房用通路34に分岐されている。暖房用通路33には、ヒータコア14及び冷媒/空気コンデンサ4がこの順で配置されている。冷房用通路34には、エバポレータ7が配置されている。空調ダクト30のエバポレータ7の配置位置より下流には、車室外部であるエンジンルームに開口する排出口35と、この排出口35を開閉する第1排出用ドア36と、エバポレータ7を通過した送風を排出口35側に導く第2排出用ドア37が設けられている。排出口35と第1排出用ドア36と第2排出用ドア37によって排出手段が構成されている。
分岐壁32の上流端にはミックスドア38が配置され、ミックスドア38によって暖房用通路33と冷房用通路34への配風割合を調整できる。
空調ダクト30の冷媒/空気コンデンサ4とエバポレータ7より下流には、車室内と連通する複数のモードドア39が設けられている。開放するモードドア39の組み合わせによって空調風を車室内の所望の位置に吹き出させることができる。
又、エバポレータ7の直ぐ上流位置には温度センサ40が配置されている。温度センサ40は、エバポレータ7の通過前空気温度(吸気温度)を検知する。
次に、本実施形態における車両用空気調和システムの暖房運転時の動作を説明する。
暖房運転指令があると、暖気モードに入る。この暖気モードでは、図3に示すように、ヒートポンプ式冷房装置Aは、第1切替弁8Aが冷媒/空気コンデンサ4にのみ第1の冷媒を流す切替位置とし、第2切替弁8Bが液冷媒とガス冷媒を共に流す切替位置とし、コンプレッサ2が駆動される。暖房用循環装置Bは、流路切替弁17が放熱器バイパス流路16側の切替位置とし、電気ヒータ15がオンされ、ポンプ11が駆動される。
又、空調ダクト30内では、図2に示すように、内外気ドア(図示せず)が内気導入位置とし、ミックスドア38がエバポレータ7への送風量を多くする位置とし、第1排出用ドア36及び第2排出用ドア37が冷却風を排出する位置とし、ブロアファン31が駆動される。
この暖気モードでは、ヒートポンプ式冷房装置Aの第1の冷媒は、気液分離器6で液冷媒とガス冷媒に分離され、液冷媒がエバポレータ7に流され、ガス冷媒がガス冷媒用バイパス通路9を通って冷凍サイクル内を循環する。エバポレータ7は、送風の温度が極低温でないため、送風より吸熱できる。従って、コンプレッサ2の仕事分だけの熱量と第1の冷媒の凝縮によって第1の冷媒が加熱され、加熱された第1の冷媒は、冷媒/空気コンデンサ4にのみ流れ、第1の冷媒の熱は冷媒/空気コンデンサ4でのみ放熱される。又、第2の冷媒は、電気ヒータ15によって加熱されるが、徐々にしか加熱されないため、暖機モードの段階ではヒータコア14は放熱機器としてほとんど機能しない。
空調ダクト30内の冷房用通路34を通過する送風は、エバポレータ7で冷却された後に、車室外部に排出される。暖房用通路33を流れる送風は、ヒータコア14を通過した後に、冷媒/空気コンデンサ4を通過し、ここで温風とされて車室内に送出される。
暖気モードにあって、温度センサ40の検知温度が所定温度以上になると、暖房モードに移行する。暖房モードでは、図5に示すように、第1切替弁8Aが水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4に第1の冷媒が共に流れる切替位置とされる。これにより、第1の冷媒は水冷コンデンサ3でも放熱され、これによって第2の冷媒が加熱される。従って、第2の冷媒の熱がヒータコア14で放熱されるため、空調ダクト30内の送風は、ヒータコア14と冷媒/空気コンデンサ4の双方で加熱されることになる。
尚、冷房運転指令があると、暖房モードと概略同じであるが、流路切替弁17が放熱器12側に切り替えられる。これによって、第1の冷媒の熱が放熱器12を介して車室外に放熱される。又、ミックスドア38は、ヒータコア14及び冷媒/空気コンデンサ4への送風量を制限する位置に位置される。そして、エバポレータ7で第1の冷媒が空調ダクト30内の送風を冷却し、この冷却風、又は、ヒータコア14を通過した温風によって温度調整された冷却風が車室内に送られる。
以上、暖房運転が開始されると、コンプレッサ2が第1の冷媒の圧縮を開始し、コンプレッサ2の仕事分の熱量によって第1の冷媒が直ちに加熱されるため、冷媒/空気コンデンサ4は暖房運転開始直後から直ちに暖房性能を発揮できる。これに対し、第2の冷媒は、水冷コンデンサ3からの放熱を受けても徐々にしか加熱されないため、暖房運転開始直後はヒータコア14は暖房性能をほとんど発揮しない。このことに着目して、空調ダクト30内の送風は、ヒータコア14の通過後に冷媒/空気コンデンサ4を通過するように配置したため、暖房運転開始直後は、空調ダクト30内の送風が暖房性能を発揮しないヒータコア14を先ず通過し、その後に、暖房性能を発揮する冷媒/空気コンデンサ4を通過するため、温風がヒータコア14で冷却されることなく車室内に送風される。以上より、即暖性が向上する。
この実施形態では、第1循環経路1には、第1の冷媒を水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4に共に流す経路と、冷媒/空気コンデンサ4にのみ流す経路とに切り替えできる第1切替弁8Aが設けられている。従って。前記動作で説明したように、暖気モードでは第1の冷媒を冷媒/空気コンデンサ4にのみ流すように第1切替弁8Aによって経路を切り替えれば、第1の冷媒の熱が水冷コンデンサ3で放熱されることなく冷媒/空気コンデンサ4でのみ放熱されるため、即暖性が更に向上する。
この実施形態では、空調ダクト30には、冷媒/空気コンデンサ4及びヒータコア14が配置される暖房用通路33と、エバポレータ7が配置される冷房用通路34が設けられていると共にエバポレータ7を通過した冷却風を車室外部に排出する排出手段が設けられ、暖房用通路33と冷房用通路34への配風割合を調整できるミックスドア38が設けられている。従って、前記動作で説明したように、ミックスドア38の配風によって暖気モードではエバポレータ7への送風量を多くして排出空気からの熱回収を積極的に行うようにすると共に、冷媒/空気コンデンサ4とヒータコア14への送風量を少なくして送風の温度上昇の向上を図り、これによって、暖房運転直後における乗員の暖房感の向上を図ることができる。
この実施形態では、膨張弁5とエバポレータ7との間に配置され、膨張弁5より第1循環経路1を通して供給された冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、液冷媒を第1循環経路1よりエバポレータ7に導く気液分離器6と、気液分離器6で分離されたガス冷媒をエバポレータ7をパイパスさせて第1循環経路1に戻すガス冷媒用バイパス通路9と、気液分離器6で分離された液冷媒をエバポレータ7に供給しないように阻止できる第2切替弁8Bとを備えたので、外気が極低温(マイナス20℃未満)の場合、つまり、エバポレータ7が送風と熱交換できない状況であっても暖房運転が可能である。
この暖房モードでは、気液分離器6からの液冷媒はエバポレータ7に流され、エバポレータ7で熱交換するが、気液分離器6がエバポレータ7とコンプレッサ2との間に配置された場合に比べて、エバポレータ7の出口側の冷媒蒸発圧力を、気液分離器6の通路抵抗分とエバポレータ7の通路抵抗の軽減分だけ低下させることができる。そのため、極低温(マイナス20℃程度)の状況下でも第1の冷媒温度とエバポレータ7を通過する空気温度との間の温度差を大きく取ることができ、効率の良い熱交換が可能であり、暖房モードの暖房性能が向上する。
暖房モードにあって、エバポレータ7で吸熱にあまり寄与しないガス冷媒をエバポレータ7に対しバイパスさせたため、エバポレータ7の熱交換効率が向上し、この点からも暖房モードの暖房性能が向上する。
次に、寒冷地用の暖気モードについて説明する。外気が極低温(マイナス20℃未満)の場合、つまり、エバポレータ7が送風と熱交換できない状況が発生するためである。
暖房運転指令があって、検知した温度センサ40の検知温度が極低温(例えばマイナス20℃未満)であれば、暖機モードに入る。この暖機モードでは、図4に示すように、第2切替弁8Bがエバポレータ7に液冷媒を流さずにガス冷媒のみを循環させる切替位置とされる。つまり、極低温の場合には、エバポレータ7が空調ダクト30内を通過する送風より吸熱することができないためである。又、空調ダクト30内では、内外気ドア(図示せず)が内気導入位置とし、ミックスドア38が暖房用通路33にのみ送風を流す位置とし、ブロアファン31が駆動される。他の制御は、前記した寒冷地用でない暖機モードと同じである。
この寒冷地用の暖機モードでは、第1の冷媒は、気液分離器6で液冷媒とガス冷媒に分離され、液冷媒はエバポレータ7に流されずに、ガス冷媒のみがガス冷媒用バイパス通路9を通って冷凍サイクル内を循環する。従って、コンプレッサ2の仕事分だけの熱量によって第1の冷媒が加熱され、第1の冷媒の熱が冷媒/空気コンデンサ4でのみ放熱される。又、第2の冷媒は、電気ヒータ15によって加熱されるが、徐々にしか加熱されないため、暖機モードの段階ではヒータコア14は放熱機器としてほとんど機能しない。
空調ダクト30内の暖房用通路33を流れる送風の全ては、ヒータコア14を通過した後に、冷媒/空気コンデンサ4を通過し、ここで温風とされて車室内に送出される。
暖気モードにあって、温度センサ40の検知温度が所定温度以上になると、前記と同様に、暖房モードに移行する。暖房モードは、前記と同様である。
以上、暖房運転が開始されると、コンプレッサ2が第1の冷媒の圧縮を開始し、コンプレッサ2の仕事分の熱量によって第1の冷媒が直ちに加熱されるため、冷媒/空気コンデンサ4は暖房運転開始直後から直ちに暖房性能を発揮でき、車室内に温風が送出される。このように、外気が極低温(マイナス20℃未満)の場合、つまり、エバポレータ7が送風と熱交換できない状況であっても、即暖性の向上を図ることができる。
(第1の実施形態の変形例)
図6は前記第1の実施形態に係る変形例を示す空調ダクト内の断面図である。図6に示すように、この変形例は、前記第1の実施形態と比較するに、ブロアファンが2台並列に配置されている点が相違する。第1ブロアファン31aは、暖房用通路33に主に送風し、第2ブロアファン31bは冷房用通路34に主に送風し、第1ブロアファン31aと第2ブロアファン31bは別個独立に送風力が調整できるよう構成されている。
他の構成は前記第1の実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
この変形例では、第1ブロアファン31aと第2ブロアファン31bの送風力を別個に制御することによって、暖気モードでは、エバポレータ7への送風量を多くして排出空気からの熱回収を積極的に行うようにすると共に、冷媒/空気コンデンサ4とヒータコア14への送風量を少なくして送風の温度上昇の向上を図る。これによって、暖房運転直後における乗員の暖房感の向上を図ることができる。
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態を示す車両用空気調和システムの暖房運転時の各冷媒の流れを示す構成図である。
図7に示すように、この第2の実施形態は、前記第1の実施形態と比較するに、水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4が第1循環経路1中に直列に配置され、且つ、コンプレッサ2からの第1の冷媒の流れに対し冷媒/空気コンデンサ4が上流に、水冷コンデンサ3が下流に配置されている。又、第1切替弁8Aが設けられておらず、第1の冷媒は、常に水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4とをこの順で流れるようになっている。
ヒートポンプ式冷房装置A及び暖房用循環装置Bの他の構成は、前記第1の実施形態と同様であるため、図面の同一構成箇所には同一符号を付してその説明を省略する。又、空調ダクト内の構成も前記第1の実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
この実施形態にあっても、前記第1の実施形態と同様に、空調ダクト内の送風は、ヒータコア14の通過後に冷媒/空気コンデンサ4を通過するように配置したため、暖房運転開始直後は、空調ダクト内の送風が暖房性能を発揮しないヒータコア14を先ず通過し、その後に、暖房性能を発揮する冷媒/空気コンデンサ4を通過するため、温風がヒータコア14で冷却されることなく車室内に送風され、即暖性が向上する等の効果がある。
その上、この実施形態では、水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4は、第1循環経路1中に直列に配置され、且つ、コンプレッサ2からの第1の冷媒の流れに対し冷媒/空気コンデンサ4が上流に、水冷コンデンサ3が下流に配置されている。従って、水冷コンデンサ3と冷媒/空気コンデンサ4を直列に配置すれば良いため、流路を切り替える手段(第1切替弁8A)が不要である。又、冷媒/空気コンデンサ4が水冷コンデンサ3より上流であるため、第1の冷媒の熱が冷媒/空気コンデンサ4の放熱に優先的に使用される。以上より、ヒートポンプ式冷房装置Aの構成を複雑化することなく即暖性の向上を図ることができる。
(その他)
前記各実施形態では、ヒータとして電気ヒータ15を使用しているが、燃焼ヒータなどを用いても同様の作用・効果を得ることができる。
前記各実施形態では、第1の冷媒としてR134を、第2の冷媒として水や不凍液などの液体をそれぞれ使用しているが、これら以外を冷媒として使用しても良いことはもちろんである。
本発明の第1の実施形態を示し、車両用空気調和システムの要部構成図である。 本発明の第1の実施形態を示し、空調ダクト内の要部断面図である。 本発明の第1の実施形態を示し、車両用空気調和システムの通常時の暖気モードの冷媒流れを示す構成図である。 本発明の第1の実施形態を示し、車両用空気調和システムの寒冷地用の暖気モードの冷媒流れを示す構成図である。 本発明の第1の実施形態を示し、車両用空気調和システムの暖房モードの冷媒流れを示す構成図である。 本発明の第1の実施形態の変形例を示し、空調ダクト内の要部断面図である。 本発明の第2の実施形態を示し、車両用空気調和システムの暖房運転時の各冷媒の流れを示す構成図である。 従来例の車両用空気調和システムの要部構成図である。
符号の説明
A ヒートポンプ式冷房装置
B 暖房用循環装置
1 第1循環経路
2 コンプレッサ
3 水冷コンデンサ(冷媒/冷媒コンデンサ)
4 冷媒/空気コンデンサ
5 膨張弁(膨張手段)
7 エバポレータ
8A 第1切替弁(第1切替手段)
8B 第2切替弁(液冷媒流通阻止手段)
10 第2循環経路
11 ポンプ
12放熱器
14 ヒータコア
30 空調ダクト
31 ブロアファン(ファン)
31a 第1ブロアファン(第1ファン)
31b 第2ブロアファン(第2ファン)
33 暖房用通路
34 冷房用通路
35 排出口(排出手段)
36 第2排出用ドア(排出手段)
37 第1排出用ドア(排出手段)
38 ミックスドア

Claims (5)

  1. 第1の冷媒が循環する第1循環経路(1)を有するヒートポンプ式冷房装置(A)と、前記第1循環経路(1)とは別に、第2の冷媒が循環する第2循環経路(10)を有する暖房用循環装置(B)とを備え、
    前記ヒートポンプ式冷房装置(A)の前記第1循環経路(1)には、第1の冷媒を圧縮するコンプレッサ(2)と、前記第2循環経路(10)内に配置され、第1の冷媒の熱を第2の冷媒に放熱する冷媒/冷媒コンデンサ(3)と、前記第1の冷媒の熱を空気に放熱する冷媒/空気コンデンサ(4)と、第1の冷媒を膨張させる膨張手段(5)と、前記膨張手段(5)で膨張された第1の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を冷却するエバポレータ(7)とが設けられ、
    前記暖房用循環装置(B)の前記第2循環経路(10)には、第2の冷媒を循環させるポンプ(11)と、第2の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を加熱するヒータコア(14)とが設けられ、第2の冷媒は流体で、顕熱変化によって熱交換を行うものであり、
    前記冷媒/空気コンデンサ(4)及び前記ヒータコア(14)は、ファン(31)によって送風を車室内に導入する空調ダクト(30)内に配置され、且つ、前記冷媒/空気コンデンサ(4)が前記ヒータコア(14)より下流に配置されたことを特徴とする車両用空気調和システム。
  2. 請求項1記載の車両用空気調和システムであって、
    前記第1循環経路(1)には、第1の冷媒を冷媒/冷媒コンデンサ(3)と前記冷媒/空気コンデンサ(4)に共に流す経路と、前記冷媒/空気コンデンサ(4)にのみ流す経路とに切り替えできる第1切替手段(8A)が設けられたことを特徴とする車両用空気調和システム。
  3. 請求項1記載の車両用空気調和システムであって、
    前記冷媒/冷媒コンデンサ(3)と前記冷媒/空気コンデンサ(4)は、前記第1循環経路(1)中に直列に配置され、且つ、前記コンプレッサ(2)からの第1の冷媒の流れに対し前記冷媒/空気コンデンサ(4)が上流に、前記冷媒/冷媒コンデンサ(3)が下流に配置されたことを特徴とする車両用空気調和システム。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用空気調和システムであって、
    前記空調ダクト(30)には、前記冷媒/空気コンデンサ(4)及び前記ヒータコア(14)が配置される暖房用通路(33)と、前記エバポレータ(7)が配置される冷房用通路(34)が設けられていると共に前記エバポレータ(7)を通過した冷却風を車室外部に排出する排出手段(35,36,37)が設けられ、前記暖房用通路(33)と前記冷房用通路(34)への配風割合を調整できるミックスドア(38)が設けられたことを特徴とする車両用空気調和システム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用空気調和システムであって、
    前記空調ダクト(30)には、前記冷媒/空気コンデンサ(4)及び前記ヒータコア(14)が配置される暖房用通路(33)と、前記エバポレータ(7)が配置される冷房用通路(34)が設けられていると共に前記エバポレータ(7)を通過した冷却風を車室外部に排出する排出手段(35,36,37)が設けられ、
    前記ファン(31)は、前記暖房用通路(33)に主に送風する第1ファン(31a)と、前記冷房用通路(34)に主に送風する第2ファン(31b)とから構成され、前記第1ファン(31a)と前記第2ファン(31b)は別個独立に送風力が調整できることを特徴とする車両用空気調和システム。
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