JP2009191845A - 圧縮機 - Google Patents

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Wakana Koike
若菜 小池
Mitsuki Morimoto
光希 守本
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Abstract

【課題】冷媒の圧力脈動に起因する騒音/振動を低減する。
【解決手段】ケーシング(11)内において、一端が吐出ポート(52)と分岐するように繋がり、他端がモータ収容室(50)と接続される複数の冷媒案内流路(C)を形成するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機に関し、特に圧縮動作時の冷媒の脈動に起因する振動/騒音対策に係るものである。
従来より、冷媒を圧縮する圧縮機が知られている。圧縮機では、固定スクロールと可動スクロールとの間に形成される圧縮室で流体を圧縮するスクロール式の圧縮機構や、シリンダ室をピストンが回転する回転式の圧縮機構等が知られている。
特許文献1に開示されたスクロール圧縮機は、ケーシング内に圧縮機構と、圧縮機構を駆動する駆動モータとが収容されている。圧縮機構は、ケーシング内の上部寄りに配設される一方、駆動モータは、圧縮機構の下側に区画されたモータ収容室(高圧空間)に配設される。圧縮機構では、各スクロールの渦巻き状のラップ同士が歯合し、各ラップ間に圧縮室が形成される。固定スクロールに対して可動スクロールが偏心しながら回転運動すると、圧縮室の容積が縮小されて冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、固定スクロールの軸心部に形成された吐出ポート(吐出口)から上方へ流出する。流出した冷媒は、固定スクロール及びハウジングに形成された冷媒案内流路を通じて、モータ収容室へ導かれる。モータ収容室へ導かれた冷媒は、駆動モータの冷却に利用された後、吐出管からケーシングの外部へ吐出される。
特開2003−286949号公報
ところで、上述したスクロール式の圧縮機構や、回転式の圧縮機構では、厳密には、吐出口から冷媒が間欠的に流出する。このため、圧縮機構の流出側では、一定の基本周波数で圧力脈動が生じることになる。その結果、このような冷媒の圧力脈動に起因して、騒音/振動が発生するという問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒の圧力脈動に起因する騒音/振動を低減することにある。
第1の発明は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に収容される圧縮機構(40,80)と、該ケーシング(11)内のモータ収容室(50)に収容されて上記圧縮機構(40,90)を駆動する駆動モータ(30)とを備えた圧縮機を対象とし、上記ケーシング(11)内には、上記圧縮機構(40,80)の吐出口(52,78)と接続するマフラー空間(55,101)と、一端が該マフラー空間(55,101)に分岐するように繋がり、他端が上記モータ収容室(50)と繋がる複数の冷媒案内流路(C)が形成されていることを特徴とする。
第1の発明では、駆動モータ(30)によって圧縮機構(40,80)が駆動されることで、圧縮機構(40,80)の圧縮室内で冷媒が圧縮される。圧縮機構(40,80)で圧縮された冷媒は、吐出口(52,78)からマフラー空間(55,101)へ流入する。マフラー空間(55,101)では、冷媒の流路断面が拡大されることで、冷媒の脈動が低減される。次いで、マフラー空間(55,101)の冷媒は、複数の冷媒案内流路(C)に分流する。各冷媒案内流路(C)へ分流した冷媒は、それぞれモータ収容室(50)へ送られる。モータ収容室(50)へ送られた冷媒は、駆動モータ(30)の周囲を通過することで、駆動モータ(30)の冷却に利用される。
以上のように、本発明では、吐出口(52,78)を流出した冷媒が、複数の冷媒案内流路(C)をそれぞれ流通する。従って、例えば特許文献1のように、吐出口を流出した冷媒が1つの冷媒案内流路を流れる場合と比較すると、本発明の各冷媒案内流路(C)における冷媒の流速が小さくなる。その結果、各冷媒案内流路(C)での冷媒の脈動に起因する騒音や振動の低減が図られる。
第2の発明は、第1の発明において、上記複数の冷媒案内流路(C)は、冷媒の流路の長さがそれぞれ異なっていることを特徴とするものである。
第2の発明では、複数の冷媒案内流路(C)における冷媒の流路の長さが互いに不一致となる。その結果、各冷媒案内流路(C)での固有振動数の位相を互いにずらすことができ、各冷媒案内流路(C)での共振を抑制できる。その結果、冷媒の脈動に起因する騒音や振動が更に低減される。
第3の発明は、第1の発明において、上記複数の冷媒案内流路(C)は、冷媒の流路の断面積がそれぞれ異なっていることを特徴とするものである。
第3の発明では、複数の冷媒案内流路(C)における冷媒の流路の断面積が互いに不一致となる。その結果、各冷媒案内流路(C)での固有振動数の位相を互いにずらすことができ、各冷媒案内流路(C)での共振を抑制できる。その結果、冷媒の脈動に起因する騒音や振動が更に低減される。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記圧縮機構(40,80)は、スクロール式の圧縮機構(40)で構成されていることを特徴とする。
第4の発明では、可動スクロールと固定スクロールの間で冷媒が圧縮される、スクロール式の圧縮機構(40)において、吐出後の冷媒の脈動に起因する騒音や振動が効果的に低減される。
第5の発明は、第4の発明において、上記モータ収容室(50)には、上記冷媒案内流路(C)の流出端に臨むように配置されて、冷媒の流れ方向を所定方向へ変更させる案内部材(60)が設けられていることを特徴とする。
第5の発明では、冷媒案内流路(C)の流出端に臨むように案内部材(60)が設けられる。これにより、冷媒案内流路(C)を流出した冷媒は、この案内部材(60)に案内されるようにして流れ方向が変更される。
一方、このように冷媒案内流路(C)の流出端の近傍に案内部材(60)を配置すると、流出後の冷媒の圧力が案内部材(60)に作用し易くなるので、案内部材(60)が加振され易くなる。しかしながら、本発明では、複数の冷媒案内流路(C)に冷媒を分流させているので、例えば1つの冷媒案内流路に冷媒を流す場合と比較して、案内部材(60)に作用する冷媒の圧力を低減できる。その結果、案内部材(60)の振動/騒音を低減することができる。
第6の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記圧縮機構(40,80)は、冷媒をそれぞれ圧縮する2つの回転式圧縮機構部(81a,81b)が上下に配設される2シリンダ式の圧縮機構(80)で構成され、下側の回転式圧縮機構部(81b)の吐出口(78)と接続する上記マフラー空間(101)を区画する下側マフラー部(92b,93)を更に備えていることを特徴とする。
第6の発明では、2つの回転式圧縮機構部(81a,81b)で冷媒がそれぞれ圧縮される、2シリンダ式の圧縮機構(80)において、冷媒の脈動に起因する振動/騒音が低減される。具体的には、下側の回転式圧縮機構部(81b)で圧縮された冷媒は、吐出口(78)を通じてマフラー空間(101)へ流入する。マフラー空間(101)では、冷媒の流路断面が拡大されることで、冷媒の脈動が低減される。次いで、マフラー空間(101)の冷媒は、複数の冷媒案内流路(C)に分流する。各冷媒案内流路(C)へ分流した冷媒は、それぞれモータ収容室(50)へ送られる。モータ収容室(50)へ送られた冷媒は、駆動モータ(30)の周囲を通過することで、駆動モータ(30)の冷却に利用される。
以上のように、本発明では、マフラー空間(101)へ流出した冷媒が、複数の冷媒案内流路(C)をそれぞれ流通する。従って、例えば特許文献1のように、吐出口を流出した冷媒が1つの冷媒案内流路を流れる場合と比較すると、本発明の各冷媒案内流路(C)における冷媒の流速が小さくなる。その結果、各冷媒案内流路(C)での冷媒の脈動に起因する騒音や振動の低減が図られる。
第7の発明は、第6の発明において、上側の回転式圧縮機構部(81a)の吐出口(77)と接続する補助マフラー空間(102)を区画すると共に該補助マフラー空間(102)の冷媒を上記モータ収容室(50)へ流出させる流出口が形成される上側マフラー部(90b,94)を更に備え、上記複数の冷媒案内流路(C)は、上記下側マフラー部(92b,93)のマフラー空間(101)と上記上側マフラー部(90b,94)の補助マフラー空間(102)との間に接続されていることを特徴とする。
第7の発明では、上側の回転式圧縮機構部(81a)で圧縮された冷媒が補助マフラー空間(102)へ流入する。これにより、補助マフラー空間(102)では、冷媒の流路断面が拡大されて冷媒の脈動が低減される。また、下側の回転式圧縮機構部(81b)で圧縮された冷媒は、マフラー空間(101)で脈動が低減された後、複数の冷媒案内流路(C)を通じて補助マフラー空間(102)へ流入する。従って、この冷媒の脈動が更に低減される。補助マフラー空間(102)で合流した冷媒は、流出口を通じてモータ収容室(50)へ送られる。
第8の発明は、第7の発明において、上記上側マフラー部(90b,94)は、上記上側回転式圧縮機構部(81a)の表面に形成される溝部(90b)と、該溝部(90b)を覆うように該上側回転式圧縮機構部(81a)に取り付けられるカバー部材(94)とを有し、該カバー部材(94)と溝部(90b)との間に上記補助マフラー空間(102)を区画するように構成されていることを特徴とする。
第8の発明では、上側回転式圧縮機構部(81a)に形成された溝部(90b)を覆うようにカバー部材(94)が取り付けられる。これにより、溝部(90b)及びカバー部材(94)の内側に上記補助マフラー空間(102)が形成される。
一方、このようにして上側回転式圧縮機構部(81a)にカバー部材(94)を取り付けると、マフラー空間(101)から冷媒案内流路(C)を通じて補助マフラー空間(102)へ送られた冷媒の圧力が、カバー部材(94)に作用し易くなるので、カバー部材(94)が加振され易くなる。しかしながら、本発明では、複数の冷媒案内流路(C)に冷媒を分流させているので、例えば1つの冷媒案内流路に冷媒を流す場合と比較して、カバー部材(94)に作用する冷媒の圧力を低減できる。その結果、カバー部材(94)の振動/騒音を低減することができる。
本発明では、圧縮機構(40,80)の吐出口(52,78)からマフラー空間(101)へ流出させた冷媒を複数の冷媒案内流路(C)に分流させるようにしている。このため、本発明によれば、各冷媒案内流路(C)を流れる冷媒の流速を低減できるので、各冷媒案内流路(C)での冷媒の脈動に起因する騒音や振動を低減することができる。特に、冷媒案内流路(C)の流出端近傍では、流出した冷媒の圧力によりケーシング(11)等が加振され易くなるが、このように複数の冷媒案内流路(C)を形成することで、冷媒の圧力を分散でき、ケーシング(11)等に作用する圧力を低減できる。その結果、ケーシング(11)等の加振に伴う騒音を低減できる。
更に、本発明によれば、例えば冷媒案内流路を1つしか形成しない場合と比較して、各冷媒案内流路(C)の流路の断面積を小さく設定することができる。その結果、冷媒案内流路(C)と他の構成部品とが干渉してしまうことを回避できるので、複数の冷媒案内流路(C)を比較的容易にケーシング(11)内に形成することができる。
また、第2や第3の発明によれば、各冷媒案内流路(C)での共振を防止することができるので、冷媒の圧力脈動に起因する騒音や振動を効果的に低減できる。
また、第4の発明では、スクロール式の圧縮機構(40)を有する圧縮機について、冷媒の圧力脈動を効果的に低減できる。また、第6の発明では、いわゆる2シリンダ式の圧縮機構(80)を有する圧縮機について、冷媒の圧力脈動を効果的に低減できる。
更に、第5の発明では、冷媒案内流路(C)の流出端に臨むように案内部材(60)を設けることで、流出後の冷媒の流れ方向を可変とすることができる。また、複数の冷媒案内流路(C)を設けることで、案内部材(60)に作用する冷媒の圧力を低減できるので、案内部材(60)の加振を抑制でき、ひいては案内部材(60)の振動や騒音を効果的に低減できる。
また、第7の発明では、マフラー空間(101)の冷媒を複数の冷媒案内流路(C)を通じて補助マフラー空間(102)にも送るようにしたので、冷媒の圧力脈動を更に低減できる。
また、第8の発明では、複数の冷媒案内流路(C)を設けることで、カバー部材(94)に作用する冷媒の圧力を低減できるので、カバー部材(94)の加振を抑制でき、ひいてはカバー部材(94)の振動や騒音を効果的に低減できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《実施形態1》
実施形態1に係る圧縮機(10)は、スクロール式の圧縮機を構成している。圧縮機(10)は、例えば空気調和装置等の冷媒回路に接続されて、冷媒を圧縮する圧縮動作を行う。
図1に示すように、圧縮機(10)は、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング(11)を有している。ケーシング(11)は、その内部を空洞とする圧力容器を構成している。ケーシング(11)は、胴部(12)と上壁部(13)と下壁部(14)とが一体的に接合されて構成されている。胴部(12)は、上下に延びる軸線を有する円筒状に形成されている。胴部(12)には、吐出管(15)が接続されている。上壁部(13)は、胴部(12)の上側の開口を閉塞するように胴部(12)の上端に溶接されている。上壁部(13)には、吸入管(16)が接続されている。下壁部(14)は、胴部(12)の下側の開口を閉塞するように胴部(12)の下端に溶接されている。
ケーシング(11)の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構(40)と、圧縮機構(40)の下方に配置される駆動モータ(30)とが収容されている。圧縮機構(40)と駆動モータ(30)とは、上下に延びる駆動軸(20)によって連結されている。
駆動モータ(30)は、圧縮機構(40)の下側に形成されるモータ収容室(50)に収容されている。駆動モータ(30)は、インバータ回路の出力周波数が制御されることで、駆動軸(20)の回転速度を調節可能に構成されている。つまり、圧縮機(10)は、回転速度が可変なインバータ式の圧縮機を構成している。
圧縮機(10)は、固定子を構成するステータ(31)と、回転子を構成するロータ(32)とを有している。ステータ(31)は、筒状に形成されてケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されている。ロータ(32)は、ステータ(31)の内側に回転自在に嵌合しており、その軸心部位に上記駆動軸(20)が貫通して連結されている。ステータ(31)とロータ(32)との間には、上下に延びる僅かな隙間(図示省略)が形成されており、この隙間がエアギャップ通路を構成している。
また、ステータ(31)の外周面には、複数のコアカット部が周方向に所定間隔置きに配列されている。コアカット部は、ステータ(31)の上端から下端に亘る切り欠きを形成し、この切り欠きがモータ冷却通路(33)を構成している。これらのモータ冷却通路(33)は、冷媒を下方へ導く下降側のモータ冷却通路と、冷媒を上方へ導く上昇側のモータ冷却通路(図示省略)とで構成されている。
駆動軸(20)の上端には、偏心部(24)が形成されている。偏心部(24)は、駆動軸(20)の主軸から所定長さだけ偏心している。また、駆動軸(20)の下端部には、遠心ポンプ(21)が設けられている。遠心ポンプ(21)は、モータ収容室(50)の底部に形成される油溜め部(51)に臨むように配設されている。油溜め部(51)には、圧縮機構(40)や駆動軸(20)の各摺動部を潤滑するための潤滑油(いわゆる冷凍機油)が貯留される。遠心ポンプ(21)は、油溜め部(51)内の油中に浸漬しており、この油を上方へ汲み上げるように構成されている。遠心ポンプ(21)によって汲み上げられた油は、駆動軸(20)の内部の給油路(22)を通じて、圧縮機構(40)や駆動軸(20)の軸受け部等へ供給される。
駆動モータ(30)の下側には、下部軸受け部材(23)が設けられている。下部軸受け部材(23)は、その外周面の一部がケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。軸受け部材(23)の内部には、駆動軸(20)を回転自在に支持する下側軸受け部(23a)が形成されている。
上記圧縮機構(40)は、スクロール式の圧縮機構を構成している。圧縮機構(40)は、ハウジング(41)、固定スクロール(42)、可動スクロール(43)、及びカバープレート(44)を有している。
ハウジング(41)は、その下端側がモータ収容室(50)に面するように駆動モータ(30)の上方に配置されている。ハウジング(41)は、その上部がケーシング(11)の胴部(12)に内嵌しながら固定されている。ハウジング(41)とケーシング(11)とは、全周に亘って気密に密着している。
また、ハウジング(41)の上部中央には、下方に凹んだ凹部(41a)が形成されている。一方、ハウジング(41)の外周端部には、環状に形成されて上方に突出する環状凸部(41b)が形成されている。更に、ハウジング(41)の下部には、駆動軸(20)を回転自在に支持する上側軸受け部(41c)が形成されている。
固定スクロール(42)は、ハウジング(41)によって下側から支持されている。固定スクロール(42)は、鏡板(42a)と、該鏡板(42a)の下面に形成される渦巻き状(インボリュート曲線状)のラップ(42b)と、ラップ(42b)の外周側に形成される筒部(42c)を有している。固定スクロール(42)の筒部(42c)には、上記吸入管(16)の流出端部が貫通して接続されている。
可動スクロール(43)は、固定スクロール(42)とハウジング(41)との間に配置されている。可動スクロール(43)は、鏡板(43a)と、該鏡板(43a)の上面に形成される渦巻き状のラップ(43b)とを有している。また、可動スクロール(43)の鏡板(43a)の背面(下面)には、駆動軸(20)の偏心部(24)が嵌入される嵌入部(43c)が形成されている。
固定スクロール(42)とハウジング(41)とは、その外周側寄りの端部が互いに接触している。つまり、固定スクロール(42)とハウジング(41)とは、図示しない締結部材によって上下に接続され、これにより、固定スクロール(42)の筒部(42c)の下端面と、ハウジング(41)の環状凸部(41b)の上端面とが互いに密着している。
また、可動スクロール(43)は、図示しないオルダムリングを介してハウジング(41)に支持されている。即ち、可動スクロール(43)は、オルダムリングにより自転が禁止される一方、固定スクロール(42)に対する旋回(公転)が許容されている。
圧縮機構(40)では、固定スクロール(42)のラップ(42b)と、可動スクロール(43)のラップ(43b)とが互いに歯合している。その結果、固定スクロール(42)と可動スクロール(43)との間には、冷媒を圧縮するための圧縮室(45)が形成される。
固定スクロール(42)には、吸入ポート(図示省略)と、吐出ポート(52)とが形成されている。吸入ポートは、筒部(42c)に形成されており、その流入端が吸入管(16)の下端と接続している。吸入ポートの流出端は、圧縮室(45)の外周縁部に開口している。吐出ポート(52)は、鏡板(42a)の軸心部を貫通するように形成され、圧縮室(45)の中心位置に臨んでいる。吐出ポート(52)は、圧縮室(45)で圧縮された冷媒が流出する吐出口を構成している。
更に、固定スクロール(42)の鏡板(42a)の上面側には、拡大凹部(53)が形成されている。拡大凹部(53)は、上記吐出ポート(52)の上方に形成され、その下端部が吐出ポート(52)と繋がっている。拡大凹部(53)の上端には、上記カバープレート(44)が設けられている。カバープレート(44)は、締結部材によって鏡板(42a)に固定されている。その結果、拡大凹部(53)とカバープレート(44)との間には、吐出ポート(52)からの冷媒が流出するチャンバー室(55)が形成される。なお、カバープレート(44)と鏡板(42a)とは、図示しないパッキンを介して密着しており、シールが確保されている。チャンバー室(55)は、吐出ポート(52)と接続するマフラー空間を構成している。即ち、チャンバー室(55)は、吐出ポート(52)よりも冷媒の流路断面を拡大させることで、冷媒の通過音を低減する消音用の空間を構成している。
圧縮機(10)には、ケーシング(11)内に複数の冷媒案内流路(C)が形成されている。本実施形態では、圧縮機構(40)に2つの冷媒案内流路(C)が形成されている。複数の冷媒案内流路(C)は、一端が吐出ポート(52)と分岐するように繋がり、他端がモータ収容室(50)に接続されている。つまり、複数の冷媒案内流路(C)は、一端がチャンバー室(55)から分岐するように繋がり、他端がモータ収容室(50)と繋がっている。各冷媒案内流路(C)は、それぞれ第1案内通路(56)と第2案内通路(57)とで構成されている。
第1案内通路(56)は、固定スクロール(42)の筒部(42c)側に形成されている。第1案内通路(56)は、その流入端が上記チャンバー室(55)に接続されている。第1案内通路(56)は、下方に向かうに連れて外周側に近づくように斜めに傾斜する面を有している。第1案内通路(56)の流出端は、筒部(42c)の下端面に開口している。
これらの2つの第1案内通路(56)は、駆動軸(20)を挟んで互いに略対称に位置するように形成されている。また、2つの第1案内通路(56)は、その冷媒の流路断面の面積が概ね同じに設定される一方、その冷媒の流路の長さも概ね同じに設定されている。
第2案内通路(57)は、ハウジング(41)の環状凸部(41b)に形成されている(図2を参照)。第2案内通路(57)の流入端は、上記第1案内通路(56)の下端と接続している。第2案内通路(57)は、環状凸部(41b)を軸方向に貫通している。そして、第2案内通路(57)の流出端は、モータ収容室(50)に臨んでいる。また、第2案内通路(57)の流路断面は、略楕円形状あるいは扇形状に形成されている。
これらの2つの第2案内通路(57)は、駆動軸(20)を挟んで互いに略対称に位置するように形成されている。また、2つの第2案内通路(57)は、その冷媒の流路断面の面積が概ね同じに設定され、その冷媒の流路の長さが異なっている。具体的に、本実施形態では、2つの第2案内通路(57)のうち、吐出管(15)に近い方の流路長さが、吐出管(15)から遠い方の流路長さよりも短くなっている(図1を参照)。以上のようにして、本実施形態では、複数の冷媒案内流路(C)の流路長さが互いに異なるように設定されている。換言すると、複数の冷媒案内流路(C)では、その固有振動数の位相が互いにずれるように設定されている。
また、モータ収容室(50)には、上記複数の冷媒案内流路(C)に対応するように、2つのガスガイド板(60)が設けられている。各ガスガイド板(60)は、対応する第2案内通路(57)の流出端と、下降側のモータ冷却通路(33)の流入端との間にそれぞれ配置されている。つまり、ガスガイド板(60)は、冷媒案内流路(C)の流出端に臨むように配置され、ケーシング(11)の胴部(12)の内壁に固定されている。各ガスガイド板(60)は、冷媒案内流路(C)から流出した冷媒の流れを変更させる案内部材を構成している。
図3に示すように、各ガスガイド板(60)は、ガイド板本体(61)と、該ガイド板本体(61)の両端に配設される翼部(62)とをそれぞれ備えている。ガイド板本体(61)は、その下部に形成される下部曲板(63)と、その上部に形成される膨出部(64)と、その左右側端に形成される側壁部(65)とを有している。下部曲板(63)は、横断面が円弧状で且つ上下に直線状に延びるように形成されている。下部曲板(63)の下端は、ステータ(31)の外側に位置している。膨出部(64)は、下部曲板(63)の上端に連接しており、上側に向かうに連れて内周側に張り出すように膨出している。膨出部(64)は、第2案内通路(57)よりも内側に位置するように張り出し量が設定されている。つまり、ガスガイド板(60)では、第2案内通路(57)から流出した冷媒が膨出部(64)の外側を通過して下降側のモータ冷却通路(33)へ導入される。
上記翼部(62)は、ガイド板本体(61)の側壁部(65)の外周側の端部に連接している。翼部(62)は、横断面が円弧状で且つ上下に直線状に延びるように形成されている。翼部(62)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内壁に沿うように径が設定されており、該胴部(12)の内壁に固定されている。
ガスガイド板(60)には、上記側壁部(65)及び翼部(62)に亘って、分流凹部(66)が形成されている。分流凹部(66)は、側壁部(65)から翼部(62)に跨って連続的に形成される切欠により構成されている。分流凹部(66)は、冷媒案内流路(C)側から下降側のモータ冷却通路(33)側へ送られる冷媒の一部を分流させる分流路(67)を形成している。即ち、ガスガイド板(60)では、下方向へ向かう冷媒の一部の流れが周方向に変更される。これにより、周方向に流れる冷媒中の油が遠心力によって分離される。
−運転動作−
次に、実施形態1に係る圧縮機(10)の運転動作について説明する。
図1に示す駆動モータ(30)が通電されると、ステータ(31)に対してロータ(32)が回転し、これに伴い駆動軸(20)が回転する。駆動軸(20)が回転すると、固定スクロール(42)が可動スクロール(43)に対して偏心しながら旋回する。これにより、低圧の冷媒が吸入管(16)を通じて圧縮室(45)に吸引される。圧縮室(45)では、各ラップ(42b,43b)の間の容積が変化することで、冷媒が圧縮される。
圧縮室(45)で圧縮されて高圧となった冷媒は、圧縮室(45)の中央部の吐出ポート(52)よりチャンバー室(55)へ流出する。チャンバー室(55)では、冷媒の流路断面が拡大されることで、冷媒の脈動音が低減される。
チャンバー室(55)内の冷媒は、2つの冷媒案内流路(C)に分流する。具体的に、冷媒は、各第1案内通路(56)、及び第2案内通路(57)を順に通過し、モータ収容室(50)へそれぞれ流出する。
モータ収容室(50)へ流出した冷媒は、各ガスガイド板(60)内にそれぞれ流入する。各ガスガイド板(60)では、冷媒の一部が分流路(67)側へ案内される。分流路(67)を流れる冷媒は、ケーシング(11)の内周面に沿うように周方向に流れる。その結果、冷媒中に含まれる油(冷凍機油)が遠心力によって分離される。分離された油は、ケーシング(11)の内壁を伝って油溜め部(51)内へ回収される。油が分離された冷媒は、最終的には吐出管(15)の流入端の近傍へ送られる。
一方、各ガスガイド板(60)を流れる冷媒のうち分流路(67)側へ案内されなかった残りの冷媒は、下降側のモータ冷却通路(33)に流入して更に下方へ流れる。下降側のモータ冷却通路(33)を流出して油溜め部(51)側へ送られた冷媒は、その流れ方向が反転して上昇流れとなる。この冷媒は、上昇側のモータ冷却通路やステータ(31)とロータ(32)との間のエアギャップ通路を上方に向かって流れ、最終的には吐出管(15)の流入端の近傍へ送られる。以上のように、冷媒が各モータ冷却通路(33)を通過することで、駆動モータ(30)が冷媒によって冷却される。吐出管(15)の流入端側で合流した冷媒は、吐出管(15)を通じてケーシング(11)の外部へ吐出される。
−冷媒案内流路での騒音低減作用について−
ところで、圧縮機(10)の運転時には、圧縮機構(40)で圧縮された冷媒が、吐出ポート(52)から間欠的に流出することになる。従って、圧縮機構(40)の吐出側では、一定の周波数で冷媒の圧力脈動が生じる。その結果、圧縮機(10)では、このような冷媒の圧力脈動に起因して振動や騒音が発生してしまう虞がある。特に、冷媒案内流路(C)を形成する部材(即ち、固定スクロールやハウジング)の固有振動数が、冷媒の圧力脈動の基本周波数(若しくは基本周波数の整数n倍)とが一致すると、共振が発生して振動/騒音が増大してしまう。加えて、冷媒案内流路(C)の流出端近傍には、上記のガスガイド板(60)が設けられており、流出後の冷媒の圧力が作用し易くなっている。従って、冷媒の圧力脈動に伴いガスガイド板(60)が加振されることがあり、特にガスガイド板(60)とケーシング(11)との接続部位(溶接部位)で振動/騒音が発生し易くなる。
そこで、本実施形態では、圧縮機構(40)に2つの冷媒案内流路(C)を形成するようにしている。即ち、本実施形態では、上述の如く、吐出ポート(52)を流出した冷媒が、チャンバー室(55)を介して2つの冷媒案内流路(C)へ分流する。このため、各冷媒案内流路(C)では、例えば1つの冷媒案内流路しか形成しない場合と比較して、各々の冷媒の流速が小さくなる。その結果、各冷媒案内流路(C)では、冷媒の脈動に起因する振動/騒音が分散されて低減される。
また、このように2つの冷媒案内流路(C)を形成するようにすると、ガスガイド板(60)に作用する冷媒の圧力も分散される。その結果、各ガスガイド板(60)が加振されることが回避されるので、各ガスガイド板(60)での振動や騒音も低減される。
更に、2つの冷媒案内流路(C)は、その流路長さが互いに不一致となっており、各冷媒案内流路(C)の固有振動数の位相がずれた状態となっている。その結果、各冷媒案内流路(C)での共振が回避されるので、冷媒の圧力脈動に起因する振動/騒音の低減が更に図られる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、圧縮機構(40)の吐出ポート(52)から流出した冷媒を複数の冷媒案内流路(C)に分流させるようにしている。このため、各冷媒案内流路(C)を流れる冷媒の流速を低減できるので、各冷媒案内流路(C)での冷媒の脈動に起因する騒音や振動を低減することができる。特に、冷媒案内流路(C)の流出端近傍では、流出した冷媒の圧力によりケーシング(11)が加振され易くなるが、このように複数の冷媒案内流路(C)を形成することで、冷媒の圧力を分散でき、ケーシング(11)に作用する圧力を低減できる。その結果、ケーシング(11)の加振に伴う騒音を低減できる。
更に、上記実施形態では、冷媒案内流路を1つしか形成しない場合と比較して、各冷媒案内流路(C)の流路の断面積を小さく設定することができる。その結果、冷媒案内流路(C)と他の構成部品(例えば可動スクロール(43))とが干渉してしまうことを回避できるので、複数の冷媒案内流路(C)を比較的容易にケーシング(11)内に形成することができる。
更に、2つの冷媒案内流路(C)の流路長さを互いに不一致とすることで、各冷媒案内流路(C)での共振を防止することができる。その結果、冷媒の圧力脈動に起因する騒音や振動を効果的に低減できる。
《実施形態2》
実施形態2に係る圧縮機(10)は、回転式圧縮機であって、いわゆる揺動ピストン式の圧縮機を構成している。また、圧縮機(10)は、2つのシリンダ室でそれぞれ冷媒を圧縮する、いわゆる2シリンダ式の圧縮機を構成している。
図4に示すように、圧縮機(10)は、上記実施形態1と同様にして、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング(11)を有している。ケーシング(11)は、その内部を空洞とする圧力容器を構成している。ケーシング(11)は、胴部(12)と上壁部(13)と下壁部(14)とが一体的に接合されて構成されている。実施形態2では、ケーシング(11)の胴部(12)の外周壁に2本の吸入管(75,76)が貫通しており、吸入管(75,76)の流出端がケーシング(11)の内部に位置している。なお、これらの2本の吸入管(75,76)の流入端には、冷媒回路の低圧側の配管が2つに分岐して並列に接続されている。また、ケーシング(11)の上壁部(13)の頂部に吐出管(15)が貫通しており、吐出管(15)の流入端がケーシング(11)の内部空間(モータ収容室(50))に開口している。
ケーシング(11)の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構(80)と、圧縮機構(80)の上方に配置される駆動モータ(30)とが収容されている。圧縮機構(80)と駆動モータ(30)とは、上下に延びる駆動軸(20)によって連結されている。
駆動モータ(30)は、圧縮機構(80)の上側に形成されるモータ収容室(50)に収容されている。駆動モータ(30)は、上記実施形態1と同様に構成され、ステータ(31)及びロータ(32)を有している。また、ステータ(31)とロータ(32)との間には、軸方向に延びる環状のエアギャップ通路(図示省略)が形成されている。
駆動軸(20)の下部には、2つの偏心部(26,27)が設けられている。これらの偏心部は、上側寄りの第1偏心部(26)と下側寄りの第2偏心部(27)とで構成されている。第1偏心部(26)と第2偏心部(27)とは、駆動軸(20)の回転方向における位相が互いに180°ずれるように偏心位置が定められている。また、駆動軸(20)の下端部には、遠心ポンプ(21)が設けられている。
圧縮機構(80)は、回転式の圧縮機構であって、且つ2つの回転式圧縮機構部(81a,81b)が同軸となって連結された、2シリンダ式の圧縮機構を構成している。また、2つの回転式圧縮機構部(81a,81b)は、シリンダ内のピストンとがブレードに一体に連結されて該ピストンがシリンダ内を揺動するように偏心回転運動を行う、いわゆる揺動ピストン式の圧縮機構を構成している(詳細は後述する)。
圧縮機構(80)には、駆動軸(20)の上側から下側に向かって順に、フロントヘッド(90)、第1シリンダ(82a)、ミドルプレート(91)、第2シリンダ(82b)、及びリアヘッド(92)が設けられている。これらの部材は、ボルトナット等の締結部材(図示省略)によって一体的に固定されている。
フロントヘッド(90)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されている。フロントヘッド(90)の中心には、駆動軸(20)が貫通している。そして、フロントヘッド(90)の中心部には、駆動軸(20)の軸受け部(90a)が形成されている。ミドルプレート(91)は、第1シリンダ(82a)と第2シリンダ(82b)との間に介設されている。ミドルプレート(91)は、円環状の板部材で構成され、その内部を駆動軸(20)が貫通している。リアヘッド(92)は、第2シリンダ(82b)の下面に固定されている。第2シリンダ(82b)の中心には、駆動軸(20)が貫通している。そして、リアヘッド(92)の中心部には、駆動軸(20)の軸受け部(92a)が形成されている。
第1回転式圧縮機構部(81a)及び第2回転式圧縮機構部(81b)は、概ね同一の構造となっている。即ち、図5に示すように、各回転式圧縮機構部(81a,82b)は、シリンダ(82a,82b)とピストン(83a,83b)と一対のブッシュ(84a,84b)とブレード(85a,85b)とをそれぞれ備えている。
各シリンダ(82a,82b)は、略円環状に形成され、その内部にシリンダ室(86a,86b)を形成している。即ち、第1シリンダ(82a)は、軸方向両端の開口がフロントヘッド(90)及びミドルプレート(91)に閉塞されることで、円形状の第1シリンダ室(86a)を内部に区画形成している。また、第2シリンダ(82b)は、軸方向両端の開口がミドルプレート(91)及びリアヘッド(92)に閉塞されることで、円形状の第2シリンダ室(86b)を内部に区画形成している。
第1シリンダ(82a)には、第1吸入管(75)が径方向に挿通され、第1吸入管(75)の流出端が第1シリンダ室(86a)と連通している。第2シリンダ(82b)には、第2吸入管(76)が径方向に挿通され、第2吸入管(76)の流出端が第2シリンダ室(86b)と連通している。また、第1シリンダ室(86a)には、フロントヘッド(90)を貫通する第1吐出ポート(77)の流入端が開口している。第2シリンダ室(86b)には、リアヘッド(92)を貫通する第2吐出ポート(78)の流入端が開口している。第1吐出ポート(77)及び第2吐出ポート(78)は、圧縮室(45)で圧縮された冷媒が流出する吐出口を構成している。
第1ピストン(83a)は、第1偏心部(26)に外嵌する環状に形成され、第1シリンダ室(86a)に収容されている。第2ピストン(83b)は、第2偏心部(27)に外嵌する環状に形成され、第2シリンダ室(86b)に収容されている。これにより、各ピストン(83a,83b)は、シリンダ室(86a,86b)の内周面と摺接しながら偏心部(26,27)と共に偏心回転運動を行うように構成されている。
一対の第1ブッシュ(84a)は、第1シリンダ(82a)に形成された円形の第1ブッシュ溝(87a)に内嵌し、一対の第2ブッシュ(84b)は、第2シリンダ(82b)に形成された円形の第2ブッシュ溝(87b)に内嵌している。一対のブッシュ(84a,84b)は、ブッシュ溝(87a,87b)の内周面に摺接する円弧面とフラットな面とを有し、対となるフラットな面が互いに向かい合うように構成されている。そして、一対のブッシュ(84a,84b)の各フラットな面の間には、ブレード(85a,85b)が挿通している。
各ブレード(85a,85b)は、シリンダ(82a,82b)の径方向に延びている。第1ブレード(85a)は、一端部が一対の第1ブッシュ(84a)の間に係合し、他端部が第1ピストン(83)の外周面に連接している。第2ブレード(85b)は、一端が一対の第2ブッシュ(84b)の間に係合し、他端部が第2ピストン(83b)の外周面に連接している。各ブレード(85a,85b)は、シリンダ室(86a,86b)を、吸入管(75,76)と連通する吸入側(低圧側)の空間と、吐出ポート(77,78)と連通する吐出側(高圧側)の空間とに仕切っている。
以上のような構成の各回転式圧縮機構部(81a,81b)では、ピストン(83a,83b)がシリンダ室(86a,86b)を偏心回転すると共に、ブレード(85a,85b)がブッシュ(84a,84b)の間を進退し且つブッシュ(84a,84b)がブッシュ溝(87)で揺動する。その結果、吸入管(75,76)よりシリンダ室(86a,86b)内に吸入された冷媒が圧縮され、圧縮された冷媒が吐出ポート(77,78)へ流出する。
上述したリアヘッド(92)側には、第1マフラー室(101)が形成されている。具体的には、リアヘッド(92)の下面には、略環状の第1溝部(92b)が形成されている。また、リアヘッド(92)には、第1溝部(溝部(92b))の下側の開口端を塞ぐように、環状の第1カバー板((カバー部材)(93))が取り付けられている。これにより、リアヘッド(92)側には、第1溝部(92b)と第1カバー板(93)との間に、上記第1マフラー室(101)が形成されている。第1マフラー室(101)には、第2吐出ポート(78)の流出端が開口している。そして、第1マフラー室(101)は、冷媒の流路断面を拡大して冷媒の脈動音を低減するためのマフラー空間を構成している。また、上記第1溝部(92b)と第1カバー板(93)とは、リアヘッド(92)側に第1マフラー室(101)を区画するための下側マフラ部を構成している。
また、上述したフロントヘッド(90)側には、第2マフラー室(102)が形成されている。具体的には、フロントヘッド(90)の上面には、略環状の第2溝部(90b)が形成されている。また、フロントヘッド(90)には、第2溝部(90b)の上側の開口端を塞ぐように、略環状の第2カバー板(94)が取り付けられている。第2カバー板(94)は、径方向内方側に形成される傾斜部(94a)と、径方向外方側に形成される平板部(94b)とを有している。傾斜部(94a)は、上側に向かうに連れて内径を縮小させるような、中空の台形円錐状に形成され、その内部を軸受け部(90a)が貫通している。また、平坦部(94b)は、内縁部が傾斜部(94a)の下端部と連接する一方、外縁部がフロントヘッド(90)に形成された段部に嵌り込んで保持されている。
そして、フロントヘッド(90)側には、第2溝部(90b)と第2カバー板(94)との間に、上記第2マフラー室(102)が形成されている。第2マフラー室(102)には、第1吐出ポート(77)の流出端が開口している。そして、第2マフラー室(102)は、冷媒の流路断面を拡大して冷媒の脈動音を低減するための補助マフラー空間を構成している。また、上記第2溝部(90b)と第2カバー板(94)とは、フロントヘッド(90)側に第2マフラー室(102)を区画するための上側マフラ部を構成している。
更に、第2カバー板(94)の上側には略環状の第3カバー板(95)が取り付けられている。第3カバー板(95)は、内側平板部(95a)と中間傾斜部(95b)と外側平板部(95c)とを有している。内側平板部(95a)は、第3カバー部(95)の径方向内方側の部位に形成され、その内部を軸受け部(90a)が貫通している。また、外側平板部(95c)は、第3カバー部(95)の径方向外方側の部位に形成され、その外縁部が上記段部に嵌り込んで保持されている。中間傾斜部(95b)は、下側に向かうに連れて内径を拡大させるような中空の台形円錐状に形成されており、内側平板部(95a)の外縁部と外側平板部(95c)の内縁部とに連接している。
以上のようにして、第3カバー板(95)と第2カバー板(94)との間には、第3マフラー室(103)が形成されている。第2カバー板(94)には、第2マフラー室(102)内の冷媒を第3マフラー室(103)へ流出させる第1流出口(図示省略)が形成されている。また、第3カバー板(95)には、第3マフラー室(103)内の冷媒をモータ収容室(50)へ流出させる第2流出口(図示省略)が形成されている。
実施形態2では、第1マフラー室(101)と第2マフラー室(102)とが2つの冷媒案内流路(C)で接続されている。つまり、これらの冷媒案内流路(C)の一端は、第1マフラー室(101)に分岐するように繋がっている。また、これらの冷媒案内流路(C)の他端は、第2マフラー室(102)及び第3マフラー室(103)を介してモータ収容室(50)と繋がっている。各冷媒案内流路(C)は、リアヘッド(92)、第2シリンダ(82b)、ミドルプレート(91)、第1シリンダ(82a)、及びフロントヘッド(90)を軸方向に連続的に貫通して形成されている。また、各冷媒案内流路(C)は、流路断面が円形状をしている(図5を参照)。本実施形態では、2つの冷媒案内流路(C)の長さが概ね同じ長さに設定されている。しかしながら、上記実施形態1と同様にして、2つの冷媒案内流路(C)を異なる長さに設定するようにしても良い。
−運転動作−
次に、実施形態2に係る圧縮機(10)の運転動作について説明する。
図4に示す駆動モータ(30)が通電されると、ステータ(31)に対してロータ(32)が回転し、これに伴い駆動軸(20)が回転する。駆動軸(20)が回転すると各偏心部(26,26)が偏心回転し、これに伴い各ピストン(83a,83b)が各シリンダ室(86a,86b)の内周面に沿うように回転する。
このようにしてピストン(83a,83b)が回転すると、各吸入管(75,76)から各シリンダ室(86a,86b)へ冷媒が吸入される。各シリンダ室(86a,86b)では、ピストン(83a,83b)とブレード(85a,85b)によって区画される空間の容積が変化することで、冷媒が圧縮される。高圧側の空間の冷媒の圧力が所定値以上になると、各吐出ポート(77,78)のリード弁(図示省略)が開放され、高圧の冷媒が各吐出ポート(77,78)を流出する。
第1吐出ポート(77)からは第2マフラー室(102)へ冷媒が流出する。第2マフラー室(102)では、冷媒の流路断面積が拡大されることで、冷媒の脈動音が低減される。また、第2吐出ポート(78)からは第1マフラー室(101)へ冷媒が流出する。第1マフラー室(101)においても、冷媒の流路断面積が拡大されることで、冷媒の脈動音が低減される。
第1マフラー室(101)内の冷媒は、2つの冷媒案内流路(C)に分流する。各冷媒案内流路(C)を流れる冷媒は、上方へ案内されて第2マフラー室(102)へ流入する。その結果、この冷媒の脈動が更に低減される。そして、第2マフラー室(102)では、第1回転式圧縮機構部(81a)の吐出冷媒と、第2回転式圧縮機構部(81b)の吐出冷媒とが合流する。第2マフラー室(102)で合流した冷媒は、第1流出口を通じて第3マフラー室(103)へ送られ、脈動音が更に低減された後、第2流出口を通じてモータ収容室(50)へ送られる。モータ収容室(50)へ流出した冷媒は、駆動モータ(30)のエアギャップ通路を上方に流れ、吐出管(15)よりケーシング(11)の外部へ吐出される。
このような実施形態2の圧縮機(10)の運転時においても、第2吐出ポート(78)より第1マフラー室(101)へ吐出された冷媒は、2つの冷媒案内流路(C)へ分流する。このため、各冷媒案内流路(C)では、例えば1つの冷媒案内流路しか形成しない場合と比較して、各々の冷媒の流速が小さくなる。その結果、各冷媒案内流路(C)では、冷媒の脈動に起因する振動/騒音が分散されて低減される。
なお、実施形態2において、上記実施形態1と同様にして各冷媒案内流路(C)の流路長さが互いに不一致とすると、各冷媒案内流路(C)の固有振動数の位相をずらすことができる。従って、このようにすることで、各冷媒案内流路(C)での共振が回避されるので、冷媒の圧力脈動に起因する振動/騒音の低減が更に図ることができる。
また、上記実施形態2では、冷媒案内流路(C)の流出側において、第2マフラー室(102)を区画するための第2カバー板(94)をフロントヘッド(90)に取り付けている。ここで、仮に冷媒案内流路(C)が一本である場合、冷媒案内流路(C)を流出した冷媒の圧力によって第2カバー板(94)が加振され易くなり、第2カバー板(94)の近傍での振動/騒音が発生し易くなる。これに対し、上記実施形態2では、冷媒案内流路(C)を複数としているため、第2カバー板(94)に作用する冷媒の圧力が分散される。その結果、第2カバー板(94)が加振されることが回避されるので、第2カバー板(94)での振動や騒音を低減することができる。
なお、上記実施形態2に係る圧縮機構は、シリンダ内のピストンがブレードに一体的に連結されて該ピストンがシリンダ内を揺動するように偏心回転運動を行うものであるが、これに代わってピストンとブレードを別体とした、いわゆるローリングピストン式の圧縮機構を構成するようにしても良い。
〈その他の実施形態〉
上記各実施形態では、ケーシング(11)内に2つの冷媒案内流路(C)を形成しているが、冷媒案内流路(C)を3つ以上形成するようにしても良い。
また、上記各実施形態では、複数の冷媒案内流路(C)の流路の断面積を同じに設定しているが、複数の冷媒案内流路(C)の流路の断面積を異なるように設定しても良い。この場合にも、各冷媒案内流路(C)における固有振動数の位相を不一致とさせることができ、各冷媒案内流路(C)での共振を回避することができる。この場合には、複数の冷媒案内流路(C)の流路長さを同じ長さとしても良い。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、圧縮機の振動及び騒音対策について有用である。
図1は、実施形態1に係るスクロール式の圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。 図2は、図1のハウジングを上方から視た平面図である。 図3は、ガスガイド板の構成を示す斜視図である。 図4は、実施形態2に係る2シリンダ式の圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。 図5は、回転式圧縮機構部の横断面図である。
10 圧縮機
11 ケーシング
30 駆動モータ
40 圧縮機構(スクロール式の圧縮機構)
50 モータ収容室
52 吐出ポート(吐出口)
55 チャンバー室(マフラー空間)
60 ガスガイド板(案内部材)
77 第1吐出ポート(吐出口)
78 第2吐出ポート(吐出口)
80 圧縮機構(2シリンダ式の圧縮機構)
81a 回転式圧縮機構部(上側回転式圧縮機構部)
81b 回転式圧縮機構部(下側回転式圧縮機構部)
90b 第2溝部(上側マフラー部、溝部)
92b 第1溝部(下側マフラー部)
93 第1カバー板(下側マフラー部)
94 第2カバー板(上側マフラー部、カバー部材)
101 第1マフラー室(マフラー空間)
102 第2マフラー室(補助マフラー空間)
C 冷媒案内流路

Claims (8)

  1. ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に収容される圧縮機構(40,80)と、該ケーシング(11)内のモータ収容室(50)に収容されて上記圧縮機構(40,80)を駆動する駆動モータ(30)とを備えた圧縮機であって、
    上記ケーシング(11)内には、上記圧縮機構(40,80)の吐出口(52,78)と接続するマフラー空間(55,101)と、一端が該マフラー空間(55,101)に分岐するように繋がり、他端が上記モータ収容室(50)と繋がる複数の冷媒案内流路(C)が形成されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記複数の冷媒案内流路(C)は、冷媒の流路の長さがそれぞれ異なっていることを特徴とする圧縮機。
  3. 請求項1において、
    上記複数の冷媒案内流路(C)は、冷媒の流路の断面積がそれぞれ異なっていることを特徴とする圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    上記圧縮機構(40,80)は、スクロール式の圧縮機構(40)で構成されていることを特徴とする圧縮機。
  5. 請求項4において、
    上記モータ収容室(50)には、上記冷媒案内流路(C)の流出端に臨むように配置されて、冷媒の流れ方向を所定方向へ変更させる案内部材(60)が設けられていることを特徴とする圧縮機。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    上記圧縮機構(40,80)は、冷媒をそれぞれ圧縮する2つの回転式圧縮機構部(81a,81b)が上下に配設される2シリンダ式の圧縮機構(80)で構成され、
    下側の回転式圧縮機構部(81b)の吐出口(78)と接続する上記マフラー空間(101)を区画する下側マフラー部(92b,93)を更に備えていることを特徴とする圧縮機。
  7. 請求項6において、
    上側の回転式圧縮機構部(81a)の吐出口(77)と接続する補助マフラー空間(102)を区画すると共に該補助マフラー空間(102)の冷媒を上記モータ収容室(50)へ流出させる流出口が形成される上側マフラー部(90b,94)を更に備え、
    上記複数の冷媒案内流路(C)は、上記下側マフラー部(92b,93)のマフラー空間(101)と上記上側マフラー部(90b,94)の補助マフラー空間(102)との間に接続されていることを特徴とする圧縮機。
  8. 請求項7において、
    上記上側マフラー部(90b,94)は、上記上側回転式圧縮機構部(81a)の表面に形成される溝部(90b)と、該溝部(90b)を覆うように該上側回転式圧縮機構部(81a)に取り付けられるカバー部材(94)とを有し、該カバー部材(94)と溝部(90b)との間に上記補助マフラー空間(102)を区画するように構成されていることを特徴とする圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015155673A (ja) * 2014-02-21 2015-08-27 パナソニックIpマネジメント株式会社 密閉型圧縮機および冷凍装置

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