JP2009190383A - 熱転写受像シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート(A)上に少なくとも中空粒子を含有する多孔質層(B)と、その上に加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)が形成された熱転写受像シートであって、受容層(C)が少なくとも染料染着性を共に有するスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、並びに離型剤(d)を含有しており、受像層(C)に含有されるスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)との重量比[(a)/(b)]が70〜90/30〜10であり、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)が150,000以上であり、樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中で造膜しないで粒子状で存在していることを特徴とする熱転写受像シート。
【選択図】なし
Description
熱転写受像シートを得る手段として、例えばグラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が知られている。しかしながら、この方法は、各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるという問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを得るため、同時に複数の層を形成する方法等が注目を浴びている。
近年、このような染料拡散を利用した熱転写記録方式において、印画速度が高速化される一方、高い染料染着性を維持して、熱転写時に熱転写シートとの離型性にも優れ、かつ紫外線照射下での色彩変化の少ない耐光性にも優れる熱転写受像シートの製造が検討されている。
特許文献2には、基材上に、多孔質層及び受像層を有する熱転写受像シートにおいて、該多孔質層が中空粒子を含有し、該中空粒子の含有率が65質量%以上であって、かつ該多孔質層とそれに隣接する受像層側の層とが、同時重層塗布により形成されたことを特徴とする熱転写受像シートが開示されている。
特許文献3には、水溶性樹脂を最表層に有するインクジェット記録媒体が開示されており、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を主成分とする受容層用塗布液と、空隙率30%以上の中空粒子を含有する最下層塗布液とを同時塗布することについて記載されている。
特許文献4には、支持体上に、ポリマーラテックスを含有する受容層と中空ポリマーを含有する多孔質層が塗設された感熱転写受像シートが開示されている。該受容層には水溶性ポリマーの固形分含有率が0.2質量%〜30質量%であり、またポリマーラテックスの中でも塩化ビニル類が好ましいこと、およびこのような感熱転写受像シートは転写画像の経時変化が小さい記録画像を形成することができると記載されている。
本発明は、基材上に少なくとも受容層と多孔質層とが形成され、該受容層が水系塗工液から形成されて、印画物の高感度性を満足し、更に離型性及び耐光性が改良された熱転写受像シートを提供することを目的とする。
(1)基材シート(A)上に少なくとも中空粒子を含有する多孔質層(B)と、その上に加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)が形成された熱転写受像シートであって、受容層(C)が少なくとも染料染着性を共に有するスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、並びに離型剤(d)を含有しており、
受像層(C)に含有されるスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)との重量比[(a)/(b)]が70〜90/30〜10であり、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)が150,000以上であり、樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中で造膜しないで粒子状で存在していることを特徴とする熱転写受像シート。
(2)受像層(C)を形成するスチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレン単位が50〜70モル%であることを特徴とする、前記(1)に記載の熱転写受像シート。
(3)受像層(C)を形成する樹脂フィラー(b)が塩化ビニル−アクリル系共重合体であり、該共重合体中の塩化ビニル単位が75〜95モル%であり、かつガラス転移温度(Tgb)が60〜100℃であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の熱転写受像シート。
(4)受像層(C)を形成する冷却ゲル化剤(c)がゼラチンである、前記(1)ないし(3)のいずれかの1に記載の熱転写受像シート。
(5)受像層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(c)2〜30重量%、及び離型剤(d)2〜30重量%含有していることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかの1に記載の熱転写受像シート。
(6)中間層(B)が少なくとも中空粒子(e)及び冷却ゲル化剤(f)及びを含有していることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の熱転写受像シート。
また、本発明の熱転写受像シートは、スライドコート法により基材シート(A)上に受容層(C)を形成する水系の塗工液と多孔質層(B)を形成する水系の塗工液を同時重層塗布することができるので、塗布後の冷却、乾燥により、迅速にセットさせることが可能であるので製造が容易である。
また、本発明の熱転写受像シートは、その表面近傍に造膜していない粒子状樹脂フィラー(b)が存在する受容層(C)を使用するので、上記熱転写受像シートに熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シートを加熱して熱移行性染料を熱転写シートから熱転写受像シートに熱転写する際に、受容層(C)表面近傍の樹脂フィラー(b)が溶融して受容層(C)表面を平滑化するので、熱転写シートとの離型性に極めて優れている。
〔1〕「熱転写受像シート」について
第1の態様である「熱転写受像シート」は、基材シート(A)上に少なくとも中空粒子を含有する多孔質層(B)と、その上に加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)が形成された熱転写受像シートであって、受容層(C)が少なくとも染料染着性を有するスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、並びに離型剤(d)を含有しており、受像層(C)に含有されるスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)との重量比[(a)/(b)]が70〜90/30〜10であり、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)が150,000以上であり、樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中で造膜しないで粒子状で存在していることを特徴とする。
以下本発明の熱転写受像シートを構成する各層について説明する。
受容層(C)は、加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する層であり、少なくとも染料染着性を共に有するスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、並びに離型剤(d)から形成されており、受像層(C)を形成するスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)との重量比[(a)/(b)]が70〜90/30〜10であり、前記スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)が150,000以上であり、樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中で造膜しないで粒子状で存在している。
また、該受容層(C)を形成する塗工液(以下、受容層形成用塗工液ということがある)が該多孔質層(B)を形成する塗工液(以下、多孔質層形成用塗工液ということがある)とともにスライドコート法により基材シート(A)上に塗布することが可能である。
本発明において受容層形成塗工液は、水系溶媒中に少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)、樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、及び離型剤(d)を含有させて形成させることが望ましいので、スチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)は、共にポリマーラテックスとして該水系溶媒に分散分散させたものを使用することが望ましい。
ここで、上記「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を例示することができる。
本発明に用いられる受容層(C)に含有される樹脂であるスチレン−アクリル系共重合体(a)は、染料染着性を有するものであり、かつ上記したようにポリマーラテックスとして受容層形成用塗工液に添加されることが望ましい。
なお、本明細書において、「アクリル系化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、モノマーとして長鎖のアクリル系化合物が使用されている場合、耐光性が顕著に向上する。
一方、前記スチレン単位70モル%以下で優れた離型性と染料染着性が得られる。
また本発明に用いられるスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)は、加工性等を考慮すると20℃以上であるものが好ましく、30℃以上であるものがより好ましく、40℃以上であるものが更に好ましい。尚、後述するように、スチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)は、樹脂フィラー(b)のガラス転移温度(Tga)範囲60〜100℃より低ければよい。
尚、本発明においては、スチレン−アクリル系共重合体(a)ラテックスのガラス転移温度と最低造膜温度との関係においては、最低造膜温度がガラス転移温度より高いものが好ましい。
スチレン−アクリル系共重合体(a)はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。前記スチレン−アクリル系共重合体(a)は数平均分子量(ポリスチレン換算)150,000以上である。前記分子量が150,000未満では、離型性が低下するという不都合を生ずる。尚、スチレン−アクリル系共重合体(a)は数平均分子量(ポリスチレン換算)の上限は、重合条件等から実用上250,000程度である。
尚、本発明において「水系」とは該塗工液中の50質量%以上が水、又は水と均一に混和し得る有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等)との混合溶液であることをいう。
乳化重合法は、水、又は水及び水と均一に混和し得る上記有機溶媒との混合溶液を分散媒とし、分散媒100部に対し、例えば10〜150重量部のスチレンとアクリル系モノマー、乳化剤と重合開始剤等を用い、20〜100℃の温度で、1〜25時間、攪拌下に重合させる重合法である。
重合開始剤としては無機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル剤を用いることができる。重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対して0.2〜3.0重量部使用されることが好ましい。
重合乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。重合乳化剤の添加量は、モノマー100重量部に対して0.2〜10.0重量部使用されることが好ましい。また、乳化重合法には、連鎖移動剤やキレート剤を使用することができる。
樹脂フィラー(b)は、スチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中に造膜しないで粒子状で存在しており、更に熱転写時に、受容層(C)の表面近傍に存在する粒子状樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)と共に染着され、かつ溶融される結果、受容層(C)表面が平滑化される、ものであればとくに制限がなく使用することができる。
このような樹脂フィラー(b)の例として、塩ビ系の共重合体を挙げることが出来る。塩ビ系の共重合体とは、塩化ビニルモノマーと他のモノマーとから共重合反応により形成されるものであり、該他のモノマーとしては、オレフィン類、α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類、α,β−不飽和カルボン酸エステル類、不飽和ニトリル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン及びその誘導体、その他の重合性単量体が例示できる。
上記共重合体の中でも、塩化ビニル−アクリル系共重合体が好ましく、更に、該塩化ビニル−アクリル系共重合体の塩化ビニル単位が75〜95モル%であることがより好ましい。
上記重合で得られる樹脂フィラー(b)は、スチレン−アクリル系共重合体(a)と同様にランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。また樹脂フィラー(b)の数平均分子量(ポリスチレン換算)は、製造条件等から40,000ないし100,000程度である。
樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中に造膜しないで粒子状で存在している。このような樹脂フィラー(b)のガラス転移温度(Tgb)は60〜100℃が好ましい。
受容層(C)における染料の染着性、耐熱性、耐光性等の観点から、スチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)は、受容層(C)中に50〜95重量%含有されていることが好ましく、65〜95質量%がより好ましく、80〜92質量%が特に好ましい。
なお、本発明においては、上記受容層形成用樹脂には本発明の効果を損なわない範囲で第3の樹脂を添加してもよく、スチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)においてそれぞれ平均分子量等が異なる2種以上を用いてもよい。
本発明に用いられる冷却ゲル化剤(b)は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、本発明の熱転写受像シートは、基材シート(A)上に、冷却ゲル化剤を含む水系の受容層(C)を含む複数の水系の層を同時に形成する、例えばスライドコート法により製造することができるので、高効率で製造することが可能となる。
冷却ゲル化剤(c)としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等を挙げることができるが、ゼラチンが好ましい。冷却ゲル化剤(c)は、水に溶解した状態での15℃における粘度が80℃における粘度に対して、3倍以上、特に5倍以上、さらには10倍以上であるものが好ましい。
受容層(C)には、上記のスチレン−アクリル系共重合体(a)と冷却ゲル化剤(b)に離型剤(d)を含有させる。受容層(C)に離型剤(d)を添加することにより、熱転写受像シートを熱転写させる際に、熱転写シートとの融着を防ぐ効果がある。
受容層(C)に用いられる離型剤(d)としては、従来公知の離型剤、例えば、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤(d)は変性シリコーンであり、具体的には、下記(イ)ないし(ヘ)に示すもの等が挙げられる。
(イ)変性シリコーンオイル側鎖型
(ロ)変性シリコーンオイル両末端型
(ハ)変性シリコーンオイル片末端型
(ニ)変性シリコーンオイル側鎖両末端型
(ホ)シリコーングラフトアクリル樹脂
(ヘ)メチルフェニルシリコーンオイル
上記以外に、本発明における受容層(C)に添加することができる任意の添加剤としては、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等を挙げることができる。
界面活性剤は、受容層をスライドコート法等により形成する際に、疎水性化合物の分散性を向上する作用を有する。このような界面活性剤としては、リン酸エステル型界面活性剤等種々の界面活性剤を使用することができる。尚、界面活性剤の添加量は,上記作用を効果的に発揮させるために、固形分ベースで受容層(C)中に0.5〜3質量%程度含有されていることが望ましい。
上記したように、受容層(C)には少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(c)2〜30重量%、及び離型剤(d)2〜30重量%含有されていることが好ましい。
本発明に用いられる受容層(C)の厚みは、受容層を形成する樹脂(スチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b))(以下、受容層形成樹脂ということがある)の種類に応じて所望の画像濃度を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜15μmが更に好ましい。
本発明に用いられる多孔質層(B)は、基材シート(A)上に形成されるものであり、少なくとも中空粒子(e)および冷却ゲル化剤(f)を含み、本発明の熱転写受像シートを用いて熱転写シートから熱転写により画像を形成する際に、サーマルヘッドから受容層(C)に加えられた熱が、基材シート(A)側へ伝熱するのを抑制する断熱性とクッション性を有するものである。
本発明の熱転写受像シートに、このような多孔質層(B)を用いることにより、熱転写受像シートの印画特性をより優れたものとすることができる。
本発明に用いる中空粒子(e)は多孔質層(B)に断熱性とクッション性を付与する機能を有するものである。
本発明に用いられる中空粒子(e)としては、多孔質層(B)に所望の断熱性およびクッション性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。従って、本発明に用いる中空粒子(e)は発泡粒子もしくは非発泡粒子であってもよく、また、独立発泡粒子もしくは連続発泡粒子であってもよい。更に、多孔質層(B)に用いる中空粒子(e)は、樹脂等から構成される有機系中空粒子もしくはガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよく、また、架橋中空粒子であってもよい。
中空粒子(e)の平均粒径は、中空粒子(e)を構成する樹脂の種類等に応じて、多孔質層(B)に所望の断熱性およびクッション性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜15μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子(e)の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な多孔質層(B)を形成することが困難になる場合がある。これらの中空ポリマーは、中空率が30〜80%程度のものが好ましく、また中空率が2種以上のものを混合して使用することもできる。
本発明に用いられる冷却ゲル化剤(f)は、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、本発明の熱転写受像シートを、基材シート(A)上に冷却ゲル化剤を含有する水系の受容層(C)と多孔質層(B)とを含む複数の層を同時に形成できるので、例えばスライドコート法により高効率で製造するが可能になる。
このような冷却ゲル化剤(f)としては、冷却ゲル化特性を備えるものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる多孔質層(B)は、少なくとも上記冷却ゲル化剤(e)および中空粒子(d)を含有するものであるが、必要に応じて任意の添加剤を含有させることができる。上記任意の添加剤として多孔質層(B)に含有させることができるものとしては、例えば、冷却ゲル化剤(e)は多孔質層形成用のバインダーとして作用しているが更に他の多孔質層形成用バインダー、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、分散剤等を挙げることができる。
上記他の多孔質層形成用バインダーとしては、通常、水系樹脂が用いられる。このような水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の熱転写受像シートを用いて画像を形成する際に、多孔質層(B)は、サーマルヘッドから受容層(C)に加えられた熱が、基材シート(A)側に伝熱される熱量を少なくする断熱性を有するものである。本発明に用いられる多孔質層(B)が備える断熱性は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。ここで、多孔質層(B)の断熱性は、例えば、多孔質層(B)の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。
また、上記多孔質層(B)の断熱性は、多孔質層(B)の空隙率によっても制御することができる。ここで、本発明に用いられる多孔質層(B)の空隙率は、15〜80%の範囲内であることが好ましい。なお、上記空隙率は、(中空粒子の空隙率)×(多孔質層(B)における中空粒子の含有率)で表される値を指すものとする。
本発明に用いられる多孔質層(B)は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。ここで、複数の層が積層された構成を有する多孔質層(B)としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、あるいは、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。なかでも本発明に用いられる多孔質層(B)は、組成の異なる2層が積層された構成を有するものであることが好ましい。このような構成とすることにより、さらに機能的な多孔質層(B)を得ることが可能となる。
本発明に用いられる基材シート(A)は、上述した多孔質層(B)及び受容層(C)を支持する機能を有するものである。基材シート(A)としては、熱転写シートから熱転写により画像を形成する際の印画温度等に応じて、所望の耐熱性を備えるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、レジンコート紙、樹脂製フィルム基材、および紙製基材等を挙げることができ、なかでもレジンコート紙が好ましい。
(i)レジンコート紙
レジンコート紙は、通常、基紙の両面に基材樹脂層が積層されたものである。上記基紙を構成する原紙としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、なかでも木材パルプを主成分とする紙を用いることが好ましい。また、上記原紙は、必要に応じて後述するカレンダー処理等の従来公知の処理を施したものであってもよい。
上記基紙は、厚みが例えば10μm〜1000μmが例示でき、この中でも50μm〜300μmがより好ましい。
上記基材樹脂層を形成するための樹脂としては、ネックインが小さく、ドローダウン性が良好な樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリウレタン等を挙げることができ、耐水性、強度、光沢等に優れたフィルムが得られる点で、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等を挙げることができ、中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
上記レジンコート紙は、例えばドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等の公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
上記レジンコート紙の厚みは、全体で、例えば10μm〜1000μmが例示でき、この中でも50μm〜300μmがより好ましい。
本発明に用いられる樹脂製フィルム基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等を挙げることができる。なかでも本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン樹脂を好適に用いることができる。
上記樹脂製フィルム基材の厚みとしては、例えば20μm〜100μmが例示でき、この中でも25μm〜60μmがより好ましく、30μm〜50μmが更に好ましい。
本発明に用いられる紙製基材としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、または、サイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙等を挙げることができる。
上記紙製基材の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば80μm〜400μmが例示でき、この中でも100μm〜300μmが好ましく、100μm〜210μmがより好ましい。
本発明の熱転写受像シートは、少なくとも基材シート(A)、受容層(C)、及び受容層(C)と基材シート(A)間に形成される多孔質層(B)、を有するものであるが、必要に応じて他の任意の構成を有するものであってもよい。このような他の構成としては、例えば、多孔質層(B)と基材シート(A)との間に形成される下引き層(D)、多孔質層(B)と受容層(C)との間に形成されるプライマー層(E)を挙げることができる。以下、本発明に用いられるこれらの各層について説明する。
本発明に用いることのできるプライマー層(E)は、多孔質層(B)と受容層(C)との間に形成されるものであり、本発明の熱転写受像シートの高温高湿度環境下における、染料の多孔質層(B)側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。プライマー層(E)はプライマー層(E)を形成する熱可塑性樹脂(以下、プライマー層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤と主体とする層、及びポリビニリアルコール(PVA)等の水溶性ポリマーを主体とする層から形成することも可能である。
(i)プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤と主体とする層
プライマー層(E)は、プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤を主体とする層から形成されるのが好ましい。尚、プライマー層形成樹脂は、冷却ゲル化剤と共に水系のプライマー層(E)を形成する塗工液(以下、プライマー層形成用塗工液ということがある)として、基材シート(A)上に多孔質層(B)と受容層(C)を形成する塗工液と共に、スライドコート法により形成されることが望ましいので、水系溶媒にエマルジョン化させて使用されるのが望ましい。
プライマー層形成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。本発明においては、これらの樹脂のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでもポリビニル系樹脂を用いることが好ましい。上記ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル化合物共重合体、エチレン−塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等を挙げることができる。
プライマー層(E)には冷却ゲル化剤が含まれることが好ましい。プライマー層(E)に用いる冷却ゲル化剤は、上記「(1)受容層(C)」の項において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
プライマー層(E)として、上記プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤とを含むものを用いる場合、プライマー層形成樹脂と冷却ゲル化剤との比率は、上記プライマー層(E)を形成する際に、プライマー層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。例えば、プライマー層形成用塗工液において、冷却ゲル化剤が固形分中に1〜50質量%の割合で含有されていることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有量が上記範囲未満であると、例えば、上記受容層形成用塗工液を上記基材シート上に塗布する際に、ムラなどが生じやすくなる場合があり、一方、上記範囲を超えると、例えば、他の層との密着性が低下する場合がある。より好ましい冷却ゲル化剤の含有量は2〜40質量%であり、さらに好ましい含有量は4〜75質量%である。
プライマー層(E)形成に用いることのできる水溶性ポリマーとして、アクリル系ポリマーとしてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、及びこれらの共重合体など、ビニル系ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体など、その他のポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、水溶性ポリエステルなどである。
上記水溶性ポリマーのうち、ポリビニルアルコール、その完全けん化物、部分けん化物、及び変性ポリビニルアルコールが好適に用いられる。ポリビニルアルコールは、添加剤によって粘度調整、粘度安定化等が可能となる。
プライマー層(E)には、上記プライマー層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等が含まれていてもよい。
(iv)プライマー層(E)の厚み
上記プライマー層(E)の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmが更に好ましい。
本発明に用いることのできる下引き層(D)は、基材シート(A)と多孔質層(B)との間に形成され、基材シート(A)と多孔質層(B)との接着性を向上させる機能を有するものである。
下引き層(D)としては、基材シート(A)と多孔質層(B)との密着性を所望の程度に向上できるものであれば特に限定されるものではないが、(i)下引き層を形成する樹脂(以下、下引き層形成樹脂ということがある)と冷却ゲル化剤と主体とする層から形成されるのが好ましいが、(ii)水溶性ポリマー等を用いることも可能である。
尚、下引き層(D)における(i)下引き層形成樹脂と冷却ゲル化剤、及び(ii)水溶性ポリマー等は、前記プライマー層(E)に記載した、プライマー層形成樹脂、冷却ゲル化剤、水溶性ポリマーとそれぞれ同様であるので、記載は省略する。
なお、下引き層(D)には、上記下引き層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を挙げることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。
下引き層形成用塗工液中の固形分濃度としては、例えば1質量%〜50質量%の範囲内、2質量%〜10質量%がより好ましい。固形分濃度が低すぎると、乾燥時間が長くなる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する不都合が生ずる場合がある。
本発明の熱転写受像シートは、グラビア方式、カーテン方式、スライド方式などにより製造することが可能である。
本発明の熱転写受像シートは、上記したように、少なくとも多孔質層(B)、受容層(C)等をそれぞれ水系の多孔質層形成用塗工液、受容層形成用塗工液として、基材シート(A)上に同時に形成することができるので、上記製造法の中でもスライドコート法により製造することが好ましい。スライドコート法を採用することにより、製造が極めて容易で、高効率の製造が可能となる。以下に熱転写受像シートの製造方法の具体例として、スライドコート法について説明するが、以下の記載は、グラビア方式、カーテン方式にも応用することが可能である。
次に、本発明の熱転写受像シートの具体例として、スライドコート法について説明する。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、(i)少なくとも多孔質層形成用塗工液、及び受容層形成用塗工液を含む複数の層を基材シート(A)上に同時に塗布する同時多層塗布工程、(ii)該基材シート(A)上に形成された複数の層からなる塗膜を冷却する冷却処理工程、及び(iii)該冷却処理工程において冷却され塗膜を、乾燥する乾燥工程、により製造することができる。
以下、上記の各工程について順に説明する。
1.同時多層塗布工程
同時多層塗布工程は、上記したように、基材シート(A)上に少なくとも多孔質層形成用塗工液、及び受容層形成用塗工液を含む複数の層を同時に塗布する工程である。
同時多層塗布工程に用いられる受容層形成用塗工液は、少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、及び離型剤(d)を含有するものである。
ここで、同時多層塗布工程に用いられるスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、及び離型剤(d)については、上記「〔1〕熱転写受像シート、(1)受容層(C)」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程に用いられる受容層形成用塗工液は水系のものであることから、水系溶媒を用いる。ここで、同時多層塗布工程に用いられる「水系溶媒」とは、前記した通りである。
尚、本発明において、受容層形成用塗工液等の粘度は、例えば、小型振動式粘度計(VIBRO VISCOMETER CJV5000, A&D社製)を用いて測定することができる。同時多層塗布工程に用いられる受容層形成用塗工液の固形分濃度としては、粘度を所望の程度にできる範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも10質量%〜50質量%の範囲内、なかでも10質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶液の粘度が低下し、また乾燥時間が長くなり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇して塗工に不都合を生ずる。
上記受容層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤(c)以外に、上記受容層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質、および界面活性剤等を挙げることができる。このような添加剤については、上記「〔1〕熱転写受像シート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液は、少なくとも中空粒子(e)および冷却ゲル化剤(f)を含み、これらが水系溶媒に分散・溶解されたものである。
なお、上記多孔質層形成用塗工液に用いられる中空粒子(e)と冷却ゲル化剤(f)、及びこれらの配合割合については、上記「〔1〕熱転写受像シート、(2)多孔質層(B)」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。また、上記水系溶媒についても上記受容層形成用塗工液に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液の固形分濃度は、粘度を上記した範囲内の調整できれば特に限定されるものではないが、10質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。前記固形分濃度が10質量%未満では、溶液粘度が低くなって塗工の際に不都合を生じ、また乾燥に時間がかかる、一方、50質量%を越えると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇して塗工の際に不都合が生ずる可能性がある。
同時多層塗布工程に用いられる多孔質層形成用塗工液には、上記中空粒子(e)および冷却ゲル化剤(f)以外の他の添加剤が含まれていてもよい。このような他の添加剤としては、多孔質層形成用バインダー、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
ここで、これらの添加剤については上記「〔1〕熱転写受像シート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程に用いられる基材シートは、該工程おいて形成される塗膜を支持する機能を有するものである。同時多層塗布工程に用いられる基材シートについては、上記「〔1〕熱転写受像シート」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
同時多層塗布工程において、上記基材シート上に、多孔質層形成用塗工液と受容層形成用塗工液に加えて、プライマー層形成用塗工液、及び/又は下引き層形成用塗工液を同時に塗布する場合、これらの塗工液が塗布時に互いに混合しないように、通常、隣接する塗工液間の表面張力の差が一定の範囲内となるように調整される。
上記プライマー層形成用塗工液は、多孔質層(B)と受容層(C)の間に設けられるプライマー層(E)を形成する。耐熱性に優れたプライマー層(E)を設けることで、高温高湿度環境下における画像保存の際に画像がぼけるのを抑制する作用を有する。
プライマー層形成樹脂としては、耐熱性を有し、かつ水系溶媒に分散・溶解可能で、ガラス転移温度が20℃以上であれば特に限定されるものではない。
同時多層塗布工程に用いられるプライマー層形成用塗工液としては、所定の性質を備えるプライマー層(E)を形成できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも同時多層塗布工程においては、プライマー層形成樹脂と、冷却ゲル化剤とを水系溶媒に分散・溶解させて表面張力や粘度を調製することにより、上記プライマー層形成用塗工液と同時に塗布される他の塗工液との混合を効果的に防止することができる。
同時多層塗布工程に用いられるプライマー層形成用塗工液の固形分濃度は、10質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましい。前記固形分濃度が10質量%未満では溶液粘度が低すぎ、また乾燥時間が長くなる可能性があり、一方、50質量%を超えると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇して塗工に不都合が生ずる可能性がある。
上記プライマー層形成用塗工液の粘度としては、同時多層塗布工程において多孔質層(B)上に同時に塗布される他の塗工液と混合しない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも該工程においては、40℃において1mPa・s〜100mPa・sの範囲内が好ましく、7mPa・s〜70mPa・sがより好ましく、10mPa・s〜50mPa・sが更に好ましい。
同時多層塗布工程に用いられる下引き層形成用塗工液は、基材シート(A)に接するように塗工され、基材シート(A)と多孔質層(B)との密着性を向上させるために設けられる下引き層(D)を形成するために用いることができる。下引き層(D)を設けることにより、本発明により製造される熱転写受像シートを基材シートと多孔質層(B)との密着性はより優れたものになる。
同時多層塗布工程に用いられる下引き層形成用塗工液としては、基材シート(A)と多孔質層(B)との密着性を所望の程度に向上できる下引き層(D)を形成できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも該工程においては、通常、下引き層形成樹脂と、冷却ゲル化剤とが水系溶媒に分散・溶解されたものを用いることが好ましい。このような組成の下引き層形成用塗工液を用いることにより、上記下引き層形成用塗工液と同時に塗布される他の塗工液と混合するのを効果的に防止することができる。
上記下引き層形成用塗工液に用いられる冷却ゲル化剤としては、上記下引き層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような冷却ゲル化剤としては、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
また、上記下引き層形成用塗工液に用いられる水系溶媒についても、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと、同様のものを用いることができる。
上記下引き層形成樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、上記下引き層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を挙げることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。
上記下引き層形成用塗工液の粘度としては、同時多層塗布工程において基材シート(A)上に同時に塗布される他の塗工液と混合しない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも該工程においては、40℃において1mPa・s〜40mPa・sの範囲内が好ましく、5mPa・s〜30mPa・sがより好ましく、7mPa・s〜25mPa・sが更に好ましい。
次に、基材シート(A)上に、多孔質層形成用塗工液、受容層形成用塗工液等を同時に塗布する方法について説明する。
同時多層塗布工程において上記基材シート上に、受容層を含む複数の層を同時に塗布する方法としては、各層の塗工液の表面張力と粘度を調製して、各層が交じり合うことなく、均一な厚みで各層を形成する塗工液を上下に重ねた状態のままスライドさせて塗布するスライドコート法により行うことが出来る。
同時多層塗布工程においては、上述した態様のなかでも、前記(iv)基材シート(A)上に下引き層(D)、多孔質層(B)、プライマー層(E)、受容層(C)をそれぞれ同時に塗布する態様が好ましい。このような態様によれば各層の密着性に優れ、印画感度に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
次に、本発明に用いられる冷却処理工程について説明する。該工程は、上記同時多層塗布工程において基材シート(A)上に形成された複数の塗膜を冷却する工程である。
冷却処理工程において基材シート(A)上に形成された複数の塗膜を冷却する方法としては、上記塗膜を所望の温度に冷却できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、冷却された基材シート(A)上に、上記塗膜を塗布する方法、上記基材シート(A)を搬送するロールの表面を冷却し、基材シート(A)を介して上記塗膜を冷却する方法、上記塗膜に冷風を吹き付ける方法、上記塗膜が形成された基材シートを所望の温度以下の室温に調整された冷却ゾーンを通過させる方法等を挙げることができる。なかでも該工程においては冷却された基材シート(A)上に、上記塗膜を塗布する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば上記基材シート(A)上に上記塗膜が塗布された直後に、当該塗膜を強制冷却することができるため、上記塗膜を構成する複数の層が混合することを防止できる。
また、冷却処理工程における冷却温度は、上述した冷却ゲル化剤の種類にも依存するものである。なかでも該工程においては、冷却温度は0℃〜30℃が好ましく、0℃〜25℃がより好ましく、さらに3℃〜20℃が特に好ましい。
次に、本発明に用いられる乾燥工程について説明する。該工程は上記冷却処理工程において冷却された複数の塗膜を、乾燥する工程である。該工程で、上記塗膜が乾燥されることにより、これらの塗膜を硬化させ、離型性に優れる受容層(C)を得ることができる。
乾燥工程において、上記冷却処理工程において冷却された塗膜を乾燥する温度は、30℃〜90℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。なお、該工程において上記塗膜を乾燥する方法としては、上記塗膜中に残留する水系溶媒を所定の時間内に所定量以下にできる方法であれば特に限定されるものではない。このような乾燥方法については、一般的に塗膜を乾燥する方法として公知の方法を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の熱転写受像シートに熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シートを加熱して昇華性染料を熱転写シートから熱転写受像シートに熱転写すると、熱転写受像シートの受容層(C)のスチレン−アクリル系共重合体(a)と粒子状樹脂フィラー(b)とが染着されると共に、受容層(C)の表面近傍に造膜していないで粒子状で存在する樹脂フィラー(b)が溶融して受容層(C)表面を平滑化する。このような現象を利用することにより、熱転写の際に熱転写受像シートの熱転写シートからの離型性が顕著に向上する。
試料の調製、及び受像シート等の評価方法について以下に記載する。
実施例1〜6でそれぞれ使用した共重合体はエマルジョン1〜6として、比較例1〜3でそれぞれ使用した共重合体はエマルジョン7〜9として、下記の方法により調製した。
(イ)共重合体(a)(スチレン−アクリル系共重合体)の調製
(i)エマルジョン1の合成
500mL三角フラスコに、スチレン103g、エチルアクリレート54g、ラウリルアクリレート41g、アクリル酸2g、乳化剤(第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10)1.9gを入れ、攪拌・混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどのモノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.2gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#150メッシュ(日本織物)にてろ過し、実施例のエマルジョン1を得た。分子量242273、Tg50℃。また、スチレン、エチルアクリレート、ラウリルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は58%、32%、10%となる。
表1に示す共重合体形成モノマー配合割合とした以外は、上記エマルジョン1と同様に共重合反応を行い、エマルジョン2〜9を合成した。反応時間については、薄層クロマトグラフィー(TLC)にてモノマーの存在が確認できなくなる、あるいは存在量が減少しなくなるまで行った。
(ロ)樹脂フィラー(b)
実施例1〜3、5、6、及び比較例2、3において、表1に示すモノマー単位からなる塩化ビニル−エチルアクリレート共重合体(日信化学工業(株)製、商品名:VB900)を使用した。
実施例4において、表1に示すモノマー単位からなる塩化ビニル−エチルアクリレート共重合体(日信化学工業(株)製、商品名:VB902)を使用した。
表1に記載の樹脂の分子量、ガラス転移温度の測定、および離型性の評価は、それぞれ以下の方法によって測定したものを用いた。
(イ)分子量(Mn)
GPC(HLC−8020;東ソー(株)製、展開溶媒;THF 流量;1.0mL/分 カラム;G2000HXL+G3000HXL+G5000HXL)により測定したポリスチレン換算による数平均分子量である。
(ロ)ガラス転移温度(Tg)
剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W、昇温速度3℃/分)により測定を行い、ピークが確認できる地点をTgとした。
作製した熱転写受像シートの評価方法は、以下の方法によった。
(イ)スティッキングと画像コゲの評価方法
作製した熱転写受像シートを昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)にて黒ベタ画像を印画し、その際に画像にコゲやスティッキング(剥離跡及び剥離音)などの画像不良が存在するかどうかを目視にて観察した。
コゲは、印画部に過度の熱がかかることによって、まさに焦げたように茶褐色に変色してしまうことである。また剥離跡は、インクリボン層と受容層樹脂が印画時の熱で融着して、インクリボンの巻上げの力によって、かろうじて剥離している状態である際に現れるものである。
官能評価の基準は下記の通りとした。
スティッキングの評価基準
○:剥離跡がない
×:剥離跡が存在する
画像コゲの評価基準
○:画像コゲがない
×:画像コゲが存在する
作製した熱転写受像シートを昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)にて、RGB値が15*n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画し、上記RGB値を示す式「15*n」のnに12、17をそれぞれ代入したものに相当する階調の濃度を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino )にて測定し、それぞれ11階調、18階調の画像濃度として示した。ただし、RGB値が高い階調ほど、高濃度の画像を得ることができる条件に相当する。
上記の印画条件で得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性の評価を行った。
(i)耐光性評価の条件
・照射試験器:アトラス社製Ci4000
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA
外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:300(kJ/m2)−420(nm)での積算値
次に、上記の耐光性条件の照射前後の光学反射濃度の変化を光学濃度計(グレタグマクベス社製、spectrolino)により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、L*、a*,b*を算出し、下記の色相変化式により色相変化(△E)を算出した。
(色相変化式)
△a=保存後のa*−保存前のa*
△b=保存後のb*−保存前のb*
としたとき、
△E=(△aの2乗+△bの2乗)の平方根
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート1作製
基材シートとしてRCペーパー(STF−150、三菱製紙社製)を用い、下記組成の多孔質層形成用塗工液1、受容層形成用塗工液1を50℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ30μm、5μmとなるように塗布し、5℃にて1分間冷却・ゲル化させ、50℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート1を得た。
・中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP-91)(固形分として) 70重量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として) 30重量部
・界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440)0.15重量部
・エマルジョン1(固形分として) 70重量部
・樹脂フィラー(VB900)(固形分として) 15重量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR)(固形分として) 15重量部
・シリコーン系離型剤(信越化学工業(株)製、商品名:KF615A) 10重量部
・界面活性剤(日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノール440) 1重量部
上記で作製した熱転写受像シートに付いて、(i)スティッキングと画像コゲの評価、(ii)画像濃度評価、及び(iii)耐光性評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
得られた熱転写受像シート1の受容層表面の電子顕微鏡写真(走査電子顕微鏡写真)を図1に示す。図1において、本発明の樹脂フィラー(b)に相当する共重合体(a)が熱転写受像シート1の表面に造膜しないで粒子状で存在していることが観察される。
(3)熱転写受像シート1の熱転写による評価
熱転写受像シート1に熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シートを加熱して昇華性染料を熱転写シートから熱転写受像シートに熱転写した。
熱転写の際に熱転写受像シート1の受容層表面近傍に存在する樹脂フィラー(b)が溶融して受容層(C)表面が平滑化されているのが観察された。
熱転写受像シート1の転写前の電子顕微鏡写真を図1に、転写後の電子顕微鏡写真を図2に示す。
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート2〜6の作製
実施例2〜6において、実施例1の受容層形成用塗工液1で使用したエマルジョン1の代わりに、前記エマルジョン2〜6から得られる共重合体(a)と樹脂フィラー(b)をそれぞれ使用して受容層形成用塗工液2〜6を調製した。
次に、実施例1の受容層形成用塗工液1の代わりに、実施例2〜6において受容層形成用塗工液2〜6を使用した以外は実施例1と同様にして熱転写受像シート2〜6を作製した。
(2)熱転写受像シート2〜6の評価
実施例1で熱転写受像シート1について行ったと同様に熱転写受像シート2〜5について評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
下記方法により熱転写受像シートを作製し、作製した熱転写受像シートの評価を行った。
(1)熱転写受像シート7〜9の作製
実施例1の受容層形成用塗工液1で使用した共重合体(a)と樹脂フィラー(b)の代わりに、比較例1において表1に示す共重合体(a)、比較例2において表1に示す樹脂フィラー(b)、比較例3において表1に示す共重合体(a)と樹脂フィラー(b)をそれぞれ使用して受容層形成用塗工液7〜9を調製した。
次に、実施例1の受容層形成用塗工液1の代わりに、比較例1〜3において受容層形成用塗工液7〜9を使用した以外は実施例1と同様にして熱転写受像シート7〜9を作製した。
(2)熱転写受像シート7〜9の評価
実施例1で熱転写受像シート1について行ったと同様に熱転写受像シート7〜9について評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
尚、比較例1、2で得られた熱転写受像シート7、8の受容層表面の電子顕微鏡写真(走査電子顕微鏡写真)を図3、4に示す。
Claims (6)
- 基材シート(A)上に少なくとも中空粒子を含有する多孔質層(B)と、その上に加熱時に熱転写シートから熱移行性染料を受容する受容層(C)が形成された熱転写受像シートであって、
受容層(C)が少なくとも染料染着性を共に有するスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)、冷却ゲル化剤(c)、並びに離型剤(d)を含有しており、
受像層(C)に含有されるスチレン−アクリル系共重合体(a)と樹脂フィラー(b)との重量比[(a)/(b)]が70〜90/30〜10であり、
前記スチレン−アクリル系共重合体(a)の数平均分子量(ポリスチレン換算)が150,000以上であり、
樹脂フィラー(b)がスチレン−アクリル系共重合体(a)のガラス転移温度(Tga)より高いガラス転移温度(Tgb)を有していて、前記熱転写前に受像層(C)中で造膜しないで粒子状で存在している
ことを特徴とする熱転写受像シート。 - 受像層(C)を形成するスチレン−アクリル系共重合体(a)中のスチレン単位が50〜70モル%であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 受像層(C)を形成する樹脂フィラー(b)が塩化ビニル−アクリル系共重合体であり、該共重合体中の塩化ビニル単位が75〜95モル%であり、かつガラス転移温度(Tgb)が60〜100℃であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
- 受像層(C)を形成する冷却ゲル化剤(c)がゼラチンである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 受像層(C)が少なくともスチレン−アクリル系共重合体(a)及び樹脂フィラー(b)50〜95重量%、冷却ゲル化剤(c)2〜30重量%、及び離型剤(d)2〜30重量%含有していることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
- 中間層(B)が少なくとも中空粒子(e)及び冷却ゲル化剤(f)及びを含有していることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
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