JP2009186292A - ガスセンサチップ及びこれを備えたガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば排気ガスの流れるボイラー煙道のような劣悪な環境に設置されても長期間に亘って安定した出力特性を得ることができるガスセンサチップ及びこれを備えたガスセンサを提供する。
【解決手段】被測定ガスに接触する触媒担体が伝熱体113の一方の側に配置され、伝熱体の他方の側であって被測定ガスに接触しない領域に温度検出部120が配置され、かつ伝熱体を介して触媒担体の温度に対応する温度を温度検出部が測定するようになったバックサイド構造を有することで、温度検出部が被測定ガスによる悪影響を受けずに長期に亘る流量の検出が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、小型で耐久性に優れた接触燃焼式ガスセンサチップ及びこれを備えたガスセンサに関する。
例えば一酸化炭素等の未燃焼ガスのみに高い感度を有して、例えば排気ガス中の未燃焼ガスである一酸化炭素の成分量を検出する接触燃焼式ガスセンサが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
係る特許文献1に記載の接触燃焼式ガスセンサは、ブリッジ回路を形成したガス検知素子と補償素子が、絶縁体のベースに貫通固定されている金属製のピンに保持され、これらにキャップが被せられている。このガス検知素子は、測温抵抗体及び測温抵抗体を被覆する酸化燃焼触媒層からなり、酸化燃焼触媒層は金触媒を担持したα酸化第二鉄微粉末と、白金触媒とパラジウム触媒とを担持したアルミナ粉末との混合物の焼結体からなっている。
そして、測温抵抗体とこれを覆う酸化燃焼触媒層を、例えば未燃焼ガスの含まれる排気ガス中に直接晒し、未燃焼ガスの燃焼に伴う酸化燃焼触媒層の温度上昇を測温抵抗体の抵抗値変化に換算し、補償素子を含んだブリッジ回路を介して未燃焼ガスの成分量を検出するようになっている。
特開平8−226909号(3−4頁、図1)
上述した特許文献1に記載されたような接触燃焼式ガスセンサによると、全体が大型化してセンサ自体のコスト高を招いたり、設置場所に制約を受けるなどの不都合がある。そのため、近年MEMS(micro electro mechanical systems)技術を使った非常に小型の接触燃焼式ガスセンサが用いられている。
上記のようなガスセンサでは、センサ構成材料にとって悪環境となるガスも被測定対象として選ばれるケースもあり、また粉塵などもあるため、そのような被測定環境によりセンサ寿命が短くなることもある。センサ寿命が短いほどメンテナンス(あるいはセンサ交換)の頻度も多くなり、動作保証や運用コストの問題が生じる。
本発明は、触媒層と測温抵抗体が直接的に接合されることが寿命に影響すると考え、この問題を解決して、長期間に亘って安定した出力特性を得ることができるガスセンサチップ及びこれを備えたガスセンサを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のガスセンサチップは、
被測定ガスに接触する触媒担体が伝熱体の一方の側に配置され、前記伝熱体の他方の側であって被測定ガスに接触しない領域に温度検出部が配置され、かつ前記伝熱体を介して前記触媒担体の温度に対応する温度を前記温度検出部が測定するようになったバックサイド構造を有すること特徴としている。
請求項1に記載のガスセンサチップがこのような被測定ガスに接触する触媒担体とこのガスに接触しない温度検出部とが伝熱体を介して一方の面と他方の面に配置されるいわゆるバックサイド構造を有することで、温度検出部が被測定ガスによる悪影響を受けずに長期に亘る流量の検出が可能となる。
また、本発明の請求項2に記載のガスセンサチップは、
シリコンからなるベース板と、
前記ベース板の一方の面に配置された測温抵抗体及びこれに電気的に接続された電極と、
前記ベース板の前記測温抵抗体と対向する反対側に備わり、当該測温抵抗体との間に当該ベース板の薄肉部を形成する凹み部と、
前記凹み部の内面の少なくとも前記薄肉部の表面に形成されたシリコン多孔質層と、
前記シリコン多孔質層によって担持された酸化燃焼触媒と、
前記ベース板の測温抵抗体側に接続されたガラス台座と、を有し、
前記ベース板の測温抵抗体形成面と反対側にガスを流すようにしたことを特徴としている。
請求項2に記載のガスセンサチップがこのような構成を有することで、測温抵抗体が、ベース板のガスが流れる側と反対側に形成されるようになる。そのため、特にボイラー煙道を流れる排気ガス中の未燃焼ガスを測定する場合に、温度検出部分が排気ガスに接触することがないため、前記のような温度検出部分の電極腐食や配線短絡などの劣化を引き起こすことは無い。そのため、MEMS技術による非常に小型のガスセンサチップであっても一酸化炭素の成分量を長期に亘って安定して検出することができる。
これに伴って、排気ガス中の未燃焼ガスの成分量を例えばボイラーの燃焼制御装置にフィードバックすることで燃焼装置の燃焼効率を最適化したり、ボイラー自体の性能劣化をいち早く検出したりすることを可能とする。
また、本発明の請求項3に記載のガスセンサは、
センサ支持体の同一面に前記ガラス台座を接着することによって並べて配置された請求項1記載のガスセンサチップを2つ備え、
前記各ガスセンサチップから前記ベース板のガスが流れる側と反対側に延在形成された電極取出し部を有し、
前記一方のセンサチップは、前記酸化燃焼触媒を前記多孔質層に含んだ状態で前記センサ支持体に備わると共に、前記他方のセンサチップは、前記酸化燃焼触媒を前記多孔質層に含まない状態で前記センサ支持体に備わっていることを特徴としている。
請求項3に記載のガスセンサがこのような構成を有することで、酸化燃焼触媒を備えたガスセンサチップと酸化燃焼触媒を備えないガスセンサチップとの測温抵抗体の出力を比較することにより、排気ガス自体の温度変化や周囲の温度変化の影響を受けず、排気ガス中に含まれる未燃焼ガスの燃焼による温度変化のみを検出することができる。これによって、排気ガス中の未燃焼ガスの成分量をより正確に検出することが可能となる。
また、測温抵抗体がガスに直接触れないことにより、ガスセンサチップ自体の耐久性が高まるので、ガスセンサのメンテナンスの頻度を低下させることができる。
本発明によれば、例えば排気ガスの流れるボイラー煙道のような劣悪な環境に設置されても長期間に亘って安定した出力特性を得ることができるガスセンサチップ及びこれを備えたガスセンサを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るガスセンサチップ100及びこれを備えたガスセンサ10を図面を参照しながら詳細に説明する。最初に本発明の一実施形態に係るガスセンサチップ100について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るガスセンサチップ100を、ベース板110の測温抵抗体形成面に対する垂直方向に沿って示した断面図である。
このガスセンサチップ100は、図1に示すように、ベース板110と、ベース板110の一方の面にパターニングされた測温抵抗体120と、ベース板110の測温抵抗体120と対向する反対側に形成された凹み部130と、凹み部130の内面に備わったシリコン多孔質層140と、シリコン多孔質層140によって担持された酸化燃焼触媒150と、ベース板110の測温抵抗体側に接続されたガラス台座160とを有している。そして、ベース板110の測温抵抗体120と反対側、即ち凹み部130の形成面側にガスを流すようになっている(図1中の白抜きの矢印参照)。
ベース板110はシリコン基板からなり、一方の面に絶縁層としての窒化シリコン(SiN)層111が形成され、窒化シリコン層111の上面中央部に白金(Pt)の測温抵抗体120がパターニングされている。また、窒化シリコン層111の上面両側には、金(Au)でできた電極パッド121が測温抵抗体120を挟むように形成されている。
なお、この測温抵抗体120は、ヒータを兼ねた自己発熱型の測温抵抗体であり、所定電流を流すことによって、通常のボイラー煙道内雰囲気では触媒担体部温度を280℃まで上昇させることができる。
また、測温抵抗体120から電極パッド121までは白金の配線パターン(図示せず)が延在形成され、この測温抵抗体120と配線パターンは図示しない窒化シリコン層からなる絶縁膜で覆われている。なお、電極パッド121には、後述する電極取出し用ピン125の先端に備わったスプリング126が押圧されて電極取出し用ピン125を介して測温抵抗体120に電流を流すようになっている。
また、ベース板上の窒化シリコン層111の両端部は、シリコン基板が直接露出しており、この接合領域112の一部にガラス台座160が陽極接合されている。ガラス台座160は、例えばパイレックス(登録商標)ガラス等のホウ珪酸ガラスからなり、電極パッド121に対応する部分に電極取出し用の孔161が形成され、それ以外は、窒化シリコン層上に形成された測温抵抗体120を所定の間隔だけ隔てて覆うようになっている。
ベース板110の測温抵抗体120と対向する反対側面には、この測温抵抗体120に対応する大きさの開口部を有する凹み部130が形成されている。そして、この凹み部130の底面(図中上面)が測温抵抗体120の形成領域に対応してベース板110の薄肉部113となっている。
この薄肉部113は、後述する酸化燃焼触媒150によって発生した熱を測温抵抗体120に伝熱させる伝熱体であって、触媒担体をなすシリコン多孔質層140の温度に対応する温度を測温抵抗体120に伝える伝熱体としての役目を果たすと共に、この熱が周囲のベース板110に対して極力伝わらないようにしている。
凹み部130の内面、即ち測温抵抗体120に対応する薄肉部113と、凹み部130の側壁面133に形成されたシリコン多孔質層140は、酸化燃焼触媒150の担体としての役目を果たしている。
シリコン多孔質層140によって担持された酸化燃焼触媒150は、白金とパラジウム(Pd)含んだ触媒液をシリコン多孔質層140に含浸させた後に焼成させることでこのシリコン多孔質層140に担持されている。
また、本実施形態ではボイラーの排気ガス中の未燃焼ガスである一酸化炭素を含むガスは、ベース板110の測温抵抗体120が形成された面と反対側の面に沿って流れるようになっている。
続いて、係るガスセンサチップ100を備えたガスセンサ10について説明する。図2は、このガスセンサ10の全体構成を概略的に示した断面図である。ガスセンサ10は、センサ支持体11と、センサ支持体11の同一面上に並べて配置された2つのガスセンサチップ100,100’を備えている。
なお、各ガスセンサチップ100,100’は、それぞれガラス台座160をセンサ支持体11に接着することで並んで配置されている。そして、一方のガスセンサチップ100は、上述したようにシリコン多孔質層140によって酸化燃焼触媒150が担持されており、他方のガスセンサチップ100’には、シリコン多孔質層140’によって酸化燃焼触媒が担持されていない状態でセンサ支持体11に配置されている。なお、2つのガスセンサチップ100,100’のその他の構成については、全く同一となっている。
なお、他方のガスセンサチップ100’には、シリコン多孔質層140’によって酸化燃焼触媒が担持されていない状態でセンサ支持体11に配置されているので、一方のガスセンサチップ100の薄肉部113に対応する他方のガスセンサチップ100’ の薄肉部は、触媒担体をなすシリコン多孔質層140’の温度に対応する温度を測温抵抗体120に伝える伝熱体としての役目を果たすようになっている。
センサ支持体11は、例えばステンレス鋼(SUS)でできており、図2に示すように、基台部12と、基台部12から突出した突出部13からなり、上述したガスセンサチップは突出部13の上面13aにガラス台座160を介して接着固定されている。突出部13の一部には、ガスセンサチップ100,100’の電極パッド121から電極取出し用ピン125を取り出すための電極取出し孔12bが形成され、この電極取出し孔12bに挿通した電極取出し用ピン125によって、センサ支持体11のガスセンサチップ配置側と反対側の凹み部に電極取出し用ピン125を導出するようになっている。
なお、電極取出し用ピン125のガスセンサチップ側端部125aには、導電性のスプリング126が備わり、このスプリング126の弾性力を介して電極取出し用ピン125のガスセンサチップ側端部125aとガスセンサチップ100の電極パッド121とが互いに電気的に確実に導通するようになっている。また、電極取出し用ピン125は、ハーメチックシール127を介して電極取出し孔12bに密封支持されている。なお、このハーメチックシール127は、電極取出し用ピン125とその周囲のセンサ支持体11との間の電気的絶縁を図る役目も果たしている。
そして、この4本の電極取出し用ピン125の先端には、ここで図示しない電線が接続され、測温抵抗体120に電力を供給すると共に、測温抵抗体120と協働して公知のホイートストンブリッジ回路を形成し、酸化燃焼触媒150を有するガスセンサチップ100の温度と酸化燃焼触媒150を有さないガスセンサチップ100’の温度との差を電圧値として出力するようになっている。
続いて、係るガスセンサチップ100,100’を備えたガスセンサ10の作用について説明する。
図3は、上述したガスセンサ10をボイラー(図示せず)の排気ガスが流れる煙道50に設置した状態を示している。なお、図3では、説明の理解の容易化を図るために、煙道50に対してガスセンサ10をかなり大きく描いている。しかしながら、実際にはガスセンサチップ100,100’はMEMS技術によって製造されているので、ガスセンサ10はボイラーの煙道50に対して非常に小さいものとなっている。
図3の設置状態から明らかなように、ガスセンサチップ100,100’の測温抵抗体が煙道50の排気ガスの流れる方向とは反対側となるようにベース板に位置している。
ここで、ボイラーの煙道50を排気ガスが図中白抜きの矢印に示すように流れると、煙道内の温度は約200℃まで上昇する。そして、図2に示すガスセンサチップ100,100’の電極取出し用ピン125を介して、ヒータを兼ねた測温抵抗体120に電力を供給し、触媒担持部温度を280℃まで加熱する。この加熱によってその排気ガス中に含まれる一酸化炭素(未燃焼ガス)がシリコン多孔質層140によって酸化燃焼触媒150が担持された一方のガスセンサチップ100の凹み部130に入り込み、この酸化燃焼触媒150と反応して燃焼する。この一酸化炭素の燃焼によって、シリコン多孔質層140において発生した熱がガスセンサチップ100の薄肉部113を介して測温抵抗体120に伝わる。これによって、一方のガスセンサチップ100の測温抵抗体120の抵抗値がこの伝熱に基づく温度上昇によって僅かに変化する。
一方、シリコン多孔質層140によって酸化燃焼触媒150を担持していない方のガスセンサチップ100’ではこのような一酸化炭素(未燃焼ガス)の燃焼による温度上昇が生じず、これのみに基づく測温抵抗体の抵抗値変化も生じない。
従って、これら酸化燃焼触媒150を備えた一方のガスセンサチップ100と酸化燃焼触媒150を備えない他方のガスセンサチップ100’の各測温抵抗体によって検出された電圧値を、上述した電極取出し用ピン125に接続された電線(図示せず)とで構成されるホイートストンブリッジ回路を介して電圧値として検出することで、両者の抵抗値の変化に基づく酸化燃焼触媒150によって未燃焼ガスが燃焼した際に生じる温度上昇を排気ガス自体の温度変化の影響を受けずに測定することができる。
このように酸化燃焼触媒150を備えたガスセンサチップ100と酸化燃焼触媒150を備えていないガスセンサチップ100’の発熱量を相対的に比較することによって、ボイラーの煙道内において常に生じている排気ガス自体の僅かな温度変化をキャンセルし、排気ガス中に含まれる未燃焼ガスである一酸化炭素の燃焼による発熱量だけ検出することができる。その結果、ボイラーの煙道内の排気ガス中に含まれる一酸化炭素の成分量を正確に測定することができ、これをボイラーの燃焼制御装置にフィードバックして最適な燃焼制御を行ったり、一酸化炭素の成分が極端に多い場合は、ボイラー自体の劣化や異常発生と判断してボイラーの燃焼を強制的に停止したりすることが可能となる。
また、本実施形態におけるガスセンサ10は、上述のように排気ガスが流れる側と反対側に測温抵抗体120が備わっているので、従来のガスセンサのように温度検出部が被測定ガスに接触することによる電極腐食や配線短絡などがセンサの寿命を短くするのを回避でき、MEMS技術による小型のガスセンサチップ100,100’を備えたガスセンサ10であっても一酸化炭素の成分量を長期に亘って正確に検出することができる。
続いて、上述した実施形態に係るガスセンサチップ100,100’及びガスセンサ10の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
最初に上述の実施形態の変形例に係るガスセンサチップ200について説明する。この変形例に係るガスセンサチップ200は、図4に示すように、測温抵抗体220の周囲において、測温抵抗体220の熱絶縁を図るための溝215が形成されている。なお、この溝215は、窒化シリコン層211を貫通してベース板210の測温抵抗体220と反対側面近くまで達する深さを有している。
そして、ベース板210の測温抵抗体220と対向する反対側面には、上述の実施形態と同様に測温抵抗体220に対応する大きさの開口部を有する凹み部230が形成されている。そして、この凹み部230の底面(図中上面)が測温抵抗体220の形成領域に対応する薄肉部213となっている。
また、本変形例に係るガスセンサチップ200は、このような溝215を有することで、凹み部230の側方周面も測温抵抗体220の周囲に形成された溝215と協働して更なる薄肉部214を形成している。そして、これら薄肉部213,214と測温抵抗体220とを周囲のベース板210に対してより一層の熱絶縁を図るようになっている。凹み部230の内面、即ち測温抵抗体220に対応する薄肉部213と、溝215に対応する薄肉部214との内面に形成されたシリコン多孔質層240は、酸化燃焼触媒250の担体の役目を果している。
このように凹み部230の測温抵抗体220に対応する領域のみならず、凹み部230の側壁面と溝215との間に薄肉部214が形成されていることで、酸化燃焼触媒250によって発生した熱がその側方のベース板210に伝達し難くなると共に、測温抵抗体220に効率的に伝熱し、一酸化炭素が酸化燃焼触媒250に反応して発生する熱の発熱量をより正確に測定し、これによってガス中の一酸化炭素の成分量をより正確に求めることができる。
続いて、上述したガスセンサ10の変形例について説明する。なお、上述の実施形態に係るガスセンサ10と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この変形例に係るガスセンサ20は、上述のガスセンサ10のように2つのガスセンサチップ100,100’を接着剤を介してセンサ支持体11に固定する代わりに、図5に示すように、断熱性に優れた材質でできたチップホルダ25をボルト26等の締結具によってセンサ支持体21に取付けるようになっている。
このような断熱性に優れたチップホルダ25でガスセンサチップ200,200’をセンサ支持体21に取付けることで、図6に示すように、このガスセンサ20を例えばボイラー煙道50に設置した場合に煙道50の排気ガス(図中白抜きの矢印参照)に含まれる比較的大きな粉塵がガスセンサ20に当ってもガスセンサ20が破損することがなく、また、排気ガスの脈動で生じる振動の悪影響を受けることがなくなる。
このように本発明に係るガスセンサチップによると、測温抵抗体が、ベース板のガスが流れる側と反対側に形成されるようになる。そのため、そのため、特にボイラー煙道を流れる排気ガス中の未燃焼ガスを測定する場合に、温度検出部分が排気ガスに接触することがないため、前記のような温度検出部分の電極腐食や配線短絡などの劣化を引き起こすことは無い。そのため、MEMS技術による非常に小型のガスセンサチップであっても一酸化炭素の成分量を長期に亘って安定して検出することができる。
これに伴って、排気ガス中の未燃焼ガスの成分量を例えばボイラーの燃焼制御装置にフィードバックすることで燃焼装置の燃焼効率を最適化したり、ボイラー自体の性能劣化をいち早く検出したりすることを可能とする。
また、本発明に係るガスセンサチップを備えたガスセンサによると、酸化燃焼触媒を備えたガスセンサチップと酸化燃焼触媒を備えないガスセンサチップとの測温抵抗体の出力を比較することにより、排気ガス自体の温度変化や周囲の温度変化の影響を受けず、排気ガス中に含まれる未燃焼ガスである一酸化炭素の燃焼による温度変化のみを検出することができる。これによって、排気ガス中の未燃焼ガスの成分量をより正確に検出することが可能となる。
また、測温抵抗体がガスに直接触れないことにより、ガスセンサチップ自体の耐久性が高まるので、ガスセンサのメンテナンスの頻度を低下させることができる。
なお、上述した酸化燃焼触媒は白金とパラジウムの触媒液をシリコン多孔質層に含浸した後焼成させてガスセンサチップに付着させるようになっていたが、このような方法によらず、凹み部の内周面にシリコン多孔質層を形成させずに白金やパラジウムをメッキしたり、スパッタリングしたり、蒸着させることで酸化燃焼触媒をガスセンサチップに付着させても良い。
しかしながら、シリコン多孔質層を凹み部の内側面に形成してこのシリコン多孔質層内に酸化燃焼触媒を含ませた方が、触媒のガスに接する表面積を大きくすることができるので、同じ成分量の未燃焼ガスがガス中に含まれていてもその分だけ燃焼温度を上げることができ、未燃焼ガスの成分量を正確に測定することができる。
また、酸化燃焼触媒は、シリコン多孔質層の測温抵抗体に対応する領域にのみ含まれていても本発明の作用を発揮することは可能であるが、より好ましくは上述した実施形態及びその変形例のように凹み部の内側面全体に形成されたシリコン多孔質層に全体的に含まれているのが良い。
また、上述した変形例に係るガスセンサチップの溝は、測温抵抗体の周囲を囲むように連続して形成されていたが、このような溝の代わりに、この溝と同等の深さ及び溝の幅と同等の内径を有する多数の孔を溝と同等の領域に連続して形成しても良い。
なお、上述の実施形態及びその変形例については、一酸化炭素を未燃焼ガスとして記載したが、本発明は必ずしもこの一酸化炭素を検出するのみに限定されるものではなく、ガス中における水素やメタン等の未燃焼ガスの成分量を測定することにも適用できることは言うまでもない。
以上説明したように、従来の接触燃焼式一酸化炭素センサ等では、触媒に被測定ガスが接触して発熱する現象を利用し、その発熱を温度検出部により直接検出することでガス濃度を計測していた。
そして、この従来のガスセンサでは、センサ構成材料にとって悪環境となるガスも被測定対象として選ばれる場合もあり、例えばボイラー煙道中の排気ガスの場合等、被測定ガスの種類によりセンサ寿命が短くなることもあった。そして、センサ寿命が短いほどメンテナンス(或いはセンサ交換)の頻度も多くなり、動作保証や運用コストの問題が生じていた。
これは、従来の接触燃焼式ガスセンサの構造が、触媒担体が発熱部になり、その発熱を効率良く検出するために温度検出部が触媒担体に直接的に接合するように構成されていることに起因していた。
このような従来構造のガスセンサは、センサ構造設計の通常的な考え方に基づいて構成されていた訳であるが、状態変化の発生する構成要素(ガスセンサの場合は触媒担体)と検出機能となる構成要素(ガスセンサの場合は温度検出部)が、直接的に接合する位置関係になることが、いわゆるセンサ感度の向上に結びつくという意味合いで、極めて合理的な設計思想となっていた。
しかしながら、接触燃焼式センサでは、当然のことながら触媒担体が被測定ガスに直接接触することになる。これに伴い、上記合理的な設計思想に基づく構成を採用すると、温度検出部も被測定ガスに直接接触することが避けられなくなり、かつこの温度検出部が被測定ガスに接触することにより被測定ガス中に含まれる腐食成分によって腐食することが、センサ全体の寿命を短くしていたが、このような欠点に本発明の発明者が着眼し、その欠点を一気に解決したことに技術的意義が認められる。
これに加えて、別の観点から見ると所謂センサ感度の向上とセンサ寿命の長期化とがトレードオフ(二重背反)となっている状態において、必ずしもセンサ感度ばかりが産業応用上の最優先事項とは限らない。この点に鑑みて、センサ感度を若干犠牲にしたにしてもセンサ寿命を長くすることが可能な構造として、温度検出部と触媒担体が分離され、かつこれにより温度検出部が被測定ガスに接触しない位置に設置される本発明における所謂「バックサイド構造」を採用することが、本発明の課題解決に有効であることを本発明の発明者は明らかにしたことにも技術的意義がある。
即ち、本発明は、従来の合理的な設計思想に基づく構成が接触燃焼式センサのセンサ寿命に悪影響を及ぼしていることを解明したところに重要な着眼点があると言える。
本発明の一実施形態に係るガスセンサチップを、ベース板の測温抵抗体形成面に対する垂直方向に沿って示す断面図である。 図1に示したガスセンサチップを備えた本実施形態に係るガスセンサの断面図である。 図2に示したガスセンサをボイラーの煙道内に設置した状態を示す断面図である。 図1に示したガスセンサチップの変形例を示す断面図である。 図2に示したガスセンサの変形例を示す断面図である。 図5に示したガスセンサをボイラーの煙道内に設置した状態を示す断面図である。
符号の説明
10 ガスセンサ
11 センサ支持体
12 基台部
12b 電極取出し孔
13 突出部
13a 上面
20 ガスセンサ
21 センサ支持体
25 チップホルダ
26 ボルト
50 煙道
100,100’ ガスセンサチップ
110 ベース板
111 窒化シリコン層
112 接合領域
113 薄肉部
120 測温抵抗体
121 電極パッド
125 電極取出し用ピン
125a ガスセンサチップ側端部
126 スプリング
127 ハーメチックシール
130 凹み部
133 側壁面
140,140’ シリコン多孔質層
150 酸化燃焼触媒
160 ガラス台座
161 電極取出し用の孔
200,200’ ガスセンサチップ
211 窒化シリコン層
210 ベース板
213,214 薄肉部
215 溝
220 測温抵抗体
230 凹み部
240 シリコン多孔質層
250 酸化燃焼触媒

Claims (3)

  1. 被測定ガスに接触する触媒担体が伝熱体の一方の側に配置され、前記伝熱体の他方の側であって被測定ガスに接触しない領域に温度検出部が配置され、かつ前記伝熱体を介して前記触媒担体の温度に対応する温度を前記温度検出部が測定するようになったバックサイド構造を有すること特徴とするガスセンサチップ。
  2. シリコンからなるベース板と、
    前記ベース板の一方の面に配置された測温抵抗体及びこれに電気的に接続された電極と、
    前記ベース板の前記測温抵抗体と対向する反対側に備わり、当該測温抵抗体との間に当該ベース板の薄肉部を形成する凹み部と、
    前記凹み部の内面の少なくとも前記薄肉部の表面に形成されたシリコン多孔質層と、
    前記シリコン多孔質層によって担持された酸化燃焼触媒と、
    前記ベース板の測温抵抗体側に接続されたガラス台座と、を有し、
    前記ベース板の測温抵抗体形成面と反対側にガスを流すようにしたことを特徴とするガスセンサチップ。
  3. センサ支持体の同一面に前記ガラス台座を接着することによって並べて配置された請求項1記載のガスセンサチップを2つ備え、
    前記各ガスセンサチップから前記ベース板のガスが流れる側と反対側に延在形成された電極取出し部を有し、
    前記一方のセンサチップは、前記酸化燃焼触媒を前記多孔質層に含んだ状態で前記センサ支持体に備わると共に、前記他方のセンサチップは、前記酸化燃焼触媒を前記多孔質層に含まない状態で前記センサ支持体に備わっていることを特徴とするガスセンサ。
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