JP2009185642A - 自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造 - Google Patents

自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造 Download PDF

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Abstract

【課題】回転ドラムの制動に使用する摩擦材の長寿命化を図る自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造の提供。
【解決手段】 スプロケット12と相対回動する同軸のカムシャフト2に回転可能に支承された回転ドラム44を電磁ブレーキ40で制動し、スプロケット本体12に対して回転ドラム44の回転を遅れさせることでカムシャフト2の位相が変わる位相可変装置において、電磁ブレーキ40は、摩擦材66をディスク面44aに相対摺動させて回転ドラム44を制動し、ディスク面44aには、円の円周方向に沿ってオイル案内溝90を形成した。
【選択図】図6

Description

本発明は、電磁ブレーキ手段により回転ドラムに制動力を作用させて、スプロケットに対するカムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開閉タイミングを変化させる自動車用エンジンにおける位相可変装置に係わり、特に、位相可変装置の回転ドラムに制動力を作用させる電磁ブレーキ手段をエンジンオイルを循環させて冷却する冷却構造に関する。
この種の従来技術としては、下記特許文献1(図21参照)に示すように、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される駆動部材(スプロケット)12と動弁機構を構成するカムシャフト2間に介装した内外ヘリカルスプライン付き中間部材30を軸方向に移動させることで、駆動部材12とカムシャフト2間の位相が変化するように構成されている。即ち、周方向に回り止めされた電磁ブレーキ手段40により、カムシャフト2に回転可能に支承されている回転ドラム44に制動力を作用させ、これにより回転ドラム44が駆動部材12に対し遅延するとともに、連係して中間部材30が軸方向に移動して、カムシャフト2が駆動部材12に対し回動して両者12,2間の位相が変化する。なお、同装置はエンジンルーム内部に配置されて、エンジンオイル雰囲気下で駆動する。
電磁ブレーキ手段40は、電磁コイル62を収容した横断面コ字型環状のクラッチケース60と、クラッチケース60の開口部を閉塞する保持プレート64と、保持プレート64に接着された摩擦材66とを備えて構成されている。そして、クラッチケース60の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面では、摺動熱により摺動面温度が高温となると、エンジンオイル中に分散している酸化防止剤や摩擦調整剤,清浄分散剤等の添加剤の反応物やオイル中の不溶解分により、一般に多孔質材で構成されている摩擦材66の表面が目詰まりし、摩擦材66と回転ドラム44間に発生する摩擦トルクが低下する可能性がある。
このため、下記特許文献1の電磁ブレーキ手段40においては、回転ドラム44の摺動面(ディスク面)に対し、ディスク面の内周縁から半径方向外周方向に延びるオイル案内溝90を形成し、回転ドラム44と摩擦材66の摺動時に摩擦材66に発生する熱を案内溝90に供給されるオイルに伝達することにより、相対摺接面を冷却する構成が採用されている。
その結果、特許文献1の電磁ブレーキ手段40は、回転ドラム44と摩擦材66の摺動面温度が低減するため、エンジンオイル中に分散している不溶解分の発生が抑制され、摩擦材66の表面における目詰まりが低減されている。
特開2005−113705
近年の排ガス規制強化と燃費基準値の設定により、位相可変装置は、作動頻度を高める必要性が生じており、それに伴い、摩擦材に対してもこれまで以上の高寿命が要求されるようになってきている。一方、特許文献1の電磁ブレーキ手段40は、摩擦材66の表面に発生する目詰まりが低減されるものの、摩擦材66の目詰まりは、少しずつ進行し、摩擦材66と回転ドラム44のディスク面が摺接する際に発生する摩擦トルク、即ち回転ドラムの制動トルクを徐々に低下させていく。
従って、摩擦材66は、電磁コイル62の電流値を増加させ、回転ドラム44のディスク面の吸着力を向上させても、摩擦材66と回転ドラム44の相対摺接面において回転ドラム44制動に必要な摩擦トルクが得られなくなった場合に使用不能となって寿命を迎える。摩擦材66の使用可能期間をより長くすることによって摩擦材66を長寿命にすることは、エンジン性能を長期間維持するために重要な課題となる。
本願発明は、上記現象を考慮して、摩擦材の表面に発生する目詰まりを従来よりも低減させることにより、回転ドラムの制動トルクの低下を抑制する一方、摩擦材66の表面に目詰まりが進行しても、回転ドラムの制動トルクの維持を可能にすることにより、前記摩擦材の長寿命化を図る自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造を提供するものである。
前記目的を達成するために、請求項1においては、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状スプロケットに対し動弁機構を構成するカムシャフトが同軸状で相対回動可能に配置され、前記カムシャフトに対して回転ドラムが相対回動可能に支承され、前記回転ドラムと軸方向に正対する位置には、前記回転ドラムのディスク面に扁平な摩擦材を摺接させ、該ディスク面と摩擦材との相対摺接面にオイルを供給しながら前記回転ドラムに制動力を付与する電磁ブレーキ手段が設けられ、前記制動力によって回転ドラムに生じる前記スプロケットに対する回転遅れに連係して、位相角変化手段が、前記スプロケットとカムシャフト間の位相角を変更する自動車用エンジンの位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、前記回転ドラムは、前記摩擦材と摺接するディスク面上に円の円周方向に沿ってオイル案内溝を形成した。
尚、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケットと動弁機構を構成するカムシャフトと回転ドラムが一体となって回動するように構成されて、スプロケットとカムシャフトとは同期して回転するが、電磁ブレーキ手段により回転ドラムに制動力が作用すると、回転ドラムにはスプロケットに対する回転遅れが生じ、この回転ドラムの回転遅れに連係して動作する位相角変化手段がスプロケットに対するカムシャフトの位相を変化させる。
(作用1)ここで、回転ドラムのディスク面に形成されたオイル案内溝は、ディスク面上において円周方向に連続する。従って、従来のディスク面では、オイルがオイル案内溝に沿って径方向に抜けていたため、摩擦材の円周方向に対して、オイル案内溝内のオイルとの接触が断続的になっていたが、本願では、オイルはオイル案内溝に沿って円周方向に流動するため、摩擦材の円周方向に対して、オイル案内溝内のオイルとの接触が断続することがない。また、前記摩擦材とオイル案内溝内のオイルとの間の熱伝達は、オイルと摩擦材が接触する時間が長くなって熱伝達が確実に行われるため、前記相対摺接面の温度上昇とエンジンオイル中の不溶解成分の発生が低減され、摩擦材の目詰まりが低減される。
(作用2)回転ドラムと摩擦材との相対摺接面に供給されたオイルは、スプロケットと同期した前期ドラムの回転により、前記回転ドラムのディスクの略接線方向に前記ドラムの回転方向と逆向きの力を受けつつ、前記ディスクの内周縁から外周縁の方向に流動し、最終的に前記ディスクの外周縁から外に排出される。一方、円周方向のオイル案内溝は、前記オイルの流動する方向よりも半径方向内側に湾曲するため、前記オイルの一部は、オイル案内溝に流入してオイル案内溝の側壁に接触し、回転する前記ドラムの慣性力を受ける。従って、オイル案内溝内のオイルは、円周方向のオイル案内溝に沿って、前記ドラムの回転方向と反対向きに流動する。従って、前記ディスクの内周縁から外周縁の方向に流動するオイルは、前記オイル案内溝において、円周方向に流動するオイルと交差する。
その結果、前記ディスク外周縁の方向に流動するオイルと、前記オイル案内溝に沿って円周方向に流動するオイルとの間には、流動する方向が異なるオイルが交差することにより、油膜による剪断力が発生する。即ち、前記オイル案内溝には、前記ディスクの外周縁の方向に流動するオイルにより、前記オイル案内溝の円周の接線方向に対し、前記回転ドラムの回転方向と逆向きの剪断力が発生する。従って、前記回転ドラムには、前記剪断力により回転ドラムの回転方向と逆向きの制動トルクが発生する。従って、回転ドラムの制動トルクは、摩擦材の目詰まりによって摩擦材と回転ドラムの摩擦トルクが低下しても、前記相対摺接面を流動するオイルの流れによって発生する剪断力によって補完されるため、回転ドラムの制動トルクの低下が防止される。
また、前記目的を達成するために請求項2の発明は、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状スプロケットに対し動弁機構を構成するカムシャフトが同軸状で相対回動可能に配置され、前記カムシャフトに対して回転ドラムが相対回動可能に支承され、前記回転ドラムと軸方向に正対する位置には、前記回転ドラムのディスク面に扁平な摩擦材を摺接させ、該ディスク面と摩擦材との相対摺接面にオイルを供給しながら前記回転ドラムに制動力を付与する電磁ブレーキ手段が設けられ、前記制動力によって回転ドラムに生じる前記スプロケットに対する回転遅れに連係して、位相角変化手段が、前記スプロケットとカムシャフト間の位相角を変更する自動車用エンジンの位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、前記回転ドラムは、前記摩擦材と摺接するディスク面上に、前記回転ドラムの回動中心軸周りを周回する螺旋状のオイル案内溝を形成した。
(作用)回転ドラムのディスク面に形成されたオイル案内溝は、ディスクの円周方向に連続することと、前記ディスクの半径方向に溝が重複し、摩擦材とオイル案内溝内のオイルとの接触面積が増加することにより、前記摩擦材からオイル案内溝内のオイルへの熱伝達が確実に行われ、前記摩擦材の目詰まりが低減される。一方、前記螺旋状のオイル案内溝を流動するオイルと、回転ドラムのディスクの内周縁から外周縁に向けて流動するオイルが交差する際に油膜の剪断力が発生し、回転ドラムに制動トルクを発生させるため、回転ドラムの制動トルクは、摩擦材の目詰まりが生じても、前記剪断力によって補完され、回転ドラムの制動トルクの低下が防止される。
一方、回転ドラムのディスク面における円周形状のオイル案内溝は、回転ドラムの回動中心軸周りを渦巻き状に回動することにより、摩擦材に対して円周方向のみならず径方向に対しても相対摺動する。従って、円周方向において前記オイル案内溝の凸部に摩擦材の同じ箇所が摺接し続けることによって形成される円周方向の偏摩耗が低減される。
また、前記目的を達成するために請求項3の発明は、請求項1または2に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、前記オイル案内溝の中心が、前記回転ドラムの回動中心軸から離心するようにオイル案内溝を形成した。
(作用)回転ドラムのディスク面のオイル案内溝は、回転ドラムの回動中心軸周りを偏心回動することにより、摩擦材に対して円周方向のみならず径方向に対しても相対摺動する。従って、円周方向において前記オイル案内溝の凸部に摩擦材の同じ箇所が摺接し続けることによって形成される円周方向の偏摩耗が低減される。
請求項1の発明によれば、摩擦材と制動を受ける回転ドラムのディスク面との相対摺接面における温度上昇が低減され、摩擦材の目詰まりが低減されるため、回転ドラムの制動トルクの低下が緩和され、摩擦材の長寿命化を図ることが出来る。一方、摩擦材の目詰まりにより、前記相対摺接面に摩擦トルクの減少が発生しても、前記相対摺動面上を流動するオイルの二つの流れが油膜の剪断力を発生させ、回転ドラムの制動トルクを補完するため、回転ドラムの制動トルクの低下が緩和され、摩擦材の使用可能時間が長くなる。その結果、摩擦材の長寿命化を図ることができる。
請求項2と3の発明によれば、偏摩耗による摩擦材の寿命の低下が軽減される
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図1〜図19は、本発明に係る位相可変装置の実施例1から6を示し、図1は本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図、図2は同装置の内部構造を示す斜視図、図3は電磁ブレーキ手段の要部を構成する電磁クラッチの斜視図、図4は同電磁クラッチの正面図、図5(a),(b)は摩擦材と回転ドラム間の相対摺動部の拡大断面図で、(a)はオイル導入用の切り欠き位置における断面図、(b)はカシメ部位置における断面図、図6は実施例1の回転ドラムの斜視図、図7は実施例1の回転ドラムの正面図、図8は回転ドラムの縦断面図(図7に示す線VIII−VIIIに沿う断面図)、図9は回転ドラムのディスク面に設けたオイル案内溝の横断面図(図7に示す線IX-IXに沿う断面図)、図10は、油膜に発生する剪断力の説明図、図11は回転ドラムの鍛造工程説明図、図12(a)〜(c)は実施例1の回転ドラムの回転数に対する、回転ドラムと摩擦材との相対摺接面間における摩擦係数の減少率を示す図、図13は、実施例2の回転ドラムの正面図、図14(a)〜(c)は実施例2の回転ドラムの回転数に対する、回転ドラムと摩擦材との相対摺接面間における摩擦係数の減少率を示す図、図15は、回転ドラム上の円周溝の割合と摩擦材寿命との関係を表す図、図16〜図19は、実施例3から6の回転ドラムの正面図、図20(a)〜(c)は、回転ドラムのオイル案内溝に関する他の断面形状を示す図である。
これらの図において、この実施例に示す位相可変装置は、エンジンに組み付け一体化された形態で用いられ、クランクシャフトの回転に同期して吸排気弁が開閉するようにクランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数などの運転状態によってエンジンの吸排気弁の開閉のタイミングを変化させるための装置で、同装置は、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケットである円環状外筒部10と、外筒部10と同軸に配置されて外筒部10に対し相対回動可能で、カムシャフト2の一部を構成する従動側の円環状内筒部20と、外筒部10と内筒部20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部10と内筒部20間に介装され、軸方向に移動して外筒部10に対する内筒部20の位相を変える中間部材30と、内筒部20のカムシャフト2非配設側に設けられて、中間部材30を軸方向に移動させる電磁ブレーキ手段40と、を備えて構成されている。符号8は、エンジンケース(位相可変装置用カバー)で、エンジン及び同装置は、エンジンオイル雰囲気下で用いられる。
外筒部10は、内周縁にリング状の凹部13が設けられたスプロケット本体12と、スプロケット本体12の側面に密着し、凹部13と協働してフランジ係合溝13Aを画成する内フランジプレート14と、内フランジプレート14をスプロケット本体12に共締め固定し、中間部材30とのスプライン係合部が内周に形成されたスプラインケース16とから構成されている。符号13aは、凹部13の開口側の大径凹部、符号13bは、凹部13の奧側の小径凹部で、両者13a,13b間には、後述する内筒部20側のフランジ24の外周縁と正対する段差部13cが設けられている。スプロケットである外筒部10(スプロケット本体12)には、エンジンのクランクシャフトの回転がチェーンCを介して伝達される。符号11は、スプロケット本体12と内フランジプレート14とスプラインケース16を固定一体化する締結ねじで、スプロケット本体12と内フランジプレート14とスプラインケース16でスプロケット(外筒部10)を構成することで、フランジ係合溝13Aの形成が容易で、外筒部10(スプラインケース16)におけるスプライン係合部17の形成も容易となっている。
また、符号32,33は、中間部材30の内外周面に設けられた雌雄ヘリカルスプライン、符号23は内筒部20の外周面に設けられている雄ヘリカルスプライン、符号17はスプラインケース16の内周面に設けられている雌ヘリカルスプラインである。そして、中間部材30の内外のスプライン32,33は逆方向ヘリカルスプラインで、中間部材30の軸方向への僅かな移動で、外筒部10に対し内筒部20の位相を大きく変化させることができる。符号31は、中間部材30の外周面に形成された雄角ねじ部である。
電磁ブレーキ手段40は、エンジンケース8に支持された電磁クラッチ42と、ベアリング22によって内筒部20に回転可能に支承されるとともに、中間部材30の雄角ねじ部31が螺合し、電磁クラッチ42の制動力が伝達される回転ドラム44と、回転ドラム44と外筒部10間に軸方向に介装されたねじりコイルばね46とを備えて構成されている。符号45は、回転ドラム44の内周面に設けられた雌角ねじ部で、回転ドラム44と中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って周方向に相対回動できる。即ち、中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動できる。また、回転ドラム44と外筒部10とは、巻き上げられたねじりコイルばね46で連結されており、回転ドラム44に制動力が作用しない状態では、外筒部10,内筒部20,中間部材30および回転ドラム44は、一体となって回転する。また、回転ドラム44と外筒部10(スプラインケース16)間に介装したねじりコイルばね46は軸方向に介装されているため、それだけ位相可変装置全体が軸方向には延びるが、半径方向にはコンパクトとなっている。
そして、電磁クラッチ42のON・OFFおよび電磁クラッチ42への通電量を制御することによって、中間部材30が角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動し、これによって外筒部10と内筒部20の位相が変化して、カムシャフト2のカム2aによるバルブの開閉のタイミングが調整される。即ち、電磁クラッチ42をONする前は、電磁クラッチ42は図1仮想線に示す位置にあって、回転ドラム44と電磁クラッチ42間には隙間Sが形成されており、外筒部10と内筒部20は位相差なく一体に回転している。そして、電磁クラッチ42をONすると、電磁クラッチ42が図1右方向にスライドして回転ドラム44に吸引され、これにより回転ドラム44には電磁クラッチ42から伝達される制動力が作用する。そして、制動力が作用する回転ドラム44に外筒部10に対する回転遅れが生じ、即ち、中間部材30が角ねじ部31,45によって前進(図1右方向に移動)し、中間部材30の内外ヘリカルスプライン32,33によって、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット本体12)に対し回動してその位相が変わる。そして、回転ドラム44は、伝達された制動力とねじりコイルばね46のばね力とがバランスする位置(内筒部20が外筒部10に対し所定の位相差をもつ位置)に保持される。
一方、電磁クラッチ42をOFFにすると、その制動力が回転ドラム44に伝達されないため、コイルばね46のばね力だけが作用する中間部材30は、角ねじ部31,45によって後退(図1左方向に移動)して元の位置となり、この間に、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット本体12)に対し逆方向に回動して、その位相差がなくなる。
また、内筒部20の外周面(スプロケット本体12との摺動面)にはフランジ24が周設され、一方、外筒部10(スプロケット本体12)の内周面には、フランジ24が係合するフランジ係合溝13Aが周設され、フランジ24の側面とフランジ係合溝13Aの側面間に摩擦トルク付加部材51,55が介装されて、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部の摩擦トルクが高められて、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士がぶつかる打音の発生が抑制されている。
尚、本実施例では、電磁ブレーキ手段40の作動とコイルバネ46の付勢力により、中間部材30をヘリカルスプライン(32,33)に沿って前後に移動させ、中間部材30の移動量に応じてスプロケット本体12とカムシャフト2の位相を変化させるヘリカルスプライン機構を採用しているが、電磁ブレーキ手段を採用した位相変化手段としては、特開2003-293710に示すような機構を採用することも考えられる。この機構は、電磁コイル機構によって中間回転体(本願中間ドラム相当)を駆動プレートに対して(本願スプロケットに相当)前後に相対回転させ、中間回転体、変換ガイド及び駆動プレートにそれぞれ形成した溝に球を介在させ、前記相対回転時に前記溝形状に応じて球が移動(本願中間部材機構に相当)することにより、移動量に応じてクランクシャフトと、カムシャフトの位相が変化する機構である。また電磁ブレーキ機構を利用した同様の位相変化手段として、特開2003-74602や特開2004-150397に示す機構の利用も考えられる。
次に、電磁ブレーキ手段40を構成する電磁クラッチ42の構造と、電磁クラッチ42表面に設けた摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面の冷却構造について説明する。
電磁クラッチ42は、図3〜5に示すように、回転ドラム44のディスク面に向けて開口する横断面コ字型円環状で周方向に回り止めされたクラッチケース60と、クラッチケース60内に収容された電磁コイル62と、クラッチケース60の開口部内側に固定された金属製の摩擦材保持プレート64と、摩擦材保持プレート64に接着されて、その表面がクラッチケース60の内外周壁60a,60b前縁部より僅かに突出する偏平な摩擦材66とを備えて構成されている。符号68は、クラッチケース60の背面側周方向複数個所に突設されたピンで、このピン68がエンジンケース8側の孔8aに係合して、クラッチケース60は軸方向にはスライドできるが、周方向には移動できないように拘束されている。
即ち、クラッチケース60内に電磁コイル62が樹脂モールドにより固定され、クラッチケース60の開口部内側には、摩擦材66を一体化した摩擦材保持プレート64が段差部60cに載置され、摩擦材保持プレート64の内周及び外周の周方向等分3個所がカシメにより、クラッチケースの内外周壁60a,60bに固定されている。図3,4に示す符号60dはカシメ部を示す。また、摩擦材66の半径方向の幅は摩擦材保持プレート64の半径方向の幅より僅かに小さい寸法に形成され(摩擦材66の内径は摩擦材保持プレート64の内径より僅かに大きく、摩擦材66の外径は摩擦材保持プレート64の外径より僅かに小さく形成され)ており、これによってクラッチケースの内外周壁60a,60bと摩擦材66間には、オイル通路となるリング状の溝63a,63bが設けられている。なお、摩擦材保持プレート64のクラッチケース60の開口部への固定手段は、前記したカシメに限るものではなく、接着や嵌合その他の適宜固定手段であればよい。
摩擦材66は、電磁クラッチ42がONされたときに回転ドラム44のディスク面に接近して摩擦力(制動力)を生じさせるためのもので、抄紙基材に熱硬化性樹脂を含浸した厚さ500μmのプレート状の多孔質成形体で構成されており、クラッチケース60の内外周壁60a,60bの前縁部より50μmだけその表面が突出した形態となっている。
また、電磁クラッチ42の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面には、エンジンオイルが常に供給されて、両者66,44の摺動面温度の上昇が抑制されている。
即ち、クラッチケース60の半径方向内側には、図1に示すように、カムシャフト2内のオイル通路70に連通し、かつクラッチケース60と回転ドラム44間の相対摺動部の内周側に連通するオイル溜り74がエンジンケース8によって画成され、カムシャフト2内のオイル通路70には、カムシャフト2のジャーナル軸受73のオイルポートおよびカムシャフト2の側孔73aを介して、エンジンオイルがポンプPによって圧送されている。符号73bは、カムシャフト2に設けられて、オイル通路70とオイル溜り74に連通する側孔である。そして、クラッチケースの内周壁60a前縁部には、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面にエンジンオイルを導入するオイル導入用の切り欠き61aが設けられ、一方、クラッチケースの外周壁60b前縁部には、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面のエンジンオイルを外方に導出するオイル導出用の切り欠き61bが設けられている。
そして、クラッチケース60の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面には、カムシャフト2内に設けたオイル通路70,エンジンケース8と回転ドラム44(ベアリング22)間のオイル溜まり74およびクラッチケースの内周壁60a前縁部に設けた切り欠き61aを介してエンジンオイルが導入されて、摩擦材66と回転ドラム44の相対摺接面を冷却するとともに、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺接面の冷却に供されたエンジンオイルは、クラッチケース60の外周壁60b前縁部に設けたオイル導出用の切り欠き61bを介して半径方向外方に排出される。
また、摩擦材36の表面には、図3,4に示すように、内周側から外周側に延びる風車型のオイル案内溝67が設けられて、オイル導入用の切り欠き61aとオイル導出用の切り欠き61bがリング状の隙間63a、風車型のオイル案内溝67、リング状の隙間63bを介して連通している。このため、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動部の半径方向内側に導入されたエンジンオイルは、摩擦材66表面のオイル案内溝67に沿ってスムーズに流れて、オイル導出用の切り欠き61bから導出するので、摩擦材66表面全体が均一に冷却される。
また、回転ドラム44のディスク面44aの摩擦材66に正対する位置には、図6〜10に示すように、回転ドラム44の回動中心軸と同軸になる円周方向に形成された複数のオイル案内溝90が、半径方向に連続して形成されている。オイルは、オイル溜まり74からクラッチケースの内周壁60a前縁部に設けた切り欠き61aを介して回転ドラム44と摩擦材66との相対摺接面に供給される。供給されたオイルは、スプロケットと同期した回転ドラム44の回転により、ディスク面44aの外周縁の略接線方向に対し、回転ドラム44の回転方向と逆向きの遠心力を受けつつ、ディスク面44aの内周縁から外周縁の方向に流動し、切り欠き61bを介して前記相対摺接面の外に排出される。
また、円周方向のオイル案内溝90は、エンジンオイルの流動する方向よりも半径方向内側に湾曲するため、前記オイルの一部は、オイル案内溝90に流入してオイル案内溝90の側壁に接触し、回転する前記ドラム44の慣性力を受ける。従って、オイル案内溝90内のオイルは、円周方向のオイル案内溝90に沿って、回転ドラム44の回転方向と反対向きに流動する。また、回転ドラム44のディスク面44aの内周縁から外周縁の方向に流動するオイルは、図10に示すように、オイル案内溝90において、円周方向に流動するオイルと交差する。
前記相対摺接面には、流動するオイルによる油膜が形成され、オイル案内溝90上において流動する方向が異なるオイルが交差することにより、オイル案内溝90の内部のオイルには、油膜による剪断力が発生する(図10(a)を参照)。即ち、オイル案内溝90内のオイルは、前記ディスクの外周縁の方向に流動するオイルにより、前記オイル案内溝90の円周の接線方向に対し、前記回転ドラムの回転方向D1と略逆向きの剪断力Fを受ける。ここで、ディスク面44aの外周縁方向に流動するオイルに与えられる遠心力をF1、オイル案内溝90上において前記遠心力が作用する点をP、遠心力F1と作用点Pにおけるオイル案内溝90の接線とがなす角度をθとした場合、作用点P上においてオイル案内溝の内部を流動するオイルには、F=F1・cosθからなる剪断力が作用する。
従って、前記回転ドラム44には、前記剪断力Fにより回転ドラム44の回転方向D1と逆向きの制動トルクT1が発生する。従って、回転ドラム44の制動トルクは、摩擦材66の目詰まりによって摩擦材66と回転ドラム44の摩擦トルクが低下しても、前記相対摺接面を流動するオイルの流れによって発生する制動トルクT1によって補完されるため、低下することなる維持される。
尚、制動トルクT1は、オイルが受ける遠心力F1の増加に比例して増加する。また、ディスク44aの外周縁方向に流動するオイルは、オイル案内溝90の数が多いほど溝90と交差する回数が増加して制動トルクTが増加する。従って、オイル案内溝90の数は、用途に応じて一本から複数本を選択して形成することが望ましい。
また、回転ドラム44は、図11(a)→(b)→(c)に示すように、加熱した素材Wを上下の金型(鍛造型)100A,110Aおよび100B,110Bで挟んで加圧する鍛造工程を経ることで、全体が所定形状に成形され、その後、旋盤により中央部に雌角ねじ部45を形成することで、完成する。鍛造設備である下金型110Bには、円周方向のオイル案内溝90に対応する凸条112が設けられており、オイル案内溝90は、回転ドラム44を成形する一連の鍛造工程の中で、ディスク面44aを成形する際に成形できるので、オイル案内溝90付き回転ドラム44を製造する製造設備および製造工程は簡潔である。
図12は、(a)図に示すディスク面44a上にオイル案内溝が無い溝無しドラム(従来例1)とディスク面44aに円周方向のオイル案内溝90を形成した円周溝付ドラム(実施例1)に対し、相対摺接面にオイルを供給しつつ新品の摩擦材と一定の目詰まりを起こしている使用済みの摩擦材を摺接させ、新品の摩擦材に対する前記目詰まり摩擦材の相対摺接面の摩擦係数の減少率を測定したものである。(b)(c)図のグラフは、それぞれ従来例1と実施例1の実験結果を示している。横軸は、回転ドラム44の回転数(横軸右方向に行くほど回転数が増加する)を表し、縦軸は、前記回転数を増加させた場合における、前記目詰まり摩擦材の相対摺接面の摩擦係数の減少率を表す。
一定の目詰まりを発生している摩擦材は、溝無しドラムに摺接した場合、(b)図に示すとおり、ドラムの回転数の増加に伴って摩擦係数が大きく減少した。従って、従来例1のドラムでは、電磁クラッチ40の通電を強くし、回転ドラム40の吸着力を強くしなければ所定の制動力を得られなかった。その原因は、相対摺接面の冷却効果が不足するため、ドラムの回転数の上昇によって前記相対摺接面のオイルに不溶解分が発生し、摩擦材の目詰まりが更に進行したためと推測される。
また、一定の目詰まりを発生している摩擦材を円周溝付ドラムに摺接した場合には、(c)図に示すとおり、ドラムの回転数が増加しても摩擦係数が大きく減少することは無かった。その原因は、第一にオイル案内溝90に沿ってオイルが円周方向に流動するため、ドラムのディスク面が円周方向に対して連続的に冷却され、摩擦材の相対摺接面温度が減少し、不溶解分の発生が低減され、摩擦材の摩耗が低減されているためと考えられる。また、第二には、ドラムのディスク面の外周縁方向に流動するオイルと円周方向に流動するオイル案内溝内部のオイルが交差して、相対摺動面間の油膜に剪断力が発生するため、回転ドラム44の制動トルクが補われているためと考えられる。尚、油膜の剪断力によるトルクは、ディスク面44aの外周縁方向にオイルを流動させる遠心力の増加にともなって増加すると考えられるため、ドラムの回転数が増加すると、摩擦トルクの低下を補うトルクも増加するものと考えられる。
図13は、オイル案内溝90aを半径方向(から傾斜する方向、以降は単に半径方向とする)に形成した従来の回転ドラムに円周方向のオイル案内溝90を形成した実施例2の回転ドラム44を示す。オイル案内溝90と90aは連結され、オイル案内溝90内を円周方向に流動したオイルは、オイル案内溝90aにより半径方向に流動し、ディスク面44aの外に排出される。
図14(b)(c)は、(a)図に示すディスク面44a上に半径方向のオイル案内溝のみを形成したドラム(従来例2)と、ディスク面44aに径方向及び円周方向のオイル案内溝90を形成した図13の円周溝付ドラム(実施例2)に対し、図12の実験と同様に、相対摺接面にオイルを供給しつつ新品の摩擦材と一定の目詰まりを起こしている使用済みの摩擦材を摺接させ、新品の摩擦材に対する前記目詰まり摩擦材の相対摺接面の摩擦係数の減少率を測定したものである。横軸は、回転ドラム44の回転数を表し、縦軸は、前記回転数を増加させた場合における、前記目詰まり摩擦材の相対摺接面の摩擦係数の減少率を表している。(b)(c)図のグラフは、それぞれ従来例2と実施例2の実験結果を示している。
その結果は、径方向のオイル案内溝の無い回転ドラムによって行った図12(b)(c)に示す実施例1の実験結果と大差が無かった。即ち、オイルの排出性を向上させる半径方向のオイル案内溝を備えたディスク面に円周方向の溝を加えた場合であっても、ドラムの回転数の上昇に伴って相対摺接面の摩擦係数が低下することがないことが判明した。従って、この実験結果により、回転ドラムのディスク面の円周方向に溝を形成すれば、摩擦材に一定の目詰まりが発生しても、回転ドラムの制動トルクの低下を軽減することが出来るものと考えられる。
図15は、実験により、回転ドラムのディスク面の総面積に対して円周方向のオイル案内溝の面積が締める割合(横軸)と、摩擦材の寿命(縦軸:従来ドラム使用時との比較倍率)との関係を明らかにしたものである。この結果によると、摩擦材は、オイル案内溝の面積をディスク面の総面積の10%程度にした場合、ドラムのディスク面に円周方向のオイル案内溝を形成しない従来の回転ドラムに使用した場合と比べて寿命が最も長期化する最も望ましい結果を得た。また、摩擦材の寿命は、オイル案内溝の割合がディスク面の総面積の10%を超えると徐々に減少し、前記割合が50%を超えると摩擦材の寿命が従来の回転ドラムに使用したときよりも低下する。従って、回転ドラムのディスク面に円周方向のオイル案内溝を形成する割合は、前記ディスク面の総面積の50%以内にすることにより、摩擦材の寿命を向上させることが出来る。
図16は、円周溝の中心O1を回転ドラム44の回動中心軸L1から若干偏心させ、中心O1の周りに同心円状の溝90bを形成した実施例3のドラムを示す。このように溝を形成すると、円周方向の溝90bは、回動中心軸L1周りに偏心回転することにより、摩擦材66に対して円周方向と径方向に対して摺接する。従って、円周方向溝が同心円状に形成されることによって摩擦材の円周方向に対し、オイル案内溝の凸部との接触しない部分が無くなるため、摩擦材の偏摩耗が低減される。
図17は、回転ドラム44の回動中心軸L1を中心とし、半径方向に重複する螺旋状のオイル案内溝90cを形成した実施例4のドラムを示す。螺旋状の溝90cを形成することにより、実施例1及び2と同様に溝内を略円周方向に周回流動するオイルがディスク面44aの冷却性を向上させ、ディスクの接線方向に流動し、半径方向に重複する溝を横切るオイルが、剪断力による補助的な制動トルクを発生する。また、摩擦材と渦巻き状に摺接するため、実施例3と同様に摩擦材の偏摩耗が防止される。尚、螺旋溝90cの中心は、実施例3と同様に回転ドラム44の回動中心軸L1から偏心させてもよい。
図18は、回転ドラムのディスク面に対し、従来のディスク面に形成された半径方向のオイル案内溝90aと部分円弧からなる溝90dを円周方向等間隔に形成した実施例5のドラムを示す。前記部分円弧は、回転ドラムの回動中心軸L1に対する同心円S1上に中心が等間隔に配置され、該中心周りに形成される半径Rの円周の一部分を前記回動中心軸L1の周囲に等間隔に配置したものである。円周溝をこのように配置した場合でも、ディスク面の冷却効果の向上と、円周方向溝をオイルが横切る際に発生する制動トルクの発生、偏摩耗の防止という作用効果を得ることが出来る。
図19は、実施例2の回転ドラムのディスク面において、半径方向に形成されるオイル案内溝90aと、円周方向に形成したオイル案内溝90eの連結場所において、ドラムの回転方向D1の上流側の連結部分を切断し、隙間Nを設けた実施例6のドラムを示す。このようにすると、円周方向のオイル案内溝に流入するオイルを制限できるため、円周方向のオイル案内溝をオイルが横切る際に発生する制動トルクの大きさをコントロールすることが出来る。
また、前記した実施例1では、オイル案内溝90が溝幅方向中央部の横断面U字溝領域91とその周縁部のテーパ面領域92で構成されているが、図20(a)図に示すように、実施例1のU字溝領域91を角の丸い(符号91b:オイルの流動性向上)断面四角形状91aに形成して、断面形状を大きくし、断面を通過するオイルの量を増やして熱伝達を促進し、冷却効率を上げることが出来る。また、オイル案内溝の断面形状は、図20(b)(c)図に示すように、幅方向中央部の横断面U字またはV字溝領域91c,91dと、その周縁部にディスク面44aに対する傾斜が徐変するR曲面領域93(領域93は無くても良い)を形成した構造であってもよい。
また、前記した実施例では、回転ドラム44にブレーキを作用させるクラッチケース60の前面に設ける摩擦材66として、抄紙基材に熱硬化性樹脂を含浸した多孔質成形体を示したが、炭素繊維またはアラミド繊維からなる不織布に熱硬化性樹脂を含浸した多孔質成形体や、炭素繊維およびアラミド繊維からなる不織布に熱硬化性樹脂を含浸した多孔質成形体で構成するようにしてもよい。
本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。 同装置の内部構造を示す斜視図である。 電磁ブレーキ手段の要部を構成する電磁クラッチの斜視図である。 同電磁クラッチの正面図である。 摩擦材と回転ドラム間の相対摺動部の拡大断面図で、(a)はオイル導入用の切り欠き位置における断面図、(b)はカシメ部位置における断面図である。 実施例1の回転ドラムの斜視図である。 実施例1の回転ドラムの正面図である。 回転ドラムのVIII−VIII(図7)断面図である。 回転ドラムのオイル案内溝のIX-IX(図7)断面図である。 油膜に発生する剪断力の説明図 回転ドラムの鍛造工程説明図である。 (a)〜(c)は実施例1の回転ドラムの回転数に対する、回転ドラムと摩擦材との相対摺接面間における摩擦係数の減少率を示す図である。 回転ドラムの第2実施例の正面図である。 (a)〜(c)は、実施例2の回転ドラムの回転数に対する、回転ドラムと摩擦材との相対摺接面間における摩擦係数の減少率を示す図である。 回転ドラム上の円周溝の割合と摩擦材寿命との関係を表す図である。 回転ドラムの第3実施例の正面図である。 回転ドラムの第4実施例の正面図である。 回転ドラムの第5実施例の正面図である。 回転ドラムの第6実施例の正面図である。 (a)〜(c)は、回転ドラムのオイル案内溝に関する他の断面形状を示す図である。 エンジンの位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造に関する従来技術を示す図である。
符号の説明
2 カムシャフト
2a カム
10 スプロケットである円環状外筒部
12 スプロケット本体
13 凹部
14 内フランジプレート
16 スプラインケース
17,32 雌ヘリカルスプライン
17,33、23,32 ヘリカルスプライン係合部
20 カムシャフトの一部を構成する円環状内筒部
23,33 雄ヘリカルスプライン
30 中間部材
31,45 角ねじ部
40 電磁ブレーキ手段
42 電磁クラッチ
44 回転ドラム
44a 回転ドラムのディスク面
46 ねじりコイルばね
51 摩擦トルク付加部材である皿ばね積層体
55 摩擦トルク付加部材である摩擦プレート
60 クラッチケース
60a クラッチケース内周壁
60b クラッチケース外周壁
60c 段差部
60d カシメ部
62 電磁コイル
61a オイル導入用の切り欠き
61b オイル導出用の切り欠き
63a クラッチケース内周壁と摩擦材間の隙間
63b クラッチケース外周壁と摩擦材間の隙間
64 摩擦材保持プレート
66 偏平な摩擦材
67 摩擦材表面のオイル案内溝
70 カムシャフト内に設けられたオイル通路
74 クラッチケースの半径方向内側に設けたオイル溜り
90,90b,90d,90e 円の円周方向に沿って形成したオイル案内溝
90c 螺旋状のオイル案内溝
L1 回転ドラムの回動中心軸
O1 L1から変心するオイル案内溝90bの中心

Claims (3)

  1. クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状スプロケットに対し動弁機構を構成するカムシャフトが同軸状で相対回動可能に配置され、前記カムシャフトに対して回転ドラムが相対回動可能に支承され、前記回転ドラムと軸方向に正対する位置には、前記回転ドラムのディスク面に扁平な摩擦材を摺接させ、該相対摺接面にオイルを供給しながら前記回転ドラムに制動力を付与する電磁ブレーキ手段が設けられ、前記制動力によって回転ドラムに生じる前記スプロケットに対する回転遅れに連係して、位相角変化手段が、前記スプロケットとカムシャフト間の位相角を変更する自動車用エンジンの位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、
    前記回転ドラムは、前記摩擦材と摺接するディスク面上に円の円周方向に沿って形成したオイル案内溝を有することを特徴とする自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造。
  2. クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状スプロケットに対し動弁機構を構成するカムシャフトが同軸状で相対回動可能に配置され、前記カムシャフトに対して回転ドラムが相対回動可能に支承され、前記回転ドラムと軸方向に正対する位置には、前記回転ドラムのディスク面に扁平な摩擦材を摺接させ、該相対摺接面にオイルを供給しながら前記回転ドラムに制動力を付与する電磁ブレーキ手段が設けられ、前記制動力によって回転ドラムに生じる前記スプロケットに対する回転遅れに連係して、位相角変化手段が、前記スプロケットとカムシャフト間の位相角を変更する自動車用エンジンの位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、
    前記回転ドラムは、前記摩擦材と摺接するディスク面上に、前記回転ドラムの回動中心軸周りを周回する螺旋状のオイル案内溝を形成したことを特徴とする自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造。
  3. 前記オイル案内溝の中心は、前記回転ドラムの回動中心軸から離心することを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造。
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