JP2006138237A - 自動車用エンジンにおける位相可変装置 - Google Patents

自動車用エンジンにおける位相可変装置 Download PDF

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Abstract

【課題】クランクシャフトの駆動力伝達側スプロケットの内周とカムシャフトの外周面間に介装した中間部材のヘリカルスプライン係合部において打音の発生しない長期継続使用の可能な位相可変装置を提供する。
【解決手段】外筒部10と同軸に配置され、カムシャフト2に延びる従動側の円環状内筒部20と、外筒部10と内筒部20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部10と内筒部20間に介装され、外筒部10と内筒部20間の位相を変える中間部材30とを備え、外筒部10側のフランジ係合溝13に係合する内筒部20側のフランジ24の一側面側にばね部材を介装し、フランジ24の他側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間の相対摺動摩擦トルクを増加させて、スプライン係合部17,33,23,32における歯部同士の衝突速度を低減しその打音の発生を防止する位相可変装置で、フランジ24の側面24aをテーパ形状にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部とカムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合し、軸方向に移動することで外筒部に対する内筒部の位相を変える(カムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開閉タイミングを変化させる)中間部材を備えた自動車用エンジンにおける位相可変装置に係り、特に、外筒部と内筒部間の相対摺動部に摺動摩擦トルクを増加させる摩擦トルク付加部材を介装して、ヘリカルスプライン係合部における打音を低減させるように構成した自動車用エンジンにおける位相可変装置に関する。
この種の位相可変装置としては、例えば、特許文献1が知られている。これは、図13に示すように、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケット1の内周側に同軸状のカムシャフト2が配設され、スプロケット1とカムシャフト2間には、両者1,2にそれぞれヘリカルスプライン係合し、軸方向に移動して両者1,2間の位相を変える中間部材3が介装され、スプロケット1の側面側には、中間部材3に角ねじ部3cにより螺合するとともに、エンジンケース9に固定された電磁ブレーキ4によって制動力が作用するように構成された回転ドラム5が配設され、回転ドラム5とスプロケット1間には巻き上げられたスプリング6が半径方向に介装された構造となっている。符号3a,3bは、内外のヘリカルスプライン係合部、符号5aは、回転ドラム5の角ねじ部である。
そして、電磁ブレーキ4のON/OFF制御により、電磁ブレーキ4の制動力が回転ドラム5に伝達されて中間部材3が角ねじ部3c,5aによって回動しながら前進(図12右方向に移動)し、ヘリカルスプライン係合部3a,3bによってスプロケット1とカムシャフト2間の位相が変わるようになっている。特に、スプロケット1とカムシャフト2間に介装する中間部材3の内外周面に逆ヘリカルスプライン係合部3a,3bを設けたので、中間部材3の軸方向への移動量に対しスプロケット1とカムシャフト2間の位相を大きく変えることができる。
また、スプロケット1側とカムシャフト2側間にばね部材7と摩擦プレート8を介装して、スプロケット1側とカムシャフト2間の相対摺動トルクを高めて、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯打音の低減が図られている。
即ち、バルブの開閉時毎にカムシャフト2にトルク変動が生じ、カムシャフト2に回転ムラが発生している。そして、ヘリカルスプライン係合部3a,3bには、バックラッシュ相当の隙が設けられているため、スプロケット1とクランクシャフト2間の回転速度の急変によって、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯同士が急速度でぶつかる際にカツ、カツ、カツ…という金属音を発生するおそれがあるが、スプロケット1側とカムシャフト2側間に摩擦トルク付加部材としてばね部材7と摩擦プレート8を介装して、スプロケット1とカムシャフト2間の相対摺動トルクを高めることで、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯同士の衝突速度が遅くなって、衝突音が低減される。
特開2001−168288号
しかし、前記した従来技術(特許文献1)では、樹脂を含浸した紙で構成された摩擦プレート8の摺接面が摩滅するため、以下の問題が提起された。
第1に、摩擦プレート8の摺接面の摩滅により、ばね部材7の介装スペースが拡がって摩擦プレート8の摺接面に作用するばね部材7のばね付勢力が低下する。このため、スプロケット1側とカムシャフト2間の相対摺動トルクが低下して、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯打音の低減効果が十分とはいえない。
第2に、スプロケット1側とカムシャフト2間の相対摺動トルクを高める部材として、ばね部材7と摩擦プレート8の二部材が必要で、それだけ部品点数が多い。また、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯打音の低減効果を保持するためには、摩擦プレート8を摩滅前に定期的に交換すればよいが、非常に面倒である。
本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、クランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケット側の円環状外筒部とカムシャフト側の円環状内筒部間に介装された中間部材のヘリカルスプライン係合部において打音の発生しない長期の継続使用が可能な自動車用エンジンにおける位相可変装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、構成の簡潔な自動車用エンジンにおける位相可変装置を提供することにある。
前記第1,第2の目的を達成するために、請求項1に係る自動車用エンジンにおける位相可変装置おいては、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部と、前記外筒部と同軸に配置され、カムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部と、前記外筒部と内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部と内筒部間に配置され、軸方向に移動して外筒部に対する内筒部の位相を変える中間部材とを備え、
前記内筒部の外周面にはフランジが設けられ、前記外筒部の内周面には前記フランジが係合するフランジ係合溝が設けられ、前記フランジの一方の側面側には軸方向に伸張するばね部材が介装されて、前記フランジの他方の側面とこれに対向するフランジ係合溝の側面とが摺接し、該摺接部における摺動摩擦トルクが増加して前記ヘリカルスプライン係合部における打音の発生が低減される自動車用エンジンにおける位相可変装置であって、
前記摺接部を構成する摺接面の少なくとも一方を内径側凸のテーパ形状に構成した。
前記第1の目的を達成するために、請求項2に係る自動車用エンジンにおける位相可変装置においては、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部と、前記外筒部と同軸に配置され、カムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部と、前記外筒部と内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部と内筒部間に配置され、軸方向に移動して外筒部に対する内筒部の位相を変える中間部材とを備え、
前記内筒部の外周面にはフランジが設けられ、前記外筒部の内周面には前記フランジが係合するフランジ係合溝が設けられ、前記フランジの一方の側面側には軸方向に伸張するばね部材が、他方の側面側には金属製環状摩擦プレートがそれぞれ介装されて、前記フランジの他方の側面とこれに対向するフランジ係合溝の側面とが前記金属製環状摩擦プレートを介して摺接し、該摺接部における摺動摩擦トルクが増加して前記ヘリカルスプライン係合部における打音の発生が低減される自動車用エンジンにおける位相可変装置であって、
前記摺接部を構成する摺接面の少なくとも一つを内径側凸のテーパ形状に構成した。
(作用)位相可変装置では、外筒部と中間部材と内筒部が一体となって回動するように構成されており、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部とカムシャフト側の内筒部とは、同期して回転するが、電磁ブレーキ手段や油圧駆動手段によって中間部材を軸方向に移動させると、ヘリカルスプライン係合部によりスプロケットとカムシャフト間の位相が変わる。
そして、バルブの開閉時毎にカムシャフトにトルク変動が生じ、カムシャフトには回転ムラが発生している。即ち、動弁機構におけるカムがバルブステムを乗り越えた直後にバルブの復帰スプリング力相当だけカムシャフトの回転速度が変動するなど、外筒部および内筒部間の相対回転速度が急変する。このとき、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部において歯部同士が衝突することになるが、フランジの側面とこれに対向するフランジ係合溝の側面間に介装されているばね部材のばね付勢力により、外筒部と内筒部間の相対回動に対する抵抗であるフランジの他側面とこれに対向するフランジ係合溝の側面との摺接部における摺動摩擦トルク(請求項2では、フランジの側面と摩擦プレートとフランジ係合溝の側面間の摺接部における摺動摩擦トルク)が増加しているため、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部における歯部同士の衝突速度が低減されて、歯打音の発生が抑制される。
なお、摺接部における摺動摩擦トルクの増加量が大きすぎると、外筒部と内筒部間で位相が変化するまでの時間(レスポンスタイム)が増加し、位相可変装置の位相可変の応答性が低下するため、レスポンスタイムの面では、摺動摩擦トルクをそれほど大きく増加させたくない。そこで、外筒部と内筒部間の相対摺動部の摺動摩擦トルクは、打音の低減という観点からは、例えば、平均カムトルクの−20%以上で、良好なレスポンスタイムという観点からは、例えば、平均カムトルクの+10%以下であることが望ましい。そして、ばね部材のばね力を調整することで、外筒部と内筒部間の相対摺動部の摺動摩擦トルクが前記した範囲に設定されている。
また、フランジ(が形成された内筒部)およびフランジ係合溝(が形成された外筒部)はいずれも金属で構成され(請求項2では、摩擦プレートも金属で構成され)ているので、フランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部における摩滅量(請求項2では、フランジの側面と摩擦プレートとフランジ係合溝の側面間の摺接部における摩滅量)は、樹脂を含浸した紙で構成した従来の摩擦プレートの摩滅量に比べて著しく少ない。即ち、摺接部(金属)は摩滅し難いので、ばね部材が介装されているフランジ側面と溝側面間の距離はほとんど変化せず(拡がらず)、摺接部に作用するばね付勢力も変化しない。このため、摺接部における摺動摩擦トルクに変化はなく、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部における歯部同士の衝突速度低減による歯打音の発生を抑制するという作用に変化はない。
また、摺接部が摩滅し難い分、摩滅により発生した金属粉が少なく、それだけエンジンオイルの汚れが少なく、オイル交換の頻度は少なくてよい。
また、装置を長期にわたり使用すれば、摩滅し難い金属同士である摺接部も摩滅することになるが、摺接部(摺接面)がなじむことで平滑化されて、摺接部における摺動摩擦係数μが低下し、摺動摩擦トルクが減少する。さらに、摺接部の摩滅により、ばね部材が介装されているフランジ側面と溝側面間の距離が拡がって、摺接部に作用するばね付勢力が低下し、摺動摩擦トルクが減少する。
しかし、摺接部が摩滅した場合は、摺接部の面積がテーパ形状摺接面に沿って半径方向外側に拡大されることになって、摺接部における摺動摩擦トルクが増加する。
このように、装置の長期の使用により摺接部が摩滅したとしても、摺接部の面積が半径方向外側に拡大されることによる摺接部における摺動摩擦トルクの増加分が、摺接部(摺接面)の平滑化および摺接部に作用するばね付勢力の低下による摺接部における摺動摩擦トルクの減少分を補って、摺接部おける摺動摩擦トルクの大幅な低下が抑制される。
また、請求項1では、従来技術のような摩擦プレートが不要である分、部品点数が少なくてすむ。
請求項3においては、請求項1または2に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置において、前記ばね部材を、複数の皿ばねを積層させた皿ばね積層体で構成するようにした。
(作用)ばね部材としては、皿ばねやコイルスプリングや板ばね等があるが、コイルスプリングは、荷重−伸び特性はリニアであるため、摺接部に付加する摩擦トルク(外筒部と内筒部間の相対摺動部の摺動摩擦トルク)の調整がむずかしく、さらには、摺接部が摩滅して、ばね部材の介装スペース間隔が拡がると、コイルスプリングのばね付勢力も大きく減少し、摺接部に作用する摩擦トルク(外筒部と内筒部の相対摺動部における摺動摩擦トルク)の低下も著しい。一方、ばね部材として複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体を用いた場合には、その荷重−伸び特性はほぼ一定の領域をもつ(伸びに対しほぼ一定の荷重となる特性を示す)ので、摺接部に付加する摩擦トルク(外筒部と内筒部の相対摺動部における摺動摩擦トルク)の調整が容易である。さらに、摺接部が摩滅してばね部材の介装スペース間隔が拡がっても、皿ばね積層体のばね付勢力は大きく減少せず、摺接部に作用する摩擦トルク(外筒部と内筒部の相対摺動部における摩擦トルク)の低下は僅かである。
すなわち、摺接部が摩滅したとしても、摺接部に作用するばね付勢力の低下が少ない分、摺接部における摺動摩擦トルクの低下も少ない。
請求項4においては、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置において、前記ばね部材と前記フランジの側面および前記フランジ係合溝の側面間に、それぞれ平坦なスペーサを介装するようにした。
(作用)ばね部材が介装されているフランジの側面およびフランジ係合溝の側面では、ばね部材が直接当たる一部だけの摩滅を防ぐために、一般的にはばね部材の介装面を研磨等による表面平滑化処理を施すことが必要であるが、スペーサを介してばね部材を介装することで、表面平滑化処理を省くことができる。
請求項5においては、請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置において、前記内筒部には、カムシャフトのオイル通路に連通し、フランジ係合溝に開口するオイル導入孔を設け、前記外筒部には、前記フランジ係合溝に連通し、外部に開口するオイル排出孔を設けるとともに、前記摺接部を構成する摺接面の少なくとも1つには、放射状に延びるオイル溝を設けるように構成した。
(作用)カムシャフトのオイル通路内の新たなエンジンオイルがオイル導入孔を介してフランジ係合溝に導入されるとともに、フランジ係合溝内のエンジンオイルはオイル排出孔を介して外筒部外に排出されるが、摺接部を構成する摺接面に設けられているオイル溝を介して摺接面にはオイルがまんべんに導かれて、摺接面おける摺動摩擦トルクの急変や発熱が抑制される。また、摺接部(摺接面)の摩滅により発生した金属粉は、放射状に延びるオイル溝,オイル排出孔を介して外部に排出される。
特に、請求項1において、フランジ係合溝の側面に放射状にオイル溝を設ける場合は、フランジ係合溝の側面の外側にオイル排出孔に繋がる環状の第2の溝を設けて、フランジ係合溝内外間におけるエンジンオイルの循環を活発化し、摺接部における適正な摩擦トルクの維持と発熱を抑制するとともに、摺接部に発生した金属粉の外筒部外への排出機能を高めることが望ましい。
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る自動車用エンジンにおける位相可変装置によれば、長期の使用によりフランジとフランジ係合溝間の摺接部が摩滅しても、摺接部おける摺動摩擦トルクが大幅に低下することなく略一定に保持されるので、部品交換することなく装置の長期の使用が可能となる。また、摩擦プレートが不要な分、部品点数が少なく、それだけ装置構造も簡潔となる。
請求項2に係る自動車用エンジンにおける位相可変装置によれば、長期の使用によりフランジと摩擦材とフランジ係合溝間の摺接部が摩滅しても、摺接部における摺動摩擦トルクが大幅に低下することなく略一定に保持されるので、部品交換することなく装置の長期の使用が可能となる。
請求項3によれば、長期の使用によりフランジとフランジ係合溝間の摺接部が摩滅しても、摺接部における摺動摩擦トルクがほとんど低下することなく一定に保持されるので、部品交換することなく装置のさらなる長期の使用が可能となる。
請求項4によれば、外筒部や内筒部におけるばね部材介装面における表面平滑化処理を省くことができるので、それだけ装置を安価に提供できる。
請求項5によれば、フランジ係合溝内外間におけるオイルの循環が活発となって、摺接部の摩滅により発生した金属粉は確実に外筒部外に排出されるので、摺接部おける摺動摩擦トルクの急変や過度の発熱がなく、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部における歯部同士の衝突打音の発生が長期にわたり確実に抑制されるとともに、応答性良好な位相可変装置が提供される。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図1〜図5は、本発明に係る位相可変装置の第1の実施例を示し、図1は本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図、図2は同装置の内部構造を示す斜視図、図3は同装置の外筒部(スプロケット)と内筒部(カムシャフト)間の摩擦トルクと打音,レスポンスタイムとの関係を示す特性図、図4はフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接面周辺の拡大断面図、図5はフランジ係合溝の側面側の摺接面に設けたオイル溝を示す斜視図である。
これらの図において、この実施例に示す位相可変装置は、エンジンに組み付け一体化された形態で用いられ、クランク軸の回転に同期して吸排気弁が開閉するようにクランク軸の回転をカム軸に伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数などの運転状態によってエンジンの吸排気弁の開閉のタイミングを変化させるための装置で、同装置は、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部10と、外筒部10と同軸に配置されて外筒部10に対し相対回動可能で、カムシャフト2を連結一体化した従動側の円環状内筒部20と、外筒部10と内筒部20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部10と内筒部20間に介装され、軸方向に移動して外筒部10に対する内筒部20の位相を変える中間部材30と、内筒部20のカムシャフト2非配設側に設けられて、中間部材30を軸方向に移動させる電磁ブレーキ手段40と、を備えて構成されている。
外筒部10は、内周縁にリング状の凸部12aが設けられたスプロケット12と、スプロケット12の側面に密着するようにねじ固定され、凸部12aと協働してフランジ係合溝13を画成するとともに、内周側が中間部材30とスプライン係合するスプラインケース16とから構成されている。スプロケット12には、エンジンのクランク軸の回転がチェーンCを介して伝達される。符号11は、スプロケット12とスプラインケース16を固定一体化する締結ねじで、スプロケット12とスプラインケース16で外筒部10を構成することで、フランジ係合溝13の形成が容易で、外筒部10(スプラインケース16)内周面における雌ヘリカルスプライン17の形成も容易となっている。
なお、符号12bは、周方向等間隔に設けられた締結ねじ11を挿通させるための孔であるが、周方向に長い長孔で構成されており、後に詳しく説明するが、内筒部内のオイル導入孔73bによりフランジ係合溝13内に導かれたエンジンオイルを外筒部10の外部に排出するオイル排出孔Hとして機能する(図5参照)。
また、符号32,33は、中間部材30の内外周面に設けられた雌雄ヘリカルスプライン、符号23は内筒部20の外周面に設けられている雄ヘリカルスプラインである。そして、中間部材30の内外のスプライン32,33は逆方向ヘリカルスプラインで、中間部材30の軸方向への僅かな移動で、外筒部10に対し内筒部20の位相を大きく変化させることができる。符号31は、中間部材30の外周面に形成された雄角ねじ部である。
電磁ブレーキ手段40は、エンジンケース9に支持された電磁クラッチ42と、ベアリング22によって内筒部20に回転可能に支承されるとともに、中間部材30の雄角ねじ部31が螺合し、電磁クラッチ42の制動力が伝達される回転ドラム44と、回転ドラム44と外筒部10間に軸方向に介装されたねじりコイルばね46とを備えて構成されている。符号45は、回転ドラム44の内周面に設けられた雌角ねじ部で、回転ドラム44と中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って周方向に相対回動できる。即ち、中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動する。また、回転ドラム44と外筒部10(スプラインケース16)間に介装したねじりコイルばね46は軸方向に介装されているため、それだけ位相可変装置全体が軸方向には延びるが、半径方向にはコンパクトとなっている。
そして、電磁クラッチ42のON・OFFおよび電磁クラッチ42への通電量を制御することによって、中間部材30が角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動し、これによって外筒部10と内筒部20の位相が変化して、カムシャフト2のカム2aによるバルブの開閉のタイミングが調整される。即ち、電磁クラッチ42をONする前は、電磁クラッチ42は図1仮想線に示す位置にあって、回転ドラム44と電磁クラッチ42間には隙間Sが形成されており、外筒部10と内筒部20は位相差なく一体に回転している。そして、電磁クラッチ42をONすると、電磁クラッチ42が図1右方向にスライドして回転ドラム44に吸引され、これにより回転ドラム44には電磁クラッチ42から伝達される制動力が作用する。このため中間部材30が角ねじ部31,45によって前進(図1右方向に移動)し、中間部材30の内外ヘリカルスプライン32,33によって、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット12)に対し回動してその位相が変わる。そして、回転ドラム44は、伝達された制動力とねじりコイルばね46のばね力とがバランスする位置(内筒部20が外筒部10に対し所定の位相差をもつ位置)に保持される。
一方、電磁クラッチ42をOFFにすると、その制動力が回転ドラム44に伝達されないため、コイルばね46のばね力だけが作用する中間部材30は角ねじ部31,45によって後退(図1左方向に移動)して、元の位置となり、この間に、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット12)に対し電磁クラッチON時と逆方向に回動して、その位相差がなくなる。
また、内筒部20の外周面(スプロケット12との摺動面)にはフランジ24が周設され、一方、外筒部10(スプロケット12とスプラインケース16の連結体)の内周面には、フランジ24が係合するフランジ係合溝13が周設され、図4に拡大して示すように、フランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間に皿ばね積層体51が介装されて、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部の摩擦トルクが高められて、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士がぶつかる打音の発生が抑制されている。
即ち、動弁機構におけるバルブステムがカム2aを乗り越えた直後にバルブシャフトの復帰スプリング力相当だけカムシャフト2の回転速度が変動する等、外筒部10と内筒部20の相対回転速度の急変によって、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17において歯部同士が衝突するが、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部(フランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間)に介装されている皿ばね積層体51のばね付勢力により、外筒部10と内筒部20間の相対回動に対する抵抗として作用する、フランジ24の側面24bとフランジ係合溝13の側面13b間の摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクが増加しているため、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17にける歯部同士の衝突速度が低減して、歯打音の発生が抑制されている。
また、皿ばね積層体51のばね付勢力により、フランジ24の側面24bとフランジ係合溝13の側面13b間の摺接部(摺接面A1,A2)に付加される摩擦力は、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士の衝突による歯打音の発生の低減に有効であることは勿論、カムシャフト2がクランクシャフトの回動に遅滞なく追随でき、位相可変のレスポンスも良好となる適切な値に調整されている。
即ち、フランジ24の一側面24a側に介装された皿ばね積層体51は、主に圧縮力(弾発力)を発生するためのもので、複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体51は、その荷重−伸び特性はほぼ一定の領域をもつ(伸びに対しほぼ一定の荷重となる特性を示す)が、この荷重−伸び特性が僅かに異なる数種類の皿ばね積層体予め用意しておき、フランジ24とフランジ係合溝13A間の所定の隙間に収容する皿ばね積層体を取り替えることで、フランジ24の側面24bとフランジ係合溝13の側面13b間の摺接部(摺接面A1,A2)に作用する圧縮力(摩擦力)を調整する。そして、フランジ係合溝13に収容する皿ばね積層体51を特定(決定)することによって、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士の衝突による歯打音の発生の低減に有効で、しかもカムシャフト2がクランクシャフトの回動に遅滞なく追随できるように(レスポンス性が良好となるように)、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部に付加される摩擦トルクが調整されている。
図3は、外筒部10と内筒部20間の摩擦トルクを横軸に、スプライン係合部の打音の大きさを示す振動およびエンジンに作用する負荷の変化に対するバルブの開閉制御に要すレスポンスタイム(電磁ブレーキ手段40によって外筒部10に制動力を作用させたときに、内筒部20が外筒部10に対し回動して位相差が生じるまでの応答時間)を縦軸にとって、ある自動車のエンジンにおける摩擦トルク・振動特性Aと摩擦トルク・レスポンスタイム特性Bを示す図である。
この図の摩擦トルク・振動特性Aからわかるように、外筒部10と内筒部20間の摺動部における摩擦トルクが増えると、スプライン係合部における歯部の衝突速度が遅くなることから、打音の大きさ(振動)は当然に低下するので、摩擦トルクは大きい方がよい。しかし、摩擦トルク・レスポンスタイム特性Bからわかるように、摩擦トルクが増えると、レスポンスタイムが増える(応答時間が遅くなる)ことから、摩擦トルクをそれほど大きくはできない。そこで、具体的には、例えば、打音の大きさ(振動)が16G以下でレスポンスタイムが0.3秒以下となるように、換言すれば、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部における摩擦トルクが平均カムトルク(バルブの開閉によってカムシャフトに作用するトルクの平均値)の−20%〜+10%の範囲となるように、皿ばね積層体51の皿ばねの枚数を調整するのである。
また、フランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間に介装するばね部材としては、皿ばね積層体51以外にコイルスプリングや板ばね等があるが、コイルスプリングは、荷重−伸び特性はリニアであるため、フランジ24とフランジ係合溝13間の圧接部に付加する摩擦トルクの調整ができないことはないが面倒であり、さらには、フランジ24とフランジ係合溝13間の圧接部が摩滅して、フランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間距離が大きくなると、コイルスプリングのばね付勢力も大きく減少し、外筒部と内筒部の相対摺動部における摩擦トルクの低下も著しい。一方、複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体51では、フランジ24とフランジ係合溝13間の圧接部が摩滅して、皿ばね積層体51が介装されている側面24aと側面13a間距離が大きくなっても、そのばね付勢力は大きく減少しないため、摺接部(摺接面A1,A2)における圧接力はほとんど低下せず、したがって外筒部10と内筒部20の相対摺動部における摩擦トルクの低下は僅かであり、長期にわたりスプライン係合部23,32、33,17における歯部間の歯打音の低減が有効に機能する。
また、フランジ24(が形成された内筒部20)およびフランジ係合溝(が形成された外筒部10)はいずれも金属で構成されているので、フランジ24の側面24bとフランジ係合溝13の側面13b間の摺接部(摺接面A1,A2)における摩滅量は、樹脂を含浸した紙で構成した従来の摩擦プレート8の摩滅量に比べて著しく少ない。即ち、摺接部(摺接面A1,A2)は摩滅し難いので、皿ばね積層体51が介装されているフランジ側面24aと溝側面13a間の距離はほとんど変化せず(拡がらず)、摺接部(摺接面A1,A2)に作用するばね付勢力も変化しない。このため、長期の使用でない限り摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクに変化はなく、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士の衝突速度低減による歯打音の発生を抑制するという作用に変化はない。
さらに、フランジ係合溝13の側面13b(摺接面A2)が内筒部10の軸芯に対し直交するのに対し、フランジ24の側面24b(摺接面A1)は内径側が凸のテーパ形状に形成されて、フランジ24の側面24bの基端部寄りだけがフランジ係合溝13の側面13bに摺接するように構成されて、長期の使用等でたとえ摺接部が摩滅しても、摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクの低下が抑制されて、歯部間の歯打音の低減作用が有効に機能するようになっている。
即ち、装置を長期にわたり使用すれば、摩滅し難い金属同士である摺接部(摺接面A1,A2)も摩滅することになるが、摺接部(摺接面A1,A2)同士がなじむことで平滑化されて、摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦係数μが低下し、摺動摩擦トルクが減少する。さらに、摺接部(摺接面A1,A2)の摩滅により、皿ばね積層体51が介装されているフランジ側面13aと溝側面24a間の距離が拡がって、摺接部(摺接面A1,A2)に作用するばね付勢力が低下し、摺動摩擦トルクが減少する。
しかし、摺接部(摺接面A1,A2)が摩滅した場合は、図4仮想線に示すように、摺接部(摺接面A1,A2)の面積が当初の巾dで示す環状領域からフランジ24のテーパ形状摺接面A1に沿ったDで示す半径方向外側に拡大された環状領域になって、摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクが増加する。
このように、装置の長期の使用により摺接部(摺接面A1,A2)が摩滅したとしても、摺接部(摺接面A1,A2)の面積が半径方向外側に拡大されることによる摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクの増加分が、摺接部(摺接面A1,A2)の平滑化および摺接部(摺接面A1,A2)に作用するばね付勢力の低下による摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクの減少分を補って、摺接部(摺接面A1,A2)における摺動摩擦トルクの大幅な低下が抑制されている。即ち、摺接部(摺接面A1,A2)おける摺動摩擦トルクが略一定に保持されるので、長期にわたりヘリカルスプライン係合部23,32、33,17の歯部間の歯打音低減作用が有効に機能する。
また、符号2bは、カムシャフト2の一部を構成する内筒部20をカムシャフト本体に一体化する締結ねじで、カムシャフト2内の締結ねじ2bの周りには、オイル通路70が設けられている。オイル通路70には、カムシャフト2のジャーナル軸受け73のオイルポートおよびカムシャフト2の側孔73aを介して、エンジンオイルがポンプPによって圧送されている。符号73bは、内筒部20に設けられて、オイル通路70のオイルをフランジ係合溝13内に導くオイル導入孔である。
一方、中央に内筒部20係合用の円孔が設けられたスプロケット12には、図4,5に示すように、締結ねじ11が挿通される長孔で構成したねじ挿通孔12bがフランジ係合溝13に接近して設けられるとともに、フランジ係合溝13の側面13b(スプロケット12の内径側の側面)の周り(外径側)には環状溝64が設けられて、フランジ係合溝13とねじ挿通孔(長孔)12bとが環状溝64を介して繋がっている。そして、オイル導入孔73bを介してフランジ係合溝13に導かれたエンジンオイルは、摺接面A1,A2に供給された後、環状溝64およびねじ挿通孔(長孔)12bを介して外部に排出されるように構成されている。即ち、ねじ挿通孔(長孔)12bは、フランジ係合溝13内のオイルを外部に排出するオイル排出孔として作用する。
また、フランジ係合溝13の側面13bには、図4,5に拡大して示すように、周方向等間隔に配置されたねじ挿通孔(長孔)12bの位置に対応して放射状に延びるオイル溝60が周方向等間隔に設けられて、オイル導入孔73bからフランジ係合溝13に導かれたオイルがオイル溝60を介して摺接面A1,A2全域に供給されるように構成されている。
また、環状溝64におけるオイル溝60との連通領域には、ねじ挿通孔(長孔)12bの巾に略整合する巾の切欠き62が設けられて、オイル溝60および環状溝64からオイルがスムーズにねじ挿通孔(長孔)12bに流入できるようになっている。即ち、摺接部(摺接面A1,A2)が擦れて発生した金属粉のほとんどはオイルとともに排出されるが、オイル流路の屈曲部ではオイルの流れが淀んで金属粉が堆積するおそれがあるが、オイル流路の屈曲部に切欠き62を設けることでオイル溝60および環状溝64からねじ挿通孔(長孔)12bへの流れがスムーズになって、オイル流路が金属粉により目詰することがない。
また、フランジ係合溝13には、フランジ24の先端部が係合できる段差部13cが形成されて、フランジ係合溝13に収容されている皿ばね積層体51に過大荷重が作用しないようになっている。即ち、フランジ24と段差部13c間は、通常は微小隙間が設けられて、互いに接触しないように保持されているため、クランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケット12がぶれる等して電磁ブレーキ手段40側に押されると、フランジ係合溝13に収容されている皿ばね積層体51に過大荷重が頻繁に作用することとなり、皿ばね積層体51ではへたって疲労破壊につながり好ましくないが、スプロケット12が電磁ブレーキ側に大きく押圧されると、フランジ係合溝13内の段差部13cがフランジ24に当接して、皿ばね積層体51に過大な圧縮力が作用せず、皿ばね積層体51の耐久性が保証されている。
また、皿ばね積層体51は、平坦なスペーサ52,53を介してフランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間に介装されて、外筒部10や内筒部20に施す表面硬化処理が省かれている。即ち、皿ばね積層体51を介装するフランジ24の側面24aやフランジ係合溝13の側面では、皿ばね積層体51が直接当たる一部だけの摩滅を防ぐために、一般的には皿ばね積層体51の介装面に研磨等による表面平滑化処理を施すことが必要であるが、スペーサ52,53を介して皿ばね積層体51を介装することで、表面平滑化処理を省くことができる。
なお、前記した第1の実施例では、摺接部(摺接面A1,A2)であるフランジ24の側面24bがテーパ形状に構成されていたが、変形例として、図6(a)に示すような階段状テーパ面24b1や、図6(b)に示すような凸曲面状テーパ面24b2で構成してもよい。
図7は本発明の第2の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の要部であるフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図(第1の実施例における図4に対応する図)である。
前記した第1の実施例では、摺接部(摺接面A1,A2)であるフランジ24の側面24bとこれに対応するフランジ係合溝13の側面13bのうち、フランジ24の側面24b(摺接面A1)が内径側凸のテーパ形状に構成されていたが、この第2の実施例では、摺接面A2(フランジ係合溝13の側面13b)が内径側凸のテーパ形状に構成されている。
また、フランジ係合溝13の側面13bには、放射状に延びるオイル溝60が設けられ、側面13bの周りには、オイル排出孔である締結ねじ挿通孔12b(長孔H)に繋がる環状のオイル溝64が設けられている。
その他は、前記した第1の実施例と同一であり、その重複した説明は省略する。
図8は本発明の第4の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図、図9は同装置の要部であるフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。
前記した第1,第2の実施例では、外筒部10を構成するスプロケット12とスプラインケース16によってフランジ係合溝13が画成されているが、この第3の実施例では、外筒部10を構成する第1のスプロケット12と内フランジプレート14とスプラインケース16によってフランジ係合溝13が画成されている。即ち、並設スプロケット12,12と内フランジプレート14とスプラインケース16が締結ねじ11により共締め固定されて外筒部10として一体化されているが、第1のスプロケット12内周側の凹部12cと内フランジプレート14内周縁部とによって、内筒部20側のフランジ24が係合するフランジ係合溝13が画成されている。
そして、フランジ24の側面24bとフランジ係合溝13の側面13b間に皿ばね積層体51が介装されるとともに、フランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13a間に金属製摩擦プレート56が介装されて、フランジ24の側面24bと摩擦プレート56とフランジ係合溝13の側面13b間の摺接部における摺動摩擦トルク、即ち、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部の摩擦トルクが高められて、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士がぶつかる打音の発生が抑制されている。
また、摺接面B1であるフランジ係合溝13の側面13b(内フランジプレート14内周縁部の側面14a)および摺接面B2,B3である金属製摩擦プレート56の両側面56a,56bは、いずれも内筒部20の軸芯に対し直交する面で構成されているのに対し、摺接面B4であるフランジ24の側面24aは内側に凸のテーパ形状に形成されて、摺接面B1,B2では全体が摺接するが、摺接面B3,B4では摺接面B4の基端部寄りだけが摺接面B3に摺接するように構成されて、長期の使用等でたとえ摺接部(摺接面B3,B4)が摩滅しても、前記した第1の実施例構造における作用と同様の作用によって、摺接部(摺接面B3,B4)における摺動摩擦トルクが略一定に保持されて、スプライン係合部23,32、33,17の歯部間の歯打音の低減効果が有効に機能するようになっている。
また、金属製摩擦プレート56の両側面56a,56b(摺接面B2,B3)には、それぞれ放射状に延びるオイル溝60が設けられ、外筒部10であるスプロケット12には、フランジ係合溝13から斜め外方に延びるオイル排出孔H2が設けられて、フランジ係合溝13内のエンジンオイルを外筒部10外に排出するようになっている。
その他は、前記した第1の実施例と同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
また、この第3の実施例における位相可変装置のフランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13b間の摺接部の構造としては、図10〜図12に示す構造も考えられる。
即ち、図10は、フランジ24の側面24aとフランジ係合溝13の側面13b(内フランジプレート14内周縁部の側面14a)間の摺接部である4つの摺接面B1,B2,B3,B4のうち、摺接面B1を内径側凸のテーパ形状に構成したもの、図11は、4つの摺接面B1,B2,B3,B4のうち、摺接面B2を内径側凸のテーパ形状に構成したもの、図12は、4つの摺接面B1,B2,B3,B4のうち、摺接面B3を内径側凸のテーパ形状に構成したものである。
なお、前記した第1,第2の実施例では、摺接面A1,A2のいずれか一方を、前記した第3〜第6の実施例では、摺接面B1,B2,B3,B4のいずれか1つを内径側凸のテーパ形状に構成しているが、前記した第1の実施例において摺接面A1,A2の両方を内径側凸のテーパ形状に構成してもよいし、前記した第3〜第6の実施例において摺接面B1,B2,B3,B4の2以上の摺接面を内径側凸のテーパ形状に構成してもよい
また、前記した第1〜第6の実施例では、いずれも中間部材30を軸方向に移動させる手段として電磁ブレーキ手段40を用いているが、電磁ブレーキ手段40に限るものではなく、油圧駆動手段によって中間部材30を軸方向に移動させる方式であってもよい。
本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。 同装置の内部構造を示す斜視図である。 同装置の外筒部(スプロケット)と内筒部(カムシャフト)間の摩擦トルクと打音,レスポンスタイムとの関係を示す特性図である。 フランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 フランジ係合溝の側面側の摺接面に設けたオイル溝を示す斜視図である。 (a)本発明の第1の実施例の変形例で、フランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。(b)本発明の第1の実施例の他の変形例で、フランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 本発明の第2の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の要部であるフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 本発明の第3の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。 フランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 本発明の第4の実施例の要部であるフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 本発明の第5の実施例の要部であるフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 本発明の第6の実施例の要部であるフランジの側面とフランジ係合溝の側面間の摺接部周辺の拡大断面図である。 従来の自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。
符号の説明
2 カムシャフト
2b カム
10 円環状外筒部
11 締結ねじ
12 スプロケット
12b ねじ挿通孔(長孔)
13 フランジ係合溝
13a,13b フランジ係合溝の側面
13c 段差部
14 内フランジプレート
16 スプラインケース
17,33、23,32 ヘリカルスプライン係合部
18 凹溝
20 円環状内筒部
24 フランジ
24a、24b フランジの側面
30 中間部材
31,45 角ねじ部
40 電磁ブレーキ手段
42 電磁クラッチ
44 回転ドラム
46 ねじりコイルばね
51 皿ばね積層体
52,53 スペーサ
56 金属製摩擦プレート
60 オイル溝
62 切り欠き
64 環状溝
73b オイル導入孔
A1,A2、B1,B2,B3,B4 摺接面
H,H2 オイル排出孔

Claims (5)

  1. クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部と、前記外筒部と同軸に配置され、カムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部と、前記外筒部と内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部と内筒部間に配置され、軸方向に移動して外筒部に対する内筒部の位相を変える中間部材とを備え、
    前記内筒部の外周面にはフランジが設けられ、前記外筒部の内周面には前記フランジが係合するフランジ係合溝が設けられ、前記フランジの一方の側面側には軸方向に伸張するばね部材が介装されて、前記フランジの他方の側面とこれに対向するフランジ係合溝の側面とが摺接し、該摺接部における摺動摩擦トルクが増加して前記ヘリカルスプライン係合部における打音の発生が低減される自動車用エンジンにおける位相可変装置であって、
    前記摺接部を構成する摺接面の少なくとも一方が内径側凸のテーパ形状に形成されたことを特徴とする自動車用エンジンにおける位相可変装置。
  2. クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部と、前記外筒部と同軸に配置され、カムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部と、前記外筒部と内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部と内筒部間に配置され、軸方向に移動して外筒部に対する内筒部の位相を変える中間部材とを備え、
    前記内筒部の外周面にはフランジが設けられ、前記外筒部の内周面には前記フランジが係合するフランジ係合溝が設けられ、前記フランジの一方の側面側には軸方向に伸張するばね部材が、他方の側面側には金属製環状摩擦プレートがそれぞれ介装されて、前記フランジの他方の側面とこれに対向するフランジ係合溝の側面とが前記金属製環状摩擦プレートを介して摺接し、該摺接部における摺動摩擦トルクが増加して前記ヘリカルスプライン係合部における打音の発生が低減される自動車用エンジンにおける位相可変装置であって、
    前記摺接部を構成する摺接面の少なくとも一つが内径側凸のテーパ形状に形成されたことを特徴とする自動車用エンジンにおける位相可変装置。
  3. 前記ばね部材は、複数の皿ばねを積層させた皿ばね積層体で構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置。
  4. 前記ばね部材と前記フランジの側面および前記フランジ係合溝の側面間には、それぞれ平坦なスペーサが介装されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置。
  5. 前記内筒部には、カムシャフトのオイル通路に連通し、フランジ係合溝に開口するオイル導入孔が設けられ、前記外筒部には、前記フランジ係合溝に連通し、外部に開口するオイル排出孔が設けられるとともに、前記摺接部を構成する摺接面の少なくとも1つには、放射状に延びるオイル溝が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置。
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