JP4374151B2 - 自動車用エンジンにおける位相可変装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁バルブによりカムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開閉タイミングを変化させる自動車用エンジンにおける位相可変装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の位相可変装置としては、例えば、特開平7−26917号が知られている。これは、図5に示すように、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケット1の内周側に同軸状のカムシャフト2が配設され、スプロケット1とカムシャフト2間には、両者1,2にそれぞれヘリカルスプライン係合し、軸方向に移動して両者1,2間の位相を変える中間部材3が介装され、スプロケット1の側面側には、中間部材3に角ねじ部3cにより螺合するとともに、エンジンケース8に固定された電磁ブレーキ4によって制動力が作用するように構成された回転ドラム5が配設され、回転ドラム5とスプロケット1間には巻き上げられたスプリング6が半径方向に介装された構造となっている。符号3a,3bは、内外のヘリカルスプライン係合部、符号5aは、回転ドラム5の角ねじ部である。
【0003】
そして、電磁ブレーキ4のON/OFF制御により、電磁ブレーキ4の制動力が回転ドラム5に伝達されて中間部材3が角ねじ部3c,5aによって回動しながら前進(図5右方向に移動)し、ヘリカルスプライン係合部3a,3bによってスプロケット1とカムシャフト2間の位相が変わるようになっている。特に、スプロケット1とカムシャフト2間に介装する中間部材3の内外周面に逆ヘリカルスプライン係合部3a,3bを設けたので、中間部材3の軸方向への移動量に対しスプロケット1とカムシャフト2間の位相を大きく変えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来技術では、エンジンの駆動中にカツ、カツ、カツ...という音が生じるという問題があった。
【0005】
発明者が検討したところ、これは、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯の打音であることがわかった。即ち、バルブの開閉時毎にカムシャフト2にトルク変動が生じ、カムシャフト2に回転ムラが発生している。そして、ヘリカルスプライン係合部3a,3bには、バックラッシュ相当の隙が設けられているため、スプロケット1とクランクシャフト2間の回転速度の急変によって、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯同士が急速度でぶつかる際に音を発生するのである。
【0006】
そこで発明者は、ヘリカルスプライン係合部3a,3bにおける歯同士が急速度でぶつからないようにすれば、即ち歯同士の衝突速度を遅くしてやれば打音が低減されるのではないかと考えて、実験をした結果、有効であることが確認されたので、本発明を提案するに至ったものである。
【0007】
本発明は、前記した従来技術の問題点および前記した発明者の知見に基づいてなされたもので、その目的は、クランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケット側の円環状外筒部とカムシャフト側の円環状内筒部間に介装された中間部材のヘリカルスプライン係合部において打音の発生しない位相可変装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
前記目的を達成するために、請求項1においては、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部と、前記外筒部と同軸に配置され、カムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部と、前記外筒部と内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部と内筒部間に介装され、軸方向に移動して外筒部に対する内筒部の位相を変える中間部材と、を備えた自動車用エンジンにおける位相可変装置において、
前記ヘリカルスプライン係合部における打音を低減すべく、前記外筒部と内筒部間の相対摺動面に、摺動摩擦トルクを増加させる摩擦トルク付加部材を介装するように構成した。
(作用)外筒部と中間部材と内筒部が一体となって回動するように構成されており、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部とカムシャフト側の内筒部とは、同期して回転するが、電磁ブレーキ手段や油圧駆動手段により、中間部材が軸方向に移動すると、ヘリカルスプライン係合部によりスプロケットとカムシャフト間の位相が変わる。
【0009】
そして、バルブの開閉時毎にカムシャフトにトルク変動が生じ、カムシャフトに回転ムラが発生している。即ち、動弁機構におけるバルブステムがカムを乗り越えた直後にバルブシャフトの復帰スプリング力相当だけカムシャフトの回転速度が変動するなど、外筒部および内筒部間の相対回転速度が急変する。このとき、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部において歯部同士が衝突することになるが、外筒部と内筒部間の相対摺動面に介装されている摩擦トルク付加部材が、外筒部と内筒部間の相対回動に対する抵抗として作用し、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部にける歯部同士の衝突速度を低減し、打音の発生を抑制する。
【0010】
なお、摺動摩擦トルクを増加させると、外筒部と内筒部間で位相が変化するまでの時間(レスポンスタイム)が増加し、位相可変装置の位相可変の応答性が低下するため、レスポンスタイムの面では、摺動摩擦トルクをそれほど大きく増加させたくない。そこで、外筒部と内筒部間の相対摺動部の摺動摩擦トルクは、打音の低減という観点からは、例えば、平均カムトルクの−20%以上で、良好なレスポンスタイムという観点からは、例えば、平均カムトルクの+10%以下であることが望ましい。
【0011】
また、請求項1においては、前記外筒部と内筒部間の相対摺動面の一方である前記内筒部の外周面にフランジを周設し、同相対摺動面の他方である前記外筒部の内周面には前記フランジが係合するフランジ係合溝を周設し、対向する前記フランジの側面と前記フランジ係合溝の側面間に前記摩擦トルク付加部材を介装するように構成した。
(作用)外筒部と内筒部間の相対摺動面間に円筒形状に摩擦トルク付加部材を介装する場合は、適切な摩擦トルクが付加されるように摩擦トルク付加部材の厚さを調整することは難しいが、平面形状の摩擦トルク付加部材の厚さを調整することは容易である。
また、請求項1においては、前記円環状外筒部を、内周縁にリング状の凹部が設けられたスプロケットと、前記スプロケットの側面に密着し、前記凹部と協働して前記フランジ係合溝を画成する内フランジプレートと、前記内フランジプレートを前記スプロケットに共締め固定し、前記中間部材とのスプライン係合部が内周に形成されたスプラインケースとから構成した。
(作用)スプロケットのリング状の凹部に摩擦トルク付加部材とともに内筒部側のフランジを係合し、リング状の凹部を塞ぐように内フランジプレートを配し、スプラインケースと内フランジプレートとスプロケットを共締め固定することで、簡単に外筒部と内筒部を組み付けできる。
また、フランジ係合溝周辺領域を、スプロケットと内フランジプレートとスプラインケースで構成することで、フランジ係合溝の形成が容易で、外筒部におけるスプライン係合部の形成も容易である。
また、請求項1において、前記スプロケットの内周縁に形成されたリング状の凹部を、前記フランジおよび摩擦トルク付加部材が収容される径の大きい入口側の凹部と、摩擦トルク付加部材だけが収容される径の小さい奧側の凹部の2段で構成しすることが望ましい。
(作用)このように構成すれば、クランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケットがぶれる等して、径の小さい奧側の凹部に収容されている摩擦トルク付加部材である皿ばね等のばね部材に過大荷重が頻繁に作用すると、ばね部材がへたって疲労し好ましくないが、スプロケットが摩擦トルク付加部材を圧縮する方向に大きく変位すると、入口側の凹部と奧側の凹部間の段差部がフランジに当接して、皿ばね等のばね部材に過大な圧縮力が作用せず、摩擦トルク付加部材である皿ばね等のばね部材の耐久性が保証されている。
【0012】
請求項2においては、請求項1に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置において、前記摩擦トルク付加部材を、前記フランジの一側面側に介装されたばね部材と、他側面側に介装された摩擦プレートによって構成した。
(作用)フランジの一側面側に介装されたばね部材が圧縮されて、フランジの他側面側に介装された摩擦プレートをフランジ係合溝に圧接するように作用するので、ばね部材のばね付勢力を調整することで、フランジと摩擦プレートとフランジ係合溝間の摺動摩擦抵抗の大きさの調整、即ち、外筒部と内筒部の相対摺動部における摩擦トルクの調整が容易となる。
【0013】
また、ばね部材としてはコイルスプリングや板ばね等があるが、コイルスプリングは、荷重−伸び特性はリニアであるため、フランジと摩擦プレートとフランジ係合溝間に付加する摩擦トルクの調整がむずかしく、さらには、摩擦プレートが摩滅して板厚が薄くなると、コイルスプリングのばね付勢力も大きく減少し、外筒部と内筒部の相対摺動部における摩擦トルクの低下も著しい。
【0014】
一方、ばね部材として複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体を用いた場合には、その荷重−伸び特性はほぼ一定の領域をもつ(荷重変化に対しほぼ一定の伸びとなる特性を示す)ので、フランジと摩擦プレートとフランジ係合溝間に付加する摩擦トルクの調整が容易である。さらに、摩擦プレートが摩滅して板厚が薄くなっても、皿ばね積層体のばね付勢力は大きく減少せず、外筒部と内筒部の相対摺動部における摩擦トルクの低下は僅かである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図3は、本発明に係る位相可変装置の第1の実施例を示し、図1は本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図、図2は同装置の内部構造を示す斜視図、図3は同装置の外筒部(スプロケット)と内筒部(カムシャフト)間の摩擦トルクと打音,レスポンスタイムとの関係を示す特性図である。
【0020】
これらの図において、この実施例に示す位相可変装置は、エンジンに組み付け一体化された形態で用いられ、クランク軸の回転に同期して吸排気弁が開閉するようにクランク軸の回転をカム軸に伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数などの運転状態によってエンジンの吸排気弁の開閉のタイミングを変化させるための装置で、同装置は、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部10と、外筒部10と同軸に配置されて外筒部10に対し相対回動可能で、カムシャフト2を連結一体化した従動側の円環状内筒部20と、外筒部10と内筒部20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部10と内筒部20間に介装され、軸方向に移動して外筒部10に対する内筒部20の位相を変える中間部材30と、内筒部20のカムシャフト2非配設側に設けられて、中間部材30を軸方向に移動させる電磁ブレーキ手段40と、を備えて構成されている。
【0021】
外筒部10は、内周縁にリング状の凹部13が設けられたスプロケット12と、スプロケット12の側面に密着し、凹部13と協働してフランジ係合溝13Aを画成する内フランジプレート14と、内フランジプレート14をスプロケット12に共締め固定し、中間部材30とのスプライン係合部が内周に形成されたスプラインケース16とから構成されている。スプロケット12には、エンジンのクランク軸の回転がチェーンCを介して伝達される。符号11は、スプロケット12と内フランジプレート14とスプラインケース16を固定一体化する締結ねじで、スプロケット12と内フランジプレート14とスプラインケース16で外筒部10を構成することで、フランジ係合溝13Aの形成が容易で、外筒部10(スプラインケース16)におけるスプライン係合部17の形成も容易となっている。
【0022】
また、符号32,33は、中間部材30の内外周面に設けられた雌雄ヘリカルスプライン、符号23は内筒部20の外周面に設けられている雄ヘリカルスプライン、符号17はスプラインケース16の内周面に設けられている雌ヘリカルスプラインである。そして、中間部材30の内外のスプライン32,33は逆方向ヘリカルスプラインで、中間部材30の軸方向への僅かな移動で、外筒部10に対し内筒部20の位相を大きく変化させることができる。符号31は、中間部材30の外周面に形成された雄角ねじ部である。
【0023】
電磁ブレーキ手段40は、エンジンケース8に支持された電磁クラッチ42と、ベアリング22によって内筒部20に回転可能に支承されるとともに、中間部材30の雄角ねじ部31が螺合し、電磁クラッチ42の制動力が伝達される回転ドラム44と、回転ドラム44と外筒部10間に軸方向に介装されたねじりコイルばね46とを備えて構成されている。符号45は、回転ドラム44の内周面に設けられた雌角ねじ部で、回転ドラム44と中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って周方向に相対回動できる。即ち、中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動する。また、回転ドラム44と外筒部10(スプラインケース16)間に介装したねじりコイルばね46は軸方向に介装されているため、それだけ位相可変装置全体が軸方向には延びるが、半径方向にはコンパクトとなっている。
【0024】
そして、電磁クラッチ44のON・OFFおよび電磁クラッチ42への通電量を制御することによって、中間部材30が角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動し、これによって外筒部10と内筒部20の位相が変化して、カムシャフト2のカム2aによるバルブの開閉のタイミングが調整される。即ち、電磁クラッチ42をONする前は、電磁クラッチ42は図1仮想線に示す位置にあって、回転ドラム44と電磁クラッチ42間には隙間Sが形成されており、外筒部10と内筒部20は位相差なく一体に回転している。そして、電磁クラッチ42をONすると、電磁クラッチ42が図1右方向にスライドして回転ドラム44に吸引され、これにより回転ドラム44には電磁クラッチ42から伝達される制動力が作用する。このため中間部材30が角ねじ部31,45によって前進(図1右方向に移動)し、中間部材30の内外ヘリカルスプライン32,33によって、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット12)に対し回動してその位相が変わる。そして、回転ドラム44は、伝達された制動力とねじりコイルばね46のばね力とがバランスする位置(内筒部20が外筒部10に対し所定の位相差をもつ位置)に保持される。
【0025】
一方、電磁クラッチ42をOFFにすると、その制動力が回転ドラム44に伝達されないため、コイルばね46のばね力だけが作用する中間部材30は角ねじ部31,45によって後退(図1左方向に移動)して、元の位置となり、この間に、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット12)に対し逆方向に回動して、その位相差がなくなる。
【0026】
また、内筒部20の外周面(スプロケット12との摺動面)にはフランジ24が周設され、一方、外筒部10(スプロケット12)の内周面には、フランジ24が係合するフランジ係合溝13Aが周設され、フランジ24の側面とフランジ係合溝13Aの側面間に摩擦トルク付加部材51,55が介装されて、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部の摩擦トルクが高められて、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士がぶつかる打音の発生が抑制されている。
【0027】
即ち、動弁機構におけるバルブステムがカム2aを乗り越えた直後にバルブシャフトの復帰スプリング力相当だけカムシャフトの回転速度が変動する等、外筒部10と内筒部20の相対回転速度の急変によって、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17において歯部同士が衝突するが、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部に介装されている摩擦トルク付加部材51,55が、外筒部10と内筒部20間の相対回動に対する抵抗として作用し、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17にける歯部同士の衝突速度を低減させて、打音の発生が抑制されている。
【0028】
また、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部に付加される摩擦力は、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士の衝突による打音の発生の低減に有効であることは勿論、カムシャフト2がクランクシャフトの回動に遅滞なく追随でき、位相可変のレスポンスも良好となる適切な値に調整されている。
【0029】
即ち、フランジ24の一側面側に介装された摩擦トルク付加部材51は、主に圧縮力(弾発力)を発生するためのもので、複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体で構成され、他側面側に介装された摩擦トルク付加部材55は、主に摩擦トルクを発生するためのもので、樹脂を含浸した紙からなる摩擦プレートによって構成されている。
【0030】
複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体51は、その荷重−伸び特性はほぼ一定の領域をもつ(荷重変化に対しほぼ一定の伸びとなる特性を示す)が、この荷重−伸び特性が僅かに異なる数種類の皿ばね積層体予め用意しておき、フランジ24とフランジ係合溝13A間の所定の隙間に収容する皿ばね積層体を取り替えることで、フランジ24の側面と摩擦プレート55とフランジ係合溝13Aの側面間に作用する圧縮力(摩擦力)を調整する。そして、フランジ係合溝13Aに収容する皿ばね積層体51を特定(決定)することによって、ヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士の衝突による打音の発生の低減に有効で、しかもカムシャフト2がクランクシャフトの回動に遅滞なく追随できるように(レスポンス性が良好となるように)、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部に付加される摩擦トルクが調整されている。
【0031】
図3は、外筒部10と内筒部20間の摩擦トルクを横軸に、スプライン係合部の打音の大きさを示すカバー振動およびエンジンに作用する負荷の変化に対するバルブの開閉制御に要すレスポンスタイム(電磁ブレーキ手段40によって外筒部10に制動力を作用させたときに、内筒部20が外筒部10に対し回動して位相差が生じるまでの応答時間)を縦軸にとって、ある自動車のエンジンにおける摩擦トルク・カバー振動特性Aと摩擦トルク・レスポンスタイム特性Bを示す図である。
【0032】
この図の摩擦トルク・カバー振動特性Aからわかるように、外筒部10と内筒部20間の摺動部における摩擦トルクが増えると、スプライン係合部における歯部の衝突速度が遅くなることから、打音の大きさ(カバー振動)は当然に低下するので、摩擦トルクは大きい方がよい。しかし、摩擦トルク・レスポンスタイム特性Bからわかるように、摩擦トルクが増えると、レスポンスタイムが増える(応答時間が遅くなる)ことから、摩擦トルクをそれほど大きくはできない。そこで、具体的には、例えば、打音の大きさ(カバー振動)が16G以下でレスポンスタイムが0.3秒以下となるように、換言すれば、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部における摩擦トルクが平均カムトルク(バルブの開閉によってカムシャフトに作用するトルクの平均値)の−20%〜+10%の範囲となるように、皿ばね積層体55の皿ばねの枚数を調整するのである。
【0033】
また、摩擦トルク付加部材51としてのばね部材としては、コイルスプリングや板ばね等があるが、コイルスプリングは、荷重−伸び特性はリニアであるため、フランジ24とフランジ係合溝13A間に付加する摩擦トルクの調整ができないことはないが面倒であり、さらには、摩擦プレート55が摩滅して板厚が薄くなると、コイルスプリングのばね付勢力も大きく減少し、外筒部と内筒部の相対摺動部における摩擦トルクの低下も著しい。一方、複数の皿ばねを積層した皿ばね積層体51では、摩擦プレート55が摩滅して板厚が薄くなっても、そのばね付勢力は大きく減少しないため、フランジ24と摩擦プレート55と係合溝13側面間の圧接力はほとんど低下せず、したがって外筒部10と内筒部20の相対摺動部における摩擦トルクの低下は僅かであり、長期にわたりスプライン係合部における歯部間の打音の低減が有効に機能する。
【0034】
また、スプロケット12の内周縁に形成されたリング状の凹部13は、フランジ24および摩擦プレート55が収容される径の大きい入口側の凹部13aと、皿ばね積層体51だけが収容される径の小さい奧側の凹部13bの2段で構成されて、入り口側の凹部13aと奧側の凹部13b間に段差部13cが形成されている。そして、フランジ24の外周縁部と段差部13cが正対した形態となって、凹部13に収容されている摩擦トルク付加部材である皿ばね積層体51や摩擦プレート55に過大荷重が作用しないようになっている。即ち、フランジ24と段差部13c間は、通常は微小隙間が設けられて、互いに接触しないように保持されているため、クランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケット12がぶれる等して電磁ブレーキ手段40側に押されると、凹部13に収容されている摩擦トルク付加部材である皿ばね積層体51や摩擦プレート55に過大荷重が頻繁に作用することとなり、皿ばね積層体51ではへたって疲労破壊につながり、摩擦プレート55では片減りするなど好ましくないが、スプロケット12が電磁ブレーキ側に大きく押圧されると、凹部13内の段差部13cがフランジ24に当接して、皿ばね積層体51や摩擦プレート55に過大な圧縮力が作用せず、摩擦トルク付加部材である皿ばね積層体51および摩擦プレート55の耐久性が保証されている。
【0035】
なお、前記した実施例において、皿ばね積層体51と摩擦プレート55を入れ換えた構成であってもよい。また、皿ばね積層体51に代えて、コイルスプリング、板ばねその他のばね部材を用いてもよい。
【0036】
図4、は本発明の第2の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。
【0037】
前記した第1の実施例では、フランジ係合溝13Aを容易に形成できるように、円環状外筒部10を、スプロケット12と内フランジプレート14とスプラインケース16とに3分割した構造であったが、この第2の実施例では、円環状外筒部10であるスプロケット12Aの内周面に凹溝18が形成され、この凹溝18内にゴム製の摩擦トルク付加部材60が充填一体化されて、摩擦トルク付加部材60の内周面が内筒部20の外周面に摺接し、これによって外筒部であるスプロケット12Aと内筒部20(カムシャフト2)間の相対摺動部における摩擦トルクが、レスポンスタイムが所定値を越えない範囲まで増加されて、スプライン係合部における歯部の打音を低減できるようになっている。
【0038】
なお、ゴム製の摩擦トルク付加部材60に代えて、板ばね製の摩擦トルク付加部材や、金属製円筒状スリーブの外周に樹脂又はゴムを一体化した摩擦トルク付加部材であってもよい。
【0039】
その他は、前記した第1の実施例と同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
【0040】
また、前記した実施例では、中間部材30を軸方向に移動させる手段として電磁ブレーキ手段40を用いているが、電磁ブレーキ手段40に限るものではなく、油圧駆動手段によって中間部材30を軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1によれば、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部における歯部同士の衝突速度が低減されて打音の発生が抑制されるとともに、カムシャフトはクランクシャフトの回動に遅滞なく追随できるので、位相可変の応答性も良好である。
【0042】
また、外筒部と内筒部間の相対摺動面に付加される摩擦力が適切な値に調整されて、中間部材と外筒部および内筒部間のヘリカルスプライン係合部における歯部同士の衝突による打音の発生が抑制されるとともに、カムシャフトがクランクシャフトの回動に遅滞なく追随でき、位相可変の応答性も良好である。
また、外筒部を3分割構造にして、その組み付け性,加工性および加工精度が優れたものとなるので、位相可変装置の組み付け作業が良好にして、外筒部と内筒部間の相対摺動部の摩擦トルクが他音の低減に有効な適切な大きさに調整された位相可変装置が提供される。
【0043】
請求項2によれば、外筒部と内筒部の相対摺動部に付加する摩擦トルクが適切な大きさとなるように調整でき、特に、ばね部材として皿ばね積層体を用いた場合には、付加する摩擦トルクの調整が容易な上に、長期にわたりスプライン係合部における歯部間の打音の低減が有効に機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。
【図2】同装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】同装置の外筒部(スプロケット)と内筒部(カムシャフト)間の摩擦トルクと打音,レスポンスタイムとの関係を示す特性図である。
【図4】本発明の第2の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。
【図5】従来の自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。
【符号の説明】
2 カムシャフト
2a カム
10 円環状外筒部
12 スプロケット
13A フランジ係合溝
13(13a,13b) 凹部
13c 段差部
14 内フランジプレート
16 スプラインケース
17,32 雌ヘリカルスプライン
17,33、23,32 ヘリカルスプライン係合部
18 凹溝
20 円環状内筒部
23,33 雄ヘリカルスプライン
30 中間部材
31,45 角ねじ部
40 電磁ブレーキ手段
42 電磁クラッチ
44 回転ドラム
46 ねじりコイルばね
51 摩擦トルク付加部材である皿ばね積層体
55 摩擦トルク付加部材である摩擦プレート
60 ゴム製の摩擦トルク付加部材

Claims (2)

  1. クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部と、前記外筒部と同軸に配置され、カムシャフトに延びる従動側の円環状内筒部と、前記外筒部と内筒部にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部と内筒部間に介装され、軸方向に移動して外筒部に対する内筒部の位相を変える中間部材と、を備え、前記ヘリカルスプライン係合部における打音を低減すべく、前記外筒部と内筒部間の相対摺動面に、摺動摩擦トルクを増加させる摩擦トルク付加部材が介装された自動車用エンジンにおける位相可変装置において、
    前記外筒部と内筒部間の相対摺動面の一方である前記内筒部の外周面にはフランジが周設され、同相対摺動面の他方である前記外筒部の内周面には前記フランジが係合するフランジ係合溝が周設され、対向する前記フランジの側面と前記フランジ係合溝の側面間に前記摩擦トルク付加部材が介装された自動車用エンジンにおける位相可変装置であって、
    前記円環状外筒部は、内周縁にリング状の凹部が設けられたスプロケットと、前記スプロケットの側面に密着し、前記凹部と協働して前記フランジ係合溝を画成する内フランジプレートと、前記内フランジプレートを前記スプロケットに共締め固定し、前記中間部材とのスプライン係合部が内周に形成されたスプラインケースとから構成されたことを特徴とする自動車用エンジンにおける位相可変装置。
  2. 前記摩擦トルク付加部材は、前記フランジの一側面側に介装されたばね部材と、他側面側に介装された摩擦プレートによって構成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置。
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