JP4792023B2 - 自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造 - Google Patents

自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造 Download PDF

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Description

本発明は、電磁ブレーキ手段により回転ドラムに制動力を作用させて、スプロケットに対するカムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開閉タイミングを変化させる自動車用エンジンにおける位相可変装置に係わり、特に、位相可変装置の回転ドラムに制動力を作用させる電磁ブレーキ手段をエンジンオイルを循環させて冷却する冷却構造に関する。
この種の従来技術としては、下記特許文献1(図19参照)に示すように、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される駆動部材(スプロケット)12と動弁機構を構成するカムシャフト2間に介装した内外ヘリカルスプライン付き中間部材30を軸方向に移動させることで、駆動部材12とカムシャフト2間の位相が変化するように構成されている。即ち、周方向に回り止めされた電磁ブレーキ手段40により、カムシャフト2に回転可能に支承されている回転ドラム44に制動力を作用させ、これにより回転ドラム44が駆動部材12に対し遅延するとともに、連係して中間部材30が軸方向に移動して、カムシャフト2が駆動部材12に対し回動して両者12,2間の位相が変化する。なお、同装置はエンジンルーム内部に配置されて、エンジンオイル雰囲気下で駆動する。
電磁ブレーキ手段40は、電磁コイル62を収容した横断面コ字型環状のクラッチケース60と、クラッチケース60の開口部を閉塞する保持プレート64と、保持プレート64に接着された摩擦材66とを備えて構成されている。そして、クラッチケース60の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面では、摺動熱により摺動面温度が高温となると、エンジンオイル中に分散している酸化防止剤や摩擦調整剤,清浄分散剤等の添加剤の反応物やオイル中の不溶解分により、一般に多孔質材で構成されている摩擦材66の表面が目詰まりし、摩擦材66と回転ドラム44間に発生する摩擦トルクが低下する可能性がある。
このため、クラッチケース60の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面の高温化を抑制するために、カムシャフト2内のオイル通路70,側孔73bを介してクラッチケース60の半径方向内方に位置するオイル溜り74にエンジンオイルが供給され、このオイル溜り74のエンジンオイルがクラッチケース60の内周壁前縁部に設けた切欠き61aを介して、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面に供給されて、相対摺動面を冷却する構成が採用されている。
そして、クラッチケース60の外周壁前縁部に相対摺動面側のオイルを半径方向外方に導出する切欠き61bを設けるとともに、摩擦材と正対する回転ドラム44のディスク面にディスク内周縁から半径方向外方に延びる複数のオイル案内溝を設ける構造を考えた。即ち、ディスク面にオイル案内溝を設けることで、回転ドラム44のディスク面のエンジンオイルとの接触面積が増えて、回転ドラム44(のディスク面)からエンジンオイルへの放熱量が増えるし、ディスク面のオイル案内溝は、回転ドラム44を鍛造する工程の中で簡単に成形できると考えたからである。
特開2005−113705
近年は、排ガス規制の基準が厳格化され、自動車用エンジンの検査基準となる環境基準温度が、従来よりも低い氷点下にまで下げられたため、自動車用エンジンにおける位相可変装置も極低温である氷点下の環境で確実に動作させる必要がある。
一方、摩擦材と回転ドラムの相対摺動面の冷却用に使用するエンジンオイルは、氷点下等の極低温環境で使用した場合、粘性が高くなり流動性が極端に低下する場合がある。前記相対摺動面の冷却に使用するエンジンオイルの流動性が極端に低下した場合には、エンジンオイルに熱伝達が確実に行われる反面、熱伝達後に粘性の高いオイルが摩擦材と回転ドラムの相対摺動面上から排出されにくくなり、前記相対摺動面間の摩擦力が極端に低下して相互に滑りやすくなるため、前記相対摺動面の摩擦トルクが低下し、回転ドラムが制動されにくくなる。
この場合は、電磁クラッチ機構の作動電流値を上昇させ、回転ドラムに対する摩擦材の押圧力を大幅に強化することによって、回転ドラムを制動すること自体は可能であると言える。しかし、前記作動電流値を大きくして回転ドラムを制動すれば、回転ドラムが急制動され、カムシャフトとスプロケット間の相対変位角が想定外に大きくなる現象が発生し、前記相対変位角の微細な制御が出来なくなる問題が発生するおそれがある。
一方、エンジンを常温環境下で使用する際に回転ドラムを適切に制動させるためには、エンジンオイルの排出性を優先して排出速度を上げすぎた結果、エンジンオイルへの熱伝達が確実に行われなければ、摩擦材の温度上昇によりエンジンオイル中の不溶解分が摩擦材表面で目詰まりし、回転ドラムとの相対摺動面間の摩擦トルクが低下するおそれがある。
本発明は、上述した問題を考慮し、常温環境下での使用時に摩擦材の冷却性能を低下させないことを前提としつつ、氷点下のような極低温環境下において使用すること等により、摩擦材と回転ドラムの相対摺動面を冷却するエンジンオイルの粘性が高くなるような場合においても、エンジンオイルの循環を確実に行い、摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面に発生する摩擦トルクの低下を防止することにより、カムシャフトとスプロケットの相対変位角の微細な制御を容易とした自動車用エンジンの位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造を提供するものである。
前記目的を達成するために、請求項1においては、クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状スプロケットに対し動弁機構を構成するカムシャフトが同軸状で相対回動可能に配置され、前記カムシャフトに回転ドラムが回転可能に支承され、前記回転ドラムと軸方向に正対する位置には、前記回転ドラムに制動力を作用させる電磁ブレーキ手段が設けられ、前記制動力によって回転ドラムに生じる前記スプロケットに対する回転遅れに連係して、前記スプロケットとカムシャフト間の位相が変わる自動車用エンジンにおける位相可変装置において、
前記電磁ブレーキ手段は、前記回転ドラムのディスク面に向けて開口し、カムシャフトの軸線を含む断面形状がコ字型である円環の形状を有し、かつ周方向に回り止めされたクラッチケースと、前記クラッチケース内に収容された電磁コイルと、前記クラッチケースの開口部内側に固定された摩擦材保持プレートと、前記摩擦材保持プレートに接着されて、その表面が前記クラッチケースの内外周壁前縁部より僅かに突出する偏平な摩擦材とを備え、
前記クラッチケースの半径方向内側には、前記カムシャフトのオイル通路に連通し、かつ前記クラッチケースと回転ドラム間の相対摺動部の内周側に連通するオイル溜りが設けられた自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造であって、
前記摩擦材に正対する前記回転ドラムのディスク面には、半径方向に対し、前記ドラムの回転方向と逆方向に傾斜するオイル案内溝が、前記ディスク面の内周縁から外周縁まで設けられ、
前記オイル案内溝は、前記ディスク内周縁端部と外周縁端部との間において、屈曲部を基点として前記回転ドラムのディスク外周縁の略接線方向に屈曲し、
前記オイル案内溝は、前記ディスク面の外周縁端部の幅が、前記内周縁端部の幅より広く、前記屈曲部から下流へ末広がりに形成されている。
なお、電磁ブレーキ手段によって作用する制動力により、回転ドラムにスプロケットに対する回転遅れが生じ、この回転遅れに連係して中間部材が軸方向に移動して、カムシャフトがスプロケットに対し回動する(スプロケットとカムシャフト間の位相が変化する)構成としては、例えば、本発明の実施例に示すように、回転ドラム44に螺合しかつスプロケット(外筒部10)とカムシャフト(内筒部20)に内外ヘリカルスプライン係合する中間部材30をスプロケット(外筒部10)とカムシャフト(内筒部20)間に介装した構成(図1,2参照)が考えられる。
(作用)エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケットと動弁機構を構成するカムシャフトが一体となって回動するように構成されて、スプロケットとカムシャフトとは同期して回転するが、電磁ブレーキ手段により回転ドラムに制動力が作用すると、回転ドラムにはスプロケットに対する回転遅れが生じ、この回転ドラムの回転遅れに連係して、スプロケットに対するカムシャフトの位相が変わる。
その際、クラッチケースの摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面には、カムシャフト内のオイル溜まりから新たなエンジンオイルが導入されるとともに、摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面において摩擦材やディスク面から熱を奪ったエンジンオイルは、半径方向に対し、回転ドラムのディスク面に設けられたオイル案内溝から外方に導出されるが、前記ディスク面の内周縁から外周縁にかけて設けられたオイル案内溝は、半径方向に対し、前記ドラムの回転方向と逆方向に傾斜しているため、溝を半径方向に向けるよりも前記オイルが外方に導出されやすい。また、オイル案内溝は、エンジンオイルの出口となるディスク面の外周縁側の幅が入口となる内周縁側の幅よりも広く、案内溝上のエンジンオイルは、粘性が高くても外側に抜けやすくなる。従って、相対摺動面上においては、エンジンオイルの粘性が高くても活発に排出されるため、前記相対摺動面が相互に滑りにくくなって摩擦トルクが低下せず、電磁クラッチ機構は、作動電流値を上げなくても回転ドラムを制動出来る。
また、摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面にあるエンジンオイルは、摺動時に回転ドラムのディスクの略接線方向に力を受けつつディスクの外側に飛ばされる。従って、屈曲部を基点として前記略接線方向にオイル案内溝を屈曲させ、オイルが力を受ける方向とオイル案内溝のオイル排出口(外周縁端部)の方向を一致させることにより、オイル案内溝の側壁からの接触抵抗をオイルが受けにくくなるため、極低温環境下におけるオイルの排出が一層確実になる。
また、エンジンオイルと回転ドラムのディスク面との接触面積は、オイル案内溝の幅が入口から出口に向けて広くなることで大きくなることから、オイルの排出性が向上した状態であっても、幅が一定のオイル案内溝に比べて摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面の冷却性が低下せずに維持される。
また、摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面の冷却効果を更に上げるためには、ディスク面にオイル案内溝を複数設けて、ディスク面のエンジンオイルとの接触面積を増やすようにすることが望ましい。そして、回転ディスクが偏芯回転することなく、ディスク面全体が摩擦材全体に均一に接触して大きな制動力を得るためには、ディスク面に複数のオイル案内溝を周方向略等間隔に設けることが望ましい。
また、前記目的を達成するために請求項2の発明は、請求項1に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、回転ドラムのディスク半径方向に対する前記オイル案内溝の傾斜角は、(前記案内溝のオイルが排出される)前記ディスク外周縁端部における傾斜角が、(オイルが導入される)前記ディスク内周縁端部における傾斜角よりも大きく形成されている。
(作用)請求項2では、回転ドラムのディスク半径方向に対してドラムの回転方向と逆向きに傾斜するオイル案内溝は、前記ディスクの外周縁端部(エンジンオイル出口)が、内周縁端部の傾斜角(オイル入口側)より大きく傾斜するため、前記オイル案内溝が、ディスクの内側に寄りつつ長く形成される。従ってエンジンオイルと回転ドラムのディスク面との接触面積が更に大きくなることから、常温使用時の摩擦材の冷却性が向上する。
また、前記目的を達成するために請求項3の発明は、請求項1または2に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造において、前記回転ドラムのディスク面上に円周方向の円周溝を複数形成した。
(作用)摩擦材と回転ドラムのディスク面が相対的に摺動する際に多孔質の摩擦材表面に発生し、目詰まりの原因となるエンジンオイル中の不溶解物質(酸化防止剤や洗浄分散剤等の添加剤の反応物)が、前記円周溝内に堆積する。
請求項1によれば、常温使用時の摩擦材の冷却効果が維持されつつ、極低温下で使用した際の回転ドラムと摩擦材との相対摺動面間の滑りが防止されることにより、カムシャフトとスプロケットの位相を変化させる際に、回転ドラムの急制動が発生せず、カムシャフトとスプロケット間の相対変位角が大きくなり過ぎることもないため、氷点下のような極低温の温度条件下において使用することにより、エンジンオイルの粘性が高くなったとしても、電磁ブレーキ作動時の摩擦材と回転ドラム間の良好なブレーキ特性(制動性)が維持され、カムシャフトとスプロケットの相対変位角を微細に制御することが出来る
また、エンジンオイルと回転ドラムのディスク面との接触面積を大きくし、常温使用時の摩擦材の冷却効果を確実に維持しつつ、極低温使用下におけるエンジンオイルの排出を一層確実に行えるため、電磁ブレーキ作動時における摩擦材と回転ドラム間の更に良好なブレーキ特性(制動性)を得ることが出来る。摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面におけるエンジンオイルの排出性が促進されることにより、前記相対摺動面とエンジンオイルとの接触時間が減少し、エンジンオイルへの熱伝達効率が若干低下したとしても、その分エンジンオイルと回転ドラムのディスク面との接触面積が大きくなることにより、摩擦材と回転ドラム間における相対摺動面の冷却性が低下することなく維持され、電磁ブレーキ作動時における摩擦材と回転ドラム間の更に良好なブレーキ特性(制動性)を得ることが出来る。
請求項2によれば、極低温下で使用した際のオイル排出性を維持しつつ、常温使用下において、摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面におけるエンジンオイルの排出性促進が強くなり、摩擦材の冷却効果が若干低下した場合でも、エンジンオイルと回転ドラムのディスク面との接触面積の増大により、摩擦材の冷却性が維持されるため、電磁ブレーキ作動時における摩擦材と回転ドラム間の更に良好なブレーキ特性(制動性)を得ることが出来る。
請求項3によれば、摩擦材表面が目詰まりしないため、摩擦材表面の目詰まりによる摩擦トルクの低下を防止することが出来る。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図1〜図18は、本発明に係る位相可変装置の実施例1から6を示し、図1は本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図、図2は同装置の内部構造を示す斜視図、図3は電磁ブレーキ手段の要部を構成する電磁クラッチの斜視図、図4は同電磁クラッチの正面図、図5(a),(b)は摩擦材と回転ドラム間の相対摺動部の拡大断面図で、(a)はオイル導入用の切り欠き位置における断面図、(b)はカシメ部位置における断面図、図6は回転ドラムの斜視図、図7は回転ドラムの正面図、図8は回転ドラムの縦断面図(図7に示す線VIII−VIIIに沿う断面図)、図9は回転ドラムのディスク面に設けたオイル案内溝の横断面図(図7に示す線IX-IXに沿う断面図)、図10は回転ドラムの鍛造工程説明図、図11は、(a)〜(c)は、回転ドラムのオイル案内溝の形状毎における摩擦材表面温度の変化率と回転ドラムを制御可能なオイル粘度増加率を示す図、図12から図16は、それぞれ回転ドラムの第2実施例から第6実施例の正面図、図17は、各実施例の摩擦材の変形例に関する正面図。図18(a)〜(c)は、回転ドラムのオイル案内溝に関する他の断面形状を示す図である。
これらの図において、この実施例に示す位相可変装置は、エンジンに組み付け一体化された形態で用いられ、クランクシャフトの回転に同期して吸排気弁が開閉するようにクランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数などの運転状態によってエンジンの吸排気弁の開閉のタイミングを変化させるための装置で、同装置は、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケットである円環状外筒部10と、外筒部10と同軸に配置されて外筒部10に対し相対回動可能で、カムシャフト2の一部を構成する従動側の円環状内筒部20と、外筒部10と内筒部20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部10と内筒部20間に介装され、軸方向に移動して外筒部10に対する内筒部20の位相を変える中間部材30と、内筒部20のカムシャフト2非配設側に設けられて、中間部材30を軸方向に移動させる電磁ブレーキ手段40と、を備えて構成されている。符号8は、エンジンケース(位相可変装置用カバー)で、エンジン及び同装置は、エンジンオイル雰囲気下で用いられる。
外筒部10は、内周縁にリング状の凹部13が設けられたスプロケット本体12と、スプロケット本体12の側面に密着し、凹部13と協働してフランジ係合溝13Aを画成する内フランジプレート14と、内フランジプレート14をスプロケット本体12に共締め固定し、中間部材30とのスプライン係合部が内周に形成されたスプラインケース16とから構成されている。符号13aは、凹部13の開口側の大径凹部、符号13bは、凹部13の奧側の小径凹部で、両者13a,13b間には、後述する内筒部20側のフランジ24の外周縁と正対する段差部13cが設けられている。スプロケットである外筒部10(スプロケット本体12)には、エンジンのクランクシャフトの回転がチェーンCを介して伝達される。符号11は、スプロケット本体12と内フランジプレート14とスプラインケース16を固定一体化する締結ねじで、スプロケット本体12と内フランジプレート14とスプラインケース16でスプロケット(外筒部10)を構成することで、フランジ係合溝13Aの形成が容易で、外筒部10(スプラインケース16)におけるスプライン係合部17の形成も容易となっている。
また、符号32,33は、中間部材30の内外周面に設けられた雌雄ヘリカルスプライン、符号23は内筒部20の外周面に設けられている雄ヘリカルスプライン、符号17はスプラインケース16の内周面に設けられている雌ヘリカルスプラインである。そして、中間部材30の内外のスプライン32,33は逆方向ヘリカルスプラインで、中間部材30の軸方向への僅かな移動で、外筒部10に対し内筒部20の位相を大きく変化させることができる。符号31は、中間部材30の外周面に形成された雄角ねじ部である。
電磁ブレーキ手段40は、エンジンケース8に支持された電磁クラッチ42と、ベアリング22によって内筒部20に回転可能に支承されるとともに、中間部材30の雄角ねじ部31が螺合し、電磁クラッチ42の制動力が伝達される回転ドラム44と、回転ドラム44と外筒部10間に軸方向に介装されたねじりコイルばね46とを備えて構成されている。符号45は、回転ドラム44の内周面に設けられた雌角ねじ部で、回転ドラム44と中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って周方向に相対回動できる。即ち、中間部材30は、角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動できる。また、回転ドラム44と外筒部10とは、巻き上げられたねじりコイルばね46で連結されており、回転ドラム44に制動力が作用しない状態では、外筒部10,内筒部20,中間部材30および回転ドラム44は、一体となって回転する。また、回転ドラム44と外筒部10(スプラインケース16)間に介装したねじりコイルばね46は軸方向に介装されているため、それだけ位相可変装置全体が軸方向には延びるが、半径方向にはコンパクトとなっている。
そして、電磁クラッチ42のON・OFFおよび電磁クラッチ42への通電量を制御することによって、中間部材30が角ねじ部45,31に沿って回動しながら軸方向に移動し、これによって外筒部10と内筒部20の位相が変化して、カムシャフト2のカム2aによるバルブの開閉のタイミングが調整される。即ち、電磁クラッチ42をONする前は、電磁クラッチ42は図1仮想線に示す位置にあって、回転ドラム44と電磁クラッチ42間には隙間Sが形成されており、外筒部10と内筒部20は位相差なく一体に回転している。そして、電磁クラッチ42をONすると、電磁クラッチ42が図1右方向にスライドして回転ドラム44に吸引され、これにより回転ドラム44には電磁クラッチ42から伝達される制動力が作用する。そして、制動力が作用する回転ドラム44に外筒部10に対する回転遅れが生じ、即ち、中間部材30が角ねじ部31,45によって前進(図1右方向に移動)し、中間部材30の内外ヘリカルスプライン32,33によって、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット本体12)に対し回動してその位相が変わる。そして、回転ドラム44は、伝達された制動力とねじりコイルばね46のばね力とがバランスする位置(内筒部20が外筒部10に対し所定の位相差をもつ位置)に保持される。
一方、電磁クラッチ42をOFFにすると、その制動力が回転ドラム44に伝達されないため、コイルばね46のばね力だけが作用する中間部材30は、角ねじ部31,45によって後退(図1左方向に移動)して元の位置となり、この間に、内筒部20(カムシャフト2)が外筒部10(スプロケット本体12)に対し逆方向に回動して、その位相差がなくなる。
また、内筒部20の外周面(スプロケット本体12との摺動面)にはフランジ24が周設され、一方、外筒部10(スプロケット本体12)の内周面には、フランジ24が係合するフランジ係合溝13Aが周設され、フランジ24の側面とフランジ係合溝13Aの側面間に摩擦トルク付加部材51,55が介装されて、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部の摩擦トルクが高められて、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士がぶつかる打音の発生が抑制されている。
尚、本実施例では、電磁ブレーキ手段40の作動とコイルバネ46の付勢力により、中間部材30をヘリカルスプライン(32,33)に沿って前後に移動させ、中間部材30の移動量に応じてスプロケット本体12とカムシャフト2の位相を変化させるヘリカルスプライン機構を採用しているが、電磁ブレーキ手段を採用した位相変化手段としては、特開2003-293710に示すような機構を採用することも考えられる。この機構は、電磁コイル機構によって中間回転体(本願中間ドラム相当)を駆動プレートに対して(本願スプロケットに相当)前後に相対回転させ、中間回転体、変換ガイド及び駆動プレートにそれぞれ形成した溝に球を介在させ、前記相対回転時に前記溝形状に応じて球が移動(本願中間部材機構に相当)することにより、移動量に応じてクランクシャフトと、カムシャフトの位相が変化する機構である。また電磁ブレーキ機構を利用した同様の位相変化手段として、特開2003-74602や特開2004-150397に示す機構の利用も考えられる。
次に、電磁ブレーキ手段40を構成する電磁クラッチ42の構造と、電磁クラッチ42表面に設けた摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面の冷却構造について説明する。
電磁クラッチ42は、図3〜5に示すように、回転ドラム44のディスク面に向けて開口し、カムシャフトの軸線を含む断面形状がコ字型である円環の形状を有し、かつ周方向に回り止めされたクラッチケース60と、クラッチケース60内に収容された電磁コイル62と、クラッチケース60の開口部内側に固定された金属製の摩擦材保持プレート64と、摩擦材保持プレート64に接着されて、その表面がクラッチケース60の内外周壁60a,60b前縁部より僅かに突出する偏平な摩擦材66とを備えて構成されている。符号68は、クラッチケース60の背面側周方向複数個所に突設されたピンで、このピン68がエンジンケース8側の孔8aに係合して、クラッチケース60は軸方向にはスライドできるが、周方向には移動できないように拘束されている。
即ち、クラッチケース60内に電磁コイル62が樹脂モールドにより固定され、クラッチケース60の開口部内側には、摩擦材66を一体化した摩擦材保持プレート64が段差部60cに載置され、摩擦材保持プレート64の内周及び外周の周方向等分3個所がカシメにより、クラッチケースの内外周壁60a,60bに固定されている。図3,4に示す符号60dはカシメ部を示す。また、摩擦材66の半径方向の幅は摩擦材保持プレート64の半径方向の幅より僅かに小さい寸法に形成され(摩擦材66の内径は摩擦材保持プレート64の内径より僅かに大きく、摩擦材66の外径は摩擦材保持プレート64の外径より僅かに小さく形成され)ており、これによってクラッチケースの内外周壁60a,60bと摩擦材66間には、オイル通路となるリング状の溝63a,63bが設けられている。なお、摩擦材保持プレート64のクラッチケース60の開口部への固定手段は、前記したカシメに限るものではなく、接着や嵌合その他の適宜固定手段であればよい。
摩擦材66は、電磁クラッチ42がONされたときに回転ドラム44のディスク面に接近して摩擦力(制動力)を生じさせるためのもので、抄紙基材に熱硬化性樹脂を含浸した厚さ500μmのプレート状の多孔質成形体で構成されており、クラッチケース60の内外周壁60a,60bの前縁部より50μmだけその表面が突出した形態となっている。
また、電磁クラッチ42の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面には、エンジンオイルが常に供給されて、両者66,44の摺動面温度の上昇が抑制されている。
即ち、クラッチケース60の半径方向内側には、図1に示すように、カムシャフト2内のオイル通路70に連通し、かつクラッチケース60と回転ドラム44間の相対摺動部の内周側に連通するオイル溜り74がエンジンケース8によって画成され、カムシャフト2内のオイル通路70には、カムシャフト2のジャーナル軸受73のオイルポートおよびカムシャフト2の側孔73aを介して、エンジンオイルがポンプPによって圧送されている。符号73bは、カムシャフト2に設けられて、オイル通路70とオイル溜り74に連通する側孔である。そして、クラッチケースの内周壁60a前縁部には、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面にエンジンオイルを導入するオイル導入用の切り欠き61aが設けられ、一方、クラッチケースの外周壁60b前縁部には、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面のエンジンオイルを外方に導出するオイル導出用の切り欠き61bが設けられている。
そして、クラッチケース60の摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面には、カムシャフト2内に設けたオイル通路70,エンジンケース8と回転ドラム44(ベアリング22)間のオイル溜まり74およびクラッチケースの内周壁60a前縁部に設けた切り欠き61aを介してエンジンオイルが導入されて、摩擦材66と回転ドラム44の相対摺動面を冷却するとともに、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面の冷却に供されたエンジンオイルは、クラッチケース60の外周壁60b前縁部に設けたオイル導出用の切り欠き61bを介して半径方向外方に積極的に排出される。このため、それだけ摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面へのエンジンオイルの給排速度が速く、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動部におけるオイルの循環が活発となって、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面に発生する摺動熱が循環するエンジンオイルに放熱されて、摩擦材66と回転ドラム44の相対摺動面が効果的に冷却される。
また、摩擦材66の表面には、図3,4に示すように、内周側から外周側に延びる風車型のオイル溝67が設けられて、オイル導入用の切り欠き61aとオイル導出用の切り欠き61bがリング状の隙間63a、風車型のオイル溝67、リング状の隙間63bを介して連通している。このため、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動部の半径方向内側に導入されたエンジンオイルは、摩擦材66表面のオイル溝67に沿ってスムーズに流れて、オイル導出用の切り欠き61bから導出するので、摩擦材66表面全体が均一に冷却されるとともに、オイルの導出量および導入量も増えて、それだけオイルの循環が活発となって、冷却効果もより優れている。
また、回転ドラム44のディスク面44aの摩擦材66に正対する位置には、図6〜9に示すように、周方向等分8個所に風車型のオイル案内溝90(前記ディスク半径方向に対し、回転ドラム44の回転方向と反対向きに傾斜している)が設けられており、オイル溜り74内のエンジンオイルは、このオイル案内溝90を介して摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面に導かれるとともに、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動部のオイルが外方に導出されるようになっている。
即ち、摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面におけるエンジンオイルは、クラッチケース内外周壁60a,60b前縁部の切り欠き61a,61bを介して給排される他、回転ドラム44側のオイル案内溝90を介しても給排されるので、それだけ摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面におけるオイルの循環が活発となっている。
また、オイル案内溝90は、図6及び図7に示すようにオイル出口側となるディスク面44aの外周縁側の幅をオイル入口側となる内周面側の幅より広く、下流に向けて末広がりの形状に形成にし、更には、回転ドラムのディスクの接線方向に屈曲させた屈曲部90aを設けている。
摩擦材と回転ドラム間の相対摺動面にあるエンジンオイルは、摺動時に回転ドラムのディスクの接線方向に力を受けつつディスクの外側に飛ばされるため、オイル案内溝を前記ディスクの接線方向に屈曲させることで、オイルの排出性が向上する。また、オイル出口となるディスク外周縁部におけるオイル案内溝の開口部が末広がりになっていることにより、オイルの排出は、一層確実になる。一方
オイル案内溝は、途中で屈曲させることにより外周縁側に向けて直線に形成する場合に比べて案内溝90を長く形成できるため、エンジンオイルとの接触面積(エンジンオイルとの接触面積)が増えて、ディスク面44aからエンジンオイルへの放熱量が増し、それだけ摩擦材66と回転ドラム44間の相対摺動面の冷却効果に優れている。
また、ディスク面のオイル案内溝90は周方向等間隔に設けられており、回転ドラムが偏芯回転するようなことがなく、このためディスク面全体が摩擦材66全体に均一に接触して大きな制動力が得られるようになっている。
また、オイル案内溝90は、溝幅方向中央部の横断面U字溝領域91と、その周縁部のテーパ面領域92で構成されている。テーパ面領域92は、平坦なディスク面44aに対し鋭角θ(例えば15度)をなし、ディスク面44aが摺接する摩擦材66を剥離させたり局所的に摩滅させることがないように設定されている。
また、回転ドラム44は、図10(a)→(b)→(c)に示すように、加熱した素材Wを上下の金型(鍛造型)100A,110Aおよび100B,110Bで挟んで加圧する鍛造工程を経ることで、全体が所定形状に成形され、その後、旋盤により中央部に雌角ねじ部45を形成することで、完成する。鍛造設備である下金型110Bには、オイル案内溝90に対応する凸条112が設けられており、オイル案内溝90は、回転ドラム44を成形する一連の鍛造工程の中で、ディスク面44aを成形する際に成形できるので、オイル案内溝90付き回転ドラム44を製造する製造設備および製造工程は簡潔である。
図11(b)は、(a)図に記載したディスク面44aのオイル案内溝の形状が異なる4種類の回転ドラム44を常温環境下のエンジンに使用した場合の摩擦材66の表面温度の変化(縦軸のプラス方向が表面温度の上昇を示し、マイナス方向が下降を示す)を示すものであり。図11(c)は、前記4種類の回転ドラム44を氷点下の極低温環境で使用した場合に制動可能なオイル粘度の変化(増加率が高いほどオイルが高粘度化しても回転ドラムの適切な制動が得られる)を示すものである。(a)図の「従来溝」は、溝幅が一定で溝の一端がディスク44aの外周縁に開口しないものであり、「比較例1」は「従来溝」の溝の一端をディスク44aの外周縁に開口させたもの、「比較例2」は、「比較例1」の溝幅をディスク内周から外周に向けて末広がりにしたもの、「実施例」は、本実施例1のオイル案内溝90を示している。
図11(b)に示すとおり、常温環境下でエンジンを使用した際の回転ドラムのディスク44aの表面温度は、流動性が上がり摩擦材との接触時間が減少する「比較例1」において若干の温度上昇が見られるが、オイル出口を末広がりとしてオイルと摩擦材との接触面積を広くした「比較例2」において改善している。「実施例」は、オイルと摩擦材の接触面積が「比較例2」より広く、表面温度の上昇が更に押さえられているため、「実施例」の案内溝形状は、これらの中で最も優れていると言える。
一方、粘度が同じオイルを図11(a)の4種類の回転ドラムに使用し、エンジンを使用する環境温度を低下させていったところ、図11(c)に示すとおり、「比較例2」は、環境温度が低下してオイルの粘度が増加しても、カムシャフトとスプロケットの相対変位角の微細な制御に悪影響が発生しなかった。しかし、氷点下−30℃の極低温環境下において、オイルの粘度が各段に増加した状況下においても相対変位角の微細な制御に悪影響が発生しなかったのは、4種類の回転ドラム中「実施例」のものだけであった。従って、「実施例(本実施例1)」に示すように、屈曲90aを基点としてディスク44aの接線方向に屈曲したオイル出口を有するオイル案内溝90の形状は、エンジンを常温から極低温環境下まで幅広く使用する際に最適な形状であることが判明した。
次に図12と図13により、本発明の電磁ブレーキ冷却構造における回転ドラムのディスク面44aに形成するオイル案内溝(90b,90c)形状に関する第2実施例と第3実施例を説明する。第2実施例においては、オイル案内溝90bが回転ドラムの回転方向と反対向きに湾曲する渦巻き形状に形成され、かつ前記案内溝の幅が、ディスク内周縁から外周縁方向に向けて末広がりに広がる形状に形成されている。また第3実施例(図11の比較例2のもの)においては、オイル案内溝90cが途中で屈曲せず、内周縁から外周縁まで直線状に形成され、かつ前記案内溝の幅がディスク内周縁から外周縁方向に向けて末広がりに広がる形状に形成されている。
第2実施例においては、オイル案内溝90bが局所的な屈曲部を持たず、なだらかな曲線形状に形成されることにより、回転ドラムのディスク面上からのエンジンオイルの排出性が一層向上する。また、第3実施例に示すように、オイル案内溝90cに屈曲部を設けず、オイル案内溝の幅のみを下流に向けて末広がりに形成し、オイルの排出性を向上させても差し支えない。
図14〜16により、本発明の電磁ブレーキ冷却構造における回転ドラムのディスク面の溝形状に関する第4実施例から第6実施例を説明する。第4実施例から第6実施例は、回転ドラムのディスク面上にそれぞれディスク径方向のオイル案内溝(図は代表例として第1実施例のオイル案内溝90としている)に加え、円周方向の円周溝(44b〜44d)を複数形成したものである。このように円周溝を形成することにより、摩擦材と回転ドラムのディスク面が相対的に摺動する際に多孔質の摩擦材表面に発生し、目詰まりの原因となるエンジンオイル中の不溶解物質(酸化防止剤や洗浄分散剤等の添加剤の反応物)が、前記円周溝内に堆積すると考えられるため、摩擦材表面が目詰まりせず、摩擦トルクの低下を防止することが出来る。図14は、複数の円周溝44bを回転ドラムのディスクの中心軸周りに同心円状に形成したものである。
また図15は、円周溝44cの中心軸O1を回転ドラムディスク面の中心軸O2から偏心させたものであり、図16は、円周溝をディスク面の内側から外側にかけて螺旋状となる1本の溝としている。実施例5及び6は、円周溝44cを回転ドラムに対して偏心回転させ又は円周溝44dを渦巻き状に回転させることにより、実施例4において、摩擦材の表面が常に回転ドラムディスク面の円周溝における同一の凹凸と接触することによって、摩擦材表面に円周溝形状の轍が形成される偏摩耗を防止出来るため、摩擦材の寿命低下が防止される。
尚、実施例2〜6のその他の構成は、前記した第1の実施例と同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。また、実施例4〜6の同芯状、偏心状及び螺旋状の円周溝の形状は、実施例2及び3の回転ドラムディスク面に採用しても良い。
図17は、各実施例に共通するクラッチケース60に関するオイル溝67の形状の変形例である。オイル導入用の切り欠き61aに連続する風車型のオイル溝67の幅も、オイル案内溝90と同様にオイル出口側となるクラッチケース外周縁の切欠61b.側をオイル入口側となる内周縁側(隙間63a)側より広く末広がりの形状に(溝67a)することにより、オイル粘度が高くなってしまったような場合でも、オイルの流れを滞らせずにスムーズに導出させることが出来る。
また、前記した実施例1では、オイル案内溝90が溝幅方向中央部の横断面U字溝領域91とその周縁部のテーパ面領域92で構成されているが、図18(a)図に示すように、実施例1のU字溝領域91を角の丸い(符号91b:オイルの流動性向上)断面四角形状91aに形成して、断面形状を大きくし、断面を通過するオイルの量を増やして熱伝達を促進し、冷却効率を上げることが出来る。また、オイル案内溝の断面形状は、図18(b)(c)図に示すように、幅方向中央部の横断面U字またはV字溝領域91c,91dと、その周縁部にディスク面44aに対する傾斜が徐変するR曲面領域93(領域93は無くても良い)を形成した構造であってもよい。
また、前記した実施例では、回転ドラム44にブレーキを作用させるクラッチケース60の前面に設ける摩擦材66として、抄紙基材に熱硬化性樹脂を含浸した多孔質成形体を示したが、炭素繊維またはアラミド繊維からなる不織布に熱硬化性樹脂を含浸した多孔質成形体や、炭素繊維およびアラミド繊維からなる不織布に熱硬化性樹脂を含浸した多孔質成形体で構成するようにしてもよい。
本発明の第1の実施例である自動車用エンジンにおける位相可変装置の縦断面図である。 同装置の内部構造を示す斜視図である。 電磁ブレーキ手段の要部を構成する電磁クラッチの斜視図である。 同電磁クラッチの正面図である。 摩擦材と回転ドラム間の相対摺動部の拡大断面図で、(a)はオイル導入用の切り欠き位置における断面図、(b)はカシメ部位置における断面図である。 回転ドラムの斜視図である。 回転ドラムの正面図である。 回転ドラムのVIII−VIII(図7)断面図である。 回転ドラムのオイル案内溝のIX-IX(図7)断面図である。 回転ドラムの鍛造工程説明図である。 (a)〜(c)回転ドラムのオイル案内溝の形状毎における摩擦材表面温度の変化率と回転ドラムを制御可能なオイル粘度増加率を示す図である。 回転ドラムの第2実施例の正面図である。 回転ドラムの第3実施例の正面図である。 回転ドラムの第4実施例の正面図である。 回転ドラムの第5実施例の正面図である。 回転ドラムの第6実施例の正面図である。 各実施例の摩擦材の変形例に関する正面図である。 (a)〜(c) 回転ドラムのオイル案内溝に関する他の断面形状を示す図である。 従来技術の位相可変装置の縦断面図である。
符号の説明
2 カムシャフト
2a カム
10 スプロケットである円環状外筒部
12 スプロケット本体
13 凹部
14 内フランジプレート
16 スプラインケース
17,32 雌ヘリカルスプライン
17,33、23,32 ヘリカルスプライン係合部
20 カムシャフトの一部を構成する円環状内筒部
23,33 雄ヘリカルスプライン
30 中間部材
31,45 角ねじ部
40 電磁ブレーキ手段
42 電磁クラッチ
44 回転ドラム
46 ねじりコイルばね
51 摩擦トルク付加部材である皿ばね積層体
55 摩擦トルク付加部材である摩擦プレート
60 クラッチケース
60a クラッチケース内周壁
60b クラッチケース外周壁
60c 段差部
60d カシメ部
62 電磁コイル
61a オイル導入用の切り欠き
61b オイル導出用の切り欠き
63a クラッチケース内周壁と摩擦材間の隙間
63b クラッチケース外周壁と摩擦材間の隙間
64 摩擦材保持プレート
66 偏平な摩擦材
67,67a 摩擦材表面のオイル溝
70 カムシャフト内に設けられたオイル通路
74 クラッチケースの半径方向内側に設けたオイル溜り
90,90b,90c 回転ドラムのディスク面に設けたオイル案内溝
90a オイル案内溝の屈曲部

Claims (3)

  1. クランクシャフトの駆動力が伝達される円環状スプロケットに対し動弁機構を構成するカムシャフトが同軸状で相対回動可能に配置され、前記カムシャフトに回転ドラムが回転可能に支承され、前記回転ドラムと軸方向に正対する位置には、前記回転ドラムに制動力を作用させる電磁ブレーキ手段が設けられ、前記制動力によって回転ドラムに生じる前記スプロケットに対する回転遅れに連係して、前記スプロケットとカムシャフト間の位相が変わる自動車用エンジンにおける位相可変装置において、
    前記電磁ブレーキ手段は、前記回転ドラムのディスク面に向けて開口し、カムシャフトの軸線を含む断面形状がコ字型である円環の形状を有し、かつ周方向に回り止めされたクラッチケースと、前記クラッチケース内に収容された電磁コイルと、前記クラッチケースの開口部内側に固定された摩擦材保持プレートと、前記摩擦材保持プレートに接着されて、その表面が前記クラッチケースの内外周壁前縁部より僅かに突出する偏平な摩擦材とを備え、
    前記クラッチケースの半径方向内側には、前記カムシャフトのオイル通路に連通し、かつ前記クラッチケースと回転ドラム間の相対摺動部の内周側に連通するオイル溜りが設けられた自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造であって、
    前記摩擦材に正対する前記回転ドラムのディスク面には、半径方向に対し、前記ドラムの回転方向と逆方向に傾斜するオイル案内溝が、前記ディスク面の内周縁から外周縁まで設けられ、
    前記オイル案内溝は、前記ディスク内周縁端部と外周縁端部との間において、屈曲部を基点として前記回転ドラムのディスク外周縁の略接線方向に屈曲し、
    前記オイル案内溝は、前記ディスク面の外周縁端部の幅が、前記内周縁端部の幅より広く、前記屈曲部から下流へ末広がりに形成されたことを特徴とする自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造。
  2. 前記ディスク半径方向に対する前記オイル案内溝の傾斜角は、前記ディスク外周縁端部における傾斜角が、前記ディスク内周縁端部における傾斜角よりも大きく形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造。
  3. 前記回転ドラムのディスク面上に円周方向の円周溝を複数形成したことを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用エンジンにおける位相可変装置の電磁ブレーキ冷却構造。
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