JP2009185141A - ガラス繊維強化樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

ガラス繊維強化樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】
炭素繊維強化樹脂組成物に匹敵するウェルド部位の耐熱性やクリープ特性を有し、且つ安価なガラス繊維強化樹脂組成物と成形品を提供する。
【解決手段】
芳香族ビニル系単量体(a1)50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(a2)10〜50重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)0〜10重量%を共重合してなるビニル系共重合体(A)5〜90重量部、芳香族ビニル系単量体(b1)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(b2)1〜50重量%、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)0.1〜40重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(b4)0〜80重量%を共重合してなる変性ビニル系共重合体(B)0.5〜60重量部、および平均繊維径が3.0〜7.5μmであるガラス繊維(C)5〜50重量部を含有してなるガラス繊維強化樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラス繊維で強化されたスチレン系共重合体を主成分とするガラス繊維強化樹脂組成物とその成形品に関するものであり、さらに詳しくは、特定の変性ビニル系共重合体と特定形状のガラス繊維を併用することにより、ウェルド部の耐熱性やクリープ特性を著しく向上させたガラス繊維強化樹脂組成物とその成形品に関するものである。
ガラス繊維で強化された強化スチレン系樹脂は、耐衝撃性や剛性などの機械的バランス、優れた成形加工性および得られた成形品の優れた寸法安定性を有し、かつ安価なことから、家庭電気機器、OA機器および自動車などの構造部品や機構部品として、広範な分野で使用されている。
中でも、成形性、剛性、耐熱性およびクリープ特性が要求されるエアコンのファン部品には、ガラス繊維で強化されたアクリロニトリル/スチレン共重合体(ASGと称することがある。)が広く使用されている。
近年、家電製品の高機能化や信頼性向上に伴い、部品に使用される樹脂材料の更なる性能向上が求められており、例えばエアコンのファン部品の場合は、耐熱性とクリープ特性の向上が求められている。
これらの要求に対し、ASGの主に耐熱性を向上させる手法として、ASGに耐熱性に優れるマレイミド系共重合体を添加する方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案の方法では、流動性低下に伴い成形時の歪みが発生しやすくなることや、ガラス転移温度が上昇することにより、成形品をアニールした際の残留歪み除去効果が不十分になるため、却って成形品の耐熱性が低下することがしばしばあった。
また別に、ASGの強度向上手法として官能基の導入により変性されたスチレン系樹脂とガラス繊維からなる、機械物性および耐熱性を向上させた樹脂組成物が提案されている(特許文献2および特許文献3参照。)。しかしながら、これら提案の方法では、ある程度の機械的強度は向上するものの、溶着部位やウェルド部位と言った、ガラス繊維の補強効果が小さい部位での耐熱性やクリープ特性の向上は不十分であった。
更に、ASGの強化材として炭素繊維を用いることにより、クリープ特性に優れた樹脂組成物が提案されている(特許文献4参照。)。しかしながら、この提案の方法は、ガラス繊維強化材料より比重が小さいことも奏効し、成形品の耐熱性やクリープ特性を向上させることはできるが、製造コストが大幅に増大する課題があった。
特開平6−248139号公報 特開平6−73253号公報 特開平6−136212号公報 特開平10−213091号公報
そこで本発明の目的は、特定の変性ビニル系共重合体と特定形状のガラス繊維を併用することにより、炭素繊維強化樹脂組成物に匹敵するウェルド部位の耐熱性やクリープ特性を有し、且つ安価なガラス繊維強化樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スチレン系共重合体に特定の変性ビニル系共重合体と特定形状のガラス繊維を加えることにより、上記目的が効率的に達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明のガラス繊維強化樹脂組成物は、芳香族ビニル系単量体(a1)50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(a2)10〜50重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)0〜10重量%を共重合してなるビニル系共重合体(A)5〜90重量部、芳香族ビニル系単量体(b1)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(b2)1〜50重量%、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)0.1〜40重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(b4)0〜80重量%を共重合してなる変性ビニル系共重合体(B)0.5〜60重量部、および平均繊維径が3.0〜7.5μmであるガラス繊維(C)5〜50重量部を含有してなるガラス繊維強化樹脂組成物である。
ここで、ビニル系共重合体(A)+変性ビニル系共重合体(B)+ガラス繊維(C)の合計は100重量部である。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物の好ましい態様によれば、前記の変性ビニル系共重合体(B)に用いられる不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)は、アクリル酸またはメタクリル酸の何れかである。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物の好ましい態様によれば、前記のビニル系共重合体(A)はアクリロニトリル/スチレン共重合体を主体とするビニル系共重合体であり、かつ還元粘度(ηsp/c)は0.4〜0.7dl/gである。
本発明の上記ガラス繊維強化樹脂組成物は、それを成形してウェルド部を有する成形品とすることができ、その成形品を溶着して成形品とすることができ、これらの成形品は、エアコンのファン部品に好適に用いられる。
本発明によれば、強化材に安価なガラス繊維を用いるにも拘わらず、高価な炭素繊維強化樹脂組成物に匹敵するウェルト゛部位の耐熱性やクリープ特性を有するガラス繊維強化樹脂組成物およびその成形品が得られる。
これにより、より大型および長尺な製品への適用が可能となり製品(完成品)として高機能化かつ大幅なコストダウンを達成することができる。
以下に、本発明のガラス繊維強化樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物は、ビニル系共重合体(A)、変性ビニル系共重合体(B)および、ガラス繊維(C)を含んでなるものである。
本発明で用いられるビニル系共重合体(A)は、芳香族ビニル系単量体(a1)50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(a2)10〜50重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)0〜10重量%からなるビニル系共重合体である。本発明のガラス繊維強化樹脂組成物中におけるはビニル系共重合体(A)の含有量は5〜90重量部であり、好ましくは40〜80重量部である。ビニル系共重合体(A)の含有量が5重量部未満では、特にガラス繊維(C)の量が多くなり流動性が悪化し、また、含有量が90重量部を超えるとガラス繊維(C)の量が少なくなり耐熱性やクリープ特性が劣ることになる。
本発明で用いられるビニル系共重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(a1)の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、オルソメチルスチレン、パラメチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレン等が挙げられ、これらの1種または2種以上用いることができる。中でも、芳香族ビニル系単量体(a1)として、スチレンが好ましく用いられる。
ビニル系共重合体(A)における芳香族ビニル系単量体(a1)の含有量は、50〜90重量%であることが必要であり、好ましくは60〜80重量%である。芳香族ビニル系単量体(a1)の含有量が50重量%未満では成形加工性が悪くなり、また含有量が90重量%を超えるとシアン化ビニル系単量体(a2)の含有量が減少し、耐衝撃性、耐熱性およびクリープ特性が劣ることになる。
ビニル系共重合体(A)を構成するシアン化ビニル系単量体(a2)の具体例としては、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等が挙げられ、これらの1種または2種以上用いることができる。中でも、シアン化ビニル系単量体(a2)として、耐衝撃性の観点から、アクリロニトリルが好ましく用いられる。
ビニル系共重合体(A)におけるシアン化ビニル系単量体(a2)の含有量は、10〜50重量%であることが必要であり、好ましくは20〜40重量%である。シアン化ビニル系単量体(a2)の含有量が10重量%未満では耐衝撃性、耐熱性およびクリープ特性に劣り、また、含有量が40重量%を超えると成形加工性が悪くなる。
ビニル系共重合体(A)には、必要に応じ、共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)を共重合させることができる。共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)としては、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド化合物および不飽和アミド化合物等を挙げることができ、具体例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドおよびアクリルアミド等が挙げられる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
ビニル系共重合体(A)における共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)の含有量は、0〜10重量%である。
ビニル系共重合体(A)の還元粘度(ηsp/c)は、好ましくは0.2〜0.7dl/gの範囲であり、特に好ましくは0.4〜0.7dl/gの範囲である。還元粘度が上記の範囲以外の場合には、耐衝撃性が低下するか、あるいは溶融粘度が上昇して成形性が悪くなりやすい傾向を生じる。
還元粘度(ηsp/c)は、真空乾燥機(温度80℃、3時間以上)にて乾燥した試料を用い0.4g/100ml(メチルエチルケトン、温度30℃)に調整し、ウベローデ粘度計にて測定した。
ビニル系共重合体(A)の製造方法には特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などのいずれであってもよい。製造時における単量体の仕込み方法にも特に制限はなく、初期一括仕込み、単量体の一部または全てを連続仕込み、あるいは単量体の一部または全てを分割仕込みのいずれの方法を用いてもよい。
本発明で用いられる変性ビニル系共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体(b1)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(b2)1〜50重量%、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)0.1〜40重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(b4)0〜80重量%からなる変性ビニル系共重合体である。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物中における変性ビニル系共重合体(B)の含有量は0.5〜60重量部であり、好ましくは1〜30重量部である。変性ビニル系共重合体(B)の含有量が0.5重量部未満では、耐熱性およびクリープ特性向上効果が低く、また、含有量が60重量部を超えると成形加工性が悪くなったり、ゲル化現象などを起こすことになる。
変性ビニル系共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)は、上記ビニル系共重合体(A)に例示した芳香族ビニル系単量体(a1)およびシアン化ビニル系単量体(a2)と同様の単量体を使用することができ、好ましい具体例も上記の芳香族ビニル系単量体(a1)およびシアン化ビニル系単量体(a2)と同様である。
変性ビニル系共重合体(B)における芳香族ビニル系単量体(b1)の含有量は、10〜90重量%であることが必要であり、好ましくは15〜80重量%である。芳香族ビニル系単量体(b1)の含有量が10重量%未満では、成形加工性が劣る傾向やビニル系共重体(A)との相溶性が悪くなり機械的特性が低くなる。また、含有量が90重量%を超えるとシアン化ビニル系単量体(b2)や不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)の含有量が減少し、耐熱性およびクリープ特性向上効果が低くなる。
変性ビニル系共重合体(B)におけるシアン化ビニル系単量体(b2)の含有量は、1〜50重量%であることが必要であり、好ましくは3〜40重量%である。シアン化ビニル系単量体(b2)の含有量が1重量%未満では、耐熱性や衝撃強度が低下し、また、含有量が50重量%を超えると流動性が低下する。
変性ビニル系共重合体(B)を構成する不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸および無水マレイン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上用いることができる。中でも、単量体(b3)の具体例として、耐衝撃性の観点から、アクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。
変性ビニル系共重合体(B)における不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)の含有量は、0.1〜40重量%であることが必要であり、好ましくは1〜20重量%である。単量体(b3)の含有量が0.1重量%未満では、機械強度の低下やクリープ特性向上効果が低く、また、含有量が40重量%を超えると重合生産そのものが困難になったり、流動性が低下する。
変性ビニル系共重合体(B)には必要に応じ、共重合可能なその他のビニル系単量体(b4)を共重合させることができる。この共重合可能なその他のビニル系単量体(b4)としては、上記ビニル系共重合体(A)に例示した共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)と同様の単量体を使用することができ、好ましい具体例も共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)と同様である。
変性ビニル系共重合体(B)成分の還元粘度(ηsp/c)は、好ましくは0.2〜0.8dl/gの範囲であり、特に好ましくは0.3〜0.7dl/gの範囲である。還元粘度が上記の範囲以外の場合には、耐衝撃性が低下するか、あるいは溶融粘度が上昇して成形性が悪くなりやすい傾向を生じる。還元粘度(ηsp/c)は、真空乾燥機(温度80℃、3時間以上)にて乾燥した試料を用い0.4g/100ml(メチルエチルケトン、温度30℃)に調整し、ウベローデ粘度計にて測定した。
変性ビニル系共重合体(B)の製造方法には特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などのいずれであってもよい。製造時における単量体の仕込み方法にも特に制限はなく、初期一括仕込み、単量体の一部または全てを連続仕込み、あるいは単量体の一部または全てを分割仕込みのいずれの方法を用いてもよい。
本発明で用いられるガラス繊維(C)は、主に機械的物性の改良を目的に樹脂材料に添加されるガラス繊維であり、本発明には平均繊維径が3.0〜7.5μmの細径ガラス繊維が用いられる。中でも、平均繊維径が、3.0〜7.0μmのガラス繊維が好ましく用いられる。平均繊維径は、顕微鏡を用いて25本の単繊維径を測定し、その平均値とした。
ガラス繊維(C)の平均繊維径が3.0μm未満では、ガラス繊維の製造そのものが困難であったり、溶融混練時の折損が多くなり、ガラス繊維強化樹脂組成物としての機械特性およびクリープ特性が却って低下する。また、平均繊維径が7.5μmを超えるとクリープ特性向上効果が低くなる。
また、ガラス繊維は、機械的強度および生産性などの面から、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等で予め表面処理を行い、集束させたものを1〜20mmの範囲で切断したチョップドストランドとして使用することが好ましい。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物におけるガラス繊維(C)の含有量は、5〜50重量部であり、好ましくは10〜30重量部である。ガラス繊維(C)の含有量が5重量部未満では、耐熱性およびクリープ特性が劣り、また、含有量が50重量部を超えると流動性が低下する。
本発明で用いられるガラス繊維(C)の種類としては、機械特性や環境耐久性などの観点からEガラスが好ましく用いられる。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン6,6等のポリアミド樹脂、変性PPE樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、あるいはそれらの変性物やエラストマー類を配合することにより、成形用樹脂組成物として性能をさらに改良することができる。
また、本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系やアクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系およびサクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系やヒンダードアミン系などの光安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、臭素化化合物やリン酸エステル、赤燐等の各種難燃剤、三酸化アンチモンや五酸化アンチモンなどの難燃助剤、アルキルカルボン酸やアルキルスルホン酸の金属塩、カーボンブラック、顔料および染料などを添加することもでき、また、各種充填材を配合することもできる。
次に、本発明のガラス繊維強化樹脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物は、上述した各成分を溶融混練して製造することができる。溶融混練方法としては原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機(ガラス繊維はサイドフィード)、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなどの通常の溶融混合機に上述した各成分を供給して、200〜300℃の温度で溶融混練りする方法などを代表例として挙げることができる。中でも、単軸あるいは2軸の押出機で溶融混練しペレタイズすることが好ましく、ガラス繊維の破損を抑制する目的で、その際の溶融混練の温度条件を、240〜290℃とすることが好ましい。
上記のようにして得られたガラス繊維強化樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形およびガスアシスト成形などの、現在熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって、任意の形状に成形し成形品とすることができる。
特に、本発明のガラス繊維強化樹脂組成物は、ウェルド部の耐熱性が優れることから、ウェルドを有する成形品や、一旦成形した部品を溶着加工して接合される成形品に好適に用いられることができる。ウェルド部とは、例えば、射出成形において金型内での樹脂流動会合部のことであり、2点以上の樹脂流入部(ゲート)がある場合や穴形状(ボス)部での会合部、成形品の部位により厚みに違いがあると厚い方に先に樹脂が流入することで発生する流動会合部などを言う。
また、溶着加工の具体例としては、超音波溶着、振動溶着、スピン溶着、レーザー溶着、熱板溶着、熱線溶着などが挙げられる。
本発明のガラス繊維強化樹脂組成物を成形して得られた成形品は、得られた成形品の優れた寸法安定性および成形加工性ならびに電気絶縁性を有し、かつ安価なことを活かして、家庭電気機器、OA機器および自動車などの構造部品や機構部品として広範な分野で使用される。
具体的に本発明の成形品は、家庭用ならびに業務用等のエアコン部品における室内機の送風用エアコンファン、ならびに室外機のプロペラファン、液晶ディスプレー部品、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭・事務電気製品部品、パチンコ、スロットマシン、ゲーム機などに代表される遊技・娯楽製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品、トイレタリー用品、玩具用品、化学プラント、航空部品などの各種用途に有用であるが、上記の中でも、剛性、耐熱性およびクリープ特性が優れることを活かして、特にエアコンファン部品に好適に用いることができる。
以下、本発明のガラス繊維強化樹脂組成物と成形品を実施例で詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。実施例および比較例中、特にことわりのない限り「部」または「%」で表示したものは、すべて重量比率を表わしたものである。まず、ガラス繊維強化樹脂の特性等の評価方法を下記する。
(1)タイプA試験片作成
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥したガラス繊維強化樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度240℃に設定した住友重機製SE50DU成形機内に充填し、ISO294に準拠し、射出成形によりタイプA試験片を得た。
(2)ウェルド試験片作成
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥したガラス繊維強化樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度240℃に設定した住友重機製SE50DU成形機内に充填し、タイプA試験片用キャビティーにダブルTランナーを配し、射出成形によりウェルド試験片を得た。
(3)引張強度
上記タイプA試験片を用い、ISO527に準拠した引張破断応力(MPa)を測定した。
(4)曲げ弾性率
上記タイプA試験片を用い、ISO178に準拠した曲げ弾性率(MPa)を測定した。
(5)シャルピー衝撃強度
上記タイプA試験片を用い、ISO2818に準拠してVノッチ加工を施した試験片を用い、ISO179/1eAに準拠したシャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
(6)ウェルド強度
上記ウェルド試験片を用い、ISO527に準拠した引張破断応力(MPa)を測定した。
(7)ウェルド部荷重たわみ温度(ウェルドDTL)
上記ウェルド試験片を90℃の温度のオーブン中で、12時間アニール処理を行った後、ウェルド部に6MPaの曲げ荷重を負荷し、ISO75に準拠した荷重たわみ温度(℃)を測定した。
(8)ウェルドクリープ歪み
上記ウェルド試験片を90℃の温度のオーブン中で、12時間アニール処理を行った後、70℃の温度の雰囲気下にて、10MPaの引張荷重を負荷し、試験開始から100時間後のクリープ歪み量(%)を測定した。
[参考例1]ビニル系共重合体(A)の製造方法
<A−1>:スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して、ビーズ状のビニル系共重合体<A−1>を得た。得られたビニル系共重合体<A−1>の還元粘度(ηsp/c)は、0.59dl/gであった。
[参考例2]変性ビニル系共重合体(B)の製造方法
<B−1>:スチレン70重量%、アクリロニトリル25重量%およびメタクリル酸5重量%を懸濁重合して、ビーズ状の変性ビニル系共重合体<B−1>を得た。得られた変性ビニル系共重合体<B−1>の還元粘度(ηsp/c)は、0.71dl/gであった。
[参考例3]ガラス繊維(C)
<C−1>:日本電気硝子社製 チョップドストランド ECS03T−351DE(平均繊維径6.5μm)を使用した。
<C−2>:日本電気硝子社製 チョップドストランド ECS03T−120H(平均繊維径11μm)を使用した。
<C−3>:日本電気硝子社製 チョップドストランド ECS03T−351(平均繊維径13μm)を使用した。
[参考例4]東レ製 炭素繊維(“トレカ”(登録商標))チョップドファイバー TW14−006(平均繊維径7μm)を使用した。
[実施例1]
上記の参考例1〜3に記載のビニル系共重合体<A−1>、変性ビニル系共重合体<B−1>およびガラス繊維<C−1>を、表1の割合で配合後、シリンダー設定温度が250℃の40mmφ単軸押出機で溶融混練し、ペレット状の樹脂を得た。得られたペレットを前述の方法により、諸特性を評価し、結果を表1に掲げた。本発明の配合処方では、ウェルドDTLおよびウェルドクリープ歪みが優れている。
[実施例2]
実施例1における変性ビニル系共重合体<B−1>の配合比率を5重量部から20重量部に増量し、同じくビニル系共重合体<A−1>と、ガラス繊維<C−1>を表1の割合で配合後、実施例1同様に溶融混練した、ペレット状樹脂の評価結果を表1に掲げた。本発明の配合処方では、ウェルドDTLおよびウェルドクリープ歪みが優れている。
[実施例3]
実施例1における変性ビニル系共重合体<B−1>の配合比率を5重量部から10重量部に増量し、ガラス繊維<C−1>の配合比率を30重量部から20重量部に減量し、ビニル系共重合体<A−1>を表1の割合で配合後、実施例1同様に溶融混練した、ペレット状樹脂の評価結果を表1に掲げた。本発明の配合処方では、ウェルドDTL、ウェルドクリープ歪みが優れている。
[比較例1〜4、参考]
比較例1は、変性ビニル系共重合体<B−1>を含まない具体例として、ビニル系共重合体<A−1>とガラス繊維<C−1>を表1の割合で配合後、ペレタイズした樹脂ペレットを実施例と同様に諸特性を評価したものである。変性ビニル系共重合体<B−1>を含まないため、ウェルドDTLとウェルドクリープ歪みが何れも悪化している。
比較例2〜4は、ビニル系共重合体<A−1>、変性ビニル系共重合体<B−1>、ガラス繊維<C−2>およびガラス繊維<C−3>を表1の割合で配合後、ペレタイズした樹脂ペレットを実施例と同様に諸特性を評価したものである。ガラス繊維(C)の平均繊維径が本発明の範囲外であるためウェルドDTLとウェルドクリープ歪みの低下が認められる。
参考は、炭素繊維を使用した具体例として、ビニル系共重合体<A−1>と参考例4に記載の炭素繊維をそれぞれ表1の割合で配合後、ペレタイズした樹脂ペレットを実施例と同様に諸特性を評価したものである。ウェルド特性を含む諸特性に優れるが、製造コストが非常に高い。
Figure 2009185141

Claims (6)

  1. 芳香族ビニル系単量体(a1)50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(a2)10〜50重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(a3)0〜10重量%を共重合してなるビニル系共重合体(A)5〜90重量部、芳香族ビニル系単量体(b1)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(b2)1〜50重量%、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)0.1〜40重量%および共重合可能なその他のビニル系単量体(b4)0〜80重量%を共重合してなる変性ビニル系共重合体(B)0.5〜60重量部、および平均繊維径が3.0〜7.5μmであるガラス繊維(C)5〜50重量部を含有してなるガラス繊維強化樹脂組成物。
  2. 変性ビニル系共重合体(B)に用いられる不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれた単量体(b3)が、アクリル酸またはメタクリル酸の何れかである請求項1記載のガラス繊維強化樹脂組成物。
  3. ビニル系共重合体(A)がアクリロニトリル/スチレン共重合体を主体とするビニル系共重合体であり、かつ還元粘度(ηsp/c)が0.4〜0.7dl/gである請求項1または2記載のガラス繊維強化樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載されたガラス繊維強化樹脂組成物で成形されたウェルド部を有する成形品。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載されたガラス繊維強化樹脂組成物で成形された成形品を溶着してなる成形品。
  6. 請求項1〜3の何れかに記載されたガラス繊維強化樹脂組成物で成形されたエアコンのファン部品。
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