JP2009184521A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】着磁しにくく、かつ、着磁した際にも発生する磁場が弱い空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】金属線状体により補強されたベルト層を備える空気入りタイヤである。金属線状体が、非磁性鋼からなる。金属線状体としては、直径0.12mm〜0.6mmの単線を複数本にて撚合わせてなる撚りコード、直径0.3mm〜1.5mmの単線コード、および、厚さ0.3mm〜1.0mm、幅3.0mm〜12.0mmの帯状コードを好適に用いることができる。また、本発明のタイヤにおいては、金属線状体により補強されたベルト層と、非金属線状体により補強されたベルト層とを備えることも好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】金属線状体により補強されたベルト層を備える空気入りタイヤである。金属線状体が、非磁性鋼からなる。金属線状体としては、直径0.12mm〜0.6mmの単線を複数本にて撚合わせてなる撚りコード、直径0.3mm〜1.5mmの単線コード、および、厚さ0.3mm〜1.0mm、幅3.0mm〜12.0mmの帯状コードを好適に用いることができる。また、本発明のタイヤにおいては、金属線状体により補強されたベルト層と、非金属線状体により補強されたベルト層とを備えることも好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、スチールコード等の金属線状体により補強されたベルトを有する空気入りタイヤから発生する磁場を低減する技術に関する。
従来より、空気入りラジアルタイヤのベルト層として、補強材にスチールコードを適用したスチールベルト層が用いられている。かかるスチールコードの素材としては、0.70〜0.90wt%の炭素を含有する高炭素鋼線が汎用されている。
ところで、高炭素鋼線は強磁性体であるので、タイヤの製造過程やタイヤの使用中などに、スチールコードが磁化される場合がある。スチールコードが磁化されたタイヤは、車両走行時の回転により変動磁場を発生するので、車載電子機器に対する影響への懸念や環境面の視点から、対策が検討されている。
例えば、特許文献1〜4には、タイヤを脱磁することにより、タイヤから発生する磁場を低減する方法が開示されている。中でも特に、特許文献1には、車両に装着した状態で、使用中のタイヤの脱磁を可能にする装置が開示されている。また、特許文献5には、層内でのスチールコードの磁化方向を同一にした傾斜ベルト層を、磁化の方向が互いに逆になるように積層して交錯ベルト構造を形成することにより、外部に形成される磁場を低減したタイヤが開示されている。
特開2006−100349号公報
特開2005−88817号公報
特開2006−82007号公報
特開2006−86316号公報
再表2004/065142号公報
上記のように、タイヤの脱磁処理に関しては、これまでに種々の技術が提案されてきているが、ベルト層のスチールコードは、一度脱磁したとしても、その後のタイヤの使用中に再度着磁することがある。したがって、着磁した場合でも発生する磁場が弱く、かつ、使用中に着磁し難いタイヤが望まれる。また、着磁し難いタイヤであれば、脱磁処理自体を不要にすることも可能となる。
そこで、本発明の目的は、上記問題を解消して、ベルト層の補強材としてスチールコードを用いた空気入りタイヤにおいて、着磁しにくく、かつ、着磁した際にも発生する磁場が弱い空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、ベルト層に非磁性鋼からなる補強材を用いることで、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、金属線状体により補強されたベルト層を備える空気入りタイヤにおいて、前記金属線状体が、非磁性鋼からなることを特徴とするものである。
本発明において、前記金属線状体としては、直径0.12mm〜0.6mmの単線を複数本にて撚合わせてなる撚りコード、直径0.3mm〜1.5mmの単線コード、および、厚さ0.3mm〜1.0mm、幅3.0mm〜12.0mmの帯状コードを好適に用いることができる。また、本発明のタイヤは、特には、前記金属線状体により補強されたベルト層と、非金属線状体により補強されたベルト層とを備えることが好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、着磁しにくく、かつ、着磁した際にも発生する磁場が弱い空気入りタイヤを実現することが可能となった。また、前記金属線状体により補強されたベルト層に加えて、非金属線状体により補強されたベルト層を配設すれば、上記効果に加えて、重量増を抑制しつつ高強度を確保した空気入りタイヤが得られるものである。
以下、本発明の好適実施形態について詳細に説明する。
本発明の空気入りタイヤは、金属線状体により補強されたベルト層を備えるものであり、かかる金属線状体として、非磁性鋼からなるものを用いた点に特徴を有する。ベルト層を非磁性鋼からなる金属線状体にて形成したことにより、タイヤの製造過程またはタイヤの使用中に磁場にさらされた際にも、磁化し難くなる。このため、タイヤの脱磁処理を不要とするとともに、ベルト層に起因する磁場の発生を抑制して、その影響を低減することが可能となった。
本発明の空気入りタイヤは、金属線状体により補強されたベルト層を備えるものであり、かかる金属線状体として、非磁性鋼からなるものを用いた点に特徴を有する。ベルト層を非磁性鋼からなる金属線状体にて形成したことにより、タイヤの製造過程またはタイヤの使用中に磁場にさらされた際にも、磁化し難くなる。このため、タイヤの脱磁処理を不要とするとともに、ベルト層に起因する磁場の発生を抑制して、その影響を低減することが可能となった。
非磁性鋼としては、具体的には例えば、下記の表中に示すようなNi−Cr系オーステナイト鋼、ハッドフィールド鋼、高Mn系オーステナイト鋼等が挙げられる。また、強力ステンレス鋼として、17−10P鋼も用いることができる。
上記のうちでもオーステナイト鋼としては、線状体化や強度向上のための冷間伸線や冷間圧延を施した際に、加工誘起マルテンサイトを生じて強磁性化する場合があるので、加工誘起マルテンサイトが生じ難い組成のものを用いることが好ましい。具体的には、下記式で表されるMdの値が450以下であるものを用いることが好ましい。
Md=551−462C−8.1Mn−29(Ni+Cr)−18.5Mo−68Nb
Md=551−462C−8.1Mn−29(Ni+Cr)−18.5Mo−68Nb
上記非磁性鋼からなる金属線状体としては、例えば、直径0.12mm〜0.6mmの単線を複数本にて撚合わせた撚りコード、すなわち、通常のスチールコードの高炭素鋼素線を非磁性鋼素線に置き換えたものが好適に使用できる。
また、非磁性鋼は一般に高炭素鋼よりも強度および塑性加工性が劣るので、撚線加工を行なわない単線として用いることも有利である。この場合、強度および伸線加工性も考慮して、若干大径の直径0.3mm〜1.5mmの単線コードとすることが好ましい。
さらに、上記と同様の理由で、帯状コードの形態で適用することも好ましい。この場合、適切な曲げ剛性を得るために、コードの厚さを0.3mm〜1.0mmとすることが好ましい。また、コード幅は、3.0mm〜12.0mmとすることが好適である。
また、本発明のタイヤにおいては、上記非磁性鋼からなる金属線状体により補強されたベルト層に加えて、非金属線状体により補強されたベルト層を配置することが好ましい。非磁性鋼は、一般に高炭素鋼よりも比強度が小さいので、高炭素鋼に代えて非磁性鋼を適用する場合、タイヤ重量が重くなる恐れがある。そこで、鋼よりも比重が小さい非金属線状体により補強されたベルトと併用することで、タイヤ重量増を抑えることができる。例えば、非磁性鋼には主として圧縮剛性を受け持たせ、引張強度は主として非金属線状体(有機繊維等)に受け持たせるなどの方法が考えられる。かかる非金属線状体としては、引張剛性が高いものが好ましく、例えば、アラミドコード、ポリエチレンナフタレート(PEN)コード、ポリケトン(PK)コード、炭素繊維コード等を好適に用いることができる。
本発明のタイヤは、上記非磁性鋼からなる線状体により補強されたベルト層を備えるものであればよく、これにより本発明の所期の効果を得ることができる。かかるベルト層以外のタイヤ構造の詳細については特に制限されず、常法に従い適宜構成することが可能である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
ベルト層に下記の表中に示すベルト補強材をそれぞれ用いて、タイヤサイズPSR195/50R15の空気入りラジアルタイヤを作製した。カーカスコード材質にはポリエステルを用いた。
ベルト層に下記の表中に示すベルト補強材をそれぞれ用いて、タイヤサイズPSR195/50R15の空気入りラジアルタイヤを作製した。カーカスコード材質にはポリエステルを用いた。
<磁場測定条件>
タイヤトレッド中央部からタイヤ半径方向に300mm離れた位置で、タイヤ周方向の磁場分布を測定した。測定には、レイクショア製ガウスメーターを使用した。測定は、製造直後と外部磁場付加後との2回行い、3点で測定した磁場の値の平均値および変動幅を算出した。結果は、従来例1の値を100とした指数にて示した。
タイヤトレッド中央部からタイヤ半径方向に300mm離れた位置で、タイヤ周方向の磁場分布を測定した。測定には、レイクショア製ガウスメーターを使用した。測定は、製造直後と外部磁場付加後との2回行い、3点で測定した磁場の値の平均値および変動幅を算出した。結果は、従来例1の値を100とした指数にて示した。
(外部磁場付加条件)
長さ100mm、幅30mm、厚さ5mmの、幅方向に着磁された残留磁束密度約3000ガウスのフェライト磁石を用いて、磁石の長さ方向をタイヤのトレッド横断方向に配置し、かつ、磁石の幅方向とタイヤ半径方向を同一に配置した条件で、タイヤ表面を周方向に一周させた後、磁石をタイヤ半径方向に遠ざけた。
長さ100mm、幅30mm、厚さ5mmの、幅方向に着磁された残留磁束密度約3000ガウスのフェライト磁石を用いて、磁石の長さ方向をタイヤのトレッド横断方向に配置し、かつ、磁石の幅方向とタイヤ半径方向を同一に配置した条件で、タイヤ表面を周方向に一周させた後、磁石をタイヤ半径方向に遠ざけた。
また、各供試タイヤのベルト重量を測定して、従来例1を100とした指数にて示した。これらの結果を、下記表中に併せて示す。
上記表に示す結果より、ベルト層に非磁性鋼からなる補強コードを用いた各実施例の供試タイヤにおいては、製造直後および外部磁場付加後のいずれにおいても磁場の発生が抑制されていることが確かめられた。
Claims (5)
- 金属線状体により補強されたベルト層を備える空気入りタイヤにおいて、前記金属線状体が、非磁性鋼からなることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記金属線状体が、直径0.12mm〜0.6mmの単線を複数本にて撚合わせてなる撚りコードである請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記金属線状体が、直径0.3mm〜1.5mmの単線コードである請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記金属線状体が、厚さ0.3mm〜1.0mm、幅3.0mm〜12.0mmの帯状コードである請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記金属線状体により補強されたベルト層と、非金属線状体により補強されたベルト層とを備える請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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