JP2014169507A - ゴム物品補強用スチールワイヤおよびこれを用いたゴム物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも曲げ疲労性に優れる断面形状扁平のゴム物品補強用スチールワイヤおよびこれを用いたゴム物品を提供する。
【解決手段】幅方向断面が長径と短径を有し、前記長径と前記短径とが実質的に直交するゴム物品補強用スチールワイヤ10である。長径をW、短径をT、長径の幅方向中央を通り短径方向に平行な直線をL1、短径の幅方向中央を通り長径方向に平行な直線をL2、L1とL2との交点を中心点Cとし、この中心点Cから表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc、中心領域Rcの外側の領域を表層領域Rsとしたとき、中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、表層領域Rsのビッカース硬度Hvsより大きく、かつ、表層領域RsにおけるL1上のビッカース硬度をHv1、表層領域RsにおけるL2上のビッカース硬度をHv2としたとき、
Hvc−Hv1≦150
Hvc−Hv2≦150
で表される関係を満足する
【選択図】図1
【解決手段】幅方向断面が長径と短径を有し、前記長径と前記短径とが実質的に直交するゴム物品補強用スチールワイヤ10である。長径をW、短径をT、長径の幅方向中央を通り短径方向に平行な直線をL1、短径の幅方向中央を通り長径方向に平行な直線をL2、L1とL2との交点を中心点Cとし、この中心点Cから表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc、中心領域Rcの外側の領域を表層領域Rsとしたとき、中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、表層領域Rsのビッカース硬度Hvsより大きく、かつ、表層領域RsにおけるL1上のビッカース硬度をHv1、表層領域RsにおけるL2上のビッカース硬度をHv2としたとき、
Hvc−Hv1≦150
Hvc−Hv2≦150
で表される関係を満足する
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム物品補強用スチールワイヤ(以下、単に「ワイヤ」とも称する)およびこれを用いたゴム物品に関し、詳しくは、従来よりも曲げ疲労性に優れる断面形状扁平のゴム物品補強用スチールワイヤおよびこれを用いたゴム物品に関する。
近年、自動車の燃費を向上させるために、タイヤの軽量化に対する要求は益々高まっている。このような要求に応えるため、タイヤの補強部材であるベルトに用いられるスチールワイヤの構造について過去から検討されてきており、その構造についての新しい技術が種々提案されている。例えば、特許文献1〜3では、断面形状をトラック形や矩形や楕円形にすることで、軽量化を実現しつつ、タイヤの耐久性を改善することができるゴム物品補強用スチールワイヤが提案されている。
また、タイヤや工業用ベルトのようなゴム物品に埋設され得たスチールワイヤには、張力や曲げ入力が加わるため、曲げ疲労性が重要になる。このような課題に対して、特許文献4では、タイヤのベルトの補強材として好適なワイヤであって、表面の粗さを所定の値以下の滑らかなものとし、かつ、その断面形状を所定の形状とすることで、タイヤ諸性能を損なうことなく、疲労耐久性を向上させた、断面形状扁平なゴム物品補強用ワイヤが提案されている。
しかしながら、今後、タイヤや工業用ベルトのようなゴム物品の長寿命化を考えると、従来のワイヤ以上に曲げ疲労性を向上させることが重要となり、従来技術に変わる新たな技術の確立が望まれているのが現状である。
そこで、本発明の目的は、従来よりも曲げ疲労性に優れる断面形状扁平のゴム物品補強用スチールワイヤおよびこれを用いたゴム物品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、ワイヤに張力や曲げ入力が加わった場合におけるワイヤの耐久性は、ワイヤ内におけるビッカース硬度分布に影響を受けること見出した。かかる知見をもとに、本発明者は、さらに鋭意検討をした結果、ワイヤにおけるビッカース硬度の分布を下記の通り適正化することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム物品補強用スチールワイヤは、幅方向断面が長径と短径を有し、前記長径と前記短径とが実質的に直交するゴム物品補強用スチールワイヤにおいて、
長径をW、短径をT、前記長径の幅方向中央を通り短径方向に平行な直線をL1、前記短径の幅方向中央を通り長径方向に平行な直線をL2、前記L1と前記L2との交点を中心点Cとし、該中心点Cから表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc、該中心領域Rcの外側の領域を表層領域Rsとしたとき、前記中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、前記表層領域Rsのビッカース硬度Hvsより大きく、かつ、
前記表層領域Rsにおける前記L1上のビッカース硬度をHv1、前記表層領域Rsにおける前記L2上のビッカース硬度をHv2としたとき、下記式(1)、(2)、
Hvc−Hv1≦150 (1)
Hvc−Hv2≦150 (2)
で表される関係を満足することを特徴とするものである。
長径をW、短径をT、前記長径の幅方向中央を通り短径方向に平行な直線をL1、前記短径の幅方向中央を通り長径方向に平行な直線をL2、前記L1と前記L2との交点を中心点Cとし、該中心点Cから表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc、該中心領域Rcの外側の領域を表層領域Rsとしたとき、前記中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、前記表層領域Rsのビッカース硬度Hvsより大きく、かつ、
前記表層領域Rsにおける前記L1上のビッカース硬度をHv1、前記表層領域Rsにおける前記L2上のビッカース硬度をHv2としたとき、下記式(1)、(2)、
Hvc−Hv1≦150 (1)
Hvc−Hv2≦150 (2)
で表される関係を満足することを特徴とするものである。
本発明のワイヤにおいては、前記L1上であって前記中心点CからR1×T(0<R1<0.5)離れた点におけるビッカース硬度をHv3、前記L2上であって前記中心点CからR2×W(0<R2<0.5)離れた点におけるビッカース硬度をHv4としたとき、下記式(3)〜(5)、
3.0≦W/T≦7.0 (3)
−167×R12−117×R1+630≦Hv3≦−167×R12−417×R1+950 (4)
−375×R22−175×R2+630≦Hv4≦−500×R22−150×R2+950 (5)
で表される関係を満足することが好ましい。また、本発明のワイヤにおいては、前記中心点Cのビッカース硬度Hvcは、630〜950であることが好ましい。
3.0≦W/T≦7.0 (3)
−167×R12−117×R1+630≦Hv3≦−167×R12−417×R1+950 (4)
−375×R22−175×R2+630≦Hv4≦−500×R22−150×R2+950 (5)
で表される関係を満足することが好ましい。また、本発明のワイヤにおいては、前記中心点Cのビッカース硬度Hvcは、630〜950であることが好ましい。
また、本発明のゴム物品は、上記本発明のゴム物品補強用スチールワイヤが補強材として埋設されてなることを特徴とするものである。
本発明のゴム物品においては、前記ゴム物品補強用スチールワイヤの長径は、面内方向と一致して並列に引き揃えられてなることが好ましい。
本発明によれば、従来よりも曲げ疲労性に優れる断面形状扁平のゴム物品補強用スチールワイヤおよびこれを用いたゴム物品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
本発明のゴム物品補強用スチールワイヤ10は、幅方向断面が長径と短径を有し、長径と短径とが実質的に直交している。図1に、本発明のゴム物品補強用スチールワイヤの断面形状の一例を示す。図示例においては、その幅方向断面が、一対の平行な直線部11と、外側に凸になって対向する一対の円弧部12と、からなるトラック形状を有している。ここで、長径はワイヤ10の幅を意味し、短径はワイヤ10の厚みを意味する。
本発明のゴム物品補強用スチールワイヤ10は、幅方向断面が長径と短径を有し、長径と短径とが実質的に直交している。図1に、本発明のゴム物品補強用スチールワイヤの断面形状の一例を示す。図示例においては、その幅方向断面が、一対の平行な直線部11と、外側に凸になって対向する一対の円弧部12と、からなるトラック形状を有している。ここで、長径はワイヤ10の幅を意味し、短径はワイヤ10の厚みを意味する。
本発明のワイヤ10においては、長径をW、短径をT、長径の幅方向中央を通り短径方向(厚み方向)に平行な直線をL1、短径の幅方向中央を通り長径方向(幅方向)に平行な直線をL2、L1とL2との交点を中心点Cとし、この中心点Cからワイヤ10の表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc(図中の点線に囲まれた領域)、中心領域Rcよりも外側の領域を表層領域Rsとしたとき、中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、表層領域Rsのビッカース硬度Hvsよりも大きい。
ワイヤ10がゴム中に埋設された状態で、ゴム物品に張力や曲げ入力が加わると、内部のワイヤ10にも同様の張力や曲げ入力が加わる。この場合、ワイヤ10の中心領域Rcは曲げ変形の中立軸に近いため、曲げ入力の影響を受けにくい。そこで、本発明のワイヤ10においては、ワイヤ10の中心領域Rcのビッカース硬度Hvcを表層領域Rsのビッカース硬度Hvsよりも高くして、ワイヤ10の引張り強度を確保している。一方、ワイヤ10の表層領域Rsは、曲げ変形による引張り圧縮入力を大きく受けるため、中心領域Rcのビッカース硬度Hvcよりも表層領域Rsのビッカース硬度Hvsを低く設定して高延性な素材特性とし、疲労破壊の原因である表面亀裂の発生を抑制している。
また、本発明のワイヤ10においては、表層領域RsにおけるL1上のビッカース硬度をHv1、表層領域RsにおけるL2上のビッカース硬度をHv2としたとき、下記式(1)、(2)、
Hvc−Hv1≦150 (1)
Hvc−Hv2≦150 (2)
で表される関係をを満足する。ワイヤ10の中心領域Rcのビッカース硬度Hvcと表面領域Rsのビッカース硬度Hv1、Hv2との差が大き過ぎると、ワイヤ10の曲げ変形におけるワイヤ組織内のせん断歪みが断面内で不均一に集中して、疲労耐久性が低下してしまう場合があるからである。
Hvc−Hv1≦150 (1)
Hvc−Hv2≦150 (2)
で表される関係をを満足する。ワイヤ10の中心領域Rcのビッカース硬度Hvcと表面領域Rsのビッカース硬度Hv1、Hv2との差が大き過ぎると、ワイヤ10の曲げ変形におけるワイヤ組織内のせん断歪みが断面内で不均一に集中して、疲労耐久性が低下してしまう場合があるからである。
本発明のワイヤ10においては、中心点Cから短径方向(厚み方向)にR1×T(0<R1<0.5)離れた任意の点におけるビッカース硬度をHv3、中心点Cから長径方向(幅方向)にR2×W(0<R2<0.5)離れた任意の点におけるビッカース硬度をHv4としたとき、下記式(3)〜(5)、
3.0≦W/T≦7.0 (3)
−167×R12−117×R1+630≦Hv3≦−167×R12−417×R1+950 (4)
−375×R22−175×R2+630≦Hv4≦−500×R22−150×R2+950 (5)
で表される関係を満足することが好ましい。
3.0≦W/T≦7.0 (3)
−167×R12−117×R1+630≦Hv3≦−167×R12−417×R1+950 (4)
−375×R22−175×R2+630≦Hv4≦−500×R22−150×R2+950 (5)
で表される関係を満足することが好ましい。
W/Tが3.0未満では、本発明のワイヤ10をゴム物品の補強材として用いる場合、必要となる強度を得るためにはワイヤ10の厚みTを厚くしなければならず、十分な軽量効果を得ることができない場合がある。一方、W/Tが7.0を超えるような高偏平率となると、加工中にワイヤ10に割れが入ってしまう場合があり、やはり好ましくはない。
また、式(4)において、Hv3が上記範囲未満であると、本発明のワイヤ10を埋設したゴム物品の耐久性が低下してしまう場合がある。一方、式(4)において、Hv3が上記範囲を超えると、ワイヤ10の加工時にワイヤ10に割れが入ってしまうおそれがある。さらに、式(5)において、Hv4が上記範囲未満であると、本発明のワイヤ10を埋設したゴム物品の耐久性が低下してしまう場合がある。一方、式(5)において、Hv4が上記範囲を超えると、ワイヤ10の加工時に、ワイヤ10に割れが入ってしまうおそれがある。図2は、式(4)におけるHv3の上限と下限を示すグラフであり、図3は、式(5)におけるHv4の上限と下限を示すグラフである。
本発明のワイヤ10においては、中心点Cのビッカース硬度Hvcは、630〜950であることが好ましい。中心点Cのビッカース硬度Hvcが上記範囲を超えると、ワイヤ10に延性が低くなり、疲労耐久性が悪化してしまうおそれがあるからである。一方、中心点Cのビッカース硬度Hvcが上記範囲未満であると、ワイヤ強度が低下してしまい、ゴム物品の補強材として十分な強度が得られない場合があるからである。
ここまで、本発明のゴム物品補強用スチールワイヤについて詳細に説明してきたが、本発明のワイヤ10は、幅方向断面が長径と短径を有し、長径と短径とが実質的に直交し、長径をW、短径をT、長径の幅方向中央を通り短径方向に平行な直線をL1、短径の幅方向中央を通り長径方向に平行な直線をL2、L1とL2との交点を中心点Cとし、中心点Cから表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc、中心領域Rcの外側の領域を表層領域Rsとしたとき、中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、表層領域Rsのビッカース硬度Hvsより大きければよく、それ以外、特に制限されるものではない。
ここまでは、本発明のワイヤの断面形状として、一対の平行な直線部11と、外側に凸になって対向する一対の円弧部12と、からなるトラック形状のワイヤ10を用いて説明してきたが、本発明のワイヤにおいては、断面形状は、これに限られるものではない。例えば、図4は、本発明のゴム物品補強用スチールワイヤの断面形状の他の例であり、図示するように、ワイヤ20は、2対の平行な直線部21a、21bと、これらを結ぶ4つの外側に凸な円弧部22と、からなる略矩形状であってもよい。また、図5は、本発明のゴム物品補強用スチールワイヤの断面形状のさらに他の例であり、図示するように、ワイヤ30は、一対の外側に向かって凸となる円弧部32aと、この円弧よりも曲率半径が小さい外側に凸な円弧部32bと、からなる楕円形状であってもよい。
また、本発明のワイヤの材質等についても特に制限は無く、従来用いられているものであれば何れでも用いることができるが、炭素成分が0.80質量%以上である高炭素鋼であることが好ましい。ワイヤの素材を高硬度である炭素成分が0.80質量%以上の高炭素鋼とすることで本発明の効果を良好に得ることができる。一方、炭素成分が1.5質量%を超えると、延性が低くなり耐疲労性が劣るので好ましくない。
本発明のワイヤは、通常の円形断面のワイヤを製造するための従来の設備および工程をそのまま利用して製造することができる。具体的には、伸線加工の後半部においてローラ間で圧延するか、または、偏平孔のダイスを通す等により偏平化することで、経済的かつ簡便に製造することができる。その際に、ワイヤの伸線加工や圧延加工の条件を、最終的に得られるワイヤの物性が上記要件を満足するものとなるように適宜設定すればよい。
次に、本発明のゴム物品について説明する。
本発明のゴム物品は、上記本発明のゴム物品補強用スチールワイヤが補強材としてゴム中に埋設されてなるものである。本発明のゴム物品としては、例えば、タイヤや工業用ベルト等を挙げることができるが、特には、タイヤである。本発明のゴム物品をタイヤや、工業用ベルトに適用する場合は、ワイヤの長径が、タイヤや工業用ベルトの面内方向と一致して並列に引き揃えられてなることが好ましい。これにより、ゴム物品の厚みを薄くすることができ、軽量化の点で優れたものとなる。例えば、ワイヤ10、20、30をタイヤの補強用ベルトに用いる場合には、ベルトの面内方向にワイヤ10、20、30の幅方向が揃うように配列させればよい。本発明のワイヤ10、20、30は疲労耐久性に優れているため、得られるタイヤの疲労耐久性についても向上させることができる。
本発明のゴム物品は、上記本発明のゴム物品補強用スチールワイヤが補強材としてゴム中に埋設されてなるものである。本発明のゴム物品としては、例えば、タイヤや工業用ベルト等を挙げることができるが、特には、タイヤである。本発明のゴム物品をタイヤや、工業用ベルトに適用する場合は、ワイヤの長径が、タイヤや工業用ベルトの面内方向と一致して並列に引き揃えられてなることが好ましい。これにより、ゴム物品の厚みを薄くすることができ、軽量化の点で優れたものとなる。例えば、ワイヤ10、20、30をタイヤの補強用ベルトに用いる場合には、ベルトの面内方向にワイヤ10、20、30の幅方向が揃うように配列させればよい。本発明のワイヤ10、20、30は疲労耐久性に優れているため、得られるタイヤの疲労耐久性についても向上させることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1〜7および比較例1〜4>
下記表1および2に示す断面形状およびビッカース硬度分布を有するゴム物品補強用スチールワイヤを作製した。得られた各ワイヤにつき3点曲げ疲労試験を行い、ワイヤの疲労性について評価した。なお、表中のHvcは中心点Cにおけるビッカース硬度であり、Hv1(Hv3)は、ワイヤの中心部Cから短径方向に0.3×T(R1=0.3)だけ離れた位置におけるビッカース硬度であり、Hv2(Hv4)は、ワイヤの中心部Cから長径方向に0.4×W(R2=0.4)だけ離れた位置におけるビッカース硬度である。この場合における式(4)の範囲は580〜810であり、式(5)の範囲は500〜810である。
<実施例1〜7および比較例1〜4>
下記表1および2に示す断面形状およびビッカース硬度分布を有するゴム物品補強用スチールワイヤを作製した。得られた各ワイヤにつき3点曲げ疲労試験を行い、ワイヤの疲労性について評価した。なお、表中のHvcは中心点Cにおけるビッカース硬度であり、Hv1(Hv3)は、ワイヤの中心部Cから短径方向に0.3×T(R1=0.3)だけ離れた位置におけるビッカース硬度であり、Hv2(Hv4)は、ワイヤの中心部Cから長径方向に0.4×W(R2=0.4)だけ離れた位置におけるビッカース硬度である。この場合における式(4)の範囲は580〜810であり、式(5)の範囲は500〜810である。
(3点曲げ疲労試験)
各ワイヤに引張荷重を加えた状態で、繰り返し曲げ入力を与えた時の破断までの回数を、測定した。得られた値は、比較例1を100とする指数として、同表に併記した。この値が大きいほど、耐疲労性に優れている。
各ワイヤに引張荷重を加えた状態で、繰り返し曲げ入力を与えた時の破断までの回数を、測定した。得られた値は、比較例1を100とする指数として、同表に併記した。この値が大きいほど、耐疲労性に優れている。
上記表1および2より、本発明のワイヤは、曲げ疲労性に優れていることがわかる。
10、20、30 ゴム物品補強用ワイヤ
11、21 直線部
12、22、32 円弧部
11、21 直線部
12、22、32 円弧部
Claims (5)
- 幅方向断面が長径と短径を有し、前記長径と前記短径とが実質的に直交するゴム物品補強用スチールワイヤにおいて、
長径をW、短径をT、前記長径の幅方向中央を通り短径方向に平行な直線をL1、前記短径の幅方向中央を通り長径方向に平行な直線をL2、前記L1と前記L2との交点を中心点Cとし、該中心点Cから表面までの距離の1/2以内の領域を中心領域Rc、該中心領域Rcの外側の領域を表層領域Rsとしたとき、前記中心領域Rcのビッカース硬度Hvcが、前記表層領域Rsのビッカース硬度Hvsより大きく、かつ、
前記表層領域Rsにおける前記L1上のビッカース硬度をHv1、前記表層領域Rsにおける前記L2上のビッカース硬度をHv2としたとき、下記式(1)、(2)、
Hvc−Hv1≦150 (1)
Hvc−Hv2≦150 (2)
で表される関係を満足することを特徴とするゴム物品補強用スチールワイヤ。 - 前記L1上であって前記中心点CからR1×T(0<R1<0.5)離れた点におけるビッカース硬度をHv3、前記L2上であって前記中心点CからR2×W(0<R2<0.5)離れた点におけるビッカース硬度をHv4としたとき、下記式(3)〜(5)、
3.0≦W/T≦7.0 (3)
−167×R12−117×R1+630≦Hv3≦−167×R12−417×R1+950 (4)
−375×R22−175×R2+630≦Hv4≦−500×R22−150×R2+950 (5)
で表される関係を満足する請求項1記載のゴム物品補強用スチールワイヤ。 - 前記中心点Cのビッカース硬度Hvcが、630〜950である請求項1または2記載のゴム物品補強用スチールワイヤ。
- 請求項1〜3のうちいずれか一項記載のゴム物品補強用スチールワイヤが補強材として埋設されてなることを特徴とするゴム物品。
- 前記ゴム物品補強用スチールワイヤの長径が、面内方向と一致して並列に引き揃えられてなる請求項4記載のゴム物品。
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